D&Dの宇宙観『大いなる転輪』

Last-modified: 2020-03-23 (月) 20:29:52

このページはD&D5版で遊ぶためのガイドの一部です。

 

D&Dにおいて、プレイヤーの操るキャラクターは成長に伴って冒険する世界が広がっていきます。
 例えば、立ち寄った村での身近な冒険から、次第に一国の命運を揺るがすような冒険で国中を駆け回り、そして世界中を飛び回るようになっていきます。ときには、事件の背後に世界の命運をたぐり寄せようとする天使や悪魔の働きに気が付き、邪神を倒すためや神々の助けを得るために現世を離れ、異なる世界を旅することにもなります。
 D&Dにおいて、これらの異界とはどのようなもので、そこへ行き来するにはどのようにすればよいのでしょうか?このページではD&Dの宇宙観と、そこに存在する様々な異界「次元界」について説明します。
 このページでの説明の多くはワールドofグレイホークの世界観『大いなる転輪』に基づいています。この世界での冒険は主にオアースという地で行われており、高Lvの冒険になるとこれらの異界とのかかわりが増えてきます。
 D&D5版で主な舞台となるフォーゴトン・レルムの宇宙観は以前は別のものでしたが、現在はグレイホークと同様の『大いなる転輪』宇宙観となっています。説明の中でグレイホーク世界特有の内容には[GH]、フォーゴトン・レルム世界特有の内容には[FR]の注記を付けています。

 

【『次元界』と『次元門』について】
ワールドofグレイホークの冒険の舞台オアースや、フォーゴットン・レルムの世界トリルなどは『物質界』と呼ばれています。海と大地があって様々な生き物が住み、無限に広がっています。
 それに対し、天使や悪魔は「セレスティア」や「九層地獄」といった物質界とは別の世界からやってきています。これらの世界の多くは物質界と空間的につながっておらず、独立して存在しています。それらはの異界は『次元界』と呼ばれ、それぞれの次元界が独自の極端に異なる性質を持っています。
 別の次元界とは物理的・空間的にはつながっていないため、異なる世界に行くためには、次元間を瞬間移動するための魔法を使うか、あるいは異なる次元間を繋いでいる特別な門『次元門(ポータル)』を通る必要があります。この次元門には両方向に行き来できるものもあれば、一方通行のものもあります。

 

【宇宙観の概念モデル『大いなる転輪』】(Great Wheel)
グレイホーク宇宙観には様々な次元界が存在し、その中には似通った性質の次元界もあれば、差の大きな次元界も存在します。一部の次元界は[善]と[悪]、そして[秩序]と[混沌]の性質を持っており、その性質が似通った次元間には互いに多くの次元門が通じています。属性に関する性質が似ており、多くの次元門が通じている密接な次元界を並べると環状になることから、この次元界のモデル図は『大いなる転輪(Great Wheel)』と呼ばれます。
 この図で近くに描かれているからといって、空間的に隣接していることを示しているわけではありません。あくまで次元門などを介して行き来がしやすいということを示しています。
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この図にある様々な次元界が、それぞれどのようなものであるのかを説明します。
 次元界によっては単独で存在せず、幾つかの次元界に分かれてセットで存在します。そのような次元界に含まれているそれぞれの世界を『階層』と呼んでいます。代表的なのはデヴィル達の棲む「九層地獄」で、その名のとおり9つの階層からなっています。

 

[1]【物質界(Prime Material Plane)】;無属性/無限の広がり/階層なし
物質界は冒険の主要な舞台となるオアースの地です。海と陸地があり、様々な生き物が住んでいます。場所によっては火山などがあって火の力が強いところや、冷気の強いところもあります。
 オアース以外にも物質界は存在しています。例えば「フォーゴットン・レルム」や「エベロン」、あるいは「ミスタラ」、「クリン」、「ブラック・サン」、あるいはプレイヤーの住んでいる地球のある世界も存在してるかもしれません。何らかの方法を用いれば、これら他の物質界と行き来することも可能です。

 

【中継界】
中継界は物質界と強く結びついているか、あるいは様々な次元界の隙間に存在する次元界です。これらの次元界は冒険の道具として役立つこともあれば、思わぬ危機を招きこむ入り口となることもあります。

 
  • [2]「エーテル界(Ethereal Planes)」;無属性/広がりは付随次元界による/階層なし
    エーテル界は物質界に結び付いた霧に包まれた世界です。物質界と対応した空間を持ちますが、すべてが薄くぼやけています。この世界の住人はゴーストやフェイズ・スパイダー達です。彼らはエーテル界から物質界へと居所を切り替えることで壁をすり抜け、攻撃を無効化します。
     
  • [3]「影界(Plane of Shadow)」;無属性/広がりは付随次元界による/階層なし
    影界は物質界に結び付いた白黒の世界です。空は太陽も星もない黒い虚空であり、物質界に対応した風景があるがそれはすべて古く不気味にねじくれています。この世界の住人はシャドウやナイトシェイドなどの邪悪な亡者や、シャドウ・マスティフなどの危険な影の獣です。冒険者はシャドウウォーク呪文などを使い、物質界と影界の隙間をすり抜けて素早く旅をすることができます。また、昔の知識を得るために影界を訪れることがあるかもしれません。
     
  • [4]「アストラル界(Astral Plane)」;無属性/無限の広がり、無重力/階層なし
    アストラル界は上下左右、見渡す限り澄み切った銀色の空が広がる果てしない世界です。所々に様々な色の光が幽かに明滅しています。この世界は次元界の隙間に存在する世界であり、明滅する光は様々な次元界に繋がっている次元門です。この無重力の世界にいるものは自分の考えた通りの方向に移動でき、旅人は次元門から次の門へと移動して次元間を渡ります。
     この世界に現住の生物は多くありませんが、この世界を旅しあるいは暮らす様々なものがいます。彼らはアストラル艦艇に乗って銀色の海を旅し、あるいは海賊行為にいそしみます。最も大きな勢力はギスヤンキ達です。かつてマインドフレイヤーの支配を脱した彼らはアストラル界で苛烈な軍事体制を整えています。一方で最も危険なのは出会うものの魂すべてを貪り喰らう巨大なアストラル・ドレッドノートです。
     

【内方次元界(Inner Plane)】
内方次元界はそれぞれ物質界を構成する様々なエネルギーのどれか一種類が渦巻く世界です。物質界の特定の地域はこれらの次元界のどれかと特に強く結びついていることがあります。どの世界も冒険者が準備を整えずに足を踏み入れると立ち往生し、悪くすれば消滅してしまうことになります。

 
  • [5]「正のエネルギー界(Positive Energy Plane)」;無属性/無限の広がり、無重量/階層なし
    正のエネルギー界は世界全体が常に強い波動によって脈打ち、光り輝きながら爆発する世界です。準備をせずに訪れた冒険者の傷はみるみる治っていきますが、流れ込み続けるエネルギーが溢れだして身体を保てなくなります。この世界の原住クリーチャーは少なく、あらゆる物体に生命を吹き込んで動かすラヴィッド達くらいです。この世界には「ホスピス(慈善病院)」と呼ばれる聖騎士と癒し手の研究拠点が存在します。彼らはここで通常では癒せない特殊な症状への治療を提供しています。
     
  • [6]「火の元素界(Plane of Fire)」;無属性/無限の広がり/階層なし
    火の元素界ではあらゆるものが燃えています。地面は炎の塊でマグマの海が広がり、大気は火炎嵐で毒を含んでいます。準備をせずに訪問した冒険者は直ちに燃え尽きて灰となります。ここの住人であるファイアー・エレメンタルは燃えていないモノを見つけると直ちに全力で燃やしに来ます。サラマンダーやエイザー、ファイアー・ジャイアント、イフリートはもう少し友好的で、彼らの拠点へ訪問して武具や財宝、奴隷などの取引も可能です。なかでもイフリートの都「黄銅城(City of Brass)」は全次元界のなかでも特筆すべき強大な都市です。バザーでは様々な魔法の品が販売されています。
     
  • [7]「地の元素界(Plane of Earth)」;無属性/無限の広がり/階層なし
    地の元素界は岩と土でびっしりと埋め尽くされた世界です。準備をせずにこの世界を訪れた冒険者はそのまま埋葬されます。この世界の住人はアース・エレメンタルやゾーンなどの地中移動ができる者たちです。地のジンニーであるダオ、あるいは一部のストーンジャイアントやドワーフもこの世界に住居を作って暮らしています。この世界の住人は縄張り意識が強いですが、適切な手段をもってすれば取引ができます。住人との賭けや取引に失敗したものは奴隷として採掘に従事しています。
     
  • [8]「負のエネルギー界(Negative Energy Plane)」;無属性/無限の広がり、無重力/階層なし
    負のエネルギー界は永遠の夜が続く不毛の虚空です。生命や火、熱などはすべて世界に飲みつくされて消えてゆきます。この世界の住人は少なくまばらですが、そのほとんどがレイスやワイト、スペクターといった亡者です。餌の少ないこの世界で彼らは飢えており、訪問した冒険者には大喜びで襲い掛かってきます。この世界には死人使いの研究拠点や亡者の都があります。そのような場所には危険な悪の秘宝や、あるいは逆に失われた善の秘宝が封印されていることがあります。
     
  • [9]「水の元素界(Plane of Water)」;無属性/無限の広がり、無重力/階層なし
    水の元素界は完全に水で満たされた世界であり、乱反射する光によって照らされています。場所によっては強い水流あるところや、熱水帯、冷水帯があります。準備をせずにこの世界を訪れた冒険者はそのうち溺死します。この世界の住人はウォーター・エレメンタルやトリトン、ジンニーのうちマリード達です。彼らは気まぐれで好奇心旺盛、遊び好きですが、地上からの訪問者を溺死させるような残酷さがあります。マリードらの首都「真珠の城塞」は熾烈な陰謀が蔓延しています、より開かれた「ガラスの都」では訪問者は交易ができます。水の元素界にはオケアノス河やスティクス河との次元門があり、住人からの協力を得られたならこれを使って外方次元界と行き来できます。この世界の深淵にはクラーケンやアボレスが潜んでおり、彼らとの接触は危険なものになります。
     
  • [10]「風の元素界(Plane of Air)」;無属性/無限の広がり、無重力/階層なし
    風の元素界は上にも下にもただ空が広がる空っぽの次元界です。風が吹きすさんで大きな積乱雲が渦巻き、所々に岩や土の塊が浮いています。この世界の住人はエア・エレメンタルやクラウド・ジャイアント、ジンたちなど、みな飛行できるものたちです。彼らはそれぞれ気ままに行動しており、冒険者に対する対応はそれぞれです。ジャイアントやジンたちは岩塊で大きな浮遊城を築いており、運が良ければ極上のもてなしを受けることもあります。
     

【外方次元界(Outer Plane)】
外方次元界は様々な精神的な方向性や思想により成り立っている世界で、それぞれが属性をもっています。また諸神格の住まうところでもあります。一見して内方次元界よりは快適で生存に適した次元界が多いように思えますが、それは表層のみであることがほとんどです。
 死者の魂は、本人の属性と行いによって最終的にこれら外方次元界のどれかに向かいます。彼らは転生して新たに物質界に生まれ変わるか、あるいは「請願者」としてその次元界にとどまります外方次元界を旅する冒険者は、かつて死んだ人々と再び出会うかもしれません。
 外方次元界の第一層には、それぞれ隣接する次元界の第一層に繋がっている部分があり、歩いて渡ることができます。

 

ここでは、まず外方次元界の名前を挙げるに留めます。それぞれの詳細なまた順次に追記します。

  • [11]「七つの層なす天界山セレスティア(Seven Mounting Heavens of Celestia)」;秩序にして善/無限の広がり/7階層
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     無限に広がる聖水の海から、孤高の聖山セレスティアが階層をまたいでそびえたっています。下の階層の最も高い頂に次の階層の最下部に至る次元門があり、階層を登るためにはセレスティア山を登ることになります。それぞれの次元門には門番がおり、善の次元界の中でも最も堅い守りの世界です。秩序にして善の本拠地であるここには多くの天使たち、なかでもアルコンが多く住んでいます。
    • [11.1]「第1階層、“銀天”ルーニア」;ルーニアは銀色にきらめく聖水の海が広がり、ワイン色の暗い夜空に銀色の星々が輝いています。星々の輝きは浜辺と白い石の山脈を明るく照らしています。
    • [11.2]「第2階層、“黄金天”メルクリア」;メルクリアのなだらかな斜面には草が茂り、すべてが黄金色の光に満たされます。
      • 善なる竜神、“プラティナム・ドラゴン”バハムート;善竜を統べるバハムートはこの階層にある宮殿で莫大な財宝と、7体の超巨大サイズにまで成長したドラゴンと共に座しています。バハムートの許しがあれば、第4階層まで意のままに運ぶ風を利用できます。
    • [11.3]「第3階層、“真珠天”ウェニア」;丸みを帯びた斜面のところどころに雪が残り、暖かく澄んだ小川が流れています。段々畑や手入れの行き届いた木立が見られます。
      • ハーフリングの守護女神、ヤンダーラ;“緑なす沃野”を領地としています。ここには兎穴のようなハーフリング達の小さな家が沃野に点在しています。
      • 正義の神、ハイローニアス;“栄光の野”を領地としています。多くのパラディンが集っています。
    • [11.4]「第4階層、“水晶天”ソーラニア」;なだらかな斜面の上には巨大な氷河を戴き、下には豊富な功績を秘めています。谷は光り輝く霧と爽やかな香りに包まれています。
      • ドワーフの守護神、モラディン;彼はエラッキノールと呼ばれる広大な館に住んでおり、ここにはドワーフとその請願者のみがはいることができます。モラディンは炉を操ると一斉にふいごが鳴り響き、彼はドワーフとその武器を鍛え上げます。館の中には地上では見ることができない超絶的な石工の技があると伝えられています。
      • コアトルの守護神、ジャジリアン;ジャジリアンは翼ある蛇コアトルを統べ、混沌の湖から宇宙を創造した世界蛇の片割れといわれる蛇神です。彼の領地、“知恵の門”ウロボロスがここにあり、第5階層と接続しています。
    • [11.5]「第5階層、“白金天”マルティオン」;広大な平原が見渡す限りに広がり、所々にパラディンやセレスティアルの城塞がそびえたっています。
    • [11.6]「第6階層、“光明天”ジョーヴァル」;ジョーヴァルの斜面には大粒のルビーとガーネットが散りばめられ、全体が光り輝いています。
    • [11.7]「第7階層、“光輝天”クロニアス」;クロニアスは謎に包まれています。信用できる記録はなく、足を踏み入れて帰ってきた者もほとんどおりません。
       
  • [12]「対なす理想郷バイトピア(Twin Paradises of Bytopia)」;善/無限の広がり/2階層
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     バイトピアは2つの階層が閉じた本のページ同士のように向かい合って存在するという独特の構造をしています。一方の階層で頭上を見上げるともう一方の階層を頭上に見ることができます。どちらの階層も鋭い山々がそびえ立っており、一部はくっついているところもあります。ここには様々な種類のセレスチャルが住んでいます。最も多いのは地上の生物のセレスチャル版です。
    • [12.1]「第1階層、ドシオン」;ドシオンは二つのうちより文明化した階層で、開墾された牧歌的な雰囲気です。ドシオンに住む請願者は銀毛や金斑の羊を育て、農場を運営します。道端には小さな店と工房が並んでいます。
      • ノームの守護神、“きらめく黄金の”ガール;“滑らかなる手の”カラデュラン、“賢きツグミの”リル、その他ノームの神々の多くがドシオンにある“黄金丘陵”に暮らしています。彼らノームの神々の名前には二つ名のような苗字がついています。
    • [12.2]「第2階層、シューロック」;シューロックはより野性的な階層です。荒々しい地形を持ち、その気候は雪深い冬と混相した酷暑に二分されています。その森林の下の地面には資源が満ちていますが、森を彷徨う強力な獣によって守られています。
       
  • [13]「祝福の野エリュシオン(Blessed Fields of Elysium)」;重度の善/無限の広がり/4階層
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     エリュシオンは目を奪われるほどに色鮮やかで平和な善の次元です。全次元界で最も重度な善の属性を持っているこの次元界の居心地の良さは、一方で恐ろしい影響力をもっています。連続して一週間以上を滞在した者は、心を強く持たないとこの次元に囚われてしまい、自らの意思でここから出ることができなくなります。エリュシオンはオケアノス河の源流です。この次元界から流れ出した河は善の次元界を巡ります。この次元界には多くのセレスチャルが住んでいます。最も多いのはガーディナルと呼ばれる者たちです。エリュシオンの名はギリシア神話における死後の楽園に由来します。
    • [13.1]「第1階層、アモーリア」;アモーリアの緩やかな丘陵地帯の草原に木々の緑、咲き乱れる花、オケアノス河の深い青、すべてが明るい空に照らし出されて色鮮やかです。河岸には小さな町が点在しています。エリュシオンの人口の多くはここに住んでいます。意外なことにこの地では火事や大風、船の転覆などの災害がかなり高い頻度で起こります。これによって住人は他者を助ける機会を得、次々と善行を積むことができます。
      • “天上の獅子”タルエシード;獣の相を持った天使であるガーディナルの長である彼と、狼のルーカン公爵や有翼のウィンドヘア公爵ら5人の副官はこの階層に住んでいます。
    • [13.3]「第3階層、ベリエリン」;ベリエリンは霧の立ち込めた沼地と霧深い湿地からなり、他の階層と大きく雰囲気が異なります。もつれ合ったマングローブの下でオケアノスはゆっくりと流れています。この人気のない階層にも善のエネルギーは満ち、松明などを点けると後光が差し、数少ない町の中心にある灯台の灯りは霧をつらぬいて旅行者の道しるべとなっています。ベリエリンはある危険な存在の牢獄であるといわれていますが、その正体については明らかになっていません。
    • [13.4]「第4階層、サラシア」;この階層はオケアノス河の源流とある大洋です。サラシアには“死せる聖者の島”や“祝福されしものの島”、“アヴァロン丘陵”、“英雄諸島”などの島々が点在しています。ここではかつての善なる英雄が、再び自らの力が必要とされる時を待ち、そのために研究を続けています。
      • 太陽神、“父なる太陽”ペイロア;この太陽と光、治癒を司る上級神はこの階層の“太陽の要塞”を領地としています。この要塞は常に灯台のように輝き、100マイルを明るく照らしています。
         
  • [14]「百獣の原野ビーストランズ(Happy Hunting Grounds, Beastlands)」;善/無限の広がり/3階層
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     ビーストランズはあらゆる束縛から解放された大自然の次元界です。苔に覆われたマングローヴから雪にたわんだ松、光を通さぬほどに茂ったセコイアの大森林まであらゆる森が発達しています。ビーストランズの3つの階層ではそれぞれ昼と夕方、夜に時間が固定されており、その時間帯が永劫に続きます。この次元界では、住人である狩人と知性を持った野生の捕食者や被食者が狩りを行っています。狩られたものは蘇り、この狩りは永劫に続きます。
    • [14.1]「第1階層、クリガラ」;クリガラは永遠の昼が続く森で、棲んでいるのは昼行性の動物です。オケアノス河が森を急流となって流れ、森の中の各所に三日月湖をなしています。ときに雷雨が起こり、クリガラに住む獣たちが雨宿りの場所へと追い立てられます。
      • 森の女神、アローナ;森の奥深くの“ユニコーンの森”がアローナの領地です。この森にはその名の通り、ユニコーンの群れが住んでいます。
      • ケンタウロスの守護神、スケリット;彼は森の中にある小屋やテントに住むケンタウロスたちと暮らし、しばしば祝宴を呼び掛けます。
    • [14.2]「第2階層、ブルークス」;ブルークスは永遠の夕方が続く森です。クリガラよりは涼しく、霧や露が木々の下に渦巻いています。ブルークスに住んでいるのは朝と晩に活動するような動物です。
    • [14.3]「第3階層、カラススラ」;カラススラは永遠の夜が続く森です。ゆっくりと満ち欠けする銀色の月が空にかかり、星々が取り囲んでいます。ブルークスに住んでいるのは危険な夜行性のクリーチャーです。カラススラは影界とつながっているという話があります。その場合、シャドウ・マスティフや他の影界の怪物がこの森を徘徊しているでしょう。
       
  • [15]「気高き緑の地アルボレア(Olympian Glades of Arborea)」;混沌にして善/無限の広がり/3階層
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     アルボレアは気が狂いそうなほどに鮮やかで変わりやすい気候と多彩な環境が隣り合いながら繁栄する次元です。この世界は妖精やエルフが住み、自然の中に優雅な美を溶け込ませています。アルボレアではいつもどこか遠くから音楽ような音色が聞こえてきます。英語の二つ名にあるギリシア神話の神々とニンフの住むオリンポス山がこの次元界のモチーフになっているようです。
    • [15.1]「第1階層、アルヴァンドール」;アルヴァンドールには天に向かってそびえ立つ巨大な落葉樹の森が広がり、その下には起伏に富んだ台地があります。草木は色鮮やかな花を着け、世話する者がいなくとも芳醇な実をつけ、畑には穀物が実ります。ここには多くのエルフやエルフの神々が住んでいます。
      • エルフの守護神、コアロン=ラレシアン;森の中に広がる“セラダラインの館”にコアロンや妻である月虹のセイハーニンらの宮廷がこの地にあります。館に招かれて饗宴を共にできるのはエルフとその盟友だけです。
    • [15.2]「第2階層、アクアロール」;第2階層は果てしない大海が広がっています。水の元素界に似ていますが、海面と海底があります。海の天候はとても変わりやすく、しばしば激しい嵐が発生し、強い潮流が流れています。水中には小さなものから巨大なものまで多くの生き物が住み、海上を帆船が航行します(素材がどこから来たのか謎ですが)。オケアノス河の水はこの海に流れ込み、大海の大渦の中に流れ込みます。一説には、この流れがオケアノス河の源流になるという説もあります。
      • シー・エルフの守護神、深きサシュラス;この階層はサシュラスの住まいです。彼の領土の水は青く澄みわたって光り輝き、珊瑚と黄金に満ちています。ここに辿りついた者をサシュラスは手助けします。
    • [15.3]「第3階層、ミサルディル」;ミサルディルは白い塵の砂漠が広がる階層です。この階層はかって雄大な森林が広がり、巨神たちが住んでいたと伝えられています。ミサルディルの天候も激しく変わり、雷を伴う砂嵐がすべてを吹き散らして砂に埋めてしまいます。砂嵐によって巨神の残した巨大な光塔や墳墓が砂漠の中から現れ、また埋もれていきます。巨神の秘密を求めてここを旅する者もいますが、いずれ絶え間なく吹き付ける風に削られて塵と化していきます。
       
  • [16]「英雄界イスガルド(The Heroic Domains, Ysgard)」;混沌/無限の広がり/3階層
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     イスガルドの果てしなく広がる大空には広大な大地が浮かび、どこまでも流れていきます。大地の大きさは島くらいのものから、大陸に匹敵するものまで様々です。浮遊する大地の山々は峻険にそびえ立ち、辺縁の山脈に囲まれた海が湛えられています。フィヨルドは深々と刻まれ、洞窟の奥にはドワーフが工房を造り、エルフの聖なる森が広がり、川は大地の間を宙に浮いて流れます。流れる大地は頻繁に他と衝突し、結合したり裂けて分裂したりします。 季節の変化は激しく、冬は闇に包まれて凍てつき、夏は晴れ渡って酷暑に包まれます。
     イスガルドに住む請願者は戦いで死んだ戦士たちです。彼らは栄光の野で永遠に戦い続けます。イスガルドで負った傷はみるみる治るので戦いは長く続き、死んだ者は翌朝に蘇って再び戦いに参加します。
     イスガルドの様々なところに宇宙樹ユグドラシルとの繋がっているところがあります。ユグドラシルを登って階層を移動したり、他の次元界に渡ることができます。イスガルドは北欧神話と欧州の妖精譚に語られる妖精の国がモチーフになっているようです。
    • [16.1]「第1階層、イスガルド」;最上層のイスガルドは最も良く知られ、多くのものが住んでいます。浮遊する大地には荒々しい山と海、深い森と戦場となる平野が広がります。
      • 剛力の神、コード;広大なアイダ平原にある“豪勇の館”に“喧嘩屋”コードが住んでいます。コードはこの館で宴をひらき、次々と旅人が参加してまた立ち去っていきます。宴の大騒ぎは終わることなく、頻繁に腕比べのレスリングや戦いが発生します。場を盛り上げるため、コードが戦いに乱入することもあります。
      • 盗賊神、オリダマラ;“笑うローグ”オリダマラのアジトがイスガルドにあります。アジトは様々な文化圏の建築様式をごちゃ混ぜにしたでたらめな構造をしており、内部はダンジョン化しています。大広間では宴が催されて幅広い分野と地域出身のローグやバードらが集まり、問答無用で参加させられます。オリダマラは宴の中に変装して紛れていますが、しばしば抜け出していたずらを仕掛けに遠出します。
      • アールヴヘイム;太陽の光に満ちた森の山の地域で、エルフの生者と請願者が住んでいます。この地は光と喜びに満ち、絶望に包まれた訪問者も希望を取り戻します。夏の日は長いですが、冬は暗い極寒に包まれ、エルフ達は煌びやかな洞窟に退避してこもってしまいます。
    • [16.2]「第2階層、ムスペルヘイム」;“火の国”ムスペルヘイムは炎に包まれた階層です。炎が吹き荒れる空を火山が浮遊し、溶岩が流れ出します。山々の尾根には沢山の尖塔や城塞が立ち並び、なかでは数百ものファイアー・ジャイアント氏族が住んでいます。彼らはいつも敵対氏族や外敵と戦い続けています。
    • [16.3]「第3階層、ニダヴェリール」;ニダヴェリールは温泉や間欠泉で温められた洞窟が縦横無尽に走る地下世界です。大洞窟には地熱で育つ奇妙な木々からなる地下森林が広がり、水晶の鉱脈が闇の中に煌めきます。ニダヴェリールの大部分はドワーフとノームの王国が占めていますが、スヴァルトアールヴヘイムにはドラウ達が住んでいます。このドラウ達はドワーフらと険悪ですが、さほど邪悪ではありません。
       
  • [17]「無情なる混沌の忘却界リンボ(Ever-Changing Chaos of Limbo)」;重度の混沌/無限の広がり、無重力/階層なし
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     リンボは純粋な混沌の次元界です。階層も一定の重力も無く、すべてが変化しながらかき回されています。リンボには炎や水たまり、地塊が漂い、ときに激しく流動します。ここで魔法を使用すると予期せぬ暴走が起こります。リンボにはスラードとギスゼライなどの原住クリーチャーが住んでいます。リンボの請願者はわけのわからないことをつぶやいては笑い声をあげ、漂います。
    • ギスゼライとゼルスアドラン修道院;ギスゼライは痩せて素早く忍耐強い人型生物です。はるか昔にマインドフレイヤーの奴隷から脱した彼らは、リンボに移り住みました。彼らはリンボの混沌を克服すべき苦難の一つと考えています。ギスゼライは岩塊に都市や修道院を建築して暮らしています。数ある修道院の中で最も高名なのがゼルスアドラン修道院です。ベルソマイス先生が教えるゼルスアドラン流拳法の達人は一瞬先の未来を見通すと言われています。一定の重力が無いため、修道院はの部屋はあらゆる表面が床として用いられ、立体的な構造になっています。
    • スラードと産卵石;スラードは直立したカエルじみた姿をした生物で他の種族を苗床にしての産卵や、スラード化の病気で増殖する恐ろしい生物です。彼らの侵略を受けた区域はまたたく間にスラードまみれになります。彼らは生まれ故郷のリンボに適応しており、混沌の中を自由自在に動き回ります。彼らの最大の生息区域は“産卵石”と呼ばれる巨大な岩塊です。ここでスラードは狂乱の仲、互いに卵を産み付けあって際限なく増殖します。産卵石は強力な“石の守護者”によって守られています。
    • スラード王(と女王);スラード王はスラード種の支配者です。混沌のクリーチャーである彼らは通常のスラードと大きく異なる存在です。
      • “狂気の女王”スセンダム;最古にして最強のスラード女王。スセンダムは黄金色の脳を浮かべた巨大なアメーバの姿をしています。彼女に知性は存在せず、出会った者をすべて飲み込むのみです。しかし、ときに黒い剣を持った剣士になることや、かって産卵石襲したに大量のデーモンを一瞬で消滅・敗走させたと言われています。
      • “エントロピーの王”イゴール;イゴールは黒い肌で大鎌を手にした人型生物の姿で現われます。スセンダムに次いで古く、実質的なリンボの統治者です。スラードを現在のカエルのような姿にしたのは彼です。イゴールは邪悪ではありませんが、極めて危険です。スラードの拡散によって多元宇宙に死と崩壊、腐敗をもたらします。
      • “偶発の王”チョウアスト;チョウアストは身長20ft程の白いスラードで、まばらに棘があります。気まぐれで衝動的、ギスを細かく引き裂いて遊んでいたかと思えば、次の瞬間には花の香りに夢中です。好奇心旺盛なチョウアストは様々な次元界を訪問します。以前はメカヌスに向かい生還したこともあります。疑い深いイゴールも彼の行動を楽しんでいます。
      • “色彩の王”レンブウ;レンブウは芸術家きどりのスラード王で様々なモノの色を書き換えることをアートとしています。竜やスラード達の色も塗り替えるため評判が悪く、人望がありません。彼の審美眼に適った相手には友好的に接します。
      • “炎をもたらすもの”バズィム・ゴラグ;バズィムは暁の巨神のひとりで巨大な双頭の赤いスラードの姿をしています。グレイヴを手にし、黒い炎をを司ります。
      • “混沌の王”ワートル;ワートルはモーニングスターを手にしたまだら模様の小さなカエルのようなスラード王です。イゴールによってセレスティアの海に封じられています。
         
  • NEW! [18]「風吹きすさぶ魔窟パンデモニウム(Windswept Depths of Pandemonium)」;混沌/無限の広がり/4階層
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     パンデモニウムは縦横無限に広がる地中に無数のトンネルが走る次元界です。重力は最も近い壁面に向かって働き、ところによっては無重力になっています。トンネルは唸りを上げる風に抉られてできた風穴です。太陽も無く閉ざされた闇の中、騒音と共に吹き抜ける風に火も話し声もかき消されます。無防備な旅人には埃と瓦礫が突き刺さり、風にさらわれた身体は壁に叩き付けられて壁の染みとなります。パンデモニウムに吹く風は哄笑や悲鳴をあげ、これを耳にしたものに狂気をもたらします。
     パンデモニウムには魔物やワイトなどのアンデッドの他、“流刑者”と呼ばれる人間やドワーフ、ドラウや巨人などの集団が暮らしています。彼らはかつてそれぞれの種族から追放された者たちの末裔であり、それぞれのとびきりのクズ共が揃っています。
    • [18.1]「第1階層、パンデスモス」;この階層には大きな洞窟があり、なかには幾つもの国が入ってしまうようなものはあります。壁面の一部にはくぼみに沿って川が流れますが、重力の釣り合ったところでは空中を流れます。これらの川のなかにはスティクス河の支流があります。
    • “乱痴気館”;“荒涼党”と呼ばれる魔物たちが運営している城塞都市で、旅人達の宿場町です。無秩序に広がった建物が巨大な石壁で仕切られています。普通の町で支給されるような大抵の経済活動が行われていますが、ここの住人の多くは狂人か耳が聞こえません。
    • “冬の間”;この地域は雪に覆われており、吹雪が吹き続けます。数フィートしか視界の通らない闇の中を、壁から剥がれた氷塊が叩き付けられています。ここには霜の巨人とウィンター・ウルフが徘徊します。
    • [18.2]「第2階層、コキュートス」;ここの洞窟はより狭く、そして風は更に強くなっています。風はむせび泣くような音を鳴らし、“哀歌の階層”とも呼ばれます。
      • 遠吠えの岩場;この階層の中心に大岩がノコギリのように立ち並び、周りに無数の穴が続いています。どの穴にも不思議な聖歌や祈祷文、詩文、数式、構造式が壁面いっぱいに書かれています。ここの頂上の壇とそこにいる者はかすかな青い光に包まれ、そこで上げた叫び声は風に乗って飛び、“大いなる転輪”を巡り、伝えたい相手の耳に届くと言われています。
      • ハーモニカ;途方もなく大きな円柱の間を吹き抜ける風が全次元界で最悪の騒音を響かせるところです。この石柱と騒音には次元界移動の奥義が隠されていると言われており、それを求めて斃れるものは後を絶ちません。
    • [18.3]「第3階層、プレゲトン」;この階層の洞窟はますます狭く、風も強くなっています。この階層には一定方向の重力が働いており、天井や床には石筍と鍾乳石が牙を剥いています。この階層には多くの地下水脈と地底湖があり、風の唸りに水滴の響きと水流が加わります。
      • 流刑者の都市、ウィングラム;数マイルの広さを持つ洞窟を、何本もの天然の石柱が支えており、幾つもの燃える球体が無秩序に広がる家々を照らしています。ここには様々な流刑者の集団が暮らしていますが、人々は疑い深く精神は不安定です。ただし“鱗犬”という宿だけはよそ者を歓迎しており、ここでは次元両者が情報を交換し、傭兵が仕事を求めています。
      • 殺戮の神、エリスヌル;ここにはエリスヌルの住まい“殺戮の城塞”があります。この巨大な廃墟の城塞の曲がりくねった通路に吹く風には常に戦いの音が響き、戦いに狂った者たちが互いを駆り立てようと武器を持って徘徊します。瓦礫の中心にエリスヌルがおり、人々の繰り広げる殺戮を楽しんでいます。ときに様々に姿を変えながら戦いに混じり、彼が血を流すと、その血からその時に姿を取っていた種族の者が生まれます。
    • [18.4]「第4階層、アガシオン」;この階層はトンネルが狭くなり、途切れています。それぞれに閉鎖された洞窟はあるいは真空であり、別のところは毒の空気に満ちています。この泡のような空間を移動するのには転移門を使用する必要があり、そのときには暴風が発生します。転移門の繋がりを知らない者にはこの階層の閉鎖洞窟を見つけるのは不可能であり、様々な神格などがこの空間を隠れ家や、危険な秘宝、特別な秘密、危険な怪物の封印の場所としています。
      • “狼蜘蛛の”ミスカ;はるか昔、混沌の軍勢と秩序の軍勢の全次元の存亡をかけた戦いにおいて、混沌勢を率いた将軍が当時プリンスofデーモンズの“狼蜘蛛の”ミスカです。秘宝“ロッドofセヴン・パーツ”によって敗北した彼は、パンデモニウムのどこか(おそらくアガシオン)に封じられています。
         
  • NEW! [19]「無限の階層なす奈落アビス(Infinite Layers of the Abyss)」;混沌にして悪/広さは様々/無限階層
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     すべてが醜く邪悪、それぞれ異なる無限の多様性をもつ悪と混沌の次元界です。アビスの各階層ごとに固有のおぞましい環境を持ち、無限に連なっています。階層毎の共通点は少なく、暮らし辛くて無数のデーモンが徘徊していることだけです。
     アビスはデーモンの故郷です。彼らはアビスから無限に湧き、悪行と変異を繰り返して強力になります。彼らはアビスを訪れる訪問者たちを食料か玩具程度にしか思っていませんが、まれにデヴィルとの流血戦争や物質界への陰謀の道具として活用します。デーモンにはいくつかの種類があります。より古く混沌寄りの古代種のオビリスと、現在の主流であるタナーリ族です。幾人かの強力なデーモンはオビリス族であり、彼らは宇宙創世期の秘密を知っています。
     各階層は強力なデーモン・プリンスや神格が支配しています。彼らは自分の支配階層を意のままに変貌させます。彼らは善の勢力やデヴィルのような秩序勢力、競争相手のデーモン・プリンスなどあらゆる者と敵対します。無数の手下を侵略に送り込み、陰謀を仕掛けます。また、信奉者の祈りから力を得るため、物質界にカルト団を作ろうと謀ります。
     はるか昔、タナーリ族の興り始め、際限なく増えたデーモンは“混沌の女王”に率いられてアビスから溢れ出し、“狼蜘蛛の”ミスカを将軍として全宇宙を浸食しました。対抗して天使たちからデヴィルに至る秩序の勢力は結集し、決戦になりました。秩序勢力の“アーカの風の公爵”らは秘宝“ロッドofセヴン・パーツ”を用いて、混沌に勝利し、侵攻を食いとめました。それ以降、アビス全体がまとまったことは無く、それぞれデーモン・プリンスらが抗争を続けています。
     以下、アビスの階層について良く知られた階層に絞って記載します。文中に[ta]とあるのはタナーリ族、[ob]はオビリス族であることを示します。
    • [19.1]「第1階層、“千門平原”パズニア」;荒れ果てた荒野の上空に巨大な地片が浮遊し、飛行デーモンが徘徊します。頻繁に熱風や疫病が発生して、デーモン以外の住人は苦しみます。岩がちな渓谷の底にはスティクス河が流れ、より深い階層に流れ落ちていきます。この階層には無数の次元門が存在しています。他の次元界に繋がっているものや、奈落のより深い階層へ直通しているものなど様々です。中央にグランド・アビスと呼ばれる巨大な亀裂があり、その壁面には特に奈落の様々な階層との次元門が多く開いています。
      • “下層空中諸王国の公王”パズズ[ob];。猛禽の頭に4枚の翼、サソリの尾を持つ剣士の姿をしています。熱風と蝗害、疫病と欺きを司り、テュポーンやイムドゥグドといった異名であらゆる世界に現われます。彼は悪の次元に住む全ての翼持つものから敬意を払われます。
    • [19.4]「第4階層、“グランド・アビス”」;第一階層の地割れは果てしなく深き、これ自身が一つの階層をなしています。断崖の壁面には無数の次元門が開き、他の階層などに繋がっています。この階層の領有権は抗争中で、常に戦場となっています。
    • [19.12]「第12階層、“十二本木”」;狭い階層で、巨大な十二本の古木が円状に並んでいます。タナーリへの世代交代のとき天上界と平和会議のために12人の天使がアビスに訪れました。タナーリは使者を木に縛り付けて生贄にし、以来ずっと絶叫が響いています。ここでの悪の儀式は強力なものとなり、すべてのデーモンから聖地として尊重されています。
    • [19.14]「第14階層、蒸気の沼地」;蒸気の立ち込めた腐敗した海が広がり、そこから広大な岩山が屹立しています。岩山の洞窟は迷宮となっており、内部の城塞に繋がっていると言われています。
      • “混沌の女王”[ob];肥満した女の上半身に無数の触手が伸びる下半身、その奥には鋭い牙の生えた嘴があるといわれています。最古にして最強のオビリス・ロードであり、はるか昔に混沌の勢力を率いて法の勢力との戦いを起こしました。姿を消したあと第14階層に潜んでいるといわれています。
    • [19.23]「第23階層、“鉄の荒野”」;吹雪が吹き荒れ、険しい山と氷の裂け目が連なる厳しい土地です。吹きすさぶ風が鳴らす絶叫が響きわたらせ、霜巨人とフロストワームが荒野を徘徊します。氷河の谷にある“ストルドッター門”はイスガルドのヨトゥンヘイムおよび宇宙樹ユグドラシルと繋がる次元門です。イスガルドとの戦争で死んだ無数の霜巨人の死体が散乱しています。門の建設の際に生贄にしたコシチェイの娘とワルキューレが融合した魔物が門の近くを徘徊していると言われています。
      • “怒りの王”コシチェイ;歪んだ奇形の霜巨人の姿をしています。怒りと力、冬を司ります。コシチェイは様々な次元界に出没して霜巨人の部族を支配下に置き、あるいは見かけた山を登山隊と共に登頂して征服します。戦闘では凄まじい激怒と共に両手ハンマーで敵を粉砕します。彼の配下のほとんどは霜巨人です。彼の背後には魔女王イグウィルヴの存在が噂されています。
    • [19.45]「第45,46,47階層、“三重領地”アザクラド」;第45階層ラウエンドは灰色の空を持つ無音の世界、毒蛇の森が広がります。第46階層シャドウスカイの大地が怪しく光り、空に影を落とします。第47階層ヴォールズトの青い太陽の下で炎は青紫で冷気を放ちます。これら3つの階層は首都ゼラタールと“塩の河”、首都ゼラタールなどを楔に結合して一つになっています。
      • “暗黒のプリンス”グラズト[ta];獣の蹄と6本の指、漆黒の肌をもつ剣士の姿をしています。欺きと誘惑を司り、恐るべき剣技を誇り、3階層という最大領地を持つプリンスです。多くのプリンスと激しい抗争を続けており、物質界にも密偵と陰謀を張りめぐらせています。デモノミコンの著者である魔女王イグウィルヴとの間には愛憎に満ちた同盟関係があります。
      • 三重都市ゼラタール;第45階層フォッグタウンと第46階層ガレンガスト、第47階層ダークフレイムの3つが結合した複合都市です。アビスでも最も巨大な都市であり、グラズトはこの町で商人を保護するよう命じています。このため取引や秘密の会合、隠棲に用いられます。
    • [19.66]「第66階層、“ザ・デーモンウェブ・ピット”」;白い石版の床とクモ糸の壁で作られた網状の無重力階層です。石板には虐げられた人々の姿が紋様になり、身じろぎしています。網の外は混沌が広がり、身を晒したものは引きずり込まれて消失します。階層には他の次元界とのポータルが隠されており、あるいは他次元の都市や地域が丸ごと引きずり込まれているところもあります。この階層には無数の蜘蛛とデーモン、ドラウが住んでいます。
      • “蜘蛛の女王”ロルス;かつてはエルフの主神コアロンの妻でしたが、エルフ神格を裏切ったことにより、クモの半身をもつドラウの女神となりました。ドラウとクモを支配し、地上とエルフを破滅させ、信者に過酷な試練を課すことを好みます。
    • [19.73]「第73階層、“暗黒の井戸”」;閉じられた岩がちな土地で、岩山の中に黒い液体が溜まっった底なしの穴があります。穴の中には様々なデーモン・プリンスや忘れられた神が沈められているます。穴の縁とそれぞれの穴を結ぶ道には石の通路が伸びています。漬けられている者は脱出できませんが、近づくと幽かなテレパシーを感じます。これらの風景を岩山の頂にある“見晴らし塔”が睥睨しています。
    • [19.88]「第88階層、“大口”」;この階層は主デモゴルゴンの性質を表した二つの側面を持ちます。鬱蒼とした密林には狂暴な獣の様な魔物やカルト団が棲み、無限に広がる海洋と“塩の湿原”には水棲の魔物が潜んでいます。首都は密林都市レモリアックス、
      この都市では常にデーモンが絶叫し、暴動中の住人が殺し合っています。デモゴルゴンは海面に突き出た双塔アビズムに棲み、深淵はダゴンの領地が潜んでいます。
      • “プリンスofデーモンズ”デモゴルゴン[ta];狒々に似た双頭と二分岐した触手状の腕と尻尾、鱗を筋肉質の身体に生やした巨体を持ちます。狂気と野蛮、鱗、堕落を司り、純然たる力で最強デーモンの称号、“プリンスofデーモンズ”を保持しています。視線を見るものを発狂させ、尾や触手に打たれた肉は生命を吸収されて萎び、二つの行動を同時にとります。双頭は互いを支配するべく内部抗争を続けています。デモゴルゴンは狂気の発想で様々な悪種族を発明し、次元界にばら撒いています。その強力さと裏腹に彼らは直接対決を蔑んでおり、無数の手下と同盟を駆使します。彼らの信奉者は人間には多くありませんが、トログロダイトなどの野蛮な生き物に蔓延しています。
      • “深みの王”ダゴン[ob];無数の触手の腕と下半身を持つ、巨大な魚人かウミヘビのような姿をしています。混沌と狂気、水を司り、光無き海の深淵に住む者を守護します。デモゴルゴンと同盟を組んで深淵に帝国を築いています。彼はとくに古いデーモン・プリンスであり、捧げものと引き換えに太古の知識を授けます。ダゴンと相対する者はその強力な触手の前に、狂気と滅びの歌に晒されます。
  • [19.113]「第113階層、“死の腹”タナトス」;日の射さない黒い空にかかる巨大な月に照らされた荒廃した階層です。ここでは生者は生命を削られて死に、屍は亡者として黄泉返ります。荒野を徘徊するモノも、首都ラクリモウザやオルクスゲート、“まっすぐカーヴの都”などの街に暮らしているのも亡者とデーモンばかりです。荒野を流れるスティクス河は“凍てつく海”に流れ込みます。その分厚い氷の中にはかつての廃墟や船の残骸が埋まっており、深みには水棲の怪物が潜んでいます。氷上に建てられた“死者の都”ナラテュルは独立した亡者が暮らしており、冒険者が助けを得られる数少ない都市です。オルクスは最終丘陵の先にある骨粉の砂漠の果て、骨の城塞エヴァーロストに住んでいます。
    • “亡者の王”“流血公”、オルクス[ta];雄羊の頭と脚、蝙蝠の羽根、肥満した巨体をしています。死と亡者を司り、亡者を操ります。死の力を持つ髑髏の棍棒、“ワンドofオルクス”を持ち、これを振るって戦います。オルクスは定命の者が破滅する様を楽しむために、この秘宝を貸し与えることがあります。オルクスは幾度も殺害され、そのたびにより強くなって黄泉返ってきました。オルクスは神々を呪い、生者を憎み、亡者を蔑み、この世の全ての滅亡を渇望します。頻繁に他の領土に無数の亡者の軍勢を送り込みます。オルクスは無数の亡者と死人使いに崇拝され、物質界にカルト団があります。全デーモンの中で最も神位に近いのがオルクスです。
  • [19.176]「第176階層、“虚ろの中心”」;大陸程度の大きさの閉じられた世界です。刃のような峰の山脈と、むせび泣く肉の樹の森、赤い“血の砂丘”、汚水が満ちた“虚ろの海”からなります。かっては無限の大きさを持ちましたが、フラズ・アーブルが他のプリンスに裏切られて“狂大魔道士”ザギグに封じられている間に他のプリンスに引き裂かれ、奪い取られました。
    • “欺きの王”フラズ・アーヴル[ta];大きな青白い猫背の身体に、鋭い爪と異様な大きさの口に生えた牙と黒い翼を持ちます。欺きと幻、誘惑と裏切りを司ります。フラズ・アーヴルは魔術と鋭い爪で戦いますが、最悪の能力は他のデーモン・プリンスを欺いて招来する力です。彼と戦う者は突然呼び出されて怒り狂う他のプリンスと相対することになります。そのせいもあり彼は他のプリンス達と険悪です。フラズ・アーヴルはザギグにのせいで大変な人間嫌いです。
  • [19.222]「第222階層、シェグダラー」;あらゆる種類の巨大な植物とキノコが密生する生命力にあふれた世界です。森の中を植物や粘体クリーチャー、ザグトモイの犠牲者の魂がさ迷っています。この階層の地上はザグトモイが、地下はジュイブレクスが支配して激しい抗争を続けています。
    • “キノコの女王”“腐朽の貴婦人”ザグトモイ[ta];人型のキノコの塊で姿で、長い菌糸と傘の連がドレスのように広がっています。腐敗と欺き、キノコを司る弱小プリンスです。彼女は力を得るために物質界でカルトを組織するために長年努力し、結果として、人間は樹木を崇拝してもキノコを崇拝しないことを理解しました。現在は他の寺院を偽装カルトに変質させることを得意としています。身近な寺院がザグトモイに浸食されていることさえあります。グレイホーク世界では、彼女は半神アイウーズの伴侶です。
    • “顔なき王”ジュイブレクス[ta];。周囲に偽足を伸ばした大きなスライムの塊で、内部に無数の目が浮いています。堕落と粘体、暴食を司ります。ジュイブレクスはただ存在することを望み、ウーズを大量にまき散らしながら全てを殺害、腐蝕します。信者のことを認識しているのかも怪しいですが、カルト団は存在ます。彼の手下は狂人のほか、ウーズやスライムばかりです。
  • [19.422]「第422階層、“イーノグフの領地”」;この階層の名前は支配者の語彙力を示します。赤い太陽にさらされた黒ずんだ荒野と灰色のサバンナ、枯れかけの木の森林が広がります。無数の死骸が埋まる荒地をノールやハイエナ、デーモンが徘徊しています。イーノグフは奴隷の引く移動宮殿に載って階層を巡察します。どろどろと汚れた海には逃亡奴隷と造反ノールが艦隊を組んで放浪しています。
    • “野蛮の王”“虐殺の獣”イーノグフ[ta];ハイエナの頭と脚を持つ痩せ細った大きな獣人の姿、3つ頭の巨大なフレイルを持っています。彼が司るのは獣と怒り。ノールの守護者であり、繁栄させようとします。戦いでは唸り、叫びながらフレイルを振り回します。弱小プリンスですが、グール王ドレサインを配下にしており、ノールの他にグールにも配下がいます。以前に因縁のあるマルカンテトとバフォメットとは大変い仲が悪いです。
  • [19.471]「第471階層、アンドロリネ」;ここは暗く堕落した魔物の世界と、美しく花の咲き誇る妖精の世界が入り混じる階層です。はるか昔、“青ざめた夜”によって攫われたアルボレアの妖精の子供たち数千人がこの階層に囚われ、それ以来、救出にきた妖精たちとの戦いが果てしなく続いています。森に開いたアルボレアへの次元門から妖精たちが軍勢を造り、メラトンベルクやパスコレルの街を守り、ホッペンシュテイン川を挟んだ城塞都市ゴルメンディゴリアのデーモン軍と対峙しています。
    • “青ざめた夜”[ob];白いベールを纏った幽霊のような姿をしています。堕落と知識を司り、“デーモンの母”の二つ名がある太古のデーモンですが、正体は謎に包まれています。ベールに隠された真の姿を見た者は即死します。彼女は第600階層にも領地を持ちますが、バフォメットとは住み分けています。
  • [19.570]「第570階層、シェンディラヴリ」;永遠の夕暮れに包まれ、雄大な山脈と森、海が広がる美しく優雅な階層です。しかし、その裏には堕落が渦巻いています。木々は肉食植物で中毒性のある実をつけ、空中庭園には拷問室と研究室が並びます。淫魔や奴隷ら全ての者が堕落と淫行の限りを尽くし、都市の地下に広がる闇の中では謀反者たちが陰謀を企てます。海沿いにある記念アーチには600日ごとにマウア城の魔女エルーヴィアが訪問すると言われています。
    • “サキュバスの女王”マルカンテト[ta];刃のような蝙蝠の翼と角、尻尾の生えた黒髪の美女の姿をしています。誘惑と欺きを司り、快楽で人を堕落させて破滅させます。彼女は無数のサキュバスとインキュバスを配下に持ち、物質界には彼女に使えるカルトがたくさんあります。彼女とパズスの間には特に危険な淫魔の娘が何人かいる一方、デモゴルゴンとの子供は恐るべき怪物です。
  • [19.600]「第600階層、無限迷宮」;捻じれた通路と罠の仕掛けられ石造りの迷宮が果てしなく続く階層です。迷宮を怪物が徘徊し、迷い込んだものを殺戮します。バフォメットは迷宮宮殿リクティオンで陰謀を練るか、“科学の塔”で新しい発明に時間を費やします。飽きたときは永劫に渡って虐殺の血が染みつく真鍮競技場で殺戮を楽しみます。無限迷宮の一角には“青ざめた夜”の骨のしろが建っています。危険極まりない階層ではありますが、ここには他に繋がる次元門がいくつもあり、迷宮を彷徨う定命者が住み、脱出路を探しています。
    • “獣の王”“角ある王”バフォメット[ta];人身牛頭の巨大なミノタウロスに似た姿をしており、ギザ刃のグレイヴを手にしています。怒りと力を司り、ミノタウロスの守護デーモンです。獣に邪悪な知性を与えるともいわれます。戦いでは恐ろしい咆哮と邪水のブレス、角と武器に加え、異次元迷宮に送り込む力を持ちます。彼のカルトは蛮族などの間に広まっています。“青ざめた夜”とは同盟を組んでいる一方で、グラズドとイーノグフとは激しく抗争しています。
  • [19.663]「第663階層、シオニン」;。無数の蟲が荒らし廻る人を寄せ付けない広大な大地と分厚い松脂の海からなります。
    • “蟲の王”オボクスオブ[ob];無数の鋭い脚が生えたサソリの体、尾の先端に長い舌を持つ六つ目の人頭。サソリの頭の代わりに先端が尖った触手が3本生えています。蟲と破壊、混乱を司ります。その姿と鳴り響く不協和音は狂気を引き起こし、毒針から混沌を注ぎこんで変異させます。かつてはプリンスofデーモンズの称号を持っていましたが、タナーリ隆盛の際、“混沌の女王”に殺されて奪われました。その後、彼はシオニンに潜んで復活し、復讐の機会を伺っています。
       
  • NEW! [20]「深き暗闇の幽閉界カルケリ(Tarterian Depths of Carceri)」;悪/無限の広がり/6階層
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     カルケリは球状の大地が数珠のように無限に連なっている次元です。それぞれの球状大地の直径は160kmほど。大地の中から光が漏れて灯りとなり、重力はそれぞれの中心に向かって働き、互いに接触しない位置を保ちながら緩やかに動いています。それぞれの球状大地の中心部に、より深い階層の対応する球状大地への階層転移門があります。これを発見できれば、深い階層に移動できます。すべての球状大地の階層転移門が辿りつける位置にあるとは限らないため、この次元界を旅するのには数珠状の大地の移動と階層転移門の行き来する必要があります。
     他の次元界からカルケリにつながる次元門は、知られている限り全てカルケリへの一方通行であり、カルケリに入ったものは出れません。この一方通行と階層構造が合わさって、カルケリ全体が巨大な迷路牢獄となっています。カルケリから出る手段は最深部のみにあり、それを握っているのはただひとり、死と亡者を司る神ネルルです。
     それぞれの球状大地の様子は階層ごとに違いますが、一見してさほど危険なものに見えません。カルケリは暗闇と絶望、裏切の次元です。一見して安全な風景の裏には危険が潜み、住人の全てが悪意を隠して裏切りの機会を狙っています。
     カルケリのモチーフはその英語の二つ名の通り、ギリシア神話で語られる魔物が封じられるタルタロスの谷でしょう。この谷には巨神族を始め、テュポーンやエキドナなど、恐ろしい魔物の数々が幽閉されていました。
    • [20.1]「第1階層、“巨神のすみか”オルトリュス」;沼地と流砂の土地で、スティクス河が全域に流れています。沼地から突き出る陸地は険しい山脈になっています。沼地には蟲が群れをなし、山頂には怒り狂った巨神族(ティタン族)が住んでいます。もし、カルケリから抜け出す方法が知られたら、彼らによる破壊が全宇宙を震撼させるでしょう。この階層の名前はギリシア神話における巨神族が住む山、オルトリュス山が由来です。
      • 最後の希望砦;どこかの球状大地の山岳地帯にある花崗岩の要塞です。この砦は誰にも統治されていない無法の街です。町の住人は誰一人として信用できませんが、一方で、様々な偽造文書の作成や不埒なサービスを受けられます。
      • “巨神の王”クロノス;特に高く峻険で、二つの球状大地が接しているオルトリュス山に巨神の王クロノスの巨大な宮殿があります。彼を訪ねる者は神話時代の知識と知恵を授かることができます。ただ、訪問者がクロノスに、自身が囚人であることを思い出させると、彼は不意に激昂します。
    • [20.2]「第2階層、“緋色の密林”カトリュス」;この階層の球状大地には腐敗臭のする密林と緋色の平原に覆われています。木々は強酸を分泌し、揮発した樹液が近づくものを溶かします。緋色の草原の草には鋭い刃のような葉が生えているものがあり、入り込んだものを切り裂きます。
      • 罪業の薬屋;ある密林の奥地に隠された薬屋で、シン・メイカーと呼ばれるグラブレズウ(デーモン)が経営しています。彼は毒を偏愛しており、はるか昔から蓄積したレシピに基づいて様々な毒や薬を調合できます。
    • [20.3]「第3階層、“爆風の跡”ミネテュス」;この階層の球状大地は砂で満ちています。突き刺すような風と竜巻で吹きつけられる砂で肉が削がれ、守りのない者は数時間で骨と化します。住人は災害を避けようと、穴を掘り続けています。砂の中にはドラゴンに似た“砂ゴルゴン”が泳ぎ回ります。時折、かつての都市の廃墟が砂漠から現れ、再び埋没していきます。その街路には石化した亡者が徘徊しています。
    • [20.4]「第4階層、コロテュス」;この球状大地は断崖だらけの山岳と深さ数マイルの峡谷でできており、ときに強い風が吹きます。断崖には僅かに町や交易路がありますが、落下の危険が伴う代物です。
      • 悪意の花園;いくつかの大地は断崖が蔦に覆われて、色とりどりの花が咲き乱れる美しいところです。しかし、これらを摘もうとしたり、蔦を掴んだものなどに蔦が伸び、絞め殺そうとします。数百日に一度、この蔦はタンポポのような綿毛の種を撒き散らします。この種は風に乗って飛び、人知れぬところで芽吹きます。
    • [20.5]「第5階層、ポルパテュス」;この階層の球状大地は冷たく浅い海に覆われ、わずかに小島な小島が波間に顔を出しています。空から絶え間なく黒い酸の雪が降り続け、生き物を焼けただらせ、物を腐食させます。住人は島にしがみ付きながら住み、訪れる者に助けを求めつつ裏切る機会を探します。この階層に宮殿を構えるもう一人の巨神王も崩壊しつつあります。海には“百人船”と呼ばれる白い帆船が球状大地を渡りつつ移動しています。甲板は無人ですが、下層船室には100個の石棺が並んでいます。この船に便乗するのはありませんが、それ以上の好奇心を発揮した者の姿は死体で発見されます。
    • [20.6]「第6階層、“氷に閉ざされし”アガテュス」;この階層は、赤い縞の入ったただ一つの黒い氷の球体からなります。この階層では冷気と負のエネルギーによって、生命が削り取られていきます。住人は嘘を唇に凍りつかせたまま氷の中に半分埋め込まれています。
      • “刈り取るもの”ネルル[GH];死と亡者を司る上級神です。大鎌“ライフ・カッター”を携え、白骨化したの老人の姿で描かれます。彼は凍結した血の城ネクロマンティオンに積まれた死体の奥、嘆き声とすすり泣きの深淵で、奇怪な実験を続けています。物質界にはネルルの隠された寺院がいくつも存在し、多くの神官と死人使いが仕えています。彼らは“死”以外に祝うべきことないと考えている一方で、葬式は死者の立場や死に方によって無数のバリエーションを用意しています。
         
  • NEW! [21]「灰色の荒野ハデス(The Gray Wastes of Hades)」;重度の悪/無限の広がり/3階層
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     ハデスは色彩を失った灰色の荒地が果てしなく広がる次元界です。この次元界には太陽や月、星、季節もなく、蔓延する疫病と暗鬱、諦め、絶望のみがあります。すべての神格、悪魔などからも見捨てられた魂が流れ着く先です。ハデスは奈落と地獄の中間地点にあり、彼らの軍勢が荒野で戦い続けています。
     ハデスを訪問する者は、足を踏み入れた途端に色彩を失います。そして、いずれは絶望に囚われます。この色彩を失った次元界の中で、他次元界への次元門のみが色彩と光を発しており、その輝きは遠くからでも見ることができます。
    • [21.1]「第1階層、オイノス」;灰色の岩がちな荒野と丘陵が広がり、ねじくれた木々がまばらに立っています。魔族が流浪し、疫病が蔓延しています。ここは奈落と地獄の軍勢による“流血戦争”の主戦場であり、叙事詩的な規模で酸鼻な戦闘が続き、その音と悲鳴が階層全体に響き渡っています。他の下層次元界から流れ込んだスティクス河が、ここから更に下の階層へ流れていきます。
      • “血の峡谷(Blood Rift)”;奈落と地獄を繋ぐ血の川が流れる峡谷です。この峡谷を中心にデーモンとデヴィルの戦争がオイノスに広がっています。かつてユーゴロスの王、アンスラサクスが峡谷を支配していましたが現在は行方不明、どこかの主物質界に封じられているといわれています。
      • “キンオインの荒れ果てし塔”;荒野にそびえたつ高さ20マイルの塔であり、巨大な脊椎のように見えます。この塔は殺された神の背骨だといわれており、地下にも同じだけの深さに突き立っています。塔は魔族ユーゴロスに支配されており、内部に様々な研究施設や演習場などが無数に存在します。玉座シージ・マリアスに座するものは塔とオイノロスに蔓延する疫病を支配できます。
      • 疫病の神、“黒の乗り手”インキャビュロス[GH];疫病と飢餓、悪夢、災害をつかさどる神です。歪んだ肉体と病んだ顔を、緑とオレンジで縁取られた黒いローブに包み、夢馬に乗って夜空を駆けます。オイノスにある“納骨堂”と呼ばれる彼の領地は死臭に包まれています。
      • 死者の王、ケレンヴォー;死と運命、旅を司る神です。フードを被った黒衣の騎士の姿で、死者の魂を信仰する神の下に公正に送り届けます。その信徒は死を人生の一部とみなし、虐殺と早すぎる死を防ぎ、アンデッドを滅ぼします。オイノスにある彼の城は透き通り、“水晶の塔”と呼ばれています。
    • [21.2]「第2階層、ニヴルヘイム」;“霧の国”ニヴルヘイムは弱々しい木々の生えた険しい峡谷が灰色の霧に包まれています。霧が視界を遮り、音をくぐもらせ、全てが湿気を帯びて冷たく、断崖が旅人の行くてを阻みます。霧の中には階層に適応したフィーンド種の獣やトロルなどの魔物が徘徊します。この階層には宇宙樹ユグドラシルの根に繋がる次元門が多数あり、樹を伝って奈落の第23階層、“鉄の荒野'”やイスガルドと行き来することができます。この階層は北欧神話の死者の国がモチーフになっているようです。
      • 冥界の都市“無実の死”;霧深い松林の中に隠された小さな都市で、数千人の定命者と請願者が住んでいます。都市を構成する木壁には請願者の魂が囚われており、無数に打ち付けられた釘から血を滲み出させています。この都市の内部では絶望をもたらすハデスの幽閉が影響せず、住民は時おり無関心を打ち破ろうとすることがあります。
      • 闇の女神シャー[FR];闇と夜、秘密、忘却、復讐ををつかさどる女神です。光の女神セルーネイの双子であり、創世の時代から争い続けています。憂鬱と絶望に陥った者、悩み苦しむ者、暗闇に踏み込まなばならぬ鉱夫などが信仰しています。ニヴルヘイムにある彼女の領地“喪失の宮殿”は扉も窓もない尖塔が立ち並びます。
      • 盗賊の神マスク[FR];影と盗み、欺きを司る孤独な神です。黒いマスクと短剣を着けた盗賊の姿で描かれますが、剣などの様々な姿に変じます。盗賊やスパイが信仰し、他の者も盗みに逢いたくないときに祈りを捧げます。ニヴルヘイムにある彼の領地“影の城塞”は霧と影に包まれ、見たものは混乱に陥ります。
    • [21.3]「第3階層、プルトン」;プルトンは冷たく荒廃した大地をスティクス河が流れ、枯れかけた木々が立ち並んでいます。それぞれの木の内に死者の魂があり、呪術師は彼らと交感できます。流血戦争はここまで及びませんが、価値ある魂を回収するための魔物部隊が徘徊します。この階層はアルボレアのオリンポス山の下端であり、次元門からアルボレアに登っていけます。ここはギリシャ神話の冥界がモチーフになっているようです。
      • 骨の丘;夢馬が死に向かう聖地です。ここから骨を盗むものは、全ての夢馬の怒りを買います。
      • 冥府;はるかかなたまで続く大理石の壁によって隔てられた地です青銅の門が一つあり、死者の体でできた巨大な三つ首の猟犬によって守られています。冥府の奥になにがあるのかは知られていません。
         
  • NEW! [22]「永遠に荒涼たる苦界ゲヘナ(Bleak Eternity of Gehenna)」;悪/無限の広がり/4階層
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     ゲヘナは巨大な火山からなる炎と毒、断崖と絶壁の次元界です。それぞれの階層には浮遊する巨大な大陸ほどの火山が一つと、無数の小さな浮遊火山が漂い、有害な炎を噴き出しています。その山肌は断崖や、あるいは角度45°以上の急勾配です。足を滑らせた者は遥か下方まで落下し、山肌に叩きつけられ続けて引き裂かれます。火山そのものが悪意を持ち、溶岩の流れが旅人を飲み込もうとし、足元で地割れが口を開けます。この次元界では大地が光を発しています。
     この次元界はユーゴロスの本拠地であり、無数の砦があります。バーゲストはゲヘナで発生し、様々な次元界へと狩りに出向きます。ゲヘナにたどり着く霊魂は疑い深く強欲、自分勝手な極めつけのクズです。この次元界は旧約聖書における地獄がモチーフとなっています。
    • [22.1]「第1階層、カラース」;カラースの急勾配の山肌には溶岩が流れて火山灰が舞い、これに照らされて大気は深紅に染まっています。斜面にはいくつもの川が滝となって走りますが、それらは途中で霧散するか、地割れに消えていきます。
      • 這い回る都;黒曜石と灰でできた巨大な国際都市で、無数の脚が生えています。この脚は火に耐性があり、断崖にしがみついたり、溶岩の川を泳いだりして、階層から階層へとゲヘナ中を這い回ります。この都を支配しているのは全ユーゴロスの支配者であるゲヘナ大将軍です。この都には様々な魔族の傭兵部隊が所属し、軍学校や兵器生産工場が備わっています。
      • 涙滴宮;スティクス河のほとりに立つオウムガイの姿をした塔で、二つの社を備えています塔と社の間ではユーゴロスやデヴィル、デーモンその他のあらゆるものが訪問するバザールが開かれています。
      • 殺戮の神、ベハル[FR];殺人を司る神です。理由があって殺人を犯さざるを得ないときにも祈りを捧げられますが、信者のほとんどは殺人狂や暗殺者で、その神殿は犠牲者の血と髑髏で飾り立てられます。カラースには彼の本拠地が存在します。
    • [22.2]「第2階層、カマーダ」;カマーダは最も荒々しい階層です。山肌のほとんどが溶岩に覆われ、
      地割れから噴き出す溶岩が滝となって空を踊り、ときには上空から固まった溶岩が墜落していきます。吹き荒れる灰が降り続け、しばしば視界を遮ります。
      • ニミクリ;斜面から離れて宙に浮く小さな月で、無数の尖塔や建物が建ち、入り組んだ街路で結ばれています。住人は礼儀正しく、全次元界で有数の交易と停泊の地です。ほとんどの訪問者が知らないことですが、ニミクリのすべてが巨大な1体のミミックで、建物も住人もその一部です。それはここで血を流した訪問者を複製できます。
      • 秘術の塔;溶岩に囲まれ、鋭い刃で飾り立てられたユーゴロス魔術師の塔で、ユーゴロス種族の記録庫です。塔は書庫と拷問器具、罠で埋め尽くされています。特に邪悪な契約書は地下深く、生きた請願者の身体に刻まれて、並べて吊るされています。
    • [22.3]「第3階層、ムンゴス」;ムンゴスの火山活動は少なく、雪と酸性の灰に覆われた寒い階層です。溶岩の噴出を浴びることはまれですが、滑りやすい雪と雪庇が危険を高め、降り続ける酸の雪が肌を焼きます。
      • 追放者の谷;深い裂け目に隠されて、追放された火炎巨人の魔術師タストゥオと彼女の兄弟姉妹、その他の追放者らが隠れ住む土地があります。この地はユーゴロスとの契約で不干渉を確保しています。彼女らは助けを求める旅行者に同情的で、窮地においての避難所となり得ます。
    • [22.4]「第4階層、クランガス」;“死せる溶鉱炉”とも呼ばれるクランガスには火山活動がありません。この階層は静寂に包まれ、光もきらめくこともありません。この階層の最大の山は闇の中を回転する巨大な黒い柱です。
      • ホープローン;岩棚に作られた黒曜石の建築群で、リッチロードであるメリフの城塞です。ここはリッチや他のアンデッド死霊術師が終わりなき研究を続ける死の都です。アンデッドの訪問者は歓迎されますが、生者はさほど歓迎されません。
         
  • NEW! [23]「九層地獄バートル(Nine Hells of Baator)」;秩序にして悪/有限の円錐状/9階層
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     その名の通り9つの階層からなる次元界で、デヴィルの本拠地です。各階層の無限に広がる虚空に、大陸ほどの大きさの円板型の大地が浮いています。浅い階層の底部にある下に伸びた部分と、深い階層の高く突き出た部分が次元接続されています。第一階層が最も大きく直径24000kmほどあり、深い階層ほど小さくなっています。それぞれの階層の環境は大きく異なり、階層に適応したデヴィルや魔物が住んでいます。
     地獄の社会は厳格な中央集権制の階層社会です。地獄全体を支配しているのはアスモデウスであり、彼に任命された9人のアークデヴィルの君主(≒九大君主)がそれぞれの階層を支配しています。
     秩序にして悪であるデヴィルと、混沌にして悪のデーモンは創世以来の敵同士です。地獄と奈落、それらを繋ぐ様々な次元界で“流血戦争”と呼ばれる戦争を続けてきました。結果的に、デヴィルは奈落から無限に湧き出しすデーモンの全次元界への侵略を押し止めています。これをもってデヴィルたちは宇宙を維持しているのは自分たちであり、全宇宙を指揮・支配する責務と権限があると主張します。
     九大君主のメンバーは長い歴史の間で何度か入れ替わっています。地獄で起きた大きな事件として“応報の乱”があります。この事件ではアスモデウスを追い落とそうと、アークデヴィルたちが2つの派閥に分かれて争いました。片方はメフィストフェレスを筆頭にマモン、ディスパテル、ゲリュオンの派閥、もう片方はバールゼブルを筆頭にザリエル、ベリアル、モロクの派閥です。内戦とデーモンの侵攻による混乱はアスモデウスが現れて鎮圧、それぞれの君主に処分を下したことで終結しました。この事件でアスモデウスは地獄の残りすべてを相手取って勝利できることを実証しました。
    • [23.1]「第1階層、アヴェルヌス」;岩だらけの荒れ地に険しい山脈が走っています。空からは火球が降り注いで炸裂、鋭く肉を切り裂く岩に流血戦争の死者の血肉がへばりつき、血で染まったスティクス河が下の階層に流れ落ちています。多数の要塞に地獄の各階層からの派遣デヴィル軍が守備に就いています。この階層はデーモンとの間で繰り広げられている“流血戦争”が頻繁に発生しています。永劫の昔から続く流血戦争においてデーモンの軍勢がこの階層で喰い止められ、第2階層に到達したことはありません。
      • ザリエル女大侯爵;第1層の主、ザリエルは炎の翼をもった黒い肌の女将軍の姿をしたアークデヴィルです。かつては天使でしたが、デーモンとの闘いのために悪魔になりました。地獄の軍勢を指揮し、デーモンとの“流血戦争”に力を尽くします。彼女の戦術は苛烈で攻撃的なものです。彼女はデーモン駆逐とその準備にすべてを費やし、無駄を嫌います。居城の“青銅城”は永遠の戦乱とともに増築が繰り返され、そして廃墟化が進んでいます。
      • “軍司令官”ベル;獣の頭部、深紅のウロコ、コウモリの羽に燃え盛る大剣を持つピット・フィーンドの将軍です。彼は最下級のレムレーとして誕生し、武勲を上げて進化し、現在の力を得ました。かつてザリエルから第1階層の大公の地位を簒奪しましたが、現在は配下武将として補佐を命じられています。彼の戦術は補給と戦線構築を重視した堅実なものです。
      • “悪竜の女王”ティアマト;悪竜を守護する竜神です。五つ首の竜の姿を持ちますが、彼女の首の一つ一つが独立した化身ドラゴンとして地上に現れ、信仰を集めることもあります。彼女の領地“ティアマットの巣”は王冠型の山岳要塞です。要塞の空間が歪められており、内部は果てしない大きさがあります。フォーゴトン・レルム世界観では、この要塞からティアマットの支配する次元界“ドラゴン・アイリー”に接続されています。
      • “とげ尻尾”カートゥマルク;“角の妖術師”、“ノーム砕き”など多くの異名を持つコボルドの主神です。コボルド、罠、悪運を司ります。コボルドを守護し、ノームを苦しめたり、ドラゴンと仲良くなれるようにします。彼の領地“ドローカリ”は狭く罠だらけのトンネル網です。無数の魔物化コボルトがひしめいて人口爆発と内戦による人口減少を繰り返し、ときには物質界にあふれ出します。
      • ウジ虫の穴;荒れ地にある直径1kmほどの深い窪地です。定命の者や、その魂をこの穴に投げ込んで閉じ込めることで、最下級デヴィルのレムレーに変質させます。流血戦争で消費する下級兵を補充するため、大量の魂が投入され続けています。
    • [23.2]「第2階層、ディス」;荒廃した丘陵地帯とギザギザの岩山からなる階層で、灰色の空に立ちこめる雲はいつも稲妻を発しています。山脈に囲まれた谷に黒く煤けた“鉄の都”ディス(階層名と同じ呼び名です)が全域にわたって不規則に広がっています。“鉄の都”と周辺空間は歪んでおり、たどり着くまでの道も、都の街路も変化し続けています。この変化はディスパテルの思念によって行われます。“鉄の都”には無数の武器工場や牢獄が稼働しています。常に古い建物が壊され、新築がされ続けおり、作業デヴィルも全貌を把握していません。街中にあるディスパテル像は監視装置として道行くものを見張っています。
      • “闘争の父”、“鉄の大侯爵”ディスパテル;第2階層の主で、身長2m、額に小さな角が生え、赤い目をしたアークデヴィルです。豪華な衣装を身に着け、長い鉄の錫杖と盾を手にしています。戦争と陰謀を司り、様々なものを鉄に変えて加工し、あるいは鉄を腐食させてバラバラの錆にします。デヴィルの中でも高齢で、偏執的なまでに用心深い陰謀家です。彼の城“鉄の塔”内部での彼はほとんど無敵です。彼のカルト員は軍人が多く、特に防衛戦に長けています。
      • 喜びの庭園;“鉄の都”のなか、白い砂岩の壁で囲われた庭園で、心地よい音楽が響き、美しいプールでは妖精が戯れています。訪問者には絹の寝椅子と酒や菓子が提供されます。暮らしにくい都の中でのオアシスですが、滞在すると魂が囚われて堕落します。
      • 神の道;“鉄の都”の郊外にある、果てしなく続く曲がりくねった道です。道は他と接続しておらず、探して歩きまわるといつの間にか迷い着きます。両側には巨大な寺院や神像などが並びます。それぞれが様々な秩序にして悪の神々の領地であり、内部は独自空間が広がっています。セト神や、拷問神ガンドヴァール、偽知識の神ズゼルス、盲目の神ユインなどの神のほか、無数の小神の領地があります。小神たち「はここを拠点に偉大な神を目指して奮闘します。
    • [23.3]「第3階層、ミナウロス」;分厚い雲から油っぽい雨や雹が降り続き、泡立つ汚水だめと化している階層です。ぬかるんだ黒土から木々が生え、泥の中には知性を奪われた最下級デヴィルや水生の怪物がうごめいています。
      • “強欲卿”、“蛇”マモン;第3階層の主で、巨大な蛇の下半身と獣じみた頭部、槍を手にしたアークデヴィルです。強欲と肉欲を司り、触れたものを欲望に駆らせ、猛毒で侵し、巨体で絞め殺します。かつての裏切りのため、彼は他のアークデヴィルから信用がなく、その分を定命のものの堕落とカルト拡大に力を注いでいます。彼のカルト員は裕福な商人が多く、人型生物以外のビホルダーやマインドフレイヤ―、ドラゴンにも広がっています。
      • 沈みゆく街;階層の広い範囲に広がる占める石造りの街で、雹から身を守るために天蓋が都市全体を覆っています。この街はゆっくりと泥の中に沈んでいます。街路の隙間からは泥が滲み出し、街路全体が歪みます。天蓋と支柱が崩落して地上に瓦礫を落とし、建設デヴィルが奪い合って得た瓦礫を埋め立てや沈降防止の工事に活用します。この街には多くの魂と金貨が運び込まれ、取引がなされています。
      • 金属打ち鳴らさるる街;“鎖の街”や“拷問都市”とも呼ばれるチェイン・デヴィルたちの街です。街の土台から都市全体にギザギザの鎖が張り巡らされ、それらが上方に伸びて第2階層の下端に繋がって沈降を防いでいます。悪魔区では拷問で魂を加工、商人区で訪問者が取引し、外人区では食肉加工待ちの人々が生活しています。
      • 真実の迷宮;灰色の石でできた要塞で、多くのデヴィル官僚が働いています。マモン配下の活動記録や会計帳簿、契約の控え、全次元界から集めた地図、恐喝用の情報などが収められています。
    • [23.4]「第4階層、プレゲトス」;峻険な火山が連なり、溶岩流の川と湖が流れる階層です。空は噴煙に覆われ、赤熱した地面からは炎が噴き出します。炎は悪意を持ち、燃やすことができる生物に襲い掛かります。
      • フィアーナ;第4階層の主、短い角と尻尾をもつ美しい女アークデヴィルです。火と苦痛を司り、戦いでは流星雨を降らせながら爪と炎の剣で戦います。ベリアルの娘であり、かつては父のお飾りでしたが、新しい友人のグラシアの影響もあり、独自の活動とカルト拡大にいそしんでいます。彼女はマグマ溜まりに建つ何マイルもある壮麗な宮殿に住んでいます。宮殿の地下には無数の牢獄があり、用済みになった彼女の愛人が次々と送り込まれています。
      • ベリアル;短い角と尻尾、豪華な服にランサーを手にしたアークデヴィルです。秘密と支配、誘惑を司り、戦いでは配下デヴィルの召喚とランサーを併用します。第4階層の実務的な運営を担当しています。以前はフィアーナの父で後見人とされていました。現在はその関係性は曖昧にされ、また競争的な関係もあるようです。
      • 鉱業都市アブリモク;活火山の溶岩の中に作られた街で、バートル産緑鉄鋼の最大産地です。街のなかでは特別なゴンドラでマグマを漕ぎ渡ることで移動します。この街にはデヴィル間の紛争を調停するためのデヴィル裁判所が設置されています。
    • [23.5]「第5階層、ステュギア」;流氷で覆われ、凍結した暗い海の階層です。永遠の黄昏の中,流れる巨大な氷山が長い影を投げかけています。街や施設は氷山の上に建設されています。スティクス河が氷結した海面の上を凍ることなく蛇行して走り、この流れを行き交う船があります。
      • “ならずもの大悪魔”レヴィストス;第5層の主、青白い肌に黒髪と髭、ギザギザの歯、濡れた絹の服にレイピアを持った剣士のアークデヴィルです。裏切りと復讐を司ります。氷雪を操り、鋭い剣技で敵を切り裂き、魔法を跳ね返し、記憶を削ぎ落します。彼は陰謀に失敗してアスモデウスの妻ベンソジアを殺害したため、罰として氷山に閉じ込められています。本体は氷の中で晒しものになっていますが、化身は様々なところに現れます。彼が望むのは牢獄からの解放と復讐です。“刃狂”と呼ばれるカルト員はチンピラや盗賊が多く、派手な服装を好みます。
      • 決闘者の裂け目;デヴィル社会でのトラブルは命令系統に従った罰則か、裁判で処分されます。しかし、それらの方法で解決できないときは、“ギスキデキィン”という氷山にある決闘場で片がつけられます。決闘の行方は運営者が胴元となった賭けの対象になっています。
      • 敗者の館;博物館と訓練場を兼ねた施設です。博物館エリアでは全次元界から敵対的な種族や英雄の身体と魂が集められ、凍結展示されています。一方、訓練エリアでは展示品のコピーと戦えます。
    • [23.6]「第6階層、マーレボルジュ」;この階層の地形は以前の支配者である“ハグ女伯爵”マラガールデの変わり果てた肉体でできています。“応報の乱”後に階層の統治を任されていたハグ女伯爵の肉体は、近年のある日、際限なく膨張して破裂し、肉片は散らばって階層を構成する地形となりました。中央には脊椎の山脈が走り、胆汁と内臓の湖畔に頭蓋骨の宮殿がそびえ、灰色の髪森には巨大なシラミが跳ね回ります。地底では内臓の洞窟がうごめき、巨大なハグの歯は象牙として埋蔵されています。この階層で大ケガを負った者は、周囲から伸びてくる触腕に絡みつかれて大地に喰われてしまいます。この階層は巨大な牢獄として活用されています。
      • “地獄の王女”、“闇の天才児”グラーシャ;岱階層の支配者、棘鞭を手にし、赤銅色の肌に角、皮翼と二股の尻尾の生えた美しいアークデヴィルです。堕落と成長、苦痛を司ります。アスモデウスの娘といわれ、法と契約の裏をかくのを得意で、他のアークデヴィルの契約の隙を突くのが好きです。彼女のカルト員は好奇心と意欲に満ちた無邪気な若者たちです。
      • どくろ要塞オシア;グラーシャが住む巨大要塞で、ハグ女伯爵の頭蓋骨からできています。贅沢な遊戯室から宴会場、厨房や、居住区まですべての壁は生きているかのように脈動しています。その赤い眼窩は遥か遠くを焼き尽くすビームを発射します。
      • 胆汁の湖;悪臭を放つ湖沼地帯です。精神のかき乱す“金切り声の湖”や蟲に変化させる“蟲造りの湖”の他、“嘆きの水たまり”、“苦痛の水溜り”、“肉萎びの湖”などの様々な効能の湖沼があります。多数の囚人が湖畔の毒水瓶詰工場で労役をしています。
      • カラボンたち;ハグ女伯爵の肉片からなる人型の怪物です。餌を喰うと分裂し、集団になると融合して巨大化します。わずかな知性のみしか持たず、仇であるグラシアの通行証を持つ者を襲います。
    • [23.7]「第7階層、マラドミニ」;有毒の大気の下に腐敗した穴だらけの荒野と沼地、枯れかけた森が広がる階層です。川底の知性を持った汚物が、川岸から這い上がって徘徊し、腐敗ガスが至る所で爆発しています。ここではあらゆるものが震え、呻きながら黒い膿汁を流しています。
      • “蠅の王”、“ナメクジ大侯爵”バールゼブル;第7階層の主、ハエを思わせる頭部と、貴族の衣装をまとったアークデヴィルです。嘘を司ります。比較的に新参者で、かつてトリエルという天使でしたが、堕ちてデヴィルとなりました。“応報の乱”の罰としてナメクジの様な姿で糞尿をまき散らしていましたが、最近、刑を終えて人型に戻りました。彼を崇める大規模なカルトが存在します。
      • 首都マラガルドと汚物の宮殿;マラガルドは地獄の行政文書を管理する都市でしたが、腐敗と崩壊によって、汚物に沈みつつあります。諦観した住民は汚物にまみれで暮らしていますが、狂騒的に大規模な再構築と清掃を行うことがあり、巻き込まれるとひどい目にあいます。中心にはかつて壮麗な宮殿がありましたが、バールゼブルの変身に伴って崩壊し、その呼び名通りの“汚物の宮殿”となりました。ごく最近、バールゼブルの姿が戻されましたので、状況は改善しているかもしれません。
      • 教育都市オファリオン;この街はレムレーなどの下級デヴィルが定命の者を堕落させる術を学ぶデヴィル学校です。物質界の様々な施設のパロディが瓦礫で作られ、デヴィル生徒が演習をしています。現在進行形の陰謀のテストが行われていることもあります。
      • 亡命都市グレンポリ;政治交渉のための安全が保障された街です。ここへの武器の持ち込みは禁止され、攻撃魔法は抑止されます。他で指名手配を受けた亡命者の多くがこの街に逃げ込んでいる一方、街の周囲を捕縛部隊や賞金稼ぎが取り囲んでいます。
    • [23.8]「第8階層、カニア」;凍てついた山脈が全土を覆い、吹雪が吹き荒れる極寒の階層です。深い亀裂が氷の平野を分断し、雪に隠れて待ち構えています。巨大な氷河が軋み音を挙げて峡谷を流れ、ときに砕けて雪崩を引き起こします。鋭い氷片を含んだ吹雪が旅人を切り裂きますが、首都メフィスタール城塞のような居住区では、吹雪から守られています。
      • “冷酷卿”メフィストフェレス;第7階層の主、大きな山羊の角とコウモリの翼、黒いケープをまとったアークデヴィルです。火と魔術を司り、強力な魔法を操ります。彼は地獄で最高の魔術師であり、特に“地獄の業火”の権威です。彼は学者と魔法使いを好み、カルトに勧誘します。彼の神殿はいたる所から炎が噴き出し、信者はいつも絶叫しています。
      • ヘルファイア・エンジン;メフィストフェレスは、火への耐性を持つ者さえ焼き尽くす不浄の炎“地獄の業火”の研究と応用に熱中しています。増設される火炎区域には古参アイス・デヴィルらは迷惑しています。デヴィル工学の成果である自動兵器、“ヘルファイア・エンジン”は敵を“地獄の業火”で焼き殺して、下級デヴィルに変換します。カニアの他に様々なところに配備されています。
      • 氷の隠れ家ネブラト;炎の研究に追いやられた氷雪系デヴィルたちの隠れ家です。彼らはここでメフェイストフェレスの関心を氷に引き戻すための陰謀を進めています。一つは火炎魔法の研究を担当しているデヴィル技術者を失脚させるための陰謀であり、もう一つは“羽毛”と呼ばれる広域を冷気汚染する戦略魔法の開発です。
    • [23.9]「第9階層、ネッソス」;4000km x 1800kmのギザギザの荒野から下に伸びる円錐形の階層です。平坦な荒野には無数の深い峡谷が走ります。“虐殺の峡谷”や“鉤の地割れ”、“鋸刃峡谷”、“スペクター峡谷”、“地獄の唇”、他にも無数の多くの峡谷があり、それぞれが独自の危険な特性を持っています。峡谷の壁面に穿たれた断崖都市があり、それぞれの峡谷の特性に適応した高位デヴィルが住んでいます。
      • “悪の首席”“九層地獄の最高支配者”アスモデウス;地獄の最高支配者の身長は4m、2本の角が生え、赤い目の奥で地獄の力が輝いています。赤と黒の優雅なローブをまとい、赤いルビーの錫杖を手にしています。悪と法、力、迫害を司り、周囲を服従させて奴隷にします。地獄のすべてと全デヴィルを支配し、天界の善の神々への陰謀を張り巡らせ、奈落のデーモンとの戦争を推し進めます。物質界には無数のカルト員がおり、社会の上流に食い込んでいます。
         アスモデウスは地獄で最も古く、彼のすべてを知る者はいません。その来歴と正体については様々な説があります。ある説によれば、奈落のデーモンとの戦いを指揮する天使であり、混沌との戦いのために、人々の魂を手に入れる契約を得て地獄に堕ちたといいます。また、破壊神タリズダンを封じる天使であり、奈落への探索行で得たものによって悪魔になったともいわれています。
      • マルシーム要塞;“地獄の唇”と“死神峡谷”の交点から何マイルにも広がる巨大な要塞です。内部にはアスモデウスの血から生まれた何百万体のデヴィルの軍勢が待機し、攻撃のときを待っています。
      • 忘却の湖;地獄の各層を流れ落ちてきたスティクス河の流れは滝となってこの湖に留まり、そして峡谷からネッソスの深部に消えていきます。地獄に堕ちた魂にわずかに残っていたから刈り取られた、甘く平和な瞬間の思い出がスティクスに流され、ここでバラバラになります。そのときに、美しい追憶が湖上に現れ、そして残酷に引き裂かれます。
      • 大蛇のとぐろ;ネッソスの中心に巨大ならせん状の亀裂があります。その深部にアスモデウスの無人の居城、ネッソス要塞があります。この亀裂の由来は諸説ありますが、混沌の海から宇宙を創造した宇宙蛇の片割れが落ちてきた跡ともいわれています。宇宙の在り方について自らの半身と意を違えた大蛇は身を引き裂いて落下し、地獄の深遠で血を流しながらその身を癒やしている、それこそがアスモデウスの正体であると。真偽は不明ですが、詮索したものは遠からず消息を絶ちます。
         

【多次元間貫通構造体】
『大いなる転輪』宇宙には複数の次元界をまたいで存在するモノが幾つか知られています。これらの存在によって次元門のない次元界への旅や、深い階層への旅が可能になることもあります。

  • 「オケアノス河」
    オケアノス河は善の次元界を流れる澄んだ河で、「13:エリュシオン」から湧き出で、「14:ビーストランズ」、「15:アルボレア」まで流れています。河には河を交易船が行き来し、河沿いには町ができています。この河は上層次元界を旅する方法として一般的なものです。
     
  • 「スティクス河」
     スティクス河は悪の次元界を通して流れる腐臭に満ちた濁った河で、「18:パンデモニウム」と「19:アビス」、「20:カルケリ」、「21:灰色の荒野」、「22:ゲヘナ」、「23:九層地獄」、「24:アケロン」の第一階層を蛇行して流れ、支流はその下層に滴り落ちます。この河の水に触れた多くのものは知性を失い、廃人となります。相応の金額を支払えば悪意に満ちた渡し守がこの河での船旅を請け負ってくれます。渡し守の元締めはカロンという名の老人です。
     
  • 「宇宙樹ユグドラシル」
  • 「無限階段」
     

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