がんばれハルヒちゃん (140-198)

Last-modified: 2011-04-04 (月) 03:24:33

作品

概要

作品名作者発表日保管日
がんばれハルヒちゃん140-198氏11/3/2511/3/26

作品

 きっかけは、何のコトは無い日常会話に含まれた一つのフレーズだった。
 それは自分とは遠く離れた世界での出来事。
 降りかかるはずの無い悲劇。
 そう思っていた。
 
 
ハルヒ「…………」
 
ハルヒ「………」
 
ハルヒ「……」
 
 
 
 
 
みくる「涼宮さん? どうしたんですか、そんなところで」
 
ハルヒ「あ、みくるちゃん!」
 
ハルヒ「体重計壊れてるの!!」
 
~~~~~~~~~~~~
 
みくる「涼宮さん……残念ですが故障はしてないみたいです……」
 
ハルヒ「そんな……このあたしが……」
 
みくる「こうなったら、とるべき手段は一つですよ!」
 
ハルヒ「ええ……もちろんよ。必ず取り戻してみせるわ、あの頃のあたしを」
 
ハルヒ「いざ! ダイエットよ!!」
 
ハルヒ「SOS団団長としては、ダイエットするにしてもありきたりな方法を取るわけにはいかないわよね~」
 
ハルヒ「ってなわけで、なんか面白そうなダイエット法は無いかしら?」カタカタ
 
ハルヒ「……! コレは!」
 
【恐怖体験により冷や汗ダラダラ!? 名づけて『心霊ダイエット』!!】
 
ハルヒ「これぞあたしに相応しいダイエットだわ! 痩せてお化けにも会えるなんて一石二鳥じゃない!!」
 
~~~~~~~~~~~~
 
ハルヒ「さあ! そんなワケでやってきました廃病院!!」
 
キョン「どんなワケだ」
 
ハルヒ「ノリが悪いわねぇ、もっと『イェーイ!!』とか囃し立てなさいよ」
 
キョン「そもそも何のためにこんなトコに来たんだ? 俺だけ連れて」
 
ハルヒ「そりゃもちろん…あんたに団長の隣で不思議体験させる栄誉を与えたってだけの話よ!」
 
キョン「謹んで辞退させていただきたい」
 
ハルヒ「却下! そんじゃレッツゴー!」
 
~~~~~~~~~~~~
 
ハルヒ「いやー、雰囲気出てるわねぇキョン!」
 
キョン「いぇーい」
 
ハルヒ「今にもそのへんから飛び出してきそうねー!!」
 
キョン「いぇーい」
 
ハルヒ「まぁ望むところだけどねー!! そのために来たんだからねー!!!」
 
キョン「いぇー……なぁハルヒ」
 
ハルヒ「なっなに!?」
 
キョン「いや腕……まぁそれは別として、さっきからうるさいぞ」
 
ハルヒ「いいじゃない別に! このほうがお化け達も気付きやすいでしょ!!」
 
キョン「そんなもんか?」
 
ハルヒ「そんなもんよ!!」
 
キョン「……まぁお前がそれでいいんなら構わないがッッ!!?」
 
ハルヒ「!? どどどうしたのよ、へへへへ変な冗談は…」
 
キョン「わわわ悪い、さあとっととと進もうぜハルヒイェーイ!!」
 
ハルヒ「……そそそそうね!! 振り返らずにとっとととと進みましょうかキョンイェ―イ!!!」
 
キョン「イェーイ!!!」
 
ハルヒ「イェーイ!!!!」
 
キョン「イェッ………」
 
ハルヒ「………」
 
キョン「………」
 
 
生首「………」
 
 
生首「いぇーい」
 
ハルキョン「「いやああああああああああああーーーーー!!!!!!」ダダダダダ……
 
 
古泉「……やりすぎましたかね?」
 
生首(長門)「いぇーい」
 
 
 
Ⅰ、『心霊ダイエット』
冷や汗より大声を出したことによるカロリー消費大、
「主旨から外れている」という団長の確固たる主張により断念。

がんばれハルヒちゃん 第二話

ハルヒ「ふむふむ、『ミラーダイエット』か。なになに……」カチカチ
 
ハルヒ「……なるほど、現実の自分と理想とする自分をあえて視覚的に重ね合わせることで、モチベーション&実際の効果アップにもつながるってワケね」
 
ハルヒ「面白そうじゃない。さっそく今夜から始めてみよっと」
 
 
~~夜(自宅)~~
 
 
ハルヒ「え~っと、手順は…」カタカタ
 
『①まず、全身が映る大きな鏡を準備します』
『②その後、鏡に全身を映して(なるべく裸のほうがよい)、客観的に自分の体を観察するのです』
 
ハルヒ「鏡はOK、で……まぁ自分の部屋だし恥ずかしがる必要も無いわね」ヌギヌギ
 
ハルヒ「で、観察するポイントとしては…」
 
『まず全身を見る』
『左右側面のシルエットを見る』
『手鏡などを使って後ろのシルエットを見る』
『体をねじったり、曲げたりして見る』 など。
 
ハルヒ「……か。どれどれ」
 
『夜はお風呂上がりに裸のままで観察し、この肉なんとかしたいなぁ、など言いながらマッサージしてみるのもいいでしょう。とにかく毎日鏡で全身を見ることを習慣にすることが大事なのです』
 
ハルヒ「……う~ん、やっぱり二の腕のぽよぽよが……お腹周りもちょっと……」
 
『③あとはウォーキングやストレッチなど、好きなダイエットを組み合わせればいいでしょう。そのうちに、自分の体の変化が目に見えてわかるようになることでしょう』
 
ハルヒ「よぉし、じゃあこのままストレッチ開始!」グッ
 
 
~~~~30分後~~~~
 
 
ハルヒ「うぅっ、さすがにちょっと冷えてきちゃったわね。ずっと裸だったし」
 
ハルヒ「今日はこのくらいにしておこうかしら……あら? まだ続きがあるわね」
 
【番外:鏡を見ながら自己暗示でダイエット!】
 
『鏡を見るときは、私はもっとやせて綺麗になる、と鏡の中の自分に話しかけ自己暗示をかけてみましょう』
『そうすると、本当にやせたり、綺麗になってくるそうなのです』
『これは脳の働きによって、ある種のホルモンが分泌され、その効果が促されるからだと言われています』
『また、自己暗示の効果は心理学でも実証されています』
『自己暗示で綺麗になれるなら、利用しない手はないでしょう』
 
ハルヒ「ほうほう、自己暗示ね……じゃあ最後にこれやって終わりにしましょう」
 
ハルヒ「(…あたしはもっとやせて綺麗になる、綺麗になる…)」
 
ハルヒ「(…アイツが思わずあたしに惚れちゃうくらい綺麗になる…)」
 
ハルヒ「(…あたしに惚れちゃって沸き立つ衝動を抑えきれなくなるくらい綺麗になる…)」
 
ハルヒ「(……抑えきれずに「綺麗だぞ、ハルヒ」なんて言って抱きしめてくるくらい綺麗になる…)」
 
ハルヒ「(……そのままあたしを押し倒し溢れる情動を隠しもせずに熱いベーゼを交わすくらい綺麗に…)」
 
ハルヒ「(…………)」
 
ハルヒ「(…………)」
 
 
~~~~30分後~~~~
 
 
ハルヒ「…………ハッ!?」
 
ハルヒ「し、しまった……思わず妄想に耽ってしまったわ」
 
ハルヒ「…ふぇ……えくちゅんっ!!」
 
ハルヒ「うぅ、今日はもう寝よっ」
 
ハルヒ「おやすみなさーい」カチ
 
ハルヒ「………」
 
ハルヒ「………」
 
ハルヒ「………」
 
ハルヒ「キョン……あたしが綺麗になったら、もっとあたしを見てくれるかな……」
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
古泉「どうかされましたか? ここ何日か妙に眠そうですが」
 
キョン「いや……言っても信じやしないだろうから言わん」
 
古泉「そう仰らずに。何でも相談してくださいよ」
 
キョン「…………最近、夜になるとな。クローゼットの鏡に映るんだよ……」
 
古泉「……何が、ですか?」
 
キョン「…………ハルヒが。素っ裸の」
 
古泉「」
 
キョン「それもなんか、こう…見せつけるようにというか……アングルも正面だったり横からだったり……」
 
古泉「……」
 
キョン「…古泉? ……やっぱ信じないよな、こんな与太話」
 
古泉「……まぁ、俄かには……ですがもしかすると」
 
キョン「……ハルヒの力だってのか?」
 
古泉「ええ、そこに至る理由などはハッキリしませんが。つきましては原因を究明する必要がありますね」
 
 
 
古泉「なので今日泊まらせて下さい」
 
キョン「断る」
 
 
 
Ⅱ、『ミラーダイエット』
継続。しかし長門によりキョン宅の鏡に防護フィールドが施される

がんばれハルヒちゃん 第三話

ハルヒ「はぁ……思うように体重減らないわね……」
 
鶴屋「おやおやハルにゃん、そんなこと気にしてるのかいっ?」
 
ハルヒ「あ、鶴屋さん」
 
鶴屋「ダイエットねぇ……なぁに簡単っさ! こう思えばいいんだよ…」
 
 
 
鶴屋『脂肪ではなく、筋肉!』
 
ハルヒ「筋肉!!」
 
鶴屋『今は成長期ッ!!』
 
ハルヒ「今は成長期ッ!!!」
 
 
 
ハルヒ「でも筋肉で体重増ってのも女の子としてどうなの?」
 
鶴屋「そこは考えちゃダメっさー」
 
 
 
 
Ⅲ、『思い込みダイエット』
「それダイエットじゃなくてただの逃避じゃない?」
断念。

 

がんばれハルヒちゃん 第四話

鶴屋「っていうかハルにゃん、別に太って無いじゃんかー」
 
ハルヒ「そっそう?」
 
鶴屋「うんうん! スレンダーな割に出るトコ出てるっていうどっかの雑用さんの台詞は有名だよ?」
 
ハルヒ「!! そそそそっかぁ~、……えへへぇ」
 
鶴屋「気にするコトないっさ、ハルにゃんはそのままのハルにゃんであるべきだよ!」
 
ハルヒ「やだも~、そんな褒めても何もでないわよぉ~?」
 
ハルヒ「それにスレンダーなんて鶴屋さんにこそ相応しい言葉じゃない。あたしも出来ればそれくらいになりたいってのもあるしぃ…」
 
長門「………」
 
長門「………」クイクイ
 
鶴屋「ん? なんだい長門っち」
 
長門「何センチ?」
 
鶴屋「あたしの身長? 160センチだよ」
 
長門「何キロ?」
 
鶴屋「○○キロだよ」
 
ハルヒ「!!!!」
 
鶴屋「って、こぉら長門っち! レディに体重訊ねちゃだめっさー」
 
長門「そうなの?」
 
鶴屋「そうなの! ……ってアリ? ハルにゃん?」
 
ハルヒ「……あたし……158センチで………うわあああぁぁぁぁん!!」ダダダダダ…
 
鶴屋「ハルにゃん? ハルにゃーん!!」
 
~~~~~~~~~~~~
 
ハルヒ「うぅっ……あたしなんて…………はっ!?」
 
長門「………」
 
ハルヒ「有希……あたしを笑いにきたの…?」
 
長門「違う。先ほど私が貴女の前で彼女の身長・体重を明らかにしたのには理由がある」
 
ハルヒ「理由……?」
 
長門「減量の際には明確な目標を持つ事が重要」
 
ハルヒ「目標…」
 
長門「そう。これであなたは少なくとも彼女以下の体重を目指すべきということが明らかになった」
 
ハルヒ「! 確かに…」
 
長門「他には目標とする体型を正確にイメージする事にも大きな効果がある」
 
長門「毎晩鏡を見ることに加え、目指す人物の写真を見るなどすればより良いと思われる」
 
ハルヒ「なるほどっ! さっそく試してみるわ、ありがとう有希っ!!」
 
ハルヒ「ええと、カメラカメラ……」ガサゴソ
 
ハルヒ「……あった!」
 
ハルヒ「じゃ行ってくるわねー!」ガチャ タタタ…
 
 
 
 
ア、ミクルチャーン! チョットシャシントラセテー!!
 
長門「!?」
 
 
 
 
Ⅳ、『写真ダイエット』
「えっ? なななにを……いやあ! 脱がさないでください~~!!」
「……にょろーん」
断念。

がんばれハルヒちゃん 第五話

ハルヒ「う~ん。もっとこう、色んなアプローチができるオモシロダイエットはないかしら……」カタカタ
 
ハルヒ「む、『風船ダイエット』? なになに…」
 
 
『その名の通り、風船をふくらませることで脂肪燃焼をねらうダイエットです』
『風船をふくらませる運動は、実は下腹を使って息を吐くので自然と腹式呼吸に似た状態になるのです』
『普段私たちは胸式呼吸をしているので、腹式の練習にもなります』
『また腹式呼吸は、エアロビクス効果があったり、食欲を減退させたりもします』
『同時に内臓をマッサージする状態になるので、内臓脂肪にもアプローチできるダイエットの友なのです』
 
 
ハルヒ「お手軽な割に色々効果あるみたいだし、なにより面白そうね。さっそくチャレンジよ!」
 
~~~~~~~~~~~~
 
ハルヒ「すぅ~~~」
 
ハルヒ「ふ~~~~っ!」プクー
 
ハルヒ「すぅ~~~」
 
ハルヒ「ふ~~~~っ!」プクー
 
ハルヒ「……う~ん、思ってたより面白くはないわね。まぁ面白いダイエットなんてそうそう無いでしょうけど」
 
コンコン  ハイリマスヨー  ガチャ
 
キョン「うぃっす……ってなんだ、このとんでもない数の風船は?」
 
ハルヒ「あ、キョン」
 
キョン「お前の仕業か? まったく……ここ最近、前にもまして妙な行動が多いな」
 
ハルヒ「妙とはなによ! せっかくあたしが…っ」
 
キョン「? 何だよ」
 
ハルヒ「な、何でもない! ……あ、そうだキョン。ちょっと協力…じゃなくてゲームしない?」
 
キョン「ゲーム?」
 
ハルヒ「そう! 順番にこの風船を膨らませていって、割った方が負け!」
 
キョン「よくバラエティとかでやってるヤツの人力版か。……まぁいいぜ、どうせ暇だし」
 
ハルヒ「じゃ、あたしからね。ふぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」プクーーーーーッ
 
キョン「あっ、このヤロウ! つーかこれ圧倒的に後攻が不利だろ」
 
ハルヒ「ふっふっふ、気付かない方が悪いのよ。さぁあんたの番! 5秒が最低ラインね!」
 
キョン「むぅ……」
 
ハルヒ「(……あれ、ちょっと待って。これって…)」
 
キョン「ふ~~っ」プクー
 
キョン「………よし、セーフだな。ホレ」
 
ハルヒ「あ、うん…」
 
ハルヒ「(間接……いやそれより、今この風船の中であたしとキョンの吐息が混ざり合って…!)」
 
キョン「ハルヒ?」
 
ハルヒ「(いやいや、なに意識してるのよ! そんなの気にすることでもないじゃない!)」
 
キョン「……おーい」
 
ハルヒ「(……でも普通に考えて、『息』が混ざるなんてそうそうあることじゃ無いわよね…?)」
 
キョン「ハルヒー」
 
ハルヒ「(それこそ、かなりディープなアレでもしない限りは…)」
 
キョン「ハルヒさーん」
 
ハルヒ「(つつつまり今、あたしとキョンは間接的にディープなアレをした事に!?)」
 
キョン「ハルハルー」
 
ハルヒ「(いやいやいや、それは短絡的過ぎ! てゆーか思考が変態的なソレになってるわよあたし!!)」
 
キョン「ハルにゃーん」
 
ハルヒ「(って誰が変態よ! 違うわ!! これは…そう、思春期なだけよ!! 別名春機発動期!!)」
 
キョン「…………実は俺……ポニーテール萌えなんだ……」
 
ハルヒ「(そう、ただの思春期……そういえば思春って『春を思う』って書くわね……)」
 
キョン「……これでもダメか。あーもう、」
 
ハルヒ「(『俺は常に思春期なんだぜ…何故って? いつもハルヒを想ってるからさ』とか…きゃー///)」
 
キョン「ハルヒッ!!」
 
ハルヒ「ふぁっ!?」
 
 ぼひゅぅっ!!
 
ハルヒ「ッ!?!?」
 
キョン「あーあー、空気抜けちまったじゃ……ってハルヒ?」
 
ハルヒ「」
 
キョン「気絶っ!? 何でだオイ起きろハルヒ!! 俺の息そんなに臭かった!?」
 
 
 
 
Ⅴ、『風船ダイエット』
「だからあたしは思春期なだけで決して変態じゃないしいやキョンの息が臭かったとかそういうワケでもな」
断念。

がんばれハルヒちゃん 第六話

ハルヒ「ふぅ……やっぱりもっと身体を動かす系のダイエットがいいのかしらね」カチカチ
 
ハルヒ「……お? 『後ろ向きダイエット』? 何コレ」
 
 
『後ろ向きに歩くと、ハムストリングス(モモの裏)や下腿三頭筋(ふくらはぎ)など普段使っていない場所に負荷をかけることが出来ます。また体のゆがみも矯正できるということです。』
『ただ危ないですね。それと恥ずかしいようにも思います。』
 
 
ハルヒ「フッ。この程度のことを恥かしがってちゃあ、SOS団団長は務まらないわ。やってやろうじゃない!」
 
~~~~翌朝~~~~
 
キョン「あ~、やっぱ朝からこの強制ハイキングはキツイな……ん?」
 
ザワザワ…
 
キョン「何だ? 朝っぱらから随分騒がしいな………って!」
 
ハルヒ「ふぅ、ふぅ……思ったより疲れるわね………あ、キョン! おはよー」
 
キョン「……思わず他人のフリしようかと思った俺を誰が責められようか」
 
ハルヒ「そんなコトしようもんなら、後でどんな罰ゲームが科せられるか、分かってるでしょーに!」
 
キョン「はぁ。……で? 何やってんだお前。いつもならとっくに教室にいる時間だろうが」
 
ハルヒ「普段と違う、歩法を行うことにより、不思議を引きつけようという、極めて気高い試みよ!」
 
キョン「『怪高い』の間違いだろ」
 
ハルヒ「はぁ? 何言って……ぉわっ!?」グラッ
 
キョン「危ねっ!」ガシッ!!
 
ハルヒ「!」
 
キョン「大丈夫か? ったく……不思議の探究はいいが、もう少し安全面にも気を配れっての」
 
ハルヒ「………」
 
キョン「……ハルヒ?」
 
ハルヒ「……ふ、フンッ! ちょ、ちょっと疲れて足がもつれただけなんだからね!」
 
キョン「理由がなんであれ、危ないのには変わりないだろうが」
 
ハルヒ「うう……」
 
キョン「やれやれ。次またそれやる時は声かけろよ」
 
ハルヒ「え?」
 
キョン「お前の事だ、どうせまた性懲りも無く同じ真似するだろうからな」
 
キョン「仕方なく俺が危機管理を担当してやろうって言うんだ。ありがたく思え」
 
ハルヒ「な…え、偉そうなこと言うんじゃないわよ!! っていうかあんたに決定権は無いんだからね!!」
 
ハルヒ「あたしが命じるわ、この独自の不思議探索をする時は必ず傍に居ること!! いいわね!?」
 
キョン「結局同じコトだろうに」
 
ハルヒ「いいから! 絶対よ、約束なんだからね!!」
 
 
 
 
Ⅵ、『後ろ向きダイエット』
継続。ただし実行はキョンが近くにいる時に限る。

がんばれハルヒちゃん 第七話

ハルヒ「やっぱり、カラダの普段使って無い部分を鍛えると充実感が違うわね」
 
ハルヒ「他にも運動系のオモシロダイエットは無いかしらっと」
 
ハルヒ「……って『自衛隊式ダイエット』? なんか凄そうね。なになに……」
 
 
『自衛隊式ダイエットは、自衛隊に在籍していたことのある女性の方が考案したエクササイズです』
『ほふく前進が中心となり、特にワキや二の腕などに負荷をかけることができます』
 
 
ハルヒ「なーんだ、実際に自衛隊でやってるワケじゃないのね」
 
ハルヒ「でも、ほふく前進か。……確かに良さげな運動かも」
 
 
~~~~~~~~~~~~
 
 
ハルヒ「第1回、SOS団ベスト・クリーパー選手権~!」ドンドンパフパフー
 
キョン「なんだ突然。つーかクリーパーって何だ?」
 
古泉「たしか…[creep]で『這って進む』や『ゆっくり動く』などの意味があったかと」
 
ハルヒ「そのとーり! 要するに、誰が一番ほふく前進が上手いかを競うのよ!」
 
古泉「成程、それでクリーパーですか。納得しました」
 
ハルヒ「実際は別の意味らしいけどね。まぁそれは置いといて、さっそく皆廊下へゴー!!」
 
キョン「いつものことだがホント唐突だな……ってオイ、これは何だ」
 
ハルヒ「エアガンよ、それも含めて順番に説明するわ。一回しか言わないからしっかり叩き込みなさい」
 
キョン「なんでワンチャンス?」
 
ハルヒ「まず勝負方法ね。50m先に置いたフラッグをいち早く取った人が勝ち!」
 
ハルヒ「もちろん移動方法はほふく前進のみよ。そしてここで重要なのが、頭の高さ!」
 
ハルヒ「ほふく前進は敵に撃たれないように近づくためのものだっていうのは知ってるわよね?」
 
ハルヒ「それを再現するために、頭が一定以上の高さになったらエアガンの餌食になってもらうわ」
 
みくる「ふぇっ!?」
 
キョン「穏やかじゃないな……万が一、目とかに当たったらどうすんだよ」
 
ハルヒ「大丈夫よ、狙撃手は有希にお願いするから。イケるわよね有希?」
 
長門「イケる」
 
キョン「……まぁ確かに長門なら安心か」
 
古泉「撃たれたら失格ですか?」
 
ハルヒ「いえ、5秒間その場から動いちゃダメってことにするわ。他になんか質問ある?」
 
みくる「あ、あの…あたし、ほふく前進ってどういうのかよく……」
 
ハルヒ「そこ!? う~ん、どう説明すれば……そうだ、キョンちょっとやってみなさい」
 
キョン「俺かよ。まぁいいが………よいしょっと」
 
ハルヒ「そうそう。こんな感じで地面に伏せて、主に腕の肘から先と、脚の膝から下を使って進むのよ」
 
みくる「トカゲさんとかみたいな不思議な進み方ですね~」
 
ハルヒ「そして……キョン、ちょっとこっち向いてー」
 
キョン「ん?」
 
パァンッ!!
 
キョン「ぐおっ!?」
 
長門「………」
 
ハルヒ「見事な反応よ有希! みんな覚えたわね? あのくらい頭が高くなったら撃ち抜かれるからね!」
 
キョン「事前に言えよ!! 本気でビックリしたぞ今!!」
 
ハルヒ「甘いわね。戦場では一瞬の気の緩みが命取りとなるのよ」
 
キョン「理不尽な……つーか長門、ライフルは片手で構えるもんじゃないからな」
 
ハルヒ「さぁ、説明はこんなもんでイイかしら? それじゃさっそく始めるわよ!」
 
 
~~~~~~~~~~~~
 
 
古泉「皆さんこんにちは。『第1回SOS団ベスト・クリーパー選手権』、実況の古泉です」
 
みくる「か、解説の朝比奈みくるです」
 
古泉「この時点で何となく展開が読めるかと思いますが、どうか暖かい視線をと願う所存です」
 
古泉「それでは早速ですが選手紹介に参りましょう。第一のコース、我らが団長・涼宮ハルヒ選手です」
 
古泉「競技場の都合により一度に2人までしか参戦できないと知るや、颯爽と立候補して下さいました」
 
古泉「本大会の発案者でもある彼女ですが、張り切っているようですねぇ。準備運動に余念がありません」
 
古泉「続いて第二のコース。SOS団の縁の下の力持ち、我らが主人公・キョン選手です」
 
古泉「諸事情により本名不詳という謎めいた部分も魅力的な彼ですが、朝比奈さん。彼をどう見ますか?」
 
みくる「ふぇっ? え、えと、あの、い、いつも迷惑かけてごめんなさいって思ってます」
 
古泉「ありがとうございます。おや、お二人の準備が整ったようですね」
 
古泉「それでは狙撃手担当の長門さん。スタートの合図をお願いします」
 
  パァンッ!!
 
古泉「さぁ始まりました。何段階か飛ばしての銃声によるスタートでしたが、2人ともさすがの反応ですね」
 
古泉「おっと、まずは涼宮選手が前に出ました。運動神経抜群なだけあり、動きに無駄が無いですねぇ」
 
古泉「しかし負けじとキョン選手も食らいつきま」
 
  パァンッ!!
 
古泉「………」
 
長門「………」
 
古泉「急ごうとするあまり、頭の位置が高くなってしまったようですね。キョン選手、ペナルティです」
 
古泉「序盤であまり差が開いてしまうと挽回は難しいかと思いますが、朝比奈さん、どうでしょうか」
 
みくる「あ、えっと、長門さんの弾が当たったところ痛そうだなって思います」
 
古泉「ありがとうございます。おっとここで涼宮選手、得意げな顔で後ろを振」
 
  パァンッ!!
 
古泉「………」
 
長門「………」
 
古泉「先程キョン選手が実演した愚を自ら犯してしまいましたね。これは彼女らしくないミスです」
 
みくる「涼宮さん、悔しそうな顔してますね~。逆にキョンくんは笑いを堪えるのが大変そうです~」
 
古泉「そしてペナルティが解けたキョン選手、一気に追い上げます」
 
古泉「涼宮選手、焦り顔です。そして今キョン選手、涼宮選手を追い抜いた!」
 
みくる「あ、涼宮さんもペナルティが終わったみたいですね。一生懸命キョンくんを追いかけてます~」
 
古泉「互いの肩や腕が激しくぶつかり合っています。これは猛烈なデッドヒートだ」
 
古泉「…おや、熱戦を繰り広げながらも何やら会話を交わしているようですね」
 
みくる「ふぇぇ、2人の顔がすっごく近くなってますぅ///」
 
古泉「ですがお互いまったく意識していないようです。彼ららしいですねぇ」
 
古泉「おっと、しかしここで涼宮選手が抜きん出た!」
 
古泉「キョン選手、必死に追いますがグングン差が開いていきます」
 
みくる「きょ、キョンくん頑張って~!」
 
古泉「やはり身体能力の差は否めないの」
 
  パァンッ!!
 
古泉「………」
 
長門「………」
 
古泉「……おや? どうしたことでしょうか。キョン選手の動きが止まってしま」
 
  パァンッ!!
 
古泉「……撃たれても意に介さず、茫然と涼宮選手を見つめていま」
 
  パァンッ!!
 
古泉「これは……あぁ、なるほど」
 
  パァンッ!!
 
みくる「え? ど、どういうことで」
 
  パァンッ!!
 
みくる「涼宮さんも止まっちゃいましたよ? 不思議そうに後ろを振り返」
 
  パァンッ!!
 
古泉「なに、見ていればわかりますよ。あ、長門さん? もう狙撃は結構かと」
 
みくる「な、なんなんですか? ……あれ、よく見るとキョンくんの顔が赤いような…」
 
古泉「はい、あとは彼らの位置関係を見れば明白でしょう」
 
みくる「……あ///」
 
古泉「そういうことです。むしろここまで誰も服装に突っ込まなかったのが不思議ですねぇ」
 
古泉「あぁ、涼宮さんも気付いたようです。ものすごい勢いで彼のところまで戻っていきました」
 
みくる「ふぇぇ、また何か言い争ってますぅ」
 
古泉「内容が容易に想像できますね。これはもう続行不可能でしょう」
 
みくる「……えぇと、この場合どっちの勝ちになるんでしょうか」
 
古泉「普通に考えれば無効試合……といったところでしょうが、僕は彼の勝ちだと思いますよ」
 
みくる「えっ? どうしてですか?」
 
古泉「この勝負は『ベスト・クリーパー』を決めるものですよね?」
 
古泉「実はクリープ(creep)には、『助平なやつ』という俗な意味合いもあるんです」
 
みくる「すっ、すけっ!?///」
 
古泉「ええ。まぁこれ以上のコメントは何やら僕も不利になりそうなので自粛しておきますが」
 
古泉「というわけで、『SOS団ベスト・クリーパー選手権』、勝手ですがこれにて終了とさせていただきます」
 
古泉「長々とお付き合いくださり誠にありがとうございました。第2回大会までどうかごきげんよう…」
 
みくる「……たぶん、もう無いと思うんですけど」
 
 
 
 
Ⅶ、『自衛隊式ダイエット』
「だからワザとじゃねぇって!! つーかお前の格好にも非はあるだろ!?」
「ううううっさい!! アホキョン!! エロキョン!! せせせ責任取んないと許さないんだからね!!!」
「なんの責任だよ!! 大体前は平気で人前で着替えてたろ!! …………」
色々と断念。