お題「背中合わせで芝生の上に…」 (106-324)

Last-modified: 2009-02-20 (金) 23:33:13

概要

作品名作者発表日保管日
お題「背中合わせで芝生の上に…」106-324氏、329氏、338氏、347氏、368氏09/02/1909/02/19

お題

たまに背中合わせで芝生に座りつつい
「いい天気だな」
「いい天気ね」
と春風に吹かれながら空を眺めるハルキョンもあるだろうかと空想してみる

 

329
Level 1
しばらくは背中合わせで座っているが、しばらくするとハルヒが「飽きた!」立ち上がり走っていく。
キョンからある程度離れた所で「何やってるの! 行くわよ、キョン!」と声をかける。
 
Level 2
背中合わせのまま思い出話など雑談を楽しむ二人。
しばらくするとハルヒが「さぁ、不思議探しに出発よ! キョン!」と言いながら、
キョンの手をひっぱって立ち上がり、二人でどこかへ走り去っていく。
 
Level 3  Level 3改
背中合わせでは飽き足らず、背中から抱きついたり抱きつかれたりを始める二人。
ほおっておくとずっとそのままです。
 
level 4
喧嘩中。
背中合わせで座ってお互いに文句を言いあってます。
 
level 5
背中合わせだけでなく、膝枕、人間ベット、抱き合ったままころがる…etc.
さまざまな体位で抱き合っています。
※ 服は乱れていますが、きちんと着ています。
 
該当levelなし

Level2 (331氏)

気温も暖かくなり、町中でも桜が咲き始めたある日のこと。
いつものように不思議散策を行なった午後。あたしはキョンとペアになり、何となくダラダラと散歩をしていた。
 
「………」
「………」
 
だけど、珍しくキョンが何も喋らないからあたしも何となく黙りこくっちゃって。
退屈ってわけではないんだけど、どうしていいかわからなくなっちゃった。
 
ま、キョンなりに景色を見て楽しんでるのかしら。
しかし一年間こいつといて思うんだけど、そう言う感覚はあるのかしらね。
 
「ねぇキョン。どうせなら公園でゆっくりしない?」
「え?あぁ、別に構わんが…」
「じゃあ決まりね!」
 
景色を見てる訳ではなく、実は考え事でもしていたのかな。
キョンは不意をつかれてビックリした顔をしていた。
何だ。ちょっと気を使ったあたしが馬鹿みたい。
 
とにもかくにも、公園に着いたあたしたちは少し後悔した。
ベンチが殆ど埋まっていたのだ。
これじゃあのんびりもへったくれもないじゃない。
 
「どうする?ハルヒ」
「むー…芝生にでも座りましょ」
 
仕方なく腰をおろすあたしを見て、キョンが不思議そうに少しだけ笑う。
…何よ。
 
「いや、前のお前だったら文句の一つくらい簡単にだしてたんだがな、とか思ってさ」
「…いちいち口に出してもどうにもなんないってわかったのよ」
「そうかい」
 
で、何であんたはそっち向いて座ってんのよ。
 
「何でって、こっちのが景色がいいからじゃないか」
「あのね、あたしが向いてる方が綺麗じゃないの!」
 
まるっきり逆方向を向くキョンにあたしは吠える。
そして言ってから気がつく。
キョンには簡単に文句を言える自分に。
 
あたしが高校に入ってから、何だかんだでずっと側にいてくれた。
あたしのやることなすこと殆どに反論し、それでも最後までつき合ったくれた。
あたし達のSOS団の、グータラな雑用係。
 
そんなキョンの背中はとっても大きく見えて。
気がつけばあたしは一つため息をつき、その背中にあたしの背中を重ねていた。
 
「お、おいハルヒ…」
「いいじゃない。あんたはそっちが見たくてあたしはこっちが見たいんだから。丁度いいでしょ?」
「…まぁいいか」
 
いつの間にか出来ていた、ホントにたまーに縋る場所。
きっと無くなってしまったら。とても不安で…
一年間縋り続けた。どうしようもない時に八つ当たりもした。
文句を言いつつも受け止めてくれた。
そんなキョンが大好きで。
いや、有希もみくるちゃんも古泉くんも。
あたしはSOS団のみんなが好き。
 
「そういえばさ、キョン」
「…なんだ?」
「考え事でもしてたの?歩いてる間、何も喋らなかったじゃない」
「考え事ってわけでもないんだが…まぁ、ちょっとな」
「本当にたいしたことでも無いんだが」
「気になるじゃない。言いなさいよ」
 
暖かな春風がゆっくりと吹く。
桜の花びらがほんのりと揺れ、舞い、側に落ちる。
 
「気がつけばハルヒと一緒にSOS団を立ち上げてから一年間が立つんだなってさ」
「今更気がついたの?」
「考え事をする暇も無いくらいにお前が振り回すからだろうが」
「ふん。雑用係にそんな暇があると思わないことね」
「…これからもか?」
「決まってるじゃない」
 
あんたがいなくなったら、あたしはどうすりゃ良いって言うのよ。全く。
 
「…やれやれ」
「不満なの?」
「別に。まぁ、何だ。また一年間よろしくな。ハルヒ」
「…うん」
「俺もさ、居場所が無くなると少し寂しいしな」
 
何となくだけど笑みがこぼれる。
そのまま声にだして笑う。つられてキョンもクスリと笑う。
 
「甲斐性の無い雑用係の癖に」
「傍若無人な団長には言われたくないね」
 
こんなに楽しい日常をあたしは手放したくなんか無い。
 
「いい天気だな」
 
それでもこれだけは、口に出したら壊れてしまいそうだから。
 
「いい天気ね」
 
あたしは願う。とても強く。
世界のどこかで観測された、綺麗な流れ星に乗るように。
 
『どうか神様願わくば──────』
 
おわり

level 5 (338氏)

(しからば >>329 level 5のルートを行ってみます)
 
ハルヒ「ねえ、キョン」
キョン「なんだ、ハルヒ?」
ハルヒ「こうやって背中合わせで座ってるとさ、思い出さない?」
キョン「何をだ?」
ハルヒ「北京オリンピック!」
キョン「って、レスリングかよ!」
ハルヒ「そう!ちなみにグレコ・ローマン・スタイルよ!」
キョン「女子はフリー・スタイルだけのはずだろ!」
ハルヒ「あんたスカート履いてる相手の下半身狙う気?ヘンタイ!」
キョン「つうか、そもそも制服で中庭でやることか!」
ハルヒ「甘いわね!あたしはいつも不思議に対して臨戦状態よ!」
キョン「俺に言わせりゃ、おまえこそ不思議だよ!」
ハルヒ「あら、青い鳥ってほんとに身近にいたのね」
キョン「そういうことじゃない!」
ハルヒ「さあ、背中をとったわよ、キョン。観念しなさい!」
キョン「誰がするか!」
ハルヒ「あたし渾身のリフトよお!」
キョン「のあああ!」
 
 
国木田「あれ、キョンと涼宮さんだよね。何してるんだろう?」
谷 口「最初は仲良く背中合わせで座ってたんだが、急にアマレスが始まってな。いま、涼宮に投げられたキョンがブリッジでなんとかしのいだところだ」
国木田「……谷口、それずっと見てたんだ?」
谷 口「ああ。……慰めの言葉はいらねえ」
国木田「ほんと、あのふたり仲良いよね」
谷 口「くんずほぐれつ、ごぉゆぅっくりいいいいいい!!」
 
 
(コースアウト・・・  orz )
 
 
はあはあ。勝負あったようね、キョン。
はあはあ。体があちこち痛え。
はあはあ。いますごく気分がいいから、あんたの負け惜しみ聞いてあげるわよ。
はあはあ。……じゃあ、言わせてもらうがな。
なによ?
おまえ、俺のこと、男だと思ってないだろ?
なっ! バカキョン! それはこっちのセリフよ!
なんだと、そりゃどういう意味だ?
言葉通りの意味よ! 自分の胸に聞いたらどう?
……わからん。ドキドキいってるが。
はあ。ここまでバカとは思わなかったわ。
ぐあ、なにする!?
あたしのも聞いてみなさい!
うわ、押し付けるな!
……どう、聞こえた?
……おれよりはやい。ドキドキ言ってるぞ。
って、きゃあ、なにすんのよ!
おれのも聞かせてやる。これでおあいこだろ。
……あたしよりも大きい。ドキドキ言ってるわ。
 
(Level 3に迷い込んだふたり・・・ orz )

level 4 (341氏、343(338)氏)

「あれ?あそこにいるのキョンと涼宮さんじゃない?」
「国木田か。ああ、キョンと涼宮だ」
「なにやってんの?昼休み終わっちゃうよ?」
「それが最初は何か言い愛してたんだが、…間違えた。言い合いしてたんだが、途中で突然二人して背中合わせで座り込んだと思ったらずっとあのままだ」
「ふ~ん。…ずっと見てたんだ」
「…言うんじゃねぇ」
「と言うか喧嘩してても手は繋いだままなんだあの二人」
「…あぁ」
「ああいうのを何て言うんだっけ。何か凄い合う言葉があった気がするんだけど」
「あれだ、」
「「バカップル」」
 
 
パクり?ナニソレ美味し(ry
ごめんなさい

 

(しからば >>341に望遠マイクを設置してみた)
 

ハルヒ「あんたなんか大嫌い」
キョン「ああ、嫌いで結構だ」
ハルヒ「ぜったい絶対許してあげないからね」
キョン「それはこっちのセリフだ」
ハルヒ「手を離しなさいよ」
キョン「おまえこそ離せ」
ハルヒ「うっさい。そんなにきつく握ってたら離すに離せないじゃない」
キョン「わかったよ。じゃあ、1、2、の3で離すからな」
ハルヒ「……わかったわよ」
キョン「1、2、の3。……おい、離せよ」
ハルヒ「やだ」
キョン「離せって」
ハルヒ「いやだ」
キョン「おまえなあ」
ハルヒ「ぜったい離さないからね」
キョン「あのなあ」
ハルヒ「絶対に絶対よ」
キョン「もう好きにしろ」
ハルヒ「ええ、好きにするわ」
キョン「やれやれ」
ハルヒ「あんたなんか大嫌い」
(※にもどる)

該当levelなし……多分 (347氏)

 この時期にしては気温も妙に高く、風もほぼ吹いていない昼下がり。
 渡り廊下を歩いていた俺がふと窓の外に目を遣ったところ、中庭の立ち木の脇の芝の上に座り込んでいるハルヒを発見した。
 当初の予定では旧館に入ったところで階段を上がるつもりだった俺は、何故か下に降りると、自分でも知らない内に中庭の方に足を運んでいたのであった。
「よお、何してるんだ?」
「……別に」
 って何だよ。俺が近づいたときに一瞬こっち向いただろうに、どうして返事するときに俺の方を見もせずに、そうやって空を見上げてる振りしてるんだかね?
「ここ、座ってもいいか?」
「どうぞ」
 俺は敢えてハルヒの隣ではなく、後ろ側に腰を下ろした。少々目測を誤ったのか、肩がハルヒの背にぶつかってしまったが、ハルヒはハルヒで文句を言う様子ではないものの、対抗するかのように俺の背中に体重を掛けてきた。
 柔らかな陽射しが辺りを優しく照らし、それでいて眩し過ぎて目を細めなければならないということもない。
 そんな雰囲気にひたすら流されていたんだろうか? 俺もハルヒもしばらくの間、言葉を交わすでもなく、背中合わせに座ったままの状態で……ただただ、時の流れだけが、ゆっくりと、しかし確実に過ぎていくだけであった。
 しかし、静かだ。ハルヒと一緒にいるのが信じられないくらいに――実際ハルヒの傍にいながらこんなに静謐な空間を共有していることがいまだに俺は信じられなかった。
 ああ、確かにこいつが沈黙することが今までなかったかと言われれば、そんなことはないんだが、そういう場合は間違いなくハルヒは腹の中に何かを溜め込んで爆発寸前ってな感じであったから、こんなにも俺が心安らぐような状態ではなかったわけで……。
 しかし、本当によく解らないね。
 俺の背中に加わる重みはこんなにも軽いというか頼りなさそうなのに、存在感だけはなんでこうもでっかくなっちまったのやら。
 存在感……か。
 大体、俺は部室に向かっていたはずなのに、わざわざ方向転換してまでここに来て、こうして一緒に座って空の雲を観察しなければならないんだ?
 あれほど普段は鬱陶しいとか文句言ってたはずの俺が、何故ハルヒの傍にいるってだけでこんなに落ち着いていられるんだ?
 って、さっきから何をわけ解らんことばかり考えてるんだ、俺?
 ああ、そうか。ハルヒがさっきから黙っているせいで、俺はどこかホッとしながらも、何か違和感を感じているんだろうぜ。
 違和感……きっとそれは、ハルヒがこうして大人しくしていることよりも、あの赤道直下に咲き誇る数々の花よりも鮮やかな笑顔を俺に見せてくれるってのを期待してるってことなのかも知れない……この平穏と引き換えにしてでもな。
「やれやれ」
「うん? なによキョン、どうかしたの?」
「いいや」
「あっそ……」
 
 
 僅かに風が出てきたようだ。
 
 
「……ねえキョン」
「何だ?」
「……ヒマ」
「……そうだな」
「何とかしなさいよ」
「知らん」
「ああもう!」
 俺に掛けられていた体重が失われる。なるほど、これぐらいがハルヒにとっても限界だったみたいだな。
「……ふふっ」
「ちょっと、なによ? 何かおかしいことでもあるわけ?」
「ねーよ」
「……何かむかつくわ。それもこれも、こんなにヒマなのがいけないのよ! ああ! ヒマ、ヒマ、ヒマ~!」
「落ち着けハルヒ。まあここなら転がったところで階段からは落っこちたりしないかも知れんがな」
「うっさい! だったらこれよ! こうして――このままワサワサ動いてやる~」
 ハルヒは寝転がったかと思いきや、ブリッジ状態になって雄叫びを上げた。
「あのな、ハルヒ……こんな場所でそういう体勢を取ったりするとだな……」
 刹那、狙いすましたかのように強めの風が吹き抜けた。
「きゃっ!」
 風に捲り上げられたスカートを正して座り込むハルヒ。
「……キョン……あんた、見たでしょ?」
「……何のこった?」
「白々しいのよ!」
「だから落ち着け、俺は何も見てないぞ。だからお前の下着の色が白だなんてことは全然知らないから安心しろ」
「そ、そう? ……って、こら! やっぱりあんた、しっかり見てたんでしょ、このエロエロキョ~ン!」
 ヤバイ、と逃げ出した俺にハルヒは一瞬で追いつくと、背後から見事なスリーパーホールドを決めてきやがった。
「おいハルヒ、ロープ、ロープ!」
「そんなものあるわけないでしょ! さあ、このまま気持ちよく天国に連れてってあげるからねっ、大人しく昇天しなさい!」
 だ、誰でもいい! 今すぐレフリーになって、ハルヒの締め技から俺を解放……ガクリ。

Level 3改 (368氏)

ハルヒが部室を飛び出していった。
 
事の起こりは数分前。
いつものごとく突然の閃きでイベントを提案してくる人5倍元気な団長殿が
傍若無人な思い付きをしてそれを実行しようとした。
どんな内容だったかは思い出したくないのでここでは割愛させて頂く。
察してくれ。
 
まあ俺自身ついカッとなってしまって、いつぞやの映画撮影の時のように
思わず手を上げてしまう所を副団長古泉に止められた。
しかしそれに気付いたハルヒが俺に怒鳴り散らしたあげく部屋を飛び出して
行っちまったんだ。
 
そのあと古泉と長門の攻めるような視線が俺に突き刺さってきた。
「全くあなたという人は…、もう少し考えてから行動してほしいですね」
「俺に言うな!ハルヒに言ってやれ」
「それを調整するのがあなたの役目です。手を上げる役目ではありません」
「そうは言っても俺だって聖人君子じゃない。頭にくることもある」
「……閉鎖空間発生の確率が上昇中。至急涼宮ハルヒの感情を抑制しないと
 大規模な閉鎖空間が発生する」
「涼宮さんを探して下さい」
「俺もか?」
「あなただけでです」
「俺一人かよ!」
「あなたの役目ですし、あなたが適任です」
「やれやれ」
 
古泉に言われるがまま俺はハルヒを探しに行った。
居場所の見当は何となく付いていた。そしてその予想は当たっていた。
 
文化祭の後、人から感謝されて複雑な心境になって座り込んでいた
あの中庭の木の下にハルヒは腰を下ろしていた。
 
すでに熱の冷めていた俺はさりげなく自然な歩き方で近づいていった。
 
気が付いたハルヒは座ったままそっぽを向いた。
 
俺はハルヒに背を向けて腰を下ろしハルヒと背中を合わせた。
 
「何しに来たのよ」
「別に、どうだ少しは落ち着いたか?」
「何よそれ。それはあたしのセリフでしょ!?」
「ああそうだな。俺も熱くなってた」
 
それからしばらく無言の時間が過ぎた。
不意に背中から重みが消えた。
と思ったら二つの柔らかい感触と一緒に首に腕が巻き付いてきた。
俺の顔のすぐ横にハルヒの顔がある。
「ありがと、止めてくれて」
「ハルヒ?」
「あたし興奮しちゃうと周りが見えなくなるから…、
 キョンが止めてくれなかったらあたし中学の時みたいに独りぼっちに
 なってる所だった…」
「俺たちはハルヒを見捨てたりしないさ」
「でも嫌な雰囲気になるでしょ?」
「そんなことはないさ」
「ありがと」
「ねぇキョン、これからもあたしが暴走しだしたら止めてくれる?」
「団長の暴走を止めるのも団員の仕事だ」
「ずっと?」
「そうだな…まぁずっとだな」
「団員としてだけ?それとも……」
「今は団員としてと答えておく」
「今はってことはいずれ変わるの?」
「変わるかもしれんし変わらないかもしれん」
「変わるつもりは?」
「……今はノーコメントとさせてくれ」
「ふ~ん、まぁいいわ。とりあえずそうしとく」
「そうしといてくれ」
 
ハルヒが立ち上がって俺の手を取る。
「じゃあ部室に行きましょ。みくるちゃんに謝らなきゃ」
「あと古泉と長門にもな、心配してたぞ」
「うん」
太陽も顔負けの笑顔で俺の手を引いてかけだしたハルヒを
俺は生涯見ていたいと思ってしまったことは内緒だ。