星神を裏切った罪で追放された神「ファイアブリンガー」
邪神は彗星となり還ってくる。鎮まっていた冥魔達も暴れ始め、世界は危機に陥る。
星神は一人の男に力を授ける。
彼は人々を率い「ファイアブリンガー」と戦う帝国を打ち立てる。
冥魔は地下へと押し戻され、邪神の星は彼方へと去った。
その後も邪神の星は、150年毎に還ってくる。
時代時代の皇帝が「ファイアブリンガー」と冥魔達を迎え撃った。
準備に怠りなく楽々と邪神を撃ち破る皇帝もあれば、油断の果てに世界を滅亡の淵に追い込んだ皇帝もいた。
七度目の襲来で遂に、邪神の星は砕け散った。
1000年に渡る戦いに終止符が打たれたのだ。人々は平和の訪れに歓喜した。
「ファイアブリンガー」の破片は地上に降り注ぎ、それは人間と星神の勝利を祝う花火のようであった。
「ファイアブリンガー」が消滅すれば、帝国も不要になる。
支配を続ける帝国に対して、各地で反乱が起きる。それは皇帝の息子達による内乱へと繋がる。
混乱の中、「ファイアブリンガー」を倒した英雄である皇帝が暗殺され、帝国はあっけなく瓦解した。
それから70余年。帝国時代を知る者もほとんどいなくなった。
世界の混乱は続いていた。新たな危機が迫っていることに気が付く者など、存在しなかった。
だが時代は主人公を用意する。新しい時代の新しい主人公を。
| 作品名 | SaGa SCARLET GARACE(サガ スカーレット グレイス) |
| 対応機種 | PSVita |
| 発売元 | スクウェア・エニックス |
| ジャンル | RPG |
| 発売日 | 2016年12月15日 |
| 価格 | 6,800円+税 |
本作では久方ぶりに「神々」を主要なテーマに持ってきており、RS1・MS以来の多数の神々が世界観の中心を成している。
US・MSの製作を経て強くなったシニカルな色合いが加わり、「登場する神々のほとんどが人類を騙して支配者の座についている」という設定になっているのも特徴。
しかし何よりガラリと変わったのがシステムだろう。
「バトル」「フリーシナリオ」の2点以外を極限まで削ぎ落とした、サガシリーズの特色を先鋭化させた作品となっている。
バトルに関しては【タイムライン】が再び登場。しかし従来作のそれに比べて極めて影響力が強く、バトルの中核はタイムラインこそが担うというレベル。
行動順の調整もさることながら、【リザーブ技】による反撃・割り込みの要素が盛り込まれ、「結果を想定してそこから逆算して行動を決める」といったパズル的な戦術性が加わった。
また、公式自ら「うまい人でもやられます」とアナウンスするほど難易度が高く、【戦闘準備画面】で毎回戦闘ごとに個別の準備が可能なぐらい、相応に局所的な対応を要求される。
行動リソースに至っては原則的に前のターンからの引継ぎさえなくなり、【BP(ブレイブポイント)】はターンごとに敵味方へそれぞれ支給され、ポイントはそのターン内だけでの使い捨て。このポイントは敵味方それぞれ、全員共有となっており、ターンごとに増えるのが原則ではあるものの絶対数は非常に少なく、大技はここぞという時に使うものと定義され、小技による戦況の掌握を含めた総合的かつ緻密な立ち回りが重要視される。
また、【術】は強力な反面【詠唱】を必要とするようになり、技とはまったく違う行動になり、タンク役が詠唱者を庇うといった選択も視野に入る。
行動順を操作する【バンプ】、戦闘不能者が出た場合に現在戦場に残っている敵味方の行動順しだいで発生する【連撃】といった、タイムラインがないと成立しない要素も多い。
HPの回復については非常にハードルが上がり、術に頼るため詠唱ターンが必ず必要となり、即時発動するような回復アイテムは存在しない。如何にして敵の攻撃に対して能動的に対処し、先に倒していくかに心血を注ぐバランスになっている。
フリーシナリオは【フリーワールドシステム】という形式を採用し、本作の地域単位である「州」の中を自由に動き回って、出現したスポットに立ち寄り、そこで発生した事件や戦闘を経ることでイベントが進行する仕組み。各スポットは簡素な説明しかないことが多く、軽い気持ちで立ち寄ったら大事件が突然発生したりしてハプニングに見舞われることもよくある。
従来の形式のダンジョンは原則的に存在しないが、戦闘が発生するスポットを要所に配置することで擬似的に従来のダンジョンを再現している箇所もある。
またこれらの突発的なイベントで加入するバトルキャラクターが多く、本作では加入できる人数に制限がない。バトルに参加できるのは一度に5名だが、多数の仲間を連れ歩いて都度使い分ける・LPが尽きた仲間が復帰するまで他のメンバーに戦わすといった状況も多い。
従来の「休憩スポットでの準備と、それによる戦力拡充を基にしたダンジョン突入」という進行形式の基本が本作では覆されており、町の施設は【鍛冶屋】を中心とした簡素なものであり、アイテムの購入要素も廃止された。
基本的には【戦利品】と、素材を用いた強化によって装備品を拡充していく。そこに前述のフリーワールドシステムが絡み、素材の入手傾向が州ごとに特色を持つため、装備の強化プランが行動範囲に大きく依存するのも特徴。そのため自由度の低い主人公を慣れないうちに選ぶのはリスクが高い。
新たに移植版として【サガ スカーレット グレイス 緋色の野望】が発売。詳細は別項。
