【ドラゴンクエスト あるくんです リターンズ】

Last-modified: 2020-11-15 (日) 07:42:26

概要

2011年12月23日に発売された、携帯型電子ペットゲーム。
【あるくんです】【あるくんです2】と続いた「あるくんですシリーズ」の三作目。
ドラゴンクエスト25周年記念グッズの一つとして発売されたもので、前作から約12年半振りに堂々の復活を果たした。
発売に先駆け、「東京おもちゃショー2010」にて発表された。
 
「あるくんですシリーズ」は今作を最後に新作は発表されていないが、リターンズ発売から約8年後の2019年9月12日に、「歩いて楽しむドラクエ」の最新作として『ドラゴンクエストウォーク』が配信開始となった。

システム

基本的なシステムは前作の「あるくんです2」と同様のものが用いられているが、いくつか追加機能が実装されている。
また、それに伴い本体の形状もスライム型な点は変わらぬまま厚みを増すなど若干変化しており、使用するボタン電池の種類も変わっている。
その他の変更点としては、本体を身に着ける際にベルトなどに引っ掛ける部分の形状が「フック型」から「クリップ型」に変更されており、着脱し易くなっている。
前作まではスライムのツノの先端に開けられていた落下防止用のストラップを通すための穴も、今作ではこのクリップの部分に空けられている。
さらに、歩数をカウントする部分の内部構造も変化しており、そのせいかは不明だが手に持って素早く振った場合は「一定の速度・ペースで振り続けている限り、最初の1カウント以降は一切歩数が加算されない」ようになっている。

データバックアップ機能

ゲームデータが常に本体内に記録されるようになった。
本体にあるリセットスイッチを押して再開した際に「つづき」か「リセット」を選べるようになっており、前者を選ぶことでリセット直前の状態から再開することができる。
前作まではプレイ中に電池切れを起こした場合や、バグや強い衝撃などによって操作不能になった場合には諦めて最初からやり直すしかなかったが、このデータバックアップ機能によってそれが改善されることとなった。
これまでは長くプレイする場合はスライムの寿命だけでなく電池の寿命という問題がついて回り、少しでも電池を長持ちさせるために「音を消す」などといった対策を取ることが公式からも提言されていたが、その問題がついに解決したと言える。
 
操作時や音が出る時に画面がちらついたりするのは、電池切れが近いサイン。
プレイ中に電池を新調する場合は、普通に本体裏のフタを開けて古い電池と新しい電池を入れ替えてしまって問題ない(というより、そうするしかない)。
当然電池を抜いた瞬間に画面は消えるためちょっと怖いかもしれないが、データバックアップ機能により電池を抜く直前のデータがしっかり記録されているため、再開時に「つづき」を選ぶことさえ間違えなければプレイ継続に支障はない。

アラートブザー機能

いわゆる「防犯ブザー」の機能。
本体下部にあるブザーピンから短い紐が伸びており、これを引っ張るとアラートブザーが鳴り始める。
アラートブザーを止めたい場合は、ブザーピン元の位置まで押し戻せば解除となる。
アラートブザーが鳴っている間はゲーム画面が非表示になり一切操作できなくなるが、ブザーを停止させれば再開できる。もちろんデータもそのまま。
 
万歩計の機能を持ち「歩いてスライムを育てる」というコンセプトの元に作られているこのゲームは、基本的には「外で遊ぶ」ことを想定したゲームであるため、プレイヤーの安全性を考慮してこのような機能が付けられたものと思われる。
アラートブザーの音量は約80dB。市販されている防犯ブザーと比較すると音量はやや小さめ。
なお、使用状況や電池寿命によっては防犯に必要な音量が出ない場合があるという理由から、パッケージや取扱説明書には「防犯を主な目的として使用しないでください。」と明記されている。
 
なお、このゲームはボタン電池を二つ使用するのだが、用途が「ゲーム用」と「アラート用」で別となっている。
ゲームを長くプレイして電池を消費してしまい、いざという時にアラートブザーが機能しない…といったことを避けるためにこのような構造になっていると思われる。
そのため、実は「アラート用」の電池は入れなくても(抜いてしまっても)普通にゲームをプレイすることが可能となっている。

ゲーム内容

「ドラゴンクエスト誕生25周年記念ポータルサイト」内の商品紹介ページでは、
『ゲーム内容は1999年発売の「ドラゴンクエスト あるくんです2」に準じております』と記載されているが、
実際のゲーム内容は変身できるスライムを中心に「あるくんです2」から変更されている部分が複数存在する。
一番肝心な変身できるスライムが大幅に変更されているため、「あるくんです2」と「あるくんですリターンズ」はほぼ別のゲームとなっている。

主な変更点は以下の通り。

変身できるスライム

今作では「2」で新登場したスライムの多くが続投できなかった代わりに、「1」で登場したスライムの多くが再登場している。
全体的にナンバリングタイトルなどでお馴染のスライムが多くなっており、逆にあまり知名度が高くない「あるくんですシリーズ」オリジナルのスライムはほとんど登場しない。
あるくんです初出組でリターンズに登場しているのは、リターンズ発売までにモンスターズシリーズで地位と知名度を得た【エンゼルスライム】に、お馴染のスライム達が王冠や兜を身に付けた姿の【はぐれキング】【バトルマスタースライム】、本体そのものがスライムになる【あるくんですスライム】と、比較的見た目の珍しさがあまりない面々ばかりである。
 
この作品は前述の通り『ドラゴンクエスト25周年記念プロジェクト』の一環として復刻されたものであるため、
どちらかと言うと「あるくんですシリーズ」のファンというより「ドラゴンクエストシリーズ」全体のファン向けに、開発の途中でナンバリングタイトルでもよく見かけるスライムを中心とした変身ラインナップに変更されたのかもしれない。

地形

全体マップは「あるくんです2」と同じドラゴンの形をした島が舞台となっているが、各地形の名称などが変更されている。
これは各地形で変身できるスライムが変わっているケースがあるため、それに合わせて地形の呼び名やメイブツも変更する必要があったためである。

移動

スライムと地形の組み合わせによって各地系での移動速度が5段階に分かれているのは前作と同じだが、
このうち「2番目に早く移動できる地形」を1マス移動するのに必要な歩数が「700歩」から「600歩」に変更されている。

作品名苦手やや苦手普通やや得意得意
あるくんです22000歩1500歩1000歩700歩500歩
あるくんですR2000歩1500歩1000歩600歩500歩

※前作までの公式ガイドブックでは移動速度は「★」の数で示しており、苦手が★1つ、得意が★5つとされている。

戦闘

歩いていなくても(何も操作せずに放置していても)、敵に遭遇して戦闘が始まるようになった。
一人で戦闘に勝利してアイテムを入手している場合もあり、いつの間にかアイテムストックがいっぱいになっていた、などといったことも起こり得るため、アイテムの管理には注意が必要。
逆にいつの間にか敗北して怪我をしてしまっているケースもある。
 
また、「あるくんです2」では応援(敵に遭遇した際に何らかのボタンを押す)をすれば必ずスライム側が勝つ仕様だったが、今作では応援しても負けることがある。
そのためスライムやバブルスライムなどの戦闘が苦手なスライムは、なかなか思うように勝つことができなくなっている。
この仕様変更に伴い、戦闘での勝利数を増やすことがやや難しくなり、敗北数を0のまま維持することが困難になった。
 
その他の細かな変更点では、戦闘時に応援をして【会心の一撃】が発生した際、前作では3回の攻撃のうち「最初の一撃」のみが会心の一撃になっていたが、今作では「3回の攻撃全て」が会心の一撃になるようになった。
会心の一撃が出ればその戦闘では必ず勝利することができ、確実にアイテムをゲットすることができるという点は変わっていない。

困ったこと

戦闘等同様に歩いていなくても困ったことが発生するようになった。
気付かずにいてもそのうち解決するが、その場合は高確率で怪我をしているので注意が必要。
 
また、困ったことの発生に関しては、バグとも思える奇妙な挙動が確認されている。
「困ったことが1000歩ごとに発生するようになる」といったもので、発生・解決ともに条件は不明。
これは前回歩いていて困ったことが発生してから、ちょうど1000歩目で次の困ったことが発生する……といったことが延々と繰り返される現象。
この状態に陥ってしまうと1000歩ごとにSOSコマンドで解決しなければ順調に歩数を稼ぐことができなくなってしまうため、歩数を稼ぎたい場合は非常に厄介である。
どのスライムでも起こりうる現象なのだが、そもそも困ったことが発生しないスライム(あるくんですスライムなど)であればこの現象には引っ掛からないため、ストレスなく歩きたいならそういったスライムで歩くのが一番と思われる。

変身条件

過去作から復活・続投しているスライムの中には、変身条件が変更されている者が多く存在する。
前作までにあった「特定の地形のなじみ度を、順不同で連続して満タンにする」タイプの変身はなくなっており、
元々そういった変身条件が与えられていたスライム(キングスライムなど)は、変身条件が別のものに変更されている。
これも含め変身条件は全体的に簡略化されており、特別な手順や知識が無くてもほぼ全てのスライムに変身できる仕様となっている。

変化の書

前作では【ミニスライム】は変身リストには表示されるものの「変化の書」で変身し直すことはできなかったが、それができるようになった。
また、前作では戦闘後に変化の書を入手できる確率が全アイテムの中で最も高かったのだが、今作では入手率が低下し最も手に入り難くなっている。
ただ、変身できるスライムと変身条件の変更に伴い、あまり移動経路などに拘る必要が無くなったため、利用価値も下がっている。

旅立ち

前作と同様、最初はミニスライムからスタート。誕生からミニスライムになるまでの間に一瞬だけ【ベビースライム】になるのも同じ。
ただし、前作とは異なり今作では時間経過で自動的に【スライム】に変身することはない。

世界

前作と同様に、ドラゴンとドラゴンが吐いた炎の形をした大陸・島々が舞台。
マップの構造は前作と同じだが、地形の種類やそこで食べられるメイブツ、その地形で変身できるスライムが変更されている(地形のグラフィックは据え置き)。
ただし、基本的には名称や容姿が変わっているだけで、システム的には一部例外こそあれほぼ変わっていない。
例えば、前作で「ジャングル」だった場所は「もり」に、そこで変身できるスライムは【スライムツリー】から【ぶちスライム】に変更されているが、両者の得意な地形・苦手な地形は全く同じで、海に入れないという特徴も共通している。

平地

ドラゴンの腹部、前脚、下顎部分に広がる地形。
メイブツは「野菜」で、変身できるスライムは【スライム】【キングスライム】
出現する敵は【ドラキー】
 
今作では平地のなじみ度を満タンにするとスライムに変身するが、そこで一旦なじみ度のゲージがリセットされる。
そしてもう一度なじみ度を満タンにすると、今度はキングスライムになることができる。
今作で新たに登場した変身条件、「同じ地形のなじみ度を2回満タンにする」という条件が採用されている地形の一つが、この平地となっている。

草原

ドラゴンの角から上顎、首、背中や翼の縁、尻尾の付け根部分などに分布する地形。
メイブツは「草」で、変身できるスライムは【ホイミスライム】
出現する敵は【ぐんたいアリ】
 
初代からほとんど仕様を変えることなく登場し続けている、ホイミスライムになれる場所である。
初期位置の平地のすぐ左隣も1マスだけ草原になっており(つまり平地の中にある1マスの草原の右隣が初期位置)、「今居る場所」の座標確認の一助になる。

沼地

ドラゴンの目、背中、翼の被膜部分、炎の一部に存在する地形。
メイブツは「エビ」で、変身できるスライムは【バブルスライム】
出現する敵は【ぐんたいガニ】
 
前作では【おたまスライム】に変身できる「湖」だった場所が、バブルスライムになるための「沼地」に差し替えられている。
ただし、先述の通り画面の左右に表示される地形グラフィックは「2」に登場した「湖」のものがそのまま用いられており、「1」に登場した「沼」のものには変更されていない。
ちなみに、ハッキリと湧き立つ泡が描写されている「沼」の地形グラフィックは、静かな湖面を表している「湖」の地形グラフィックとは明らかに違うもので、画面上での見た目は湖なのに地形表示は「ぬまち」となっている様子は大分違和感のあるモノとなってしまっている。
 
また、メイブツの「エビ」も「2」に登場した「湖」のメイブツだったものである(「1」での「沼」のメイブツは「貝(二枚貝)」)。
森や岩山と異なりメイブツが「1」のものに戻されていないのは、今作(と前作)の海のメイブツが「貝(巻貝)」であるため、貝類が被るのを避ける意図があったのかもしれない。
また、この地形は「1」では「ぬま」と表記されており、同じ沼でも名称が若干変化している。

ドラゴンの瞼、後脚、尻尾部分に広がる地形。
メイブツは「きのこ」で、変身できるスライムは【ぶちスライム】
出現する敵は【おばけキノコ】
 
前作では【スライムツリー】に変身できる「ジャングル」だった場所が、ぶちスライムになるための「森」に差し替えられている。
グラフィックは前作の「ジャングル」のものがそのまま使われているが、元々「森」と「ジャングル」の地形グラフィックはほぼ同じなので、見た目に違和感を覚えることはほぼないと思われる。
メイブツに関しては「2」のものが続投している沼地とは異なり、こちらはちゃんとぶちスライムになるための森のメイブツ、「きのこ」に変更されている。

岩山

ドラゴンの牙と、炎の大部分を構成する地形。
メイブツは「岩」で、変身できるスライムは【メタルスライム】【メタルキング】
出現する敵は【ギズモ】
 
前作では【とびスライム】に変身できる「高い山」だった場所が、メタルスライムになるための「岩山」に差し替えられている。
「平地」と同様になじみ度のゲージを2回満タンにすることができる地形で、こちらでは2回満タンにするとメタルキングになることができる。
 
また、他の地形と同様に地形グラフィックは「2」の「高い山」のものとなっている。
「1」の「山」と「2」の「高い山」の地形グラフィックは大分異なっているのだが、どちらも「山」であることに変わりはないため、「沼地」ほどの異和感はないだろう。
なお、この地形は「1」では「やま」と表記されており、同じ山でも名称が若干変化している。
メイブツに関しては前作の「高い山」で食べられた「キメラのはね」が完全にとびスライム用だったため、メタルスライムに変身する今作では「1」と同様「岩」に戻されている。
 
ちなみに、「沼地」や「森」は前作から変身できるスライムの種類は変われど各スライムの特徴までは変わっていないのだが、「岩山」に関してはとびスライムとメタルスライムで得意な地形などの性質が大分異なっている。
基本的にメタルスライムの方が歩くのが遅く、特に海の移動速度はとびスライムが1マスにつき1000歩なのに対してメタルスライムは2000歩と2倍の時間が掛る。
そのため、南西の島で変身した後にその姿のまま海に出る場合、今作の方が若干手間が掛る仕様になっている。

陸地を囲むように広がる地形。
メイブツは「貝」で、変身できるスライムは【マリンスライム】
出現する敵は【おばけうみうし】
 
草原と同じく、初代からほとんど変わらぬ仕様で続投している地形。メイブツも変身できるスライムも出現する敵も、全て前作の「2」から据え置きである。
初代と「2」で異なる点と言えば、初代ではメイブツが「さかな」で、出現する敵が「クラーゴン」だったことくらいである。
森や岩山と同じように海のメイブツを初代の「さかな」に戻せば、沼地のメイブツを初代と同じ「貝(二枚貝)」にしても海とは被らなかった筈なのだが、一応「2」では海でマリンスライムに変身する理由が「メイブツの巻貝を背負ったから」というものになっていたため、この辺りの分りやすい設定を引き継ぐことを優先したのかもしれない。

浅瀬(入江)

「うみ」に該当する地形のうち、「海が超苦手なスライム(ミニスライム・スライム・ホイミスライム・ぶちスライム)」でも入ることができる場所。
ドラゴンの身体で示すところの口の中・角の先端部(洞窟の入り口の周り)・前脚と胴体の間・後脚から尻尾の先端にかけて(洞窟の入り口の周り)・炎の島の南側の1マス(溶岩の入口の2マス隣)に存在する。
 
なお、前作では取扱説明書内で海の中にも「海が超苦手なスライム」でも入ることができる場所があることが明記されていたのだが、今作では(おそらく記述スペースの都合で)その記述がなくなっている。
前作では【公式ガイドブック】にて具体的な場所も明かされていたが、今作では公式ガイドブックも発売されなかったため、前作の情報なしには今作にそういった地形(浅瀬)が存在すること自体が知り得ない状態となってしまっている。

洞窟

大陸の地下に広がる秘密のマップ1。“秘境”と呼ばれている。
メイブツは「宝石」で、変身できるスライムは【はぐれメタル】
出現する敵は【ベビーサタン】
 
今作でも登場する洞窟は大小二つ。
小さい方の洞窟はドラゴンの胴体の大陸の東端付近と尻尾の大陸の北部に入口が存在し、二つの大陸を海底トンネルのような短い洞窟が繋いでいる。
大きい方の洞窟はドラゴンの角の先と後脚~尻尾の間に入口があり、胴体の間下辺りに広大な地下洞窟を形成している。
また、今作でも大きい方の洞窟から溶岩へと繋がる抜け道は健在。ただ、今作には【ソードスライム】が登場しないため、前作以上に利用価値は低くなっている。
 
前作では取扱説明書のマップや大陸のイラスト上で小さい方の洞窟のみ予め入口が公開されており、そちらに入ることで大きい方の洞窟の存在と入口を知ることができたが、今作では取扱説明書のマップで4つの入口全てが予め公開されており、内部構造のみが非公開となっている。
ちなみに取扱説明書のマップでは「洞窟」(の入口)として色分けされたマスが「5つ」存在するのだが、このうち1つは隠し地形のはずの溶岩の入口である。
 
この地形は前作の「2」ではメイブツの「王冠」を食べることではぐれキングに変身することができる場所だったのだが、今作ではメイブツが「宝石」で変身できるのがはぐれメタルと、「1」の仕様に戻っている。
その一方で、出現する敵は「2」のベビーサタンを引き継いでおり(「1」で出現した敵は【あやしいかげ】)、「1」と「2」の特徴が混在している。

溶岩

大陸の地下に広がる秘密のマップ2。“第二の秘境”と呼ばれている。
メイブツは「王冠」で、変身できるスライムは【はぐれキング】
出現する敵は【ドラゴン】
 
入口はドラゴンが吐いた炎を象った南西の島の南側で、マップの西側の地下に南北に渡って広がっている。
洞窟と異なり出入り口は一つだけだが、地上マップと同様に南北でループしている部分があり、東の方に洞窟へ通じる抜け道が存在する。
南北に広がる溶岩内の北の方から東へと延びる細い通路の先が、南北のループを介して大きい方の洞窟へと通じている。
 
前作では隠し地形扱いだった関係で公式ガイドブックでも入口の大まかな場所が明かされるだけで具体的な場所は最後まで伏せられたままだったが、今作では取扱説明書のマップに入口の場所が示されている。
といっても「溶岩の入口はここです」と明記されているわけではなく、「洞窟」の項で述べたとおり洞窟の入口として示されている5つのマスの一つが実際には溶岩の入口となっている。
 
この地形は前作の「2」ではメイブツの「溶岩」を食べることで【ファイアーメタル】に変身することができる場所だったのだが、今作ではメイブツが「王冠」で変身できるのがはぐれキングになっている。
これはひとえにはぐれメタルが復帰して再び洞窟に収まったことに伴い「2」で洞窟担当だったはぐれキングが溶岩へと異動となったことによるもので、メイブツは完全にそれに引っ張られる形で変更されている。
そのため最早メイブツも変身できるスライムも溶岩とは何の関係もない状態になってしまっており、溶岩らしさは出現する敵(ドラゴン)に辛うじて残る程度となっている。
もっとも、それを言うなら前作の洞窟内に王冠がゴロゴロ転がっていたのも大人の事情(はぐれキングに簡単に変身できるようにする)によるものだったわけなのだが。

特殊なスライム

今作でもある一定条件を満たすと、どれか一つの地形のなじみ度を満たして変身できるスライム以外にも変身することができる。

同じ地形のなじみ度を2回満タンにする

通常は各地形のなじみ度を満タンにするとゲージの横に「F」(FULL)マークが表示され、それ以上はなじみ度が貯まらなくなるが、
「平地」と「山」のみ満タンにした時点で一度ゲージが0の状態にリセットされ、再度満タンにすることで別のスライムに変身することができる。
該当するのは「平地」のキングスライムと「山」のメタルキング。
なお、キングスライム・メタルキングに変身する場合には続けざまに2回連続してなじみ度を満タンにする必要はなく、間に別の地形のなじみ度を上げても問題ない。

全ての地形のなじみ度を満タンにする

8つの地形のなじみ度を全て満タンにすると、人型の新キャラクターに変身することができる。
同様の条件を満たすことで「1」では【けんじゃ】に、「2」では【あそびにん】になれたが、今作で変身できるのはそのどちらでもない新キャラクター。
ちなみに移動中に変身して共に歩けるスライムの中では、このキャラクターが今作唯一の完全新規グラフィックとなっている。
 
見た目はサークレットとローブを身に着けて杖を持っているような感じなので、あまり評判の良くなかった「1」の賢者を作り直したものなのかもしれない。

「BATTLE(戦闘)」の勝利数が一定の数値になる

戦闘での勝利回数が「50」になると【スライムナイト】に、「99」になると【バトルマスタースライム】に変身することができる。
 
変身条件と変身できるスライムは前作から変わっていないが、戦闘の仕様変更に伴い若干変身しにくくなっている。

「しあわせ度」が一定の数値になる

しあわせ度が「50」になると【エンゼルスライム】に、「99」になると【あるくんですスライム】に変身することができる。
 
エンゼルスライムは「1」では複数の地形のなじみ度を連続して満たすことで変身でき、「2」では3代目で寿命を迎えることで最期に見ることができたが、今作ではしあわせ度を上げることで変身することができるようになっている。
前作ではしあわせ度は「99」に到達するまで何も変化が無かったが、今作では中間地点でエンゼルスライムになれるので、これが一つの目標となるだろう。
 
あるくんですスライムに関しては、このスライム自身の変身条件そのものには前作からの変更点はないが、今作にはソードスライムが登場しないため通常の方法(2300歩歩く・しあわせのオーブを使う)でしあわせ度を「99」まで上げることができるようになった。
そのため、間接的に変身条件が緩和されたと言える。
 
また、前作では中々出なかった「しあわせのオーブ」の入手頻度が上がっているため、前作よりもだいぶしあわせ度を上げやすくなっている。

「そうほすう」が一定の数値になる

スライムの総歩数が「50万」になると【りゅうおう】に、「99万9999」に到達する(カンストさせる)と、「りゅうおう(変身後)」に変身することができる。
 
りゅうおうの変身条件は前作から変わらず。条件は分りやすいが至るまでの道のりは長く、更なる変身を目指すならここが折り返しとなる。
 
りゅうおう(変身後)に関しては、「2」では公式ガイドブックの解説にて「竜王からしか変身できない」との記述が見られたが、
今作では変身前にりゅうおうの姿である必要はなく、総歩数をカンストさえさせれば変身後の姿に変身させることができる。

りゅうおう・りゅうおう(変身後)への変身を目指す

りゅうおう・りゅうおう(変身後)共に変身するのに必要となる歩数が膨大なため、変身させるには非常に時間が掛る。
スライムの寿命(長くても十数日程度)を考慮すると、1代では50万歩到達ですら厳しい可能性もある。
一応、リターンズでは分裂時に総歩数と共に「変身リスト」が引き継がれるため、必ずしも1代で目標歩数まで到達させなければならないというわけではない。
分裂を2回成功させることを前提に、3代目でのカンストを狙うなら、1代での目標歩数は33万歩ほどになる。
とはいえ、分裂は失敗してしまう可能性もある上、仮に2回の分裂に成功できたとしても、寿命の決定条件の詳細も判っていないため3代で累計何日付き合えるかの予測も難しい。
生活リズムを完全にスライムに合わせ、毎日一日中歩数を稼ぎ続けることができれば、それこそ1代でのカンストも不可能ではないと思われるが、実際問題それは現実的ではないだろう。
そのため、正攻法で変身条件を満たすのはやはり困難であると思われる。
 
……「正攻法で」書いたのは、少々卑怯だが抜け道があるためである。
りゅうおう・りゅうおう(変身後)への変身を目指す上で最大の壁となるのは、言うまでもなくスライムの寿命の問題である。
プレイヤーがどれだけ歩数を稼ごうとも、総歩数が目標数に到達する前にスライムが寿命を迎えてしまってはそこで全てが水の泡となってしまう。
そこで邪法とも言えるが利用できるのが、「スライムに歳を取らせない」方法である。
スライムが歳を取るのは、毎日PM11:59からAM0:00に切り替わる瞬間となっている(その日ごとの「ほすう」もこのタイミングでリセットされる)。
つまり、時刻設定でこの瞬間さえスルーさせればスライムは歳を取ることはなく、寿命を迎えることもなくなるのである。
具体的には、「午後11時」なったところで時刻を「午前1時」に設定し直したりすれば、スライムに歳を取らせることなく「翌日」を迎えることができる。
これを繰り返せばスライムの寿命の問題は解消されるため、あとはひたすら歩数を稼ぐのみとなる。
この方法なら、リアルの時間は掛っても地道に歩数を稼ぎ続けることでいずれはりゅうおうやりゅうおう(変身後)に変身することができるだろう。
もっとも、スライムの寿命という最大の難関をこの方法で取り払ったとしても、変身に必要な歩数は実際に稼がないことにはどうしようもないので、これらへの変身が相応の時間を要する困難なものであることに変わりはないのだが。

一定時間、操作せずに放置する

一定時間(おそよ24時間程度)全く操作せずにスライムを放置し、死亡のサインである十字架が出現したところで何かしらのボタンを押すと、そのまま死亡せずにレベルアップ音と共にゴーストへと変身することができる。
前作でばくだんいわに変身する際には一定のしあわせ度が必要だったが、今作ではしあわせ度0でもゴーストになることは可能。
なお、十字架マークが出現した時点で一旦成長は止まり歳を取らなくなるが、ゴーストになった場合そこからまた改めて歳を取るようになる。

幻のエンディングキャラ

2回の分裂を経て、3回目の寿命を迎えると見ることができるスライム。
見た目は頭の上に天使の輪っかを乗せて安らかな顔をしたスライムで、このスライムが天に昇っていく。
エンゼルスライムとはまた違ったグラフィックで、前作でエンディング担当だったエンゼルスライムが通常変身できるようになった関係で変更・追加されたものと思われる。
リターンズで変身できるスライムは、この「幻のエンディングキャラ」を含めて20種となっている。
長くスライムと付き合った果てに、最後に見られるエンディングでしか出会うことができない希少な存在である。
 
本作と同様にドラゴンクエスト25周年記念に発売された【モンスター大図鑑】にはリターンズに登場するスライムの情報も掲載されているが、この「幻のエンディングキャラ」については一切触れられていない。
そういった意味でも幻の存在と言えるかもしれない。