Flight School

Last-modified: 2012-11-28 (水) 17:59:27

編集中です。
(フライトマニュアルより抜粋翻訳中、意訳が含まれています)


一般要求事項

以下のグランドスクールのセクションではKa-50を飛行させるための必要事項及び推奨事項を記載しています。グランドスクールではヘリコプター内の全システムが正常に作動していることを前提として、タキシング準備操作からエンジン停止操作に至るまで、出撃における各段階での操作方法を網羅しています。とりわけ注意を払う必要があるのはフライトパラメーターが許容範囲内にあるときにはどういう状態なのか、またそれを超過した場合はどういう結果を招くのかということです。ヘリコプターは常にオートパイロット(AP)モードが作動させた状態で飛行することをお勧めします。これによりフライト全区間に亘り極めて優れた安定性を得ることができるためです。とはいえ、システム故障という事態や訓練目的でAPモードなしで飛行させることも可能です。Ka-50は元来AP補助なしでも極めて操作性に優れています。
このヘリコプターの基本的な飛行操縦方法はADIとHUDを見ながらの計器飛行です。
飛行高度の変更は、(ADIもしくはHUDを見ながら)ピッチアングルを一定に保ちつつコレクティブレバーを用いて行います。飛行速度の変更は、所要速度が得られるようにサイクリックレバーの位置を調整します(速度を増加させる場合は前方に押し倒し、減速するには手前に引き戻します)。

タキシング準備及びタキシング

エンジン、ローターシステム、ヘリコプターシステム及び各機器類の中で正常な作動をしていないものがないか、それら計器の指示値全てをチェックします。警告灯パネル及びEKRANディスプレイに非常表示が出てないかどうかをきちんと確認します。全ての警報システムで正常作動の表示が出ていることを確認します。
飛行場から離陸する際には、エンジン始動・ホバリングチェック・タクシーウェイ進入を地上交通管制に問い合わせます。
まずオートパイロットチャンネルを起動します。
・K:バンク角保持
・T:ピッチ角保持
・H:方位/コース保持
次に脱出システムのスイッチを作動させます。まず安全カバー(黄色/黒色の縞模様)を引き上げてから“АВАР ПОКИДАН” (非常時脱出)の3つのボタンをONにします。

SAIノブを反時計回りに回しSAIを開放します。ノブのところにマウスポインタを置き右ボタンを押し下げると操作ができます。



タキシング開始
タキシングの手順は以下の通り

  1. タキシング許可を管制塔に問い合わせる
  2. 搭乗しているヘリコプターがこれから通るタクシーウェイ上に障害物や異物がないかどうかを確認する。
  3. パーキングブレーキを開放する
  4. コレクティブピッチレバーを全体の1/4ほどのところまで静かに持ち上げ、サイクリックスティックをゆっくりと前方に倒すとそれに従って機体が動き始めます。

地面を見ながらサイクリックスティック、コレクティブレバー、ホールブレーキを使ってタキシング速度をコントロールします。ヘリコプターの進行方向を変えるにはアンチトルクペダルを使います。タキシングは固くて滑らかな地面の上で時速15kmを限度に風速20m/s以下の状況で行うようにします。
タキシング中にヘリコプターを停止させるには、サイクリックスティックを中立位置に戻して、コレクティブレバーを下げてからホイールブレーキを掛けます。ブレーキが故障している場合は、コレクティブレバーを機体がホバーしそうなところまで持ち上げながらサイクリックスティックを手前に引くと停止します。このときヘリコプターの尾部が地上に接触しないように(尻餅をつかないように)サイクリックスティックは慎重に操作します。
視界状況が悪い場合はブレード端灯、航行灯、衝突防止灯を点灯します。メインの着陸灯を点灯するかあるいはバックアップ用の着陸灯を点灯し手動でメインの着陸灯の方向に向けることもできます。



タキシング
タキシング中の方向転換は、サイクリックスティックを曲がりたい方向に倒すのとアンチトルクペダルを静かに踏み込むのを同時にかつ静かに行います。5度以上に機体がバンクしないよう、また高速移動しながらの方向転換はしないように注意してください。

注意:タクシーウェイを後進したり片側車輪で方向転換したりするのはやめましょう。

横風時にタキシングするとヘリコプターは風上に機首を向ける傾向があります。この挙動を打ち消すには風上に向けて最大で5度のバンク角を取るようにします。

土面や雪上でタキシングする場合は、時速5kmを上限としてそれ以下の速度で極めて慎重に操作を行うようにします。前脚が跳ね上がらないようにサイクリックとコレクティブを使って機体を操作する必要があります。

離陸及び上昇飛行

離陸の方法は二通りあります。

  • ヘリコプタースタイルの離陸:前進速度をつけずに垂直離陸を行い、ホバー状態から前進速度を増す方法
  • 航空機スタイルの離陸:地上で前進速度を増しながら(滑走しながら)、離陸速度に達する方法

これら二つの方法は離陸する飛行場の条件(滑走路の長さ、路面状況、海抜高度)、そのときの天候及び載荷状況に応じて選択します。基本的には航空機スタイルでの離陸は向かい風で行うようにします。

離陸前には、動力源の作動状況や制御システム及び機体重心のバランスのチェックを行い、高度2~10mでホバリングチェックを行ってそのときの大気の状況下で十分な垂直上昇力が得られるのかどうかを確認します。



ホバリングチェック
垂直離陸とホバリングの手順は以下の通り

  1. ヘリコプターを風上に向け、2~3mほどタキシングして車輪の向きを揃えます。
  2. パーキングブレーキを掛けます
  3. ピッチアングルをチェックします。
  4. 飛行計器が通常の範囲内で動作していることを確認します。
  5. 管制塔に離陸スペースの確保とホバリングチェックの許可を問い合わせます。
  6. OKをもらったらホイールブレーキを解除しコレクティブレバーを静かに引き上げ所定のホバリング高度まで上昇します。機体をバンクさせたり旋回させないように注意してください。
  7. トリムボタンを押してヘリコプターをトリムさせます。FFBジョイスティックをお持ちでない場合はトリムボタンを押したらスティックをニュートラル位置に戻さなければなりません。
  8. コレクティブレバーを静かに動かして所定の高度を維持します。電波高度計と地面からの様子を眼で確かめながらホバリング状態で一定の高度を保持するようにします。ホバリングしながらの旋回は、旋回したい方向のペダルを静かに踏み込みます(左旋回ならば左側のペダル)が、このときサイクリックスティックを前や左右に動かさないようにします。
  9. コクピットドアを開けたままにしておけば地面からの様子を見ながらの確認がやりやすくなります。

ホバリングモードでは、方向静安定性があり風向きに機首を向ける傾向があります(風見安定)。よって、ペダルを最大限に踏み込んで旋回を行う場合は前半は旋回率が小さいのですが後半は極めて大きくなります。これは風速によって変化します。
ホバリングチェックを行っている間は以下の手順でチェックを行います。

  • 機体制御:制御機器を動かしたときにすべてのチャンネルにおいて十分な入力幅があり、それに合わせてヘリ
    コプターが所定の機動を行うかどうか。
  • 重心位置:ホバリングしてヘリコプターの姿勢のバランスが取れた状態でサイクリックスティック(ジョイスティック)の位置に応じて変化するかどうか。重心位置が真中の場合、サイクリックスティックも中心位置にありなおかつトリムがキャンセルされる状態かどうか。
  • ホバリングモードの安定性:高度4m以上の位置で、ヘリコプターのバランスを取った状態でトリムを当てて、ホバリングボタンを押してホバリングモードを作動させます。その結果、“ВИСЕНИЕ” (ホバリング)表示灯が点灯します。HSI上では、指針がお互いに直角に交わっており、その交差点のずれはヘリコプターのホバリングの位置に対応しています。チェックが終わったらこのモードをオフにします。ニュートラル位置はピッチ計に“ИКП”として表示されます。
  • ヘリコプターの垂直上昇能力は大気の条件に大きく左右されます。
    ホバリングチェックのあいだにヘリコプターが所定のホバリング高度に到達できない場合は、いったん着地して離陸重量Take-Off-Weight(TOW)を減らすと良いでしょう。



地面効果を利用した垂直離陸
この離陸方法は高度2m未満で安定したホバリング状態になってから行います。
離陸手順は以下の通り

  1. 地上からの高度2~3mの地点でホバリングチェックを行います。エンジンは最大出力が求められます。
  2. 管制塔に離陸許可を問い合わせます。
  3. 全ての飛行計器が許容範囲内の指示値を示しているのを確認してから高度を1mまで下げます。
  4. サイクリックスティックを前方に静かに倒して前進飛行加速を開始します。このとき同時にエンジン出力を離
    陸モードまで(余剰出力が利用可能な範囲内で)上げます。これはヘリコプターが前進飛行に移行する際に高度を失うのを避けるためです。
  5. 前進飛行加速はローターに地面効果の影響が現れる高度範囲内で行ないます。指示大気速度:90~100km/hで高度:5mまで緩やかに上昇を行ないます。
  6. さらに加速する場合は少しずつ上昇しながら行ないます。



地面効果を利用しない垂直離陸
これは、離陸する方向に高さのある障害物がある場合に、高度10m未満で安定したホバリング状態を行って障害物を越えながら離陸する方法です。
離陸手順は以下の通り

  1. 地上からの高度10m未満まで上昇しホバリングチェックを行います。
  2. 管制塔に離陸許可を問い合わせます。
  3. 全ての飛行計器が許容範囲内の指示値を示しており、ヘリコプタースタイルの離陸ができる飛行高度であるか
    を確認します。
  4. サイクリックスティックを前方に静かに倒して前進飛行加速を開始します。このとき同時にエンジン出力を離陸モードまで(余剰出力が利用可能な範囲内で)上げます。
    もし、離陸に必要な出力を得るためにコレクティブレバーを操作してもヘリコプターの沈み込み(降下)を解消することができない場合は、前方に倒していたサイクリックスティックを手前方向に少し戻してピッチ角を増やし前進加速度と降下率の両方を減殺します。



滑走離陸
この離陸方法は高度1m未満で安定したホバリング状態に達してから行うことができます。エンジンは離陸に必要な出力が求められ、また、ローターへの地面効果を利用できる状況下で行う必要があります。
離陸手順は以下のとおり

  1. ホバリングチェックを行います。
  2. ホバリングチェックの後に静かに着地
  3. 管制塔に離陸許可を問い合わせます。
  4. サイクリックスティックを静かに前方に倒し、エンジン出力を離陸モードまで上げながら前進加速を開始します。最大許容範囲まで加速します(ピッチアングルは-10度未満)。主脚の車輪が地面から離れます。
  5. 指示対気速度:30~40km/hに達したところでサイクリックスティックをわずかに引き戻すと、ヘリコプターが離陸します。
  6. 空中飛行に達したら緩やかに上昇しながら100~120km/hまで加速します、この速度に達したら速度を維持したまま上昇を続けます。



特殊な条件での離陸
横風を受けながらの離陸の場合、サイクリックスティックを風向きの方向にずらします。これによって機体が地面から離れた瞬間から発生する回転挙動を打ち消します。同時にペダルを踏み込んで風によるヨー方向の動きを打ち消します。それぞれの操作機器をどれくらい動かせばよいのかは風速によります。
地面が埃や雪で覆われてる場所で離着陸を行なうと、ヘリコプターが埃/雪を舞い上げて視界に悪影響を及ぼします。埃の多い状況下で離着陸を行なう場合は、エンジン用塵埃防護装置:Dust Protectors (EDP) をONにします。お勧めできるのが、離陸前にローターをある程度回転させて周囲の埃を吹き飛ばしてしまうという方法です。



上昇飛行
上昇飛行は任意の飛行場に予め設定されているフライトパターンに従って実行します。
離陸後に上昇飛行へ移行したら、必要な飛行法を設定し、入力機器にトリムを当て、所定のウェイポイントもしくは出発ルートに向かいます。
上昇中は、エンジンを最大出力で巡航速度も最大を維持します。必要であれば離陸出力もしくは最大連続設定よりも低い出力による飛行法を行います。
飛行中はローターの回転速度(回転率)を最低レベル以下に落とさないようにする必要があります(上昇速度が大きくなるとローター回転率が下がる)。ローター回転速度(回転率):85%になると「縞模様」の警告灯が点滅を開始します。
所定の高度に達したら、サイクリックスティックでピッチアングルを調整して機体を傾け所定の指示対気速度になるように設定し、コレクティブレバーでその指示対気速度に応じたエンジン出力操作を行います。入力機器にトリムを当ててから高度保持オートパイロットモードを作動させます。

水平飛行及び遷移飛行

トラフィックパターン(場周経路)に沿った飛行は指示対気速度:160~120km/hをお勧めします。
水平飛行時には高度50m以上で気圧高度保持を行なうことが推奨されています。飛行高度を100m以上変更する場合は一旦「B 」という文字が点灯しているボタンを押してオートパイロットパネルの高度保持モードをOFFにする必要があります。所定の高度に達したらボタンを押して再びモードを起動します。



有視界法:Visual Flight Rules(VFR)によるトラフィックパターン飛行
VFRによるトラフィックパターン飛行は、それぞれの飛行場(ヘリ発着場)毎の飛行方法マニュアルに定められた高度及び指示対気速度に従って実行します。無線航法装置を備えていない飛行場の場合は、地上のランドマーク(標)を目印にしてマニュアルモードに設定したHSI((“ЗПУ” (トラックアングル) セレクターを “РУЧН” (マニュアル)の位置に設定します)の指針から着地までにかかる時間を想定します。

離陸後に高度:40m、指示対気速度:120km/hに達したら、動力源と航空システムを通常作動状態に設定して降着装置を収納します。

離陸上昇中は、指示対気速度:120~140km/h、上昇率:3~5m/sを維持します。
滑走路方向に沿って飛行を続け、指示対気速度:100~150km/hに達したらクロスウィンドー(横風)レグに向けて左右いずれかに90度旋回します。定格高度及び指示対気速度:160km/hになった時点で機体を傾けて(その状態が維持できるように)入力機器にトリムを当てます。

水平飛行になったら、ダウンウィンドー(追い風)レグに向けて旋回して滑走路から離陸した方向とは逆方向に向かいます。

指示対気速度:120~140km/hでの水平飛行状態でベースレグに向けて旋回し、降着装置を展開し管制塔に着陸許可を問い合わせます。

ベースレグに旋回後、指示対気速度:120~140km/hを維持しながら降下率:3~4m/sで降下を開始します。ベースレグ最終段階での旋回は対地高度:100m未満で行います。

着陸進入中は、着地予想点=Estimated Touchdown Point(ETP)にきちんと着地できるように降下率の見当をつけます。ヘリコプタースタイルで着地する場合(これが最も一般的ですが)、ETPの決定は着地より50~100m手前で行う必要があります。

ETPまで400~500m、高度:50~70mの地点で対気速度をスムーズに減少させ始めます。

着地前に降着装置がきちんと下りているかどうか再度確認(ダブルチェック)します。



遷移飛行の方法
電波高度計で対地高度:50m以上になると気圧高度保持モードを機能させることができます。
高度保持モードを作動させたまま飛行高度を変更するには、コレクティブ・ブレーキレバーを解除してから遷移飛行に移行し、遷移飛行中に所定の飛行高度に達したらそこでブレーキレバーを設定します。これにより新たな飛行高度で高度保持モードが設定されます。

  • 垂直上昇中にホバリングに遷移する場合は、コレクティブレバーを静かに下げて機体の上昇を止めます。高度のずれはコレクティブレバーの微調整によって修正します。
  • ホバリングからの垂直降下への移行をマニュアル操作で行う場合は、コレクティブレバーを下げて降下率:3m/s未満で行いますが、対地高度:10m以上であれば3m/s以上でも構いません。ただし降下率が大きすぎるとヴォルテックスリング(降下速度がローターの吹下し速度を上回って揚力が失われてしまい機体が墜落してしまう現象)に陥る危険性があります。
  • ホバリングから前進飛行に遷移する場合は、サイクリックスティックを前方に倒して必要な前進加速度が得られるようなピッチ角を設定します。同時にコレクティブレバーを引き上げて飛行高度を維持するようにします。必要速度に達したら、その速度に応じたピッチ角を改めて設定します。
  • 前進対気速度を増大させるには、サイクリックスティックを静かに前方に倒して同時にコレクティブレバーを引き上げて高度を維持するようにします。飛行高度を維持しようとする際にエンジンが離陸出力に達してしまう(回転負荷でローターの回転率が下がってしまい「縞々」の警告灯が点滅する)場合は、サイクリックスティックを手前に引いて前進加速度を減少させ、ローターの回転率が所定値に回復するまでコレクティブレバーを押し下げます。機体がバンク・ピッチ・ヨー方向いずれにも傾かないように、それぞれ方向の動きをサイクリックスティックとペダルで打消します。
  • 水平飛行において対気速度を減ずる場合は、サイクリックスティックを静かに手前に引いて相応の減速ができるようなピッチ角を定めます。飛行高度を維持できるようにコレクティブレバーを操作します。
  • 高度一定のまま前進飛行からホバリングに遷移する場合は、サイクリックスティックを手前に引いて相応のピッチ角を設定してヘリコプターを一定の割合で減速させます。機体が上昇しようとする挙動をコレクティブレバー操作によって打消します。ヨー方向/ロール方向の動きはサイクリックスティックとペダルの操作で打消します。
  • 水平飛行のまま飛行高度を下げる場合は、所定の降下率に達するまでコレクティブレバーを静かに押し下げます。サイクリックスティックでピッチ角を保ち対気速度が一定であることを確認します。
  • 降下後にヘリコプターを高度一定の水平飛行に遷移させる場合は、コレクティブレバーを静かに引き上げて降下率を見ながらヘリコプターを水平飛行状態に安定させます。
  • 降下飛行からホバリングに遷移する場合は、サイクリックスティックを手前に引いて相応のピッチ角を定め前進速度を減じ始めます。次にコレクティブレバーを引き上げて降下率をスムーズに減じ、ヘリコプターがホバリングモードになるようにします。サイクリックスティックを操作してヘリコプターの前進速度を完全に打ち消し、ホバリング状態でバランスが取れるようにします。
  • 上昇後にヘリコプターを高度一定の水平飛行に遷移させる場合は、サイクリックスティックで相応のピッチ角を定めて必要な指示対気速度が得られるようにしておき、次にコレクティブレバーで所定の高度が維持できるようにします。
  • 水平飛行から上昇に遷移する場合は、ピッチ角一定を保ちつつコレクティブレバーを静かに引き上げます。

全ての遷移飛行においてコレクティブレバーとサイクリックスティックの操作速度及び操作幅はメインローターの回転速度が動作限界範囲内に保たれるように定める必要があります。
遷移飛行は機体の静安定を崩して別の状態に遷移させようとする動きであり、トリム機構はそれらの動きを全て抑え込んで静安定を取り戻そうとする方向に作用します。(その結果として生じる)ピッチ・バンク・ヨーのブレはパイロット自身がサイクリックスティックとペダルの適切な操作入力によって打消す必要があります。

降下飛行

降下飛行には以下のような方法が用いられます。

  • エンジン回転速度と前進速度を調整して降下を行う。
  • エンジン回転速度のみを調整して垂直降下を行う。
  • オートローテーション

エンジン回転速度と前進速度を調整して直線的に一様な飛行軌道を描きながら降下する方法が最も一般的な降下飛行です。着陸進入に至る前に管制塔に着陸許可を問い合わせ、気圧高度計を着陸予定の飛行場からの指示気圧値に較正します。

指示対気速度:50km/h以下になったら、ボルテックスリングに陥らないように降下率:5m/sを超えないように降下していきます。



エンジン回転速度と前進速度を調整しながらの降下飛行
降下飛行の手順は以下のとおり

  1. 所定の指示対気速度(70km/h未満)になるようにピッチ角を設定します。前進速度は120~140km/hが推奨値です。
  2. 所定の降下率になるようにコレクティブレバーを操作します。ローターの回転速度が超過しないようにします。ローターの回転速度超過は20秒間を限度として91~98%を最大とします。
  3. 所定高度に達したら水平飛行に遷移して高度一定を保ちます。



エンジン回転速度を調整しながらの降下飛行
この降下飛行は以下のような条件の場合に行われます。

  • 高度:10m以下
  • 高度:10~200mの範囲で戦闘中もしくは前進速度を伴うような降下が不可能な場合

垂直降下は降下率:3m/s未満で行う必要があります。地面に近づいてきたらできる限り風向き方向に機体を向けるようにして垂直降下を続け、着地時に左右方向に機体が傾いたりヨー方向に回転したりしないようにします。

垂直降下の手順は以下のとおり

  1. 所定高度でホバリングします。
  2. コレクティブレバーを静かに押し下げますが、その際に降下率が3m/sを超えないようにします。
  3. 降下率が3m/sを超えた場合は、コレクティブレバーを静かに上げて「ボルテックスリング」に陥らないようにします。
  4. 不測の事態が起きて降下率が5m/sを超えた場合は、サイクリックスティックを前方に倒して少しだけコレクティブレバーを押し下げヘリコプターが前進飛行状態に移行するようにします。
  5. 垂直降下を高度:10mから行う場合はコレクティブレバーを静かに上げながら降下率を減じてヘリコプターを静かに着地させます。

降下中は地面との位置関係を確認して着地時に左右方向の動きが起こらないようにします。



オートローテーションでの降下飛行

オートローテーションに近いかたちでの降下飛行はエンジンを最小出力に抑えて行ないます。なお、以下のような条件の場合に行われます。

  • 飛行中に左右のエンジンが共に停止した場合を想定しての訓練目的。
  • 大幅な降下率が求められる場合。前進速度:130km/hで最大降下率に達するようにします。

オートローテーションを用いた降下飛行の手順は以下の通り

  1. 水平飛行の状態から降下飛行に移行できる指示対気速度まで減速します。ヘリコプターの姿勢バランスを保ったらトリムします。
  2. コレクティブレバーを最下限まで下げます。ただしローターの回転が速度超過を起こさないところまでです。
  3. エンジンスロットルレバーをアイドル位置にして再度ローターの回転速度をチェックし、コレクティブレバーの位置を修正します。安定降下を続けている間ローターの回転速度は86~90%のあいだを維持します。いずれの方向に旋回するにしても機体のバンク角限度は30度までです。
  4. 安全高度に達したらエンジンスロットルレバーをオート位置に設定してローターの回転速度を86~90%のあいだを維持しつつ降下状態から抜け出します。



注意:コレクティブレバーの入力値が小さい場合及びローターの回転速度が大きい場合はヨー方向の操作が鈍くなります。そのため、オートローテーション中に前進速度が100km/h以下まで減速させるのはお勧めしません。ペダルによるヨー操作が鈍い場合はサイクリックスティックを相応の方向に倒して機体をスリップ(横滑り?)させることで補完します。


降下率が大きい状態(非常時)での降下飛行は、従前の飛行状態におけるローター回転を定格速度の「89%」から低速度の「84%」に再調整します。

  1. 水平飛行の状態で指示対気速度を減じます。
  2. 前進速度は70km/hを最小としてそれを下回らないように、200km/hを最大としてそれを上回らないようにします。指示対気速度は120~140km/hが推奨値です。
  3. 水平飛行中にコレクティブレバーハンドルにある「ОБОРОТЫ НОМИНАЛ – НИЗК (RPM rated-low)」再調整スイッチを「НОМИНАЛ(rated:定格)」から「НИЗК(low:低速)」に切替え、それまでのローターの維持回転速度を定格から低速に変更します。ローターの維持回転速度が84%まで低下して「縞々」警告灯が点灯します。
  4. コレクティブレバーの入力を最小レベルにします。機体重量・指示対気速度・飛行高度にもよりますが降下率が急激に増えますので15~18m/sの範囲内に留まるようにします。降下中はローターの回転速度がわずかとは言え85~86%に増加します。高度:1,000m付近まで降下したらローターの回転速度をコレクティブレバーで調整して86%を超えないようにします。MWL及び非常警告灯(Vmax:最大速度超過)が点灯したら(これは高高度で起こりがちです)指示対気速度を減じます。前述よりもより大きな降下率で降下する必要がある場合は、上限30度を超えないように機体をバンクさせてスパイラル(螺旋)を描きながら降下します。この場合の降下率は25~35m/sに達します。所定高度付近に達したら降下状態にある機体を引き上げ、降下率を減じながら最終的に0にします。
  5. 水平飛行状態の体勢に入ります。コレクティブハンドルにある「ОБОРОТЫ НОМИНАЛ – НИЗК」スイッチを「НИЗК(low:低速)」から「НОМИНАЛ(rated:定格)」に切替え、同時にローターの回転速度が89%にすぐさま達するように時間短縮のためにコレクティブレバーを引いてピッチを上げます。その後「ゼブラ」警告灯が消えるはずです。

良好な気象条件下での着陸

着陸は以下の方法のいずれかを用います。

  • ヘリコプタースタイル:地上滑走を行わずホバリング状態から着地する方法
  • 飛行機スタイル:前進速度を保ったまま着地しそのまま地上滑走しながら減速する方法

いずれのタイプの着陸方法を選択するかは一般的には着地場所の状況(大きさ・路面状況・起伏)、気象条件及びヘリコプターの機体重量の如何によります。着陸は可能であれば向かい風方向に行います。


地面効果を利用した垂直着陸

この着陸方法が基本となります。ホバリングはローターへ地面効果が生じ始める高さで行います。

着陸手順は以下のとおり

  1. ショートファイナル?(inner NDB上空を通り過ぎた後)に達したら高度70mから着陸進入を行い、サイクリックスティックを手前に静かに引いて相応のピッチ角を取って機体を減速させます。およそ高度:20~30mで前進速度:40~50km/hを目安とします。
  2. さらに前進速度・降下率を減じて所定のポイントに見当をつけ、高度:2~3mのところでホバリングさせます。
  3. 横方向に機体が動かないようにしつつコレクティブレバーを静かに下げてヘリコプターを着地させます。
  4. ヘリコプターがきちんと地上に安定着地したらコレクティブレバーを最下限まで押し下げます。

エンジン及び機器類のシャットダウン

通常の停止手続き:

  • 1. サイクリックとペダルを中立位置にし、コレクティブを完全に下げる。
  • 2. ABRISを切る。
  • 3. K-041を切る。
  • 4. 発電機を切る。オーバーヘッドパネルの“ПРЕОБРАЗ” (Inverter) ランプが点灯するのを確かめる。
  • 5. エンジンスロットルレバーをアイドルにする。
  • 6. 電力を必要とするシステムを、power plant parameter indicators以外切る。
  • 7. カットオフバルブレバーを閉鎖位置にしてエンジンを停止する。
  • 8. ローターRPMが30%以下になったらローターブレーキをかける。
  • 9. エンジンが完全に停止したら、エンジン燃料遮断バルブを閉じる。
  • 10. 燃料ブーストポンプを切る。
  • 11. SAIノブを引いて時計方向に回し、SAIを固める。
  • 12. 全てのスイッチを切る。
  • 13. 全てのバッテリーを切る。

ルート飛行及びホバリングモード

この章では、PVI-800ナビゲーション制御パネルによる飛行ルートについて書く。ここでは飛行ルートはミッションエディタ(ME)で最初に作成されていると仮定する。PVI-800飛行・航法システムは、MEまたはコクピットで作成した6個までのウェイポイント(WP)しか扱えないことを覚えておくこと。従って、自動操縦ルートモードを使うときは、MEでWPを配置する際にこの制限を考慮するべきである。ABRISで作成されるルートは、自動ルート飛行に用いられるPVI-800航法システムでは使用できない。PVI-800とABRIS航法システムは連動していない!

飛行前に、航法システムの離陸前テストを行う:

  • 高度計をゼロに合わせる。
  • 最低安全高度を設定する。
  • HSIと磁気コンパスの方位情報が、離陸時の(滑走路の)方位と一致することを確認する。
  • HSI上で、選択したNDBの無線方位RMI指針が正しいことを確認する。
  • PVI-800航法制御パネルのモードセレクタが、“РАБ” (Operation) の位置にあることを確認する。“ППМ” (Waypoint) プッシュライトを押して、キーパッドで目的のWP番号を押す。
  • HSIの隣にある“ЗПУ-ЗК АВТ - РУЧН” (Desired Track Angle-Desired Heading, Auto - Manual) スイッチが“АВТ” (Auto) になっていることを確認する。
  • オートパイロットパネルの“ЗК-ЛЗП” (Desired heading - Desired track) スイッチが、任務に応じて適切な位置になっていることを確認する。
  • ABRIS上でのヘリコプターの位置が初期ポイントにあり、方向が最初のWPを向いていることを確認する。
  • 飛行時間時計を開始する。
     

あらかじめロードしたルートに沿った自動操縦飛行
飛行ルートをロードする前に:

  • ウォールパネルのINU方位データ切替スイッチを中央の“ГПК” (Directional Gyro) に合わせる。
  • HSIの隣の“ЗПУ-ЗК АВТ - РУЧН” (Desired track angle - Desired heading, Auto - Manual) スイッチを“АВТ” (Auto) に合わせる。

離陸後、姿勢を安定化させ、速度・方位を定めて、トリムを行ったら、コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕН” (Route - Descent) スイッチを“МАРШРУТ” (Route) に合わせてルート飛行モードに入る。これにより“МАРШРУТ ЗК/МАРШРУТ ЛЗП” (Route DH/Route DT) が作動するのでヘリコプターは自動的に最初のウェイポイントに向けてバンク角15度以内で旋回を始める。
オートパイロットパネルの“ЗК-ЛЗП” (Desired Heading - Desired Track) スイッチをどちらに合わせたかによってヘリコプターは自動的に現在位置からWP目指して旋回(目的地に直行)するか或いは飛行コース目指して旋回(目的コースに直行)しその後コース上を巡航する。
目的の高度まで上昇したら、オートパイロットパネルの高度保持セレクタ“БАР-РВ” (BARO/RALT altitude hold modes) スイッチを任務に応じて任意の位置に合わせる。高度保持チャンネル(「B」の青いプッシュライト)が入っていることを確かめること。
RALT保持サブモードがONの場合、HUDの高度スケール及び高度値は対地高度:50m以下で見えるようになる。BARO保持サブモードが選択された場合、HUDに気圧高度の値が表示される。
DTモードでは、次のWPにさしかかるとルートの次のトラックに乗るようにWP到達前に自動旋回が始まる。一方DHモードでは、WP通過後に自動旋回が始まる。どちらのモードでも旋回が始まる100m手前で“ППМ РАЗВОРОТ” (Turn to the next waypoint) ライトが点灯する。この自動旋回は、バンク角15度以内で次のWPに向かうよう行われる。旋回が始まると現行のトラックデータはルート上の次のトラックデータに置換えられる。新しい方位に向けて旋回完了する5度手前で“ППМ РАЗВОРОТ” (Turn to the next waypoint) ライトが消え、方位は旋回完了時のヘリコプターの現在位置とドリフト角によって自動修正される。
ルートの残りのトラックでも同様である。
最終WPの250m手前で、“КОНЕЦ МАРШРУТА” (Last waypoint; end of route) ライトが点灯する。最終WPを通過して2km過ぎるとルートモードは終了し、“КОНЕЦ МАРШРУТА”ライトが消え、ヘリコプターは現在方位で安定する。
この飛行ルートを辿る間は、機体位置をABRISのマップ上で監視し、航法パラメータの自動算出を制御し、HSIと磁気コンパスそれぞれの方位情報を比較すること。
フライトプランによっては、目的地に向けて正しく航行するにはADFチャンネルに切替えてNDBによる方位指示に従う必要もある。

 

フライトディレクタ
フライトディレクタモードでは、パイロット自らがHUDとADIに表示されるディレクタを参照しつつサイクリックでヘリコプターの姿勢制御を、コレクティブで高度制御を手動維持する必要がある。

このモードは自動操縦によるルート飛行の代替手段として最も多く用いられる。

自動操縦モードを解除してディレクタモードによる手動操縦を有効にするには、オートパイロットパネルの“ДИР УПР” (FLT DIR) プッシュライトを押す必要がある。自動操縦を解除すると姿勢保持機能は無効になるが姿勢安定機能は全チャンネルで維持される。
ピッチ-バンク統合ディレクタ及び高度ディレクタはHUDに表示される。

図6-1: ディレクタ操縦モード。図では高度と速度が要求よりも低い。

  • 1. 高度フライトディレクタは要求高度からの変化を示す。
  • 2. ピッチ-バンクフライトディレクタは、15度右のバンクとわずかな負のピッチが必要であることを示す。
  • 3. 目的IASからのずれ指標は、目的の速度からのずれ-6km/hを示す。
  • 4. 目的方位は、左に7度のずれを示す。
  • 5. Aircraft datum.
  • 6. 目的高度からのずれ指標は、-20m以上(指標は下限にある)のずれを示す。

速度はピッチ角を変えることで維持され、高度はエンジンパワーを変えることで変更される。
ディレクタ操縦で飛行する場合、サイクリックでピッチ・バンク角をaircraft datumに合わせる必要がある。コレクティブピッチは、高度ディレクタを最小にするように調整する。高度ディレクタが上に伸びていれば、コレクティブピッチを上げる必要がある;下に行ったならこれを下げる。
上の例では、パイロットは右に15度のバンク、小さい負のピッチをかけ、目的速度に到達し、目的高度が得られるようコレクティブピッチを上げる必要がある。
図6-2: ディレクタ操縦モード。目標値を正しく維持している。

新しい高度と速度を設定するには、トリムボタンを押したまま速度と高度を変える必要がある。トリムボタンを放すと、現在の高度と速度が目的値として設定される。

図6-3: ディレクタ操縦モード。図では高度と速度は要求より高い。

  • 1. 目的IASからのずれ指標は、目的の速度からのずれ+12km/hを示す。
  • 2. ピッチ-バンクフライトディレクタは、15度左のバンクとわずかな正のピッチが必要であることを示す。
  • 3. 高度フライトディレクタは、降下が必要であることを示す。
  • 4. 目的方位は、右に15度以上のずれを示す。
  • 5. Aircraft datum.
  • 6. 目的高度からのずれ指標は、+15m以上のずれを示す。

この例では、パイロットは左に15度のバンク、小さい正のピッチをかけ、目的速度にまで減速し、目的高度がまで降下するようコレクティブピッチを下げる必要がある。
図6-4: ディレクタ操縦モード。目的値を正しく維持している。

オートパイロットパネルの“ДИР УПР” (FLT DIR) プッシュライトをもう一度押すと、フライトディレクタモードは終了し自動操縦が有効になる。

 

飛行中にWPシーケンスを変更する
WPシーケンスを変更したい場合、以下の手順を用いる:

  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИЕ” (ROUTE - DESCENT) スイッチを中央にして、ルートモードを抜ける。
  • PVI-800航法制御パネルの“ППМ” (Waypoints) プッシュライトを切る。ライトとディスプレイのWP番号が消える。
  • “ППМ” (Waypoints) プッシュライトを押して点灯させる。
  • 航法制御パネルのキーパッドで、対応するボタンを押して新しい最初のWPを設定する。番号がディスプレイに表示される。
  • “ВВОД” (ENTER) プッシュライトを押して、最初のWPを航法コンピュータのメモリにセーブする。
  • この手順を以下の5個のWPについて繰り返す。
  • 終了したら、“ППМ” (Waypoints) モードを終える。新しいWPシーケンスが航法コンピュータのメモリにセーブされる。
  • 新しいルートを有効にするには、“ППМ” (Waypoints) プッシュライトをもう一度押して(最初のWPの番号と航法データが表示される)新しいWPへの方向が正しいか確かめる。
  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИ" (ROUTE - DESCENT) スイッチをROUTEに合わせて、ルートモードに入る。DH/DT サブモードのどちらを選んでいるかにより、“МАРШРУТ ЗК”又は“МАРШРУТ ЛЗП” (DH ROUTE or DT ROUTE) ライトが点灯し、ヘリコプターは新しいルートに従い、自動的に旋回を始める。
     

ルートモードを使って目標ポイントに進入する
PVI-800航法システムには、10個の目標ポイント(TP)を保存できる。各TPの座標はミッションエディタから航法コンピュータにロードされるか、飛行中に手動でロードされる。飛行中に任意のWPから選択したTPに、最短距離で向かうのにルートモードを使用できる。これはDH/DTサブモードのどちらでも行える。
HUDの“ОТ” (TP) シンボルに加えて、100km以内なら目標の方向と距離も表示される。
進入の手順は:

  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИЕ” (ROUTE - DESCENT) スイッチを中央にして、ルートモードを抜ける。“МАРШРУТ ЗК / МАРШРУТ ЛЗП” (ROUTE DH / ROUTE DT) ライトが消える。
  • 航法制御パネルの“ППМ” (WP) プッシュライトを押して、ライトとディスプレイのWP番号を消す。
  • “ОТ” (TP) プッシュライトを押して点灯させる。
  • 航法制御パネルのキーパッドで、TP番号のボタンを押してディスプレイに表示させる。現在位置からTPへの自動飛行の航法データが計算されてHSI、航法制御パネル、HUDに表示される。
  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИ" (ROUTE - DESCENT) スイッチをROUTEに合わせて、ルートモードに入る。ヘリコプターはTPに向かって自動的に旋回を始める。

TPに到達すると、“КОНЕЦ МАРШРУТА” (Last waypoint; End of route) ライトが点灯する。TPを通過して2km過ぎると、ルートモードは終了し、“КОНЕЦ МАРШРУТА” (Last waypoint; End of route) ライトが消え、ヘリコプターは現在の方位で安定する。

 

ルートモードを使って基地に帰還する
ルートモードを使って、DH/DTサブモードのどちらでも、あらかじめロードされた2つの飛行場のどちらかに向かって飛行することが出来る。航法データの表示はWPと同様。
飛行場進入の手順は:

  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИЕ” (ROUTE - DESCENT) スイッチを中央にして、ルートモードを抜ける。“МАРШРУТ ЗК / МАРШРУТ ЛЗП” (ROUTE DH / ROUTE DT) ライトが消える。
  • 航法制御パネルの“ППМ” (WP) プッシュライトを押して、ライトとディスプレイのWP番号を消す。
  • “АЭР” (Airfield) プッシュライトを押して点灯させる。
  • 航法制御パネルのキーパッドで、飛行場番号(1か2)のボタンを押してディスプレイに表示させる。現在位置から飛行場への自動ルート飛行の航法データが計算されて、HSIと航法制御パネルに表示される。
  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИ" (ROUTE - DESCENT) スイッチをROUTEに合わせて、ルートモードに入る。ヘリコプターは基地に向かって自動的に旋回を始める。

この方法で飛行場に到達すると (END of ROUTE) ライトが点灯し、飛行場を通過して2km過ぎると“КОНЕЦ МАРШРУТА” (Last waypoint; End of route) ライトと航法制御パネルの表示が消える。自動旋回は切れ、ヘリコプターは現在の方位で安定する。

 

タスクなしのルート
航法タスクが選択されていない場合、すなわち航法パネルでウェイポイント、目標、飛行場が選択されていない場合、ルートモードに入ることで現在のフライトパスを維持することが可能である。ピッチ、ロール、ヨー、高度といった現在のフライトパスパラメータが航法システムに保存される。
タスクなしでルートモードに入るには、航法パネルの全てのタスクボタン(ウェイポイント、目標、飛行場)を切る。
DH/DTスイッチの位置は関係ない。

  • ヘリコプターを希望の速度での水平飛行で安定させる。
  • コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИ" (ROUTE - DESCENT) スイッチをROUTEに合わせてルートモードに入ると、ヘリコプターは現在のフライトパラメータ及び方位を保持する。

フライトパラメータを変更するに必要なのは:

  • 1. サイクリックのトリムを押したままにする。
  • 2. 新しい方向、ピッチ、速度にする。
  • 3. トリムボタンを放す。

この飛行の間は、機体の位置をABRISのマップで監視し、HSIと磁気コンパスの方位情報を比較すること。
フライトプランによっては、ADFチャンネルを切り替えてNDB方位指示を使う必要がある。

ホバリング及び下降飛行モード

ホバー
速度をゼロ付近まで落としてから地上のある点の上で自動的にホバーを行うには、以下の手順でホバーモードに入る:

  • “МАРШРУТ-СНИЖЕНИЕ” (ROUTE - DESCENT) スイッチを中央にする。
  • サイクリックの“ВИСЕНИЕ” (HOVER) ボタンを押してオーバーヘッドパネルの“ВИСЕНИЕ” (HOVER) ライトを点灯させる。ヘリコプターはホバー地点上で安定する;電波高度保持モードに入る;オーバーヘッドパネルの“Нрв СТАБ” (RALT HOLD) ライトが点灯する。

最初のホバー地点からずれると、ヘリコプターは自動的に元の位置に戻る。
ホバーモードが有効の時、以下のフライトインジケータが表示される:

  • ADI - ピッチ・バンクフライトディレクタで、ホバー開始からの高度と横方向のずれが示される。
  • HSI - ホバー地点からの前後及び左右のずれが示される。
  • HUD - ホバー地点からのずれ、設定したホバー高度からのずれ、バンク・ピッチ・高度のフライトディレクタ、目的のホバー地点・目的高度に戻るための操作、対地速度ベクトルが表示される。

ホバーモードを出るには、サイクリックのHOVERボタンをもう一度押すとHOVERライトが消え、ADI、HSI、HUDのホバー表示が全て消える。

 

垂直降下
ホバーモードで高度を下げる必要がある場合、垂直降下モードを使うことが出来る。そのためには、コレクティブの“МАРШРУТ-СНИЖЕНИЕ” (ROUTE - DESCENT) スイッチをDESCENTの位置に押し続ける。こうすると“ВИСЕНИЕ” (HOVER) ライトと“Нрв СТАБ” (RALT HOLD) ライトが消えて“СНИЖЕН” (DESCENT) ライトが点灯する。
ヘリコプターは、ホバー地点上を保持しながら降下率2m/s以内で垂直に降下を始め、ホバー表示は続く。
希望の高度に達したら、DESCENTプッシュボタンを中央に戻し、降下を止める。“СНИЖЕН” (DESCENT) ライトは消え、“ВИСЕНИЕ” (HOVER) 及び“Нрв СТАБ” (RALT HOLD) ライトが点灯し、新しい高度でホバーモードに入る。
プッシュボタンをDESCENTの位置に押し続けた場合、ヘリコプターは高度4mまで降下し続ける;その後降下はキャンセルされる。

ヘリコプターの座標位置修正

慣性航法ユニット(INU)は、不正確なセンサー(ジャイロ、加速度計)や計算の限界により、次第に誤差を蓄積する傾向がある。座標計算の蓄積誤差は、飛行1時間あたり最大4kmである。
座標計算の誤差はフライトパスや目標位置の決定に影響を及ぼす。これらの誤差をなくすため、2つの方法のどちらかで修正する必要がある。
ミッションエディタでフライトパスを計画する時、INU参照ポイントを設定する必要がある(4つまで)。ルートの中で用意に発見できる、ビル、タワー、橋、交差点、川の合流地点など、地形の中で目立つ地点を使うことが推奨される。

通過法を用いた座標修正
参照ポイントから18km以内に入ると、EKRANが音声を発し、“ПРОВЕДИ КОРРЕКЦ КООРД” (Perform Coordinates Correction)と表示される。
修正を実行するには:

  • 1. PVI-800で“ОР” (Fix point) プッシュライトを押し、点灯させる。
  • 2. PVI-800キーパッドで、その参照ポイントの番号を押す;この番号は右の小さいウィンドウに表示される。
  • 3. PVI-800の“И-251В - ПРОЛ” (I-251V Shkval - Fly over) スイッチを“ПРОЛ” (Fly over) に合わせる。
  • 4. 参照ポイントを目視で見つけ、それに向かって飛んで、正確に真上に来た所でサイクリックの“ЦУ” (Uncage Shkval - designate target) ボタンを押す。これで航法システムにおける現在の座標が参照ポイントの座標にセットされる。

修正が完了すると、“ОР”プッシュライトと番号は消える。

Shkvalを用いた座標修正
参照ポイントが飛行ルートの上にない場合、I-251V Shkvalを使って修正することが推奨される。
修正を実行するには:

  • 1. PVI-800で“ОР” (Fix point) プッシュライトを押し、点灯させる。
  • 2. PVI-800キーパッドで、その参照ポイントの番号を押す;この番号は右の小さいウィンドウに表示される。
  • 3. PVI-800の“И-251В - ПРОЛ” (I-251V Shkval - Fly over) スイッチを“И-251В” (I-251V Shkval) に合わせる。
  • 4. 参照ポイントを目視で見つける。
  • 5. ターゲティングモード制御パネルで、“ИЗЛ - ОТКЛ” (Laser standby - Off) スイッチを“ИЗЛ” (Laser standby) に合わせる。
  • 6. サイクリックの“ЦУ” (Uncage Shkval - designate target) ボタンを押す (this will uncage the Shkval sensor) 。
  • 7. カーソルを参照ポイントに動かす。
  • 8. 目標追跡ゲートのサイズを、参照ポイントの目標をカバーするよう調整し、コレクティブの“АВТ ЗАХВ” (Auto-lock) ボタンを押す。
  • 9. Shkvalが“ТА” (Autotracking) と表示したら、サイクリックの“ЦУ” (Uncage Shkval - designate target) をもう一度押す。これで座標オフセットを決める計算が実行され、ヘリコプターの現在位置として航法システムに保存される。

計算の間、HUDは“КОРР” (Correction) のメッセージを表示する。
修正が完了したら、ターゲティングモード制御パネルの“СБРОС” (Reset) ボタンを押してHUDの“КОРР” (Correction) メッセージを消し、“ОР” (Fix point) とPVI-800航法パネルの参照ポイント番号を切り、Shkvalを固定する。

(本シミュレーションでの)ヘリコプター操縦に際して操作入力機器の問題点

実際のKa-50の操縦と比べて、このシミュレーションでの主な違いは、トリムボタンを使うたびにサイクリックを中央に戻す必要があることである。実機では、サイクリックはトリムした位置にとどまる;これはこのシミュレーション中では、フォースフィードバック機能つきのジョイスティックを使ってないと不可能である。

ヘリコプターの方向を操作するために、何らかのラダー入力装置を使うことが強く推奨される。3つの方法がある:

  • ラダーペダル
  • ジョイスティックのひねりをラダー操作に割り当て
  • スロットルのミニスティックのX軸をラダー操作に割り当て

ヘリコプターのコレクティブ操作は、飛行機のそれとは逆になる。飛行機ではスロットルを押すと加速し、高度が得られる。しかしヘリコプターでは、スティックを引くと出力/揚力が増大する。ヘリコプター操縦のリアルさを増すために、ジョイスティックの設定でスロットル軸の方向を反転することが推奨される。

 

操縦装置位置表示
操縦装置の位置と反応を確認する助けとするために、サイクリック、コレクティブ、スロットル、ラダーについて、操縦装置の位置を表示できる。表示を切り替えるには[RCTRL + ENTER]を押す。

図6-5: 操縦装置位置表示

  • 1. コレクティブ軸
  • 2. コレクティブの現在位置
  • 3. スロットル軸、FULLでの位置
  • 4. スロットル軸、AUTOでの位置
  • 5. スロットルの現在位置
  • 6. スロットル軸、Engine limit governor failure (MEDIUM) modeでの位置
  • 7. スロットル軸、IDLEでの位置
  • 8. パーキングブレーキ
  • 9. ホイールブレーキ目盛
  • 10. サイクリックのピッチ軸
  • 11. サイクリックの現在位置
  • 12. サイクリックのバンク軸
  • 13. ラダー軸
  • 14. ラダーの現在位置