待ち受け画面上のポニー (82-52)

Last-modified: 2008-04-10 (木) 23:08:08

概要

作品名作者発表日保管日
待ち受け画面上のポニー82-52氏、64氏、97氏08/02/2608/02/26

作品

梅雨というにはまだ早い5月。何かと忙しかったGWも過ぎ、俺と古泉は将棋をし、朝比奈さんはお茶の本を、長門はいつもの席で辞書みたいなSFの本を読んでいる、そんな普段のSOS団の生活へと戻っていたある日のことである。
パソコンを何やらカチカチやっていた我々が団長、すなわち涼宮ハルヒが「キョン!」と言う一声とともに突然椅子から立ち上がった。
珍しく粘っていた古泉の玉将をどうやって狩ってやろうかと考えていた俺はハルヒの大声とガタンっという音に間抜けにも「おうわ」と言う声をあげた。
「あんたびっくりし過ぎよ。」
呆れ顔のハルヒがそう言った。
そんな事は無いぞ。誰だって『普通』は驚く。見ろ朝比奈さんを驚き過ぎて声も出ていないでわないか。
ちなみに長門は全くの無反応だったけどな。
面倒いから古泉は割愛だ。
「あんた聞いてんの?驚くだけ驚いといて。」
ほっとけ。
「で、何だ」
ふふ、とあの迷惑な事を思い着いた時の極上の笑顔を浮かべ叫んだ。
「あたしを待ち受けにしなさい!!」
「………」
これは長門だけではなく俺、朝比奈さん、古泉の分も含んだ3点リーダーだ。
「あ~すまん聞こえなかった、もう一度頼む。」
俺の聞き間違いかもしれないからな。
「だ・か・ら、あたしの写真を携帯の待ち受けにしなさい!って言ったの!」
うん、どうやら聞き間違いではなかったようだ。
「あ~言いたいことは分かった。が、理由を教えろ。何故俺がお前の写真を待ち受けにしなきゃいけないんだ?」
「やっぱりどの時代もね上に立つ者を敬う気持ちは大切なのよ!だから毎日あたしを拝んで敬う気持ちを育てなさい!」
どこの国のトップだお前は。つうか何故俺限定みたいなことになってんだよ。
「あんたから全然敬意が感じられないからに決まってんじゃない!」
そりゃ悪かった。
今度から気をつけるとしよう。ということで終わりだ。
「はぁ?何一人で完結しましたみたいな顔してるのよ!いいからあたしの写メを撮って待ち受けにしなさい!」
日本語の使い方が、つうか『写メ』という言葉の使い方間違ってるぞ。一回調べてみろよ。
「話をすりかえるな!」
いやそうは言うがなどこぞの世界に女の子の写真を待ち受けにする男子がいる。
そういうのは彼氏彼女の関係にある忌々しいやつらがすることであってな。
俺がしてたらいらぬ誤解を多々招くことは明らかな訳で…
「何ごちゃごちゃ言ってるのよ!分かってるとは思うけどあんたに拒否権なんか最初から無いんだからね!」
ちくしょう、人権無視も甚だしいぞ。
といってもこうなったコイツを止められる訳無いし、ほら古泉を見ろ、頷いて下さいねと言わんばかりの目配せをさっきからし続けてやがる。
気持ち悪いから止めろ。
仕方ない…ん?
どうせなら…な。
「おいハルヒ」
アヒル口のハルヒに声をかける。
「何よ、ようやく観念したの?」
「ああ。団長を尊敬するのは団員として当然の事だからな。」
「ふぅ~ん、いい心がけね。」
「だからポニーテールにしろ。」
「はぁ?なんでポニーテールにしなきゃいけないのよ」
「いいだろ別に。したらもっと尊敬するかもしれないぞ。」
「いやよ。だいたいなんで団長のあたしが平団員のあんたの言う事聞かなきゃいけないのよ」
「そうかそりゃ残念だな。最近、というよりあれ以来見てなかったから見たかったんだけどなハルヒのポニーテール。」
うん、いい作戦だと思ったがやっぱり無理だったか。
「あ、あのキョンくん?モノローグもれてますよ」
「へ?」
見ればハルヒは何故か顔を赤くしている。
「そ、そのどうしてもキョンがポニーテールがいいっていうんならしてあげない事も…」
そんなもじもじしながらチラチラこっち見るな。不覚にも可愛いとか思った自分が恨めしいではないか。
「あ~えっと」
どうしようか言葉を探していると古泉が余計な事を言い出した。
「いいでわありませんか、涼宮さんがああおっしゃってるのですから、してもらったらどうですか?」
くそぅ、モノローグがもれたおかげで収拾がつかない。
しかしそんな俺に追撃をかますように古泉が更に余計な事を言いやがった。
「あぁどうせならあなたがやって差し上げたらどうですか?」
「はぁ?」
コイツめそのにやけ面をどうにかしないと一発殴るぞ。
「えっと…キョン…して?」
誤解を招くような言い方をするんじゃありません
「いいのか…?」
って俺も自重しろ。
「うん」
だから自重しなさい。
「ハルヒ…」「キョン…」とか続かないからな。誤解の無いように。
「ん」
こら、変な声を出すな。そして古泉こっちみんな。何となくむかつく。
古泉はそれを察知したのか分かってますよ的な笑顔でさっきまで俺たちがやっていた将棋の盤面上に目を落とした。
「あんたの手つきが何かいやらしいのよ」
失礼なやつだ。
「よし、と」
うむ、初めてポニーテールを結ってみたが我ながら中々の出来ではないのだろうか?
「でもあんたどうして結い方知ってるのよ。妹ちゃん?」
いいや、何故か妹はサイドポニーなる邪道を行ってるからやったことがなかったのだ。
「じゃぁどうしてよ。」
中途半端なポニーの尻尾を少し揺らしジト目で見てくるハルヒ。
なんだその何か変態を見るような目は。
「お前が俺の前で結って見せたんだろうが。」
「え?」
あ。
言ってから気付いた。あれは長門流世界改変後での出来事だから今のコイツは知らないんだった。
「え~っとだな…」
心なしかこちらから見える古泉の顔に焦りの表情が1グラムほど浮かんでいるし、長門も本から目をあげ「………」とこちらを見ている。
「あ~あれだ間違えたお前じゃなくて妹だ、妹。」
「あんたさっき違うって言ったじゃない。」
よく覚えていらっしゃる。
「だからやってるのは見たことないがやり方だけ妹に教わったんだ。」
「………」
とジト目のハルヒ。
「言葉の綾ってやつだ。気にすんな。」
「本当かしら?」
「本当だ」
「じゃぁ何でそんなの教わろうとしたのよ?」
まだ引っ張るか。
まさか「いつかハルヒにやって見るつもりだった」とは言えないし、妹で試してみるつもりだったとかで逃げよう。
などと一生懸命言い訳を考えてると突然朝比奈さんの舌足らずボイスが聞こえた。
「あのキョンくん、」
「はい?」
「えっと、またモノローグもれてましたよ」
「え」
ちくしょう、本日2度目の大失態をしてしまった。
ほら、下を向いたハルヒの肩が揺れている。
「このエロキョン!」
案の定言われた。
まぁしょうがない。
顔を真っ赤にするほど怒ってるのかコイツは。
「…もうバカなんだから」
何だって?すまんもう一度頼む。
これ以上怒らせると古泉のバイト大増量に繋がるかもしれないからな。
「何でもないわよ!ポニーテールにしてあげたんだから早くあたしを撮って待ち受けにしなさいよ!!」
ああ、そういえばそれが目的だったな。
俺は携帯をポケットから取り出し横のボタンを押し撮影モードにする。
「じゃぁ撮るぞ」
カシャという音とともに携帯に写ったのはポニーテールには足りない長さのポニーテールをしたちょっと横を向き頬を朱色に染めたハルヒであった。
それを保存し待ち受け画面に登録する。
ほらこれでいいか?と確認しようとしたらカシャと写真を撮られた。
俺を撮ってどうする。
「間抜け面のあんたをいつでも世間に晒せるように撮っただけよ。」
なんだそりゃ。
今度こそ
「ほら、これでいいか?」
と携帯の待ち受け画面をハルヒに見せる。
それを見たハルヒは
「ちゃんと拝みなさいよ!」
と100Wの笑顔で叫んだ。
何がそんなに嬉しいんだよ。
まぁいいか。
「それから待ち受け変えちゃダメだからね」
マジですか。
「本気と書いてマジよ」
そうかい。
それよりもせっかくポニーテールにしてもらったんだからな、
「ハルヒ」
「なに?」
今度はこっちを見て100Wの笑顔を振りまいているハルヒに、俺は言ってやった。
 
「似合ってるぞ。」

AA作品 (64氏)

   ちょっとキョン! 見たわよ!
   なんで待ち受け変えたの!
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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     /rシ/ニニヽヽ  ノ /  u  ヽ
    ハ芥.lノメ从从|゙t  ノハハハハハ !
    i l (| | ┃ ┃ i |   !|─ ─ ,iリ)!
    i从リ、''' (フ''ノリl   ’ 、 - ,ノル´ バレタカ…
      ⊂} |{H}l'iつ    〈i゙|†'|´{'>
      く_/_i_l_ゝ      i´T `i'
       (__八__)     .〈_,八__〉
       その、な……
       電話をする、または電話を受けて、
       こうやって耳にあてると、
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.     , -‐―‐- 、.    ,. ‐-ー- 、
     /rシ/ニニヽヽ   ノ /  u  ヽ
    ハ芥.lノメ从从|゙t   ノハハハハハ !
    i l (| | ┃ ┃ i |  [>|─ ─ ,iリ)!
    i从リ、 '' - ''ノリl  ○ 、 - ,ノル´
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        く_/_i_l_ゝ     i´T `i`
         (__八__)      〈_,八__〉
      お前の顔、それも口のあたりが、
      俺の頬にくっつく感じなんだ……
      それがどうにも
      別に 不快ってわけじゃないが
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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     /rシ/ニニヽヽ   ノ /  u  ヽ
    ハ芥.lノメ从从|゙t   ノハハハハハ !
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    i从リ、'''   ''ノリl  ○ 、っ ,ノル´
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         (__八__)     .〈_,八__〉
   じゃ、じゃああたしも、電話するたび、
   あんたにキスされてたってこと?
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.     , -‐―‐- 、.    ,. ‐-ー- 、
     /r ;/ニニヽヽ   ノ /  u  ヽ
    ハ芥.lノメ从从|゙t   ノハハハハハ !
    i l (| | ┃ ┃ i |  [>|─ ─ ,iリ)!
    i从リ、''' ロ''ノリl  ○ 、 - ,ノル´
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     /r ;/ニニヽヽ   ノ /    ヽ
    ハ芥.lノメ从从|゙t   ノハハハハハ !
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    i从リ、''' ロ''ノリl.   ’ 、 - '' ノル´
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イラスト (97氏)

>>52-55を読んだら俺のシャー芯が糖分と化してしまった
 
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