※FF7ACもOVAと言えばOVAだが、ここでは1994年に発売されたOVA作品のこと。
今となってはかなりマイナー。
監督はりんたろう、脚本はあかほりさとるという(ややFFらしくない)個性的なスタッフにより作られた。
FF5の200年後という設定だが、世界観はなぜか中国っぽい。
気持ち悪いチョコボに筋肉質のガラフ、生意気なミド(の幽霊)がでてきたりツッコミどころは多い。
まあ、FF5とかFFとかのイメージを持たずに見ればそれなりに楽しめるかもしれない。
主人公の声が松本梨香にヒロインが皆口裕子と、今見るとなかなか豪華な声優陣。
全4巻のビデオのほかフィルムブックが発売されている。
全4巻構成。前から順に「風の章」「炎の章」「竜の章」「星の章」となっている。
「風」「炎」と来て「土」「水」はなかったりする。
ヒロインのリナリーが風のクリスタルに異変を感じ、風の神殿に向かうところから物語は始まる。
…が、FF5のエンディングではクリスタルは石版のあった場所に再生している。
要は本編と矛盾しているわけだが、別物と割り切るべきか。
- 誰かの手で孤島の神殿から風の神殿にクリスタルが運ばれたとか?
それか、年月の経過で孤島の神殿が新たに「風の神殿」と呼ばれるようになったとか…。 - そもそも建物の外見やら何やらが原作と全く違うので(タイクーン城とか)、突っ込み出したらキリがない。
アメリカ版は「Legend of the Crystals」というサブタイトルが付けられている。
ギャグアニメだと思って見ればフツーに楽しめると思いますが…
興味のあるかたはどうぞ。
- 確かにギャグな場面はあるのだが、グロテスクな場面もあるので苦手な人は要注意。
特にシドの脳が奪われる場面は「のうみそを すいとられた!」を思い出し、トラウマになる人もいるはず。
やたらヒロインのパンチラが多い。
- 正確に言えばパンチラは存在しない。
あれはパン「モロ」である。- VHSパッケージ絵のこれは「パンチラ」じゃね?
なんかジブリっぽい。
- ドロンジョ様みたいな黒いヴィンテージに身を包んだ主人公達を狙う派手な海賊のねーちゃんが出てくる。
移動手段は飛空艇で名はプリンプリン号。不思議なクリスタルと少女を狙う賊…ますますジブリっぽい。 - 音楽はやたら中華。でも絵や内容はジブリ。
…うん、ジブリ - 鳥山っぽくもある
- アニメ三銃士も入ってるな
200年後設定のため、FF5本編のキャラクターはミド以外は回想とラストシーンで出るのみのチョイ役。
一応、レナと同じ名前で子孫と思われるタイクーン女王レナも出てくる。
- ゲームと比較するとバッツのイメージギャップがでかい。
- というよりクルル以外ゲームとのギャップが大きい。
左からファリス、クルル、バッツ、ミド、シド、レナ、ガラフ。
ちなみにシドが抱えているものは本作のボスに奪われた自分の脳みそ。 - ちなみに、FF5本編のパーティメンバー達(バッツ、レナ、ガラフ、ファリス、クルル)には台詞がないので声優もいない。
主題歌は『風水紀行』。中華的な世界観にはピッタリはまっている。
舞台は惑星R。
- 年号は宇宙暦カリ・ユガ1000神年。
- ヒンドゥー教の時間概念で、1神年(神の1年)=人間の360年。
1劫(カルパ)=1000マハーユガ=12000神年=4800神年のクリタ・ユガ+3600神年のトレター・ユガ+2400神年のドヴァーパラ・ユガ+1200神年のカリ・ユガ。
カリ・ユガ1000神年ということは、200神年後(7万2000年後)にカルキが現れて新たなマハーユガのクリタ・ユガが始まるのだろう。
- ヒンドゥー教の時間概念で、1神年(神の1年)=人間の360年。
キャラデザは熱血最強ゴウザウラーやYAWARA!の兼森義則さん。
製作はNTT出版。
アニメ制作は後に「ラストオーダー FF7」も手掛けるマッドハウスが担当した。
本作の監督のりんたろう氏は「ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説」の監督でもある(第一部までだが)。
FFとDQ、双方の「初のアニメ化作品」の監督を務めた偉大な御仁である。
両方とも作品内容は正直イマイチだが
本作は監修としてヒゲやノビヨがクレジットされているため、りんたろう氏独自の作風というわけでもなさそうである。それなのにどうしてこうなった…
音楽は、FF5の曲がいくつかアレンジして使われている。
オープニングはFF5のメインテーマのアレンジであり、導入としては引き込まれる。
他、チョコボが召喚された場面ではおなじみチョコボのテーマが流れたり、
FF5の通常戦闘曲・バトル1もアレンジされて使われている。
ストーリーの設定上は確かにFF5の「続き」ということになっているが…
とにかくアニメ全体のビジュアルイメージがFF5に全然寄せていない。
風の神殿、タイクーン城、飛竜など共通する設定は登場するが、FF5のそれとは別物である。
スタッフはFF5をろくに知らないんじゃないか?とさえ思える。
独自性が強すぎてFF5の後日談という設定に必然性が感じられない。
どうも「FFの名前だけを借りて、製作者がやりたかったジブリ的冒険活劇を好きに作った」ように思えてしまう。
企画の立ち上げから成立までの経緯が気になってしまう作品。
普通に、バッツたちを主人公にしたアナザーストーリーでも作ったほうが、
ファンには喜ばれたと思うのだが…。
この作品を根拠に「バッツは仲間の誰とも結ばれず、故郷の幼馴染みの女の子と結ばれた」という人もいる。
しかし、このOVAは上記の通り本編との矛盾も多いのでFF5の後日談とは考えずに、
世界的に有名な某配管工の実写映画などのように、一部の設定や名前を借りて、
それに独自性を加えて作られた、独立した作品(=正式な続編ではない)と考えたほうがいい。
アクションシーンは多く、場面場面では見所もある。
特にラストで、プリッツが刀の横一閃によって敵を両断するシーンは、後にスクエニに移籍する名アニメーター・金田伊功氏によるもので、カッコいい見事な作画。