異界地獄行

九尾

──くふふっ、追ってきおったか、王国の民め。

ヨユキ

あはは……あの人たちなら追ってきちゃうよね。
邪魔される前に、九尾の用事を済ませちゃおう。

九尾

ふむ……ヨユキよ、確か以前の記憶では、
汝は人間に恨みを抱いていたのではなかったか？
今はどうにも、人間を好いているように見えるが。

ヨユキ

恨み……うん、そうかな。
妖怪を畏れることを忘れ、安穏と生きる人間を恨んで、
私がどうにかしないとって思い込んでいたのかも。
　
それで百妖夜行を起こそうとしたり、
ぬえの封印を解こうとしたり……。
いっぱい人間には迷惑かけちゃったなぁ……。

九尾

──ふふ、しばらく見ぬ間に和解したと見える。
となれば、此度の戦に喚び出されたのは、
ヨユキの本意ではなかったのではないか？

ヨユキ

うぅん、それとこれは話が別！
九尾にはお世話になったからね、
そのお礼をしない方が不実ってものだよ。
　
それに、反乱を起こした将たる私が、
何の責任も取らず仲間になるわけにはいかないしね。

九尾

くふふ、そうかそうか。
将を討たせ、配下の責を不問とさせる、か……。
その齢で実に据わった覚悟をしておる。
　
ならば此度の異界行、
「夜行さん」たるヨユキの力を貸してもらおうぞ。

柳川城

──こ、これは……。
兜が広範囲に展開しています！

江戸城

しかも複数の兜で部隊を編成していますね。
ひとつの集団として密集することで、
より打たれ強い戦力を構成しているようです。

大宰府

これではまるで戦じゃな。
妾は万能じゃが！　それでもちと手に余るかのう？

トゥアン

敵が広範囲に展開してるっていうなら、
それこそ「軍」の出番だろ？

アンブローズ

こちらは王国軍本隊ですからねぇ。
ここはがっつり助力しちゃいましょう、王子ちゃん！

ソラス

とはいえ、です。
これだけの広域戦闘となると、
敵味方ともに攻撃の届く範囲が限られてきます。

ユージェン

遠距離からの攻撃のためには……。
ん、あの山頂を確保すれば
最前線の支援もしやすくなるかな。

アンナ

夜行さんと九尾を探すためにも、
まずはあの兜の部隊を退けましょう。
王子、部隊の指揮をお願いします！

発光するマスに配置した
ユニットは射程が
上昇します。

ヨユキ

……やっぱり、王子は強い、なぁ。

九尾

ヨユキ、随分と嬉しそうじゃな。
まるであの王子に憧れているようだぞ？

ヨユキ

あ、憧れてなんか……！
いや、うん、憧れちゃってるのかな……。

九尾

くふふ、よいよい。
汝の成長が見られて、吾も悪い気分ではない。

ヨユキ

えへへ……。
でも、このまま押されっぱなしじゃ終わらせないよ。
今回は九尾への恩返し。全力で妖怪の怖さを見せつけよう。
　
妖怪とは、畏れ、怯えられることこそ本懐。
もとより人を救うものにあらず。
　
東の国が三神刀──呪刀ユキザクラ！
名刀フジムラサキ！　斬刀カザキリ！
──付喪神たるその力、今こそ見せるときだよ！！

ユキザクラ

…………！

フジムラサキ

…………♪

カザキリ

…………。

大宰府

何じゃぁ！？　あのちょー映える娘たちは！！
妾より目立つとかちょっと聞いてないんじゃが！？

シズカ

……ヨシノ。
あの三人、見覚えがないかしら。

ヨシノ

見覚えも何も、あの子たちの刀、
東の国の伝説の三振り──っていうか、
そのうち二振りは私たちの城にあるはずなんだけどぉ！？

アンナ

東の国の、伝説の刀……？
まさかその付喪神が、九尾の側につくとは……。

ヨユキ

畏れ、怯え、而して慄け！
妖怪は保護されるものじゃない！
人間を脅かす怪物なんだから！！

ヨユキ

妖怪は保護されるものじゃない！
人間を脅かす怪物なんだから！！

ケイティ

ヨユキさんとは和解できた、と思っていたのですが……。
いったいどんな心変わりなのでしょうか。

シズカ

心変わりではないように見えるわ。
今のあの子は人間と妖怪の共生を受け入れているもの。
おそらく、今回のこの事件は──

ヨシノ

──世話になった九尾への恩返し。
そして彼女なりにケジメをつけるための、
大妖怪としての最後の戦い、ってところかな。

千狐

ケジメ……最後……？
えぇと、それはどういう意味なのでしょう？

柳川城

たしか彼女は、そちらの世界で
妖怪を率いて反乱を起こしたのですよね……？

大宰府

ならば話は簡単じゃ。
己の首を捧げ、部下を救おうとしておるのじゃろ。

江戸城

……妖怪と言う存在を、
きっと本気で愛しているのでしょう。
並々ならぬ覚悟が感じられます。

サナラ

そんな……彼女が責任を取る必要なんて……。

アトナテス

本人がそう思っていないんだ。
言葉を並べただけじゃ、一度決めた覚悟は翻らねぇよ。

大宰府

なぁに、そういう時の定番は、
浜辺で倒れるまで殴り合って仲直りじゃ！
萎えぽよしてたらなーんも変わらんぞ！

トゥアン

大宰府の言う通りだ。
聞き分けの悪い奴には、
こちらも聞き分けを悪くするしかない。

大宰府

そち気が合うの～♪
──と言ってる間に、兜どもが迫ってきたぞ？

桃型兜

ザザッ！　ザザザッ！！

殿

…………！

王子

…………（こくり）

アトナテス

なんだ、そっちの大将もやる気じゃねえか。
拠点の防御は任せてよさそうだな。

江戸城

我々も助力いたします。
日の本の戦、王国の民にご覧に入れましょう！

フジムラサキ

おーおー、ヨシノ様どころかシズカ様に、
王国の王子まで迫ってきてるみたいね。

ユキザクラ

いやいや、揃いも揃ってお人好し。
さすがは僕らの主ですよねぇ。

カザキリ

ふたりとも、気を抜いている暇はないですよ。
まずは私たちの力をどこまで発揮できるか──

ユキザクラ

──うんうん、小手調べってやつですね！
ヨユキちゃんが納得して負けられるように、
僕らが本気を出せる相手か、ちょっと試してみましょう！

ユキムラサキ

小手調べの意味、わかってるかしら？
今は本気を出しちゃダメってことよ。

ユキザクラ

分かってます分かってます！
呪刀ユキザクラ、推して参りまーす！

NPC殿がいる間は、
城娘の力を借りることが出来ます。
城娘は倒されても★の
評価に影響しません。
※殿は★評価対象
　
また、殿のいる配置マスには
味方を配置することができません。

・江戸城（刀）
　敵を2体までブロックできます。
・柳川城（石弓）
　遠距離攻撃と支援を行います。
・大宰府（祓串）
　攻撃と回復を同時に行い、
　味方への支援も行います。

ユキザクラ

おー、強い強い！
さっすがシズカ様が認めた王子の軍です！

シズカ

……呪刀ユキザクラの付喪神、でいいのかしら。
どうして私たちに刃を向けたの？

ユキザクラ

いやぁ、シズカ様といえど、
それを教えては仁義にもとるというものです。

フジムラサキ

ただ、意味もなく、忠義もなく
裏切ったわけではないと、心得ておいていただければ。

ヨシノ

……事情があるって事ね。
じゃあ私たちは全力でヨユキと戦うから、
あなたたちは、しっかり彼女を守ってあげてね。

フジムラサキ

心得ましたとも、我が姫君。

カザキリ

さぁ、逃げますよヨユキ様。
戦の要は流れを読むこと。
負ける戦は逃げる、勝てる戦は攻める、です。

ヨユキ

わ、分かった。
九尾、予定通り例の場所へ行こう！

九尾

……くふふ、孤独な娘かと思えば、
随分と慕われているようじゃな。

ヨユキ

……気のせいだよ。
カザキリはご先祖さまの刀だからってだけだし、
あとの二振りは何故か付いててきちゃっただけだし……。

九尾

そういうことにしておこうかのぅ。
さぁ行くぞ皆の者、
目的の場所にて、この世の地獄を開きに参ろう。

江戸城

──兜の軍勢、撤退していきます。
殿、王子殿下、初戦はこちらの勝利ですね。

大宰府

うむぅ、ちょべりぐな引き際じゃ。
これは次の戦も侮れんのう。

フローガ

むぅぅ、でも彼女たちはどこへ向かったのでしょう。
この世界の魔力には慣れていなくて、
転移門の痕跡を追うのには時間がかかりそうです。

柳川城

では一度、所領に戻りましょうか。
兎にも角にも情報収集が必要みたいですからね。

アトナテス

へぇ、本当に東の国の城にそっくりだ。
違う世界だってのに、不思議なこともあるもんだな。

ソラス

きっと地理的な共通点が多いのでしょう。
この世界のどこかには、
王国に似た場所もあるのかもしれません。

アトナテス

ああ、前に来た時に会った城娘は、
確かに俺達に近い武装をしてたからな。

アンブローズ

……こんな状況でなければ、
ゆっくりとこの世界を巡ってみたかったものですねぇ。

柳川城

ふふ、せめてこの所領でゆっくりしていってください。
まだヨユキさんたちの
行方は分かっていないですからね。

トゥアン

この日の本って国もかなり広いんだな。
いったい何処に行ったんだか……。

江戸城

九尾が何かを企んでいるというのなら、
その目的に必要な要素が存在する場所、でしょうか。

やくも

むむむむむ……
九尾の企みなんて想像もつかないだに……。

トラム

大規模な術を使うつもりなら、
強大な魔力──何か大きな自然の力が
宿っている場所でしょうか……。

アトナテス

自然の力、ねぇ……。
渦潮に突風、激流に樹海に……。
それから火山ってのもありか。

ヒエン

──王子！　伝令にござる！
薩摩なる地の城娘より、
ヨユキ殿を見かけたと報告が！

ソラス

サツマ？
聞き覚えのない地名ですが、どんな場所なのでしょう？

千狐

薩摩といえば──あっ、あぁあっ！
火山！　火山のある場所なの！

江戸城

どうやら、仮説と状況が繋がったようですね。
急ぎ薩摩へ向かいましょう！

アトナテス

──へぇ、ここがサツマか。
立派な火山じゃねぇか。

アンブローズ

兜に占領されていなかったら、
きっともっと良い眺めだったんでしょうねぇ。

江戸城

日の本は各地の景観と、四季の巡りで
千変万化の眺めを楽しませてくれる地ですからね。

サナラ

江戸城さんはこの国が大好きなんですねぇ。
よぉし、頑張って兜から
この地を取り返しましょうか！

フジムラサキ

──おっと、まだ邪魔をさせるわけにはいかないのよ。
ちょっと足止めさせてもらおうかしら。

ヨシノ

むぅ、それじゃあ九尾が
何を企んでいるかくらい教えてくれない？

フジムラサキ

それを教えてしまえば不義理というもの。
ここは実力で突破してもらわないと。

ヨシノ

はぁ……誰に似たのかしら、そういうとこ。

柳川城

（……刀の主であるヨシノさんに、ですよね）

江戸城

（えぇ、よく似たおふたりですよね）

大宰府

なんじゃなんじゃ？
妾にも内緒話を聞かせぬか！

千狐

それは戦いの後にしましょう！
殿、王子さん、戦闘準備をお願いします！

フジムラサキ

──東の国に名刀あり。
ひとつ、白き刀身は雪の如く、舞い散る飛沫、桜の如し。
国家太平を担う、国主の呪刀ユキザクラ。
　
ひとつ、風の如くいくさ場駆け抜け、
血をすすり、命を狩り、思いを守護す。
世界の裏側、あやかしが担う残刀カザキリ。
　
最後のひとつ。
いわく天下一名物、不二の名刀。
ゆえに百剣、不二に及ばず。

ヨシノ

──その名は、名刀フジムラサキ。
今度はさっきと違って、全力でって顔してるね。

フジムラサキ

ヨユキも東の国の民のひとりだからね。
その守護を担う刀としては、
見捨ててはおけないと思わない？

ヨシノ

その心意気、まさに当家の家宝に相応しい。
さぁかかっておいで！

フジムラサキがいる間は、
全ての敵ユニットの
防御がアップします。
　
また、物理攻撃による
ダメージを受けると
攻撃したユニットへ反撃を行います。

フジムラサキ

さすがはヨシノ様。
なかなかに容赦がない……。

ユキザクラ

まったく、時間稼ぎはどうしたんです？
戦うの楽しくて忘れてたって顔してますよ。

フジムラサキ

ははは、そこはご勘弁を。
付喪神としての身体を得て、初めてのいくさなれば。
しかも相手が主人とあらば、興も乗るでしょう。

江戸城

……城主が手合わせの相手をしてくれると思えば、
確かにその気持ちは分かる気がしますね。

柳川城

城主と、手合わせ……。
なるほど、そういうのもあり……。

殿

…………？

ソラス

柳川城さんは、もう少し
気持ちを表に出すところから始めてはいかがでしょう？

柳川城

な、何のことですかソラスさん！？

ユキザクラ

はぁ、何だかじゃれ合いみたいになっちゃいましたね。
でも、ここが最後の正念場。
あと少しで、此度の舞台が完成します。

やくも

此度の、舞台……？
いったい何を企んでいるだに！？

ユキザクラ

だーかーら、内緒って言ったでしょ？
大丈夫、うまく行けば誰も死なないから！！
　
さぁ、僕の相手をするのは誰ですか！
東の国の守護を担う、
呪刀ユキザクラ、ここにあり！！

ユキザクラ

さぁ、僕の相手をするのは誰ですか！
東の国の守護を担う、
呪刀ユキザクラ、ここにあり！！

アトナテス

刀がよく叫ぶものだぜ。
誰かに振るってもらうことが
武器の本懐ってやつじゃないのか？

ユキザクラ

それはそうなんですけどね！
でも、持ち主と手合わせできるかもって思うと、
もう心が躍るっていうか鞘走るっていうか！

シズカ

勝手に鞘走らないで。
主として、しっかりあなたを止めるから。

ユキザクラ

心強い、さすがは僕の主さま！

柳川城

あ、あの、殿も……私が何かしでかしたら、
ちゃんと止めてくれますか？

殿

…………（こくり）

大宰府

何じゃ何じゃ！
いきなりばいぶすアゲすぎじゃぞ！？
殿よ、妾にも最高の笑顔でこくりとせぬか！

殿

…………（こくこく）

ユキザクラ

僕を！　ダシにして！　いちゃつかないでください！！
さぁ行きますよ、王国の皆さま、城娘の皆さま！
　
──これなるは、東の国最高の守護者とお心得をッ！！

ユキザクラがいる間は、
全ての敵ユニットの
攻撃がアップします。

ユキザクラ

や、やーらーれーたー。

シズカ

お疲れ様、ユキザクラ。
あなたが破れるのも、計画通りなの？

ユキザクラ

えぇ、僕らはあの子の──ヨユキの願いを遂げさせるため、
時間稼ぎをするところまでが役割でしたから。

やくも

いったい何の時間稼ぎをしてたがや？
楽しそうだったけど、
何だか負けるために戦ってたみたいがに。

ユキザクラ

ヨユキの願いはふたつ。
ひとつはぬらりひょんに反旗を翻した責を負い、
首を捧げることで妖怪総大将に義理を立てること。

フジムラサキ

もうひとつは、未来の妖怪のために、
九尾が生み出す新たな「畏れ」を得る手段を確率すること。

江戸城

新たな、畏れを得る手段……？
そちらの世界では、
人は妖怪を畏れなくなってきたと聞きましたが……？

ユージェン

つまりそれなら、
より恐ろしいものを生み出せばいい、ということか？

ヨユキ

──そのとおり。九尾に此度の実験の話を聞いた時、
私が未来の妖怪のため、
最後にできることはこれしかないって思ったの。
　
妖怪が人に保護される世界は、健全じゃない。
そうして守ろうとしてくれることには感謝するけど、
妖怪本来のあり方は、いつか失われてしまう。
　
それならせめて、妖怪が妖怪らしかった、
最後の瞬間をいつまでも繰り返す、
この世の地獄を生み出して散っていきたい。

レンゲ

この世の、地獄……？
ヨユキ、何を言っているの？

九尾

さぁヨユキよ、準備は整ったぞ。
此の世界より吾の妖力と、そちらの世界より、
全ての妖怪を想うユヨキの想いを束ね──
　
──どちらの世にも存在しない、
これが誰も知らぬ、新たな地獄の門ぞ。

レンゲ

ま、待ってヨユキ！
地獄の門をくぐるつもり！？

ヨユキ

もちろん。
──あっ、レンゲは追ってきちゃだめだからね。
この実験がうまく行ったら、ちゃんと責任取るからさ。

レンゲ

ヨユキっ！　待って、待ちなさい！！

江戸城

お待ちを、レンゲさん。
あれなるは既知の地獄とは似て非なるもの。
不用意に飛び込めば、何が起きるか分かりません。

レンゲ

そんな、でも……。

江戸城

一度所領へ戻りましょう。
地獄に関しては、最も詳しい者がいますから。

千狐

コンッ！　そうだったの！
急いで閻魔庁さんを呼びに行くのー！！

やくも

──で、何で刀の付喪神まで付いてきたがや？

ユキザクラ

僕らの役目は無事に終わったから、ですかねー？

フジムラサキ

庇護すべき東の国の民が、異界の妖怪に誘われて、
新たな地獄を作りに行っちゃうとか、
これは急いで追いかけて守ってあげないとって思わない？

シズカ

……誰に似たのかしらね、そのお人好しっぷり。

ヨシノ

まったくまったく。
でも次からは、書き置きぐらい残しておきなさい。

柳川城

守ってあげないと、って言って飛び出してきたのに、
地獄には付いていかなくて良かったのですか？

ユキザクラ

そこはほら、夜行さん一族の守護刀、
カザキリがちゃんとついて行ったし──

フジムラサキ

此処から先は、無事に本懐を遂げさせた上で、
あの子が自分で死を選ばないよう、
全力で救いに行くのが役割かと思ったので。

やくも

…………だに？

千狐

大事な自分の国の民だから、願いを叶えさせてあげたい。
でも死んじゃうようなコトは絶対させない、ってことなの。

やくも

おぉー！　わかりやすいがや！

ソラス

──それで、地獄の専門家というのは？

？？？

──儂じゃ。

アンブローズ

うっわぁー！　可愛らしい女の子が！
お嬢ちゃん、お名前はー？

トラム

アンブローズ、この子は、
えぇと、その、おそらく私と似た存在じゃないかと……。

閻魔庁

はぁ、何じゃ、異界の者たちか？
コホン──儂こそが地獄の城娘、閻魔庁じゃ。
死者の罪を裁くのが我が責務じゃぞ。

アンブローズ

えんまちょう……
そ、そんな偉い人なんですかー！？

閻魔庁

うむ、ちんまいの、その驚きように免じて
今回は許してやろう。
それで、新しい地獄が生まれたと聞いたが？

江戸城

えぇ、異界の夜行さんの想いをもとに、
九尾が地獄を生み出してしまったようです。

閻魔庁

妖怪と妖怪が生み出した地獄か。
それは中々度し難い場所じゃなぁ。

サナラ

助けに行くことは、できそうですか……？

閻魔庁

無論じゃ。儂を誰だと思っておる。
地獄とは我が所領にも等しい！
大船に乗った気で付いてまいれ！

ツバサ

──まってー！
ちょっとまってー！　大事件なのー！！

やくも

だに？　そんなに急いでどうしたがや？

ツバサ

あのねっ、あのねっ！
だから、えっと、そのね！？

やくも

落ち着くがや！
はい、吸ってー、吐いてー。
うちに説明してみるだに。

ツバサ

すー……はー……
う、うん……それじゃあ……こしょこしょ……

やくも

ふんふん……むむ？　むむむむっ！？
と、殿さん！　一大事だに！　大事件だにー！！

アンナ

いったい何が起きたのでしょうか……。
ともあれ、どんな事態にも対応できるよう、
我々は準備を万全にしておきましょう！

鬼刃衆

──ヨユキ殿の行方を探るとは言っても、
こうも土地勘のない場所では中々難しいな。

忍者

失せ物探しの力を持った、
魔神の欠片でも落ちていれば良いのですがね。

鬼刃衆

いや待たれい、拾い食い──もとい
魔神の欠片には手を出さぬと、
我らは鬼刃姫様に何度も誓ったであろう。

忍者

いやはや、冗談ですとも。
それにここは異界、さすがに魔神の力も及びは──

服部半蔵

──ニンニン。

鬼刃衆

……は？

忍者

お、おぉ……？
あれなるは、やけに重装備なシノビに見えますが。

服部半蔵

ヌヌッ、その姿──モシヤ噂に聞く、
異界の忍びタチか！？

鬼刃衆

……いや、忍びは己の正体を
明かしたりはせぬものぞ。

服部半蔵

ナニィ！？
この世スベテの忍びは
拙者にアコガれるモノではないノカ！？

鬼刃衆

何処の世にそんな忍びがいるというのだ！？
それに忍びが「ニンニン」などと、
そんな気合の入れ方は聞いたこともないぞ！

服部半蔵

ナニヲォ！？
そちらこそ、拾い食いをする忍びナド、
マッタクモッテ聞いたことがナイでゴザル！

鬼刃衆

ぬぬっ、やるか……！？

服部半蔵

ヌヌゥッ、コレは異界忍術合戦、開幕の予感……ッ！

鬼刃衆

よし、急いで鬼刃姫様に伝令を送るのだ！
一騎打ちなど忍びのすることではないからな！

服部半蔵

ナァニィッ！？
卑怯なり異界の忍びッ！！
拙者を怒らせおったナァァァァ！！

服部半蔵

ニンニン……無念……。

鬼刃衆

見事なり、異界の忍びよ……。
この勝利も紙一重のものだったな……。

忍者

……むっ？
くんくん、何やらこうばしい香りが……。

鬼刃衆

むむっ？　これは先の忍びが残していった香か？
それにしても、こう、何というのか──

忍者

──力が、沸いてくるような。
おぉ、おぉぉぉぉっ！？
お、抑えきれませんぞぉぉぉぉっ！？

鬼刃衆

くんくん！　すーはーすはー！！

忍者

くんくん！！　すーはーすーはー！！

鬼刃姫

ん……？　あれ？
鬼刃衆の皆、いったい何してるの？

忍者

おお、あの忍びが
残していった手裏剣も楽々投げられますぞー！！

鬼刃衆

なんと爽快！
いや、これはあの忍びの罠なのでは──
いやいやいや、しかしこの力があれば！！

フローガ

これは……鬼刃姫さん！
この香を吸い込んではいけません！
　
私たちの世界の、魔神の欠片にも似た
妙な魔力の流れを感じます！！

鬼刃姫

えええっ！？
ということは……急いで目を覚ましてあげないと！！
　
鬼刃衆のみんなー！！　歯を食いしばれー！！

鬼刃姫

──ふぅ。
皆大丈夫だった？

鬼刃衆

あいや、面目ない……。
しかし此度は、誓って拾い食いはしておりませんぞ！

忍者

然り！　しかし油断があったのもまた事実……。

鬼刃衆

うむ……。
鬼刃姫様、お叱りを受ける覚悟はできておりまする。

鬼刃姫

はぁ……今回は事故でしょ？
あてだって、そう毎回怒ったりしないよ。

忍者

おぉ、なんとお優しい……！
なれば我ら鬼刃衆、
より一層努力し、ヨユキ殿の行方を捜索します！

鬼刃衆

よし、筑後、肥後と来て、
このまま伊賀に志摩まで駆け抜けますぞ！！
　
いざ、天下統一ぅぅぅぅッ！！

鬼刃姫

て、天下は統一しなくていいよー！？
ヨユキちゃんを探すだけでいいからー！！
　
はぁ、行っちゃった……。
せっかく王子も手伝ってくれたのに。
　
それじゃあ王子、あてたちは所領に戻ろうか。
もしかしたら、新しい情報が届いてるかも！

シズカ

──ここが地獄、ね。
生きている内に訪れるとは思わなかったけど。

閻魔庁

むっ？　異界にも地獄があるのか？
そっちにも儂がいたりするのかのう。

フジムラサキ

東の国のある地方に伝わる、
死者が向かうという世界の伝承だったかしら。
やっぱり東の国とこの世界はどこか似ているみたいね。

ミズチ

──そ、それよりっ、そろそろ先に進まぬか……っ？
この場所、寒くてかなわぬのだ……。

閻魔庁

ここは極寒地獄じゃからなぁ。
ミズチ、寒いところが苦手なら、
殿たちについて行った方が良かったのではないかのう。

ハッピー

うぅぅぅ～！　寒いーっ！！
ミズチちゃんじゃなくても！
寒いところはみんな苦手だと思うよぉ！

スミレ

ほら、見てみろよ。
床も凍ってつるつるになってやがる。
真冬の湖を思い出すねぇ。

サクラ

わっ、ほんとにカチコチつるつるですね。
これは滑って進軍してくる敵にも
注意しないといけない気がします……！

リノ

あっ、それならリノが温めてあげよっか？
サラマンダーでド派手にどーんって♪

閻魔庁

こらこら、居心地を良くしてどうするのじゃ。
地獄の存在意義がなくなってしまうぞ？
──しかしそれにしても、妙な気配がする所じゃのう。

儂の知る地獄に比べて、やけに妖気が濃い。
これでは地獄というより、むしろ百鬼夜行じゃ。

ユキザクラ

……そのたとえはあってるのかも。
この地獄は、九尾の妖力と、
ヨユキの想いが生み出したところですからね。

レンゲ

ヨユキは弱い妖怪たちを守ろうと必死だった……。
どうにかして畏れを集めようと、
悪者になるのも厭わない子で……。

ツグミ

つまり、此度も悪者として、
妖怪の皆が食うに困らぬよう、こわーい存在を
どんどこいっぱい生み出そうとしているわけですな？

ヒバリ

永遠に百鬼夜行が続く地獄ということ？
妖怪たちが畏れを得る手段を新たに作る、
そう考えれば悪くないのかもしれないけど……。

ナギ

誰かのために戦える、心優しき娘を、
斯様な地獄に残していくことはできないですよね。

アンナ

えぇ。王子、皆さん、ヨユキさんの企みを打ち砕き、
必ず無事に私たちの世界へ連れ戻しましょう！

異世界の妖怪は一定確率で
物理攻撃を回避します。

アオバ

ふぅ、ひととおり片付いたようですね。
しかし、この先も極寒の世界と思うと
実に気が滅入りますね……。

シズカ

いえ、ここが地獄だと言うのなら、
先に進むと違う光景が広がっているはずよ。

閻魔庁

うむ、地獄とは罪人を裁き、罰を与える場所。
罪の種類によって、向かう地獄も異なるのじゃ。

エスネア

うぅぅ、寒くないならどこでもいいよぉ！
早く次の地獄に行こ！

ハルモニア

あっ、走ると危ないですよ！
足元が凍っているんですから！

　
カザキリ

──ヨユキ様、王子たちが極寒地獄を抜けたようです。

ヨユキ

……そっか。

カザキリ

斬るにせよ、追い返すにせよ、
私に命じていただければ──っと……ふふっ。
主、どうしたのですかそのお顔は。

ヨユキ

えっ、な、何か変な顔してた！？

カザキリ

えぇ、とても嬉しそうな顔を。
内心では、追ってきてくれたことを
喜んでおられたのですね。

ヨユキ

うぅぅ、嬉しくないはずないよ。
でもこれは、私がやらないといけない戦いだから！

カザキリ

では、私もその志に殉じましょう。
カザキリは、夜行さんが血脈に伝わる霊刀。
ヨユキ様の思うがままに振るってください。

ヨユキ

……うん、ありがとう、カザキリ。
でも、もう良いかなって思ったら
裏切っちゃってもいいからね。

カザキリ

ふふっ、御冗談を。
もし生きて帰ることができたなら、
その後ろ向きなところを直してあげなければ。

ヨユキ

これは後ろ向きなんじゃなくて、
慎重なだけだから！

カザキリ

そういうことにしておきましょう。
──それでは我が主、しばしの別れです。
お達者で、当代の夜行さん、憂う者、愛しきヨユキ様。

エスネア

───あれ？　寒くない？
急に寒くなくなった気がしない？

アンブローズ

それに何だか、身体がぽかぽかしますねぇ。
癒しの魔法を受けているみたいな気分ですよぉ。

閻魔庁

極寒地獄を抜けたようじゃな。
ここは等活地獄、敵味方等しく
あらゆる者の傷が常に癒えていく場所じゃ。

アージェ

──疑問。
地獄は罪人を裁く場と聞きましたが、
ならば傷を癒す必要などないのでは？

トゥアン

アージェ、人間は責め続けたら死んでしまうんだぞ？
何度も刑罰を与えるためには、
傷を癒やしてやらないといけないだろ。

サナラ

……急にこの癒やしの力が怖くなってきました。

閻魔庁

うむ、地獄に落ちたくなければ、
日頃の行いに十分気をつけて生きることじゃな。

しかし、ここも見知った等活地獄とは
様子が違うようじゃな。
やはり妖気が普段以上に満ちておる。

ユージェン

ここにも妖怪がいる、ということか。

アトナテス

いや、こいつは……。
ただの妖気じゃねぇ、この力の流れは魔剣の類だぜ。

閻魔庁

───残刀カザキリ、じゃったか。
主への忠義に生きる付喪神、実にあっぱれな霊刀じゃのう。

閻魔庁

さぁ王子、敵が来るぞ。
指揮は任せたからのう！

からかさは空中にいる間
攻撃を行いませんが、味方ユニットの
遠距離攻撃の対象になりません。
また、からかさから攻撃を受けると
攻撃後の待ち時間が増加します。
麻痺などの状態異常と同じく
特定のユニットで軽減、
無効化が可能です。

カザキリ

いいえ、迷い続けているからこそ、
答えなき道を進み続けられるのかもしれません。

ユキザクラ

やっほぅカザキリ。
……ヨユキはまだ覚悟を決められてないんですね？

カザキリ

それが主の美徳ですから。
───ひとつの決意を抱き進む者は、
諦めたものたちを取りこぼしていくもの。

諦めた者、後悔する者、絶望した者、
そうした者たちに寄り添い歩むことができるのは、
いくつもの選択肢を知る、迷い続ける者だけ。

異界の九尾への恩義に報いようとしながら、
己の責を果たそうとし、
さらには妖怪の未来の可能性まで模索している。

フジムラサキ

強欲すぎよ、本当に。
迷っているからって、全部持っていこうとするんだから。

カザキリ

けれど、私はそんな主のことは好きなのです。
謙虚なふりをして、
誰より強欲に未来を求める我が主のことが。

だからこそ、あと少しの時間稼ぎ、
我が身をもって果たしましょう。

敵を斬り、窮地を斬り、畏れで築いた我が道程。
ヨユキ様のため、今こそ本来の力を見せましょう。
───斬刀カザキリ、推して参るッ！！

カザキリがいる間、
味方ユニットは受けるダメージが
1.5倍になります。
　
またカザキリは
人間系の味方ユニットに
与えるダメージがアップします。

極卒鬼は、
HPが徐々に回復します。

カザキリ

───見事。
斬刀を打ち破るとは、
これが女神アイギスの力を受けた者ですか……。

閻魔庁

ふむ……それはちと違うのではないか？

この者の強さは、ヨユキの対極にあるものじゃろう。
ひとつの決意を抱き進むからこそ、
誰よりも先に死地に切り込んでおるのじゃ。

後から来る者に道を残す。
それもまた、強さではないかのう？

カザキリ

……なるほど、さすがは閻魔庁殿。
お説教が身にしみます。

閻魔庁

うむ、ではそこで少し休んでおるがよい。
儂らはこの先へ向かい、
ヨユキにお説教せねばならんからのう。

アンブローズ

次の地獄、ですかぁ……。
極寒地獄に等活地獄、次はどんな所なんでしょう……。

アルヴァ

……ふむ、妙だな。
この先から戦士の気配を感じはするが……。

アトナテス

───その気配が、増え続けてねぇか？
いったいどんな地獄だって言うんだよ。

閻魔庁

うむ、では参ろうか。
次なるは地獄の最下層───無間地獄じゃ。

ヨユキ

───ここが、無間地獄。
地獄の最下層にして、大罪を犯した者が落ちる場所。

九尾

そのまがい物、だがな。
この地の主は、想いの主たるヨユキ、汝だ。

汝が倒れるまで、次々に兵が生まれ続ける。
とは言っても、本来の地獄ではない以上、
増援にも限りがあるがな。

ヨユキ

すごいなぁ、地獄っていうのは。
ねぇ九尾、これで九尾の目的は達成できたの？

九尾

ああ、十分な成果だとも。
束ねた思いで、無間地獄まで開くことができたがゆえな。

ヨユキ

……九尾って何を目的に行動してるの？
この地獄を作ったのも、最終目的とは違うんでしょ？

九尾

くふっ、それは吾には言えぬなぁ。
もし聞けば、吾に付いてくると言い出しかねん。

ヨユキ

うっ……だってさ、私もう行く場所ないし……。

妖怪総大将に反旗を翻した責任をとって、
この首を差し出しますーって言ったとしても、
あの人たちは、たぶん許してくれちゃうからね……。

九尾

ハハハッ、ヨユキよ、行く宛がないという理由だけでは、
吾の道行きに連れていくわけにはいかぬ。

それに、汝の願いは独りよがりというものだぞ？
───自分が楽になりたいから殺して欲しい、
そう言っているようにしか、吾には聞こえぬなぁ。

ヨユキ

うぅ……九尾にはお見通しかぁ……。
……じゃあさ、私はどうしたら良いと思う？

九尾

それを知るのは吾ではない。
決めるのも、選ぶのも、迷うてばかりの汝と───
今まさに、この場に現れた者たちだけよ。

レンゲ

ヨユキ！！
もうっ、探したんだから！！

シノ

異界が大妖怪、九尾殿か。
こちらの世の妖怪が迷惑をかけましたね。

九尾

くふふっ、よいよい。
ぬらりひょんよ、この娘の未来は汝らに託すぞ。

───だが、刃も交えずして、
偶像の饗宴たるこの地獄は終わらぬ。
吾に異界の戦いというものを魅せるがよい。

シノ

どうやら、持って回った言葉がお好きなようですね。
つまり、私たちにこう言いたいと。

ユキザクラ

───ヨユキの迷いを断ち切るような戦いをせよと。

フジムラサキ

そしてその戦いをもって、ヨユキの贖罪とせよ、と。

閻魔庁

その舞台が無間地獄というのならちょうどよい。
ここは大悪を犯した者たちが落ちる場所ゆえな。

ヨユキ

もう、迷わないから。
これを私が迷う、最後の戦いにするから。

行くよ、王子、シノ、レンゲ。
これが夜行さんが一族、最後の戦いだ！

ヨユキは
戦場にいる妖怪の数に応じて
攻撃力と防御力がアップします。
　
またヨユキがいる間、
増援の敵が
一定数出現し続けます。

ヨユキが呼ぶ増援の鬼火は
HPが半減すると
移動速度が大幅に上昇します。

ヨユキ

───ま、けた？

九尾

うむ、勝負ありだ、ヨユキよ。
───あとは、汝が未来を選びとるのみよ。

ヨユキ

……私が、選ぶ。

王子

…………。

シノ

…………。

ヨユキ

王国にも、妖怪総大将にも、
迷惑かけてごめんなさい。

でも、私は成すべきことをした。
妖怪の誇りは、
人に恭順し続ければ消えてしまうものだから。

シノ

畏れが無くとも生きていける世になったとして、
それが本当に、妖怪として正しい姿なのかどうか。
あなたはそれを、ずっと悩んでいたのですね。

人は妖怪を畏れなくなった。
恐ろしい怪物から、よき隣人へと変わってしまった。

それは妖怪本来の姿ではなく、
ただ人に飼われ、生かされるだけの存在なのではないかと。

ヨユキ

……うん。
そしてそれは、間違っていなかった。
だから私は、この想いによる地獄に賭けたんだ。

シノ

ヨユキ、そして九尾殿、実に見事な無間地獄でした。
妖力と想いによって、これほどの恐怖を生み出せるとは。

……どうやら私も、視野が狭くなっていたようです。
妖怪が畏れによって生きる未来も、
まだ可能性が残されていたのですね。

───ヨユキ、これより先の未来、
夜行さんとして、ぬらりひょんと手を結び、
妖怪の未来を支える気はありませんか。

ヨユキ

……私が、シノと、手を結ぶ？

シノ

私は人と共に生きる妖怪の道を、
あなたは怖るべき妖怪としての矜持を、
それぞれが創り出していくのです。

……選ぶのは、あなたです。

ヨユキ

…………うん。

やっぱり、ぬらりひょんには敵わないな……。
でも、この選択は私が、自分で選んだものだ。

私は、妖怪が強く、恐ろしい存在である未来を望む。
その未来を創るために、一緒に歩んでいくよ。

九尾

───くふふっ、話はまとまったようだな。
なればもはや、ここに未練はなかろう。

ヨユキ

……もう、お別れの時間？

九尾

然り。交わることなき世界が、
こうして邂逅しただけでも奇跡というものよ。

さぁ地獄を閉じるぞ。
その妖力をもって、汝らを元の世界へ送り届けよう。

ヨユキ

ありがとう、九尾。
また、きっと会えるよね？

九尾

さて、それは吾の預かり知らぬこと。
さぁ行け、異界の者たちよ。
───この先もまた、戦場であると心得ておくがよいぞ。

閻魔庁

……うむ、地獄が閉じ、異界への門が開いていく。
さて、儂も所領に戻───むっ、わわっ、わぁあっ！？

九尾ぃっ！　なぜ儂まで異界に飛ばすのじゃぁぁぁぁっ！？

九尾

くふふっ、ハハッ、ハハハハハハッ！！

フローガ

──て、転送、無事に完了したようです。
魔力の乱れも感じられな──って、えぇぇっ！？

アンブローズ

どうして戦場のど真ん中なんですかぁぁぁっ！？

ソラス

ここはどうやら、帝国領内のようですね……。
あちらで陣を構えているのは白の皇帝と──おや？
もしかして殿さんじゃないですか？

フローガ

なるほど、読めてきました。
所領付近での城娘失踪事件は、
異界の門によるこちらの世界への転送だったのですね。

トゥアン

それを追って来たからこそ、
城娘たちが白の帝国と共闘してるってことか。

サナラ

で、でもいったい誰と戦ってるんですか？
敵側も城の帝国の兵士に見えるんですけど。

リーゼロッテ

いや、やけに練度が低い部隊がいる。
それにあの動き……前にも見たことが……。

そうか、白の帝国に
ドッペルゲンガーが紛れ込んでいるようだ。
それをあぶり出そうとしているんだな？

閻魔庁

……やれやれ、異界に来たと思えばさっそく戦闘か。
連携の打ち合わせもなく戦闘に加わっては邪魔になる。
ここはひとつ、白の帝国とやらの戦いを静観──

白の皇帝

…………。

王子

…………（こくり）

殿

…………！

閻魔庁

なんじゃあ！？
今のやり取りで分かりあったのかおぬしら！？

アトナテス

三人とも腕利きの戦士にして司令官なんだ。
これくらいで驚いてたら心臓が足りなくなるぜ？

閻魔庁

そういうものか……。
まぁよい、儂も手を貸してやろう。
どっぺるげんがぁとやらを討伐するのじゃろう？

アンナ

ありがとうございます、閻魔庁さん。
──それでは王子、指揮をお願いします！

アレイダに変身した
ドッペルゲンガーがいる間は
全ての敵ユニットの
攻撃と防御がアップします。

ドッペルゲンガー

なんで……どうして……。
相手は皇帝だけのはずだろ……。

やたら強いサムライと、王子までついてきたぞ……。
くそぉ……それになんだよ、あの巨大化する連中！

ああ……もうだめだ……ぐふぅっ。

アンナ

──どうやら、ドッペルゲンガーは
すべてあぶり出せたようですね。

閻魔庁

さて、儂も殿に合流するかのう。
東の国とやらにも行ってみたかったが、
置いていかれてはかなわんからな！

アンナ

閻魔庁さんもありがとうございました。
おかげで、ヨユキさんとも
良い関係を築いていけそうです。

閻魔庁

よいよい。
だが日々の心がけを忘れぬようにな。
悪いことをすると地獄が待っておるぞ？

ヨユキ

あはは……うん、心に刻んでおくね。

アンナ

それでは、私たちも殿陛下に挨拶をしにいきましょうか。
──王子、此度の
ふたつの世界を渡る戦い、お疲れさまでした！

閻魔庁

おぉ、白の帝国とやらは欧風なんじゃのう。
やはり、ふたつの世界は文化が似ておるようじゃ。

ニコル

気候と植生が似てると、
文化が似てくるという研究もあるからねー。
はぁ、そっちの世界でも研究してみたいなぁ。

トラム

観光もしてみたかったですね……。
所領もとても素敵なところでしたし。

太宰府

うぅ、せっかくマブダチになれたと思うたのにのう。
達者で暮らすのじゃぞ、妾たちはズッ友じゃからなぁ！

江戸城

決して遠い世界ではないようですから、
またこうして、お会いすることもあるでしょう。

ソラス

──しかし、帰還の手段は分かっているのですか？
ふたつの世界の波長があっている今なら、
こちらで異界の門を開くことも可能ですが……。

閻魔庁

何、問題あるまい。
千狐に心当たりがあるらしいからのう。

太宰府

九尾が開いた門の痕跡を使うそうじゃ。
それに王子たちも、
王国を留守にし続けるわけにもいかんじゃろう？

アンナ

それもそうですね……。
それでは皆さん、
またお会いできる日を楽しみにしています。

江戸城

えぇ、ふたつの世界の未来が
再び交わる日には、必ず。

ヨユキ

うん、みんな、またどこかで！