ガイドto『インピルター、1489 DR』

Last-modified: 2023-09-14 (木) 21:45:25

 

D&D5版での冒険の舞台として、フォーゴットン・レルム世界のインピルターと周辺地域を概説します。
この地域の設定は1385 DR年くらいまで(D&D3版の頃に相当)は記述されています。しかし、それ以降は王家の断絶とデーモンの跳梁による国の衰退が記載されている程度で、さほど詳細な設定はありません。
 [注1]ここでは1385 DRまでの設定を踏まえ、それ以降の時代は遊びやすいように(≒勝手に)、記述を補って記載します。この変更を加えた分は冒頭に[注1]の注記が付きます。

 

【インピルターの位置】
インピルターはソードコーストのはるか東、落星海の北東岸に存在します。悪名高いレッドウィザードが支配するサーイからは北に位置する国です。
 インピルターの西方には広野地方(ヴェスパリン)、北にはダマラ、海を挟んだ東に大谷、セスクがあます。南方には落星海が広がっています。
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【インピルター周辺の歴史】

  • 年(DR); できごと
  • -970DR; 大谷の古代ナーフェル帝国がデーモンの力を借り強大化、インピルターなど周辺を侵攻、占領する。
  • -620DR; 古代ナーフェル帝国がムルホランドやローマンサー(現ラシュメン)に敗北し、衰退。
  • -72DR; 古代インピルター王国の設立(ダーラヴェン王朝)、詳細不明。
  • 726DR; 廃都ダンサロスからデーモン軍“鱗ある大群”が出現してインピルターを侵略、占領。
    僭王“鱗の”アグロス"がインピルター王位につく。対抗しトライアド聖騎士団が結成、反撃開始。“魔物戦争”勃発。
  • 731DR; 聖騎士サーシェル・エレスリムが首領デーモンを倒し、デーモン軍を退治、封印を行う。
    その後、王位につく(エレスリム王朝)。
  • 926DR; 西方のコアミア王子と婚約中のアリーア姫の死により、エレスリム王朝の終焉。
    “王無き時代”が始まり、衰退。
  • 1095DR; 北方“巨人の背骨”山脈からのホブゴブリン軍に対し諸都市とエルフやドワーフの軍を結集して抵抗。
  • 1097DR; ゴブリン軍を討伐し、インピルターはヘルサン王朝に更新。
  • 1358DR; 神々が地上に堕ちて世界各地を放浪する“災厄の時”が発生。
  • 1360DR; 東方の騎馬民族トゥイガン族の大規模侵攻。フェイルーン中から派遣された軍がセスクに集まり迎撃。
  • 1374DR; 長年インピルターを収めていた摂政女王サンブリルがインブラー2世に王権を移譲。
  • 1385DR; “青火の年”。魔法の女神ミスタラ殺害により“呪文崩壊”が発生。
    天変地異で世界中が大きな災害を受ける。
    前年に復活していた魔法帝国ネザリルが周辺国に侵攻を開始。
    インピルターでインブラー2世が死亡、王家が皆殺しになって断絶。デーモンが徘徊するようになる。
  • 1485-87DR; ネザリルと周辺国の決戦の末、ネザリルとエルフ王国ミスドラナーの崩壊。
    女神ミスタラ達の復活、数年に渡って、“呪文崩壊”時の災害の痕跡が修復されていく。
  • 1489DR; “戦姫の年”。D&D5版のゲーム開始年。
     

【インピルター周辺の地理】
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マークの色の種別:
◉:大きな街、⦿:村と小さな町、▼:鉱山など、■:城塞や塔など、▲:神殿や宗教拠点
♠:山や丘陵と荒れ地、♣:森林、♥:河川と湖沼
:特に危険でない拠点、:危険で有名な拠点、 :邪悪の本拠地、 :廃墟など、 ◉:自然地形など

 

《インピルター(Impiltur)》
 インピルターは落星海北岸に延びる海沿いの国です。かつては北方の国々海洋貿易あいだの貿易路としてにぎわう地域であり、また良好な農地と鉱山資源に恵まれた豊かな国でした。
 しかし、現在は見る影もありません。1385DRの呪文崩壊に伴う混乱のなか、若き国王インブラー2世が死に、跡継ぎのいないまま王家は途絶えました。現在は乞食めいたボロ切れをまとった“大会議”が統治しています。しかし、呪文崩壊によって解放されたデーモン群“サロス友愛会”とカルト信者が跋扈し、状況は悪化の一途です。
 インピルターでは多くの神が崇められています。中でも建国の歴史からトライアド(正義の神ティア、騎士の神トーム、献身の神イルメイターの3神)の信仰が盛んでした。このため、これらの神の神殿や拠点が多くあります。兵力として戦剣隊(Warswords)トライアド聖騎士団(Triad Crusaders)最神聖モズ騎士団(Most Holy Order of the Sacred Shrike)などが存在していました。これらの軍は現状では壊滅か、大幅な弱体化しているものと思われます。

ライラバー(Lyrabar):犯罪都市として有名な大きな港町です。かつてのドワーフの地下要塞の受けに建設されており、一時期は首都でもありました。街には地下構造や古い宮殿なども残っています。ここでは自警団と犯罪組織が協定を結び、互いの損にならないよう仕事をしています。犯罪まみれの一方で、この町のデーモン汚染は軽度です。町にはデーモン・ハンター組織があり、彼らが町を拠点に各地にデーモンの首を狩りに向かいます。

ラマッチ(Hlammach):大きな港を備えた古い城壁都市です。王立造幣局を持ち、犯罪組織からの標的でしたが、市警が阻んできました。かつては、にぎやかな都市だったものの、“呪文崩壊”のあいだ水位低下によって港が機能しなくなり経済が崩壊しました。多くの人々が新しい生活を求め、他の町に移住しました。

⦿ミストレンポスト(Mistrenpost)
⦿レッド・ブラフ(Red Bluffs):海岸沿いの崖上にある小さな漁村です。
⦿アンドルスパー(Ondle’s Spur)[廃墟]:
⦿クランドル(Klandle)

⦿フィルア(Filur)[廃墟]:山沿いにあるインピルターの前々の首都です。1295 DRに発生した“王子の反乱”で大きな損害を受けて首都が移転、その後は王室の避暑地や逆罪の王族の幽閉施設となりました。1338 DR、“王家の塔”火災により多数の王族が死亡、その後、王国に暗殺事件が連続しました。1386 DRに襲撃を受け、廃墟となりました。

ディルバー(Dilpur):1350DR年ごろに隆盛した新しい港町です。インブラウン家とソアーギルム家、サンブラル家の3貴族がそれぞれに街の発展と影響力の確保のために活動しています。このうちソアーグリムは王家の後見人として重要でした。

⦿ソンガル(Songhal):山脈のふもとにある学園都市で、知識神オグマの信仰が盛んです。研究者の国際連合である“ヘラルドofフェイルーン”に属する“銀の牡鹿”組の研究所が存在します。ヘラルドはハーパーの重要な協力組織です。

レルガ砦(Relgar’s Ford)[廃墟]:

サーシェル(Sarshel):首都の港街です。呪文崩壊のあいだ水位上昇で以前の港が機能しなくなったため、海岸側に港湾施設や家屋を延長して「ニュー・サーシェル」と称していました。この都市はデーモンの汚染が深刻です。不浄に変異した議員が暗躍し、デーモンが徘徊、無辜の住人が儀式の生贄に捧げられます。大谷のダンサロス遺跡から持ち込まれたという巨石が原因であると噂されています。 [注1] 港の水位が戻った現在、延長された建物などは水面下にあります。

♠塚山の地(Barrowlands)[地名]:いくつもの塚と歪んだ黒い樹木が広がる荒れ地です。塚の下には光を通さぬ闇の空洞が広がり、互いに繋がっています。これは古代ナーフェル帝国の影響の残滓、不死の魔術師結社の仕業などと恐れられています。

⦿セルナム(Thelnam):小さな漁村で村人は小舟に乗って沿岸を巡り、漁をしています。
キールバスト(Kielbast):河口に広がる大きな港町です。氷溶川からの河川水運はここで海洋船に載せ替えられます。

⦿アルンズコーヴ(Arn’s Cove):岬に位置する小さな漁村です。古い灯台と水先案内人は船乗りから頼りにされています。 [注1] 沖合の監獄島には、この村の船以外は接舷が許されていません。

♣スルラー森林(Tsurular Forest)[地名]:灰色森林(Grey Forest)とも呼ばれます。森エルフの集落がある一方、月エルフは木々に溶け込んでしまい姿を見せません。1095DRにはホブゴブリンの軍勢に対し、人間たち同盟を組んで戦いました。森の中にはゴブリンや獣人、妖精や幽霊の恐ろしい噂が絶えません。ドラウやドラゴン・カルトエルドレス・ヴェルースラ(世界から人間の排除を試みるエルフ結社)の活動も報告されています。

♠アースファスト山脈(Earthfast Mt.)とアーススパー山脈(Earthspur Mt.)[地名]:インピルターと広野を分ける山脈です。金銀や銅など豊富な鉱石を採れ、特にアーススパーはブラッドストーンが名産です。地下にドワーフたちの鉱山が存在し、1095DRには人間たちと共にホブゴブリン軍と戦いました。山脈にはゴブリンや巨人、ドラゴンなど様々な怪物が住んでいます。霧が深いところには霧竜が棲んでいることがあります。地下深くには“地下荒野(Deep Waste)”と呼ばれる地底領域があります。そこでは様々な地底種族が独自の社会を作っています。

モラニー(Morany):山と森に挟まれた小さな鉱山町で、怪物や妖精たちから身を守るの苦労し、幾たびかの凄惨な伝説があります。郊外の屋敷に住む“永遠なる”サムルブラー・シャセリス卿はあまり人前に出ず、年老いません。彼は夏至の夜に住民を招待して舞踏会を開催します。

♠墓所の丘(Hill of Tombs) [地名]:アースファスト山脈の南端、鉄竜山の峠にある丘陵地帯です。古インピルターの王たちが埋葬されている塚がいくつも存在します。

トロ坑道(Toro Mines)
数多の本の館(House of Many Tomes)[廃墟]:知識神オグマの最大の寺院であり、大きな正面玄関とステンドグラス、劇場を備えています。かつて多くの学者が集い、多数の書物を保管していました。

召喚者の城塞(Citadel of Conjurers)[廃墟]:古代ナーフェル帝国の晩年(-153DR)に建造された城塞で、当時はダン・オルサス(Dun-Orthass)と呼ばれていました。ドクロを象った高い尖塔から立ち並び、地下深くに隠された玉座があります。この城塞は古代ナーフェルが滅びたとき放棄されましたが、728 DRからの“魔物戦争”において決戦の地となりました。城塞にはナーフェル帝国の邪悪な秘宝がいまだに眠っていると言われています。

⦿アウテンタウン(Outentown):二つの街道の交差点に位置する小さな町で、広い農地に囲まれています。
マル要塞(Fortress of Mal)[廃墟]:かつて街道を守っていた要塞でした。近くの山脈の崖には巨大な像“冠の王(Crowned King)”が彫刻されています。

戦いの鐘楼(Belfry of Battle)[廃墟]:
悲嘆の塔(Tower of Lamentation)[廃墟]:忍耐と献身の神イルメイターに由縁があったと伝えられています。
⦿ワイエ(Wye)

ブリックレクト(Brikklext):超能力ゴブリンやバグベア達の地下街です。坑道と地下水脈の操作によって地底湖を確保しています。周辺の地上人と緊張状態ではあるものの、水や鉱石との取引が続いています。地底湖に住む怪物には彼ら自身も迷惑しています。

ラヴィゲール(Laviguer)[廃墟]:よく働き、大酒を飲んでのバカ騒ぎで知られていた鉱山町でした。町には国境を守るイスフェル塔(Tower Ithfell)が併設されており、魔力の剣を操る“剣工騎士団(Order of the Bladewright)”の本拠地でした。最後の国王インブラー2世は即位前にここを拠点に偽名で冒険をしていたことがあります。 [注1] 1478DR、デーモンの出現とヴェスパリンからの攻撃によって滅びました。

ヴォルドリック・ダン(Vordric Dun):小さな鉱山町で、複数の金属のほかブラッドストーンが特産品です。犯罪者の強制労働先であったためか、住人の粗暴さで知られています。ラヴィゲールと互いに競い合っていました。 [注1] ラヴィゲールの滅亡に伴い、避難民を受け入れています。

⦿スドラフ(Sudrav):山間の湖畔にある小さな町です。住人は採掘と漁業で暮らしています。インピルターとダマラの両方から支配を受けており、両国の現在の不安定さから苦労をしています。

忠義の殿堂(Hall of Loyalty):騎士の神トームの寺院であり、同時に要塞、訓練施設です。

⦿ダンフィー(Dunfee):鉱業を主としている小さな町です。周辺の町とは良好な関係を築いていますが、峻険な峠道に頼った交通は途絶えがちです。

⦿リヨンの木立ち (Lyon’s Oak):自然の神シルヴァネスの神殿を中心とした小さな村です。彼らは森を守り、木々を育てることで周囲から頼りにされています。一方、そのために森に凶暴な肉食獣や山賊を放ったりもしています。

♠三本角(Three Horns)[地名]:
♥ブルーファング・ウォーター(Bluefang Water)[地名]:
♥オールド・ウォーター(The Old Water)[地名]:

♥ファル湿地(The Farwater)[地名]:河川に囲まれた肥沃で美しい湿地帯です。ここを多くの入植者が開拓を試みましたが、周囲から押し寄せる脅威に阻まれて上手くいっていません。これらの危険から身を守るため、いつも冒険者が求められています。

グリムジョー神学校(Grimjaws Seminary):グリムジョーは正義の神ティアの二つ名です(Grim{冷厳な}-Jaws{顎、言葉}→“厳しく叱るもの”)。この古い拠点では神官戦士と聖騎士を要請する訓練施設です。ここには“嘆きの剣、エレンドリン(Weeping blade, Ellendrin)”という聖剣が伝えられ、代々の代表騎士が身に付けていました。現在、エレンドリンは失われています。

⦿ベイタウン(Bay Town):湖畔にある小さな町です。この町は盗賊や海賊の避難所であり、“赤覆面党”“沈黙の刃”などの盗賊ギルドの拠点があります。ここで取引されるのは社会のクズです。周囲では捕まえられて奴隷にされぬよう注意が必要です。

哀歌の塔(Tower of Lamentation)[廃墟]:悲嘆の塔との関係があったと伝えられています。

イルムウォッチ(Ilmwatch):インピルター北部の守りの要となる城塞都市です。戦剣隊が駐留し、必要に応じて街道を巡視します。巡視部隊は国境を越えて、大谷のアスメアまで足を延ばすことがあります。

⦿ケイルンパー(Cairnpur):インピルターと北方を繋ぐ街道の宿場町です。近年、ガイドデールがダマラに占領されたため、この町に守備隊が駐留しています。また、それぞれの国の密偵が、活動しています。
    ◆

 

《広野(The Vast)》
 “広野”はトロル山脈とアースファスト山脈の間に広がる平原で、良い港がたくさんあります。西方のセンビアがネザリルに支配された時に多くの難民がこの地に押し寄せました。広野は独立都市国家が乱立する地でしたが、近年に合併してヴェスパリンという新しい国となりました。この地は交易とバカ騒ぎ、詐欺の中心地です。商業と腐敗がこの国を支配しています。
 添付マップ外ですが、悪臭に満ちた皮革産業の町カローントや階層都市タントラス、地下に洞窟の広がる農作物交易都市レイヴン・ブラフ、多数のドワーフが住む半地下の要塞都市プロキャンパーなどの街があります。
    ◆

 

《ダマラ(Damara)》
 ダマラは険しい山脈と深い森に囲まれた囲まれた狭い土地で、流れの速い川が居住地を結んでいます。夏には川をボートが行き交い、冬にはソリが走ります。農業には向きませんが、鉱山から良い金属や宝石を産出します。
 過酷な自然にも関わらず頑健な住人達はこの地を誇りにし、ドワーフやハーフリング、ハーフオークらと共存しています。ダマラの人々はいつも周辺国からもたらされる危険に立ち向かってきました。現在は西方ヴァサのウォーロック騎士団、北の大氷河の亡者、南のインピルターのデーモン、坑道の地底湖から繋がるアンダーダークの危険にさらされています。現在の支配者である僭王フロストマントルは危機に気付いていますが、自らの権力にしがみ付くのに懸命で手を打てていません。

⦿ボルガの粉ひき所(Borgar’s Mill):水車小屋とそれを中心にした村で、周辺に農家が散在しています。 [注1] 近年、ダマラの兵隊が派遣されて占拠されました。僭王の場当たり的な命令と重税により住人と兵士の軋轢が高まっています。

♠カゲロウ坂(The Shimmerglade)[地名]:針葉樹の林に囲まれた大きな岩の盆地です。魔法の働きが不安定であり、荒ぶる魔法のエネルギーが煌めき、波打っています。ここには古代魔法帝国ネザリルかマローグリン(魔法を操る変身生物)の古代魔法の遺跡だと噂されています。近づく者にはミスタラの使徒が残した警告が発動します。

⦿ガイドデール(Guidedale):インピルターと北方を繋ぐ街道の宿場町です。 [注1] 近年、住人のデーモン化の騒動が発生し、それへの対処としてダマラが占領、多数の住人を虐殺しました。兵士たちは住人と旅人を厳しく監視し、効果の定かでない魔物封じのお札を買わせます。
    ◆

 

《大谷(Great Dale)》
 大谷は北のダン森と南のレシアー森の間150kmほど延びる長い峡谷で、いつも強い風が吹きぬけています。峡谷は荒れ果てた土地で、崖に張り付くように幾つかの小さな町が建てられています。この地では古代ナー族の残した遺跡が幾つもあり、そこから現れるデーモンにドルイドたちが対抗しています。

⦿マラクアス(Maracrath):大谷とインピルターを繋ぐ宿場町です。湾の最奥にあり、船着き場があります。
⦿ソリン(Solin):大谷とインピルターを繋ぐ宿場町の一つで、船着き場があります。

アスメア(Uthmere):城壁に囲まれた港町で中央に川が流れています。交易で栄えた町でしたが、呪文崩壊の際、地震による崩壊と水位の低下により衰退しました。現在は元の港町として回復しつつあります。

⦿東の物見(Eastwatch)

♣ダン森(Dunwood){別名;ロウリン森(Rawlinswood)}[地名]:この森の中心には、古代ナーフェル帝国の首都ダンサロスの廃墟があります。ナーフェル帝国はデーモンまみれの国であり、滅亡後はドルイドが遺跡を封じていました。1370DR、病毒の女神タロウナの下僕、“腐敗男”の手によってダン・サロスの封印は解かれました。現在はあらゆる怪物と無数のデーモンが徘徊する魔の森と化しています。

廃都ダン・サロス(Dun-Tharos) [廃墟]:黒い石の城塞と奈落の力に捧げられた神殿を中心とした古代の都市で、森の中に埋没しています。木々は歪み、地下には迷路になったトンネルが何kmにもわたって伸びています。全面に下劣な壁画が描かれており、目にした者の正気を奪います。この都市は二千年以上前から周辺の諸国を脅かす脅威の中心でした。封印を解かれた現在、多くの魔物と怪物、“サロス友愛会”のカルト員が潜みます。鱗ある巨大な鬼エスカルと、直径10mの闇の塊である“不変の女王”の2体のデーモン・ロードが支配権を主張しています。

大墳墓(Great Barrow) [地名]:巨大な塚山が広がっています。ナーフェル帝国以前に住んでいた残忍な人間部族の墳墓です。ここは指導者であった生き神が埋葬されており、安息のない魂に憑かれている、と言われています。

♠イリルセドの丘(Eyrelthed’s Hill) [地名]:街道から少し離れたところにある農場です。
♥ディルの流れ(Dalestream) [地名]:レシアー森を水源とし、大街道と並行して流れています。

⦿カーウィス・ホールド(Carwyth Hold)とノーニム・ホールド(Noonym’s Hold):崖際にはいくつかの小さな氏族集落があり、それぞれに危険から身を守るための備えをしています。

♣レシアー森(Forest of Lethyr) [地名]:多くの野生動物や怪物が暮らす深い森です。ドルイドやレンジャー、トレントが巡視し、デーモンから森を守っています。森には秘密主義のエルフの村が幾つか隠れています。古代ナーフェル帝国の崩壊以来、ナー族の統率者ネンティアクは“レスの円”のドルイドが引き継ぎ、ダン・サロスを封じていました。ダン・サロスの封印が解けて以降はレシアー森林に本拠地を移しました。

⦿レスゲート(Lethgate)
♥レシアー川(Lethyrstream) [地名]:

⦿マウバーグの木立ち(Mauberg’s Oak):自然の神シルヴァネスの神殿を中心とした小さな村です。リヨンの守りと同様に自然を守りつつ、暮らしています。

⦿ニュー・サーシェル(New Sarshel):呪文崩壊の後、インピルター沿岸の経済崩壊やデーモンの跳梁からの難民が形成した小さな町です。周辺の古い住人との軋轢や、難民に潜むカルト員の活動で悩まされています。
    ◆

 

《セスク(Thesk)》
 セスクは落星海の北東岸、北のレシアー森林と南のセスク山脈の間に走る峡谷地域です。港湾都市テルフラムは東方のカラ=トゥアから続く交易路“金路”の終着点です。ここからは海路で落星海西岸のドラゴン・コーストに延びています。この地域に住む人間の半数は東方の血を引くショウ人であり、東方文化がパッチワークのように散りばめられています。東西の文化が入り乱れるセスクの人々は寛容で融和的、様々な種族が暮らしています。

ニス(Nyth):森の傍にある大きな港町です。かってニスと呼ばれる鬼火に似た魔物と魔術師たちの激戦の末にこの地を得たことから街の名がつきました。“ニスの魔術師”は敬意を払われますが、不吉だともされています。

⦿エスディル(Ethdale):森沿いの河口にある宿場町です。この町の住人の半分以上がハーフリングであり、ハーフリングの最大居住地の一つです。

♥フラン川(River Flan) [地名]:レシアー森林を通り抜けた流れる川で、フラン湖を水源の一つにしています。

テルフラム(Telflam):巨大な港湾都市国家で、実質的なセスクの首都です。城壁の内側に玉ねぎ型の屋根をした多数の寺院や民間施設が立ち並んでいます。大きく深い港には多数の大型艦を収容でき、その底にはかつて古代の魔法災害で沈んだ都市の遺跡が眠っています。この港で金路で運ばれる貿易品が積み下ろしが行われます。
 古くはバリンドン家に統治されていましたが、今は豪商と貴族による寡頭制に移行しています。テルフラムにはいくつもの剣呑な組織が存在しています。盗賊ギルドとして悪名高いシャドウマスターやナイトアイズ、海賊のたまり場“剣と角笛”、サーイのレッド・ウィザード自治区、貧民街と化したショウ人の街区では黒竜会(Black Dragon Clan)や九金剣会(Nine Golden Swards)がヤクザ(Yakuza)と抗争しています。

♥イス川(River Eth) [地名]:レシアー森林からの流れる川で、途中でドラゴン顎山脈からの流れが合流して海に流れ込みます。河口付近からドラゴン顎山脈の沖合にかけて“腐肉艦隊”と呼ばれる亡者の海賊艦隊が噂されています。この艦隊と出会うことは死の前兆と言われています。

♥小イス川(Lesser Eth River)
⦿グレフの渡し(Gref’s Ferry)

♠セスク山脈(Dragonjaw Mt.) [地名]:高度2100mに達する峻険な山脈です。その岩肌は剥き出しでが厳しい地形ですが、鉄鉱石を算出します。この山には多くのゴブリンや巨人などが暮らしています。

♠ドラゴン顎山脈(Dragonjaw Mt.) [地名]:南方のサーイとの間にそびえる峻険な海沿いの山脈です。この山脈全域の高地にはノームが隠れ住み、農業や採掘を行って暮らしています。山脈の峰にはカッパー・ドラゴンらが住み、それぞれに縄張りをもっています。竜の長、古代竜フィローゼリモスは同族と共にサーイを監視しています。

⦿フェント(Phent):“金路”街道上にある強固な要塞都市です。
⦿カルマスター(Culmaster)
⦿インカー(Inkar) [廃墟]:

⦿ザルスル(Zarthl):セスク山脈に孤立した小さな町です。山肌に張り付くような小さな畑と採掘で生活しており、いつも周辺の怪物たちに脅かされています。

フサント(Phsant):セスクの中央、レシアー森林とナーグ山の狭路にある都市で、セスク文化の中心地です。1360DR、東方のトゥイガン遊牧民による西方地域への大規模な侵攻に対し、セスクは多くの援軍を得て対峙してフサントで勝利しました。西部同盟が集合地であったこの街は、今でも驚くほどに多様な文化を持ちます。対トゥイガン戦で活躍したゼンタリムのオーク部隊は、この地に残って人々と融和しました。周辺では働くオークやハーフオークは珍しくありません。
 フサントには最大のショウ人街があり、ここではカラ=トゥア文化に埋め尽くされています。ショウ人街に潜む恐るべき犯罪組織“ヤクザ”はテルフラムを拠点にする組織と縄張り抗争をしています。
    ◆

 

《落星海(Sea of Fallen Stars)》
 フェイルーン中央部を占める最大の内海です。様々な国とその沿岸を接する海路貿易の中心で、多数の商船や海賊船が海上を行き交います。海中ではシー・エルフやマーフォーク、サフアグン、クオトア、スカムなどの様々な水棲種族の海底王国が争っています。落星海は1385DRの呪文崩壊において水位が下がって縮小しましたが、1485DRから数年続いた大雨で水位が上昇して元の大きさに回復しました。

 

サンプル拠点、【鉱山町ヴォルドリック・ダン(Vordric Dun)、1489DR】
 ヴォルドリック・ダンはアーススパー山脈ふもとの小さな鉱山町です。近くのラヴィゲール鉱山と競うように発展してきました。いくつかの金属とブラッドストーンが特産品です。犯罪者の強制労働先であったため、住人の粗暴さで知られています。
 インピルターは1385DRの呪文崩壊や王家の断絶、デーモンの徘徊などにより大きな損害を受けました。 [注1] この町はこれらの混乱に加え1478DRにおける西方のヴェスパリン(広野地方)侵攻への防衛で大きな被害を出しました。このとき廃墟と化したラヴィゲールから難民を受け入れたものの、軋轢は積み重なっています。

 

ヴォルドリック・ダン:(小さな町、人口:1180人) [注1]
 人間:74%、ドワーフ12%、ノーム6%、ハーフリング4%、ハーフオーク3%、エルフ1%
 議会による代表の選出: 代表:エドアルト・レズキン、副代表:空席

 

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町の建物など [注1]

  • 番所(コルデル隊長):町への出入りを見張る門です。いったん隊長に顔を通せば、その後は町への出入りは自由です。衛兵が常駐しており、町のどこかで騒ぎがあると現場に向かいます。
  • キツツキ亭(女将キスリン):崖からテラスが乗り出すような酒場兼宿屋です。キツツキの看板が出ており、クルクルと忙しく働くハーフリング夫婦と、力仕事担当の女中が運営しています。
  • マカロフ雑貨店(店主ルーパード):初老の店主が経営の雑貨店です。様々な品をそろえ、必要なら外へ発注します。
  • トトメスの井戸(アナシス):深い階段井戸からポンプで水を汲み上げています。ポンプ用の釜を利用した風呂も提供しています。ムルホランドからの招聘技術者の子孫が運営していますが、仕組みを分かっている住人は少ないです。
  • 取引所:大きなコの字型の建物の上に天幕が張られています。鉱石や収穫した作物の競りのほか、定期市や祭り、劇など、人が集まる様々なことに用いられています。
  • ヴォルド屋敷(レズキン議長):町の資料や会議室、宴会場が整えられた邸宅です。代表に選任された家族が住むことになっています。ノスコルフ前議長が2年前に首都に向かってから連絡が取れず、レズキンが代理をしています。
  • 共同倉庫:収穫された作物や出荷前の素材などが保管されています。兵士が周囲を見張っています。
  • 鉱夫組合(“スダレ顔”ザグ):鉱夫たちの組合で坑道ごとに組が分かれ、労役中の犯罪者の牢獄もあります。労役者のために忍耐の神イルメイターの祠がありますが、神像は幾たびも破壊された跡があります。
  • カラクリ寺(“歯車足の”リブルス):職人と発明の神ガンドの寺院です。リブルスは神官としての腕はともかく、ケガをした職人のためのギプスや義手、偽足の出来は良いと言われています。
  • 精錬所(トラヴォク・ハンマーストーン所長):鉱石を選別し、金属を製錬します。いつも埃っぽく煙突から煙を挙げています。精錬所には多くのドワーフが家族とともに暮らしています。
  • ロール&フィスツ(“鉄拳”ジェライグ):賭博と酒、拳闘、タバコ、売春などを扱うクラブです。ここでは常設されたリングで拳闘に参加しないと一人前に扱われません。
  • ルガックス鍛冶工房(ルガックス親方):熱意と野心に満ちた親方の下、多くの職人が集まり、鍛冶や金属細工を作っています。ドワーフたちもよく出入りしています。工房の片隅には戦の神の祠があります。
  • 西門:1478DRでの防衛戦で西地区には多くの被害が発生し、空き家に難民などを住まわせています。西門の番兵はトラブルに駆り出されがちで、無人になってしまうこともたびたびです。
  • ティアのまじない店(ティア):ディルランズから避難してきたエルフ娘が経営しています。
  • 安らぎの家(墓守ダリヤ):半ば要塞化した建物で、死の神ケレンヴォーの祠があります。葬儀を請け負います。
  • ガルフの粉ひき(ガルフ):大型の挽き臼を揃えて町の粉ひきを担っています。労役者を買い取って働かせています。
  • 星読みの塔(リドミラ婆):はるか昔に魔法使いが立てた塔です。塔の上から遠くまで見渡すことができます。
  • ラヴィゲール農場(ファービル):ラヴィゲールからの難民が働く農場です。難民の流入により、町では食料が不足し、これを補うために森と荒れ地を開墾しています。互いに抑えてはいますが、元の住人との軋轢は絶えません。
     

 

周辺地域住人も知らないような秘匿されているであろう設定および、不確定な内容などを以下の添付書類に記載します。
filedd5_FR_impiltur1489a_note2.pdf