スネーク ハルヒ (88-337)

Last-modified: 2008-05-04 (日) 23:34:54

概要

作品名作者発表日保管日
スネーク ハルヒ88-337氏08/05/0408/05/04

作品

「じゃ、みくるちゃんに有希、い~わね」
「は、は~い」
「……」
メイド姿のみくるちゃんと、こくっと頭を縦に少しだけ振った有希を見たあと、あたしはダンボールの中に隠れた。
あ~少し胸がつかえるけど、きっちり入れたわ。これみくるちゃんなら胸つかえて駄目かもしれないわね…
 
って、え?何でこんなことしてるのかって? ん~そうね、この大きなダンボールを見た瞬間に閃いたの。これに隠れて、あたしがいない時は団員が何をしてるのかを知りたかっただけ
何か新川さんの「こちらスネーク」とかいう声が聞こえたような…いやきっと気のせいね、きっと。
まぁ有希やみくるちゃんや古泉くんはこのあたしがいなくてもさして変わらないんだろうから………そうよ特にキョン!!!
あたしがいない間にみくるちゃんにデレデレしてるかもしれないし、もしかしたら有希に手を出したりしないかってのが心配なのよね。SOS団長としてこの女の子の団員をキョンの魔の手から守るのも仕事よ!ってあ~むかむかしてきた。
キョンの奴ただじゃおかないから……でもここからじゃ有希しかみえないわね……うーん有希、ほんとほとんど動かないのね。
 
ん?ノックする音!? でもノックするのは古泉くんだけよね……
「は、は~い、どうぞ♪」
「朝比奈さん?入っていいんですよね?じゃぁ入りますよ……あれ?ハルヒいないのか?」
キョンの声!?なんで?? いつもノックなんかしてないくせに今日はノックするのよ???
「なんだ、ハルヒの奴、先に行くとか言ってた癖に…ま、どうせまたどっかほっつき歩いてるんだろうけど。」
なにそれ、大きなお世話よ。キョンの癖になにえらそうに言うのよ、ほんとむかつくわね。
「ところで長門、その大きなダンボールなんだ?」
さ、有希、うまくごまかしてね…
「……」
「ハルヒが持ってきた?」
「……」
「そっか…ってまた何か企んでるのか、ハルヒの奴」
企んでるって失礼ね。あたしはSOS団の内偵してるのよ!
「ところで朝比奈さん...」
「キョンくん、なんですかぁぁ」
ちょっとみくるちゃん、いつものようにしてね。キョンにばれちゃうじゃない!
「ハルヒ見ませんでした?」
「い、いえ見てませんよ。それよりもお茶いれますね♪」
「あ、はい。」
お茶を準備する音がするとこみると何とかうまく誤魔化せたみたいね。
しかしキョンってほんとに鈍いのね。そう思ってるとまたノックの音。
「どうぞ~」
「失礼します。」
この声は…今度は古泉くんね。
 
「おや、一緒じゃなかったんですか?」
「ハルヒか? 俺はあいつの保護者じゃないんだぞ。別に四六時中一緒なわけじゃない」
何よ保護者って。アホキョンのくせに何えらそうに言ってるのよ!?
「保護者ですか? でも保護者扱いしたのを涼宮さんが聞いたら怒られますよ。」
そーよそーよ、古泉くん、キョンにもっと言ってやって!
「どうせ似たようなもんだろ?」
はぁ!?あたしがキョンの保護者ってならわかるけど、なんでキョンがあたしの保護者になんのよ!
「まぁいいでしょう。」
「そうだ古泉、どうでもいいことだ。」
何がどうでもいいことなのよ! キョン、あとで覚えてなさい。
 
それからしばらく経つけど動きがないわね…有希も本見てるだけだし……あたしがいない時のこの部屋ってこんなものなのかな? なんかつまんないわね…
「はい、お茶です。」
「あ、ありがとうございます。でもハルヒの奴遅いな」
「どちらか出かけられてるんでしょう。そんなに心配ですか?」
「ああ、いろんな意味で心配だ。」
「それはよかった。」
「ハルヒの奴がまた何か厄介ごととか持ってくるかもしれないんだぞ。古泉、お前は心配じゃないのか?」
ふん!キョン、失礼ね。あたしがいつ厄介ごとなんか持ち込んだってのよ!
「おや、僕の心配をしてくれるとは。でもいいじゃありませんか。涼宮さんのストレス解消にもなるでしょうし。」
あら古泉くん、よくわかってるじゃない。そこのアホキョンにその気配りを少しわけてあげてほしいわ。
「この1年、どれだけあいつに振り回されたと思ってるんだよ、古泉。」
「そういいつつ、結構楽しんでませんか?」
「まぁ楽しいだけとか、苦労したとか、そういうだけならいいけどな。でも悪夢もあったからな。」
悪夢? キョンも妙な事言うのね。あたしもいつか悪夢見たけど、あれと同じようなものかしら……いやあれは本当は悪夢じゃない……いつもと違うかっこいいキョンだったし、なにより…ああ思い出しだけでも恥ずかしいからやめやめ! 
 
「あの~キョンくん、いいですか?」
あれ?みくるちゃんね、この声は。
「私はまだ1年経ってないんですけどぉ…」
「へ?」
「この部室に連れて来られたのってGW明けのことですよ。だから…」
「そういえば僕も転校してきたのはその後ですから、まだですね。」
「……私もそう」
ふと気がつくと、有希が読書をとめてどこか見てる。見てる先はキョンかしら。でもそういえばそうね。私がSOS団作る決心をしたのってGWが終わってしばらくしてからよね。
 
「そうか、まだ連休入ってないもんな……ハルヒの奴、部活作るって言い出したのはそのあとなんだな。」
「だから一度キョンくんの口から聞きたかったんですけどぉ……涼宮さんに何を言ったんですか?」
「へ?」
キョンの間抜けな声がする。
「いや、その……部活を作るって言い出すきっかけはキョンくんなんですよね?」
「ん~そうだったかな?」
キョン、あんたが”無い物は作ればいい”って言ったんでしょうが…高校生でもうボケ入ってるのかしら…
「ああ、僕もきっかけについては知りたいですね。そもそもあなた方二人がどうして行動するようになったかすら僕たちは聞いたことないんですよ。」
「古泉、そんな話は別に聞いたって面白くもなんともないぞ。」
「さぁ、どうでしょう皆さん?」
「聞きたいですぅ」
「……私も」
黙って聞いてるとなんだか妙な展開ね……あたしがいない部室ではこんな話してるのかしら? でもみくるちゃんの話では今回初めて出たみたいだけど。
 
「知りたいと言っても、そもそもは…ハルヒの髪型が毎日変わってた事を指摘してから…」
「……」「……」「……」
3人ともだまって聞いてるわね。有希も読書を止めてじーっと横見てるけど、そんなに気になる事なのかしら?
「んで、しばらく朝礼前とかの時間にハルヒと話してて…確かすべての部に仮入部したけど全部気に入らなかったと言ったから、無いなら仕方ない…じゃない、作ればいいって…、」
「……」「……」「……」
何よ、キョン、ちゃんと覚えてるじゃない。
「ふふふ、髪から褒めるなんて。も~キョンくんったら、女心わかってるじゃないですかぁ。」
みくるちゃん…な、何言ってるの? きょ、キョンはそんな気が利くような奴じゃないわよ。
「違いますよ、朝比奈さん。ハルヒが毎日髪型を変えてるのが気になっただけで…」
「女の子は髪型を褒められたらとってもうれしいんですよ。も~、そうやって気を引いたんですか♪」
「いや、その、別に褒めたとかじゃないんですけど。」
「違うんですか?」
みくるちゃん、のりのりね。ま、エロキョンのことだから、このあたしの気を引くってありそうだけど……
「朝比奈さん、違いますよ。そもそもそんな下心持って話しかけたって、あのハルヒの気を引けるわけないでしょう?」
「……」「……」「……」
3人とも黙っちゃったけど………そ、そうなの?キョン?
「あいつは黙ってたらあれだけの”美少女”で、アホの谷口によればそういう風に声をかける男は過去に一杯いたって話ですし。」
何よ、黙ってたらって。失礼ね……でもキョンがあたしを美少女なんて褒めてくれるのはまんざら悪くないわね。
「だから、最初は本当に興味本位で話しかけただけです。」
「ふふふ♪」
なに~みくるちゃん、何がそんなにおかしいのかしら?
 
「それですよ、そ・れ♪ そういうトコでキョンくんが無意識に女心をくすぐるんですよ。」
「そ…そうなんですか?」
「そうなんです♪」
みくるちゃん、力強く答えてるけど…そういえばあたしもキョンの一言で髪ばっさり切ったけど……そうなのかな?
「で、どの髪型がよかったんですか?」
「へ?」
「涼宮さんの髪型ですよ。毎日変わってたって意識してたって事はどれかキョンくんのお気に入りがあるんですよね?」
髪型か…キョンはあの悪夢…いや、あれは悪夢じゃなくて…というか夢の中ではあいつはポニーテールが似合うって言ってたけど本物のキョンもそうなのかしら……
「はぁ……言わなきゃ駄目ですか?」
「涼宮さんいないし、言うなら今ですよ。大丈夫、私たちは調査してるだけですし」
あ、みくるちゃん、調査って何よ?でも、のりのりでキョンを騙してるわね……どうしたのかしら?
「な、何か朝比奈さん楽しそうですけど…わかりましたよ。ハルヒには言わないでください……ポニーテールです。」
え!!!!
「そうですか♪ そ・れ・と、あと一つ確認ですけど、”最初は興味本位”って事ですけど、今はどうなんですか?」
……!?
「今は…って、ハルヒはSOS団長として必要な奴だと…」
「そうじゃなくて、キョンくん自身はどう思ってるんですか?」
「……」
「私たちは黙っておきますから♪」
「わかりましたよ。どう思ってると言われても困りますけど……やっぱりハルヒは俺にとって必要な存在です。」
そ、そうなの?キョン…
「ハルヒの奴は、いろいろ面倒ごと持ち込むし俺をこき使うのは…あれですけど。」
キョンは平の団員だから仕方が無いでしょうよ……と思ったら、キョンは意外な事言い出した。
「でも俺にはハルヒがいない生活は耐えられないです……あんな悪夢みたいなのは勘弁してほしいです」
…キョンの悪夢って、あたしがいなくなった世界の話なのかな?
「ハルヒにとっては俺はいらない存在なのかもしれないけど。」
そんなことない……あたしもキョンがいなくなった世界なんてもう想像したくない……あんな悪夢みたいな3日間はもう2度と耐えられない。こんな馬鹿で駄目で愚痴ばっかりこぼすキョンでもいなくなるなんて……いやよ。
「陳腐な言い方かもしれませんが……ハルヒを失いたくない。そのためなら何だってします。」
……なによ……キョン、それ……そんな格好いいこと言って……
「これで回答になってますか、朝比奈さん?」
「はい♪ あ、キョンくんに何かいろいろと思い出させたみたいでごめんなさい。でもこれですっきりしました。」
「はぁ…?」
も~キョンったら、どうしてあたしのいないトコや夢の中ではそう言うのよ……聞いてるあたしが恥ずかしくて顔が赤くなっちゃうじゃない…
こんな顔、団員には見せられないわね。
 
「じゃ、あたしたち少し席を外しますね♪ それとそこのダンボール箱ですけど、ちょっと開けておいてもらえますか?」
「へ? あれハルヒのじゃないんですか?」
「だ・か・ら、来る前にあけて準備がいりますし。それじゃキョンくん、おねがいします♪」
え?え?え?え?みくるちゃん?なに?なに? ちょっと、有希まで席を外してどこいくのよ!!!
ま、まさか…み…みくるちゃん、嵌めたわね…お、覚えてなさい…
「え?なんなんだ? 古泉に長門も行っちまったよ。 まぁいいや。ところでこの箱の中ってなんだ…???」
って、ちょ、ちょっと、ああ、キョンが近寄ってくる足音が…あたし顔が真っ赤なのよ…あああぁぁんキョン!開けちゃ駄目ぇぇぇぇ…
 
 
「しかし朝比奈さん、あなた策士ですね。僕たちが話したわけじゃありませんから嘘言ってませんし。まぁ、確かにあれくらい刺激しておかないとあの二人は進展しませんし、いい薬かもしれませんね。」
「あの~古泉くんは最初から気がついていたんですか?」
「あの箱を見れば、さすがに……ですが、実はあの大きな段ボール箱を彼女が笑顔で運んでるのを見てたもので。」
「そうだったんですかぁ…」
「しかし彼は本当に鈍いですね……あの箱を見てもまったく気がつかないんですから。」
「それがキョンくんのいいトコなんですよ♪ ところでいつ部室に戻りましょうか?あたしまだメイド服ですしぃ」
「長門さん、彼らが”夫婦喧嘩”を止めるのはいつごろになりそうですか?」
「…9分29秒後に涼宮ハルヒが押し黙る。その後沈黙が続き12分58秒後に彼が沈黙を破り話しかける…」
「じゃぁそれくらいに戻ればいいんですね?」
「…その直後の13分13秒後に涼宮ハルヒが箱に足を取られて、彼に覆いかぶさる。」
「!?」「!!」
「17分17秒後に……涼宮ハルヒがその場の勢いで彼の唇を奪う。」
「…」
「…」
「な、長門さん、何か怒ってませんか?」
「……別に」

おまけ

「スネークしてSOS団を監視する話を作ってみたよ。いや~でも古泉くんも監視対象だったのに尻尾ださなかったね。それにみくる、のりのりだったねぇ。キョンくん、めがっさ怒ってるかもしれないにょろ。」
「大丈夫ですよ。雨振って地固まるとも言いますし、二人とも奥手ですから、あれくらいしても罰は当たらないと思います♪」
「なんかみくる、いつもと違うね?」
「みくる、ゴトゥーザ様モードです♪」