薬園八幡神社

やくおんはちまんじんじゃ

（参拝日：平成25年4月27日）

住所：奈良県大和郡山市材木町32

『続日本紀』に詳述のとおり、藤原広嗣の乱の平定と聖武天皇の病気平癒の祈願に、さらに大仏造顕に協力する神として、
宇佐の八幡大神はあらたかな霊験を現され、その絶対的神威は中央第一の神として朝廷の厚い崇敬をうけるに至った。

七四九年七月孝謙女帝が即位、年号は改まって天平勝宝となったこの年の十一月、大仏完成擁護の神託を奉じた
八幡大神は宇佐から都に向われ、天皇は石川朝臣年足、藤原魚名等の重臣を迎神使として遣わされて、十二月平城宮の南、
梨原の薬園新宮内に設けた神殿に迎え祀られる。梨原の地はもと広大な薬園のあったところで、新宮の名もこれに因む。

そしてここより東大寺へ遷座の際、八幡大神の御分霊をこの新宮内の神殿に留めて奉斎し、
由緒ある薬園の地名を冠して命名されたのが、すなわち当社の創始であり、由緒またこれより生まれる。
こうして翌二年九月今の御旅所の地清澄荘薬園に遷座され、時移り延徳三年に至って現社地の南薬園に鎮座せられたのである。

思うに、薬園八幡神社は聖武天皇の仰せをうけ、創建以来朝廷より勅願・神階を賜って奉幣にあずかり、
社殿の造修も受けつつあったが、星霜を経て幕府の政権となって遂に途絶え、足利時代末期に現社地への遷祀となった。

しかし近世に至って藩主等の尊敬もうけ、やがて、薬園地域全ての氏子をもって存する天井、本庄、塩ノ庄等の総社となり、
薬園の旧蹟に厳存して歴史を誇る社頭を保持しつつ、市の中心部地域の殆どを氏子に擁する産土神として、
親しまれ崇められている。

(以下、余談)
大和郡山の市街地に位置し、徒歩圏内に源九郎稲荷神社や郡山八幡神社があります。
地元の人の話では、明治時代には奈良よりも郡山のほうが賑わっていたとか。古民家が立ち並ぶ街路の中に神社が鎮座します。

桃山時代の極彩色の社殿が残っているのですが、その写真を集めたアルバムを宮司の方に見せて頂きました。
特に狛犬が興味深く、雌雄の狛犬それぞれ人間の性器を模したような造形が認められました。
噂には聞いたことはありましたが、実際に本物の狛犬を見たのは初めてでした。

市街地にあるこじんまりとした神社でしたが、由緒のある古社でした。