名は体を表す? (36-744)

Last-modified: 2007-01-22 (月) 23:02:23

概要

作品名作者発表日保管日
名は体を表す?36-744氏07/01/1607/01/22

作品

「雪?…」
どおりで寒いと思った。明日のことを考えて積もらないことを祈る。
まあ、団長様は遊ぶ為に「積もればいいのに」とか言い出してきっとそうなってしまうのだろうが。
「有希?あんた有希のこと、いつのまに名前で呼ぶようになったのよ」
不機嫌な様子でいちゃもんをつけてくるハルヒ。
「違う、外見ろ。雪が降ってきたんだ」
ハルヒは俺の肩越しに窓の外を見る。
「なんだ、まぎらわしいのよ、もう
お前が勝手に勘違いしたんじゃないか。俺も長門も悪くないぞ。
「うっさいわね、どうでもいいわよそんなの」
相変わらずの傍若無人。変わらないなコイツは。
しかし…雪か、なんとなく長門っぽいな、なんて思う。当の長門は石のように本を読んでいるが。
「なんか、似てるわよね」
なにがだ。
「雪よ雪。雪と有希ってなんか似てると思わない?」
同じこと考えてたのか、名は体を表すって奴か?だとしたら「ハルヒ」はなんだろうな。
考えるまでも無い。「晴る日」だろうな。
「お前はそのまま「晴れ」って感じだな」
「なによ急に」
「名前だよ、名前。お前は「晴れた日」って感じだ」
「ふーん、それ褒めてんの?」
そりゃあ…言いかけて途中で止まる。SOS団を始める前のコイツは「晴れ」じゃなかった。
曇りも曇り、いまにも雨の降りそうな曇天だった。それは「泣きそうだった」ってことだろうか。
馬鹿馬鹿しい、古泉じゃないんだ。ハルヒの心理分析なんてらしくない。
「なんで言いかけて止まるのよ。…そんなに言いにくいことだったの?」
不機嫌レベルがアップしている。いつ噛み付かれるかわからない。
「違う、何て言うか、今のお前で良かったと思ってる」
「え、それ…」
「今の楽しそうなお前は「晴れ」って感じで「ハルヒ」って名前に合ってると思う」
「き、急に何言ってんのよ、バカ!」
なぜか顔を赤くしてむこうを向いてしまった。ただフォローしただけなんだが…。

 

しかたなく椅子に座ると古泉が話しかけてきた。
「先ほどの愛の告白のことですが…」
ゴフッ!盛大に咳き込む。
「な!何を!」
「落ち着いてください、声が大きいですよ」
落ち着いていられるか。どういうことだか説明しろ。
「おや?ふふ、なるほど、通りで」
だから説明しろ。早く今すぐにハリー。
「いつものあなたならあんなにストレートに褒めないと思っていましたが、意識していなかったんですね」
…どういうことだ。
「いいですか、「今のお前がいい」なんて恋人に言うような言葉ですよ。
 少なくともそう思ってしまうような言葉です」
…あ。いや待て、違う、あれは深い意味は無くてだな。
「それを僕に言っても仕方ないですよ。言い訳なら涼宮さんにどうぞ」
「う。…まあ嘘ってわけじゃないからな、別に取り消さなくてもいい」
ニヤニヤしながら古泉は言う。
「そうですね、わざわざ機嫌を損ねることはない。涼宮さんは悪い気分ではないでしょうから」
そうだな、アイツの機嫌が悪くなると色々と面倒だからな。
「もちろんあなただって悪い気分ではないでしょう?」
「…まあな」
「あなた方はもう少し素直になるべきですよ。お互いの為にも」
なんとなく古泉が本気で言っていたように感じた。

 

「ハルヒ」
「なによ」
「笑ってろよ、その方が「ハルヒ」らしい」
「…バカ」