ロマンシングサガ-ミンストレルソング-

Last-modified: 2020-07-25 (土) 11:26:06

製品概要

オリジナル版(PS2)2005年4月21日発売 定価6,800円+税
アルティメットヒッツ版(PS2)2006年5月11日 定価2,800円+税
ゲームアーカイブス版(PS3)2015年4月15日発売 定価1,111円+税

ゲーム概要

舞台はマルディアス。
遥か昔、神々と人間達に戦いを挑んだ邪神サルーインは、神々の王エロールが作ったディステニィストーンと人間の英雄ミルザの手で封印された。
それから1000年の時を経て、封印された邪神サルーインに復活の気配が漂っていた。
各々の目的がある8人の主人公たちは、世界を旅するうちに知らず知らず運命によって導かれ、
ディステニィストーンとサルーインを巡る宿命の渦中に引き込まれていくのだった。

 

「神は人をつくり、人は物語をつくる」
CMで用いられたこのキャッチコピーは、マルディアスを隅々まで回るうちにその意味を知ることになるだろう。

 

1992年に発売されたスーパーファミコン版『ロマンシングサ・ガ』のリメイク作品となる今作は、
〝閃き〟や〝連携〟などバトルで目立つものから〝マップアビリティ〟など地味なものまで、当時はなかったものたちを洗練して取り入れられていった。
また、過去作からの要素をふんだんに取り入れてしまったため、ゲーム自体は原典よりも複雑化した。
それを考慮されたのか、ゲーム内における説明が従来と比べて充実している点は見逃せない。
マルディアス各地の街や村に点在している〝ギユウ軍〟の子どもたちや、〝閃き〟などの戦闘中で挟まる説明によって数多くのシステムへの理解を助けてくれる。
相関関係となるシステムの多さから〝理解できれば面白い〟〝理解するまでが大変〟というハードルを下げるこれらの工夫がなされたことで、
サ・ガシリーズに馴染みがない方でも遊びやすくなったのではないだろうか。
とっつきにくさから玄人向けと称されがちなシリーズだが、それではあまりにももったい。
そういった点も踏まえ、発売当時はまさしく『サ・ガ』シリーズの集大成となっただろう。

ミンサガの特徴

強敵の数々

ストーリー上、必ず撃破しなければいけない相手以外にも、マルディアス各地には様々な強敵が存在する。
サルーインのしもべであったが見限り、今はひっそりと過ごしているフレイムタイラントをはじめとした四天王の面々。
イベントの進め方次第でサルーインの手下達により、魔改造を施されてしまった状態の裏四天王。
サルーイン以外の三邪神で冥府に居を構えているデス、条件を満たすと出現する闇の神殿に鎮座するシェラハ。
フロンティアの奥地で眠りから目覚めようとしているジュエルビースト。
などなど、どいつもこいつも一筋縄ではいかない相手である。
また、彼らの中には素の状態のサルーインよりも強く、うかつに戦えば全滅は免れないだろうが、キャラクターを鍛えたり武器を整えてチャレンジするのも一興だ。

 

余談だが、裏四天王を撃破すると過去のサ・ガシリーズにちなんだユニーク武器をドロップする。
かみを断つ斧や、ふしぎな卵など。シリーズを知っているとニヤリとすること間違いないので、一度は手にして武器を振るってみてほしい。

そして、さらなる強敵へ

上記のような強敵達がひしめく中、ミンサガで一際目立つ相手といえば間違いなくこの御方だろう。
マルディアス中に散らばるディステニィストーンを10個すべて捧げることで挑むことができる、通称〝真サルーイン〟である。
日本のRPG史上かつては強敵としてその名を轟かせた真サルーインは、ディステニィストーンを集める過程で最短でも3周目でないと戦うことはできない。

 

戦いの舞台に上がるだけでもかなりの手間を要するが、その苦労をいとも簡単に打ち砕いてくる。
真サルーインはHPが9万、腕力90などステータスはほぼカンストに近い。
これはレッドドラゴンなどの大ボスがHP1万台、通常のサルーインがHP3万、強敵に挙げたデスやシェラハがHP5万であり、主人公たちのステータスはどれだけ頑張って上げても70程度までしか上がらない点から比較しても、圧倒的なステータス値の暴力である。
このステータス値から最大4回攻撃に加え、様々な状態異常付き攻撃仕掛けてくるのだからたまったものではない。
中でも酷いのが、ただでさえ高確率の即死付与を持つ超高威力の〝ゴッドハンド〟を1ターンで4回行うことだ。
おおよそ一般的にゲームを進めたときのこちらのHPが600前後に対して、ゴッドハンドは軽く1,000を超えるダメージを与えてくる。即死の状態異常の必要性を疑うほどのオーバーキルにも程がある。
この〝握手会〟と呼ばれる惨状によって1ターンのうちにパーティーを壊滅状態にされた上に、立て直そうとすれば誰よりも早くアニメートによる傀儡化で回復の邪魔をされ、挙げ句の果てには様々な状態異常を同時に付与してくる心の闇によって、行動することさえできないまま追い打ちを受けて全滅させられてしまう。
こういった数々の熾烈な戦術によって、真サルーインに挑もうとする幾多のプレイヤーを絶望させてきた。
苛烈を極める相手であるため最低3周しないと戦うことすらできないハードルの高さは、安易に挑ませないための配慮か、あるいはここまで遊んでくれたプレイヤーへのご褒美なのかは神のみぞ知る。

 

2020年現在の今でこそ、真サルーインを相手取って武器縛りや、戦法縛りをかけたまま勝利を収めるプレイヤーが表立っているが。
過去には〝戦うことそのものが縛りプレイ〟であるとまで言わしめられ畏怖された相手である。
どうしようもないと思われた敵に対して遊び相手となるまでハードルを下げられたのは、かつて数多の智慧を集結させ今日の攻略法を確立させた先駆者達のおかげであり、多大なる敬意を払いたい。

 

制限プレイとして

上述したが、戦うことそのものが縛りプレイと言われた相手であり、かつてサガ総合企画の中で真サルーインと戦うという内容で一企画が組まれたこともあった。
ただ戦って勝利することから発展して武器縛りや少人数プレイを加えたり、あるいは龍神障壁、クイックタイムなどの強力な戦法を封じるなど、こちらの戦力を抑えつつ真サルーインに挑む狂人達もいた。
また戦力を抑えるという点でみれば真サルーインに限らず、最小戦闘回数で四天王等を撃破する、オープニングのレッドドラゴンを撃破するなどもある。

 

多岐にシステムを取り入れたため、一見ごちゃごちゃとした部分も見受けられるミンサガであるが。
相互に影響するシステムが多岐になった分、その裏返しでよりいろいろな手段を採ることができようにもなった。
どうか、君だけの物語を紡いで楽しんでみてほしい。