フォーゴトン・レルムの神

Last-modified: 2023-11-08 (水) 21:41:44

このページはD&D5版でフォーゴトン・レルムを舞台にして遊ぶためのガイドの補足です。特にフォーゴトン・レルム世界の神々について説明しています。

 

【フォーゴトン・レルムの神々】
 フォーゴトン・レルムには多くの神々がいます。ときに争い、協力しながら世界を導いています。FRはD&D舞台のなかでも特に多くの神々が存在する世界であり、その権能が重複していることもあります。そして神々の策謀が直接的に世界に影響します。
 彼らは人々を導くための代理人として“選ばれし者(Chousen)”を選び、力を与えることがあります。彼らは神から命令や助言を受け、それぞれの大義を実現するために活動します。
 神々の属性とD&D5版における領域の例、司るものを紹介します。神格によってはプレイヤーズ・ハンドブック以降の書籍で領域が拡張されています。そのような神格においては、追加された領域も記載しています。
($;追加ルールで新設された種類の領域、*;このページで仮につけた領域)

 

フォーゴトン・レルムで一般に信仰される神々

A神の名前(司るもの)属性領域シンボル
A01イルメイター(忍耐の神)秩序にして善生命赤い紐で縛られた手首
A02ティア(裁きの神、蕃紳)秩序にして善戦、規律$戦鎚の上に天秤
A03トーム(勇気と自己犠牲の神)秩序にして善白い右の籠手
A04エルダス(平和の女神)中立にして善自然、生命、平和$静かな池に流れ落ちる滝
A05チョーンティーア(農業の女神)中立にして善生命穀物の上に咲く薔薇
A06デニーア(筆記の神)中立にして善知識開いた眼の上に灯るロウソク
A07マイリーキー(森の女神)中立にして善自然ユニコーンの頭部
A08ミストラ(魔法の女神)中立にして善知識、秘術$円なす7つの星など
A09ミリル(詩と歌の神)中立にして善葉で作られた5弦ハープ
A10ラサンダー(太陽と再生の神)中立にして善生命、光地平線上の日の出に向かう道
A11スーニー(愛と美の女神)混沌にして善生命、光美しい赤毛女性の顔
A12セルーネイ(月の女神)混沌にして善生命、知識、黄昏$2つの目を囲む7つの星
A13タイモーラ(幸運の女神)混沌にして善欺きコインの表の面
A14リーラ(喜びの女神)混沌にして善生命正三角形をなす3つの六芒星
A15ヴァルカー(北方の船乗りの神)混沌にして善嵐、戦雲と三条の稲妻
A16アズース(ウイザードの神)秩序にして中立知識、秘術$炎に縁取られた上向きの左手
A17ケレンヴォー(死者の神)秩序にして中立死、墓場$天秤を持った骸骨の腕
A18サヴラス(占いと宿命の神)秩序にして中立知識水晶球の中の多様な瞳
A19ヘルム(守護の神)秩序にして中立生命、光、黄昏$上向きの左籠手に見開いた眼
A20ジャーガル(死者の筆記者)秩序にして中立死、知識巻物を咥えた髑髏
A21ホア(復讐と仇討ちの神、蕃紳)秩序にして中立1つの首に2つの顔が描かれた硬貨
A22レッド・ナイト(戦略の女神)秩序にして中立両目に星を宿した騎士のコマ
A23オグマ(知識の神、蕃神)真なる中立知識白紙の巻物
A24ガンド(職人の神)真なる中立知識、鍛冶$4本のスポークを持つ歯車
A25シルヴァナス(荒ぶる自然の神)真なる中立自然オーク樹の葉
A26テンパス(戦の神)真なる中立燃え上がる上向きの剣
A27ワキーン(交易の女神)真なる中立欺き、知識左向きの女神の顔を描いたコイン
A28アカディー(風の女神)真なる中立
A29イスティーシア(水の神)真なる中立
A30グラムバー(地の神)真なる中立知識
A31コスース(火の神)真なる中立
A32エイオー(超越神)――――――
A33マスク(盗賊の神)混沌にして中立欺き黒い仮面
A34レアラ(幻の女神)混沌にして中立欺き下向きの三角形内に渦巻く霧
A35アスモデウス(悪魔と免罪の神)秩序にして悪欺き、知識3つの逆三角形
A36ベイン(専制の神)秩序にして悪戦、規律$指を揃えた上向きの黒い右手
A37ローヴィエータ―(苦痛の女神)秩序にして悪先端が9つに分かれたトゲ付き鞭
A38オーリル(冬の女神 )中立にして悪自然、嵐六角形の雪の結晶
A39シャー(闇と喪失の女神)中立にして悪欺き、死縁取られた黒い円
A40ベハル(殺戮の神)中立にして悪髑髏を囲む血痕
A41マークール(死の神)中立にして悪人の白い髑髏
A42アンバーリー(海の女神)混沌にして悪左右にうねる波
A43シアリック(嘘の神)混沌にして悪欺き黒か紫の日輪の中央に顎のない髑髏
A44ターロス(嵐の神)混沌にして悪1点から伸びる3本の稲妻
A45タロウナ(病と毒の女神)混沌にして悪三角形の中に3つの涙滴
A46ベシャバ(不運の女神)混沌にして悪欺き黒い枝角
A47マラー(狩の神)混沌にして悪自然爪を伸ばした獣の足

※:蕃紳は元々が異界からやってきてこの世界に定着した神々です。

 

ヒューマン以外の種族神

B神の名前(司るもの)属性領域シンボル
B01モラディン(ドワーフと鍛冶の神)秩序にして善知識、鍛冶$輪で囲まれた7つの星
B02ヤンダーラ(ハーフリングの守護と豊穣の女神)秩序にして善生命、黄昏$穀物の描かれた盾
B03バハムート(善い竜の神)秩序にして善生命、戦竜頭のシルエット
B04“きらめく黄金の”ガール(ノームといたずらの神)中立にして善欺き金塊
B05コアロン・ラレシアン(エルフと魔術の神)混沌にして善戦,生命,光,秘術$三日月
B06イーリストレイ(ドラウと舞踏の女神)混沌にして善自然、生命、光剣舞を舞う女ドラウ
B07ブランドバリス(ハーフリングと冒険の神)真なる中立欺きハーフリングの足あと
B08ティアマット(悪い竜の神)秩序にして悪欺き5つの爪と竜の頭
B09カートゥマルク(コボルトと採鉱の神)秩序にして悪ノームの髑髏
B10マグルビイェト(ゴブリンと征服の神)秩序にして悪血塗れの斧
B11グルームシュ(片目のオーク神)混沌にして悪嵐、戦まばたきしない眼
B12ロルス(ドラウと蜘蛛の神)混沌にして悪欺き、戦蜘蛛
B13ゴーナドウア(スライムと追放者の神)混沌にして悪瞳が紫の黒い目
 

ムルホランドの神々(≒エジプトの神々)

C神の名前(司るもの)属性領域シンボル
C01ラー・ホルアハティ(太陽神、神々の長)秩序にして善生命、光太陽を取り巻く蛇
C02オシリス(自然と地下世界の神)秩序にして善自然、生命羊飼いの杖と殻ざお
C03イシス(豊穣と魔術の女神)中立にして善生命、知識アンクと星
C04イムホテプ(工芸と医術の神)中立にして善知識階段状ピラミッド
C05ハトフル(愛と音楽と母性の女神)中立にして善生命、光角もつ牝牛の頭の後ろに満月
C06ネフティス(死と嘆きの女神)混沌にして善満月の周囲に多数の角
C07バステト(猫と復讐の女神)混沌にして善
C08アヌビス(裁きと死の神)秩序にして中立黒いジャッカル
C09プタハ(工芸と知識と秘密の女神)秩序にして中立知識雄牛
C10トト(知恵と知識の神)真なる中立知識朱鷺(トキ)
C11ベス(運と音楽の神)混沌にして中立欺き歪んだ神の似姿
C12セベク(水とワニの神)秩序にして悪嵐、自然角と羽の生えたワニの頭
C13アポピス(悪と火と蛇の神)中立にして悪欺き燃える蛇
C14セト(闇と砂嵐の神)混沌にして悪欺き、嵐、死とぐろ巻くコブラ
 

 

フォーゴトン・レルムで一般に信仰される神々

  • [A01]イルメイター(Ilmater)(忍耐の神)
    • 呼び名:“呻く神”、“拷問されし王”、“耐え忍ぶもの”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:生命、$黄昏
    • シンボル:赤い紐で縛られた手首
    • 説明:イルメイターは受難と苦しみ、忍耐を司ります。情け深さと辛抱強さで名高く、苦しむ人々の重荷を分かち、救いの手を差し伸べます。彼はトウムやティアと共に秩序にして善の神の同盟トライアド(The Triad)を組んでいます。
       彼は抑圧されたものや不当な扱いを受けるものの神です。イルメイター信徒は傷病者や飢えたものの世話をします。寺院への供物はこの世の苦しみを減らすために使われます。信徒は援助の手を差し伸べる一方で、他者を苦しめるものを止めるために暴力も辞しません。信徒は最悪の事態に陥った土地に向かい、そこで必要な活動をします。使命に付くときは荒布の服をじかに着ているので一目でわかります。
       人間たちの間で、戦場などで使命を果たそうと活動中のイルメイター神官を害することはタブーとされています。オークやゴブリン達ですら、倒れた彼らにも助けの手を差し伸べるイルメイター神官を攻撃することを差し控えます。
       
  • [A02]ティア(Tyr)(裁きの神、蕃紳)
    • 呼び名:“厳しく叱る者”、“不具の神”、“盲目なるもの”、“公正なる者”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:戦、規律$
    • シンボル:戦鎚の上に天秤
    • 説明:ティアは正義と裁きの神です。高貴な戦士であり、正義に身をささげています。トライアドの一員でもあります。ティアはその由来である北欧神話のティールと同様に、片手がありません。かつて混沌の猟犬ケゼフを捕えるのと引き換えに、片手を失ったと言われています。また超越神エイオーの振る舞いに正義があるのかを問うたために目をつぶされたという説話もあります。彼は他者からは厳格な採決者とみられています。
       ティアの信徒は過ちを正し、復讐をなすことを身をささげています。多くの騎士団、裁判官、聖騎士や神官がティアに仕えています。彼らは神学と法律に対して極めて厳格で、名誉を重んじます。一方で他の者たちが、そこまで厳格に生きられないことを理解しており、そのことで他者を侮辱しないよう自らを戒めます。
       
  • [A03]トーム(Torm)(勇気と自己犠牲の神)
    • 呼び名:“高潔なる怒り”、“真なるもの”、“大義の手”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:戦
    • シンボル:白い右の籠手
    • 説明:トームは正義と義務、忠誠の神です。トライアドの一員であり、ティアの右腕とされます。聖印の右籠手はこのことと、そして行動を為すにあたって、それが正義の行ないであるかを自制する心を示しています。
       多くの聖騎士がトームを信仰していますが、トームの信徒には様々な経歴の者がいます。その正義と忠誠を果たそうとするものすべてをトームは受け入れます。彼らは正義を為そうとして、時につまずくことがあることを知り、それでも正義を目指して進むことが大切だと説きます。
       トームの寺院の多くは高台にある砦です。そこには訪ね来る騎士のための宿泊所や厩、訓練所などがあり、広間には倒れた英雄たちの紋章が飾られています。
       
  • [A04]エルダス(Eldath)(平和の女神)
    • 呼び名:“静かなるもの”、“木立ちの守り手”、“水辺の母”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:自然、生命、平和$
    • シンボル:静かな池に流れ落ちる滝
    • 説明:安息と癒し、平穏、林間の静かな空地を司る平和の女神です。ドルイドの木立ちの殆どはエルダスの土地と見なされます。彼女が祝福した水は病を癒し、狂気を拭い、死にゆく者に安らぎをもたらします。エルダスはマイリーキーと姉妹で、シルヴァナスが父だといわれます。自然に関わる神々からなる“始まりの円環”の一員です。
       田舎には地元民がエルダスの場所とする空地や水辺があります。そこは静かにしておくのが習わしです。将来の平和を祈って、争いに関わった品物が捧げものとして捨て去られます。信者は平和主義者や暴力で苦しんだ者たちです。神官は大規模な教団を作らず遊歴します。エルダスの神官を害することはタブーであり、災いが降りかかると考えられています。その立場に依存せず、エルダスの神官は争いを無理に収めるよりは避けようとします。神官は平和的な交渉や調停には喜んで立ち会いますが、無理やり仲良くさせることはできないと理解しています。
       
  • [A05]チョーンティーア(Chauntea)(農業の女神)
    • 呼び名:“大いなる母”、“穀物の女神”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:生命
    • シンボル:穀物の上に咲く薔薇
    • 説明:地母神チョーンティーアは農業と牧畜、田園、揺り篭と炉端を司る女神です。田舎の人々に信仰され、悪でないの自然の神々と友好的です。彼女の領域である“大母の庭”は広大な農地です。この庭での作物の実りはその時のトリルの農業に反映されます。農業に関する格言やおとぎ話が多く伝わっています。再生を伴わぬ、破壊を目的とした破壊をチョーンティーアは許さず、そのような神々と敵対的です。
       チョーンティアは田園の多くで信仰されており、都市の中に信徒は少ないです。寺院と神官は村と密接に連携し、一緒に腕まくりして働きます。都市の住人も食事や出産のとき、暖炉にあたってくつろぐときにはチョーンティーアに感謝します。
       
  • [A07]デニーア(Deneir)(筆記の神)
    • 呼び名:“記憶と図像すべての王”、“筆頭書記官”、“オグマの書記”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:知識
    • シンボル:開いた眼の上に灯るロウソク
    • 説明:デニーアは文学と筆記の神です。芸術家と書記の守護神格です。正確な表現と描写、読み書き、情報伝達を司ります。知識の神オグマに仕える右腕だといわれます。彼は多元宇宙の全ての秘密を記した文書である“メタテキスト”を探索し、また既知の真実を全て大図書館への記録と管理に追われています。
       多くの人が手紙や何かの書きものをするとき、書き損じないようデニーアに祈ります。デニーアの信徒も書記や学者です。後世に伝えられない情報は消えたと同じだと考え、文書を探索し、読み書きを広めようとします。神官は書物の一説一句にデニーアが隠れている言います。彼らは手紙の代筆や情報の書きおこしを快く引き受けます。
       
  • [A06]マイリーキー(Mielikki)((森の女神)
    • 呼び名:“我らが森の貴婦人”、“森の女王”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:自然
    • シンボル:ユニコーンの頭部
    • 説明:マイリーキ―は森と森の生き物の女神です。ドルイドや森の妖精の守護者です。明るい森も、暗く血に飢えた森も含めたあらゆる森の良き住人を見守っています。森に住み、自然と調和した生き方をすべきだと教えます。そして森を傷つけるものに容赦をしません。マイリーキ―のシルヴァナスの娘で、エルダスの妹ですが、独自の道を歩んでいます。
       人々は森で迷子になったときの見つかるまでの子の守りをマイリーキ―に祈り、木こりは仕事の無事を祈ります。信徒の狩人やドルイドは大きな教会を作らずに分散して森や荒野を旅します。寺院は無く、森の空地や小さなほこらで祈りがささげられます。彼らは痛んだ森に植林して回復を助け、放火などの森を過剰に傷つける者と戦います。
       
  • [A08]ミストラ(Mystra)(魔法の女神)
    • 呼び名:“神秘の女王”、“呪文の女神”、“すべての魔法の母”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:知識、秘術$
    • シンボル:円なす7つの星など
    • 説明:魔法と可能性を司る女神です。フォーゴトン・レルム世界の魔法の基礎となる“織り”そのものです。とても親切でおせっかいな女神であり、様々なことがらに関わってきます。
       ミストラはこれまでに何回か代替わりしており、現在は3代目です。黎明の時代、光の女神セルーネイと闇の女神シャーの戦いによって世界が滅びそうになったときに誕生して魔法を“織り”として破滅的なことにならぬよう管理したのが初代の女神ミストリルです。
       3代目ミストラは1358DR年に発生した“災厄の時(すべての神々が互いに争いの末、地上に化身として現れた事件)”を解決した冒険者の一人で、魔術師ミッドナイトが引き継いで神位に昇った女神です(この時の仲間が騎士ケレンヴォーと盗賊シアリック)。1375DR年、ミストラは嘘の神シアリックに殺害され、“織り”はバラバラになって“呪文崩壊”の災害が発生しました。1487DR年に多くの人々の助けと犠牲によってミストラと“織り”は復活し“呪文崩壊”は収束し始めました(D&D5版の開始年は1389DR)。
       フェイルーンは魔法の強い世界であり、ミストラ信仰は世界中に広がっています。魔法の驚異を目にしたとき、人々はミストラへの祈りを捧げます。多くの魔法使いに信仰されているだけでなく、錬金術師や賢者、吟遊詩人もいます。
       
  • [A09]ミリル(Milil)(詩と歌の神)
    • 呼び名:“詩歌の王”、“歌手と吟遊詩人の守護者”、“全賢たるオグマの真実の片手”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:光
    • シンボル:葉で作られた5弦ハープ
    • 説明:ミリルは歌と詩、雄弁、創造性の神です。彼は音楽や歌詞などの一部だけでなく、曲全体や構想から完成までの過程を司ります。人生そのものが誕生から始まり、死で終わる歌のようなものと教えます。デニーアと同様に知識の神オグマに仕えているといわれています。芸術を司る神々と仲が良く、嘘の神シアリックとは険悪です。ミリルの意に沿う偉大な探索を行う者には、力や魔法の品を貸し与えると言われます。
       ミリルを信仰するのは主にバードや吟遊詩人などの芸人です。それ以外でも人を楽しませたり注目を集めるときには、ミリルに手短な祈りを捧げることが多いです。劇場などにはミリルを祀る場所が多いです。神官は演奏家であると同時に後援者でもあります。
       
  • [A10]ラサンダー(Lathander)(太陽と再生の神)
    • 呼び名:“朝の王”、“霊感の曙”、“薔薇と黄金の神”
    • 属性:中立にして善
    • 領域:生命、光
    • シンボル:地平線上の日の出に向かう道
    • 説明:春と誕生、始まりと復活を司る朝日の神です。それ以外にも活力や運動能力、自己完成、創造性など様々な権能を司っている強力な神です。多くの善の神々や中立の神々と友好的で、特にチョーンティーアは長年の恋人です。黎明の時代は、運命の女神タイキと恋人でしたが、彼女とは死に別れました。闇の女神シャーをはじめとする悪の神とは険悪です。
       旅に出るときや何かを始めるとき、誕生のとき、人々はラサンダーに祈ります。儀式や、公共事業の開始、結婚式を挙げるとき朝日を浴びてラサンダーの名を唱えます。このため商人などからの人気と献金額が高く、寺院は裕福です。ときにはケバケバしいにレベルに至っています。ラサンダー信徒は新たな共同体の設立や挑戦、文明の進歩を歓迎します。荒廃地を復興のために力を尽くし、悪を駆逐します。特にアンデッドを自然な死と生を穢す存在、次の段階へ進まず昔のままにしがみ付く存在として忌み嫌います。
       
  • [A11]スーニー(Sune)(愛と美の女神)
    • 呼び名:“炎の髪の女王”、“愛の貴婦人”、“情熱の姫”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:生命、光
    • シンボル:美しい赤毛女性の顔
    • 説明:“炎の髪もつ”スーニーは情熱と喜び、愛と美の女神です。慈悲深く、気まぐれな女神であり、彼女は多くの神々と浮名を流しました(関係は長続きしません)。破壊の神々を嫌っており、一方で海の女神アンバーリーからは妬まれています。スーニーは真実の愛がすべてに打ち勝つことや運命の出会い、叶わぬ恋、醜いものが美しいものへと変貌することを司ります。
       人々は美や心地よさを求めるときスーニーに祈ります。スーニーの神官は美を使命としており、自身を絶世の美男美女として演出できると自負しています。彼女らは美は人の中核から流れ出るものであり、美しいものも醜いものも、その本質を反映していると説きます。寺院は公衆浴場を兼ねており、大きな鏡付きの広間で人々はくつろぎます。一方で大都市の街角には小さなほこらがあり、そこには貧しい人々が用いる共用の鏡や化粧品が備えられています。
       
  • [A12]セルーネイ(Selûne)(月の女神)
    • 呼び名:“我らが銀の女王”、“月の乙女”、“夜の白き貴婦人”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:生命、知識、黄昏$
    • シンボル:2つの目を囲む7つの星
    • 説明:セルーネイは月の女神です。潮の満ち引きと、天を見て針路を定めること、母性と生命の源泉、狂気へのひと時の誘いをも司ります。人々は月をセルーネイ自身とみなし、この世界の月が跡に曳く光の塵を“セルーネイの涙”と呼びます。
       セルーネイは特に古い女神です。創世のころ、彼女とその双子である闇の女神シャーが混沌からこの世界を形作り、二人の女神はやがて世界の在りかたについて激しく戦いました。この関係は今も続いています。セルーネイは月や美、幸運、喜び、天気の神々を仲間とします。特にミスタラやタイモーラと縁が深いです。
       セルーネイは穏やかな力であるとされ、おおくの女性がこれを敬います。また、案内人や船乗り、夜に正直な仕事をするもの、暗闇の中の守りを求めるもの、悪でない獣人、迷い人、探索者が信仰します。儀式には瞑想やミルクを用いることが多く、満月の晩には一椀のミルクを家の外に置きます。 
       
  • [A13]タイモーラ(Tymora)(幸運の女神)
    • 呼び名:“幸運の貴婦人”、“微笑む女神”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:欺き
    • シンボル:コインの表の面
    • 説明:タイモーラは明るく陽気な幸運の女神です。幸運と技能、勝利と冒険を司ります。賭博者と遊戯者が祈りをささげ、女神は腕利きで度胸のある賭けごと師を愛し、危険を冒して運を好転させようとするものを見守ると言います。
       黎明の時代、運命の女神タイキが恋人ラサンダーとの喧嘩で飛び出した旅先で腐敗の神モーンダーに呪われました。彼女が家に戻ったとき、その内側から腐敗していました。友人の神々はタイキが助からぬことを察して悲しみながらタイキを滅ぼし、その破片から幸運の女神タイモーラと不運の女神ベシャバを救い出しました。この双子の女神は今でもことあるごとに争います。タイモーラはブランドバリスやエレヴァン・イルセア、“かがやく黄金の”ガールらと非公式のイタズラ同盟を組み、より真面目な神々をイラ立たせることがあります。
       人々はちょっとした幸運が必要なときにはタイモーラに呼びかけます。タイモーラの信徒はあらゆるところにいます。大胆不敵な貴族や冒険商人、夢見がちな農夫にならず者たちです。タイモーラの寺院は多くありませんが、博打場にはしばしば社が設けられており、そこに神官が住み着いて事実上の寺院になることもあります。
       
  • [A14]リーラ(Lliira)(喜びの女神)
    • 呼び名:“我らが楽しき女王”、“楽しみをもたらす者”、“享楽の女王”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:生命
    • シンボル:正三角形をなす3つの六芒星
    • 説明:皆に愛される喜びの女神リーラは安らぎや解放、楽しみ、幸せ、ダンスと自由を司ります。彼女は祭りの女神でもあり、あらゆる祭典で称えられます。暴力を嫌い、幸せにすることを良しとしています。彼女と詩歌の神ミリルはお祭り仲間で、商売の女神ワキーンとは親友です。“災厄の時代”にワキーンが神位を失っていた時、リーラは彼女の代わりを務めて神殿を助けました。利にさとい信者はその時にリーラ信仰に切り替えたため、ちょっと微妙な関係になりました。
       リーラ信徒は明るい色合いのものが一点以上含まれる服装を好みます。神官の衣服も厳粛さはなく、お祭り用の晴れ着のようです。ルビーやサファイヤを特に褒めたたえます。リーラ信徒は軽薄なわけでなく、楽しさとは女神が人々に与えた恩寵と考えます。他者を苦しめる輩に挑み、荒々しく戦います。そして戦いの後には楽しさを謳歌します。
       
  • [A15]ヴァルカー(Valkur)(北方の船乗りの神)
    • 呼び名:“大波の船長”、“つわもの(The Mighty)”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:嵐、戦
    • シンボル:雲と三条の稲妻
    • 説明:ヴァルカーは船乗りとその船、順風と海戦の神です。腹を抱えて陽気に笑い、怒ると雷鳴のようなひび割れ声を発します。気まぐれで予測しがたいものの船乗りを守ろうとします。ヴァルカーはしばしばオーロラや幽かな風として船を静まらせ、クジラやイルカ、海鳥を現わしてメッセージを伝えます。ヴァルカーは月の女神セルーネイや戦神テンパス、善の海神と仲が良く、また戦術の女神レッドナイトから海神の中で最もマシと評価されています。一方で“怒りの神々”と険悪で、特に海の女神アンバーリーは宿敵です。
       主に北方諸国の船乗りや漁民、裕福な商人まで海で生計を立てる海岸沿いの人々に敬意を払われます。信徒は船の生活と自然の爽快さを楽しみ、船や仲間を大切にします。多くのヴァルカー神官は船乗りとしても働きます。彼らは困難と不可能に挑戦することの重要性を説き、探求心が人々の範囲を広げてスリルを楽しむために必要なだと考えます。
       
  • [A16]アズース(Azuth)(ウイザードの神)
    • 呼び名:“高きもの”、“呪文学の王”、“初代マジスター”
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:知識、秘術$
    • シンボル:炎に縁取られた上向きの左手
    • 説明:知識と鍛錬をもって為すウィザードの魔術を司る神です。長時間の研究、発声と動作の定式化、インク汚れの付いた指を伴う魔法の専門家です。かつては人間の大魔術師であり、ローブを被った髭の老人、あるいは高さ6mの輝くピラミッドの姿で描かれます。1385DRに発生した呪文崩壊によってアズースは力を失い、アスモデウスによって神性を奪い取られ、九層地獄に捕えられていました。1486DRに多くの者の犠牲によって辛うじて神位を回復しました。
       アズース信徒の数は少なく、その多くはウィザードやモンクです。彼らは呪文書を書き写すときや巻物を書くとき、呪文の準備や唱えるとき、アズースに祈ります。アズースの神殿は少なく、ミストラ寺院の隅やウィザードの研究室に祭壇が置かれています。神官は街の魔法ギルドと協力し、魔術管理人となります。
       
  • [A17]ケレンヴォー(Kelemvor)(死者の神)
    • 呼び名:“死者の王”、“罪人を裁く者”
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:死、墓場$
    • シンボル:天秤を持った骸骨の腕
    • 説明:死と運命、旅を司る神です。フードを被った黒衣の騎士の姿で描かれます。死はあらゆるものに訪れ、そのときにケレンヴォーが訪れて手を差し伸べ、しかるべき来世に導きます。死は人生の自然な一部であり、それが理解されている限り恐れるべきでないと述べます。
       ケレンヴォーはかつて定命の騎士でした。1358DRに発生した“災厄の時”を解決した冒険者の一人であり、死者の軍勢を率いてシアリックを倒した結果として死の神となりました。ケレンヴォーは邪悪な死の神と険悪ですが、死者の記録神ジャーガルや様々な種族の死を司る神とは協力的です。
       ケレンヴォーの聖職者は死にゆく人を慰め、葬儀や抱えていた問題の解決を手伝います。個人の願いが叶うよう葬儀や埋葬を監督します。宗派により違いがありますが、ケレンヴォー信徒は死を人生の一部とみなし、虐殺と早すぎる死、疫病の蔓延を防ごうとします。アンデットを嫌悪しており、撲滅のために動きます。マーク―ル信徒や死霊術師とは対立しがちです。アンデッド化にまつわる文書を消滅させようとする点では、知識の神オグマの信徒と対立することがあります。
       
  • [A18]サヴラス(Savras)(占いと宿命の神)
    • 呼び名:“すべてを見通すもの”“第三の目”
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:知識
    • シンボル:水晶球の中の多様な瞳
    • 説明:占いと宿命、真実を司る神です。水晶の顔を持つ姿で描かれます。また定命の者が“神話的呪文”を使うことが無いよう監視し、対策を講じます。かつてアズースと競争し、彼の杖に捕えられていたことがあります。現在は役割を分担しつつ、より友好的な関係を築いています。
       サヴラスの信徒は少ないですが、人々がちょっとした占いをするときに名を呼んで祈りを捧げます。探検家や占い師、裁判官などの真実を見出そうとする人々が信仰し、辺境の地や図書館の片隅に潜んでいます。大きな寺院はありませんが、しばしば図書館や写字室、占い館の片隅に社があります。
       
  • [A19]ヘルム(Helm)(守護の神)
    • 呼び名:“見張るもの”、“眠らぬ目”、“油断なきもの”
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:生命、光、黄昏$
    • シンボル:上向きの左籠手に見開いた眼
    • 説明:油断なき警戒と保護、処罰を司る神です。衛兵や警備員、用心棒など何かを守る人々に信仰されてます。とても古い神であり、その重責を示すフルプレートとフルフェイス・ヘルメットで全身を覆い隠した戦士の姿で描かれます。善悪の区別なく眼前の仕事を遂行してきました(とはいえ、子供好きな神であり、子供たちの行う軽微な罪をしばしば許します)。人々は謙虚で心強い神としてこれらの特質を称賛してきました。
       1358DRに発生した“災厄の時”ですべての神々が地上に堕ちたとき、ヘルムのみは神位を保って“無限回廊”を守り、不正に神位に戻ろうとする神々を押し止めました。強引に突破しようとした魔法神の二代目ミストラはヘルムに殺害されました。この出来事によりヘルムは他から嫌われがちになりました。1384DRに嘘の神シアリックの策謀による神々の仲たがいで殺害されましたものの、細々とヘルムへの信仰は続いていました。1487DRの“第二次大分割”によってヘルムは蘇り、その信仰も回復しました。
       ヘルム信徒は常に用心を怠らず、注意深く敵に備えるよう説きます。彼らは油断なく明晰で、約束を守ろうと努めます。およそ親しみやすいと言い難い特徴であり、頑固で不人情だと思われがちです。ヘルムの寺院は堅牢な要塞であり、組織は軍事組織のようです。多くの大都市の傍には寺院や修道院があり、これらは訓練設備や牢獄を兼ねていることもあります。
       
  • [A20]ジャーガル(Jergal)(死者の筆記者)
    • 呼び名:“最後の筆記者”、“慈悲深きもの”、“冷たき執事”、“すべての終わりの主”
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:死、知識
    • シンボル:巻物を咥えた髑髏
    • 説明:ジャーガルはかってネザリル帝国(-3830~-339DR)の時代には数々の権能を司る強大な神として崇拝されていました。カマキリじみた異星人のような姿や、あるいは痩せたヒゲの老人で描かれます。長い時を経て自らの役目に飽いてきたころ、ジャーガルを滅ぼしてその力を奪おうという3人の定命の者が死者の国に現れました。ジャーガルは骨の玉座を譲り渡し、権能を分け与えました―ベインには不和を、マークールには死者の支配、ベハルには殺戮を。ジャーガルは地位を失い、死の記録をする神となりました。
       現代ではジャーガルは死者の記録をする超然的な神と見なされています。彼は人々の死にゆくさまを記録することで、死の神ケレンヴォーの仕事を手伝っているとされます。ジャーガルの名が唱えられることはめったになく、葬式のときに挙がるていどです。数少ない信徒は葬儀屋や墓守などの職に就く者です。寺院はありませんが、神官はケレンヴォーや筆記の神デニーア、死者の神マーク―ルなどの神殿で歓迎されます。
       
  • [A21]ホア(Hoar)(復讐と仇討ちの神、蕃神)
    • 呼び名:“罪科の執行者”“正義の詩人”、“三雷の主”
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:戦
    • シンボル:1つの首に2つの顔が描かれた硬貨
    • 説明:復讐と仇討ち、刑罰の神です。元々はメソポタミアに由来し、落星海周辺では復讐の神アシュランとも呼ばれます。礼服をまとった傷だらけの幽鬼のような姿で描かれ、稲妻と槍、剣を手にします。彼を信仰する者は賞金稼ぎや処刑人、復讐に駆られた者などわずかです。またギスヤンキの反逆者には彼を信仰する者が多くいます。復讐や処罰の際には彼の名が唱えられます。訴追を逃れた者が自らの過失で死んだとき、ホアの仕業とされ、また雷が三度続けて鳴るのはどこかで復讐が果たされたお告げだとされます。独自の考えに基づいて活動し、不運の神ベシャバや幸運の女神タイモーラと協力します。
       何かの仕返しをしたいものはホアに祈ります。ささやかな侮辱に対する短い仕返しの祈りもあれば、重大な不正義に対する復讐の祈祷文もあります。地中に埋めた石板や日記など長く残る形であると良く叶うとされます。信仰の中心であるチェセンタやアンサーを除けば寺院は多くありません。
       
  • [A22]レッド・ナイト(Red Knight)(戦略の女神)
    • 呼び名:“戦略の女王”、“深紅の将軍”、“ランスボードの名手”(※ランスボードはフェイルーンで行われるチェスっぽいゲーム)
    • 属性:秩序にして中立
    • 領域:戦
    • シンボル:両目に星を宿した騎士のコマ
    • 説明:計画と戦略を司る女神です。気まぐれを嫌い、戦いは優れた戦略と戦術によってのみ恒久的な勝利を得られるとします。必要ならば損害を覚悟しますが、冷酷ではありません。面倒見がよい女神で、良い冗談には笑いで応じるとされています。
       レッド・ナイト信徒は多くありませんが、軍の指揮官や補給官、教官や記録吏に多く、自らを称して“赤の信徒”と呼びます。1358DRの“災厄の時”にテシアで大きな戦果を挙げ、以降の様々な地域での軍略指導を行って、その実績と共に信仰を広げました。戦のあったところでレッドナイトの寺院が無い地域はありません。寺院の教えは戦訓が多く、「戦争全体と小戦闘の繋がり」や、「局地戦の敗北と戦略的敗北の異なり」、「戦時における平和への備えと平時における戦への備え」、「敵の敵から味方を得ること」などを教えます。寺院には訓練場が併設されています。訓練場は地域兵や傭兵団に貸し出され、これを教団は女神への捧げものと見なします。
       
  • [A23]オグマ(Oghma)(知識の神、蕃神)
    • 呼び名:“知識を束ねる者”“賢者”、“知識の王”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:知識
    • シンボル:白紙の巻物
    • 説明:知識の神であり、芸術と発明、ケルト由来の神々の長です。深い知識と知恵を持った温和な神で、知識の共有を重視し、音楽と演説にも優れていると言われます。多くの学者や歌い手、事務官、魔術師が信仰しています。フェイルーンの神々のみならず、ムルホランドのトト神、あるいはダグマレンやラベラス、シアロラリーといった各種族の知識の神々と友好的です。一方で欺きの神々の各々とは、牽制ていどから死力を尽くした戦いまで、やりあいます。
       オグマの信徒は可能な限り知識や読み書きを広めようとします。信徒や同盟神の教会で情報交換のネットワークを作り、知識と学問を保存しようとします。無数の本を備える図書館都市キャンドルキープは最も重要な拠点です。オグマ信徒は裏切りや欺き、無知をもたらす者に立ち向かいます。
       
  • [A24]ガンド(Gond)(職人の神)
    • 呼び名:“驚きをもたらす者”、“ひらめきの神”、“万物の聖なる発明者”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:知識、鍛冶$
    • シンボル:4本のスポークを持つ歯車
    • 説明:技術と発明、職人の神です。ノームにもよく信仰されており、彼らからはネアベルンと呼ばれます。鋳造ハンマーを手にした赤毛の鍛冶師やノーム職人の姿で現れます。ガンドは様々なカラクリ仕掛けや銃火器などをもたらしたと言われます。ガンドは技術や知識の神々と友好的です。特にオグマと縁が深いものの、革新を推し進めるあまり関係が悪化することがあります。
       多くの人々は何か作るときにはガンドに祈ります。ガンド信徒は職人として働く者が多いです。一方で神官は各地を放浪して困りごとを発明で解決し、奇人変人をかばいます。ガンドの寺院は技術研究所や展示場を兼ねており、内燃機関やカラクリ仕掛けが転がっています。かつてガンド信仰の最大拠点はカラクリ仕掛けが満ちたランタン島でしたが、呪文荒廃で姿を消しました。最近になって海域に復帰したものの島の様子は不明です。現在の最大拠点はバルダーズゲートにあります。
       
  • [A25]シルヴァナス(Silvanus)(荒ぶる自然の神)
    • 呼び名:“古き樫”“緑の父”、“オーク樹の父”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:自然
    • シンボル:オーク樹の葉
    • 説明:荒々しい自然と生命の循環を司ります。森や山岳、平原における生と死、氷と炎などの両面を表し、自然を司る神々の長である暗く厳しい父神と見なされます。ケルト神話に由来し、樹皮に覆われた髭の老人や、若々しい青年、枝角の怪人など様々な姿をとります。
       野生の土地を旅する者や狩人、ドルイドたちが信仰しています。また大都市などの保護から遠く離れた小村の住人などはしばしばシルヴァナスを崇めます。野生の自然が世界の真の姿で、世界に生命を与えると考えます。人工的な定住地が野生の土地に広がることを良しとせず、特に自然を荒らす者に毅然と対峙します。神官の中には密かに山賊や恐ろしい猛獣を解き放って定住地の拡大を妨害する者もいます。一方で都市の中に緑地を作り、メープルシロップやルートビアなどをふるまう者もいます。
       
  • [A26]テンパス(Tempus)(戦の神)
    • 呼び名:“敵を打つ槌”、“戦いの王”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:戦
    • シンボル:燃え上がる上向きの剣
    • 説明:軍神テンパスは戦いと力の神です。戦士と兵士の守護神であり、戦で勇敢に振る舞うことや、もめごとを言葉でなく武力で解決すること、流血の奨励を司ります。気まぐれな神で戦う両軍のどちらに与するかは日ごとに変わると言われます。フェイルーンは暴力に満ちた世界であり、戦いの神であるテンパスは最も強力な神の一柱です。テンパスはあらゆるものと戦うため、特定の神々の集団に属さない孤独な神です(一方で戦った神々とも互いに確執を残しません)。彼が神位に引き上げる手助けをしたレッド・ナイトと戦闘マシンを提供してくれるガンドのみと友好的です。
       多くに人々が戦いのときにはテンパスの名を呼びます。戦いに従事する者に最も多く信仰されているのがテンパスです。教義は「恐れるな」と「戦いから逃げるな」、「戦の法に従え」です。戦う意志ある者すべてに武具を与える一方、戦えないものを殺傷する者を罪人とします。戦歴ある者のほぼ全てがテンパス神官の戦友がいる一方、同じくらいテンパス神官を敵にしたことがあります。テンパスはあらゆる戦いで両軍に信徒がいるため、テンパス教会にはどちらかを支援する中央権威はありません。個々の寺院には明確な指揮系統が存在し、その構造は軍事要塞となっており、兵舎や食堂、武器庫に訓練場が備えられています。
       
  • [A27]ワキーン(Waukeen)(交易の女神)
    • 呼び名:“黄金の女神”、“貨幣の乙女”“商人の友”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:欺き、知識
    • シンボル:左向きの女神の顔を描いたコイン
    • 説明:交易と商売の女神で多くの商人たちに信仰されています。取引ならば、合法でも違法でもお構いなしです。やたらに活発な女神であり、その影響か神官も様々な事柄に飛び込んで商売にすべく悪戦苦闘します。ワキーンは多くの神々と友好的で特にリーラと仲が良いです。“災厄の時”に地上に堕ちたとき、ワキーンはリーラを伴って手早く神位に戻ろうと守護の神ヘルムを買収しようとして失敗、グレイホーク世界からの侵入を超越神エイオーに阻まれ、一人でアビス経由での移動を試みて暗黒の公子グラズドに捕獲されてしまいました。最終的に脱出できたものの、この間にワキーン神殿を補助したリーラに信仰を移した信者がおり、友情にちょっとしたヒビが入りました。
       ワキーンの熱心な信徒には小売商から大商人、隊商の案内人、行商人、密輸人など様々です。交易と金の流れを盛んにするあらゆる事柄…新しい交易路や発明、流行服のうち移り変わり…に心を惹かれます。おおかた欲ばりですが、守銭奴というよりは気前よく金を使うこと者が多いです。信徒は交易の独占を図る者や交易を妨害する者と対立します。ワキーンの寺院は交易ギルドの会館のようであり、共同出資の会合場所となります。
       
  • [A28]アカディー(Akadi)(風の女神)
    • 呼び名:“風の貴婦人”、“大気の女王”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:嵐
    • シンボル:雲
    • 説明:アカディは風と空気、速度、飛行生物の元素の女神です。ささやくような風と荒れ狂う嵐の両方であり、時には甘く暖かく・時には苦く冷たく、季節と共に変化します。雲の中に消えゆく大きな翼をもつ透きとおった女性として描かれます。自由と旅を司り、信徒に可能な限り異なる場所へ移動し続けて活動するよう促します。アカディは地の神グラムバーと仲が悪いです。
       アカディの信徒はまれで数が少なく、それぞれが求める夢や興味を探求して世界を放浪しています。神官は風にお香を流して雨や風の変化を祈ります。アカディ信徒を足枷で捕えたり、投獄することは罪悪だと考えられています。アカディの寺院は殆どなく、そして荒廃した廃墟のようなありさまです。彼らは年に一度、集まって祈りを捧げます。
       
  • [A29]イスティーシア(Istishia)(水の神)
    • 呼び名:“水の主”、“水の精霊王”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:嵐
    • シンボル:波
    • 説明:イスティーシアは水の元素と浄化を司る元素神です。海や川などの特定の状態ではなく、水の本質と変化性を象徴しています。生命に必要な環境を与える神と考えられています。海や水辺、天候に関わる神々とは友好的で、火の神コスースとは敵対的です。
       イスティーシアは人から理解しがたい冷たく移り気な神であり、信徒は多くありません。船乗りや海賊、水の精霊やジェナシ、一部の水棲エルフなど、水の予測しがたい圧倒的な力に関わる人々に信仰されています。一方でカリムシャンなどの砂漠や荒野では貴重な水を司る神として崇められます。そのような地域のイスティーシア神殿は階段井戸や揚水ポンプなどを備え、都市の水源となっています。
       
  • [A30]グラムバー(Grumbar)(地の神)
    • 呼び名:“大地の王”、“古きもの”、“土の元素霊の親分”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:知識
    • シンボル:山
    • 説明:地のエレメンタルを具象化した神です。フェイルーンで崇拝されている4つの元素神の一柱です。静かで毅然としており、大地を守護し、変化を抑えます。また秘密の知識の重みを担い、大地で発見される莫大な富を守ります。善神と悪神の両方を含む幅広い大地の神々と友好的な一方で、風の女神アカディーを軽薄だと嫌っています。
       グランバーの信仰はあまり一般的ではありません。しかし、“世界の背骨山脈”などの様々な山脈に寺院やほこらが存在します。また遊牧民の間では良い牧草や群れの成長、病気からの保護を与える祝福の源と考えられています。
       
  • [A31]コスース(Kossuth)(火の神)
    • 呼び名:“炎の王”、“炎の中の暴君”
    • 属性:真なる中立
    • 領域:光
    • シンボル:炎
    • 説明:コスースは炎と、炎を通じた浄化を司る元素神です。炎を司る他の元素大公やイフリート王と激しく争い、水の神イスティーシアとも敵対します。-150DRのナーフェル帝国のデーモン軍勢のローマンサーへの侵攻の際、召喚されたコスースが周辺を焼き払って多大な犠牲を代償にデーモン軍を撃退しました。801DRの巨大タコ怪獣の上陸や、1357DRのサーイで起きた“サラマンダー戦争”のときにも招請によって顕現し、激烈な破壊によって結果的に惨事を最小限に抑えたと伝えられます。
       元素神の中でコスースは例外的に多くの信徒がいます。信徒には善人も悪人もおり、教会は土地や権力、富の獲得を求めて激しく活動します。コスース信徒には3つの派閥が存在します―浄化と再生の側面を重視した“フェニックス門派”と破壊を重視する“サラマンダー門派”、バランスと両者を仲介する“浄化する炎の兄弟姉妹団”です。それぞれがカルト活動部隊や騎士団を抱えています。サーイでの信仰が盛んで“エルタバールの火鉢”は最大級の神殿です。多くのレッド・ウィザードが信仰しています。
       
  • [A32]エイオー(Ao)(超越神)
    • 呼び名:“超越神”、“隠された者”、“監視者”
    • 属性:――
    • 領域:――
    • シンボル:――
    • 説明:エイオーはアイビアートリル世界(≒フォーゴトン・レルム)の超越神であり、レルム世界のバランスの具現化です。多くの神々のレルム世界への影響力はエイオーの支配を受けます。神々が自らの役目を果たしているかを監視しています。レルム世界の創世より古い神ですが、エイオーの存在を知る者は限られています。彼は“運命の銘板(Tablets of Fate)”を管理しており、この神器はアイビアとトリルの分離や秩序と混沌のバランスを保ち、神々の名と権能を記録しています。1358DR、神々が争いの末に運命の銘板を盗み出して世界を混乱させたため、罰として神々を地上に堕とす“災厄の時”を起しました。銘板を取り戻した後、運命の銘板を解体しました。その後1847DR、呪文崩壊を収めるために再び銘板を再構築しました。
       エイオーを信仰する者はおらず、信仰しても力を授かることはありません。あるときエイオーを信仰する結社が現れましたが、これは嘘の神シアリックによる偽装カルトでした。
       
  • [A33]マスク(Mask)(盗賊の神)
    • 呼び名:“影の王”、“すべての盗賊の主”、“黒の心臓”
    • 属性:混沌にして中立
    • 領域:欺き
    • シンボル:黒い仮面
    • 説明:影と盗み、欺きを司る孤独な神です。やくざ者や盗賊、スパイの守護神です。マスクの力は影の中で起きるすべてのものごとに及んでします。黒い仮面と短剣を着けた盗賊の姿で描かれますが、剣などの様々な姿に変じます。絶え間ない陰謀と冷静な頭脳を備え、しばしば辛辣なコメントを発します。光や知識、商売、秩序を司る様々な神々と対立しています。
       人々は他の者に気づかれたくないことがあるとき、あるいは盗みに逢いたくないときマスクに祈ります。マスク信徒の多くはやくざ者や盗賊、物乞いであり、神官は地元の裏社会の顔役を務めていることが多いです。彼らは神事では仮面を身に付けます。マスクの神殿は地域の犯罪組織として自律的に活動し、ネットワークを張りまぐらします。小さな社は多くの町にありますが、本格的な神殿は法の行き届かないような都市に存在します。注意深く隠されており、しばしば盗賊ギルドと地下通路で繋がっています。
       
  • [A34]レアラ(Leira)(幻の女神)
    • 呼び名:“霧の貴婦人”、“霧影”、“欺きの女王”
    • 属性:混沌にして中立
    • 領域:欺き
    • シンボル:下向きの三角形内に渦巻く霧
    • 説明:レアラは幻と欺きを司る、嘘つきと幻術師の守護女神です。姿を変えて混乱を巻き起こすのが大好きで、別の神に成りすますのも得意です。悪意はないものの得体のしれない引っ込み思案の女神だと思われています。何度も死んだと思われたことがあり、直近ではシアリックに殺されていたはずが、シアリックの娘ということで復活していました。幻の女神と嘘の神のやることなので何が真実か分かりません。
       人々は何かを隠したいときにや、あるいは騙されそうな不安に駆られたときレアラに祈ります。レアラ信徒は見かけませんが、彼女らは自分の信仰を明かさないので実際のところは不明です。神事にはのっぺらぼうの仮面をつけ、白と薄紫の式服をまといます。レアラの寺院は霧の島ニンブロール以外で確認されていません。小さな社はどこにでもありますが、大抵は他の設備に偽装されて信徒のみが分かる目印が付いています。
       
  • NEW! [A35]アスモデウス(Asmodeus)(悪魔と免罪の神)
    • 呼び名:“第九階層の王”、“九層地獄の最高支配者”、“蹄持つ悪魔”、“古き蹄と角”
    • 属性:秩序にして悪
    • 領域:欺き、知識、規律$
    • シンボル:3つの逆三角形
    • 説明:アスモデウスは免罪と仰圧、権力を司ります。地獄のすべてと全デヴィルを支配し、善の神々への陰謀を張り巡らせ、奈落のデーモンとの戦争を推し進めます。2本の角と赤い目、優雅なローブをまとい、赤いルビーの錫杖を手にしています。100年ほど前に予言の神サヴラスを捕えることで神位を得ましたが、それ以前から多くの神々を超える力を持っています。アスモデウスの来歴については様々な説があります。ある説によれば、奈落のデーモンとの戦いを指揮する天使が混沌との戦いのために、人々の魂を手に入れる契約を得て地獄に堕ちたといいます。神としての彼は法と契約を司ると共に罪を犯した者を許し、それを償う方法を示します。
       悪魔としてのアスモデウスには多くのカルト員がおり、社会の上流に食い込んでいます。一方で神として信じる者は多くありません。とはいえ何らかの罪を犯したと感じたときに、許しを求めて祈りを捧げる風習は広がりつつあります。アスモデウスの神官は罪を犯した者や利益を求める者に、その願いを叶えられると囁きます。誘いに乗った者は死後に代価を支払うことになります。
       
  • NEW! [A36]ベイン(Bane)(専制の神)
    • 呼び名:“黒き手”、“闇の王”
    • 属性:秩序にして悪
    • 領域:戦、規律$
    • シンボル:指を揃えた上向きの黒い右手
    • 説明:専制と恐怖、憎しみを司る神です。独裁者による支配を理想の状態とし、それが成せぬ弱者は権力の座から追われるべきだと教えます。彼の目標はフェイルーン全土の征服であり、究極的には全宇宙の支配です。彼の教えが広がるところ、独裁と侵略が頻発し、奴隷制度が広まります。はるか昔に定命の人間だった彼は仲間と共に死の大神ジャーガルに挑戦し、憎しみの権能を受け継ぎました。以来、神々の間で同盟と敵対を繰り返して争い続けてきました。1358DRにはマーク―ルと共に超越神エイオーから“運命の銘板”を盗み出して“災厄の時”を引き起こしました。
       彼を信仰するのは野心と闘志、荒野に法をもたらそうとするものです。ベインの名の下に行われた凶行は数知れませんが、一方で堕落を一掃し、略奪者を殺して称えられてきました。ベイン教会は質実剛健な気風で過ごし、祝祭日には奉仕や敵対的な相手の殺害を持って感謝を示します。寺院は兵力を備えて征服を推し進め、敗北者を奴隷とします。
       
  • NEW! [A37]ローヴィエータ―(Loviatar)(苦痛の女神)
    • 呼び名:“苦痛の乙女”、“咎鞭の女王”、“意志持つ鞭”
    • 属性:秩序にして悪
    • 領域:死
    • シンボル:先端が9つに分かれたトゲ付き鞭
    • 説明:ローヴィエータ―は苦痛の女神です。棘付きの黒い皮服を身に付けた優雅な女性として描かれます。苦痛は肉体的および精神的なものの両方を含み、ローヴィエータ―は苦痛の女王であると同時に下僕でもあります。傷害と拷問の達人ですが、痛みは手段でなく痛みこそが目的であるとします。ローヴィエータ―はベインと協力関係にあります。
       ローヴィエータ―の寺院は少なく、公然と存在するのは奴隷制が定着している地域のみです。しかし信徒の数は意外と多いです。拷問吏や相手の意思をくじくために苦痛を用いる者はローヴィエーターを密かに信仰します。サディストとマゾヒストの両者がこの女神を好みます。神官はムチ打ちの苦行に励むことで悪名高く、苦痛を与える力と耐える力のどちらも力に通じると教えます。ローヴィエータ―のカルトが密かに奴隷取引に関わっていることもあります。
       
  • NEW! [A38]オーリル(Auril)(冬の女神)
    • 呼び名:“凍てつく乙女”、“冷たき接吻の女王”、“氷の夜明け”
    • 属性:中立にして悪
    • 領域:自然、嵐
    • シンボル:六角形の雪の結晶
    • 説明:オーリルは冬と寒さの女神です。冬の残酷さと恐ろしい側面を体現しており、致命的なまでの冷たい美しさと氷の心を持っています。青い氷雪の身体に白い髪をなびかせる女性の姿のほか、様々な姿をとると伝えられます。傲慢で虚栄心が強く、愛を知りませんが美を尊重します。美しいものを魔法の氷で凍らせて時の荒廃から守って鑑賞します。彼女は世界の全てを氷と雪で覆うことを目指します。
       冬が厳しい土地ではオーリルは崇拝されており、祈りと捧げものをして慈悲を乞います。オーリルは恐れから敬われ、好んでいるものは多くありません。神官は冬への備えと、女神への捧げものを蓄えるよう警告します。信仰ゆえに追放され、孤独で禁欲的な生活を送る者も多いです。信徒が挑むオーリル崇拝の儀式は凍てついた野外で行われる痛々しいもので、勝者は英雄と見なされて冬のあいだ飲み食いがタダです。
       
  • NEW! [A39]シャー(Shar)(闇と喪失の女神)
    • 呼び名:“夜の女主人”、“闇の貴婦人”、“喪失の女神”
    • 属性:中立にして悪
    • 領域:欺き、死
    • シンボル:縁取られた黒い円
    • 説明:闇と夜、秘密、忘却、復讐の女神です。物理的な暗闇だけでなく、心の闇をもつかさどります。隠された苦痛や恨みを闇の中で育みます。光の女神セルーネイの双子であり、二人でレルム世界を創造してから永遠に争い続けています。シャーは全てを崩壊させ空虚に戻すことを望みます。
       1375DRにシアリックを煽ってミストラを殺害させ、“呪文荒廃”を発生させました。その後、現世に復帰させたネザリル帝国を使役し、魔法の権能を奪って世界を変貌しようとしました。これらの企みは1487DRに賢者エルミンスターを始めとするフェイルーン中の多くの人々の働きによって打ち破られました。
       シャーは苦痛を忘れさせ、喪失に慣れさせるといわれます。悩み苦しむ者はシャーに祈ります。無くし物をしたときに祈ることもあります。憂鬱と絶望に陥った者、悩み苦しむ者、暗闇に踏み込まなばならぬ鉱夫、地底種族や異形などが信仰します。しばしば犯罪や災害に関わるため、シャー信仰は多くの地では禁止されています。神官は秘密裏に活動し、反乱を企てようとします。
       
  • NEW! [A40]ベハル(Bhaal)(殺戮の神)
    • 呼び名:“殺戮の王”、“恐怖の主”
    • 属性:中立にして悪
    • 領域:死
    • シンボル:髑髏を囲む血痕
    • 説明:殺人と暴力を司る神です。死に飢えた奥底まで邪悪で破壊的な神格です。はるか昔には定命の者であり、死の大神ジャーガルに挑んで神となりました。1358DRの“災厄の時”でシアリックに殺害された際、自身の力を分け与えた化身“ベハルの落とし子”をまき散らして各地で災害を引き起こしました。死した落とし子から回収した力で神として復活しました。
       普通の人々はベハルに祈りを捧げません。人を殺したいときにベハルに祈る者もいます。理由があって殺人を犯さざるを得ないときにも祈りを捧げられますが、信者のほとんどは殺人狂や暗殺者です。その神殿は犠牲者の血と髑髏で飾り立てられます。
       
  • NEW! [A41]マークール(Myrkul)(死の神)
    • 呼び名:“骨の王”、“古き髑髏の王”、“命刈り取る者”
    • 属性:中立にして悪
    • 領域:死 (黄昏$もあっていいのでは?)
    • シンボル:人の白い髑髏
    • 説明:マーク―ルは死と腐敗、老い、消耗、夕暮れ、秋の神です。マーク―ルは終わりと絶望を司ります。ケレンヴォーに裁きを受けさせるため、より多くの人々の生命を刈り取って引き渡すと言われます。人々は恐怖と死、悪夢の象徴として恐れ、老いの苦痛の原因だと非難します。はるか昔にジャーガルに挑んだ3人の一人で、死者の支配を受け継ぎました。1358DRに殺害されましたが、“死”そのものであるマーク―ルは滅びずに復活しました。
       マーク―ルを崇める者は少ないものの、葬儀では名が唱えられます。信仰するのは気難し屋や人間嫌い、死と亡者に取り憑かれた人々です。葬儀屋や墓守として働く者が多く、普通は信仰する神を秘密にします。彼らは死者の幸福を大切にし、葬儀や埋葬、遺言の遂行を手助けします。また衰弱して死を恐れる者に、それが避けられぬことだと説き、楽に死ねるよう力を尽くします。マーク―ルの神殿は広大な地下墓所や納骨堂であり、地上には質素なほこら程度のものしかありません。最奥の玉座には“死の番人”が安置されています。墓所にはしばしば永遠に眠らせておきたい死体が運び込まれます。
       
  • NEW! [A42]アンバーリー(Umberlee)(海の女神)
    • 呼び名:“あばずれ女王”、“深みの女王”、“波の母”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:嵐
    • シンボル:左右にうねる波
    • 説明:アンバーリーは荒々しい海の女神です。荒っぽくて貪欲、気まぐれで虚栄心の強い女神として知られます。気に喰わない者を溺死させ、船を破壊してサメの餌にします。敬意や捧げものが足らなかった人々を大波や嵐、怪物でヒドイ目に合わせた逸話がたくさんあります。一方で褒めたたえる者には寛大だと言われます。自然の神々や破壊の神々との繋がりが深いものの、自身に都合の悪い約束は平然と破ります。
       船乗りや海辺に暮らす人々はアンバーリーを恐れて信仰します。海辺の者はアンバーリーをなだめ、好意を得るためにしばしば祭りを行います。船乗りの海の仕事唄にアンバーリーを称えるものが幾つもあります。教会は組織の体をなしていませんが、多くの港町や漁村には社があります。人々はここに花やアメ玉を捧げます。神官は海の危険さを表すサメ歯や人骨、水死人の手を身に付けて海辺を徘徊します。彼らは航海の失敗を警告し、それを避けるため船にタダ乗りさせろと要求します。
       
  • NEW! [A43]シアリック(Cyric)(嘘の神)
    • 呼び名:“嘘の王”、“闇の太陽”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:欺き
    • シンボル:黒か紫の日輪の中央に顎のない髑髏
    • 説明:シアリックは嘘と狂気、策略、争いの神です。かつては定命の盗賊剣士であり、1358DRの“災厄の時”において、多くの神を殺害して神となりました。その後も陰謀と争いを繰り返し、人や神々を殺し続けました。1385DRには魔法の女神ミストラを殺害することで“呪文荒廃”を引き起こし、世界に大きな被害を与えました。
       人々がシアリックに祈るのは何か悪いことをしたいが、それを知られたくないときです。信仰が大っぴらに認められるのはオーム―などの数少ない地域のみで、他では密かに信仰します。信徒は詐欺師やサディスト、力に狂った陰謀家、それより悪い連中です。信徒は陰謀の被害者に対して「騙される奴が悪い」と考えます。シアリック教会はしばしば他の神や偽の信仰対象を騙った偽装カルトを設立して影響力を広げます。
       
  • NEW! [A44]ターロス(Talos)(嵐の神)
    • 呼び名:“嵐の王”、“破壊者”、“怒れる者”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:嵐
    • シンボル:1点から伸びる3本の稲妻
    • 説明:ターロスは嵐と山火事、地震に竜巻、突然に襲い掛かる破壊の神です。その姿は肩幅の広くてあご髭を生やした若い男の姿で描かれます。片目であり、一方の目には黒い眼帯をしています。三つの杖を手にし、それぞれ災害を引き起こします。彼は力の限り破壊を広めるよう命じます。ターロスは破壊と自然の厳しさを体現した神々の集団“怒りの神々”の頭目です(他にアンバーリーやオーリル、マラーなど)。
       ターロスはよく知られた神ですが、人々がその名を唱えるのは恐ろしいできごとへの感嘆としてです。信徒には破壊と襲撃、略奪、強盗を糧とするものが多くいます。彼らは「物事はデタラメの繰り返しだから、やる気のあるやつは手に掴めるだけのものを掴め」と考えます。多くのターロスの神官は黒い眼帯を着けて(両目が見えていても)います。彼らは旅をして不吉の預言と災害の警告をし、守りの祝福を授けて寄進を得ます。
       
  • NEW! [A45]タロウナ(Talona)(病と毒の女神)
    • 呼び名:“毒の女王”、“病気の女王”、“疫病の老婆”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:三角形の中に3つの涙滴
    • シンボル:死
    • 説明:タロウナは毒と病気の女神です。ちょっとした体調不良から作物の不作、井戸水の汚染、疫病まですべてタロウナのもたらすものとされます。タロウナは痩せさらばえた老婆の姿で、杯か水瓶を持った姿で描かれます。この器にあらゆる毒と病が満たされているとされます。時には顔に傷と刺青のある女、魅力的な踊り手、優しい口元、美しく無邪気な女性として描かれることもあります。
       多くの人々が病や不調に苦しむときタロウナに祈り、憐れみを乞います。様々な祈りが知られているほか、悪くなった井戸や病人の家、毒の容器にはタロウナの印が描かれます。タロウナの寺院は殆どなく、小さな社がある程度です。教会組織も存在せず、わずかな信徒はかっての疫病での生存者がほとんどです。神官はぼろぼろのローブを着て放浪します。新たな病気や苦痛を探索し、さまざまな毒や解毒剤、薬を販売し、タロウナの評判を良くしようとします。多くの神官は予防接種と魔法の両方で病に備え、人々を治療し、遺体を埋葬します。一方で最悪の使徒は疫病と腐敗を広め、広い地域に苦しみをもたらします。
       
  • NEW! [A46]ベシャバ(Beshaba)(不運の女神)
    • 呼び名:“不幸の乙女”、“凶運の女王”、“黒馬に乗る者”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:欺き
    • シンボル:黒い枝角
    • 説明:ベシャバは不運と不幸、事故の女神です。黒いドレスで目に狂気を宿した細身の美しい乙女として描かれます。冷酷で気まぐれな女神であり、その注意を引きつけぬよう、ご機嫌を取るべき存在と見なされています。運命の女神タイキから分かれた双子の女神の一人です。片割れである幸運の女神タイモーラと仲が悪く、ことあるごとに争います。
       人々はちょっとした不運なできごとから致命的な惨事まで、不幸があるとベシャバの名を唱えます。幸運の到来よりも不運だけは避けたい状況で見逃して貰おうと祈ります。また、聖印を模した親指を曲げて残りの指を伸ばす「枝角の仕草」は頭の高さに掲げると挨拶になりますが、人に向けると不運の呪いになります。あらゆる式典において、ベシャバの機嫌を損ねぬよう祈りに名が加えられます。神殿は滅多にありませんが、惨事のあったところには祠が建てられます。神官は立て続けの不幸に見舞われた者が多く、不運を警告する者もいれば他人に不幸を分け与えようとする者もいます。人々から歓迎はされませんが、丁重には扱われます。
       
  • NEW! [A47]マラー(Malar)(狩の神)
    • 呼び名:“獣の王”、“黒き血の流れる者”、“血塗れ神”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:自然
    • シンボル:爪を伸ばした獣の足
    • 説明:マラーは狩りと追跡、殺戮、獣の蛮性の神です。血に塗れた黒い毛皮の獣や、毛皮を身に纏った狩人の姿で描かれます。自然の暗く血生臭い側面を表しますが、自然と摂理と捕食者の優雅さも司ります。ドルイドからは自然神の一柱として敬意を受けていますが、マラー自身は彼らや他の自然神が守ろうとする自然のバランスを軽蔑し、力ある者が奪うのは当然と考えています。
       マラーへの祈りは神に狩猟の腕を借りるためや、他の肉食獣を遠ざけるために行われます。狩りを楽しむ者や流血をためらわぬ者、獲物の恐怖に舌なめずりする者が信仰します。マラーの信仰は禁止されている国が多いものの、信者は各地にいます。ドルイドや狩人、蛮族のほか、獣人の多くがマラーを信仰し、狩の群れを形成します。彼らは地域集団によっては様々な祭りを行います。祭りには荒野で狩った獣の肉を人々に振舞う“鹿の饗宴”や、あらかじめ“得物”として決めた人物を夜明けまでに狩れるかを競う“ワイルド・ハント”などがあります。
       

  ◆

 

ヒューマン以外の種族神

  • [B01]モラディン(Moradin)(ドワーフと鍛冶の神)
    • 呼び名:“魂の鍛冶”、“ドワーフの父”、“万物の父”、“創造主”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:知識、鍛冶$
    • シンボル:槌と金床
    • モラディンはドワーフの守護神であり、鍛冶、金属細工、建築、戦を司ります。ドワーフの神々の長であり、その神殿には他のドワーフの神々も併せて祀られています。最初のドワーフはモラディンが鍛冶場で造り上げたと言われています。
       モラディン信徒はドワーフの社会と伝統を守り、竜、巨人、ゴブリンといった宿敵から新しい鉱山を守備します。また、素晴らしい秘宝を作り上げることを目指します。
    • モルンディンサマン(ドワーフの神々):
      • “銀髭”クランゲディン(戦の神);秩序にして善;戦;交差する銀の戦斧;“戦の父”は戦士の守り神であり、勇ましい上に戦略に長けています。積極的な攻勢が得意です。
      • ゴーム・ガルシン(警戒の神);秩序にして善;戦;顔半分を覆う青銅の仮面;“黄金の守護者”は警戒と防衛を司ります。戦場を見守り、罠や防衛機構を仕掛けます。
      • シャリンドラー(癒しの女神);秩序にして善;生命;赤熱した針;“慈悲の貴婦人”は癒しと慈悲を司る女神として有名です。若いドワーフの間ではロマンスと愛の女神として密かに信仰されています。慈悲と癒しを妨げる対立を嫌い、アバソーやドゥエルガル神、他種族の神々と協力することもあります。
      • “輝くマント”ダグマレン(発見の神);秩序にして善;知識;開かれた書物;“目に宿る輝き”は学術と思索、有用性を問わない知識の収集、発明を司ります。
      • “真なる銀”ベアオナー(炉端と家庭の女神);秩序にして善;生命、光;絡みあう2つの銀の指輪;“家と炉端の母神”は家族と名誉、秩序の守り神で、結婚や、氏族運営の規則を定めます。
      • マーサモア・ドゥーイン(放浪者の神);中立にして善;欺き、自然;上向きメイスの後ろに長靴;“放浪者を見守る者”は氏族を離れた旅人の守護者です。旅の情報拠点や、非ドワーフ都市での代表にもなります。
      • “輝く斧”ヘーラ(武運の女神);混沌にして善;戦;螺旋の炎が絡む上向きの剣;“戦姫”は戦いと幸運を司り、熱狂的でリスキーな戦いとスリルを好みます。
      • ヴァーガダイン(幸運と富の神);真なる中立;欺き;ドワーフ顔の浮彫り金貨;“商人王”は富と商売、策略、交渉、幸運を司る神です。非合法な手口を監視する一方、柔軟で取引での妙技を称えます。
      • ドゥマイソン(埋もれた秘密の神);真なる中立;知識、墓場$;山形の中央に宝石;“沈黙の守り手”は採鉱と地下探検を司ります。山への敬意と、暴君や地底怪物からの守りも大切にします。
      • ハンセアス(酒とバカ騒ぎの神);混沌にして中立;欺き、戦;ビールのジョッキ;“ひげづら”は酒と祭り、歌など陽気さを表します。信徒の狂戦士部隊は他から独立して動きます。
      • アバソー(欲望の神);中立にして悪;欺き;宝石付きの下向きダガー;説明。“強欲の大神”は強欲を司り、盗みや近道を唆します。ドワーフ神の中で珍しい変化を推し進める神であり、それが彼らに強さをもたらしている側面もあります。
    • ドゥエルガルの神々:ドゥエルガルは、マインドフレイヤーに囚われて長い奴隷生活で変化をしたドワーフの末裔です。頑健さと功業技術は持っているものの、芸術を失っています。苦行的な奴隷労働を当然とし、サイオニック能力を操ります。
      • ラドゥグエル(ドゥエルガルの魔法と奴隷の神);秩序にして悪;死、鍛冶$;折れた矢;“冷徹なる者”はドェルガルの主神です。重労働社会を構築し、敵対種族からの防衛と奴隷狩りを推し進めます。
      • “深き”ドゥエラ(ドゥエルガルのサイオニックの女神);秩序にして悪;戦、知識;マインドフレイヤーの髑髏;征服と拡大、サイオニック能力を司り、武器庫や訓練場を管理します。
         
  • [B02]ヤンダーラ(Yondalla)(ハーフリングの女神)
    • 呼び名:“祝せられたるもの”、“育む女家長”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:生命、黄昏$
    • シンボル:穀物の描かれた盾
    • ヤンダーラはハーフリングの守護女神であり、調和と守護、幸福を司ります。世界の黎明のころ、ヤンダーラは苦しい生活をしていたハーフリングを見出し、己の民として守り育てたといいます。ハーフリングにとって、ヤンダーラの与える幸運が彼らの足取りの軽さと陽気さの源です。
       多くのハーフリングは郊外の小さな家や穴倉が寄り集まった村で田園生活をしていますが、定住せずに隊商で旅暮らしをしている集団や、都市にハーフリング街を形成している者たちもいます。ヤンダーラ神殿は珍しく、隠されています。まるで巣穴のように設計され、いざというときの武具と食料が保管されています。ヤンダーラへの祈りは控えめな言葉が多く、その儀式は楽しいものです。
       ヤンダーラ信徒はハーフリングの調和と安全を守り、探索では新しい土地を探索、隊商ルートを開拓します。
    • ヤンダーラの子ら(ハーフリングの神々):それぞれ元は定命のハーフリングでしたが、ヤンダーラに見いだされて神となりました。ハーフリングは神々を、自らの家族の一員かのように語ります。
      • アーヴォリーン(警戒と戦の神);秩にして善;戦;交差した2本の短剣;勇敢さと、俊敏な戦いを司ります。戦うべき時ときの心構えと、小柄さと俊敏さを生かした戦術を伝えます。
      • シアロラリー(炉端と家の女神);秩序にして善;生命;開いた扉;“囲炉裏の番人”は炉端と家、歓待を司る女神です。寛大さと信頼の大切さを説き、日々の生活を守り助けます。
      • ウロガラン(大地と死の神);秩序にして中立;死、知識、墓場$;犬頭のシルエット;“そう在るべきもの”は黒い猟犬を連れ、灯りを手にした死出の魂の旅路を守護する神です。現世の人々と死後の魂との繋がりを説きます。
      • シーラ・ペアリロイル(農業と天候の女神);真なる中立;嵐、自然;花;“緑の姉妹”は自然と歌、踊り、農業を司る女神です。ハーフリングは村の畑や花に女神への挨拶をします。
      • チャーマレイン(鋭敏さと幸運の女神);真なる中立;欺き;燃えるブーツの跡;“幸運な幽霊”は鋭敏さと幸運を司る女神です。野外や危険な旅をする者を守護し、危険を知らせます。
      • ブランドバリス(盗みと冒険の神);真なる中立;欺き;ハーフリングの足跡;別項で説明。
      • ダラー・ソーン(秘密と応報の女神、秘神);混沌にして中立;欺き*、黄昏$;コインの描かれた黒い盾;“秘密の女王”はヤンダーラの影の相です。別の神話でヤンダーラは他の種族から長所を少しずつ盗んでハーフリングを創造し、他の神々に詰められました。そのとき影の部分として切り離したのがこの女神です。ハーフリングが傷つけられたとき、ヤンダーラが保護し、ダラー・ソーンが復讐します。ハーフリングはこの女神を他の種族に語りません。ヤンダーラへの祈りをささげているとき、それはダラー・ソーンへのものかもしれません。
         
  • [B03]バハムート(Bahamut)(善い竜の神)
    • 呼び名:“プラティナム・ドラゴン(白金竜)”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:生命、戦
    • シンボル:竜頭のシルエット
    • 善竜たちが崇めるバハムートは守護と幸運、風を司ります。善竜の神たちの長です。峻厳で悪を咎めますが、虐げられたものには情け深いです。悪への戦いに備え、他者に悪への対抗力を身に付ける手助けをします。ドラゴン族の創造神アスゴラス(別の世界観ではイオとも呼ばれます)の子供であり“悪竜の女王”ティアマットや“喪失の守護竜”ヌルの兄弟であるという話や、あるいは黎明の時代にアスゴラスが元素大公と戦って死亡したときに分かたれた竜神の一柱だ、という話もあります。バハムートはしばしば7匹のインコ(各々が姿を変えた黄金竜)を連れ、人の姿をとって物質界を旅すると言われています。若いモンクの姿をした“花の大導師”や老魔法使いの“素晴らしき”フィズバンなどが知られています。
       バハムートの寺院の多くはドラゴンのねぐらやその跡であり、クレリックの多くがドラゴンです。バハムート信徒は圧政の地や悪との戦いに赴き、時には激しく戦い、あるいは用心深く裏舞台で活動します。
       
  • [B04]“きらめく黄金の”ガール(Garl Glittergold)(ノームの神)
    • 呼び名:“道化”、“無量の宝石”、“ひらめく機転”
    • 属性:秩序にして善
    • 領域:欺き
    • シンボル:金塊
    • 「“きらめく黄金の”ガール(ここまでで名前です)」ノームの守護神でありユーモアと機智、宝石細工と芸術を司ります他の神々にいたずらを仕掛けることで名高いですが、相手がそれを笑って許すとは限りません。最大の被害者であるコボルト神のカートゥマルクとは不倶戴天の宿敵です。“きらめく黄金の”ガール神殿は目立たぬ作りで隠されているもの多い一方、儀式は幻と不思議がいっぱいの華やかな祭典となります。
       信徒はノームの共同体を守り、探索行で宿敵種族(コボルド、コブリン)と戦い、新しい宝石の坑道を発見、威張りかえった王様に罪のないいたずらを仕掛けます。
    • 黄金丘陵の主たち(ノームの神々):
      • “鋼鉄の皮膚”フランダル(金属加工の神);秩序にして善;知識、鍛冶$;燃えるハンマー;“金属の名人”は鉱業と鍛冶、錬金術を司ります。職人の技と鉱物を発見を助け、火の生物との間を調停します。
      • “鉄の手”ガエルダル(保護の女神);秩序にして善;戦;鉄の帯;“黄金丘陵の盾”は守護と攻城戦、罠、築城を司る厳しい女神です。フランダルとネベラン製作の義手を付け、腰を据えて待伏せします。
      • “影を身に纏いし者”ベアラヴァール(幻と欺きの女神);中立にして善;欺き、秘術$;フード付マントの前に短剣;幻と欺きを司ります。ノームの魔法と耐性は彼女の加護といわれます。種族外の善の神々とも幅広い交友を持ちます。
      • “荒野をさ迷う者”ベイアヴァン(森の神);中立にして善;自然;アライグマの顔;“隠された葉”は旅と自然の神です。いたずら者アライグマのチクティッカを連れ、ワクワクする探検に導きます。
      • “大地に命を吹き込む者”セゴージャン(大地と死者の神);中立にして善;光、墓場$;光る宝石;料理と癒し、トンネル堀と死後の導きを司ります。彼のハーブ料理は皆に活力を与えます。
      • ネベラン(発明と幸運の神);混沌にして善;欺き、知識、鍛冶$;ふいごとトカゲの尾;“いじくり屋”は発見と発明を司る無計画な神です。失敗を幸運な発見に繋げるます。技術神ガンドの別の姿だとされます。
      • “滑らかな手の”カラデュレン(鉱業と石工の神);真なる中立;自然、知識;六芒星付きの金の印章指輪;“深き兄弟”は鉱業と知識、発見を司ります。地底深くに住むスヴァーフネブリンの守護者です。
      • アードレン(欲望と殺戮の神);混沌にして悪;戦、死;地面から飛び出すカギ爪の白モグラ;“大喰らい”は貪欲と殺しの神で、鋼鉄の爪を備えた盲目のモグラとして描かれます。多くのノーム神に損害を与えたと伝えられているのに関わらず、ノームの神々の一員として扱われています。
         
  • [B05]コアロン・ラレシアン(Corellon)(エルフの神)
    • 呼び名:“エルフの創り主”、“全エルフの統治者”、“アルヴァンドールの王”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:戦、生命、光、秘術$
    • シンボル:三日月
    • コアロンはエルフの創造主にして守護者です。多くのエルフが重要とみなす魔術と音楽、芸術と戦を司ります。エルフ都市の寺院は白く優美な作りであり、より小さな集落では樹上に作られます。オークの主神グルームシュの片目を奪ったのはコアロンであり、互いを宿敵としています。ロルスは彼のかつての妻であり、複雑な憎悪が渦巻いています。
       コアロンの信徒は探索行においてエルフを守り、悪や敵対種族を打ち倒します。また失われた秘宝や芸術を取り戻そうとします。
    • セルダライン(エルフの神々):下記以外にも多数
      • エアドリー・フェンヤ(空の女神);混沌にして善;欺き、嵐、生命;雲を背景の鳥のシルエット;“雨と嵐をもたらす者”は空と予測不可能な天気を司る気まぐれな女神です。風や天気の神々と仲良く、鳥人アーラコクラにも信仰されています。
      • オンガーランス(知恵と保護を司る三位一体の女神);混沌にして善;戦、生命、知識;三角形の中で絡む三つの輪;“アルヴァンドールの女王”はエアドリーとハナリィ、セイハーニンの3女神が一体化した姿で、これら女神の側面を併せ持ちます。コアロンの妻であり、彼に次ぐ敬意を払われます。
      • ソローナー・セランディア(弓の神);混沌にして善;戦、自然;緑の矢羽根付きの銀の矢;“森の狩人”は狩猟と弓術、荒野での生存を司ります。彼は自然を活用したいと者と守りたい者を調停します。
      • “月虹の”セイハニーン(占いと夢、旅、死の女神);混沌にして善;知識、光、墓場$;月虹の下に満月;“夜空の娘”、“月光の女神”は月と変化、夢、旅を司る神秘の女神です。また、赤子の魂を導く助産婦であり、死者の魂を案内します。セイハーニンは夢でお告げを与えると言います。
      • ハナリィ・セラニル(愛と美の女神);混沌にして善;生命;金色のハート;“あどけなき薔薇”は美と愛の女神です。ハナリィの神官は結婚式と春の祝祭を執り行い、美と喜びを求めて率先して動きます。
      • “深き”サシュロス(海の神);混沌にして善;嵐、自然、知識;イルカ;“海底の主”は海エルフの神であり、海と創造性の司ります。善の海神と仲良く、デモゴルゴンやダゴンなどの海の邪悪を敵とします。
      • ラベラス・エレノス(時と歴史、思想の神);混沌にして善;生命、知識、秘術$;沈みゆく太陽;“夕暮れの賢者”は時の流れと歴史を司ります。老いたエルフの姿で描かれ、老いと死後の魂を守護します。
      • リリフェイン・ローラシル(大自然の神);混沌にして善;自然;オーク樹;“葉の王”は森と自然を司ります。ワイルド・エルフやドルイド達に多く信仰されており、多くの自然の神々と友好的です。
      • エレヴァン・イレシア(悪戯の神);混沌にして中立;欺き;非対称な八芒星;“妖精道化師”は悪戯とならず者の神です。気まぐれで常に姿を変化させ続け、信徒は詐欺師やならず者の集団です。
      • シェヴァラッシュ(復讐の神);混沌にして中立;戦;涙の上に折れた矢;“黒の射手”は喪失と憎悪、復讐を司ります。ドラウを仇敵とし、復讐の歓喜以外には無感情です。他の復讐の神々と協力的です。
      • フェーンマリル・メスタリーン(追放者の神);混沌にして中立;欺き、自然;闇から見つめるエルフの両目;“一匹狼”は追放者と孤立した者や部族の神です。他のエルフ神から距離を取り、国境を放浪します。
         
  • [B06]イーリストレイ(Eilistraee)(ドラウと舞踏の女神)
    • 呼び名:“闇の乙女”、“闇の踊り手”
    • 属性:混沌にして善
    • 領域:自然、生命、光
    • シンボル:銀の剣を持って踊る女ドラウ
    • イーリストレイはかつてのロルスとコアロンの間に生まれた娘であり、善のドラウの女神です。彼女は歌と踊り、剣と月光を司り、満月に剣舞する女ドラウの姿で描かれます。彼女は地上に戻ろうとするドラウを助け、地上種族との融和を促進します。1379DRにロルスとの戦いに敗れ殺害されましたが、1487DRの“第二次大分割”によって再生しました。
       
  • [B07]ブランドバリス(Brandobaris)(ハーフリングと冒険の下級神)
    • 呼び名:“忍びの達人”、“トリックスター”、“親愛なるならず者”
    • 属性:混沌にして中立
    • 領域:欺き
    • シンボル:ハーフリングの足あと
    • 粋なトリックスターであり、盗賊と奇想天外な冒険を司るハーフリングの神です。面白いものを探し続けて神となり、今では全次元界を旅しています。“きらめく黄金の”ガールやティモーラ、悪戯のエルフ神エレヴァンと非公式のイタズラ同盟を結成し、ヘルムなどの秩序の神々をいらだたせます。また盗賊神マスクとは互いに競争相手として敬意を払う一方、不運の女神ベシャバや欲望のノーム神アードレンには嫌われています。
       ハーフリングの若者には衝動に駆られて冒険の旅を始めるのはブランドバリス(またはアーヴォリーン)が駆り立てたのだと言われます。ブランドバリスはそういった若者が苦境に陥ったときに、わずかな助けを与えると言われています。
       
  • [B08]ティアマット(Tiamat)(悪い竜の神)
    • 呼び名:“万色竜”、“悪竜の女王”、“色彩竜の長”
    • 属性:秩序にして悪
    • 領域:欺き
    • シンボル:5つの爪と竜の頭
    • ティアマットは赤青緑黒白の五つの頭を持った竜神であり、色彩竜を支配します。悪竜と征服を司ります。悪竜の神の長です。善竜の神バハムートとを宿敵とし、コボルド神のカートゥマルクを従えています。多くの悪竜が信仰し、クレリックも竜がほとんどですが、コボルドなどの竜に関連した種族、人間などにも信者はいます。ティアマットの寺院は財宝と生贄を蓄えた大洞窟であり、竜が守っています。その教義は際限なく生贄と財宝をかき集め、儀式は大量の生贄を伴います。
       ティアマットの探索行は陰謀と暴力で国々を支配し、善竜の巣を荒らし、下方次元界の領土を広げて財宝を持ち換えることです。
       
  • [B09]カートゥマルク(Kurtulmak)(コボルトと採鉱の神)
    • 呼び名:“とげ尻尾”、“角の妖術師”、“ノーム砕き”
    • 属性:秩序にして悪
    • 領域:戦
    • シンボル:ノームの髑髏
    • コボルドの主神です。コボルド、罠、悪運を司ります。コボルドを守護し、防御陣地での戦い方や罠の作り方を教え、ウロコとシッポを称えます。カートゥマルクの寺院は地下に作られ、複雑な狭い通路と罠で満ちています。カートゥマルクはティアマットに仕えています。伝説によると“きらめく黄金の”ガールによって民と共に洞窟に生き埋めにされ、竜神アスゴラスに助けられたとか、竜神から魔法の秘密を盗み出してコボルトに与えたなどと語られています。
       カートゥマルクの探索行はノームを苦しめたり、ドラゴンと仲良くなれるようにします。
       
  • [B10]マグルビイェト(Maglubiyet)(ゴブリンと征服の神)
    • 呼び名:“強き者”、“最高酋長”、“炎の目”
    • 属性:秩序にして悪
    • 領域:戦
    • シンボル:血塗れの斧
    • ゴブリンとホブゴブリン、バグベアなどのゴブリン族の守護神です。かってそれぞれの種族神がいたのですが、それらを打ち倒してまとめ上げました。燃える目をした大きく黒いゴブリンの姿で描かれます。各種族を戦に駆り立て、征服地を統治しようとします。ゴブリン族の社会では、倒されたゴブリン神にいたイタズラの神の力が憑依した道化が発生し、ときおり混乱を巻き起こしています。マグルビイェトはエルフやドワーフ、ノームなど多くの種族の神と敵対しています。
    • ゴブリン族の神々
      • カーコバイヤグ(奴隷支配の神);秩序にして悪;知識*、規律$*;赤と黄色で縞々の鞭;“奴隷監督”はゴブリンの神です。ゴブリン族の社会を管理し、鞭打たれる側から、打つ側になるよう説きます。ときに鞭音で啓示を授け、祝福のしるしを与えます。
      • ノモグギーヤ(戦と炎の神);秩序にして悪;戦*、光*;交差した幅広剣と手斧;ホブゴブリンの神で戦と炎を司ります。情け容赦のない軍神であり、厳しい規律と勇敢さ、戦の準備の大切さを命じます。
      • バーグリヴェク(調停と団結の神);秩序にして悪;知識*、平和$*;先端の白いフレイル;“平和の守り手(または調停者)”はホブゴブリンの神で、領土と団結を司ります。内輪もめを調停して征服のために協力を推し進めて、敵陣の不和を誘います。
      • フルゲック(バグベアと奇襲の神);混沌にして悪;戦*、欺き*;モーニングスター;“不意打ち名人”はバグベアの兄弟神の兄です。狡猾な隠密と剛力からなる暴力を司ります。弱者への虐待と殺人、戦は聖なる行ないとし、生首を飾ります。
      • グラングル(狩りと隠密の神);混沌にして悪;欺き*、知識*;闇の中に見開かれた目;バグベアの兄弟神の弟です。狩りと隠密、警戒を司ります。狡猾さと待伏せ、驚かせることの素晴らしさを説きます。
      • スキッガレット(死と狂気の神);混沌にして悪;死*;シンボル;黒い爪;バグベアにおけるブギーマン(子供さらいのおばけ)の神です。死と恐怖、狂気を司ります。怖気を感じたバグベアは狂気の振る舞いをし、それはスキッガレットの仕業となります。
      • キカヌティ(大地と砂漠の女神);中立にして善;自然*、秘術$*;鳥の描かれた土瓶;キカヌティはマグルビィエトの圧政からゴブリン達を匿う女神で、マグルビィエトの目の敵にされています。フェイルーンでは南東のロウリン砂漠でブーカと呼ばれるゴブリン族に信仰されています。(注記:D&D3版の頃に記載された女神であり、5版の時代に存在するかは不明です)
         
  • [B11]グルームシュ(Gruumsh)(片目のオーク神)
    • 呼び名:“一つ目”、“眠らざる者”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:嵐、戦
    • シンボル:まばたきしない眼
    • グルームシュはオークの主神であり、戦と強奪を司る。オーク達に目にする土地全てを奪い取るように命じます。グルームシュはエルフ神のコアロンに左目をつぶされて片目にされました。このことからコアロンとエルフを激しく憎んでいます。グルームシュの寺院は軍事要塞を兼ねており、闘技場が併設されています。ここには司祭と同じほどに戦士たちがいます。オークの戦には右目を抉りぬいた片目の司祭が伴い、戦に祝福を授けます。グルームシュの祭りで最も有名なのは、戦場で殺した敵の首を食いに挿して並べる“棒祭り”です。
       グルームシュ司祭の探索行はオークを束ねて戦に導くことです。ゴブリン部族を軍に加わらせ、エルフの村を焼き、人間の国を略奪します。
    • 見張る者の部族(オークの神々):
      • イルネヴァール(戦略と大軍の神);秩序にして悪;戦;上向きの血塗れの剣;“戦争屋”は戦略と武術を司る軍神です。勇敢で卑劣な行為を嫌いますが、大胆さと思慮深さを併せ持つ戦術家です。ルシック以外のオーク神と険悪ですが、協力はできます。
      • バーグトルゥ(筋力の神);秩序にして悪;戦;折れた大腿骨;“脚を折る者”は野蛮な筋力と忠誠を司る愚かな神です。グルームシュとルシックの息子でしばしば母の肩を持ちます。信者は全てを筋力が解決すると理解しています。
      • ルシック(豊穣と癒しの女神);秩序にして悪;自然、生命;洞窟の入り口を表すオーク語ルーン;“洞窟の母”は洞窟と繁殖、治癒、妖術を司る女神です。洞窟の奥で女と子供、猛獣を育てて団結させます。
      • シャーガス(盗みと闇の神);中立にして悪;欺き;髑髏を抱いた赤い三日月;“夜の王”は暗闇と未知を司ります。暗殺と復讐者、追放者が信仰します。信徒は部族内の弱者を殺し、貪り食います。
      • ヤートラス(死と病気の神);中立にして悪;死;広げた白い手の平;“白の手”は使徒病気、ウジ虫を司ります。口が無く嚢胞まみれの全身で、手だけがきれいです。信徒は恐れられて郊外に暮らし、“良き死”を迎えた戦士を弔います。
         
  • [B12]ロルス(Lolth)(ドラウと蜘蛛の神)
    • 呼び名:“蜘蛛の女王”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:欺き、戦
    • シンボル:蜘蛛
    • ロルスは蜘蛛と暗闇、ドラウを司ります。かつてはエルフの主神コアロンの妻でしたが、エルフ神格を裏切ったことにより、クモの半身をもつドラウの女神となりました。ドラウとクモを支配し、地上とエルフを破滅させ、信者に過酷な試練を課すことを好みます。ロルスの寺院はドラウの地下都市の中にあり、周囲を支配している。その司祭は常に女性であり、互いに争う過酷な試験を課されます。
       ロルスの探索行は、広範囲な地下洞窟網を征服すること、地上エルフを殺戮すること、他のドラウやマインドフレイヤ―の居住地を襲撃して秘宝を奪うことなどです。
    • ダーク・セルダライン(ドラウの神々):
      • イーリストレイ(歌と月光の女神);混沌にして善;自然、生命、光;剣舞を踊る女ドラウ;別項で説明。
      • ジンザーレイナ(暗殺と幻の女神);混沌にして中立;欺き、嵐;布で優美に覆った小剣;“追放者の姫”は暗殺と嘘、幻術を司ります。反逆と変化を求める者、秘術を身に付ける(稀な)ドラウ女性が密かに信仰します。
      • ヴェイローン(盗賊の神);混沌にして悪;欺き、戦;目に青レンズを嵌めた黒い仮面;“仮面の王”は傲慢と強欲、盗みを司ります。男ドラウや盗賊に信仰されます。彼は密かにドラウの女性優位社会への異見を持つと言われます。
      • キアランサリー(死霊術の女神);混沌にして悪;死、秘術$;銀の指輪を沢山はめたドラウの手;“死の貴婦人”、“黄泉帰りし者”は復讐と亡者を司る女神です。殺されるたび亡者の軍勢を連れて黄泉帰り、狂っていると伝えられます。
      • ケプトロー(美と快楽、豊穣の神);混沌にして悪;欺き、自然;キノコ;“熱烈な配偶者”は野心と快楽、おべっかの神です。ロルスの配偶者であるとされ、彼にあやかりたい愛人志望者や暗殺者が信奉します。
      • ゴーナドウア(スライムと追放者の神);混沌にして悪;戦;瞳が紫の黒い目;別項で説明。
      • セルヴェターム(戦士の神);混沌にして悪;戦;交差した剣とこん棒の上に蜘蛛;“ロルスの戦士”は戦いと虐殺を司る神です。かつてイーリストレイに憧れた彼は、ロルスに欺かれて悪に染まりきり従属された。絶望的な戦いに挑む者が彼を信奉します。
      • マリック(反逆と暴走魔法の神);混沌にして悪;欺き、嵐;涙の中の炎、又は多色の渦巻き;“闇の魔術師”は反逆と混乱、混沌魔法を司る魔術師の神です。ドラウ社会はマリック信仰の根絶を目指しています。
         
  • [B13]ゴーナドウア(Ghaunadaur)(スライムと追放者の神)
    • 呼び名:“潜むもの”、“古き目”、“古きもの”
    • 属性:混沌にして悪
    • 領域:戦
    • シンボル:瞳が紫の黒い目
    • その名を口にすると災いを引き起こすとされ、“潜むもの”と呼ばれます。“潜むもの”は粘体や触手、追放者の神です。その信奉者はアンダーダークの思わぬところに潜んでいます。ドラウだけでなく、スライムのような知性があるかも怪しいものが“潜むもの”を崇めているかのように振る舞うことがあります。“潜むもの”に祈りをささげた者は富を与えられることもあれば、おぞましい苦しみを受け取ることもあります。
       “潜むもの”は超越神エイオーよりも古くから存在していたといわれる正体不明の神です。デーモンプリンスの一柱“ウーズの王”ジュイブレクスを化身とする、あるいは別世界で知られる破壊神“古き元素の目”“繋がれた神”タリズダンの別の姿であるともいわれます。
       

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ムルホランドの神々(≒エジプトの神々)
 落星海の南東岸にあるムルホランドには、かつて古代魔法国家のアイマスカー帝国がありました。彼らは強力な魔法で周辺を支配し、駆り集めた奴隷を酷使しました。周辺から奴隷を狩りつくした彼らは次元門を開き、地球の古代エジプトに接続、次元間誘拐による奴隷狩りを行いました。
 この非道に怒ったエジプトの神々は、誘拐された奴隷の幾人かを“エジプトの神々に選ばれしもの”とし、神々の力を身につけた半紳“ファラオ”を誕生させました。-2488DR、ファラオに率いられた奴隷エジプト民は神々の支援を受けてアイマスカー帝国を滅ぼしました。以降、エジプトの人々はこの地にムルホランド人として定住しました。このためムルホランドではエジプトの神々が信仰されています。また似た経緯でアンサーでは古代メソポタミアの神々の信仰が残っています。
 ムルホランドの人々と神々の価値観はフェイルーン大陸の他地域とかなり異なっています。特に奴隷の扱いと死者の魂、アンデットに関して大きな違いがあります。ムルホランドを舞台にした冒険や、この地域出身のキャラクターを用いる際には面白みになりますが、他の参加者と事前にすり合わせをしておくのが良いでしょう。
 ムルホランドの神々に性格については、wikipediaのエジプトの神々についての記事を参照してください。

 

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このページの記述は Open Game License に基づいています。これに該当するのは、神格の名前や記述などです。