想刻のジャスティス ~Hellfire Alchemist~/第二章 三話

Last-modified: 2020-04-04 (土) 01:17:55

 邪素血巣たちが就寝した深夜の魔法学校(ルーンアカデミー)。イマームは警備網の前に立っていた。


「ここが魔法学校(ルーンアカデミー)…ヤツがヘマをしたせいでずいぶんと厳重になっているな…
 少々めんどうだが、このオレにとってはわけはない。」


 そう言って暗殺者は一瞬で警備網を魔法で取り払った。
その直後一瞬警備装置から電子信号が発信されたのをイマームはは見逃さなかった。


「オレの魔法は完ぺきだったはずだが、相手の方が一枚上手だったか。
 おそらくこの装置を作ったのと、これから駆けつける人物は校長だな。急がないと。」


 そう言って暗殺者は校内へ入りこんだ。


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「何の用だ。」


 ここは鳥取。イマームの元に邪竜四天王の二人が来訪していた。


「貴様に話しがある。」
「わざわざここまで出向いたってことはかなり重要なことなのだろう?」
「ああ、そうだ。実は我々と同じ四天王の一人であった卑鬼が不始末をしてな。
 その清算をお前にしてもらいたい。」
「ほう。で、具体的には何をしろと?」
「卑鬼を倒したとされるあの神炎院邪素血巣を暗殺するのだ。」
「…………」


 しばらくの沈黙の後、イマームはかすかに笑い、こう言った。


「この私が一皆の生徒などを手にかけるとでも?私も安く見られたものだ。」
「貴方がそう言うことはわかっていましたよ。
 私どももタダでとは申しません。報酬も…この通り。」


 燃帝は懐から一つのタマネギを取り出す。


「バ…バカな?!それはタマネギ!!
 しかもその光沢と禍禍しい魔力!!
 まさか…北海道産か?!」


 燃帝はニヤリと笑いさらに懐から一つのサツマイモを取り出す。


「バ…バカな?!それはサツマイモ!!
 しかもその光沢と禍禍しい魔力!!
 まさか…鹿児島産か?!
 そんなバカな…北海道産のタマネギに鹿児島産のサツマイモだと…ゴクリ…。」
「ああ、そうだ。他にも暗殺した生徒の数に応じて愛媛のみかんを追加しましょう。」
「!!…ああ、いいだろう。
 魔法学校(ルーンアカデミー)は東京だったな?」
「ええ、そうです。くれぐれも卑鬼の二の舞にはならないように…」
「承知した。」


 そう言い残してイマームは砂嵐となり消えてしまった。


「フフフ。邪素血巣(ジャスティス)くん…
 面白い子でしたが君もここまでですね…
 ッフフッファーハッハッハッハッハァァハァ
「そろそろ帰るぞ」
「ハァハァッ…私としたことが…そうですね。
 堕神に報告しなければ。」


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 魔法学校。今日は日曜日である。
基本的に魔法学校は土、日は休みとなっているので、この日は寮を出て自宅へともどる生徒も少なくない。
そんなわけで今日はゆっくりできるはずだったのだが…


「な…な…なんじゃこりぁぁぁぁぁぁ!!」


 先輩の悲痛な声がひびきわたる。


「昨日やったことがほとんど身についていないだなんて…!!」


 原因はやっぱり俺のせいだった。


「だから、本を同時に四冊なんて無理なんだってば」
「うわー、私昨日すごーくがんばったんだよ?なのに…」
「大体貴様は授業をいつも寝ているのに、どうして分かるんだよ!」
「知らないよ!そんなこと考えたこともなかったよ!」


 逆ギレされたよ?こんな時どうすればいい?答えは簡単さ!


「よしわかった。ならばチェスをしよう!
 俺が勝ったら…これからはマジメに授業を受けることだ。」
「なんだか論点をはずされているよーな…
 だったら邪素血巣、仮わりに、負けたらちゃんと修業してもらうんだからね!」


 こうして俺たちの熱い決闘(ジャスティス)が始まった。


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「ふむ…生徒を殺害に来たはよいが…みつからんな。」


 そう言ってイマームは床にボロ切れのように転がっている、自称バード&(エンド)カメレオンに気付くことなく次の部屋へと向かった。


「おや?あちらの部屋から人の気配が…!!
 人数は…四人か、フフ…私の感覚(サーチ)からはどんな人間ものがれることはインポッシブルなのだ…!!
 そう言って隣の部屋の自称バード&(エンド)カメレオンをよそに、四人のもとへといそいだ。