サガスカーレットグレイス

Last-modified: 2020-06-22 (月) 22:42:19

発売日

無印版(PSV)2016年12月15日 6,800円+税
緋色の野望版(PS4/Switch/Steam/iOS/Android)2018年8月2日 5,800円+税 4,455円+税

概要

サガシリーズ25周年記念作品として『アンリミテッド:サガ』以来14年ぶりにリリースされた新作タイトル。
サガシリーズは毎回斬新すぎるシステムを採用することで知られているが、今作は戦闘システムが大幅に変更された。
また戦闘により特化した作品となっており、それ以外のものは徹底的に排除されている。
シンボルエンカウントの廃止、街やダンジョンマップの廃止、通貨の廃止、回復アイテムの廃止等々挙げるときりが無い。
マップはワールドマップのみとなっており、街を訪れると会話をするか鍛冶屋を利用するかなどを選択するだけであり、ダンジョンを訪れると戦闘をするだけと非常に簡素なものになっている。

邪神ファイアブリンガーが十二星神と人間に破れた70年後の世界が舞台。
邪神を打ち倒す帝国も崩壊したために、人間は勢力争いを始め、神とは名ばかりの星神は天界の覇権争いを始め、冥魔と呼ばれるモンスター達は自らを封印した星神達を打倒しようと暗躍しており、世界は完全に荒れきってしまっている。
主人公は4人おり、それぞれにナビを兼ねたパートナーキャラクターが存在する。
会話イベントは一枚絵で展開されるだけの紙芝居形式であり、2016年当時としても珍しく一切のボイスが無いが、セリフ自体は従来の作品と同じくサガ臭ぷんぷんの言い回しが多い。

各主人公にメインとなるシナリオが割り振られており、20の州を練り歩いて問題を解決していくのが大まかな進行である。
シナリオ毎に加入するキャラクターが決まっているが、今作では総勢70人以上(!?)のバトルキャラクターが存在する。

主人公

ウルピナ

ロニクム州シルミウムを拠点とする四将軍家の筆頭であるユラニウス家の令嬢。
ユラニウス家は戦技の神であるマリガン神を信仰していることもあってか、主人公の中でもとりわけ星神への信仰心も高い。
正義感も非常に強く、誰に対してもオープンな性格をしており、周囲には姫と親しまれている。
一見するとサガらしくない普通のRPG主人公のようだが、世間知らずにも程があり、戦うことにしか能が無い今作屈指の脳筋
頭が腐っている。

パートナーは守役のモンド
ウルピナの父であるマクシミアスが幼少の頃からユラニウス家に仕えており、若い頃から世界を放浪していたために見識が豊富。
高齢ではあるものの、戦闘の腕は衰えておらず、従者としてウルピナを大きくサポートする。

レオナルド

ヤクサルト辺境州に住む農民。
元は周りには手がつけられないレベルのヤンキーだったが、本質は信頼を大事にする仲間思いの青年。
ある出来事をきっかけに農業に勤しむことになるのだが、変に真面目に仕事をするようになったせいか、行く先々で土地環境を気にする農業バカ

パートナーは幼馴染のエリザベート
エリザベートは家柄の関係で他の州について多少の知識はあるが、ナビ役としてはかなりお粗末で、行きあたりばったりな展開になることが多い。
ちなみに女性メンバーか加入すると、エリザベートは露骨に不満な態度を取る。

タリア

テルミナ州に工房を構える陶芸家の女性。元魔女。
見た目はおしとやかな和装美人だが、性格は真逆であり、何事も自分が納得するまでとことん追求する激情家。
本質は魔女の時代の時から変わっておらず、自身の信念を曲げない性格をしているせいか、星神に対しては快く思っていない。
元魔女という経歴がありながら魔術の神であるヴァッハ神をもってしても『まだマシ』といった具合で、武力行使でやりたい放題しているマリガン神に至ってはゲスとさえ思っている。

パートナーはエルワカンの元親衛隊のカーン
冒険集団キラーズとして活動していた最中にタリアと出会い、お互いの利害が一致したことで共に旅立つことになる。
そのため他の主人公と違って、パートナーを含む初期メンバーとパーティを組むまでに一切の接点がない。
多少の常識はあるものの、絵に書いたような適当人間であり、自由気ままな性格をしているタリアにすら呆れられることがある。

バルマンテ

ケイ州コハン城の法定処刑人。
屈強な見た目とは裏腹に、知的で賢明な人物で今作きっての常識人。
処刑人としての自負が強く、職務に私情を挟むことは決してしない。
性格は基本的に冷静沈着なのだが、融通がきかない時がある。
全主人公で唯一過去の事柄について明かされておらず、他の主人公と比べると不明な点が多い。

パートナーはコハン城の法務担当書記官であるアーサー・ダールトン
常に美女を侍らす典型的なチャラ男で、戦闘なんて真っ平御免という掴みどころのない男。
自分に都合の悪いことや面倒事からは目を背けることが多々あり、会話の節々から腹黒さを匂わせることも多い。

緋色の野望版

無印版から約1年8ヶ月後に事実上完全版である『緋色の野望』が発売された。
イベントの追加、ロード時間大幅短縮、マップ移動時の速度がアップ、周回引き継ぎ要素の追加等々、快適性が大幅アップした上に、無印版ではゲーム内で語られなかったストーリーの補完などがされている。
キャラクターボイスも追加されており、主人公とパートナー以外は基本的に加入イベント時しか会話シーンが無かったためにキャラクターの性格がいまいち掴みづらかったが、緋色の野望版では戦闘中にこれでもかと言うレベルでよく喋るので、キャラクターへの愛着が湧きやすくなった。
また、やりこみ要素として各州に緋の魔物と呼ばれる強敵が配置され、ストーリーの進行によってワールドマップに突如出現するようになった。
どいつもこいつも一筋縄ではいかないが、全て撃破すると…

バトルシステム

今作では敵・味方の行動順が可視化されているタイムラインと呼ばれるバトルシステムが採用されている。
行動に必要なBP(ブレイブポイント)はパーティ全体で共有されており、現在のBPをうまくやりくりして技や術を発動するというもの。
基本的にBPはターン経過で増えていくが、これは敵にも共通しており、戦闘が長引くと大技の応酬が繰り広げられるようになっている。
従来のシリーズでは同コストで威力に差があると性能の低い技は連携パーツ以外では使い道が無かったが、今作は多くの技に追加効果があったり、BPシステムの関係上で全ての技に使い道が存在する。

ターン開始時の時点で敵がどの技を仕掛けてくるか、それがどの属性による攻撃なのかがプレイヤー側に明示されているのも特徴。
一見するとサガには似つかわしくないなんとも親切なシステムのように思えるが、今作は敵の行動が分かっていても戦闘不能者がバタバタ出てくるレベルで攻撃にインフレしたゲームバランスである。
戦闘中の回復手段は意図的に制限されている節があり、今までのサガシリーズのような戦闘スタイルは基本的に成り立たない。
ちなみにLPが0になった場合は一定期間戦闘に参加できないだけで、キャラロストはしない。

敵を倒したり、味方が倒れたりした時に、左右の陣営が一致すると敵陣営目掛けて連撃が発動する。
例えば味方側を12345、敵側をABCDEとしたとき、タイムラインが以下のように並んでいるとする。

 1 A 2 B C D 3 4 E 5

この時Aの敵を倒した時、味方の1と2が連結するので連撃が発動する。
その連撃でEの敵を倒すと今度は345が連結するので再度連撃が発動、といった具合である。
また、敵の攻撃で2が倒された場合は、ABCDが繋がってしまうため、敵側に連撃をされてしまう。
味方の攻撃でCを倒してしまった場合もBDが連撃の条件を満たしてしまうため、敵の数を減らせたのに逆に劣勢になる恐れも。
弱った敵から仕留めて頭数を減らしていくというのがRPGの基本だが、敵の連撃により逆にピンチに陥ってしまうこともあるため、倒す順番やタイミングを考える必要がある。

ちなみに連撃参加者は次ターン時の消費BPが軽減されたり、術の詠唱ターンが短縮されるというメリットがある。(ただし敵側にはこのボーナスは発生しない)
技によっては行動順が変化したり、攻撃対象の行動順を遅らせたりするバンプ技があり、これらの技を如何に上手く利用して連撃を発動させるかが肝となる。
また、対象のキャラへの攻撃を身代わりするプロテクト技、敵の攻撃へ割り込み攻撃を仕掛けるインタラプト技などタイムラインシステムらしいバラエティに富んだ技も存在する。

今作は9つの武器種が存在し、各武器種毎に得手不得手がある。
武器毎の特性を理解して各キャラクターで役割を補い合うのが基本。
ちなみに今作では1人のキャラクターで複数の武器を同時に扱うことはできない。

  • 大剣
    攻守に優れるストロングスタイルの武器。破壊力には優れるが、技の追加効果に乏しく、小回りが利かないのが難点。
  • 長剣
    数多くの属性技を使いこなし、3種のリザーブ技を持つ汎用性の高い武器。亜種として二刀流がある。対応できない局面が無いのが強みだが、敵の弱点を突けなければ火力は並程度でバフ技・デバフ技は一切使えない。
  • 小剣
    状態異常技が豊富で敵の妨害を得意とする武器。比較的BPコストが低め。ハマればとことん強いが、相性の悪い敵相手だととことん役に立たない。火力も低め。

  • タイムラインコントロールに優れる武器。他の武器と比べると行動順補正値が独特。反面で素早さが変化しない技がかなり少ないため、行動順を変えたくないときはできることが殆どない。

  • 4種のデバフ技を扱える武器。技の破壊力は全武器種トップクラスであるが、どの技も攻撃ミスの可能性があるハイリスクハイリターンな性能。使い手が悪いと真価を発揮できない。
  • 棍棒
    3属性それぞれに反応するインタラプト技を扱える武器。攻防のバフ技とデバフ技も扱えるので盾役向き。力押しのイメージとは裏腹に火力はワーストクラス。

  • 間接攻撃に特化した武器。最強技は全技屈指の性能を誇る。間接攻撃という点以外の技の追加効果はやや微妙で武器ガードが発生しないのが弱点。
  • 体術
    武器を一切装備していない時に使える。柔軟性に富んだ技が多く、小回りが利くのが最大の強み。技の特性上、カウンター技を構えた相手には無力。火力は平凡。
  • 杖・術
    詠唱時間と引き換えに術を行使する武器。効果は強力だが、発動までに妨害されると詠唱が解除されてしまう。能動的に行動順を調整させることはできない。

『ミンサガ』と同様に戦闘中に突如神の恩寵が発生する時がある。
敵を眠らせたり、味方を回復させたり、味方のステータスを上げたりとバラエティに富んでいるが、敵全体を攻撃して敵側に連撃を発動されたり、味方の行動順が強制的に繰り上がって狙ってた連撃が発動できなくなる等、必ずしも有利に働くとは限らない。

昨今の制限プレイ

最新作なだけあって解析もまだまだ進んでおらず、従来のシリーズと比べるとまだまだ制限プレイをするプレイヤーは非常に少ない。
戦闘システム的に5人フルメンバーで戦うことが前提であったり、1人で複数の武器を扱うことができなかったりと1人旅は困難を極める。

そんな中でも真ラスボス戦は制限プレイの題材としてよく取り上げられており、なんと発売して4ヶ月足らずで1人撃破が達成されている。
まだまだ発展途上の段階だが、これから先プレイヤーが増えていくことに期待したいところだ。