ルール・規約集/2014-15改訂
Last-modified: 2014-05-07 (水) 21:54:44
SOV, LoV, GOEガイドラインの改訂 (ISU Communications 1861)
2014年4月、ISU Communications 1861: Scale of Values, Levels of Difficulty and Guidelines for marking Grade of Execution が発表された。以下、変更点について解説するが、誤認の可能性もあるため原文を確認するか、いずれ発行されるであろう公式の和訳を参照してほしい: ISU Communications 1861: http://static.isu.org/media/143595/1861-sandp_sov_levels-of-difficulty_goe_2014-15.pdf ジャンプ
エッジエラーの厳格化
軽度のエッジエラーに対するサイン "!"が再導入され、重度のエラー("e")に対する基礎点の引き下げも導入された。
表にまとめると、以下のようになる:
従前はGOEの引き下げのみだったのが、重度の場合はそれに加え基礎点が70%と引き下げられることとなり、かなりの厳格化と言える。テクニカルが付与する"e"に対しジャッジパネルが"SEVERE(重大な)"であるか(GOE-2to-3/最終的にマイナス)、"UNCLEAR(不明瞭な)"(GOE-1to-2)であるか判定していたが、この改訂によりテクニカルが両者を判定するように変更された。 また、実行されたジャンプが Flip か Lutz かの判定は、「(ジャンプへのプレパレーションなどの)企図に準じて( according to the intent (preparation to the jump).」行う、と記載されている。この規定は2015-16までの2シーズン導入され、継続して議論していくとのこと。 必要回転数
ジュニア/シニアに関して、1.5回転未満のジャンプは無価値となる。つまりアクセル以外のシングルジャンプは点数が0となるが、[コンビネーションジャンプに用いた場合、コンビネーションとして認定されるかどうかは不明だが、あくまで no value であり not counted ではないので、認定されると推定される]。
また、SPに関して、規定された回転数を満たさないジャンプを実行した場合、無価値となる。
例えば、シニア男子SPではステップからのソロジャンプとしてトリプルを飛ぶことが要求されているが、空中でバランスを崩すなどしてダブルで降りてきた場合、得点がつかなくなる(以前はGOEは強制的に-3になるもののダブルジャンプ相当の得点が得られていた)。コンビネーションジャンプにおいて、トリプル・ダブルが要求されているのにも関わらずダブル・ダブルのコンビネーションを実行した場合、基礎点が低い方のジャンプは得点がつかなくなる(2Lz2Tとすると、基礎点の低い2Tがキックアウトされ、2Lzのみの点数となる)。 スピン
要件の導入と基礎点の減額("s"、"ss")
5つの必須要件(Elements Requirements)が新設され、これを満たさない場合は基礎点が減点されるように改訂された:
これらの5つの要件のうち、
速やかにポジションを取り、それを最低限保持すること、また基本姿勢をしっかり取ることが要求され、これを満たさない低品質なスピンに対しては、GOEのみならず基礎点も減点されるようになった。 レベル要件の変更
姿勢要件の変更
ステップ
体の動き
体の動きに関して、「上体("upper body")」であったのが、"upper"が削除され、動かすべき部位として「お尻」、「両足」が加えられた。より広範囲な部位を動かすことが要求されている。 総括
基本的な技術をより的確に実行されることが要求され、それが適切に実行できないことに対するペナルティが厳しくなった印象。(追記予定) ISU Communicatinos 1863: AGENDA OF THE 55th ORDINARY CONGRESS DUBLIN - 2014
2014年6月にダブリンで開催されるISU総会で討論される議題集(アジェンダ)。各項目はいまだ議論中であり、決定事項ではない。フィギュアスケートに関する議題は186-287の約100項目にわたる。そのうち影響の大きいと思われる議題(主にシングルに関して)をいくつか取り上げる: ISU Communications 1863: http://static.isu.org/media/143870/1863-agenda-isu-congress-2014.pdf (参考サイト:http://sthmytkh.blog108.fc2.com/blog-entry-2148.html ジャッジ・採点システム
ランダムオーダー制の廃止(#208:ロシア). 、およびジャッジ名のヒモ付(#209:アメリカ)
現在はISU主催大会(オリンピック、GPシリーズ、ワールドなど)では、スコアシート上のジャッジの並び順が選手ごとに異なる(ランダムオーダー制)が、それを廃止する提案。 提案理由:匿名性の廃止により採点システムの透明性が高まり、ジャッジの信頼性も上がる。 これに加え #209(アメリカ)では、ジャッジが出した採点とジャッジ名を紐付けて公開するよう求めている。 PCSの掛け値(Factor)の変更 (#200, #204:テクニカルコミッティー)
現在は、男子シングル SP: 1.0、FS: 2.0 / 女子シングルおよびペア SP: 0.8、FS: 1.6となっているのを、一律 SP: 1.0, FS: 1.8 に変更する。 提案理由:すべての競技領域(シングル、ペア、ダンス)で同じ条件にするため 演技実施・プログラム
演技時間の変更(#257:テクニカルコミッティー)
以下の通り競技時間を変更、統一:
つまり、シニアは一律4分、ジュニアは一律3分30秒。 もしこれが採択された場合、男子シニアのジャンプの実施可能回数は8回から7回に低減される(#265/6) ダブルジャンプの制限(#267:テクニカルコミッティー)
いずれのダブルジャンプ(2A含む)も、フリープログラムで2回までしか実施できない。
(追記予定) スタート時の持ち時間の短縮(#193:オランダ)
現在は選手がアナウンスされてから開始ポジションの保持まで1分間が認められているが、滑走順が2番目以降の選手に対して、これを30秒に短縮する提案。 理由:競技時間短縮のため。第ニ滑走以降の選手は、前選手の採点時間も準備にあてることができる。 |