ウォール街のランダムウォーカー

Last-modified: 2005-11-13 (日) 21:00:56

『ウォール街のランダムウォーカー』まとめ

『ウォール街のランダムウォーカー』と言う名著がある。この読書ノートをつけてみる。初版は30年も前に書かれている。この事実だけでも、この本がいかに有用かがわかる。(はやりものの投資の勧め本は時間というフィルターを通らないものだ)

全然間違ったことを言っていないか。そんなことはない。

1626年、先住アメリカ人は白人にマンハッタン島を24ドルで売った。白人に一杯食わされたということになっているが、24ドルを年利10%の利回りで投資していたとすれば、今ではおよそ100兆ドルにもなっていたはずである。

だそうです。アメリカ人はこういう詭弁を平気で使うから恐れ入る。著者マルキールは冗談でなく本気で言っているところが気色の悪いところだ。まあ、これは揚げ足取りレベルであって、投資の普遍の真理を語る部分は真実であろう。

第1章 株式投資の二大流派

導入部分

第2章 市場の狂気

バブルについて。繰り返し投機ブームは起こる。にもかかわらず、繰り返し人は過ちを犯す。

第3章 株価はこうして作られる

機関投資家も過去にバブルに足下をすくわれている

第4章 史上最大のバブル

インターネットバブルについて

第5章 「ファンダメンタル価値」の正体

第1部のまとめ。ファンダメンタル価値とは。どうやって株価は決まるか。

  • 合理的な投資家は、配当の成長率が高ければ高いほど、株式に対して高い価格を払うはずである。
  • 合理的な投資家は、他の事情が等しければ、企業の利益のうち現金配当として支払われる割合が多ければ多いほど高い株価をつけるはずである。
  • 合理的な投資家は、他の事情が等しければ、その株式のリスクが低ければ低いほど高い価格を支払うはずである。
  • 他の事情が等しければ、金利水準が低ければ低いほど、株価は高くなる。

ただし、

  • 将来についての期待が正しいかどうかは、現時点では証明できない。
  • 不完全なデータから正確な期待値を計算することはできない。
  • メスの鷲鳥にとって成長であることが、オスの鷲鳥にとっても成長であるとは限らない。

第6章 株価分析の二つの手法

テクニカル分析とファンダメンタル分析があるよ。テクニカル分析とは、株価チャートを作り、解釈すること。ファンダメンタル分析とは、株価の適正価値はいくらか判断すること。

第7章 テクニカル戦略は儲かるか

テクニカル分析への攻撃。

私はチャーティストに対して偏見を持っている。それは、個人的な好き嫌いという次元だけでなく、プロの立場に立ったときの見解である。テクニカル分析は、学者の世界では異端の教義であり、それを非難するのは私にとって喜びでさえある。

だそうで、いやいやなんともお人が悪い。

第8章 ファンダメンタル主義者のお手並み拝見

ファンダメンタル分析も、結局市場平均を上回れないんだよ。

第9章 新しいジョギングシューズ

リスクを低めてリターンを高めるには分散投資。

第10章 リスクをとってリターンを高める

「ベータ」値というリスク尺度についての紹介。このベータをふくめ、どんな単一の尺度も、システマティックリスクのの影響を十分にはとらえられない。

第11章 効率的市場理論に対する攻撃はなぜ的はずれなのか

第3部まとめ。市場が非合理な動きをある程度の期間持続することはあるものの、おおむね市場は合理的なんだよ。

第12章 インフレと金融資産のリターン

何が株式と債券のリターンを決めるか。そして過去の時代を3区分に分け、それぞれのリターンを概観。最後に21世紀はどうなるかという著者の中長期的予測

第13章 投資家のライフサイクルと投資戦略

著者の具体的な投資アドバイス。投資期間、年齢によってリスクに対する許容度は違う。

第14章 ウォール街に打ち勝つための3つのアプローチ

一番良いのは幅広い銘柄に投資するインデックスファンドに投資し、何もせずじっと待つ。結局はそれが最善だが、他の方法で投資をしたい人のため、著者からのアドバイス

  • 思考停止型の歩き方 →インデックスファンドへの投資の勧め。他の二つよりも結局はリターンは良くなる
  • 手作り型の歩き方 →自分で投資銘柄を見つける。インデックス以上のリターンを得るには相当な労力が必要。
  • 人に任せるタイプの歩き方 →今まで見てきたように、大抵のファンドマネージャは市場平均よりも下の成績だった