おかあさん(仮) (130-114)

Last-modified: 2010-07-08 (木) 03:56:01

概要

作品名作者発表日保管日
おかあさん(仮)130-114氏10/06/3010/07/03

 
暗いです
オリキャラでます
原作キャラを勝手に殺してます。ごめんなさい
嫌な方々は大変申し訳ありませんが優しくスル~してください。
ハルヒ&キョンは
三十代前半の設定なので
若干落ち着いちゃってます
 

作品

「涼宮、出向だ」
上司は吐き捨てるように
そう言った
 
まぁ~居心地の悪い職場
だったし、清々したわ
アホな上司、くだらない
同僚、使えない後輩
 
こいつらから解放される
なら何処だって行ってやるわよ。
 
ハハァー……バカみたい
 
 
こんな所でどうやって仕事しろって言うのよ
 
あたしに与えられたのは
小さな社宅兼オフィスの
建物だけ。
 
勿論上司も同僚も後輩も
いない。
 
ハァ~馬鹿馬鹿しい寝よ
 
次の日
 
ドンドン・ドンドン・ドンドンドンドンドンドンドン
あ~うるさい~
 
「ハ~イ」ガラガラ~
 
「お~こりゃー凄い
ぺっぴんさんが来たなー」
「うわ~綺麗」
「……ハァ?」
 
だれ?
 
「おっと失礼、こんな田舎に良く来たね~ところで今忙しい?」
 
「いえ……」
 
「じゃあ~家に飯でも食いに来てちょうだい」
 
「行こう~おねえちゃん」
「ちょ!」ズルズル~
 
突然何だかよくわからないお爺さんと小さな女の子に引っ張られて
朝ご飯をご馳走にお爺さんの家に行くことになったの
 
「婆さん~婆さんー」
 
「ハ~イ、ありゃ~こりゃーまたべっぴんさんが来ましたね」
 
「べっぴんーべっぴんー
おとうさん喜ぶかな~」
 
「みーちゃん、お帰り」
「ただいま、おばあちゃん」
 
「お邪魔します」
 
「直ぐ朝ご飯の用意しますから待っててくださいね」
「いきなりすいません」
 
「気にしないで、皆で食べたほうが美味しいから」
 
「食べよ~あ!おとうさん起こしてくるね」
 
ハァ~
 
「いただきます」
「いっぱい食べてね」
 
「ハイ」
もぐもぐ……!
 
「美味しい!」
 
「だろ~家で作ってる米はそんじょそこらの米とは物が違うからの」
 
「ふろいと米でしたかね?」
「違う違うブランドじゃ
ブランド」
 
「そうそうブランド米ですねブランド米」
 
「お米作ってるんですね」
「おうよ、米だけじゃなく野菜やらなんやらを
いっぱい作ってんのよ
まだまだあるから好きな
だけ食いね食いね~」
 
トテトテ
 
「おはようさん~朝から
喧しが誰が来てるん……」
 
「みーが言ったとおり
べっぴんさんでしょ?」
 
「……」
「……」
 
「何を見とれてんだ
この人が今度引っ越して
……あれ?名前」
 
「そういえばまだ、お名前を伺ってなかったわね」
 
「ハルヒ……こんなところでなにやってんだ」
「引っ越して来たのよ悪い久しぶりねキョン」
 
「お知り合いなんですか?キョンさん」
「あ~高校の同級生だよ」
 
「元カノかーキョンの元カノが来たぞー」
「元カノ~元カノ」
 
「「違う」います」
 
「怪しいですね」
 
「みーに変な言葉を教えないでくれよ、まったく」
 
「へ~あんた子供がいたんだ?」
「あ……まーな」
「「……」」
 
「おとうさん~早く食べてよ、今日はお休みだから
お出かけするって約束したでしょ」
「ハイハイ~お父さん少し話しがあるから、婆ちゃんと爺ちゃんと先に準備しててくれないか?」
 
「早くしてね」
「了解しました」ナデナデ
「ニィー」
 
「行こう、みーちゃん」
「うん」
 
 
「行ったか、しかしなんでこんな場所に引っ越して
来たんだハルヒ?
俺の記憶だとお前は随分とデカイ会社に入ったはずだが」
「左遷よ、さ・せ・ん!
好きでこんな場所来るわけないでしょ」
 
「左遷か……大変だったんだなお前も」
「あんたに同情されてるようじゃ、あたしもおしまいね」
 
「……らしくないな」
「いつまでも子供じゃないってことよ」
「お互いにな」
 
「……結婚してたんだ」
「あの子は俺の子供じゃない」
「どういうこと?」
 
「……妹との子供だ」
「妹ちゃんの子供をどうしてあんたが」
 
「妹は……
 
妹は四年前に事故で死んだんだ」
「え……」
 
 
「妹と旦那、まだ赤ん坊
だったみーの三人でドライブに行ったその帰りに……みーだけは奇跡的に無事
だったが妹と旦那は……」
 
「ごめん……
嫌なこと思いださせて」
「いや」
 
「でも、なんで連絡して
くれなかったのよ」
 
「あの時はいきなりで
それにお前とも、もう随分連絡取ってなかったし」
 
「それでも連絡くらいしなさいよ、バカ」
「悪い」
 
「うぅ~うわ~妹ちゃん」
 
「仲良くしてたもんな……ごめんなハルヒ」
 
「バカ・バカなんで……
なんでよ!あんたが一番
つらかったはずなのに
高校の時から何時も人の
ことばっかで自分のことは後回し、あたしってそんなに頼りない?
つらい時は話しなさいよ
しんどい時は頼りなさいよあたし達仲間でしょ」
 
「ハルヒ……」ギュ
「ふぇ~」
 
「やっぱしハルヒはハルヒだな俺達の団長だ」
「そうよ、あたしは団長であんたは団員その一なんだから、つらい時は連絡くらいしなさい」
 
 
「俺がみーを育てるの最初は両親にスゲー反対されたんだ、でもあいつが最後に言った言葉が……」
 
………………………………………………………………
 
「キョン君……みーちゃんは?」
 
「みーは大丈夫だから
お前もしっかりしろよ
お前はお母さんなんだからみーを一人ぼっちにするんじゃねえよ」
 
「キョン君……あたしね、あの人とみーちゃんと
もっといろんなことしたいんだ。
みーちゃんもこれから
どんどん大きくなって
歩いたりお喋りした……」
ゴホゴホー
 
「バカ!あんまり喋るんじゃね」
 
「それでね、みーちゃんはハルニャンやあたしみたいに高校生になったら
SOS団を作って、楽しい仲間といっ~ぱい遊ぶの
みーちゃんは家に帰ったらあたしに楽しそうに団活のことを話すんだよ」
 
ゴホーゴホ~
 
「そうだな、みーもきっとお前やハルヒみたいな
明るい子になるだろうな」
 
「ゴホゴホーみーちゃん……みーちゃん、ごめんね」
 
「おい、しっかりしろ」
 
「ハァーハァーキョン君……みーちゃんをお願い」
 
「ハハァ~な何言ってんだよ、みーはお前の子供だろ自分達でしっかり……オイ」
 
「……」
 
「嘘だろ、オイーオイ
起きれよ、ふざけんな……起きろって……みーは……みーはどうするんだよ、
うぅ~バカヤローうわぁ」
 
………………………………………………………………
 
「あいつの最後の願い……俺は勤めていた会社を辞めて、みーを育てるために
此処で爺さん達の仕事を
手伝いながら今に至るわけだ」
 
「妹ちゃんの願い」ギュ
「ハルヒ?」
 
「キョン……キョンキョン」
「ハルヒ」
 
ドンー
「おとうさんー準備できたよーあぁ!
ーー抱き合ってるー
おじいちゃんー大変~大変おとうさんとおねえちゃんが~」
 
「お~キョンーやっぱり
そうか、お前達そんな関係だったんだな、婆さんー
今日は宴会じゃー宴会」
「おめでとう、キョンさん」
「ハァーやれやれ」
 
 
「みー行くぞ」
 
「ね~おねえちゃん」
「なに?えっと、みーちゃん」
 
「おねえちゃんも一緒に
行こうよ」
「え?あたしも」
 
「お~ハルヒよ
もし暇なら一緒に遊園地に行かないか?」
「確かに今日は休みだし
暇だけど」
 
「行こうよ~ね~行こうよハルヒー」
「……ハルヒって」
 
「おとうさんがおねえちゃんのことハルヒって
呼んでるから、みーも
おねえちゃんのことハルヒって呼ぶことにしたの
ね~ハルヒって呼んでいいでしょ?」
 
「別に、いいけど」
「やったーハルヒーハルヒ」
可愛い……
 
「よし、じゃあハルヒの
家に寄って準備してから
遊園地に行くぞ」
「オー」
 
「な~婆さん」
「ハイ、多分私も同じことを考えてましたよ」
「早合点すぎるか」
「あの二人しだいですね、まだまだこれからです」
「だな」
 
「ハルヒ~あれ乗ろうよ」
「あれは無理よみーちゃんの身長じゃ乗れないわ」
「え~乗りたいよ~みー
あれに乗りたぃ~」
 
「ハァ~そんなこと言われてもキョンどうしよう」
 
「ハハァー」
「なに笑ってんのよ」
 
「いや~昔のお前なら
『あたしに任せなさい』
とか言って係員に掴みかかってそうだったから」
 
「そ~そんなことしないわよバカ」
 
「ハァーよく言うよ、まあみーに振り回される
お前もなかなか面白い」
 
「な!見てないで助けなさいよバカキョン」
「ハイハイ、みー」
 
「おとうさん~あれに
乗ろうよ、ね~乗りたい」
 
「まあ~待て、あんな
乗り物よりずっと面白い
もんが此処にはあるんだぞ」
「え~なになに!」
「あれだ」
 
キョンが指をさしたのは、コーヒーカップだった。
 
「え~地味」
「そう、一見すると地味
だが……ハルヒとこれに
乗るとえらいことになる」
 
「どうなるの?」
 
「父さんは昔、ハルヒと
あれに乗ったせいで……」
 
「へぇ~懐かしいこと
覚えてんじゃないあんた」
 
「ちょっとした黒歴史だ」
 
ワクワク~
「ハルヒー早く早く~」
「ちょ!引っ張っちゃー」
 
「よろしく」
 
案の定、ハルヒはコーヒーカップを恐ろしいスピードで廻しており、そこらの
絶叫系の物に乗るより
よっぽど恐い訳だ。
しかし当の本人達は
キャーキャーと随分楽しんでいるみたいだ
 
「ハルヒ~すごい!すごい!」
 
「当たり前よ昔これで
みーちゃんのお父さんを
足腰立たなくしてやったんだから」
 
「ハルヒはおとうさんの
こと好きなの?」
 
「どうかしらね
みーちゃんはお父さんの
こと好き?」
「うん、大好き」
 
「そう、よかった……
さーいくわよ~おりゃー」
「キャーキャー」
 
 
「ハイ、お疲れさん」
「おとうさん!おとうさんーハルヒね凄いんだよ
ハルヒが廻すとね」
 
キャッキャー
 
随分とハルヒのことを気にいってくれたみたいだな
 
 
「ハァ~ハァ~流石に疲れたわ、三十代のおばちゃんの切ない叫びね」
 
「ハルヒ!ハルヒ!
こんどはあっちのに乗ろ」
「ちょっと休憩させてー」
 
「ダメだよ~早くー早く」
 
「ハァ~みー、そろそろ
休憩しような、あっちの売店でアイス買ってやるから」
「お~アイスーアイス」
「た…助かったわキョン」
「お疲れ」
 
「体力の衰えがここまで
とは自分でも驚きだわ」
 
「プ…プゥハハーー」
「笑らうな~」
 
「ダメだ無理~プゥハハー」
「キョン~あんた、どの口が笑ってんのかしら~おりゃー」
 
「ひゃ~痛い~ふぅひゃゃー抓ったらプゥハハーやめれ~ニャハハー」
「この~まだ言うか~」
 
「コラ~なにいちゃいちゃしてるの、早くアイスー」
「「……すいません」」
 
「美味しいか?」
「うん」
「そうか」ナデナデ
「テヘ」
 
「へぇ~」
「なんだよ」
「別に」
 
キョンも立派にお父さんをやってるんだ
別にあたし達の年齢なら
子供の一人や二人いても
おかしくないけど
働きだしてからのあたしは前以上に男を煙たがった。
それくらい仕事に打ち込んでいたし、逸れなりに充実していた。
それなのに仕事が出来る
あたしを疎ましく思う輩は……くだらない
 
 
「どうした?ハルヒ」
「ハァ!別に」
 
「ハルヒ疲れちゃったの」
「ううん、大丈夫ちょっと休憩したから」
「ホントに?」
 
「心配してくれてありがとね」ナデナデ
 
「テヘ」
 
 
悪くない、悪くないよね、こんなのも……
 
 
散々ハルヒを連れ廻した後、最後の観覧車では
 
「スゥスゥー」
「寝ちゃった」
「今日は連れ廻して悪かったな」
「別にいいわよ、楽しかったし」
「そうか」
 
「スゥスゥー」
「可愛い」
 
「当分はこっちにいるんだろ」
「多分そうなるわね」
 
「それじゃあ時々でいいから、また三人でどっか行かないか、みーもお前に懐いてるし」
「変よね、さっき初めて
会ったばっかしなのに」
 
「さ~な、子供の考えてることなんてさっぱり解らん」
「そんなもんよ」
「だな」
 
「ただいま」
「お邪魔します」
 
「お帰りなさい」
「あら~みーは寝ちまったのか」
 
「ハルヒを散々振り回して疲れたんだろ、布団に寝かせてくる」
「それじゃあ、あたし帰るから」
「ちょっと待て、外は暗いだろ送って行くから、茶でも飲んでてくれ」
 
そう言ってキョンは寝ているみーちゃんを抱えて、
奥の部屋に
 
 
「今日はありがとうございました」
「いえ、あたしも楽しかったです。久しぶりにキョンとも話せましたし」
 
「そう、良かった」
 
「そういえば、ハルヒちゃんとキョンは高校の同級生と言っておったが」
「ハイ、同じ部活動で一緒に活動してました」
 
「付き合ってたのかな~」ニヤニヤ
 
「‐‐そんなんじゃありませんよ」
 
「怪しいな~婆さん」
「こらこら~爺さんあんまりね~ハルヒさん」ニヤニヤ
 
「…………」
 
「ところで、ハルヒちゃん今、恋人はいるのかい?」
「……いませんけど」
 
「「お~」~」
 
早く来なさいキョン
 
 
「寝かせてきたぞ」
「ご苦労様」
 
「お~キョン、ハルヒちゃん今、フリーらしいぞ」
 
「当たり前だ、恋人がいるならこんなとこに一人で
来るわけないだろ」
 
「……悪かったわねフリーで」
 
「あ~ほら帰るぞ」ギュ
「ちょ!引っ張るなー」
 
「ごゆっくり~」
「みーちゃんの心配は
しなくていいですよ~」
 
ハァ~やれやれね
 
「…………」
 
「…………」
 
「……おい」
「なによ」
 
「……ホントに恋人いないのか」
「仕事が忙しくてそんなの作ってる暇なんかなかったのよ……言い寄ってくる男は死ぬ程いたけどね」
 
「ハハァ~どうせお前の顔だけ見て、寄ってきた奴
ばっかだろ」
「そうよ、ホントにくだらない奴ばっかりだった……バカばっかしよ」
 
「ハルヒ?」
 
「あたしね勤めてる会社の社長の息子に付きまとわれてたの」
「ほう」
 
「でも、そいつがまた
腐った奴でなんでも金で
買えると思ってる痛い奴
だったわ」
「マンガみたいだな」
 
「あたしにもやたら宝石とかなんとかを渡して
気を引こうとしてきた。
バカよねあたしがそんな物に釣られる訳ないのに」
「たしかに」
 
「まったく相手にしなかったの」
「ウムウム」
 
「そしたら今度はなんて
言ったと思う
『俺と付き合ってくれたら出世させてやるぞ』って」
 
「…………」
「その場でドロップキックを食らわせてやったわ……あの時はスッキリしたわね」
 
「ハァ~お前の蹴りは痛いんだよな」
 
「そしたら次の日から会社の上司、同僚、後輩……
総でで無視よ、仕事も廻ってこない……取引先にまで圧力が掛かってあたしの
居場所はなくなったの……で現在に至る訳」
 
「クビにはならんかったのか?」
「あたしが頭下げにくるの待ってるのよ
それが狙いでしょ……バカじゃないかしら」
「成る程ね」
 
昔のこいつなら盛大に閉鎖空間のオンパレードだったろうな
 
「まあ~少ないけど給料は出るし、週一で報告書でも提出してたら大丈夫なんじゃない」
 
「ハルヒ……お前は」
「だから同情はいらないって言ってるでしょ!」
 
「…………」
 
「…………」
「……帰る」
 
「ハ……」
「またね」
 
そういってハルヒは俺の手をそっと離れていった。
そんなハルヒに掛ける言葉を俺は……ヘタレ
 
うるせー……クソ
 
次の日
 
ドンドン・ドンドン・ドンドン・ドンドンドンドン
 
「あ~うるさいー」
「ハルヒーオハヨー」
「……よう」
 
「おはよう、みーちゃん」
 
「朝ごはん、食べに行こ」ニィー
「そういうことだ」
 
「ハァ~」
でも……少しだけ救われた気がしたの
 
「みーちゃん、ご飯出来たからキョンを起こして来てちょうだい」
 
「はーい」すたすた~
 
「お婆ちゃん、お味噌汁
このくらいで大丈夫ですか」
 
「どれどれ~ズズゥー……美味しいですよ」
 
「ニィー」
 
 
「いただきますー」
 
あたしが此処に来てから
三ヶ月、すっかりこの生活にも慣れてきて、キョンの家族とご飯を食べるのが
当たり前になっていた。
 
「ハルヒ、醤油取ってくれ」
「ハイ」
 
「ハルヒーお代わり」
「みーちゃん、そんなに食べたらデブに為っちゃうわよ」
 
「大丈夫、大丈夫!みーちゃんはただいま成長期ですから」
 
「ハルヒちゃん~爺さんもお代わり」
 
ハァ~やれやれね
 
 
ピンポーン
「おろ?こんな朝早くから誰だよ」
 
「あたしが出るからご飯
食べてて」スタスタ~
「うい」
 
「良い嫁さんだな」
「お爺さん『まだ』お嫁さんじゃありませんよ」
 
「お嫁さん~お嫁さん~」
 
『まだ』ってなんだ……
 
 
ガラガラ~「ハ~イ」
 
「!!え?」
「ウォ~ー」
 
玄関にはスーツを着て、
驚いた顔をしている二人組が立っていた。
 
「どなたですか?」
 
「も……もしかして、
キョンの奥さんですかな」
 
「先輩、何時の間に!
こんな美人の奥さんを」
 
「いや~奥さんじゃ」
 
「羨まし過ぎるぞーキョン~」
「流石……先輩」
 
「もしも~し、聞こえてますか~」
 
「喧しいぞ~誰が来てるんだハル……なにやってんですか社長」
 
「キョンーいつの間に結婚してたんだ~結婚式呼べよーバカヤロー」
 
「先輩~どうも」
「お前もかよ」
 
…………
 
 
「なんだ~ただの友達か」
「しかし、美人ですね」
 
「……仕事の話しじゃないんですか?」
 
「あ~それでだなキョン」
…………
 
「先方がお前じゃないと
話し合いにならんと」
「…………」
 
「先輩しかいないんです。お願いします」
「…………」
 
「キョン、頼む」
「先輩」
「……解りました」
 
「お~やってくれるか」
「ありがとうごさいます」
 
「おい、お前な~ありがとうじゃねえだろ
しっかりしやがれ、他の奴もなにやってんだ。
俺が会社を辞めて何年経ったと思ってる」
「すいません」シュン
 
「アホ、へこんでる暇が
あったらさっさと行くぞ」
 
「ハイ」
「流石にキョンだ」
 
「という訳で、ちょっと
出掛けてくる」
 
「行ってらっしゃい~」
「今回はどれくらい掛かりそうです」
 
「ウ~ン
一ヶ月くらいで帰ってきたいんだが、こればっかりはどうにも」
 
「こっちは心配しなくていいからの、ハルヒちゃんも居るし」
 
「あんた、会社辞めてるのになんで」
 
「取引先が俺を指名してきたんだ。
たまにあるんだよこんな
のも、ま~知らん仲じゃないし、会社を辞めたのも
こっちの都合だったからな……迷惑かけたし」
 
「ふぅ~ん」
 
 
「ハルヒ!」
「なによ……」
 
「家は任せたぞ」
「しょうがないわね、任されてやるわよ、あんたもしっかり働いてきなさいよ」
 
「ハイヨ、行ってくる」
 
「おみあげ忘れちゃ~ダメだよ」
 
「ハイハイ」
 
 
キョン、信頼されてるんだ……あたしは
 
「どうしたの?ハルヒ」
 
「ううん、さ~みーちゃん今日から幼稚園へはあたしと一緒に行くわよ」
 
「オー行こう」
 
「「行ってきま~す」」
 
「いってらっしゃい」
 
 
幼稚園
 
「先生ーオハヨー」
 
「おはようみーちゃん」
 
「何時もお世話になってます」
「あら?もしかしてハルヒさんですか」
 
「ハイ、でもなんで?」
 
「みーちゃんがあなたの事をよく楽しそうに話してますから」
 
「みーちゃんがあたしの事を?」
「ハイ、美人で優しくて
面白いから大好きだって」
 
「…………」カァー
 
今日の晩御飯はみーちゃんの好きなハンバーグにしようかしら
 
「あと、お父さんとラブラブだって言ってましたよ」ニヤニヤ
 
ハンバーグの横に大量のパセリをトッピングすることにするわ
 
「でも安心しました」
「え?」
 
「キョンさんにもやっと
良い人が見つかって」
「そ・そんなんじゃないんですよあたしたちは」アセアセ
 
「あら~そうなんですか、キョンさん鈍いからな~」
 
「昔からそうなんです。
あいつときたら高校生の時から~~」
 
「へ~キョンさんらしい」
「でしょ、二人で出掛けた時だって~~」
 
「ハァ?鈍い~女心が全然解ってない」
 
「でしょでしょ、それからこんなことも」
 
「最低……」
 
「あんなこともあったわね」
「うわ~」
 
 
「なに~話してるんですか?」
 
「それがね~キョンさんったら~」
 
「え~ホントに!」
 
 
「なになにキョン君がなんだって」
 
色々と人が集まって来て
小一時間ほどの
いどばた会議
幼稚園の先生や近所の
奥さん達とすっかり仲良くなっちゃった。
ほとんどキョンの話し
だったけど
 
……帰宅
 
「ただいま帰りました」
 
「随分遅かったけど、何かあったんですか?」
 
「ハハァーちょっと」
 
……仕事中
 
「お茶どうぞ」
 
「あ~すいません」
 
「…………」カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
 
「どうです?」
「こんなモノは一週間も
あれば有にできますから」
 
「キョンさんから聞きました。お仕事の事」
「…………」
 
「私達はハルヒさんが本当の家族に為ってくれたらと思ってます」
「え……」
 
「みーちゃんのこともありますが、キョンさんにも
幸せになってほしい」
 
キョンの幸せ……
 
「沢山の事を犠牲にして
あの子はみーちゃんとの
生活を取った。
でも、子供は成長して
いつかは親から離れていきます。
そうなった時、傍に居て
くれる人があれば……」
 
「…………」
 
「突然ごめんなさいね、
そこは二人の気持ちもありますし、私達がいくらそう思ってもなかなか」
「いえ」
 
 
あたしはキョンのことを
どう思っているんだろう
お婆ちゃんの言葉があたしの頭を駆け巡っていた。
 
「お久しぶりです」
 
「やあやあ~キョン君
どうしたんだい
もしかしてやっと家の会社に来てくれる気に為ったのかな~」
 
「いえ、今日はその話し
ではないんですが」
 
「ハァ~キョン君が会社を辞めたって聞いた時
ガッツリスカウトに行ったのに話しを聴けば田舎に
帰っちゃうってさ~
あ~もったいないー
もったいないって
あの時はそりゃ~嘆いたんだけどね~」
 
「あの時はホントにすいませんでした。
鶴屋さんに誘ってもらったのに、無下ににしてしまって」
 
「今からでも、遅くないっさー家の会社にはキョン君が必要なんだよね」
「鶴屋さん……」
 
「君は自分が思っているよりもずっとずっと優秀なんだよ」
「…………」
 
「あたしの力になってほしいんっさ~」
 
「……すいません」
 
 
「……ぷ」
「鶴屋さん?」
 
「…ぷぅははーごめんさーキョン君
からかっただけだよ
キョン君は子育てで大変
なんだよね、わかってるっさー」
 
ハァ~やれやれ
 
「今日はじゃんじゃん
飲むっさ~お姉さんの奢りだからね」
「いただきます」
 
 
「そういえば、あたしに
相談があるって言ってたよね、何かっな~なんでも
乗っちゃうよ~どんどん
相談するっさー」
 
「ありがとうございます。実は……」
「なになに?」
 
「ハルヒの事なんです」
「ハルニャン?の事」
 
「ハイ」
「久しぶりに会いたいっさ~今どうしてんのかな」
「……それがですね」
 
説明中
 
「ふぅ~ん成る程成る程」ニヤニヤ
「なんですか、そのニヤニヤは」
 
「いや~ね~そりゃ~」
ニヤニヤ
 
「別に俺とハルヒは
鶴屋さんが思ってるような関係じゃ」
 
「別に隠さなくていいっさでも結婚式には呼んで
おくれよ~」
「…………」
 
 
…………
 
「成る程ね」
「お願いします」
 
「そりゃ~ハルニャンが
有能なのは知ってるけど」
「けど?」
 
「ハルニャンの気持ちは
どうかなー」
「そりゃ、喜んでいきますよ」
 
「ふぅ~君は変わってないね」
「ハァ?」
 
「解ったよ色々準備もあるからね~二ヶ月後くらいにハルニャンに伝えてみるっさー」
 
「よろしくお願いします。それと俺が頼んだことは
ハルヒには秘密にしといてください。
あいつこういう事されるの嫌いですから」
「了解にょろー」
 
お買い物の帰り道
 
「ねえ~お願い」
「だーめ」
 
「えぇ~アイス食べようよ」
「キョンにみーちゃんを甘やかしちゃダメだって、言われてるの」
「ぶぅぶぅー」
 
「晩御飯はハンバーグだから我慢しなさい」
「オォーする!いつまでも我慢しちゃう」
 
「バセリも残しちゃダメよ」
 
「…善処する」
「プゥ…なにそれ」
「おとうさんの真似」
 
「キョンはどうしてるかな~」
「心配ですか」
「ちょっとね」
「大丈夫だよ」
「どうして?」
「だっておとうさんはハルヒのこと大好きだもん」
「そっか、じゃあ安心だ」
 
 
「もうすぐね、パパとママのお墓に行く日なんだよ」
「……妹ちゃんと旦那さんの命日なんだ」
「うん、おとうさんが帰って来たらみんなで行くの」
「そう」
「ハルヒも行こうね」
 
「あたしは行けないわ」
「えぇ~どうして?」
「家族水入らずを邪魔しちゃ悪いでしょ」
 
「じゃあハルヒも家族になればいいんだよ」
 
「え……考えときます」
「ニィー」
 
 
何故か無性にキョンの声が聞きたくなった。
バカみたいとか思いつつ、携帯に手が
 
プルプル~
 
「どした?」
「……別に」
「なんじゃい」
「なんとなくよ」
 
「なんか、いろいろと任せっきりで悪いな」
「別に楽しいし」
 
「そうか」
 
「そういえば、あたしね」
 
「ほう、幼稚園の送り迎えはハルヒがやってくれてるのか」
「うん、お母さん達と凄く仲良くなっちゃった」
「いらんことを話してないだろうな」
「知らな~い」
「ハァ~やれやれ」
 
高校生の時は毎日コイツとこうやって電話してたな~懐かしい
 
「なんか高校時代を思いだすよな」
「……うん」
 
同じこと考えてたんだ
 
「お前と俺、長門、古泉、たまに鶴屋さん」
「SOS団か懐かしいわね」
「みんなどうしてるのやら」
「有希はたまに会うわよ」
「俺は……ぜんぜんだな」
「古泉君は海外でしょ、鶴屋さんは大きな会社の社長だし」
「みんなでまた集まるか」
「……やめとく」
「なんでだ?」
「会社から干されてる身の上でどの面下げて逢えばいいっていうのよ」
「そんなこと誰も気にしないと思うが」
「……やっぱりやめとく」
「そうか」
 
「でもね、今の生活は楽しいよ、みんな優しいし、暖かいし、大好き」
 
「ほぅ~その中に俺は入れてもらってるのかな」
「どうかしらね」
「おい」
「しょうがないから、ちょっとだけ入れてあげる」
「ちょっとかい」
「ハハァ」
 
こんな日常が少しだけ幸せなんだって感じて、ずっと続いても良いかな、なんて思いだし始めていた。
 
 
少しだけ時間が進んで
キョンが帰って来た。
 
結局あたしも一緒にお墓参りに付いて行くことになったけど……お墓の前で
号泣して動かないキョンをみーちゃんと二人で引っ張って連れて帰るのには苦労したわ
 
毎年こうなんだって
 
 
それから家に帰ってお婆ちゃんと晩ごはんの準備をしてる時だった
 
ピンポーン
 
「キョンー出て」
「へいよー」
 
…………
 
「お~い、ハルヒーお前に客だぞ」
「え!あたし?」
 
「こっちは良いから行ってください」
「すいません」
 
お婆ちゃんに台所を任せて駆け足で玄関に
 
「どちら様でしょうか?」
「涼宮ハルヒさんですか?」
「ええ~ハイそうですが」
「突然にすいません。私はこういう者です」
 
そう言って名刺を差し出してきた。
!この会社は……
 
「自宅でお話しをしたいのですが」
「……わかりました。
ちょっと待っててください」
 
キョン達に仕事の話しが
あるから先に食べててと
言って、あたしは自宅に
戻ることに
 O
「社長が是非、家の会社に来て欲しいと」
「鶴屋さんがですか?」
 
「ハイ、あなたが今の会社で不遇の扱いをされていると、とある筋から情報を
得まして、それならば家の会社でと社長はあなたを
非常に高く評価しています。給料も待遇も今の会社より遥かに良いと思いますが」
 
「え……あ」
 
「考える時間が必要でしょうから、一ヶ月後にまた
伺いますので、その時には良い返事が貰えることを
社長共々期待しております」
ペコリ
 
 
今の会社にはなんの未練もないけど、キョン達はどう言うかな?やっぱり喜んでくれるかな
 
あたしの気持ちは……
 
 
トントンー
 
「ハイ」
「俺だ」
「……キョン」
 
「邪魔するぞ」
「どうしたの?」
 
「アホ~何時だと思ってるんだ。もうみんな寝ちまったぞ、まったく話しが終わったなら帰ってこいよ」
 
「ごめん……ちょっと
いろいろ有りすぎて」
「ハァ~とりあえず飯持ってきたから食え」
 
「いや、これってあたしが作ったやつだけど」
「……気にすんなとにかく食え旨いぞ」
「ハイハイ」
 
まったくもう少し気の利いたこと言えないのかしら
……こいつらしいか
 
「ビールも持ってきたが
飲むだろ」
「もちよ」
 
二時間後
 
「ギョ~ン」スリスリ
「暑苦しいから離れろ
酔っ払い」
「な~に恥ずかしがってんのよ~ウヒィヒ」
 
ちゅ
 
「酔っ払いが、ちゅ……」
 
「はむ~ちゅ……ちゅはぁ……ちゅあぁ~ちゅ……どこちゅ……触ってん、うぅ~のよ」
 
「イヤか?」
 
「イヤ……ちゅ、ちゅ……じゃ続け……イヤじゃないから……んちゅ、ちゅ……」
 
「ハルヒ、柔らかい」
 
「ハァハァー熱い、熱いの身体がアゥ~キョン、優し……んちゅ、ウゥ~アハァァアァーーーー」
 
 
大人の時間です
 
 
次の朝、みーちゃんが起こしに来て……忘れたい
 
お酒って恐~