八街とエルフの森を繋ぐ道に凶暴な落花生がたむろするようになった。
ミスリル作物が荒らされ、通りがかったエルフが襲われ、その被害は無視できない。
偵察の結果、落花生は山奥の洞窟にアジトを構えていることがわかった。
単身、落花生のアジトへと足を踏み込んだクッコロ。
だがそれは巧妙に仕組まれた罠だった……。
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「くっ、おのれ!正々堂々と勝負しろ!卑怯者!」
「クックック、何が正々堂々だ。俺たちのシマじゃ卑怯もクソもないんだよ。」
「『貴様の命このクッコロがもらったァー!』だったか?ハハハ、ざまぁねえな。」
ガスマスクを装着した落花生が下卑た笑みを浮かべる。
室内には神経ガスが充満していた。
そう、全ては落花生による罠だった。
わざと警戒を解いてエルフの偵察にアジトを発見させ、乗り込んできたエルフを生け捕りにする。
最初から落花生はこれを狙っていたのだ。
「くっ、殺せ!」
「それはできませんねぇ。貴女にはまだ死んでもらっては困るんですよ。」
部屋の奥から男が歩み寄る。落花生達のリーダーだ。
「おや、これはこれは。あの有名なクッコロ様ではありませんか。
姫騎士様直々のご挨拶、恐悦至極ですな。」
「姫騎士ともなれば、高く売り飛ばせるだろうよ。」
「くっ、どういうことだ!」
「知らないのか?今じゃエルフは八街の土産物として有名なんだぜ?
金持ちが奴隷として持ち帰るのさ。」
「奴隷は奴隷でも性奴隷だろうがな、ギャハハ!」
「くっ、何てことを……この外道ども!」
クッコロが嫌悪を露に落花生達を睨みつける。
だが神経ガスを大量に吸い込んだその体は震え、ミスリルロングソードを握ることさえできない。
「おお、こわいこわい。まあ、そういうわけですので、姫騎士様にも一働き願いますよ。
商品としてね。」
「くっ、そんな辱めを受けるくらいなら、私は今ここで舌を噛んで死ぬ!」
「強がるのはやめとけ。こっちにはお前らから強奪したミスリルポーションがあるんだ。
どんな怪我でもたちどころに治るそうだな。」
「お前は大事な売り物だからな。自殺なんてさせねえよ。」
落花生がクッコロを蹴りつける。クッコロはそのまま仰向けになり倒れた。
(くっ、悔しい……!このままこいつらの言いなりになるしかないのか!?)
落花生達がクッコロを見下す。
その視線は品定めをするように、卑しいものであった。
落花生達のリーダーが微笑みながらクッコロの手に枷をはめる。
その笑みは冷たく酷薄であった。
「とはいえ、貴女には奴隷として躾をしなければなりませんね。
皆さん、後は頼みましたよ。」
「へへ、待ってたぜ!」
「かわいがってやるから、大人しくしとけや。」
落花生達がクッコロにじわりじわりと近づく。
彼等のペニスは既にはちきれんばかりに勃起していた。
「くっ、まさか……!?
くっ、来るな!下衆め!」
クッコロは落花生達の様子を見て、これから自分が受ける恥辱を察した。
距離を取ろうとするが、足は痺れ、動かすことすらままならない。
「ヒッヒッヒ、高貴な姫騎士様は、アソコもさぞや高貴なんだろうな?」
「確かめてやろうぜ!」
「くっ、やめろ!くっ、見るな!」
落花生がクッコロを押さえつけ、ミスリルビキニアーマーを外していく。
そして股が開かれ、クッコロの秘部が顕になった。
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その瞬間、おぞましい深淵の漆黒が全てを包み込んだ。
テケリ・リ。
テケリ・リ。
這いずり回るような笑い声が反響した。
病的な緑色をした名状しがたいものが漆黒を塗り潰した。
狂気に満ちた造形のキューブが吐き出され、積み重なる。
その隙間からは千の貌が嘲笑を続けていた。
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どれほどの時間が過ぎたか。
落花生達のアジト。
そこにクッコロの姿はなかった。
残されたものは無数の何か。
それらは全て正気を失っており、何かと言い表すことしかできなかった。