【マクロベータ】

Last-modified: 2024-02-26 (月) 00:33:12

概要

民族的な仮面と腰みのと杖を装備した、青系統の配色の呪術師のモンスター。
色違いに【シャーマン】【ゾンビマスター】がおり、系統最上位種。
 
そして現在では半端な能力と登場作品の少なさのおかげでマイナーモンスターの代名詞になっている。
そのあまりに中途半端な存在感から、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のFF・ドラクエ板には、【マ ク ロ ベ ー タ】というスレが立てられる始末。
「影薄い」の極みゆえ、一部で逆に不動の地位が築かれた珍しい例である。
 
正確な元ネタは不明だが、ブラジルの黒人奴隷に由来する民間呪術を「マクンバ」、その術者を「マクンベイロ」(女性形マクンベイラ)と呼ぶのだが、それが元ネタとの説がある模様。
下記没デザインとも一致する。
ただしカタカナの制限にかからないのに変えているのが謎だが、黒人差別などを意識したのだろうか?
ちなみにNES版では「Voodoo Warlock」、直訳すれば「ブードゥー教の魔法使い」となっている。ブードゥー教もマクンバも、起源を辿ればアフリカ西海岸土着の宗教でほぼ同じものである。
なおブードゥー教の儀式で蘇生した死者が「ゾンビ」。マクンバにも類似の降霊術がある。
 
一応、最近は星のドラゴンクエストやDQMSL等のソシャゲ作品で地味に出番が増えてきており、少しはコイツの知名度も上がってきている……かもしれない。

DQ3

アレフガルドの【メルキド】周辺西部、【ルビスの塔】低層部、【ゾーマの城】周辺南部や内部に登場する。最大2匹までの出現。
通常攻撃に加えて、【メラミ】【スクルト】【ベホマ】【ふしぎなおどり】【ほのお】(リメイク版では【ひのいき】)、【くさったしたい】を呼ぶ、逃げると計8つ。
DQ2の【うみうし】を上回る品揃え豊富な技のデパート。
行動パターンの豊富さはDQ3の敵の中でも随一だが、その持ち技の一つ一つはどれも絶妙にしょっぱい。

  • 攻撃力が【マドハンド】以下
    集団戦法前提のマドハンド、開幕【イオナズン】を放ってくるものの魔法使いゆえに細腕の【アークマージ】をも下回る非力さ。
    同時期に出現するモンスターで直接攻撃を主体とする連中は総じてこいつの1.5倍は超える攻撃力を誇っている。というかこいつが低すぎるだけなのでそこまで誇ることでもない。
  • 吐く炎のダメージは6~9
    ゾーマの城は言うに及ばず、ルビスの塔も物語最終盤といえる時期でありながら、この体たらくはあまりに貧相の極み。
    同ダメージ帯の炎ブレスを吐くモンスターのうち、最初に遭遇するのが序盤の【イシス】周辺に生息する【かえんムカデ】であることからわかる通り、この時点では無耐性でもかすり傷にすらならない。
  • 攻撃呪文はメラミ
    出現地域の他のモンスターが【メラゾーマ】やイオナズンを容赦なく連射してくる時期にこれ。
    しかし悲しいかな、これがマクロベータ最強の攻撃手段なのである。
    しかもメラミと言えば【ミニデーモン】だが、ミニデーモンより攻撃力が低く、ブレス系の特技も威力が下という体たらく。
  • 呼ぶ仲間がくさったしたい
    よりにもよって同地域に、それも系統最上位種で相方にはおあつらえ向きの【グール】が出てくるというのに、なぜ最下位種を呼び出すのか……
    くさったしたいでは戦力外もいいところで、弾除けにしかならないだろう。
  • 落とすアイテムが【どくがのこな】
    役立たないわけではないが、何とも中途半端な感が拭えない。そもそもマクロベータと出会う時点では(見落としていなければ)【ゆうわくのけん】を入手しているはず。
  • べホマを無限に唱えられる
    下位種はどちらもべホイミ止まりな上、MPが有限だったのに対し、こいつは全回復がいくらでもできる。
    これだけが唯一称賛に価するところか…?

このように、行動が多彩な割に厄介なもの、対策を要するような危険度の高いものを何一つ持たず、回復や【マホトラ】連発が鬱陶しい下位種のようなインパクトも皆無。技のデパート(豪華で豊富な品揃え)というよりは、スーパーマーケット(安価で豊富な品揃え)と表現する方が適切だろう。
さらに、下位種がイメージを想起しやすく「わかりやすい」名前であるのに比べると、こいつは名前からその容姿を連想しにくい。
こういった要素から、プレイヤーに相対しても特に印象に残らないまま撃破され、後で名前だけ聞いても姿や出現場所を思い出せない、という極めて影の薄いモンスターとなってしまっている。
ただし、同時に出現する他のモンスターをスクルトやベホマで援護されたり、ラスボス戦前にゾーマ城周辺や内部で不思議な踊りを使われたりするとちょっと面倒。
さすがに終盤のモンスターだけあって攻撃呪文耐性は高めなので早急に始末できないのも難点。前述の通りドロップアイテムもショボいので先に倒しておこう。
 
いくら影薄いヤツの代名詞とはいえ、本種が本当に影薄いかどうかはプレイスタイル次第。何度も何度もラスボスに挑戦して戦い方を研究するようなやり込み派であれば、ラスダンに出てくる敵はもっとも印象に残りやすいので、影が薄くとも名前と姿を忘れることはまずないだろう。
にもかかわらずマイナーモンスターとしての認識が共有されているということは、エンディングを見たらほぼ終わりというプレイスタイルが一般的だったことが窺える。
むろん本当に印象に残らない敵は話題にすら上がらないこともあるので、ちょっとだけ覚えられているというこの絶妙な匙加減が、本種をマイナーモンスターの代名詞にしたのかもしれない。
 
【格闘場】では自分を含めた全員の守備力をスクルトで上げて、ベホマで回復しつつメラミで攻撃して勝つことが多い。勿論、引き分けになりやすいのもお約束。

リメイク版

下位2種は出現数制限の撤廃で4匹まで出られるようになりインパクトを増したのに対して、肝心のこいつは最高で2匹までしか出ないまま。
さらに弱さからクビになったのかゾーマの城に出現しなくなり、メルキド周辺西部では出現率が低く、ルビスの塔低層やゾーマ城周辺南部はそこそこ出現率があるがすぐ通過してしまうため、一度も会わない人も続出しただろう。
マイナースレのトップに立つ一因となった変更である。
 
またSFC版では腐った死体を呼ぶアニメーションが何故か存在しない。つまりFC版と同様に、隣にすぐ腐った死体が加入する。
GBC版では追加された。

小説版

ゾーマ城の大広間で、300体ものゾンビ系モンスターを従えて待ち受けていた。
しかし救援に駆け付けた【武闘家】カーンと【カンダタ】によって全滅させられる。
名前すら登場しなかった【ソードイド】や、「系統最強は【ラゴンヌ】」と言い切られた【マントゴーア】よりは恵まれてはいるか。
また新書版では地味に挿し絵にも描かれている。

DQ11(3DS版)・DQ11S

実に約30年ぶりに本編再登場を果たす。
【冒険の書の世界】【ロンダルキアへの洞窟】に出現。
メラミ、【マホトラ】【ベホイム】を唱えたり、【グール】を呼んだりする。
原典であるDQ3における行動パターンの中途半端っぷりを忠実に再現しており(一応、呼ぶ仲間がくさったしたいからグールに強化されてはいるが、だから何だと言う話…)、戦闘力自体はお察し……だが、今作から新たに身につけた【しのおどり】には十分な警戒が必要。
どうせ大したことはしてこないだろうと思って後回しにしたら、不意討ちの死の踊りでパーティが半壊した…という報告もあり、存在感を多少示せるようになったかもしれない。
耐性としては全属性攻撃を軽減するものの、状態異常は総じて効きやすく、特に眠りに弱い。
 
ドロップアイテムは【けんじゃのせいすい】【ふっかつの杖】(レア)。
役に立たないわけでもないが、ロンダルキアへの洞窟が冒険の書の世界を締めくくる最後のダンジョンであることを考えると、どうも今さら感が否めない。
 
ところで、こいつが出現する場所は、洞窟の4階のみ
ロンダルキアへの洞窟における「4階」がどういう場所かというと、普通に通る範囲では3階と5階を繋ぐ僅か数マスの空間しかない、いわば階段の踊り場程度のフロアである。
今作のロンダルキアへの洞窟はエンカウント率が低めに設定されており、この数歩の間に敵と遭遇する可能性は至難の業と呼べるぐらいに低い。
重要度は皆無といっていい通過点にすぎないため、こまめに【討伐モンスターリスト】を確認するプレイヤーでもない限り、ここにしか出現しないモンスターが存在すること自体に気付かない場合も多いだろう。
5階の落とし穴から落ちると大広間があるのでそちらに行けばエンカウントすることもあるだろうが、仮にそうしたとしてもそもそもこいつの出現率自体がかなり低いという壁にぶち当たる。
影の薄さここに極まれり。スタッフも意図してやっているとしか思えない。
どうしても出会いたいなら、3DS版なら【まもの呼びのベル】、DQ11Sなら【まもの呼びのボウガン】をひたすら使用しよう。
なお本家DQ2にも【ハーゴンのきし】というロンダルキアへの洞窟4階にしか現れないモンスターが存在する。
 
討伐モンスターリストの解説文によると「闇を愛し、闇に愛された魔物」で「全てのゾンビの産みの親」らしい。
おそらく、発売年当初に流行した、お笑い芸人・サンシャイン池崎氏のネタが元。

DQMSL

「モンスターズ」の名を関する作品ではこれが初出演。
ゾンビ系のSランク。ガチャ限定。Bランクの【シャーマン】の最終転生先。
習得特技は【ベホマラー】【ザオリク】
コイツが【回復のコツ】特性持ちの為、ゾンビパ用ヒーラーとして優秀。
下位種の【ゾンビマスター】から「マホトラ斬り」と【マジックバリア】辺りを継承すると、更に使い勝手が増す。【いきなりみかわしきゃく】で生存性が高いのも嬉しい。
リーダー特性は「全系統回復系特技の回復量+15%」。

少年ヤンガス

トルネコシリーズではなぜか同系統の中でコイツだけ出演させてもらえていなかったが、忘れられかけていた頃に少年ヤンガスで再登場。
アイテムを5つも呪う【のろいのことだま】を使えるため、普通に出現すればプレイヤーを大いに恐れさせただろう。
しかし配合限定のため猛威を振るうことはなく、存在感は薄いまま。
 
成長限界はレベル30。
デフォルトネームは♂が「マクべえ」、♀が「マクロン」。
【インヘーラー】の配合素材である【ブラックルーン】の配合のために必要なのでモンスターブックコンプを目指すなら1匹は作っておこう。
配合方法はゾンビマスター×【アイアンダッシュ】
【ダークナイト】を相手に配合すればブラックルーンが生まれる他、【ゆうれい】【しにがみ】相手で【グール】も生み出せる。
 
話し掛けてみると、「キャーホホホ! キャーホ! キャッ キャッ!」などとやたらにハイテンションで、バーサーカー辺りと仲良くやってそうな言動である。

ライバルズ

第9弾カードパック「再会と誓いのロトゼタシア」にて実装。僧侶専用ユニットのスーパーレア。

2/2/3 ゾンビ系
れんけい:縦1列にいる全てのユニットに1ダメージ

れんけいが必要な割に微妙な火力で地味に見えるかもしれないが、効果対象に敵味方の指定が無いのがポイント。
相手盤面の範囲除去はもちろん、決意の聖賢セーニャ自傷→回復シナジーにも持ってこい。
器用貧乏で終わるか獅子奮迅の活躍をするかは使い手の構築やプレイング次第で、カードプールが広がった最終環境でも廃れず使用された優秀な低コストユニットである。
 
下位種の2体があくま系であるのに対し、こいつのみなぜかゾンビ系となっている。

没デザイン

DQ3開発時はシャーマン属と別デザインであり、開発当時の雑誌にイラストも公開されている。
悪辣そうな顔の黒人風キャラが頭にドクロをかぶり、ローブをまといドクロの杖を手にしている。
しかしこのデザインは没になり、名前だけシャーマンの色違いに流用された。
DQシリーズが世界展開している現在では明らかに黒人差別問題に抵触するため、このデザインが復活することはないと思われる。
 
ちなみに次作DQ4では同じく黒人呪術師がモチーフの【しりょうつかい】の系統が登場しているが、悪人ヅラではなくドクロも身につけていない。マクロベータの元デザインの反省を踏まえているのだろうか。