サガフロンティア

Last-modified: 2020-06-22 (月) 22:40:35

発売日

オリジナル版(PS) 1997年7月11日 6,800円+税
スクウェア ミレニアム コレクション版(PS)2000年6月29日 3,800円+税
PS one Books版(PS)2002年3月20日 2500円+税
アルティメットヒッツ版(PS)2006年7月20日 1,500円+税
ゲームアーカイブス版(PS3/PSP/PSV)2008年11月26日 571円+税

概要

サガシリーズ7作目。
ハードがプレイステーションに移行したことで、グラフィックやBGMの品質が大きく向上した。
戦闘中にキャラクターが大きく動くようになり、エフェクト面もド派手な爽快感のあるバトルに進化。
フィールドグラフィックも鮮明になり、細部に至るまで描かれている。
BGMを担当したのはサガではお馴染みの伊藤賢治氏。
音源の幅が広がったことでイトケン節が更にパワーアップ。特に当時のCMで使用されたBattle♯4には今も数多くの根強いファンを抱えている。

ロマンシングサ・ガシリーズでは、ファンタジー路線の世界観で描かれていたが、今作はGBサガシリーズのようなSFチックになっている。
従来の作品は基本的に一つの世界が舞台になっていたが、今作ではリージョンと呼ばれる多様な異文化世界がいくつも存在する。
純和風な京、近代的な都市であるマンハッタン、田舎町感漂うヨークランドなど多種多彩。
基本的には現実世界の人間にあたる〝ヒューマン〟が中心な世界観ではあるが、〝メカ〟や〝モンスター〟と共存していたり、基本的に他の種族と関わりを持たない〝妖魔〟が中心のリージョンも存在する。

今作では7人の主人公が存在するが、従来のシリーズと違って主人公ごとにシナリオは独立している。
ラストダンジョンやラスボスも主人公により異なり、ラストバトルのBGMもそれぞれ用意されているという豪華っぷり。
また、主人公ごとに特色が用意されており、同じ種族であっても違った遊び方ができるのも魅力の一つ。

主人公選択時にシステムデータと呼ばれるデータを作ることができる。
ゲームクリア後にシステムデータを更新するとクリア回数が記録されていき、次回主人公プレイ開始時に同じデータを選択すると初期ステータスや敵ランクが変動することがある。
また、同一のシステムデータで全主人公をクリアすると〝開発二部〟に行くことができる。
この開発二部では、スタッフの制作秘話が聞くことができたり、各主人公のラスボスや開発二部限定の裏ボスと戦うことができる。

主人公

ブルー

魔術が栄えるマジックキングダム出身の術士。
完全な術士になるために世界各地で術の資質を身に付け、双子の弟であるルージュを抹殺しなければならないというかなりダークなシナリオ。
性格は冷静沈着で冷酷無情。術の資質を得るためには手段は選ばない。
上っ面はいいため、仲間に誘うときは友好的ではあるが、心の底では悪態をついており、自分の目的達成のための手駒としてしか考えていない。

通常、リージョン間を移動するときは基本的にリージョンシップという乗り物に載る必要があるが、ブルー編では〝リージョン移動〟というアイテムを使うことでいつでもどこでも移動することができる。
オープニングイベントも一切無く、先述のリージョン移動があることもあって自由度は非常に高い。
また、シナリオの関係で最終的にはインチキまがいのキャラ性能になるため、サガシリーズ屈指の最強主人公になりえる。

レッド

どこにでもいる一般人だったが、科学者である父と一緒に悪の組織・ブラッククロスの情報を警察組織であるIRPOに向かう途中に襲撃を受ける。
瀕死になったところを正義のヒーロー・アルカールに救われたと思いきや、自身も変身ヒーロー・アルカイザーへと姿を変えさせられてしまった。
更に一般人に正体がバレたり、正義のため以外にヒーローの力を使うと存在が消去されてしまうと脅迫されるも、復讐のためにブラッククロスをぶちのめすという、ヒーローモノの王道シナリオ。
サボテンのようなツンツンヘアーが特徴。
また年相応にスケベで、シュライクの本屋やシュウザー基地潜入時のイベントは必見(?)

普段は普通のヒューマンではあるが、アルカイザーに変身することで大幅にステータスが強化されたり、一部のステータス異常に耐性を持つことができる。
また、ヒーロー技と呼ばれる専用技も使うことが可能。
ただし、戦闘中に変身するには人の目に触れてはいけないため、一定の条件が必要になる。
そして、ヒーローに変身した戦闘では勝利後のステータスアップが得られない。
ちなみにキグナスの医療メカであるBJ&Kがレッドの特殊な生命数値を感知した際に脅迫まがいで拉致同然な状態で旅に同行させている。
メカは口が堅いという設定があるが、壊されたくなかったら着いて来いというのが不正な命令と分かっていながらもついて行くあたりを見ると実のところかなり怪しい。

エミリア

元モデルであったが、IRPOで働くレンとの婚約を期に引退。幸せな生活が待っているかと思いきや、何者かがレンを殺害。
現実世界よろしく、組織の人間が殺されたことでピリピリしていたIRPOからまともな捜査や裁判もさせてもらえず、刑務所のリージョンであるディスペアにブチ込まれてしまう。
そこで出会ったアニーとライザとともに脱獄し、彼女たちが所属する秘密組織・グラディウスに勧誘され、レンを殺した仮面の男を追うという復讐劇。

普段は普通のヒューマンと変わらず、初期ステータスも貧弱であるが、特定のシナリオをクリアするとコスチュームチェンジができるようになり、技の閃き適正が変化するという特徴がある。
が、一部のコスチュームは閃き適正の変化が機能しておらず、他のものに当たっても特段優秀な性能を持っているわけでもないため、あってないような特性である。
数多くの妖魔が仲間になるが、エミリア本人は機械が苦手なためにメカは一切仲間にならない。
ちなみにラスボスが弱いとよくネタにされているが、これはサガの仕様やラスボスのある特性を知っていることが前提の話であり、なんの対策もせずに勝てるレベルのヌルい相手ではない。

アセルス

これまたただの一般人だったが、ある時に妖魔の君であるオルロワージュを乗せた馬車に轢かれてしまい、そのまま死亡。
が、彼の気まぐれにより、妖魔の血を与えられたことで世界で唯一である半分人間半分妖魔の半妖として蘇ってしまった。
妖魔のリージョンであるファシナトゥールから脱出も試みるも数々の追手を差し向けてくるオルロワージュ。
その過程で世界一中途半端な存在である自分とどう向き合えばいいのか葛藤し、これからの生き方を見つけ出すというシナリオ。
ちなみに死んでしまってから老いることなく12年の月日が流れており、死亡時の17歳の姿のままであったが故に、叔母には不気味がられてしまい、幼い頃に一緒に遊んでいたレッドにはニセモノ扱いされるという、今作屈指の不幸な主人公。

劇中では忌み嫌われている半妖だが、戦闘においてはヒューマンと妖魔の特性を併せ持つハイブリッドな種族。
戦闘中に妖魔武具を使うことで妖魔化し、通常の妖魔と同じく憑依したモンスターの補正を得ることができる。
追手から逃げるというシナリオの関係上、ストーリーの進め方がかなり独特で、トラップも多い。
ちなみに最奥部まで行かなければラストダンジョン突入後も引き返すことができ、これはアセルス編のみ。

リュート

またまたただの一般人…ではなく仕事もせずにぶらぶらと遊び続ける無職。
そんな彼だがようやく重い腰を上げて母親の元から離れて自立を目指す、というストーリー。
…なのだが、あるリージョンで一人の女性と出会ったことで父の知られざる真相にたどり着く、というもの。
怠け者ではあるものの、不思議と周囲の人を引きつける魅力があり、他の主人公で登場するときも友好的に接する。

物語の始まりの経緯は上述した通りであり、全主人公で唯一ストーリー開始時に明確な目的が存在しない。
そのためプレイヤーにとっても本当に突然外に投げ出された状態で始まるという他のRPGでも類を見ない始まり方である。
また、出会うことでストーリー進行のためのフラグが立つ女性は、普段行かないかなり奥まったところにいる上、固有のストーリーは非常に短い。

そんなリュート編の特色は主人公であるリュートを第一パーティから外せるという、ある意味リュートらしいもの。
つまり主人公なのにラスボスと戦わなくてもいいし、極論を言えば一切戦闘しなくてもいいのである。
ちなみに発売された1997年では特に取り沙汰されることはなかったが、2000年代中期にニートという言葉が浸透するや否や、語感や境遇が似ていることもあってか、サガプレイヤーからは時代を先取りしすぎた主人公と評される。

T260G

多くの屑鉄にまみれたリージョン・ボロからタイムという少年によって発掘された遥か昔の戦闘用メカのコア。
メカニックのタコおじさんによって修復されるも、自身の任務データが欠損しており、それを修復するために旅立つ。
メカなので性別は無いものの、女性人格がプログラムされている。

ストーリーを進めると自身のボディタイプを変更できるようになり、特に終盤で手に入るオメガボディは性能が非常に優秀。
また、道中でメモリ増設イベントがあり、プログラムのセット数を増やすことができる。
メカという無機質な存在の主人公でありながら、全主人公屈指の熱さと感動と温かみのあるストーリーが展開されるのが特徴。
メカであるT260Gは、基本的にヒューマンのように感情を全面に押し出したセリフを言うことはないものの、形式ばった口調でありつつもプレイヤーの笑いを誘うような独特な喋り方をする。
というかそもそもこの世界のメカはどうも人間臭いところがあり、自分の人格を埋め込んでおいたレオナルドは別としても、やたらとノリが軽く、落ち着きが無いナカジマ零式、人間相手に商売するpzkwV、加入時に「『やっと』働けます」と待ちわびていたかのようなことを口にする特殊工作車など、ある意味ヒューマン以上に個性豊か。
ちなみに他の主人公で仲間にする時はT260であるが、主人公時はタコおじさんに名前の最後にGをつけろと言われるためT260Gになる。

クーン

モンスターの集落である崩壊寸前のリージョン・マーグメルに住むラモックス。
長老が持っていた指輪の力によりなんとか持ちこたえていたが、それももう限界が近づいている。
指輪には兄弟が存在し、全て集めることによって願いを叶えることができるらしく、マーグメルが見せた夢のお告げによりクーンは旅立つ。

性格は良くも悪くも純粋無垢で世間知らず。
図らずも空気の読めない辛酸な発言をすることが多く、サガシリーズらしい迷言が多い。
持ち前の明るさと純粋さによって周りの人々を元気づけることもしばしば。

種族がモンスターな上に他の主人公と違ってクーン自身に強化点がないため、成長システムを理解していないと足手まといになりがち。
そんなクーン編を大きくサポートするのが多彩な特殊効果を持つ指輪。
シナリオで入手すると戦闘用の道具として使うことができ、他の術などでも代用できないような特別な効果を持っている。

王道ファンタジーを往くシナリオだが、難易度はトップクラス。
全体的にダンジョンのギミックが複雑で、シナリオ進行も独特な上に初見殺し要素満載。
ただでさえ主人公であるクーンの性能にクセがある上に特殊な戦闘が非常に多いのも辛いところ。
ちなみにクーン編のみ明確なラストダンジョンが存在しない。

バトルシステム

後のサガシリーズでも採用されている〝連携〟が初登場。
同じ勢力が続いて行動するとき、技の相性が良ければ連続で攻撃することができ、普段よりも大きなダメージを与えることができる。
ただし全体攻撃は連携の最初にしか組み込めず、技同士の相性が悪ければ絶対に連携は発生しない。
間髪入れずに技を叩き込むという爽快感あふれる演出も非常に魅力だが、珍妙な連携技を作るというネタ的な楽しみ方もある。

ロマンシングサ・ガ2や同3で見られたスキルレベル制は廃止され、使用武器に応じて戦闘中に各ステータスが成長するというシステムが採用された。

今作でも戦闘回数が管理されており、それに応じた独自のポイントが一定数に達すると敵のモンスターが強くなったり、ボスのHPが増加したりする。
雑魚戦であろうと戦闘中に逃げることが一切できず、実はこれはサガシリーズでは初。
また、ハードがPSに移行したことで敵シンボルがより特徴的な動き方をするようになった。

技や術の総数は非常に多いが、各種族で使えるものは限られており、種族毎に見ると使えるものは少なめ。

今作でも閃きシステムが採用されているが、閃き技を使えるのはヒューマンのみであり、技の系統数も剣、銃、体術と3系統しかない。
術は基本的にヒューマンと妖魔のみが使うことができ、術系統数自体は豊富だが、ヒューマンにしか使えない心術があったり、一部のキャラクターにしか扱えないものまで存在する。
妖魔は妖魔武具と呼ばれる武具にモンスターを吸収することでステータスアップを得られたり、特殊技を使うことができる。
メカとモンスターは戦闘後にプログラムやモンスター技を入手することで使用技が増えていくが、どちらも少々ややこしいシステムとなっている。
また、習得した技や術は各キャラクターで個別管理されており、パーティで共有することはできない。

仲間になるキャラクターは主人公ごとに異なるが、同時に15人までパーティに加える事ができ、パーティを3つ作ることができる。
ただし先述のリュート以外の主人公は第1パーティから外すことができず、基本的にシナリオボス戦は強制的に第1パーティが戦うことになる。

昨今の制限プレイ

サガシリーズの中では比較的難易度が低く、各主人公のシナリオやラスボスが全く違うこともあり、制限プレイは幅広く行われている。

制限プレイの火付け役となったのは、最少戦闘回数クリアであろう。
各種族の強みを理解して連携を駆使すれば比較的容易にクリアできる。

また今作の補助術は大変有用なこともあって一人旅も盛んに行われている。
ヒューマン以外でも装備を整えれば簡単に強くなれるメカ、ハードルは高いものの、各ボディの防御特性を活用すれば完封さえ狙えるポテンシャルを秘めたモンスターも制限プレイでは心強い種族であろう。