偽記念日・8月9日 (131-638)

Last-modified: 2010-08-22 (日) 02:16:18

概要

作品名作者発表日保管日
偽記念日・8月9日131-638(避難所より)氏10/08/0910/08/21

作品

1996年8月9日(金) デスクリムゾン発売
 
1996年8月9日は、バーチャガン対応ソフトであるデスクリムゾン(デス様)の誕生日デス。
製作・発売元のエコールソフトウェアは、それまでは廉価なCADソフトで名を知られていた優秀な会社デス。
だが抑えてはいるが冒険心旺盛で、平均以上に野心家だったプレジデント真鍋は、突き動かされるものを感じ、
突如ゲーム業界への参入を思い立ったのデス。
プレジデント真鍋は単身友ヶ島へ渡り、城塞跡であのシュールなOPムービーを撮影し、
完成品を前にして発売を渋るセガを強引に説き伏せ、
ついにサードパーティとしてゲームを売り出すことに成功したのデス。
デス様は、熱意だけなら他の追随を決して許さない野心作でした。
しかし逆にいうと、熱意以外の何もかもが落第点でした。
発売以来セガサターン史上最低ゲーム、あるいは十年に一度のクソゲーと評されたデス様デスが、
しかしやがてカルトなファンから熱狂的な支持を受け、
ついには伝説のクソゲーとして語り継がれるようになったのデス。
 
……どことなく『朝比奈ミクルの冒険~episode00』の制作過程を彷彿とさせるエピソードデスね。
 
その後エコールソフトウェアは、デスクリムゾンの失敗にも挫けず、現在でもゲームを作り続けているのデス。
ちなみに現在の聖地<<エコール本社所在地>>は、谷川ワールドの舞台こと兵庫県西宮市デス。
 
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ハルヒ「くそーっ、このやろうー」
キョン「なんだいきなり? 秘宝伝説でもプレイしてるのか。さては父親がリンをかばって死んだ場面だな?
    さあ涙を拭いて忍者を倒すんだ。骸骨戦士なら一撃で勝てる。吸血アゲハの粉で足止めするのもいいぞ」
ハルヒ「キョン、あんた本当にサガ好きねえ。これがどうしたらDSに見えるのかしら?あんたの目は節穴なの?
    あんたん家の押し入れに仕舞ってあった、サターンのバーチャガンでしょうがこれ」
キョン「おお、懐かしいなサターン。バーチャロンにハマる前の機種だったか。ならばそれはバーチャコップ……
    いやちょっと待て、バーチャコップじゃない?!」
ハルヒ「ちょっと、いきなり大声出さないでよ」
キョン「なんだこのグラフィックは?!まっすぐ立ってた建物が、ワンモーションで全部斜めに傾いたぞ!
    お前がやってるゲームって、もしかして……」
ハルヒ「そうよ。サターンどころかゲーム史上最低と謳われた、あの伝説のデスクリムゾンなのよ!」
キョン「やっぱり。どうりでサターンにしてはファミコンみたいな荒い画面だったわけだ」
ハルヒ「なんでキョンがこんな伝説のゲームを持ってたの?買ったの?」
キョン「まさか。昔のツレが強引に貸してきて、そのまま返しそびれたんだ。もっとも借りパクじゃないぞ。
    俺がちゃんと返そうとする度に、そいつに嫌な顔をされたからな」
ハルヒ「わかるわぁ、その友達の気持ち。あたし今このゲームやってて、全っ然楽しくないんだもの。
    あ、ミスった。おーのー。」
キョン「声真似うまいな。投げやりな雰囲気が出てる。楽しくないと言ってる割に、結構頑張ってるじゃないか」
ハルヒ「ゲームだろうと何だろうと、あたし一旦手をつけた物を投げ出すのが大っキライなの。
    投げ出したら負けだし、あたしはナニモノにも負けたくないの。
    って、やりやがったな!あぁ……」
キョン「ゲームオーバーだな。というか声真似うますぎるだろハルヒ。今の喘ぎ声を人前で披露するなよ。
    色々な意味でヤバかったぞ?」
ハルヒ「またメーカーロゴ?また飛ばせない気持ち悪いマスク?もーイヤこのゲーム!何もかも狂ってるわ!」
キョン「狂ってるのは、こんなゲームに手を出したお前の頭だ。
    それに投げ出さないって、今さっき自分で言ったばっかりじゃないか。続けたらどうだ?」
ハルヒ「うっさい! この怖いロゴを何度も何度も見せられるあたしの気持ちなんて、あんたに解んないわよ!」
キョン「解るさ。なんたって俺も昔遊んだゲームだからな」
ハルヒ「ふーん……じゃあさ、あんたが代わりにクリアしなさいよ。あたし隣で見といてあげるから」
キョン「何が『じゃあ』だよ!何でまたそうなるんだ?!」
ハルヒ「元々あんたの持ってたゲームなんでしょコレ? だったら最低一回ぐらいクリアしたことあるはずよ。
    それにせっかくだから、あたしはこのゲームのエンディングを見るわ。だからあんたがこれクリアして」
キョン「どういう風の吹き回しかな? 投げ出したら負けなんじゃなかったのか?」
ハルヒ「あたしは団長で、あんたはヒラ団員。団長は何事においても、ヒラ団員より格上なのよ。
    だからヒラ団員のあんたがクリアすれば、それはあたしがクリアしたも同然なの。いい考えでしょ?
    どうキョン、やってみない? あたしには解るわ、あんた今やる気出てる。そうよね?ねえキョン?」
キョン「なんで都合のいい時だけ猫撫で声が出せるんだお前という女は。シャミセンかお前は。
    あいつも今のお前と同じように、都合のいい時だけ懐いてくるし。ってあいつはオス猫だったか。
    ……わかった、やるよ。頑張ってクリアしてやるよ。だが先に言っておく」
ハルヒ「なによ。もったいぶるのは悪い癖よ。早く言いなさい」
キョン「エンディングも酷いぞ。覚悟しておいてくれ」
ハルヒ「酷いかどうか決めるのは、あんたじゃなくてあたし。さっさとエンディングを見せなさい」
 
~Death Crimson Stuff~
 
ハルヒ「……なにこのエンディングロール」
キョン「なにって、だから先に言ったじゃないか。エンディングも酷いって」
ハルヒ「暗い、暗すぎる!月並みなハッピーエンドじゃないのは評価したいけど、これじゃお葬式じゃん!
    散々コンティニュー繰り返して、三十分以上も時間使ってようやくクリアして、
    それで最後の最後にお葬式みたいな曲とスタッフロールだけの画面?!エンディングこれだけ?!」
キョン「おいハルヒ。三十分以上とか言ってるが、実際必死にクリアしたのはお前じゃなくて俺だぞ。
    お前その間中ずっと、マンガ読んだりネットしたりしてただけじゃないか」
ハルヒ「だってそうでもしないと、ヒマでヒマで仕方なかったんだもの!おんなじ敵をバンバン撃ってただけ!
    ちっとも変わり映えしなかったじゃない! 三十分間ずっと同じ画面が続いてるのかと思ったわ!」
キョン「……まあな。画面が変わり映えしないのは否定できんし、俺もこのゲームは説明不足だとは思う。
    だがこの暗いエンディングにも、ちゃんと意味があるそうだ。
    どうやらクリムゾンは持ち主の精神を崩壊させるらしい。そして越前康介は最後に……」
ハルヒ「そんな説明ゲーム中のどこにも出て来なかったわよ!鬼とか目玉とかバンバン撃ってただけじゃない!
    ねえ、最初に出てたダニーとかグレッグとか、あれ何か関係のある人たちだったの?それとも違うの?
    しかもよく見たらスタッフ(Staff)の綴りも間違ってたし、色々突っ込み入れ始めたらキリがないわ!!
    もうイヤ、この狂ったゲーム!なんでこんなゲームが商品として世に出回っちゃったのかしら!」
キョン「だから伝説になったんだろうよ。なあハルヒ、こんなゲームにマジになっちゃってどうするんだ。
    伝説のゲームのエンディングを実際に見られただけでも、良しとしようじゃないか」
ハルヒ「よくないわよキョン!こんなゲームなんかより、あたしが自分で作ったゲームの方が断然面白いわよ!
    よし決めた!今度の文化祭ではバンドと映画に加えてゲームも作るわよ!いいわね?」
キョン「拒否する。VETO発動だ」
ハルヒ「じゃあ、あたしは拒否することを拒否する!あんたのVETOなんて認めない!
    あんたと一緒に絶対すごいゲームを作ってやるんだから、だまってあたしに協力しなさい!
    見てなさいよ世界!あたしの作る素晴らしいゲームで、世界をあたしの下に跪かせてやるわ!
    さ あ 、 ふ る え る が い い !!」
キョン「うぉっまぶしっ。久々にハルヒが燃えている。こりゃあっついぜ~、あつくて死ぬぜ~」
 
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古泉 「涼宮さんがあのような状態になってしまった以上、何らかの手を講じる必要がありますね」
みくる「どうするんですかぁ?」
有希 「たとえば一定のルールに従った疑似的な世界を構築し、わたしたち五人全員でそれを体験する」
みくる「ふぇ?それって中世とか銀河パトロールとか西部劇のアレですか?あたしそれイヤです。
    思い出したくもないわ」
古泉 「確かに。では何か別の手はありませんか?」
有希 「実際の世界を改変するのではなく、この惑星の遊戯用情報媒体上に疑似世界を構築する。
    構築された疑似世界は、情報端末機器をインターフェースとして誰でも体験できるようにする」
古泉 「要するにゲームを作るということですね。どんなジャンルのゲームにしましょうか?」
有希 「もう考えてある。コンセプトはオムニバス形式のロールプレイングゲーム。
    メインシナリオの超能力学園編・五人のヒロイン戦隊編・妖精とネコ耳ロボット幼女編は完成した。
    追加シナリオのニシノミヤ連続殺人事件、それと源氏物語・陰陽師編も鋭意執筆中」
古泉 「もうシナリオまで書き上げていたのですか。ものすごい乗り気ですね長門さん。
    ……オムニバス形式のRPGって、まさかラスボスの名前は全編共通でオディオにするとか?」
有希 「いいえ。各シナリオごとに独立した撃破目標を設定する。
    例示すると『ジェノサイドハート』、『オルロワージュ』、『真の首領』といった具合に」
みくる「『真の首領』って、そのまんますぎませんか? もう少し捻って、アスタリスクなんてどう?」
古泉・有希「!?」
 
<アスタリスク>:
介入する。
 
 
実行。
 
 
終了。
 
 
そして戸惑へ……
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