キョンの物まね劇場 (43-742)

Last-modified: 2007-03-22 (木) 00:26:07

概要

作品名作者発表日保管日
キョンの物まね劇場43-742氏、746氏、748氏、754氏07/03/2107/03/22

作品

「今からSOS団緊急会議を始めるわ、みんな異議は無いわね?」
放課後SOS団の部室にいつものメンツが集まると、ハルヒはそう宣言した。
緊急の名前通り寝耳に水な話なのだが、異議を言っても聞き届けられないのは火を見るより明らかである。
他の団員達を見渡してもそれぞれ、ほわん、………、にこにことしており、特に文句はなさそうである。

 

「今回の議題は…萌えの強化よッ!」
ホワイトボードをドンと叩いて叫ぶハルヒ。周りの部室にはさぞ迷惑をしているだろう。
もっとも、ハルヒに文句を付けに来るチャレンジャーな人間が居るかどうかは定かじゃない。
などと思考をあらぬ方向に飛ばしていると、ハルヒが何故か黙って俺を見ていた。
なんだなんだ? 一体俺が何をした?

 

「ちょっとキョンッ! 少しは何か合いの手を入れなさいよ、気が利かないわね」
「…合いの手って、何だよ」
「いつもやってるじゃない『スマン、なんだって?』とか『人の話を聞けーとか』」
訳がわからん、一体何を言ってるんだ

 

「おそらく、涼宮さんはアナタに無視されたことで傷ついたんですよ」
隣に座っていた古泉がそう囁いてきた。顔が近いぞ離れろ。
改めてハルヒの顔を見る。心なしか頬をふくらませている気がする。子供か、こいつは。
「はぁ、やれやれ。で、萌えの強化とやらはなんなんだ? また朝比奈さんにコスプレさせるのか?」
俺がそう言うと朝比奈さんが「ひぃ」と小動物のような悲鳴を漏らす。

 

「違うわ。問題なのは見た目じゃなくて中身なのよ」
よく解らん、どういう意味だそれは。
「つまりね、SOS団が今後多くの人の上に立つためには萌える行動をマスターする必要があるの」
あー、つまりだ。可愛らしい仕草や台詞をしろと?

 

「そうよ、理解が早いじゃないキョン」
最近、お前が何を言いだすか解るようになってきた気がする。
「涼宮さんの事を理解して居るんですね」
古泉。次、顔を近づけたら殴っても良いか?

 

「今日は特別にあたしが萌えの勉強のための資料を用意したわ。誰か! 誰かある!」
そう言って手を三度とならすハルヒ。ドコの忍者映画だ。
はたしてハルヒの合図で現れたのは5人組の男子生徒だった。
男達は部室に入ってくると黙々と何かの機材を設置していく。
よく見るとこいつらコンピ研の連中だな。
「団長様、プロジェクターの設置終わりましたッ!」
しばらくして部長氏がハルヒに敬礼しながらそう言った。

 

言葉通り部室には新しく大型スクリーンとDVDデッキ、そしてプロジェクターが設置されている。
「よろしい、帰って良いわよ」
「アイ、アイ、マム!」
そう言って廊下へと出て行くコンピ研の部員達。何でこいつらこんなにノリノリなんだ?
「で、何を始める気だ」
「人気があった萌えアニメを見てその真似をするのよ。そうすれば萌えは当社比50%増し間違い無しよ」
そう言ってDVDをスタートさせるハルヒ。そんなにうまくいく物だろうか?

 

ハルヒが再生したアニメは「ちょびっツ」というタイトルで、なんでも棄てられていた人型パソコンとそれを拾った主人公が織りなすラブコメディらしい。
最初は「ちぃ」としか喋れなかった人型パソコン“ちぃ”が段々と人間らしくなっていき…というのが主題なのだろうか?
はてなマークを飛ばしている朝比奈さんの隣で、長門が妙に真剣にスクリーンを見ていたのが印象に残った。

 

「機械と人間は恋をすることができるのかというSFの古典的なテーマが主題となっており、とても興味深かったですね」
視聴後、ハルヒに感想を聞かれた古泉はそう答えた。こいつにかかるとラブコメも哲学になるらしい。
「なるほどね、キョン。アンタはどう思った?」
「俺か? そうだな“ちぃ”の様子を何処かで見たような気がするんだが…思い出せん」
「なによ? アンタも昔見たことあるの」
「違う。ただあの“ちぃ”の成長の様子に近い物を近くで見たような気がするだけだ」
そう言って首を傾けたとき、長門と視線が合った。
「……ちぃ」
「長門。いま、何か言ったか?」
「…言ってない」

 

「みくるちゃんはどう?」
「あの、本諏訪秀樹って方の声がキョン君に似てませんでしたか?」
「…そういえば、似てたわね」
そうか? 俺はそうは思わなかったが。
「ご自分だと気づきにくいかもしれませんね、自分で聞く自分の声と実際の声は少し異なりますから」
そう言えば、自分の声は体内を響く音を聞いているので違って聞こえると聞いたことがあるな。
「キョン、ためしにこの台詞言ってみなさい」
そう言って文字の書かれた紙を渡してくるハルヒ。

 

「良くあるよな。
 拾ったり転がり込んできたりしてくる女の子がさ、すっげ―――可愛くって!
 不思議な力とかがあって、万能で!
 おまけに同居してる野郎にらぶらぶで!
 もう! 色々してくれるわけだよ!
 料理も掃除もあっち方面も!
 ある! 読んだことあるよ! マンガとかで!!
 そういう女ドラエ○ンな感じのラッキー!
 やっぱオレはラッキー野郎か――――!?
 って、長すぎるだろッ! でも読めた、俺すげぇ!」
「……ちぃ?」

 

「へぇ、ホントにそっくりじゃない。ふぅーん」
冷めた声でそう言うとハルヒはDVDの物色し始めた。
何怒ってるんだよ。
「別に怒ってないわよ」
あと長門、また何か言ってなかったか?
「…言ってない」
「ま、いいわ。次はコレよ」
そう言って次のDVDを流し始める。

 

あの後いくつかのアニメを見たが、そのほとんどに俺に似た声の声優が出ていた。
ハルヒは段々と無口になっていき、朝比奈さんをおびえさせた。
結局古泉がが急に『バイト』に行くことになり、そこでその日の活動は中止となった。
「では、お先に失礼します。涼宮さんの事はアナタにお任せしますね」
古泉は部室を出て行くときそう言い残していった。どうしろと言うのか。

 

★ ○ ★ ○ ★

 

「昨日はお疲れ様でした、おかげさまで閉鎖空間は何とか消滅しました」
翌日、顔を合わせると古泉はそう報告してきた。
「スマン古泉、ちょっと今日は休ませてくれ」
そう言って部室の机の上に身体を伏せる。
「それは構いませんが、その前に昨日はどんな手段を執られたのか教えて貰えませんか? 今後の参考にしたいので」
その時の俺はハイテンションで上機嫌なハルヒに振り回され疲れ切っていたため、古泉を振り払う余裕が無かった。
そのためうっかりと真相を漏らしてしまったのだ。
「アイツが気に入ってる台詞を物まねしてやっただけだよ。じゃあなおやすみ」

 

★ ○ ★ ○ ★

 

「ハルヒ何怒ってるんだよ」
「別に怒ってなんか無いわよ」
放課後の帰り道二人出歩きながら俺は、ハルヒの機嫌を戻そうと努力していた。
しかし、その努力も虚しくとりつく島もない。
「良いから機嫌なおせって」
「しつこいわよキョン…いいわ、じゃあ何か物まねをしなさい」
「物まね?」
「さっきのアニメの萌え台詞を何か言いなさい、そうすれば許してあげる」
許すも何も俺は何も悪くない筈だ。
「解ったよ…はぁ、やれやれ」
いつもの台詞を言うとと軽く息をすう。

 

「…言っておくが、ただの物まねだからな? 本気にするなよ」
「いいから、早くやりなさい」
「やれやれ」
再び軽く息をすう。
今の俺は相沢祐一、今の俺は相沢祐一、今の俺は相沢祐一、今の俺は相沢祐一。
ただの物まね本気じゃない、ただの物まね本気じゃない、ただの物まね本気じゃない。
よし、覚悟完了。

 

「ハルヒ…」

 

「何よ」

 

「俺には、奇跡は起こせないけど…。
 でも、ハルヒのそばにいることだけはできる。約束する。
 ハルヒが悲しいときには、俺がなぐさめてやる。
 楽しいときには、いっしょに笑ってやる」

 

「ちょ…なに言いだすのよキョン」

 

「白い雪に覆われる冬も…
 町中に桜の舞う春も…
 静かな夏も…
 目覚めるような紅葉に囲まれた秋も…
 そして、また、雪が降り始めても…
 俺は、ずっとここにいる。
 もう、どこにもいかない」

 

「俺は…ハルヒのことが、本当に好きみたいだから…」

 

渾身の物まねが終わり、ふと気付くと周りに沢山の人が居た。
何故か全員こちらをみてひそひそと話し合っている。

 

「…ア、アホー! 何でそんな大きな声を出すのよ」
「お前が言えって言ったんだろ」
「うるさいわよ、バカ。良いから来なさいッ!」
そう言って俺の手を掴んで走り出すハルヒ、その行き先は誰にも解らない。

 
 

スレの流れ

そのころ
古泉「エブリバディセイ!『古泉最高~!』………ふう」

 

           `' - 、~ ` - ヾヽ.|i
          -==二二ニ>-  `゙ V- 、__         国崎最高!!!!!
         _,..r:'´_,..             `k 、_
        ,.f=-ノ´                 `t        .__,,,,,,.__     
         ,.r '´  //          !、 ヽ    `t      f´/o__`.ヽ
     ,y'__,,....=7 /    /  /  ノ ノ:`iト、  `i=--.j、     ゝ!   ~^ ゜l
         /i / f   i  !  ./!ノ_,.ニ!=ヾ  !、 =-、_  r=---ゝ、_  ノ
        / ! ! !   |  ! / ./ノ ゞ=斗' ':, i,>、 トヾ`  'k-- _,/  `'<,==-、 
      /_,t ソ.i  | !  !  i  !ノ´     ミミヽj!S) ヾ、  ⊂二f/^~~^'=-`'<´
      ''"  //! ノ! ',  i  ! t'´::      ミ 'i!''/ .!トヽヽ  "'/f'''"二二、` :|  
        /' ! / |  .j  i  ! i ` _,,... ,r`'  ミ.ノ''| !, ! `   /| | `! 、 ,  `  !
          !/ !| ! !  !, !:::  ヾ--'´.   /  t!_     ゝ!I l  Y    ! 
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     ,.. - -っ''~~~^ヽ!!  ! '!!ゝ、    ,..::'     /    ''ヽ、  t`t    .!  
     /  r'~I _    'j      '-=-、     / ./    / /v'-===jxヽ   !'i、
    ノ二''' -r'´ y´.i  ノ     .,/^  ',    / /   / /       t   ノ/ !
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 / /  ),/   f /    /    !'~~'''''"~ /      !      !  !! y


 

 しかし あなたもほっとしたのではないですか?
 涼宮さんが用意したDVDが 健全なものばかりで
 あなたと声の似た方は 実にさまざまな顔をお持ちのようですね
       ,.-,ヘー.、   ,. ‐-ー- 、
     ノ 八ヽ`ヽヾ ノ /    ヽ
.     i ハノ リノメハリノハハハハハ !
     イ(l|⌒ |⌒リノ !|¬ ¬;iリ)!
     Yル、 ー ノハ ’ 、~ ,ノル´ ……何のこった?
      ⊂}`|{†}|゙{つ ⊂}゙|†'|´{つ  俺にはさっぱりわからんぞ
        l^´T`'i  .   i´T `i
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