鉄道車両基本情報

Last-modified: 2024-03-27 (水) 20:18:44

北陸鉄道の鉄道車両について解説。
編成表はこちらから

石川線

7000系

1990年に導入。元は東急初代7000系。全5編成。
パンタグラフは菱形だが、2019年~2022年には全編成シングルアーム式に換装。種車の違いにおける外観上の相違や冷房装置の有無によって7000形7100形7200形の3形式に区分される。
石川線の架線電圧が直流600Vであるため降圧改造。床下機器に関して、制御器はJR東日本103系のCS20A、主電動機は西武701系の日立製作所製HS836Frb(MT54)、電動発電機(MG)は南海電気鉄道より購入した東洋電機製造製TDK-366B、空気圧縮機(CP)は営団地下鉄(東京メトロ)より購入したA-1、主幹制御器(マスコン)は東急デハ3450形のMC1をそれぞれ搭載しており、各社からの廃車発生品の寄せ集めである。台車は種車の東急車輛製造製TS-701(パイオニアIII台車)のディスクブレーキが北陸地方の雪とは合わないことから、電動車は西武701系の廃車発生品である住友金属工業製FS342に、制御車はJRの廃車発生品であるDT21Tにそれぞれ変更されている。原形を全く留めていない。魔改造だ。
元は全電動車編成であったが、パンタグラフを搭載する偶数車を電動車(Mc)とし、奇数車は電装解除され制御車(Tc)となっている。

7001F

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7000形。冷房装置は非搭載。そのため夏季は走行できず、予備車としている。石川線の最大運用数は4運用であるため、導入から暫く、他編成の検査入場等が発生すると夏季でも運用せざるを得なかったが、2007年に7700系が導入されたため、現在は解消されている。

7101F

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種車に冷房装置を設置した編成。「恋のしらやまさんきっぷ」のヘッドマークを取り付けている。
2024年3月半ば頃、パンタグラフがシングルアーム式から菱形に換装されていることが確認された。何故かは不明。

7102F

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種車に冷房装置を設置した編成。また、7000系ではこの編成のみモケットの柄が異なる*1

7201F

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中間車先頭車化及び冷房化改造車。運用離脱中?

7202F

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中間車先頭車化及び冷房化改造車。2023年現在、「白山手取川ジオパーク」のヘッドマークを取り付けている。ここのWikiの管理人は7202Fのドア故障に2回遭遇してるぞ。ちなみに7101Fも同様。

7700系

2007年に導入。元は京王3000系。石川線では、唯一の元京王車である。降圧改造を行い入線。石川線に残存していた旧型車の代替と、夏季の実質的な冷房化率100%達成のため、2006年11月に投入された。制御器はCS20A型、主電動機は日立製作所製HS836Frb(MT54)型、台車はモハ7700形が住友金属工業製FS342型、クハ7710形はDT21T型といずれも西武鉄道および東日本旅客鉄道(JR東日本)からの廃車発生品で使用し、7000系との仕様の統一が図られた。ただし補助電源は静止形インバータが新製され、クハ7710形に搭載されている。また、新設されたパンタグラフ台座は通常形状のものとされ、8000系のような背高形状にはなっていない。パンタグラフは菱形だが2019年にシングルアーム式に換装。

7701F

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ドアチャイムを装備している。モケットは赤紫系。冷房装置は天井に設置した。あと一部のドアはかなりのギロチンドアなんよね。

ED1形(ED20形)

20t級凸型電気機関車。北鉄の前身の一つである金沢電気軌道(北鉄金沢市内線の経営母体)が導入。石川県下の鉄軌道の戦時統合により北陸鉄道ED20形となった後、車体延長や台車、主電動機、それに制御器の交換などを経て実質30t級となる。
前後に背の低い機器室(ボンネット)を置き、中央に側窓の多い乗務員室を備える、戦前の南海鉄道に多数在籍した独特な形状の凸型電気機関車の様式を今に伝える、いわゆる南海型機関車の1例として希少な存在であり、また木南車輌製造*2製電気機関車として唯一の現存例でもある。

ED201

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冬期の石川線の除雪で使用する。

浅野川線

8000系

北鉄金沢駅がまだ地上駅だった1996年に導入。元は京王3000系。金沢市の都市開発計画の一環として、北鉄金沢駅の地下移転が決定したが、それまでの旧型車両10形式は半鋼製車体であったことから、路線の地下化に伴い必須となる火災対策・不燃化基準に対応させることが不可能であった。そのため、北鉄では基準に適合する中古車両の購入を検討していたところ、京王重機整備より京王3000系譲渡の打診があり、京王3000系を譲受して従来車を代替することとした。同時に浅野川線は1500Vへの昇圧を行った。7700系は7000系と互換性を保つため大幅な改造を行ったが、8000系についてはほぼそのままである。8801Fと8802Fは全長18,180mmで裾絞りのない車体幅2,700mmの片開扉車、8901F、8902F、8903Fは全長18,500mmで裾絞りを有した車体幅2,800mmの両開扉車と、種車によって車体の仕様が大きく異なり、前者は8800形、後者は8900形にそれぞれ区分された。

北陸鉄道8800系片開き扉.JPG

8800形(片開扉車)

北陸鉄道8900系両開き扉.JPG

8900形(両開扉車)
側面行先表示幕非装備の8800形は、運転室直後の側窓内側に側面行先表示幕を新設した。
2020年より03系への置き換えが行われている。全5編成。

8801F

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裾絞りなし、片開扉車。前面の行先表示器は列車種別と行先を併記するタイプのものを備えているが、この編成のみは「北鉄金沢-内灘」固定表示のアクリル板に交換されている。2022年より京王井の頭線復刻塗装・ブルーグリーンで運行。

8802F

裾絞りなし、片開扉車。この編成以降の前面の行先表示器は列車種別と行先を併記するタイプである。2022年より京王井の頭線復刻塗装・アイボリーホワイトで運行。2022年廃車。

8901F

裾絞りあり、両開扉車。2021年廃車。

8902F

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裾絞りあり、両開扉車。2023年廃車。

8903F

裾絞りあり、両開扉車。2020年廃車。

03系

2020年導入。元は東京メトロ03系。北鉄では初めてのVVVFインバーター制御の車両。2019年に北館林からJR線で甲種輸送後、JR西日本金沢総合車両所にて各種改造を行い、2020年12月より導入。*3外観は銀帯を橙帯に貼り換え、前面はスノープロウ付き排障器を設置した。行先表示器はフルカラー方式へ変更され、日本語と英語を交互表示する。*4
種車は制御付随車のため、導入にあたり03-100形を電装化。電動台車ならびに主電動機は廃車となった中間車からの流用である。電動車にはVVVFインバータ制御装置*5とブレーキ抵抗器を新製し、菱形パンタグラフを2基設置した。また冷房装置や車内案内表示装置も03系修繕車の廃車発生品に変更された。
またワンマン対応設備としてマスコンハンドルの変更、整理券発行機・運賃箱・運賃表示用デジタルサイネージを設置、03-800形への車いす・ベビーカースペース設置とそれによる吊革の高さを高くするなど、変更された。全5編成。
※尚、この記事では種車の製造順(つまり編成番号順)に解説している。

03-129F

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第2編成。オレンジ帯。2023年6月の「あさでんまつり」では急行幕表示を行い、北陸鉄道創立80周年の際には横断幕を掲出した。

03-130F

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第3編成。オレンジ帯。

03-134F

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第4編成。銀帯。運行開始イベントでは、営団ロゴマークを掲出した。

03-139F

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第1編成。オレンジ帯。

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2023年10月14日~2024年3月迄、「いしかわ百万石文化祭」に関連したラッピングを施し、運行されている。*6

03-140F

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第5編成。銀帯。


*1 その他の車両は赤紫系だが、7102Fのみ淡い紫のチェック柄
*2 かつて大阪府堺市に工場を置いた鉄道車両製造メーカー。地方私鉄向けの電車、路面電車を中心に、所謂木南スタイルと呼ばれる、デザイン性に優れた車両を製作したことで知られる
*3 計画上は1月導入だったが、誘導障害の可能性が指摘されたため12月に延期
*4 例:「普通 内灘」←→「Local Uchinada」
*5 三菱IGBT-VVVFインバーター
*6 いしかわ百万石文化祭の関連で全国よりラッピングデザインを公募・審査し、石川県知事賞(グランプリ)を獲得したデザインをラッピング。大正時代~昭和時代初期に存在した粟ヶ崎遊園をイメージしたもの