果たし状 (149-299)

Last-modified: 2012-02-14 (火) 02:39:51

概要

作品名作者発表日保管日
果たし状149-299氏12/01/1812/02/14

作品

あたしの朝は早い
 
だって早く学校に行きたいんだもん。
 
ん? なんでかって
 
そ、それは
別にアイツに早く会いたいとかじゃないんだからね。
そもそもアイツは毎朝、チャイムギリギリに教室に入ってくる。
 
あたしの1日の本当の始まり。
 
なんちゃって
 
 
そんな、平凡で退屈だけどなんとなく幸せだったりする毎日。
 
……でも
 
非日常とか不思議とかノイズなんて事柄は、唐突にやってきた。
 
 
何時ものように学校に来て、下駄箱で上履きに履き替えようとしたら。
 
パラ…
 
手紙、中学の時は毎日、毎日鬱陶しいくらい入ってたけど、高校に入ってからは初めてなんじゃないかしら?
はぁ~直接言えっての!
 
拾った手紙を手に取る。
 
まったく ん? おぉ~~~
 
果たし状キター
 

果たし状
                ホ
                ウ
                カ
           キ   ゴ
           ョ
           ウ
           シ
      カ   ツ
      ナ   ニ
      ラ   テ
      ヅ   マ
      恋   ツ
 

全部カタカナ!!読みづら
 
ふぅーん
SOS団団長に果たし状を送り付けるとはなかなかやるじゃない。
 
上等じゃないこの果たし合い受けてやるわ
 
 
こんなワクワクもなんか久々じゃないかしら、なんとなくあたしって、こう言う感じの事態には蚊帳の外だし。
 
みんなはあたしが知らないって思ってるでしょうけど
 
まさか、みくるちゃんなんてバレバレ愉快よ
おっと、この話は置いておいてと
 
キョンには気づかれないように平静を保って
放課後まで我慢よ我慢
 
あっという間に放課後よ放課後!!
とりあえず部室に向かう、キョンは先に行ったみたい。
珍しいわね、アイツもやっと団員としての自覚が出てきたのかしらね。
 
ガチャ
 
「ヤッホー」
「どうも」
「…………」ペラ
「直ぐお茶煎れますね」
 
平静、平静
 
「あれ?キョンは」
「先程、突然用事を思いだしたと言って、帰ってしまいました」
 
「ぶぅ、おっと……」ペラ
「キキョンキュンどうしちゃんですか」
 
古泉君……なんかウザイ
有希……本で誤魔化しても
みくるちゃん……バレバレよ
 
まぁ、いっか
夜に何時もの定期連絡で聞いてやろ。
 
それよりも
 
「あたしもちょっと用、超、未、宇「どうぞ、どうぞ」
 
最後まで聞きなさいよ!
 
しかし
流石に家の団員達ね
あなどれないわ
 
 
そんな訳であたしはそそくさと教室に
 
ガラガラー
 
そこで待っていたのは!
 
「遅いぞ、さっさと入れ」
「やっぱりあんただったの」
「だ。意外か?」
「あたしに喧嘩売るとは良い度胸ね」
「別に喧嘩するためにお前を呼んだわけじゃない。ちょっと訊きたいことがあるだけだ」
「じゃあ何で果たし状なのよ」
「あれくらいじゃないとお前の興味も引けんだろ」
「確かにそうだけど……で?何を聞きたいの」
 
「人間って奴は、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』って言うだろ。これ、どう考える?」
「よく言うかどうかは知らないけど、言葉通りの意味じゃない」
「じゃあ、たとえ話なんだが、現状を維持するままではジリ貧になることは解っているんだが、どうすれば良い方向に向かうことが出来るのか解らないとき。ハルヒ、お前ならどうする?」
「なにそれ、まぁ~あたしならとりあえず何でもいいから変えてみようって思うわ、どうせ今のままじゃ何も変わらないだろうし」
「正解……おっと、まあ、そういうことなんだか」
「あんた、何が言いたいの?」
「しかしだな、俺の周りにもやっぱり、急な変化を激しく所望する輩が多々いるわけで。俺は正直今のままでもと思ってたりするんだが。手をつかねていたらアイツらがどんどん良くないことを考え出しそうだし、面倒ごとも増える。だったらもう俺自身で強硬に変革を進めてやろうって、何も変化しない関係に、アイツらはもう飽き飽きしてるらしい、別にアイツらの為じゃないが。だが……」
 
「????」
 
「ハルヒ好きだ……大好きなんだ」
「……じょ冗談でしょ!それがそれがあたしをはめる作戦だったとしても騙されないわよ。だから、ふざけんな!」
「冗談だと思うか?」
「え?」
「お前は俺のことが嫌いか?たとえお前が俺を嫌いだとしても、俺にはハルヒを嫌いになるなんてできない」
「意味が解らないし、笑えないわよ。嘘つくな!」
「それは無理だ、俺はお前を愛してる、だからお前の気持ちも聞かせてくれ」
 
 
「うぅ……うぁーー開かない!なんで開かないの」ガタンガタン
 
「ふもふもっふ」
「逃げ場なし」
「頑張ってください涼宮さん」
 
「あ、あんたたち!!やっぱり。開けろー団長を裏切るな」
 
「無駄だ。俺とあいつらの利害は一致している。脱出路は封鎖した。簡単なことだ。今のこの教室は密室。出ることは出来ない。あきらめろ。結果はどうせ同じことになるんだ」
「……キョン」
「無駄だ。お前の返事を聞くまでは出さない。正直な、最初からこうしておけばよかったって今なら思えるぜ」
「キョン、あたしは……」
「…………」
「あたしも」
 
ギュ
 
「大好き」
 
 
「ふもーっふ!」
「…………」ウルウル
「長門さんが泣いてる」
 
 
「ハルヒ」
「キョン」
 
 
WAWAWA~っと
 
「何やってんだ廊下でお前らは邪魔だぞ俺は教室に忘れ物を」
 
ガラガラ~
 
「ふもっふ!」
「…………」
「ちょ!空気読めや糞がーー」
 
 
「キョン?涼宮?お、お前らーー神聖な学舎でなんて……アァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
 
 
おしまい