ルート概要
レミリア・スカーレットのTUREEND、そのアフター。
- レミリア√TUREENDを見ると、「データベース」に「アフター」が追加され、ここからアフターシナリオを遊べるようになる。
プレイにはクリアしたPCのセーブデータが必要なので注意。まだ√をクリアしていないPCではプレイできない。 - ステータスなどは最後に該当TUREENDを見たところから引き継がれる。
それに加えて、シナリオからの時間経過ということでレベルとステータスに+補正がかかる。
攻略
- アフターシナリオはTUREENDからTUREEND+までの間を描く内容となっている。
- PCらはニコニコ大学に入学・現在4年生になっている。
シナリオ開始直前に所属する学部を決める。決定した学部によってステータスにボーナスが入る。
学部によっては更にスキルを習得する(例:工学部なら機械工学。薬学部や医学部なら医術スキル)。
また、大学生となったことで車やバイクを所持、乗りこなすことができる。
アフターにおけるPCとヒロインの立ち位置
- PC
ニコニコ大学4年生。
選んだPCと学部によって立場が変わるが、ニコニコ大学ではそれなりに有名人(※ただし餡刻を除く)で、
キャンパスライフを謳歌していた事は共通。
4年生になり就職活動で地獄を見る時期。色々苦労が絶えない。
- レミリア
ヒロイン。学部は経済学部に所属している。
周囲に明言してはいないが、TUREEND後の時系列故にPCとは恋人の関係。
良くも悪くも普通ではない雰囲気があるが、親しい間柄の前ではへっぽこ気味になる。
4年生だが、既に一財閥の総裁という立場なので就職活動に無縁。あとは単位くらい。
大学卒業の節目にPCとの結婚を想っているが、互いの時間が取れない事に内心でやきもきしている。
プロローグ
「進路……?」
「うーん? 大学に入って、もうそんな時期か……早いわね」
「余裕? 余裕というより……仕事兼け持ちしながら大学通ってる状況だからね。私には無縁。
精々単位を順調にとって、卒業論文と格闘するくらいかしら?」
「でもPCなら大丈夫よ。一番いい道を見つけられるわ、私が保証する。
こう見えても、人を見る目はあるのよ?」
「それにもし……仮に、もしもの話ね? もし、上手くいかなかったとしても……
その時は、上手くいくまで私が面倒みてあげる」
「だって――貴方の事が好きだから」
「何よりも、誰よりも、いつまでも、どこまでも……貴方だけを想いたいの」
序盤
- 大学4年生を迎えたある日のこと。
『バイトを始めたい』
ある日の朝食。PCが出した話を聞いてレミリア達は難色を示す。
そこには必要分の金額なら不自由はさせていない筈、という疑問があった。
「インターンシップ……ではないようですね」
「時間を削っても必要なことなの? お金が入り用なら、私達がなんとかするけど……」
ストレートに理由を言うのも憚られるので、本筋を曖昧に濁していると、
「ねぇPC。あなた……もしかして私達が知らないところで危ない事に巻き込まれているの?」
一同の顔色が怪訝そうなものから真剣な表情に変わる。PCは慌てて、そう言うことではなく『欲しいものがあるが、他人に力を借りるのではなく自分の手でなんとかしたい』と説明することに。PC自身の時間を削る事にレミリアは少しだけ不満げだったがなんとか一同を納得させられる。
これ以降、休講日や空いた時間をアルバイトで規定金額に到達するまでお金を稼ぐことになる。
- バイトを続けていると、日に日にレミリアの元気がなくなっている事に気が付く。
話しかけると、ボーっとしてしまっただけ。大丈夫だといわれるが……。
中盤
- バイトの最中、レミリアが仕事中に倒れてしまったという連絡が咲夜から入る。
以前、無理が祟って風邪をひいてしまった事もあって、慌てて紅魔館まで帰ることに。
話によれば、ストレスによる一過性のものだと聞かされる。
ベッドに寝かされ、苦い顔を浮かべるレミリア。その額には冷えピタがペッタリ貼られている。
PCは心配するが、レミリアは片手をひらひらと振って笑い飛ばした。
「最近、仕事上の知り合いからパーティによく招待されるんだけどね。
毎回嫌な奴にでくわしちゃって……そんなところよ」
PCの顔色が変わった。
PCの顔色が違う意味で変わった。
それを見て、レミリアは少しだけ嬉しそうに笑った。
「冗談、冗談よ。そんな兎みたいな軟弱な精神は持ってないわ。
どちらかというと獅子! ライオンハート!」「雑務くらいなら……でも、どうしたの?」
レミリアが倒れた事を聞いて、出来るなら近しいところで働きたい。PCはそう述べた。
それを聞いたレミリアは困ったような、嬉しそうな複雑な表情を浮かべた。
「バイトとはいえ仕事慣れしているでしょうし、そういうなら話は通しておくけど……
その前に、面接があるわよ?」その週末に、スカーレット社で面接を受けることになる。
投げかけられる質問の返答を選択肢で選ぶ形になるが、余程ふざけた選択肢を選ばない限り落ちる事はないだろう。
面接にクリアすると、スカーレット社でアルバイトを受けられる。
バイト内容はPCのスキルや能力によって異なり*1、どれも疲れる仕事だが給金は高い。
レッドマジック・クライシス
- スカーレット社にアルバイトして、数日後に発生。
スカーレット社のメインシステム「レッドマジック」に異常動作が発生。
どうやら何者かによる外部からのハッキングを受けているようだった。
何とかしようにもレッドマジックはこちらからの操作を受け付けず、
逆にレッドマジックの堅固なセキュリティが仇となり一切阻む。
このままでは、とんでもないことになってしまう……。
思索の末、「想定外の行動ならレッドマジックも対応しきれない」としてPCとレミリアは事態解決のため、
レッドマジックの電脳世界へと直接乗り込むことになる。- スカーレット社のメインシステム内部の電脳空間のダンジョン「レッドマジック」に乗り込む。
ウィルス(サイバーパンクな外見になっているが、既存のモンスター)や乗っ取られたセキュリティシステムが襲いかかってくる他、中途に仕掛けられた様々な障害物の解除の為に頭や体を使うことになる。=== ALERT! ===
The enemy is approaching fast!Target Name : Gigabyte Mantis
automatic restoration function
is possessed.Cord : DE 366.8 TG
Weak point : Body, Sickle ArmWeapon :
Sickle Arm×2
Dual Disc×4
Sleep Bomb
Ribbon
Automatic restoration system
Comment :
An attack program with high regenerative capacity power
≪まさか、ハッキング側が起こせたのはあの動作異常だけで、それ以上の……
ハッキング側にレッドマジック中枢の掌握が不可能だったとしたら……≫
『まさか……』
「私達は、あいつらをノコノコ案内していたってことか……!」
これは、巨大な……カマキリ!?≫
『……』
≪……≫
流石のお嬢様クオリティだ……とオペレータ達がひそひそと呟いたが、レミリアは一切無視する。 Gigabyte Mantisエレカマキリ戦
Gigabyte Mantis
巨大なカマキリ型のプログラム。
ディスクを複数投擲する他、リボンを発生させながら移動して攻撃してくる。
複数への連続攻撃や範囲攻撃を多く使うが、技の大半は雷属性なので、耐性を上げておくとダメージが大分抑えられる。たまに睡眠効果のある攻撃も行うので、そちらにも注意。
エレカマキリは体力を一定値削る度に「自己修復」を行い、時間をかけて大きく体力を回復する。
厄介だが「自己修復」の前ターンにオペレータがタイミングを知らせてくれる。
普段は大技を温存し、エレカマキリが回復を行ったらカカッっと回復量を上回る大ダメージを与えよう。
どうやら、レッドマジックの異常はすべて取り除かれた様だ。
……跡から蜂なんて出てきませんよね……?≫
「おいやめろ馬鹿」
『蜂とかsyれにならんしょ……』
- スカーレット社のメインシステム内部の電脳空間のダンジョン「レッドマジック」に乗り込む。
終盤
- アルバイトで規定金額まで溜めるとバイトの帰りにイベントが発生。レミリアにメールを送ることに。
その内容は『デートのお誘い』である。
君だけを守りたい
ネ実市がランペール公園の一角。ベンチに座って、レミリアはアンニュイな表情で溜息を吐いていた。
何か悩みを抱えているといった風情だろうか。実際は人を待っているのだが。
……久しぶりのPCとのデート。
同じ屋敷に住んでいる間柄ゆえ顔を合わせない日はほとんどない私とPCであるが、一緒にデートするとなると話は変わってくる。ここ最近は互いの時間がうまく噛み合わず、デートする機会はあまりなかった。こうやって待ち合わせ場所と時刻を指定してのデートとなると尚更。いつものデートに比べると特別な気がして、心なしか落ち着かない。指定時刻より30分以上早めに着いたのも仕方がないと思う。
PCを待っている間ナンパ目的のような連中に何回も声をかけられたが、まったく耳に入らなかった。
乱暴に触られても丁重にレミリアストレッチを叩きこんで地平線の向こうへGo Ahead。
そうやって彼の到来を待ち侘びながら、私は想いを馳せる。
こんな私を見たPCはどう反応するだろうか。待たせて機嫌を損ねさせたと勘違いさせるかもしれない。
『あら……ようやく来たわね。遅かったじゃない』
実際、今の自分ではこんなつっけんどっけんな返答しか期待できない。
待ちに待ち望んだ二人きりのデートなのに、もう少し嬉しそうな顔が出来ないものか。
ただ、そうなっている理由自体は自覚はしている。
……切ないのだ。早く着き過ぎたこと。その時間の中で彼を待つことの期待が大きすぎて、却って緊張と切なさを生じている。
まるでじわじわと焦がされる様な感覚だ。一律化できればいいのに、感情とは本当に複雑で面倒なものだなと思う。
言い換えればそのくらい彼に恋焦がれている。
何回溜息をついただろうか。
ふと、自分に近づく気配を感じて顔を跳ねあげる。まさか、
「レミリア・スカーレットさん?」
……違った。
最近しつこくやってくるゴシップライターだ。落胆した。私の期待値を返せ。
嫌な顔を隠さず、『失せろ馬鹿』とそいつを半目で睨む。
しかしそいつもそいつで、「現役大学生の財閥総帥」とか「熱愛疑惑」とか、カメラのフラッシュを頻りに焚きつつ、何も言っていないのにペラペラと言葉の羅列を吐き出す。
「……人を待ってるの。お引き取り願えるかしら」
「意中の彼ですか?」
「さぁ?」
「そういえばあなたの意中の相手、進路で苦労しているみたいですね?」
眉間が険しくなった。
「こんな不景気な世の中ですからねぇ……雇用先もなくて大変でしょうね?」
「だからどうしたのかしら」
「いえ、もし彼の雇用先が見つからなくなったら、貴方はどうするのかなあ、とね」
勿論プー太郎にする気はさらさらない。
しかし、こいつのねっとりとした、いやらしい言い方に激しい不快感を覚えた。
「……私が就職の事で何か手回ししていると?」
その発想はなかったという顔をされた。
熱愛疑惑だとか宣っていたことから、爛れた内容を期待していたのだろうか。
「それは、ない。だって――」
私は、彼が何をしているのか、把握すらしていないのだから。
そこまで言いかけて、止まった。
――私は今、何て言おうとした?
勝手に期待して、勝手に落胆して、勝手に一喜一憂して。
そしてこんなハイエナの様な浅薄な男の前で身勝手な言葉を吐こうとしている。
そう思うと、どうしようもない自分に吐き気がした。息もできないほど胸が詰まり、眩暈すら感じる。
顔面蒼白になった私の顔を見て、男はギョッとなったようだった。しかし、やがて不快な笑みが浮かべた。
「ああ、彼と何かがあったんですね?」
違う。
「一度じっくりお話を聞いてみたいのですが……」
そうじゃない!
「構いませんね?」
そう言われ、手を掴まれた。あっさり振りほどける筈なのに、力がまったく入らない。
……貴方がいないだけなのに、こんなにも弱弱しくなるなんて。
悔しいのか悲しいのか、わからない。私は目を強く瞑った。
『何をしている』
聞き覚えのある声が、男の背後から聞えた。
「PC……」
目を開くと、そこには待ち合わせていた彼がいた。
静かな怒りの表情を浮かべて、ゴシップライターの後ろに立っている。
彼はゴシップライターからレミリアを引き剥がすと、彼女の前に立ちふさがった。
「な、何だお前は!」
男は非常に泡を食ったといった様子で何事かを捲し立てるが、
『……天狗ポリスに通報されたいのか?』
最強の兵器、通報。その言葉に押し黙ってしまった。
公園という公共の場所故、人の目も少なからずある。男は顔を歪ませると、一目散に走り去ってしまった。
一部始終を見て緊張の糸が切れたのか、レミリアは力なくベンチに座り込んだ。
PCはレミリアに手を差し伸べると、声をかけた。
『大丈夫だったか!?』
「……ぁ」
PCに、何かを言おうと思った。
言葉を言おうにも、喉に引っ掛かった様に声にならず、か細い呻きをあげるだけだった。
それでも空気を呑み込み、一言絞り出すように、
「……大、丈夫」
PCは本当によかった、そう言って安心したようにその場で初めて笑った。
それだけで、本当にそれだけで、
さっきまで自分が抱え込んでデフレスパイラル状態だった暗い感情が吹き飛んでしまって。
「あ……」
目頭が熱くなり、視界がぐんにゃりと歪んだ。驚くPCにレミリアはこれまで抱えていた想いを話した。
PCと関わる機会が少しでも減ってしまうことに忌避を感じていたこと。
それが仕事に支障に出るほど強いものだったということ。
それほどまでに陥るほど、内心で自分がPCに依存していたこと。
どこまで打ち明けたのか、自分自身でもわからない。ただ、ボロボロ泣く自分の話をPCは黙って聞いてくれた。
そうやって、落ち着いて頭が冷えた頃にレミリアは静かに頭を垂れた。
「……こんなんじゃ、貴方の恋人失格ね。……御免なさい」
それまで黙っていたPCが懐から何かを取りだした。
『実は今日のデートの終わった時に、渡すものがあったんだ』
「――え」
『その為にアルバイトなんかしてたんだけど、本末転倒だな』
以前PCはアルバイトしたいと言った。
『欲しいものがあるが、他人に力を借りるのではなく自分の手でなんとかしたい』
その意味は……。
『恋人に贈る結婚指輪くらい、自分で何とかするのが筋だと思って』
そこまで言ってPCは苦笑いを浮かべ、語りかけた。
あの時、タイムマシンに乗る事を止めた理由を覚えているだろうか。
『レミリアが好きだから』
この気持ちは今も変わっていない。
『何よりも、誰よりも、いつまでも、どこまでも……君だけを守りたい』
学生だから結婚はまだ先になるけど、それでも受け取ってくれるだろうか。そうPCはレミリアに尋ねた。
レミリアは涙を拭おうともせずに、じっとPCの顔を見た。
「ずるいわ……そういうのって……」
静かに謝るPCに、レミリアは泣きながら微笑んだ。
「その話題、いつか私から持ち出すつもりだったのに……。断れるわけ、ないじゃない……」
エンディング
ニコニコ大学を卒業したその日の夜。
「PC。何回も言ったと思うけど……卒業おめでとう」
そう言ってレミリアはPCに身を寄せると、唇を啄んだ。その光景を見ていた咲夜達がおおっとざわめく。
「キタ――――――――――!?」
「あーあー。お姉さまったら激しいんだからー」「レミィも大人になったわね」「写真を……くっ、容量がない……!」「メイド長……SDカードお貸ししましょうか?」「あまあああああああああああああい!」「うわー熱いわー暑いー」「LOVEしちゃってますねー」「この部屋、暖房効きすぎじゃないですかねー?」「水だ、水を撒け―」
好き勝手騒ぐ外野の声を聞いて、レミリアがぷるぷる体を震わせた。
「なんであんた達がいるのかしら。……ここは私の部屋よ?」
ちなみに結構人が詰まっているのだが、あまり狭さを感じない。
「さっき」「お嬢様がPC様にコクると」「仕掛けた盗聴器がそんな音声を拾ったので」「仕事をほっぽり出して駆けつけてきました」
「……サボリ公言したメイド部隊あとで私の部屋に来るように」「いやメイド長も仕事サボタージュして野次馬してるじゃないですかー!」「不平等ですよー!」「私はいいのよ。私にはお嬢様の日々の姿を記録に残すという高次元で素敵な役目があるのだから……!」「このメイド長テンパってるぞー!?」「SAN値おかしい! 正気度減ってる!」
「いいから、……出ていけ!」
レミリアがグングニルを投擲しようとすると、
外野はきゃあと悲鳴をあげて蟻の子を散らすように退散してしまった。
「まったく……あの連中ときたら……」
肩で息をするレミリアに、PCは苦笑いを浮かべる。
『あの人達なりに祝福しているんじゃないかな』
「……いえ、楽しんでいるだけだと思うわ」
でも、と。二人でベッドに座りながら楽しそうに笑い合う。
「幸せね、私達。式であんな愉快な連中が傍で笑ってくれるんだもの」
PCも肯定する。
「本当に、幸せ。
何より、――こうして貴方と添い遂げられるのが最高に幸せ」
そういってレミリアはPCに身を傾け、そのままベッドに身を沈ませた。
「もし結婚したら、ね? ……子供、欲しいな」
「だって、こんなにも月が紅いから……」