【SaGa Frontier II】

Last-modified: 2025-09-24 (水) 19:28:03
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1220年 ギュスターヴ誕生
幸せな幼年時代
 
だが・・・・・・
 
逆境をバネに新しい時代を切り開くギュスターヴ
時代を彩る人々
運命の扉が開かれる
対応機種プレイステーション
メディアCD-ROM
発売・開発元スクウェア
発売日1999年4月1日
定価6,800円(税別)

サガシリーズ第8作目。【SaGa Frontier】の続編ではあるが、前作の世界観とはうって変わってロマンシングサガシリーズのような中世的世界観が強い作品となっている。
加えて本作特有の架空科学設定が多く、ハイファンタジー色がかなり強い。
特に古代文明の扱い方は従来作とは一線を画し、現生人類とは異なる尺度で設計された「人類にとっての異物」という色合いを強め、それ自体が大きな事件の引き金になるというシナリオの書かれ方をしている。
 
万物に宿る【アニマ】を使い、術を使うのが当たり前の世界【サンダイル】
王族でありながら術不能者として生まれた【ギュスターヴ13世】と、その時代の影で暗躍するエッグという存在に立ち向かうディガー【ウィリアム・ナイツ】
二人の主人公、及びその意志を継ぐ者達によって描かれる、約100年に及ぶ物語を垣間見ることになる。

2008年12月10日にはゲームアーカイブスで配信。

2025年3月27日のNintendo Directにてリマスター版が発表され、各プラットフォームで配信された。

設定の相違

本作のストーリーは【ヒストリーチョイス】と称され、サンダイルの歴史のうち約80年の期間を追体験していくものとなっている。
歴史小説や大河ドラマの各チャプターを読むように、サンダイル史の重要なシーンの一部を切り出した個々のシナリオを、その時その時の主要人物(=主人公)の視点からプレイしていく。
既に決まっている歴史の道筋をどうなぞるかに焦点が当てられるため、プレイヤー自身の手による展開変化の分岐選択は数えるほどしかない。
そうしたシナリオの構成上、当然ながらシナリオの間で起こった事件は簡単にしか語られず、そのシナリオの主人公にとって知り得ない情報についてもはっきり明かされない。
…というわけで、本作は【サガシリーズ】の中でも特にオリジナル版の作中で語られなかった設定、いわゆる裏設定の多い作品であり、ストーリー面ではある意味一番複雑な作品となっている。
 
裏設定の一部は関連書籍やリマスター版追加シナリオで補完されているが、裏設定を補完する媒体同士で矛盾する設定がいくつか存在し、大きく分けて以下の3系統に分類される。

  1. 【SaGa Frontier II 設定資料集 PERFECT WORKS】【サガフロンティア2 設定資料集 サンダイル年代記】 - 通称「PW設定」。主に群像劇や歴史書という観点での解釈が中心。
  2. 【SaGa Frontier II ULTIMANIA】 - 主にギュスターヴ13世による物語という解釈が中心。
  3. 【SaGa Frontier 2 Remastered】の追加シナリオ - 上記書籍群と大きく違う解釈をされている部分が多く、キャラクターの没年にいたるまでかなり異なっている。特にPW設定とは差異が大きい。
    • ゲーム上に新たな解釈を追加するというデリケートな話であるため、これらのシナリオは【追加コンテンツ】ありでのみプレイ可能であり、とりわけデリケートな一部のシナリオは2週目限定となっている。

これらを同じ世界の出来事として全ての裏設定を取り入れようとしたり、異なる媒体での裏設定を混同すると必ずどこかで破綻するため要注意。そうした面もストーリーの難解さを高めている。
どうしても同じ世界の出来事と解釈したいのならば、矛盾する部分は学説の違いのようなものと割り切るべきだろう。
現実世界の歴史学においても、今なお史実の真偽や偉人の享年などについて、正確に判明しておらずいくつかの説が存在する事柄は少なくない。
時期によって主流の説が変わることもあり、例えば日本史における鎌倉幕府の創設年はかつては1192年とされていたが、研究が進んだ現在の学説では1185年とされている。
また、作中や書籍における描写はすべてが歴史学的な資料として描かれているわけでもなく、時代考証が不完全な事柄に対して著者の解釈や脚色が入った歴史物語のように描かれている部分もある。
例えば原作ゲームの時点でも、【ギュスターヴと海賊】はギュスターヴにまつわる伝説を題材とした歴史物語という体裁のシナリオとも解釈できるようになっている。
本作を取り巻く作品・資料群を、サンダイル史に対して異なった説を持つ別々の著者が作成した資料あるいは物語であると解釈すれば、それぞれの間で不一致が存在することにも説明がつくだろう。
 
さらに、本作においてはかなり少ないながらも、ゲームである以上はプレイヤーの選択分岐次第で一部の歴史が変わってしまう場面もある。
どこまで行っても正解を一つに絞ることはできないし、あくまで架空の歴史の話なので、最終的にはプレイヤー一人一人が自分好みの説を信じればよいという結論には落ち着く。
ただ、ストーリーや世界観について考察したり、他者と意見交換したりする際は、どの媒体の設定に基づく考察であるかはっきりさせておいた方がよいだろう。