ここではRS2(漫画版)の台詞を解説。
- ゲーム版の類似台詞は【ここに始まるは遥かなる戦いの詩。偉大な帝国と麗しきアバロンの詩。そして代々の皇帝とその仲間達の詩】を参照。
RS2(漫画版)
【漫画版ロマンシング サ・ガ 2】では物語の【エンディング】として描かれ、このセリフを以って物語を完結させている。具体的には第3巻の137ページから142ページ。
本作では、共和制移行後もアバロンは帝国の歴史と記憶を継承する中心地としての役割を維持している設定。
酒場の一角には、かつて七英雄の一員でありながら、最終皇帝【ジェラール二世】たちの味方として協力した【シャハリヤール】が着座している。
彼は、アバロン内外で「美声と竪琴の名手」として広く知られる謎多き詩人の存在に気づく。シャハリヤールがその詩人の顔を間近で確認した瞬間、彼はその面影が自身のかつての主君たちである歴代皇帝と酷似している事実に直面し、強い驚愕の念を抱く。
この驚きは、単なる偶然の類似ではなく、歴史の核心に触れたことへの本能的な反応である。
バレンヌ帝国の第二代皇帝【ジェラール】の名を継ぐジェラール二世は、その詩人が自分自身に瓜二つであるという情報を聞きつけ、即座に強い関心を示す。
彼は、その詩人の正体とその歴史的な関与の真偽を確かめるべく、アバロンの城下町を舞台に詩人を執拗に追跡する行動に出る。
この追跡は、単なる好奇心ではなく、七英雄との戦いの始まりから終わりまで、歴代皇帝たちを導き、あるいはその手助けを間接的に行ってきた「詩人」と呼ばれる存在の正体を突き止めるという、帝国の歴史の根幹に関わる重要な疑問を解決するための行動だった。
追いついたジェラール二世は、詩人に立ち止まるよう強く要求し、問い詰める。
彼は詩人に対し、七英雄との長きにわたる戦いに巻き込まれた歴代皇帝とその仲間たちに対して、「手助けを求めた」あるいは「導きを与えた」人物、すなわち「始まりの詩」を奏でた人物ではないかと問いかける。
この「手助け」とは、七英雄との戦いへの参加を促した、歴史の裏で動いていた力のことを指す。その時、ジェラール二世は詩人が携行する、古色を帯びた神聖な雰囲気を持つ竪琴を視認する。
この竪琴こそが、歴代皇帝が追い求めた真実を象徴するアイテムであると即座に気づき、その特別な意味と来歴について強い関心を示す。
竪琴の視認により、ジェラール二世はさらに強い確信を抱き、その竪琴の入手経路について問い詰める。
詩人はついに自身の素顔を隠すことをやめ、その真の容貌を明らかにする。
その詩人の顔には、バレンヌ帝国の創始者である初代皇帝【レオン】、その直系の継承者であるジェラール、そして【フリーファイター】男である皇帝の一人である【オライオン】、これら三人の偉大な皇帝たちの面影が融合したような、時を超えた尊厳が宿っていた。
この事実は、詩人が特定の単なる個人ではなく、歴代皇帝の集合的な魂や、帝国の歴史そのもの、あるいはそれを見守る高位の存在を具現化した存在であることを示唆する、感動的な最終啓示である。
詩人から、歴代皇帝の記憶と七英雄との戦いの歴史が込められた特別な竪琴を受け取ったジェラール二世は、その場で竪琴を手に取り、奏で始める。
この行為は、帝国の歴史と使命を継承したことの象徴である。
その音色は、単なる音楽ではなく、七英雄との戦いを通じた帝国の全史を語り継ぐ叙事詩の幕開けである。
この叙事詩は、まず「遥かなる戦いの詩」として、長く苛烈であった七英雄との過去の激戦と、その犠牲を讃える。
次に「偉大なる帝国と麗しきアバロンの詩」として、かつての強大なバレンヌ帝国と、平和的な体制に移行したバレンヌ共和国のアバロンの変遷と、その美しさを称揚する。
そして、「代々の皇帝と仲間達の詩」として、歴史を築いたすべての皇帝たちと、彼らを支えた無数の仲間たちの功績を後世に伝える役割を担う。
ジェラール二世は、この壮大な歴史の詩を最後まで歌い終えるための力、すなわち記憶を保持し、語り継ぐ使命を全うするための精神的な力を「精霊」に強く請願する。
これにより、物語は単なる終焉ではなく、偉大な歴史が永遠に語り継がれ、次世代へと受け継がれることへの希望とともに、大団円を迎えるのである。