リレーアドベンチャーSS 涼宮ハルヒの探索 (131-422)

Last-modified: 2010-10-03 (日) 01:56:46

概要

作品名作者発表日保管日
リレーアドベンチャーSS 涼宮ハルヒの探索131-422~氏、132-516、133-741氏10/08/0310/10/02

 

涼宮ハルヒの探索 (422氏)

今日は土曜日。
一般的な高校生であれば、家でのんびりしたり、スポーツに勤しんだり、恋人とデートしたり、勉強熱心な奴なら勉学に励んでいるかもしれない。
 
だが、傍若無人、ゴーイングマイウエイ少女こと涼宮ハルヒ、そしてそいつに振り回される我々SOS団の団員は、今日も今日とて、不思議探索という一般的な高校生が自らの行動として選択肢にも挙げないような行動を余儀なくされている。
 
ハルヒ「遅い!罰金!!」
 
集合時間30分前に到着したというのに、俺以外のメンバーが既に全員集合していた。
やれやれ、今日も喫茶店は俺のおごりのようだ。
 
ハルヒ「今日こそ何か不思議な物をみつけるわよ!
   みんな、気合を入れて探すのよ!!」
 
ハルヒは張り切っているようだ。
 
ハルヒ「じゃ、班分けをしましょ。クジを作ってきたわ。
   今日はキョンから先に引かせてあげるわ。ありがたく思いなさい」
キョン「何でそんなことくらいでいちいちお前に感謝せにゃならんのだ」
 
選択肢:どのクジを引きますか?
 1.右端の爪楊枝
 2.右から2番目の爪楊枝
 3.真ん中の爪楊枝
 4.右から4番目の爪楊枝
 5.左端の爪楊枝
 6.クジ引きを拒否する
 

涼宮ハルヒの探索 選択の章 (426氏)

→6.クジ引きを拒否する
 
「クジは引かん」
 
俺の言葉に4人が固まる。しかし何も団活を拒否しようってつもりはない。
今回はみんなばらばらに探索を行うのだ。ただし探索の途中で見つけた団員は仲間にして良い。携帯は緊急時以外禁止。夕方5時に集合ってどうだ?
 
「珍しい試みね」とはハルヒ。興味を持った顔をしている。
 
古泉は
「行動範囲はどの位でしょうか。広すぎる場合も考え物であると思いますが?」
 
確かに。一人で探索するつもりは実はない。夕方まで一人で終わると虚しいものがあるしな。
「もちろん。市内だ。移動手段は問わない」
 
「・・・・了解した」
残ったジュースを0.1秒で吸い上げ喫茶店を出て行こうとする長門。乗り気だな。
 
「ひゅ~ん。一人だと怖いですう」
何が何でも朝比奈さんを見つけ出さなくては。この人一人で街を歩かせるわけには行かない。
 
ハルヒと長門は既に喫茶店を出てここにはいない。5分間隔で喫茶店を出る事にしたのだ。
「キョンく~ん」既に目が潤んでいる。
「絶対に見つけて下さいね」お任せ下さい。手を振り朝比奈さんにお別れをする。
 
「あなたからこのような提案が来るとは意外でしたね。何か狙いがあるのでしょうか?」
「いいや。ただほんの少し変化が欲しかったのさ」
「そうですか。ではお気をつけて」
 
残された俺はテーブルの上に置かれた伝票を取りレジに進む。
 
「さて、どうすっかな?俺」
 
 
1.何かの目的地に行く
2.団員を探す
3.買い物
4.ぶらぶらする
5.家に帰る

涼宮ハルヒの探索 旅立ちの章 (494氏)

→5.家に帰る
 
市内ならどこで行動しても良いということは、別に家にいても文句を言われる筋合いはないわけだよな。
夕方の集合時間まではだいぶ時間がある。
朝比奈さんには悪いが、せめて午前中くらいは家でのんびりすることにしよう。
午後に適当なところに寄って、適当に報告すればいいさ。
 
よし、そうと決まれば、さっそく自転車に乗って
 
「キョン、どこに行く気?」
げっ!
「怠け者のあんたのことだから、ここで待ってれば楽するために自転車取りにくると思ってたのよ。でも、わざわざ遠くまで足を伸ばして不思議を探しにいくためってことなら許してあげるわ」
 
「お前、最初から俺と合流する気で待ち伏せしてたのか」
 
「せっかく合流したんだし、一緒に行くわよ!行き先はあんたが決めていいわ!」
 
選択肢:どこにいきますか?
1.キョン宅
2.ハルヒ宅
3.川
4.海
5.廃病院
6.山
7.学校
8.鶴屋さん宅

涼宮ハルヒの探索 異変の章 (569氏)

→4.海
 
ぬかった!
あらゆる状況選択を考えるとハルヒが張り込みをしていた可能性に至るべきだった。だが仕方がない。家に帰ろうとしていた何てとても言えない。
行き先は・・・・・そうだな。
ハゼ釣り大会で一回海に行った事があるが、あんときは電車だったからな
今回は自転車だしな。何か珍しいものが見られるかも・・・
 
「海でいいか?」
 
「海?良いわよ。水着って言いたいけど市内の海は汚いからそれはなしね。じゃあ」
 
じゃあの掛け声で自転車の荷台に座るハルヒ
何と女の子座りで横向きに乗っている。俺のベルトに指をひっかけバランスを取っている。
何か物足りなさを感じた俺は一つのいたづらを決行する。
 
「あ?こら!バカキョン!自転車揺らすんじゃないわよ!」
 
ハンドルを揺らし自転車を揺らした結果驚いたハルヒが俺の腰周りに抱きつき、しがみついている。柔らかい何かが背中に当たっている事は俺だけの秘密だ。
 
祝川に沿って南に下る俺たち。桜の季節なら最高の風景であるここも、今は蝉による大合唱コンサートの場と化していた。そこで俺はある異変を目にする事となる。
 
 
川の対岸の道路に俺たちと同じように、自転車に乗った男女二人がいたが、荷台に乗っていた人を見て俺は焦った。
 
「朝比奈さん?」
 
亜麻色の髪が風になびき広がっている。
何で朝比奈さんがここにいる?
それよりも気に入らないのは俺を差し置いて朝比奈さんを独占している男の存在だ。
前の男を観察するが、俺はこの男を良く知っていた。
 
「俺?」
 
川の対岸を朝比奈さんと「俺」が乗った自転車が併走している。どういう事だ?
幸いな事はこれでパニックにならない俺の精神状態だろう。
こんな事ありえないって断言するには俺の経験値は膨大すぎる。
 
 
「え?みくるちゃん?どこ?」
 
 
ハルヒは俺の言葉に反応し辺りを見回っている。やばいんじゃないのか?
って思っていたら自転車は川沿いから外れ市街地の道路に入っていた。
当然対岸は見えない。
 
どうする俺?
1.そのまま海に行く
2.仲間に連絡を取る
3.朝比奈さんを探しに行く
4.別の目的地
5.買い物

涼宮ハルヒの探索 逃避の章 (629氏)

現実逃避~現実逃避~俺は一人しかおらんぞー朝比奈さんは可愛い……面倒事は結構ですよ。
暑さで頭がやられたんだなこりゃ~さっさと涼みにいかないと
こっから近いのは……
 
→4
 
「ちょっとーどこに行くのよ~」
「着けばわかる」
 
「ふぅ~つまんないとこだったら、今度のデートは全部あんたの奢りだからね」
「うい」
 
 
「ハイ到着っと」
「…………」
 
「どした?不思議は意外と近くにあるって言ったのはお前だろ」
 
「いや……ここはあたしの家なんだけど」
「多分不思議だらけだと思うんだがな」
 
「……変態、スケベ、エロキョン」
 
「全部一緒の意味だろ」
 
「仮にも不思議探索中よ、あんたが年中発情してるのは知ってたけど、まさかここまでとは」
 
「お~いなんでやっちゃう前提で話しを進めてんだ。俺は別に涼みに来ただけだぞ」ニヤニヤ
「じゃ、じゃ別にあんたの家だっていいじゃない」
「家にはシャミセンしかおらんぞ、みんな出掛けたからな、やっちまうなら家のほうが良いはずだ?」
 
うそぴょ~ん
 
「…………」 
 
「お前の家なら、お袋さんがいるし」ニヤニヤ
「……なんかヤダ」
 
「ハァ~暑いな~早く涼みてぇーな~」
「喫茶店に変更」
 
ガチャ
「あら~キョン君、いらっしゃい。暑いでしょ早く入って」
「……母さん、聴いてたでしょ」
「え~ナンノコトカナ~ハルも暑いでしょ早く早くー」
 
「お邪魔します」
「ハァ~やれやれね」
 
ハルヒの部屋
 
「じゃあ、ゆっくりしていってねキョン君」ニヤニヤ
「いいから、母さんは下に行っててよ」
「ハ~イ邪魔者邪魔者」
 
「よし、ハルヒ」
「ななによ」
 
 
「やるか」
 
 
『なにを?』
1→ゲーム
2→勉強
3→営み
4→全員に集合をかける
5→営む
6→ハルヒの部屋を詮索
7→大人のプロレス
8→昼寝
9→その他
 
10→親父襲来

涼宮ハルヒの探索 電子遊戯の章 (773氏)

ここでちょっとハルヒの部屋の様子を紹介しよう。女子の部屋を暴露するなんて男としてどうなのかといった詰問をしないでくれ。これは俺が前々から想像していた内心なじみの場所なのだ。ハルヒの部室でのふるまいを見る限り、俺のイメージするこいつの部屋の状態はあんまり芳しいものではなかった。というか最悪だった。だってそうだろ?部室にガスコンロ、食器、冷蔵庫、コスプレ衣装に街頭で配られるチラシ、その他ガラクタをめいっぱい持ち込んで、掃除のときも一切捨てられない女の部屋なんて。あいつだって恥じらいはある。たまにそれを感じて口がゆるむときもある。部室での持ち込みなんてあいつなりに抑制されたものなのかも知れない。
じゃ、抑制されないこいつの部屋はどうなっているんだ?
俺はこう見えても、親戚兄妹を含めた女性の裏表を見たくもないのに見てきた可愛そうな高校生男子だ。いまさらハルヒに理想を求めるつもりは毛頭ないし、理想の埒外でもある。だから、こいつがどんなキテレツな魔窟にこもっていようと覚悟は出来ていた。ゴミの臭気・土になりかけの新聞紙の束・なんだかわからない儀式用の東南アジアのお面・怪奇小説全集・ジュビナイル文学全集・SF・料理本・ちらばったマンガ雑誌・壁に貼られた超常現象カレンダー・心霊写真・小学生から使ってる古びた学習机・机の上に積まれた英語のファッション誌・まんが・万年床になった布団。
俺はそんな大小色とりどりのアイテムを想像しては「くくく」とヒマをつぶしていたのだ。
今回の訪問に興味ないわけはなかった。
ところが・・・・・
俺が招待されたこいつの部屋というのが・・・・予想を裏切る状態に俺は落胆した。
この質素でものがない、すっきりしすぎた部屋はなんだ。6畳の個室にあるのは、機能性の高さが感じられる書斎机と液晶テレビ、落ちついた色調のカーペット。乳白色の壁にはセンスの良さが感じられるカレンダーが一つ貼られていた。本棚には新潮文庫と女性誌が少々。・・・・こんなものなのか?ええええええええ?俺はなにか納得ができなかった。

涼宮ハルヒの探索 電子遊戯の章 (768氏)

1→ゲーム
 
「これだ」スッ
「……何これ」
「ちょっと古いが、ホラーゲームだ」
「あんた、あたしをバカにしてんの?
いくら不思議だからって、たかがゲームじゃない!!」
 
「まあ聞けって。このゲームは、本物の心霊写真を除霊せずに
霊の部分をコピペしたり引き伸ばしたりした罰当たりなゲームで、
開発中にケガ人や死人が出た挙句に制作会社も倒産した曰く付きのゲームなんだ。
都市伝説としてネット上でも結構有名だ」
「あっ、その話はあたしも知ってるかも。何か親指を包丁で切り落としたとかってやつじゃない?」
「よく知ってるな。まさにその話だ」
「……で、あんたが持ってるそのゲームがあの話にあったゲームなの?」
「俺が調べた限りでは、どうやらそうらしい」
 
「おもしろそうじゃない!早速やってみましょ!」
「おいおい、いいのか?そんな軽いノリでやっちまって。怖くないのか?」
「そんなもん怖がってたら不思議なんて探せないのよ!
それに、あんたが持ってるってことはあんたはもう遊んだんじゃないの?」
「実は今ゲーム機を谷口に貸していてな。手に入れてから1度も遊んでない」
「ふーん、まあいいわ。早速やってみましょ」
 
(やれやれ、ハルヒがカリカリしたときの非常用ネタとしてとっといたもんだが、
結果的に役に立って良かったぜ。
あんな噂が付いたところで所詮はゲームだ。大したことは起こらんだろう。)
 
「なるほど、心霊写真を除霊するゲームなのね」
「霊を攻撃したり、順番通りにボタンを押して印を結んだりするようだ」
「確かあの話だと、6面と8面で押し間違えると怪奇現象が起きるのよね」
 
選択肢:これからどうしますか?
1.マジメにゲームをプレイする
2.手を抜いてプレイする
3.すべてハルヒに任せる
4.まずは塩・お神酒・お札・数珠などを買いにいく
5.やっぱり怖いのでゲームやめる
6.「ん?ジャケットの裏に何かコマンドが……」

涼宮ハルヒの探索 呪縛の章  (132-516氏)

 
→3.すべてハルヒに任せる
 
キョン「ハルヒ、お前がやってみろ」
 
ハルヒも言っていたが、たかがゲームだ。
ハルヒの変態的パワーが加わって変なことが起こることもあるまい。
 
ハルヒ「……何よこれ。あんまり面白くないわね」
キョン「……ああ、そうだな。素人が作ったフリーゲームの方がマシだ」
ハルヒ「都市伝説とか霊障とか以前に、ゲームとしておもしろくないわ!」
 
確かに、面白くない。
ゲームバランスはボロボロ、デザインもチープで、
よくこんなゲームを発売する気になったもんだ。
 
ハルヒ「これが問題の6面?何よこれ。簡単すぎじゃない!あくびが出るわ!」
 
ハルヒがそう言いながら、軽快にコントローラーを操作して印を結んd
……あ、間違えやがった。
 
ハルヒ「あら、間違えちゃった。でも、そう簡単に呪いとか起きるわけ…………が……」
キョン「うっ…………、き……、気持ち悪……。なんか……凄い……めまいが……」
ハルヒ「あ、……あたしも。…………キョン、苦しい。……苦しいよぉ」
キョン「ハ、……ハルヒ。しっかり…………」
ハルヒ「キョン…………」
 
俺は右手でハルヒの左手を握ったまま、意識を失った。
 
 
頬を誰かが叩いている。うざい。眠い。気持ちよく眠っている俺を邪魔するな。
???「……キョン、キョン!」
まだ目覚ましは鳴ってないぞ。昨日の農作業で疲れてるんだ。もう少し寝かせてくれ。
???「起きてよ」
いやだ。俺は寝ていたい。胡乱な夢を見ているヒマもない。
???「起きろってんでしょうが!!」
首を絞めた手が俺を揺り動かし、後頭部を床に打ち付けて俺はやっと目を開いた。
どうやら、ハルヒの右手が俺の首をつかんでいたようだ。
ハルヒ「やっと起きた?」
俺の前で膝立ちになっているハルヒがいた。
ここは……、ハルヒの部屋だ。さっきはゲームしてる途中で、かなり激しいめまいで気を失ったんだ。
今は……、何ともない。
 
キョン「ハルヒ、お前具合悪くないか?何か、顔が赤い気がするんだが」
ハルヒ「そ、そんなことないわよ!今は何ともないわ。……それより、早く手を離しなさいよ」
キョン「す、すまん」
 
俺は慌てて手を引っ込めると、
 
ハルヒ「うおわぁっ!!」
キョン「うわっ!」
 
ハルヒが俺に飛びついてきた。
 
ハルヒ「な、何すんのよ!引っ張らないでよ!!」
 
ハルヒが俺の腕の中で、真っ赤になって激怒している。
 
キョン「すまん!引っ張ったつもりはないんだが……とにかく、すぐに手をほどいて……あれ?」
ハルヒ「どうしたのよ、早く離しなさいよ」
キョン「……外れない。ハルヒ、お前こそ離せ」
ハルヒ「あたしだって外そうとしてるわよ!でも、あんたが強く握ってるから外れないのよ!」
キョン「俺だって外そうとしてるぞ!」
ハルヒ「嘘つかないでよ!新手のセクハラ?」
キョン「バカ言え。お前も外すの協力しろ」
 
俺たちはどうにか手をほどこうとしたが、力ずくで外そうとするたびに、
 
デンデンデンデンデンデンデンデンデン♪ デンデン♪
 
そんなどこかで聞いたような音が俺の頭に響いた。
 
ハルヒ「キョン、何かさっきから太鼓の音みたいなのが聞こえるんだけど」
キョン「きっと気のせいだ。……やばい、本当に外れないぞ」
 
 
選択肢:さて、どうしたものだろう。
 1.工具を使ってみる。
 2.神社に駆け込む。
 3.他のメンバーを探しにいく。
 4.図書館へ調べにいく。
 5.とにかくハルヒに催眠術の話をしてごまかし、二次災害を防ぐ。
 6.キョンの家へ向かう。
 7.いつもの喫茶店に向かう。
 8.このまま街へ不思議探索に向かう。

 

じゃあ神社で

涼宮ハルヒの探索 神社解呪の章 (133-741氏)

 
→2.神社に駆け込む
 
俺たちは早速、近くの神社の神主を訪ねた。
出てきた神主は新川さんと瓜二つの人物であったが、突っ込まないことにした。
どうも俺たちにかけられた呪いはあまりにも強すぎて、この神社ではどうしようもないとのことらしい。
別の神社にタクシーで向かうこととなったのだが、なんとタクシー代も神社で負担してくれるそうだ。
……もしかして、この神社も古泉たちの息がかかっているのではなかろうか。
緊急事態ということで、タクシーの中で他のメンバーに事情を説明した。
 
こんなけったいな状況の中でも、ハルヒはといえば
 
ハルヒ「キョン!これって不思議よね!あたしたち、今まさに不思議に遭遇しているのよね!!」
 
と、目を輝かせている。
まったく、たくましい団長様だぜ。
古泉の言うような改変とかいうことは回避したかったので、
とりあえず催眠やら心理学やらの中途半端な知識で、ハルヒをなだめておくことにする。
 
タクシーの到着した先には、ボロい鳥居が申し訳程度に立っていた。
鳥居の奥は、木や竹がうっそうと茂っていて、建物があるのかどうかすら分からない。
 
古泉「お待たせして申し訳ございません!」
朝比奈「あわわわ、ほ、本当に手をつないでますぅ~」
長門「……」
ハルヒ「みんな、神社の名前を言っただけなのに、よくこんなに早く到着したわね」
古泉「え、ええ。有名な場所ではないのですが、たまたま知っていたのですよ」
 
今はハルヒが密着しているので、長門や古泉と打ち合わせることもできん。
これでは、流れに任せるしかあるまい。
鳥居の奥に進むと、小さな社があった。あそこが本堂だろうか。
社の前には、巫女さんが10人ほど待っていた。
 
巫女「お待ちしておりました。中へどうぞ」
 
中へ入ると、先ほどの神主より偉そうな神職が5人、その中心に、バアさんが居た。
いかにも、キエー!とか叫び出しそうなバアさんが。
怪しさ爆発だっぜ。
 
バアさん「確かに、お主らにかけられた呪いは、強力じゃな。
    並みの者では、呪いを解く術を見出すことすら出来んじゃろう。
    だが、命に関わるものではない。安心して、わしらに任せるのじゃ」
 
本当に、任せていいのかねぇ。
横でハルヒがはしゃいで、バアさんにいろいろ質問しているが、
会話がぶっ飛んでいて俺には理解できないので割愛させてもらおう。
横目で古泉の方を見ると、笑顔がこわばって、青い顔で冷や汗をかいている。
あいつ、20年くらい寿命が縮んでいるのではなかろうか。
っと、祈祷らしきものが始まった。
巫女さんとおっさん達が祝詞だかお経だか唱えていて、バアさんが俺たちの目の前で、
予想通りの叫び声をあげながら、紙がやたらぶら下がった棒切れを振り回している。名前は知らん。
 
バアさん「ふむ、分かったぞ。お主ら、互いに隠し事をしておるじゃろう!」
ハルヒ「えっ……」
キョン「うっ……」
 古泉「ほほお。隠し事ですか」
 長門「……」
 朝比奈「っ……」
バアさん「そりゃあのお、人間誰しも1つや2つ、隠し事をしておるもんじゃよ。
    じゃが、お主らの場合は、互いに、お主らにとって大事なことを隠しておる。
    大事なことであるがゆえ、必死に隠し続けておる。
    それを、互いに打ち明けなければ、わしらや神仏の力を持ってしても解くことの出来ぬ厄介な呪いじゃ」
キョン「何だよそれ……」
ハルヒ「キョン!あんた、雑用係の分際で団長に隠し事なんてしてたわけ?!」
キョン「お互いにってことは、お前もだろうが!」
ハルヒ「あたしはいいのよ!団の秩序のために、黙っていなくちゃいけないことだってあるわ!」
キョン「そうかもしれんが、この呪いを解くためには、そうも言ってられんだろう」
ハルヒ「……だったら、む、むりに、とか……も……いじゃ……ぃ」
キョン「ん?よく聞こえないんだが」
ハルヒ「何でもないわよ!とにかく、あんたから白状しなさい!
   呪いがあろうがなかろうが、隠し事なんて許さないわよ!!」
 
キョン「やっぱそうなるのか。そうだな……実は俺、かなりの甘党だ。
   特に、パフェとかいちご牛乳とかには目がないぞ」
ハルヒ「知ってるわよ、そんなこと。隠してるつもりだったの?」
キョン「なん……だと?!」
 古泉「知りませんでした。朝比奈さん、知ってましたか?」
 朝比奈「いえ、知りませんでしたぁ。涼宮さん、よくキョン君を観察してるんですねぇ。
    あ、もしかして最近、涼宮さんが部室に手作りのお菓子をよく差し入れてたのって……」
 長門「……うかつ」
キョン「それと、お前に弁当を食われちまった日に、
   ついカッとなってお前が持ってきたパンを食っちまった」
ハルヒ「ふーん……、って、な、何ですって?!
   先月、あたしのチョココロネがなくなったの、あんたのせいだったのね!!」
キョン「元はと言えばお前が俺の弁当を食ったあげくに、
   甘党である俺に対して、チョココロネのどっちが上か下かとか、
   どっちを先に食べるとかという話題を振ったのが原因だぞ!!」
ハルヒ「それとこれとは話が別よこの窃盗犯!!」
キョン「お前の弁当強奪だって同じだろうが!!」
ハルヒ「そんなにお弁当に未練があるなら、あたしがあんたのお弁当作ってくるわよ!
   それで文句ないでしょ!!」
バアさん「ばかっぷる乙」
 
キョン「まだ手が離れないってことは、お前だって、隠してることがあるんだろう」
ハルヒ「あたしの番ってわけね。いいわ、打ち明けてあげようじゃないの。
   あんた知らないかもしれないけど、実は不思議探索のときに、
   2回に1回は佐々木さんの姿を見かけるわよ。それも、あんたの近くで」
キョン「そうだったのか?!何で佐々木が……」
ハルヒ「気づいてなかったようね。SOS団員として、危機管理がなってないわよ」
キョン「俺、佐々木に何か恨まれるようなこと、したか?」
ハルヒ「……ったく、これだからキョンは!」
 朝比奈「佐々木さんのこと、涼宮さんはどうして気づいたんでしょうか。
    涼宮さんの近くじゃなくて、キョン君の近くに居たんですよね、佐々木さん」
 古泉「良いところに気づかれましたね、朝比奈さん。でも、本人の前では絶対に、おっしゃらないでください」
 長門「……?」
 
キョン「むっ!、……くっ。まだ外れないのか」
ハルヒ「みたいね。さ、今度はあんたの番よ。隠し事、白状しなさい!」
 
キョン「あとは……そうだな。実は……」
 
俺とハルヒによる、誠に不本意な大暴露大会が始まった。
「ハルヒに勉強を教えてもらったときにハルヒが忘れて行ったペンをそのまま使ってたら、どれがハルヒのか分からなくなったのでそのまま使ってる」
「キョンのお母さんと妹ちゃんに、キョンが勉強サボってないかどうかメールで教えてもらってる」
「ハルヒには普段から文句ばっかり言っているが、実は団活が楽しくて、高校生活に潤いが出ている」
「あたしもキョンに文句ばっかり言ってるけど、それでも着いてきてくれたキョンには感謝している」
「実は正月に撮ったハルヒの写真を、生徒手帳に挟んでいる」
「あたしも、孤島で撮ったキョンの写真を、定期入れに挟んでいる」
 
などなど、かなり恥ずかしいことまで互いに打ち明けたのだが、
手は一向に離れてくれない。
そして、バアさんがついに怒り出しちまった。
 
バアさん「くぉらぁお主ら!わしを悶え死にさせる気かぁ!!
    そこまで言い合えば、次に何を言うべきか、本当は分かっとるんじゃろう!!
    さっさと言え!言ってしまえ!そしてとっとと去るのじゃああ!!」
ハルヒ「ひぃっ!!」
キョン「うわっ!!」
 
さすがのハルヒも、バアさんの鬼の形相に顔を引きつらせていた。
これ以上引き伸ばすのは、精神衛生上も安全保障上も良くない。
 
キョン「ハルヒ、俺は、お前のことが……」
ハルヒ「キョン、あたしは、あんたのことが……」
 
……………………
 
 
-Wind○ws Liv○ Messenger-
 
icchan:……とまあ、これが、あなたがたのご両親が付き合い始めたきっかけなのです。
halca:二人とも、今のバカップルぶりからは想像出来ないほどのヘタレだったのねぇ。
kyoutarou: でも、そのタイミングで、母さんの能力を全部打ち明けた古泉さんも、すごい賭けに出ましたよね。
icchan:呪いというものの存在を認めてしまったからには、それを皮切りに他の超常現象まで認められてしまった世界になってしまったら、本末転倒ですからね。
icchan:だからいっそのこと、機嫌の良いうちに、ご自分の能力も含めて、認めてもらうことにしたのですよ。
halca:結局、二人の呪いってその時に解けたの?
icchan:後で祈祷師の方に聞いたのですが、実は呪い自体は、最初に暴露した時点で解けていたそうです。
icchan:でも、暴露大会の終結を望まない人が居たのでしょう。
halca:母さんね。間違いないわ。
kyoutarou:俺もそう思う。呪いが解けたのに気づかれたくなくて、父さんの手を話さなかったのはきっと母さんだよ。
icchan:んふっ。そればっかりは、本人たちにしか分からないでしょう。
kyoutarou:母さんに、早く寝なさいって怒られちゃった
icchan:おや、そうですね。つい夢中で話しているうちに、こんな時間になってしまいました。
icchan:今日はここで切り上げましょう。
halca:もうちょっと聞きたかったけど、しょうがないわね。
kyoutarou:ありがとうございました。また聞かせてください。
icchan:ええ、またお話しましょう。おやすみなさい。
halca:おやすみ!
kyoutarou:おやすみなさい<(__)>
 
涼宮ハルヒの探索 神社解呪ED

 

※神社解呪編は終了ですが、分岐エピソードはまだまだ募集中です