さらば倦怠ライフ (46-702)

Last-modified: 2007-04-18 (水) 22:48:23

概要

作品名作者発表日保管日
さらば倦怠ライフ46-702氏07/04/1807/04/18

作品

「今日も暇だなぁ~なんか面白いこと無いかしら…ねぇ、キョン!なんか無い?」
あ~うるさい…俺は飯を食べたばかりで眠いんだ。寝させてくれ
それに昼休みはダラダラすごすのが一番なんだ
だから後ろでブツブツ言わないでくれ。うるさくて眠れん!

 

「ねぇ、キョンてば!無視しないであたしの相手しなさいよ!バカキョン!」
ふん!うるさいぞ!いくら俺の背中を突っついても無駄だからな!
俺は寝ると決めたら寝るんだ!俺は自分のポリシーを貫く!

 

「何よ、キョン!いつも寝たふりなんかして…腹立つわね!」
なんとでも言え。俺は寝るんだ。こんな天気のいい日に寝ないなんてもったいない
お前も寝たらどうだ?飯食ったあとの昼寝は最高だぞ?

 

「つまんないわねぇ~~なんか面白い事ないのかしら……」
無駄だぞ、ハルヒ。そんな簡単に面白いことなんて見つかるわけがない。
毎日何事もなくのんびりすごそうぜ?ふぁ~あ…眠いなぁ…

 

「むぅ~…あ!キョン!面白いこと思いついた!ねぇ、キョン!起きて!こっち向いてよ!」
なんだぁ?お前の言う面白いことは面白かったためしが無いぞ?
一人でやってくれ。とにかく、俺は寝る

 

「キョン!いいから、こっち向きなさい!あたしが眠気をさましてあげるわよ!
ほら、キョン!バカキョン!」
はぁ…うるさくて眠れん。しょうがない…付き合ってやるか…
で…なんだ?起きてやったぞ。ほら、早く面白いものとやらを見せてみろよ

 

「よし、起きたわね!行くわよ?覚悟しなさい!くらえ!キョン!」

 
 

ハ、ハ、ハ…

 

ハルヒビ~ム!!

 
 

「ば、バカ!何やってんだ!!は、恥ずかしくないのか?」
「へへ…どう?面白かった?映画撮影のときのみくるちゃんの真似してみたの!眠気覚めたでしょ?」
あ…あぁ、確かに眠気は覚めた…けど、ハルヒ…恥ずかしすぎるぞ!!
高校生にもなって『ハルヒビ~ム』だなんて…き、聞いてられん////

 

「よぉ~~し、もう一回発射するわよ!あたしのことを無視した罰なんだからぁ!!」
「や、やめろ!わかった!お前の相手をしてやる!だから、もうやめてくれ!」
「問答無用!!いくわよ!目標キョン!!砲撃準備よし!発射ぁ!!!」

 

ハルヒビ~ム!ハルヒビ~ム!ハルヒビ~ム!

 

あぁ~~~死ぬ!耳栓をくれ!恥ずかしい…許してくれ、ハルヒ!
ご勘弁を!団長様!!

 

「ふん!許さないんだから!!あたしを無視するなんて百億光年早いわよ!!
あ…谷口発見!食らえ!ハルヒビ~ム!!」
谷口逃げろ!恥ずかしさで…死ぬぞ!

 

「うおっ!?まぶし!!あ、あぁ~~…目が…目が…目がぁぁぁぁ!あぁ~~~…」
「谷口…あんたずいぶんノリがいいわね。鼻血までだして…まぁ、かなりアホに見えるけど
でも…キョンも毎日ダラダラ寝てないで少しはアホの谷口を見習うべきね!
あんたいつもテンションが低すぎるわよ!」
なぜに俺が谷口なんか見習なきゃいかんのだ…意味がわからん
それにしても谷口。なんで俺の顔ばっかり見てるんだ?しかもニヤニヤしながら…
気持ち悪い…鼻血出てるぞ、アホ…

 

「そういえば…キョンって本当にいつもノリが悪いわよね
何って言うか…冷めてるわ!あたしが背中突っついても相手してくれないし…
…そうよ、キョン!あんた…もうちょっと、テンションを上げていかなきゃダメよ!
よし!あんた今から悪者の役をしなさい!あたしがその悪者を『ハルヒビ~ム』で追っ払う正義の使者の役をやるわ!
さぁ、テンション上げて始めるわよ!」
「な、なんで俺がそんなことしなきゃいけないんだ!!お前の言うようにノリのいい…谷口にでも頼め!」
「バカ、あんたのためにやるんだから谷口にやらせてもしょうがないでしょ。さぁ、始めるわよ!」
くそ、なんだ…この状況!…谷口!助けてくれ!焼きそばパン奢ってやるから!!

 

「ふふふ…キョン…それにしてもお前、今いい顔してるなぁ~~
さっきからずっと見てたが…顔がずっと真っ赤だぞ?
…おっと!どうやら俺はもう用なしだな…ではお二人さん!!ごゆっくり~!!」
くそ…谷口、お前…楽しんでやがるな…てか、鼻血拭けよ!

 

「さぁ~て、始めるわよ!怠惰星人キョン!あたしが退治してやる!
…ってほらキョン!悪役を演じなさいよ!『ぐぇっへっへ!!』とか言いなさい!」
「う、うるさい!そんな事言えるか!もう知らん!…一人でやれ!」
「あ…ちょっと…待って!キョン…待ってよ!」
こ、こんな恥ずかしいこと付き合ってられるか…俺は悪役なんてやらんぞ!
さて、どこに行くか…しょうがない、部室にでも行ってのんびりするかな

 

………
……

 

あぁ、疲れた…やっと落ち着くところに来れたな
はぁ…もう一眠りといきたいところなんだが…昼休みももう終わりじゃないか…
大体、逃げたって授業のときはハルヒと顔を合わせなきゃいけないわけだし…意味なかったな
………
それにしても…俺が教室から飛び出したときに見せたハルヒの顔…
なんか悲しそうな顔してたな…なぜだろう。…俺、ハルヒに何かしたのかな…

 

「キョ~ン!どこぉ!どこ行ったのよ!早く出てきなさいよ!授業始まるわよ!」
げっ!ハルヒの声だ…まずい。ここじゃ隠れる場所なんて机の下ぐらいしか…
やむをえん…

 

「キョ~ン!どこよぉ!出てきなさい!」
ハルヒのやつ、あんな大きな声で俺の名前を呼びやがって…
………
もしかして、あいつ…俺の名前を呼びながら学校中を歩き回ってるのか?
やれやれ…恥ずかしいやつだ…

 

ガチャ

 

「キョン、部室にいるの?…あれっ?誰もいない…」
あぁ、そうだ。ここには誰もいないぞ。頼むから机の下なんて見るなよ!
…って…俺はなぜ…ハルヒから隠れてるんだ?
ハルヒビームが恥ずかしいからなのか?いや…違う
なんだ、この罪悪感は……俺は何も悪いことなんてしてないはずなのに…
きっと…お前があんな悲しそうな顔を見せたからだ…
俺は何も悪いことなんてしてないぞ……たぶん…

 

「…ん?キョン、何してんの?机の下なんかにもぐりこんで…」
あ…ちくしょう…ばれた…ってハルヒ!ちょっと待て!
お前まで机の下に入ってくるな!狭い!

 

「もう、逃がさないわよ!キョン!さぁ~て…この至近距離でビ~ムを撃ったらどうなるかしら?」
待て、ハルヒ…顔が近いぞ!近すぎる!!頼むから…もうちょっと離れてくれ!

 

「覚悟しなさい!キョン!全艦砲撃準備よし!目標キョン!発射!!」
うわっ…死ぬ!勘弁してくれ………
………
…ん?おかしいな…『ハルヒビーム!』って声が聞こえん…

 

「ねぇ、キョン…あたしといるの…そんなに嫌?それに…あたしと一緒に話しするの…つまんない?」
は?何言ってるんだ?話が飛躍しすぎて意味がわからんのだが…

 

「さっきだって、谷口が言ってたけど…顔が真っ赤だったみたいだし…
今だって顔が真っ赤…そんなに顔が真っ赤になるほど怒ってるの?」
いや、違うぞハルヒ。それはだな…えっと…その………なんでもない…
てか、鈍すぎるぞお前…

 

「授業のときや昼休みのときにしたって…あたしがキョンの背中を突っついても、
話しかけても寝てばっか…なんか…いつも無視されてるように感じて…」
いや、無視なんてしてるつもりはまったくないぞ…俺はただ眠いだけで…
でも、言われてみれば…無視してるように思われてもしょうがないかもしれないな
お前に背中を突かれたり、話しかけたりしても…俺は頭の中ではお前に話しかけてる気になってたけど…
声には出さなかったからな…
お前がいつも俺にちょっかいをだしてくれたから、無視してるなんて…ちっとも考えなかった…
そうか…だから、あんな悲しそうな顔をしていたのか…
確かに俺が悪いな…すまん…ハルヒ。おっと、また悪い癖だ…
しっかり声を出して謝らなきゃな…声に出さなきゃ人間、相手のことなんて何もわからないからな…

 
 

「すまん、ハルヒ…俺が悪かったよ。これからは気をつけるよ」
「…本当に悪いと思ってるの?」
「あぁ、悪かったと思ってるよ…本当にすまなかった…
それにお前といる時間は…楽しくてしょうがないぞ」
あ…ってこれはちょっと言いすぎだな。声に出さなくても良かったな…ちくしょう…

 

「…じゃあ、キョン!約束してこれからは昼休みとか授業中にあたしが背中を突っついたら、
かならずあたしの相手をすること!それと…『眠い』とか『だらだら』とか…
それと『だるい』『めんどくさい』とかも言っちゃだめよ
そんなことばっかり言ってるから眠くなるの!あっ…『やれやれ』も禁止だからね!!
もし、この約束を破ったら…またビームをあんたにくらわせるからね!!」
わかったよ、ハルヒ。『ハルヒビーム』なんて恥ずかしいやつ…嫌だからな
……ん?なんだ、ハルヒ。小指なんか出して…何をする気だ?

 

「指きりよ!!あんたが約束を破らないように!ほら、あんたも小指出して!
…さっさと出しなさい!しっかりと繋いだわね?よし、じゃあ一緒に歌うわよ!
あんたも声を出して歌うの!いくわよ!」

 

指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます♪指切った!!

 

「よし、これで大丈夫!いい?本当に針千本飲ますからね!
………
ちょっと、何よ…何であたしの顔じろじろ見てるのよ!…真剣な顔なんかして…
そんな顔…あんたに似合わないわよ…」
「ハルヒ、実は…ずっと前から…お前に言いたかったことがあるんだ…聞いてくれないか?」
「え…な、なによ……は、早く言ってみなさいよ…」

 

…………

 

「…そろそろ机の下から出ないか?二人でこんなところにいるのは…ちょっと狭いし」
「え?……あ、あぁ…そうね。確かに…狭いわね…うん、わかった…じゃあ…あたしから出るわね…」
ふぅ…あぶない…危うく俺の本当の気持ちを…言いそうになったぜ

 

「さて…じゃあ、教室に戻ろうかしらね。授業が始まるし…
行くわよ、キョン!なにボーっと突っ立ってんのよ!」
「なぁ、ハルヒ…授業サボって…俺と一緒にここで話しでもしないか?
今までの悪いことしちまった埋め合わせもしたいし…それに授業出ても眠くなるだけ……
あっ…」
「ちょっと、キョン!なに『眠い』なんて言ってるのよ!いきなり約束破ってるわよ!!
あたしにあんな恥ずかしい…『ハルヒビーム』なんて言葉…言わせないでよね!!」
なんだ。やっぱり恥ずかしかったのか…

 

「まぁ、いいわ!あんたに付き合ってやるわよ!…あんたの成績がどうなっても…知らないからね!
…じゃあ、まずは…今度みんなでどこに探索に行くか決めましょ!!」
あぁ、わかったよ。ハルヒ
…それにしてもお前との約束を守るのはちょっとキツイな…
昼休みには寝れなくなるし…何より口癖を直すのが大変だな
やれやれ、大変なことを約束しちまったな……あっ…
……
はぁ、ダメだこりゃ…完全に癖になってる…
…まぁ、とにかく今はハルヒとしゃべることに専念しよう

 

さらば倦怠ライフ…俺の至福のお昼寝タイム…
これからは忙しくなりそうだ…

 

………
……

 

「ちょっと、キョン!あたしの話聞いてるの?どこに行くかじっくりと決めるわよ!」
「あぁ、すまん…ちょっと考えごとをしててな……ところでハルヒ
さっき、お前と指切りしたときに俺が何考えてたか…わかるか?」
「はぁ?知らないわよ…そんなこと。あ、まさか…別のこと考えてたの?
…ちょっと、キョン!あんたはしっかりとさっきの約束を頭に叩き込まなきゃいけないのよ!
別のこと考えてたなんて…あたしが承知しないわよ!…なんならもう一回指切りしてやるわ!」
「ハルヒ…指切りしてたときに俺が考えていたことはな…『ずっとお前と一緒にいたい』
…って考えてたんだぜ?」
「な、何言ってのよ!ふざけないでよ!」
さて、ハルヒ…どっちだろうな?ふざけてると思うか?まぁ、しっかりと考えていてくれよな

 

「ハルヒ、お前顔が真っ赤だぞ?まさか…本気にしたのか?」
「うるさい!照れてなんかいないわよ!…あっ…そうか…わかった!」
「な、何がわかったんだよ…」
「あんたがさっき顔を真っ赤にしてた理由よ!キョン…あんた…
怒ってたんじゃなくて…照れてたんでしょ?」
「………」
「図星でしょ?図星なんでしょ!?」
「う、うるさい!!」
「キョン!あんた顔が真っ赤よ!トマトみたい!や~い、照れてやんの!」
「黙れ!!」
「トマト!トマト!トマト!キョン…あんたは熟れすぎたトマトよ!」

 

くそ!ばかにしやがって…余計なことを言っちまった…
まったく…やれやれだ…

 
 
 

終わり