【竜王六魔将】

Last-modified: 2022-06-08 (水) 01:00:40

概要

【小説ドラゴンクエスト】(DQ1)の作中設定。
その名の通り【りゅうおう】配下の中でも特に強力な6体の幹部であり、それぞれ指揮官として軍勢を率いる。
同年刊行の【モンスター物語】(1作目)、【アイテム物語】にも共有され、小説本編開始前の様子が描かれている。
 
内訳は【あくまのきし】【しにがみのきし】【かげのきし】【スターキメラ】【だいまどう】【ギガンテス】の六体。
悪魔・死神の両騎士はゲームでは同属の下位・上位にあたるが、ここでは上下関係のない同僚という設定。
 
ギガンテスのみDQ1に登場しないモンスター。
この点、ギガンテスは竜王の【アレフガルド】侵攻後、小説本編開始前に撃破され、後任も決められていないという設定になっている。
後任を決めない理由は不明だが、DQ1本編に登場しない理由にはなっていると言える。
なお、だいまどうも同様、侵攻後本編開始までに処刑された設定だが、こちらは現任が充てられている。
 
モンスター物語巻末の軍団編成図によると、悪魔・死神・影の騎士の三名は「上級騎士団」と呼称され、【よろいのきし】【しりょうのきし】からなる歩兵部隊や暗殺部隊の指揮を持ち回りで行っている。
とはいえ暗殺部隊に関してはやはり影の騎士の適性が高いようだ。
そしてスターキメラは【キメラ】族・【ドラキー】族で構成された偵察部隊、大魔道は【まどうし】などの魔法部隊、ギガンテスは【ストーンマン】による攻城部隊を担当している。
この編成図ではギガンテスの死後は攻城部隊は上級騎士団の指揮下に入ったとあるが、モンスター物語本編では後述の通り大魔道が指揮を採っている。
同エピソードにおいては竜王直属のはずのドラゴン部隊が悪魔の騎士麾下であるようにも描かれているなど、いくつかの矛盾がある。

モンスター物語とアイテム物語

竜王六魔将の最初期の活動はモンスター物語とアイテム物語で確認できる。
 
モンスター物語『呪いのブラックメイル』に、3ヶ月前に竜王が出現したことが記されており、竜王軍が動き始めたばかりであることがわかる。
この時、大魔道カトゥサが強引な方法で【鎧の騎士】の開発を進めるも、剣士グレイによって鎧の騎士(中身はグレイの弟)は倒された。
その後、グレイは弟の仇討ちのために【ラダトーム】軍に志願することになる。
 
次の動きは『呪いのブラックメイル』の半年後の話にあたるアイテム物語『伝承の地 樫の里』とモンスター物語『メルキドの守護神ゴーレム』である。
なお本作中では『半年』とあるが、解釈次第で±1~2ヶ月の誤差がある。
 
このころ、竜王軍はラダトーム、【リムルダール】【メルキド】に大攻勢をかけており、ラダトーム戦は『伝承の地 樫の里』、メルキド戦は『メルキドの守護神ゴーレム』で語られている。
リムルダール戦については、モンスター物語の巻末に掲載された竜王軍の指揮系統図の解説にて「傭兵の【リカント】族たちが大きな働きをした」と語られるのみで詳細は不明。
 
ラダトームでは、ギガンテスと大魔道カトゥサ(後にメルキド戦へ移動)が参加していることが確認できる。
メルキドは、当初は悪魔の騎士と死神の騎士が担当していた。
 
このラダトーム戦でグレイは弟の仇である大魔道カトゥサと再会するも仇討ちは果たせなかった。
その後、グレイはラルス8世の命に従って光の鎧を持ってラダトームを脱出、1ヵ月かけて【ドムドーラ】へたどり着くことになるのだが、その1ヶ月の間に竜王六魔将は2人欠けてしまうという事態に陥った。
 
まずラダトーム戦では、ギガンテスがラダトーム軍と【ベラヌール】の援軍と交戦するも撃破される。この戦いで大損害を被った竜王軍は撤退に追い込まれる。
 
メルキド戦では、死神の騎士・悪魔の騎士、そしてラダトームから転戦となる大魔道カトゥサの3人が攻撃を仕掛け、特に大魔道は二度にわたり戦いを挑んだが、ゴーレムによってことごとく殲滅されこちらも失敗。
メルキド戦の後、カトゥサは鎧の騎士開発時の独断専行・メルキド戦における【ストーンマン】部隊の全滅、そしてラストチャンスであった2度目のメルキド攻撃も失敗したことにより粛清された。
ちなみに軍事用語では戦力3割を失う事を全滅というが、この場合は諸君も思い浮かべるであろう文字通り「全て死滅した」という意味。
 
なおこいつら3人は揃いも揃って「ゴーレムなど所詮は人間の作った人形」と侮っており、ロクな作戦を練ることもなく配下の魔物たちに突撃を命じるばかり(オマケに撤退という選択肢もなし)という無能采配であった。
しかもゴーレムの実力は彼らの想像を遥かに超越していて並の魔物では全く歯が立たなかったのだが、指揮官を務めた悪魔・死神の両騎士はそれが理解できていなかったのか、戦況が明らかに不利になっても撤退などは全く考えずにひたすら突撃させ、軍勢を大量に無駄死にさせた。そのくせ自身はちゃっかり生き残っているのである。
 
対するカトゥサはゴーレムの巨体に対抗するために100体ものストーンマンを投入……したはいいのだが、彼の採った作戦は「長期戦でゴーレムの疲弊を狙う」というもの。
具体的には3体一組で順番にゴーレムへと襲いかかる、所謂「戦力の逐次投入」であった
だがゴーレムは石の人形=疲労という概念がないのでこれも効果なし。集結させたせっかくの大戦力もこうなってはただの順番待ちのカカシである。
 
というかストーンマンもゴーレムの前にはまるで敵わず、3体どころか5体以上でも瞬殺されるほど。そうこうしている間に90体もやられてしまった。
そしてようやく作戦の失敗を悟った……にも拘わらず、残り10体+護衛のドラゴンたちに最後の突撃を敢行させる始末。
せめて一矢報いるつもりだったのか、それともただのヤケクソかは不明だが、どちらにせよ今更ゴーレムに有効打となるはずもなく、あえなく返り討ちにされ全滅した。
なんだか清々しいくらいの無能ぶりだが、とりあえずこいつらの油断や慢心がこのザマを招いたのは確かだ。
 
ラダトーム戦もメルキド戦もアレフガルド暦1348年と明示されており、竜王軍は開戦後1年と経たない時期に最高幹部を2人失っている。
 
以降の六魔将の活動は200年ほど先にあたる小説版DQ1まで、作品が存在しないため不明だが(少なくともドムドーラを滅ぼすことには成功したようではある)、不在となっていた大魔道はザルトータンという者に代わっている。
ギガンテスの後任は先述の通りついに指名されることはなかった。
また、この間に人間の王はラルス8世から、【ラルス16世】に代わっている。

小説ドラゴンクエスト

アレフガルド暦1348年の戦いで、人間も大打撃を受けたが、竜王軍の損耗も激しく、とくに竜王の持つ光の玉の魔力が失われ、その復活に200年かかると予測されていた。
そのためか、この間の竜王軍の行動はかなり限定されたものとなり、開戦当時のようなアレフガルド全土に天変地異と大攻勢を起こすような激しい活動はなく、限定された都市への襲撃にとどまっていた。
そして、光の玉の復活まであと17年となったとき、ロトの子孫アレフがドムドーラに生まれる。
 
この時、大魔道ザルトータンは水晶玉でアレフの誕生を察知し、念のため占いをしたところ、ロトの血を引く者が王女の愛を得た時、竜王が滅ぼされるという結果が出た。
ちょうどその七日前、ラダトーム王に娘が生まれていたことがわかっていたため、竜王はラダトームへは影の騎士による娘の暗殺を、ドムドーラへは悪魔の騎士による殲滅を命じた。
 
結局、影の騎士はラダトーム王妃を殺害するもローラ姫を見失う始末だったが、悪魔の騎士は別の赤子をロトの子孫と思い込んで殺し、竜王に報告したため、これで危険はなくなったと思い込むという最悪の結果をもたらした。
 
それから15年後アレフは成長し勇者として旅立つと、再びこの問題が頭をもたげることになる。
アレフの活躍が魔物にも知れはじめると、彼がロトの子孫ではないかと思われ始めたのだ。
だがそれを報告すれば、自分の失敗を認めることになるため悪魔の騎士は竜王の粛清を恐れ、報告を渋り続けた。
しかし、メルキド近郊で六魔将の一人スターキメラがアレフと【ガルチラ】によって倒され、さすがに報告しないわけにもいかなくなり、竜王に本当にロトの子孫が死んだのかと疑われた。
失敗を認めれば粛清されるため、悪魔の騎士は我が身かわいさに「間違いなく殺した」と言い張るしかなかった。
 
このころの六魔将の連携は非常に悪く、悪魔の騎士は前述した通りの状態、ローラ姫を始末し損ねた影の騎士は微妙な立場で、ロトの子孫が死んだ以上、もしローラ姫が生きていても関係ないから許されたという程度の状態であったため、「もしかしたら王女も生きているのでは…」という疑念に敏感にならざるを得なかった。
 
そのため、ガライの宿屋の娘セシール(ローラ姫はガライの夫婦の養女になっていた)を生け捕りにするも、セシールの正体がローラ姫であることの確認に固執しすぎてしまい、結局殺す機会を逃してしまう。
 
ザルトータンは両魔将に重要な情報を伝えなかったり、竜王に対し彼らを讒訴するような行動をとった。
中立的な立場にいた魔将もいたが、その中でスターキメラは先述の通り早々に倒され、死神の騎士はせいぜい喧嘩の仲裁くらいしかせず、積極的な動きを見せることはなかった。
このため、六魔将はアレフに次々と各個撃破される事態を招いてしまう。
 
次に敗れたのは、悪魔の騎士だった。
海辺の洞窟でアレフとガルチラに敗れ、鎧がさび付いた鉱石のように朽ち果て、影の騎士にロトの子孫が生き残っていたことを伝え敗死した。
 
影の騎士も、ずっと以前こそアレフを谷に落として瀕死の重傷を負わせたが、リムルダール島で再戦すると実力を上げたアレフとガルチラに敗れ、滅多切りにされた。
 
竜王の城では、死神の騎士が混合戦闘部隊を率い、アレフの前に立ちはだかるも、兜ごと頭を割られ、アレフの剣を道連れにすることしかできなかった。
 
そして、大魔道ザルトータンも不仲の代償を払うことになる。
死神の騎士のおかげで丸腰であったアレフは、キースドラゴンすら倒せない状態。ザルトータンの得意とする魔法の打ち合いでアレフを負かすことに成功するものの、彼の持っていた【いのちのいし】が身代わりに砕けたため、勝ったと思い込んだ隙を突かれて撃破された。
 
結局、彼ら自身で不和を修正できなかったこと、竜王が恐怖支配を行なっていたことが仇となって六魔将も竜王も滅び去り、ザルトータンの占い通りの結末を辿ることになってしまった。

関連項目

【ゾーマ八魔将】
【バラモス四天王】