伝承/深紅の鎮圧

Last-modified: 2024-04-30 (火) 12:18:16
テキスト記述元
第1項"アルドレックは見事な黒い板金鎧を着こみ、青いキルトのサーコートをはおり、それを厚手の革のベルトでとめた。
彼はその大きな腕に精巧な金属の小手をはめ、金属の兜をかぶり、自らの大きなハルバードを肩にかついだ。"
スキルツリー/クラス1槍使い
第2項"彼はアイアンフォージ守備隊の隊長だった。彼の任務はマークドールの王女であり、将来「鋼の議会」の長となるであろうウマリの護衛だった。
1日に4時間、彼は中庭で殴打武器の訓練をおこない、1日に12時間、城の王族の居住区の警備をおこなった。"
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第3項-1"彼は目をこらすだけでなく、よく耳をすました。彼は鎧を着てその場にじっと佇みながら、無表情に持ち場で起きているあらゆる出来事を見、聴き、分析した。"スキルツリー/筋力強化
第3項-2"彼はたとえばクラークの甥のティブスが、コートホロウのごろつきたちに金を借りていることを知っていた。
そしてエレメル伯爵が支持者を増やすために、外部の人間を優遇していることも知っていた。
しかし深紅の鎮圧の発生に関しては、彼はまったく予想することができなかった。"
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第4項"兆候はあった。しかし彼はそれらを具体的に結びつけることができなかった。
議員のひとりであるファードリックの姿が朝から見えなかったが、それは単に病気か何かかと思った。ファードリックの「はとこ」であり、守備隊見習いのドゥーリー・チャーマーズが朝の点呼に遅れていたが、それもまたよくあることだった。食糧庫の鍵が紛失していたが、それは単にずさんな管理の結果であって、そこに陰謀が絡んでいるとは思わなかった。"
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第5項"しかし最初の音、すなわち広間に雄たけびと鋼がぶつかり合う音が聴こえたとき、アルドレックは悟った。
仲間が敵となり、彼は王女を救うために自らの部下を切り倒さなくてはならなかった。だが誰を信じればよいのか?
彼が最初に下した命令は明確だった。つまり王女を守れ、ということだ。"
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第6項"マークドールの王女であり、将来「鋼の議会」の長となるウマリは、11歳の少女だった。
マークドールの上流階級の娘は、舞踏や礼儀作法を重視する南の大陸とは異なり、格闘術や剣術、それに弓の技術などをしっかりと仕込まれていた。"
スキルツリー/クラス2槍使い
第7項-1"アルドレックはアイアンフォージ守備隊の仲間であるマンスに向かって頷くと、2人で王女の間に入っていった。
王女はベッドで眠っており、眠りながらわずかに身体を動かした。アルドレックは安堵のため息をついた。"
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第7項-2"王女の間はアイアンフォージ守備隊に裏切り者が出た場合にそなえ、いざというときは外部から完全に隔離できるようになっていた。
アルドレックは再びマンスに向かって頷くと、すぐにその準備に取りかかった。鋼の議会を継ぐべき彼女は、なんとしても守らなくてはならない。"
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第8項"部屋の安全が確保されると、アルドレックは戦士としての務めに取りかかった。
切れ味鋭いハルバードを持ち、正義の怒りに身をふるわせ、重い鎧を着ている者とは思えないほどの素早さで、音も立てずに彼は動いた。"
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第9項"角を曲がると、凄惨な光景が広がっていた。従者のポピンが血の海の中に身体をねじらせて横たわり、その首はほぼ切断されていた。その横では守備隊のヤーマルが血まみれの身体を大理石の柱にもたれかけており、その顔は象牙の仮面のように動かなかった。ヤーマルは優れた戦士だったが、見たところ肺をやられたようだった。"スキルツリー/精神力強化
第10項"突如、入口の陰から飛びかかってきた者がいた。その者は黒いローブに身をつつみ、同じような、黒くて、不気味な笑みが描かれた木の仮面をつけていた。
彼は血まみれの手に湾曲したダガーを持ち、叫び声とともにアルドレックに向かって突進した。たいまつの灯りに照らされ、ダガーがきらりと光った。"
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第11項"しかしアルドレックもだてに中庭で訓練を積んできたわけではなかった。彼はハルバードの柄の部分を巧みに使って襲撃者の手を打った。
男の前腕の骨が砕ける音がし、血まみれのダガーが床に落ちた。続いて肩を支点にハルバードを回転させると、アルドレックは斧の部分を男の首の付け根目がけて振り下ろし、首から内臓まで縦に切り裂いた。"
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第12項"仮面をかぶった男が原型を失った肉塊と化し、体液をほとばしらせて崩れ落ちると、すぐに似たような服装をした3人の男が入口から駆け込んできた。おそらく4人でアルドレックの存在に気づいたのだろうが、最初の1人が状況を判断せずに先走ってしまったのだろう。"スキルツリー/筋力強化
第13項"しかしアルドレックには複数を相手にしても十分な技量があった。彼は一番最初に接近してきた者の腹にハルバードの先端を突き刺し、そのまま体重を移し替えて、右手にいた者に向かって投げつけた。突き刺された者は腹から胸を切り裂かれ、飛び散った内臓の中に倒れ込んだ。"スキルツリー/筋力強化
第14項"3人目の男はアルドレックのすさまじい戦いぶりにひるんだようだったが、それも一瞬のことだった。
男はダガーを手にアルドレックに向かって飛び込んでいったが、その刃は彼の鎧にかすかな傷をつけただけだった。"
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第15項-1"アルドレックはハルバードの柄を使って素早く男のあごを打った。
仮面が砕け、骨や歯が折れて、血まみれとなった男のあごがあらわになった。"
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第15項-2"男が後方に倒れると、アルドレックは体重を乗せてハルバードを男の胸めがけて振り下ろした。
哀れな男は大理石の床に背中をつけたまま、のどから胸骨あたりを切り裂かれた。"
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第16項"先ほど腹を突かれた者は、顔を蒼白にして弱弱しく自らの内蔵をかきあつめていた。そしてもう1人が長い長剣’を抜いて立ち上がった。
アルドレックはローブを着たその者の身体が、かすかに板金の音を立てるのを聴いた。
さては…"
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第17項"男が剣の先端を向けて前に進んだとき、アルドレックは即座にその力量を測った。この男は騎士の装備を身につけているが、腕は未熟だ。アルドレックはハルバードの先端を正確に操って男の仮面を払い、その顔をあらわにさせた。
何が起きたかも理解できないでいるその顔…
それはアイアンフォージ守備隊見習いのドゥーリー・チャーマーズのものだった。彼も裏切った者のひとりだったのだ。"
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第18項-21"ドゥーリーは驚きと苦悶が混ざったような表情を浮かべていた。
「他の者はどこだ?」
アルドレックは訊いた。ドゥーリーは何も答えず、その場から逃げようとわずかに体重を移行した。
アルドレックは
「仕方がないな」と言い、ドゥーリーののどを貫いた。彼は一瞬で器官を切断されて絶命した。"
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第22項"当面の敵を片付けたアルドレックは、再び走り始めた。
待ち伏せを警戒しつつ、物音に注意を払いながら、彼は大広間に向かって急いだ。そして大広間が近づくと、争うような音が聞こえてきた。誰かが叫ぶ声や、剣を盾に打ちつけるお供聞こえた。"
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第23項"大広間はひどい有様だった。床には召使、従者、守衛、黒いローブをまとった襲撃者、それにイブニングドレスに身を包んだ貴族の女の死体が横たわっていた。
そして6人のアイアンフォージ守備隊員が20人ほどの襲撃者と戦っていた。"
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第24項-1"数では劣っているとはいえ、まともに戦えば守備隊のほうに勝機はあるはずだった。
しかし襲撃者の1人が鋼の議会の長にしてマークドールの王エヴェレンを捕らえ、そののど元にダガーを突きつけていた。"
スキルツリー/技量強化
第24項-2"両陣営とも大声をあげ、足を踏み鳴らし、盾に剣を打ちつけて音をならしていたが、王を拘束されている守備隊は前に進むことができず、主導権は襲撃者がにぎっていた。しかしその膠着状態を終わらせたのは、エヴェレン王その人だった。彼はアルドレックに向かって頷き、かすかな笑みを浮かべると、襲撃者が突きつけていたダガーで自らののどを貫いた。"スキルツリー/技量強化
第25項"その一瞬で、エヴェレン王の命は尽きた。そしてそれはその統治が終わり、ウマリが鋼の議会の新しい長となったことも意味していた。
いずれにせよこの時点で重要なことは、彼が膠着状態を終わらせたことで、その後城にいた襲撃者はすべて討伐されたということである。"
スキルツリー/クラス5槍使い
第26項"襲撃者たちは素早く、徹底的に、容赦なく惨殺された。
この戦いで犠牲となったのはアイアンフォージ守備隊員が3名、召使と従者が17名、襲撃者が24名、議会に所属する者が3名、そして王とその妻、フォーセラ女王である。生け捕りにされた襲撃者たちは尋問にかけられ、反乱の首謀者がファードリックであることを白状した。"
スキルツリー/精神力強化
第27項"ファードリックは幽閉されたのち「鉄のトゲ」と呼ばれる方法によって処刑された。
その首はタール漬けにされ、棒に串刺しにした状態で見せしめにされた。生け捕りにされていた者たちは「五輪斬り」と呼ばれる方法で処刑され、家畜のように葬られた。マークドールはやがてかつてのような偉大な国家に戻ったが、この深紅の鎮圧はいまだに人々の記憶の中に刻まれている。"
スキルツリー/活力ポーション