【ムー】

Last-modified: 2024-04-05 (金) 00:50:07

概要

かつて太平洋上に存在し一万二千年前に沈んだとされる大陸、及びその文明。
ちなみに太平洋にあったとされるこちらに対し、「ある日忽然と水没した伝説の文明大陸」としてよく比較されるアトランティスアトランチス)大陸は大西洋(もしくは地中海)上に比定されている。
ただし、古代ギリシアの時代からその伝説が語られていたアトランティスに対し、ムー大陸の存在が主張されるようになったのは割と最近、近現代になってからの話である。
よく創作作品のネタにされるが、ドラクエでも現実の世界地図を元にしたDQ3を題材にした作品において、ムー大陸ネタが取り入れられている。
DQ10オンラインに登場する【カシャル】の分身3体は、ムー、レムリア、アトランティスといった伝説の大陸の名を冠している。

DQ3

【ドラゴンクエストミュージアム】で公開された【堀井雄二】自筆の開発資料によると、いわゆる【上の世界】は「ムー」、下の世界が【アレフガルド】という括りで書かれている。
フィールド曲の【冒険の旅】は、元々は「ムー大陸を往く」という曲名だった。
 
【アリアハン】を現実の地図で比定するならムー大陸という事になろうが、ムー大陸は太平洋の中央よりやや南付近にあったとされており、アリアハンとは若干場所がずれる上、大きさも異なる。
ただしそもそもDQ3の地図は現実の地図と比べるとかなり歪んでおり、この程度のズレは他の国々にも見られる。
 
アリアハン城下町には「かつて アリアハンは すべてのせかいを おさめていたのじゃ」と言う老人がいるが、アリアハンこそまさにムー帝国の都として世界に君臨していたという構想が開発初期にはあったものと推定されよう。

知られざる伝説

【ラーミア】のエピソードで「ムウ」の表記で登場。
ラーミアの背に乗って【天界】からやってきた【ルビス】は、【ミッドガルド】の海に楽園・ムウを造った。
しかし、楽園に悪しき影がはびこり始め、それが次第に巨大になった。
このままでは悪しき者たちの手に落ち、世界は闇に変わると悟ったルビスは、その前に悪しき根ごとムウを捨てることを決断。
ラーミアに乗って7日7晩かけて巨大な無の空間に新しい国を作り、ムウの民をその地に移してから、ムウの国を一瞬で海に沈めた。
 
このエピソードは【レイアムランドのほこらの巫女】の視点になっており、その後ラーミアが眠りについたことと、巫女にラーミアが預けられたこと、ラーミアを御するための【オーブ】がこの地に残るムウの民に預けられたこと、ルビスが新たな国に旅立ったことが語られる。
新たな国とは【アレフガルド】のことだろう。国を作ったというか、作ったのは大地なのだが。

アイテム物語

【王者の剣】のエピソードで登場。
 
遥か昔、ムーの民は大地と炎の神【ガイア】と盟約を交わし、神々の金属【オリハルコン】を2つの神器とともに与えられた。
オリハルコンと神器の恩恵によって、ムーは長く類いまれな繁栄を謳歌した。
ところが、時代が下ると人間は「オリハルコンを武器に使ってはならない」という約束を破り、ムー帝国はオリハルコンで武装した軍団を創設して侵略戦争に明け暮れるようになる。
そして世界の覇者となったムーの人々は驕り、国は腐敗しきってしまった。
 
神々は怒り、ムーを滅ぼす決定を下すが、ルビス神はわずかに残った心正しき人々は救ってほしいと嘆願する。
主神ミトラは、その条件として、百日の期限を定め、人間たちに「神々に奉納する武具を製作させる」という試練を与えた。
こうして造られたのが、後に伝わる王者の剣、【光の鎧】【勇者の盾】である。
 
かくてムーは神罰により海中に沈み、わずかに助けられた心正しい人々は、ルビスの創造した新天地【アレフガルド】へと導かれるのだった。
 
ムー帝国が滅んだあとは、一時アトランチスが世界に君臨したが、そのアトランチスも【サマンオサ】との戦争に敗れて鎖国したという。
 
なお、ルビスは武具の製作を助けるために、エルフとホビットを鍛冶屋のところへ遣わしているが、彼らは【ノアニール】からやってきたことになっている。
サマンオサの名も出てくることから、ムーはDQ3における【上の世界】にあったとみてよいだろう。
 
神々に与えられた技術がなければ、手押しフイゴと石炭で金属の加工をしている。
この場合オリハルコンの加工は出来ないため、マイラの村の道具屋より技術水準は低いことがわかる。
(「技術史」講義シリーズ ---- 製鉄技術の歴史(1)というサイトで詳しく説明されているが、ムーはこの中のルッペ炉の水準である。)

ゲームブック(DQ3)

「ムウ」という表記で度々登場。
【主人公(DQ3)】が「ムウの血をひく勇者」と呼ばれている。
上述の初期構想が作者の耳に入ってこういう形で生かされたものかもしれない。

ムー滅亡の時期

アイテム物語では数万年前などの抽象的な表現で、ムーの滅亡時期は断定できないが、小説版と組み合わせて解釈することで、その数字は割り出せる。
 
小説版ドラクエ3では、アレフガルド暦823年という数字が出ており、ルビスがアレフガルドを作ってから823年経ったと明示されている。ムー滅亡とアレフガルド創世は同時なので、この数字がそのままムー滅亡の年数となる。(ただし、初年をアレフガルド暦1年としたのか、0年としたのかは不明瞭)
 
アイテム物語やモンスター物語には竜王出現から間もないころ、アレフガルド暦1348年(作中で竜の年とも表記される)という数字が出てくる。
ドラクエ1はその200年後とされ、ドラクエ2はさらに220年後とされている。
 
ちなみに、小説版ドラクエ2において、ムーンブルク暦2003年という数字が出てくるが、一見するとアレフガルドが1770年程度しか存在していないことと矛盾する。
 
しかし、ムーンブルク王家の家系は、ムー滅亡時には、ルビスの啓示を受け、ムー滅亡とアレフガルド創世の時期に奔走した人物であるファン・ドリモス16世である。
 
ムーンブルク暦は、ムーンブルクを建国した際に家系の始祖であるファン・ドリモスの15代前の人物を起点に年号を定めたために、アレフガルドそのものよりも古い数字になったのであろう。
 
一方で、勇者ロトの時代(DQ3)にはアレフガルド以外の大地が存在せず、それ以降に周辺世界が作られていったとされる本編ゲームとは矛盾する事になる。小説版はそもそもムーンブルク建国の家系がアレフガルドから渡ってきたロトの家系とは異なる時点でゲームの表現と矛盾が生じるため(DQ1→2の間隔もゲームでは概ね100年とされているのが220年に開いている)、異なる歴史を辿っているパラレルワールドと考えるのが無難かもしれない。

ロトの紋章

一万二千年前に海に沈んだ超大陸。
高い文明を誇っており、魔法力をもとに時間と空間を自由に操って発達した超時空都市。
太陽王の称号を持つ【タオ】によって統治されていた。
自らの生命エネルギーを死んだ者に分け与え、術者の死と引き換えに復活させる秘術が存在した。
 
ゴルゴナが主導者として魔導研究所で不老不死の研究を行われており、研究の為にムー全土から優秀な魔導師、錬金術師達を集めていた。それがゴルゴナと一体化したツークーマン、オティカワン、トピアポ、フロレンシア、キアーラ、ポポルヴー。
不死をもたらす世界樹のエキスの成分を解析したが、研究は失敗した。だが、偶然の副産物として不滅の人工生命体が誕生。それは最初は小さな細胞の集まりだったが、自己増殖して一つの型を成した。
その生命体を育て培養し、ムーの忠実な僕とした。
それに【ゴルゴナ】【念象投影器】で見つけた不滅の精神を入れることにより、【異魔神】をこの世のものとして実体化させた。
だが、異魔神の暴走により、大陸ごと崩壊することになる。
 
タオとゴルゴナは一万二千年の間封印されており、
それ以外の生き残ったわずかな人間が逃げ延びた先で建国したのが【ジパング】とされている。
 
しかし、続編においてムー大陸のモデルとなっているアリアハンが沈没してしまい
ムー大陸と同じ末路を辿ってしまった。