終戦のローレライ(涼宮ハルヒ版) (41-256)

Last-modified: 2007-03-13 (火) 01:17:26

概要

作品名作者発表日保管日
終戦のローレライ(涼宮ハルヒ版)41-256氏07/03/0107/03/01

作品

この話はフィクションであり、ここに登場する地名・団体名は実際とは関係ありません。また原作にも関係ないので関係機関へのお問い合わせはおやめください。

 

西暦1945年

 

人類はその戦争にただ翻弄され続けていた

 

第二次世界大戦末期であった

 

─序章─
8/3 九州 玄海島北89.3K地点
アメリカ軍潜水艦UK02「ボストン」はその‘潜水艦‘を追い求め進んでいた。だがしかし僅か十数分前にそれを見失った。
「<本艦の近くに何かいます!>」
「<スクリュー音!味方の物ではありません!>」
「<いつの間に近づかれたんだ>」
「<ぎ、魚雷発射されました!距離1300!>」
「<取り舵一杯!>」
「<駄目です、回避できません!>」
「<魔女め・・・>」

 

次の瞬間「ボストン」は司令塔を直撃した魚雷によって粉々に破砕された。

 

それを連合国は魔女と呼び、悪魔と呼び、神であることを否定した。

 

神であることを否定した。しかしそれは自ら現実から眼をそむけ耳を塞いでいるだけに過ぎなかった。
しかし

 

8月6日朝
広島県広島市。
B29「エノラ・ゲイ」が落としたたった一つの爆弾、俗に言う広島型原子爆弾「リトルボーイ」が広島の町をほぼ焼き払った。
爆心地から半径2キロ以内の物と者は全て焼き尽くされ、その後降った放射能をたっぷり含んだ「黒い雨」が後々まで人々を苦しめることになる。

 
 

8月7日 横須賀
カツ、カツ
「長門さん、あなたは‘罪と罰‘を読んだ事がある?」
「罪と罰?」
海軍長門少佐と朝倉大佐。
「ロシアの話で、ある青年が高利貸の婆さんを…まあいいわ、時間が無いし」
2人と控えの兵が歩いていったのは床の世界地図が書かれた部屋。空襲で半分破壊された部屋だった。
朝倉は足元の地図を指で指しながら話を始めた。
「昨日午後、海軍の特攻部隊がマリアナ諸島沖で1隻の潜水艦を拿捕したわ。残念ながら中は空っぽだったけど、その船は拿捕される前にアメリカ本土から真珠湾を経由してテニアン島に寄って荷物を降ろした。
何を降ろしたと思う?」
「・・・」
「原子爆弾よ」
「原子爆弾・・・」
「そこであなたに頼みたいことがあるわ、ついてきてちょうだい」
無くなっている扉から3人は外に出た。
「・・・これは・・・?」
「ドイツから一昨日到着してついさっき整備の終わった戦利潜水艦‘伊507‘ナチスの開発した特殊兵器ローレライを装備しているわ」
「ローレライ?」
普段無口な長門も思わず聞き返した。
「それについてはこちらの、古泉博士が教えてくれるわ」
「古泉です。よろしくお願いします」
突如隣に来た爽やかな男はお辞儀をした。
「長門少佐!たった今海軍士官学校教職を解任し、潜水艦伊507艦長の職に就けます。目的は新たなる原子爆弾の投下を阻止するためテニアン島を攻撃すること!出発は明日〇五〇〇(まるごーまるまる)!」
そして長門と朝倉は敬礼を交わした。

 

8月8日 AM7:13 横須賀沖
司令塔の上、監視位置で双眼鏡を構える長門ともう1人。
「やあやあ、長門少佐とまた同じドンカメに乗れるとは思わなかったっさ~」
「鶴屋大尉。あなたと私が前回同じ潜水艦に乗ったのは1年と216日と13時間前」
「そんな古い話は置いといて「敵機機影確認、急速潜行」つれないにょろ~、急速潜行っさ~!!」
管内では怒号が響く
「ほら、急げ!」
「早くしないと沈められるぞ」
その中、司令塔、発令所の右の廊下を走る2人の水兵。
「なあ、キョン」
「だからそのキョンというあだ名は誤解されるだろう」
片方の名は○○、通称キョン。もう片方の名は谷口。
「ところで知っているか、あの例の海龍の噂」
「ああ、あのはしごの上にあるのは海龍に似た別の潜航艇だっていう話だろう」
その見上げた鉄梯子の上には、水密戸をくぐると潜航艇の中だ。(今は閉じられているが)
「おい、こら!そこ!ぼやぼやするんじゃないっ!!」
「はっ!!」

 

ちなみにこの急速潜行の成績は43秒22.
潜行する直前、早業でハッチを閉め、はしごを伝って発令所に降りた長門は終了を確認すると艦内放送用のマイクを取り上げた。

 

「達する。こちら艦長。ただいまの成績は42秒。急速潜行としてはまずまずの出来。しかし、これをより早くことにするよって我々はさらなる沈没の可能性を回避できる。我々は何としてでも作戦は成功させなければならない。以上」

 

「なんか分かったような分からないような・・・」
と谷口がつぶやいた。

 

「追記。この作戦についてこれない人間がいたら私に言うこと。すぐ魚雷発射管から海の中に発射する」

 

「冗談に聞こえないんだよな・・・」
とキョンがつぶやいた。

 
 

その日の晩。伊507は既に小笠原諸島の沿岸を通過していた。
「なあ、キョン」
「何だ谷口」
「例の海龍を見に行かないか?」
「・・・めんどくさいなあ、まあいいか」

 

水密戸を幾つかくぐり、潜航艇に上がる鉄橋子がある場所に着いた。
「じゃあ、俺はここで見張りしてるから、キョン、行って来い」
「は?」
「いいからいいから」
「しゃーねーな」

 

カン、カン、カン、カン

 

ギイッ
水密戸をくぐり潜航艇の中へ入った。
さらにもう一つ水密戸をくぐる。

 

「何だよこれ・・・」
中には日本軍の特殊潜航艇とは明らかに異なる機器ばかりが並んでいた。
整備道具、圧力計、深度計、魚雷発射装置
そもそも特攻を目的とした特殊潜航艇に魚雷がついているのもおかしな話だ。
「やっぱりこれは特攻兵器じゃない・・・」
キョンはそうつぶやいた。
そして、床に落ちかけていた物を拾ってみた。
「鉄帽?」
その鉄の帽子らしきものの後ろにはいくつものコードが付いていた。
「かぶるのか・・・?」

 

そう、その時だった。
横にあった黒い布に包まれたものが動いた。
「は?」

 

横の黒い布の下から出てきたのは人、しかも少女だった
「<あんた誰?!どこから入ってきたの?>」
「え?」
「<まさか敵?アメリカ兵?それともイギリス兵?>」
「おい、落ち着「<意外と人生の終わりって早い物ね>」は?」
ポニーテール、黄色いカチューシャをつけた非戦闘員?がなぜ特殊潜航艇の中に?
そう言っている暇は無かった。
その少女は何かを掴んでいた。
黒く光る金属。

 

そう、拳銃自殺をしようとしているようにしか見えない。
「おい、落ち着け!」
「<離しなさい!でなきゃ最初にあんたを殺してやる!>」
「馬鹿!こんなもん持ち歩きやがって!離せ!」
2人は拳銃を握ったまま取っ組み合いになる。
その時だ。

 

ジリリリリリリリリリリリリリリンンンンン!!!

 

発令所
「前方に敵艦!巡洋艦級が3隻いるのね!」
「落ち着きなさい。阪中中尉。急速潜行、攻撃準備」
「了解っさ!急速潜行、攻撃準備!繰り返す、急速潜行、攻撃準備!」

 

同時刻 米海軍巡洋艦「ケンタッキー」
「<奴をソナーに捕らえました。>」
「<了解。速やかに戦闘隊形に移行しろ>」
「<これでボストンの恨みが晴らせるな>」
「<よし、徹底的にやれ>」

 

同時刻 伊507
「敵艦は3隻、巡洋艦が1隻、護衛艦が2隻」
「潜水艦を一隻沈めるには妥当な量なのね。特にこの妖しい潜水艦を沈めるには」
「現在の水深63メートル地点から29メートル地点まで浮上し、後部魚雷管よりの攻撃が妥当と思われる」
「了解にょろ。浮上、深さ29!」

 

伊507は急速に上昇した。
そこへ
「敵艦より魚雷発射!数、3なのね!!」
「取り舵一杯」
「了解!船舵室、取り舵一杯っさ!」
『了解、取り舵一杯!!』

 

『艦長、このままでは我が艦は沈められます!』
「国木田機関長、慌てることは無い。古泉博士」
「何でしょう?」
「ローレライを起動」
やけににやけ面をしていた古泉の顔は一瞬にして凍りついた。
「!!・・・しかし朝倉大佐から作戦開始までは特殊兵器の使用は控えろと・・・」
「今、この間が沈めば元も子もない。これは絶対」
「・・・しかし!!」
「絶対」
「・・・分かりました。N式には誰を乗せましょう?」
「・・・○○がいいだろう」
「了解。ローレライ起動準備、○○上等工作兵、特殊潜航艇ナーバルに乗務してください。繰り返します、○○上等工作兵、特殊潜航艇ナーバルに乗務してください。場所は分かりますね」

 

その頃。特殊潜航艇‘ナーバル‘内
「おい、離せって!!」
『取り舵一杯!!」
船が突如向きを変え、2人は一緒に床に叩きつけられた。
「<ちょっと!!>」
『ローレライ起動準備、○○上等工作兵、特殊潜航艇ナーバルに乗務して下さい。』
「まさか、こんな奴と一緒になるなんて・・・」
「何だ、日本語しゃべれるんじゃないか」
『○○上等工作兵、特殊潜航艇・・・』
「なあ、ナーバルってこれか?」
「・・・そうよ、なんか文句ある?」
「いや別に」
そう言うとキョンは艦内無線のマイクを取った。
『こちら○○上等工作兵。ただいまナーバルに乗務しております。」

 

アンフェアなのは誰か?
「決まっているわ、アンフェアなのはキョンに決まっているでしょ。だから来年の映画はサスペンス風に決めて犯人はキョンね」
「はぁ?!何故に?!」
「べ、別になんでもいいでしょ!!」

 

と言う訳で続きだ

 

「操作は海龍とほとんど変わりません。幸運を祈りますよ」
「分かりました。」
『各整流器、接続準備よろし』
『発電機、準備よろし』
「重量タンク、ブローやめ。全部ツリムに300移水」
『ナーバル、水密戸閉め完了。各計器に異常なし』
「ローレライ、起動準備」
『準備よし!』
「整流器、1番から12番まで準備!」
『準備よし!』
「配電盤、確認!」
『確認よし!』
「よし。整流器1番接続」
『よし!』
「整流器2番より13番より接続!」
『2番接続!』
『3番接続!』
『4番接続!』
そして全ての整流器が接続された。
「ローレライ、起動」

 

突然、ブオウンという音と共に発令所の机の上、海図の下に淡い光が点った。
「こ、これは・・・」
「これがローレライですよ。」
古泉博士は机の上に積んであった物を隣の机の上に退けた。

 

砂鉄が浮き上がり、何かの形を形成する。
「これは・・・敵艦?」
「そして真ん中に居るのは・・・」
「伊507」
「すごい・・・」
長門艦長は無表情でマイクを取り上げた。いつものことだが。
「艦長より達する。本艦はこれより敵の死角をつき、反撃に出る。各員全力で支えて欲しい。以上」
「敵艦より再度魚雷発射!本数2本なのね!」
「全速、面舵一杯。」
『了解。全速、面舵一杯!!』
深さを維持したまま水中を進む黒い影。
「メインタンクブロー!深さ20まで急速浮上」
「了解!メインタンクブロー、深さ20まで急速浮上」

 

「<目標反転!本管に急速接近中!>」
「<何が起こったんだ?!>」

 

『ナーバル、機関全速!』
「了解、ナーバル、機関全速!」
(一体何が始まるんだ?)

 

「発射管、ようそうろです。」
「朝比奈兵曹長。くれぐれも抜かりないように。」
「承知しています。後部発射管、9番、撃てっ!!」

 

ごとん、という音と共に吐き出された魚雷が「ケンタッキー」の前を進んでいた「ワイドビル」に向かって走っていった。

 

轟音と共に「ワイドビル」の船体を貫通した魚雷は「ボストン」に激突し、船復に亀裂を与えた後、隣の「マイアミ」にぶつかり起爆した。

 

「ワイドビル」は大きく傾き、「マイアミ」に激突した。
更に「ボストン」では浸水が始まった。
「<第2機関室、浸水!>」
「<第2隔壁閉鎖!繰り返す!第2隔壁閉鎖!>」
「ワイドビル」に激突された「マイアミ」は機関室を両方とも破壊され、さらに大きな亀裂が発生し、沈降を始めた。
そして艦尾が沈んだ瞬間、「マイアミ」は大爆発を起こした。
部品という部品は全て飛び、破片という破片は飛び散った。
中に居た人間は救助を待つ間もなく、海の中へ引きずり込まれていった。

 

「いやあああああああああああああ!!」
突如、その少女が叫び声を上げた。
「おい!どうした!しっかりしろ!」
「やああああああああああ!!」
その表情は苦悶の表情だった。

 

一方発令所
突如コロセウムと呼ばれた観測装置が暗くなった。
「何が起こったにょろ?!」
「これは?!」
「ローレライ、沈黙・・・」
「古泉博士、これはどういうこと?」
「これがローレライですよ」
「答えなさい」
「すいませんがこれ以上は朝倉大佐から口止めされています。」
「答えなさい」
長門少佐はその少女らしい体格とは全く違う行動をとった。
古泉を殴り飛ばした。
「これは艦の運営に関わる事項。回答拒否は許さない」
「・・・分かりました。教えましょう。ローレライのコア・・・即ち核は一人の少女なのです。」

 

─医務室─
今、あの潜航艇の中に居た黄色いカチューシャをつけた少女はベットで吐息を立てて寝ている。
「特に以上は見られませんね」
「ありがとうございます、喜緑軍医」
「しかし、私も艦長から聞いて驚きましたよ。まさかこの特殊兵器が生身の少女だったとはね・・・」

 

─発令所─
「まさかナチスの人種改良計画が本物だったとは・・・」
「それが兵器にまでなっていたとは・・・」
「実際、成功したのは彼女だけだったのです。」
「どういうこと?」
「人種改良計画・・・改良とは名ばかりの実際は人種差別に基づいた危険で無謀な人体実験・・・実際実験が成功しなかった者はどうなったかは分かっていません。」
「・・・」
「そして彼女だけが特殊な能力を身につけたと・・・」
「背筋が寒くなります・・・」
「とにかくこれは出来るだけ内部機密として今ここにいる者以外は決してもらさないよう」
「承知」
「承知」
「承知」
「承知」

 

もう未完でいいよ
後のストーリーを言っておくと

 

ローレライの少女の名はハルヒ

息苦しい艦内から連れ出され心を徐々に開く彼女

長崎原爆投下

古泉博士が朝比奈兵曹長と一緒に反乱

古泉博士は朝比奈兵曹長に撃たれて死亡、朝比奈兵曹長は死に掛けの古泉に撃たれ重態(反乱鎮圧)

テニアンに不穏な動き

テニアン攻撃開始

ナーバル離脱

長門の最期の命令「生きて日本に帰れ」

突如浮上し、飛び立ったB29に砲口を向ける伊507

朝比奈兵曹長により爆破されたB29

伊507はそのまま潜行し、その行方は誰も知らなかった。

 

漏れ、普通の作家に戻ります。