Air-free technique

Last-modified: 2022-05-29 (日) 16:53:09

空気排除技術

なぜ無水操作が必要なのか

  • 水の分子量が、18しかないから。たったの18mgで試薬の1mmolが消費されてしまう。
    • 問題はそこじゃなくね?水と反応して死ぬ物質の存在。

禁水試薬

禁水試薬を吸いたいんだけど、マイクロシリンジ使ってもいい?

  • マイクロシリンジは極力使わないほうがいい
  • μL単位で計りたいとき、どうしてもマイクロシリンジでなければならないとき以外は使うな。
    ピペットマンでほとんどの場合は十分だ。

禁水試薬を大量に使いたいんだけど?

  • キャヌラー(輸送管)を使え
    禁水試薬を大量に投入するときなんかに使う
    「t-BuLiを100mLシリンジで吸え」って言われたら絶対おしっこチビるだろ?

    マイクロシリンジはマジで管理に気を使ったほうがいいぞ
    ちょっとサビやらゴミが入っただけで高粘性の液体とかが全く吸えなくなる
    もしくはディスポにすることだな(重要な実験は特に)

  • tBuLiを大量に扱わなきゃなんない事態が発生したら、ガスタイトシリンジ使えよ。
    中間にはシリンジコックをつけて、注射針は新品のものを使う。
    そのぐらいのことは、当然だと思う。
    →ガスタイトはまずいだろ
    →tBuLiなら、普通のシリンジよりはガスタイトのほうがマシ。
     ただ、基本的にキャヌラーか、使い捨てのプラスチックシリンジ推奨。
     少なくとも、自重程度でピストンが動くようなシリンジはダメ。
    ttp://www.daichem.co.jp/products/syringe/ito_5.html

乾燥

塩化カルシウム管でちゃんと乾燥できる?

あまり信用できない。ちゃんと水分を除きたい実験なら不活性ガス置換をしたほうがいい。というよりそうすべき。
中の塩化カルシウムがガチガチに固まっていざ使うときに困ることがあるから、ときどき中身を交換すること。

シュレンクライン

グローブボックス

内部が完全に不活性ガスで置換されているかどうかは、ガラスを割った電球がフィラメントが焼け落ちずに点灯するかで判断できる。ただし、この条件は大変に厳しく、数回ガス置換したくらいではまず達成できないし、普通の有機実験ではそこまで必要とされない。

  • 酸素計や、微量水分が影響する系ならば露点計は付けるべき。ただし結構高価になる。

嫌気性試薬を扱うのにいい簡易グローブボックス的なの教えて

セプタムつけたバイアルと、試薬瓶・スパチュラをビニール袋の中に入れて不活性ガスで置換する(パンパンにしない)。
その袋を外からいじってバイアルに目分量(ちょい多め)で量りとる。
袋から出して、精秤する。あとは溶液にして使えばいい。
固体試薬の場合でもある程度窒素下で試薬を量り取れるので試薬が痛みにくくなる。
液体試薬(例えばルイス酸)だったらさらに簡単で、試薬瓶をビニール袋に入れ、中をアルゴンで満たす。
手探りでフタを開けたら、シリンジの針をビニール袋の外から刺し、試薬を吸い取ればいい。

不活性ガス下の反応

窒素雰囲気下と窒素気流中の違いについて

  • 反応中流しておくのとガスバックで置換しておく程度の違いしかない
  • 三方コックにゴム風船をつけて実験するのは、70-80年代にアメリカに留学した団塊世代が日本に持ち帰ったテクニック。この連中は社会でも自分のやり方を他人に押し付けるので有名な世代だ、ということは覚えておこう。
    このゴム風船のゴムは分子レベルではスカスカの半透膜であり、圧平衡を保つという役割以外に無水条件を保つという機能はほとんどない。中が不活性ガス置換されているというのは風船内が陽圧だから空気が入ってこないという仮定の上に成り立っているものにすぎない。通常のmgスケールの実験では2~3時間しか持たないというのは知ってて損のない知識だ。
  • 悪いが、ぜんぜん違う。
    最近は流行らないが、ベンゾフェノンケチルで無水蒸留セットを立てる時に窒素フローだと何ヶ月だって持つが、アルゴンバッグだと材質を問わずに1週間がいいとこ。ゴム球もテドラーバッグも気体分子レベルではスカスカだと知るべし。なお、窒素フローの末端にはシリコンバブラーをつけるが、数秒に1個泡が立つ程度で十分。ミニボンベでも1年以上使える。

空気・湿気に不安定な物質の保存

グローブボックスの中に液体サンプル入れたいんだけどどうすればいいんですか?
窒素封入してテープでぐるぐる巻きにして固定でいいの?

  • ビニールテープで巻くんだったら、テフロンのシールテープで巻いたほうがいい。耐薬品性や耐候性、気密性の高さ、糊の始末が不要、いずれもアドバンテージがでかい。
  • 蓋をしてからテフロンテープを巻くんじゃなくて、ふたをする前のガラスのネジ山に巻くんだよ。フタをねじ込むとそこで密着する。テフロンテープを切るときは、ハサミで切らないで最後を引っ張りながら引きちぎる。そうすると最後に段差が出来ない。
    • ああなるほど、本来のシールテープの使い方をするわけね。
  • なお、シールテープはネジ山に巻く場合でも、フタに巻く場合でも常に上から見て右巻きに巻く。そうするとフタを閉めた時に緩まない。

潮解性のある固体試薬やサンプルの場合、パイレックス直管に封管した方が楽かも。