超勇者Figma (79-18)

Last-modified: 2008-02-04 (月) 00:04:03

概要

作品名作者発表日保管日
超勇者Figma79-18氏08/02/0308/02/03

作品

 前にも言ったかも知れんが、習慣というものは恐ろしいものである。どんな強い刺激でも、ずっと与えられ続けていれば感覚も麻痺するというのを、俺は自分の身でもって体験している。
 というわけで、今ではハルヒに少々怒鳴られた程度では、多少は憂鬱に思うものの、全く動じなくなっている俺がここに存在しているわけだ。何でこんなことになっちまったんだろうな。やれやれ、つい溜息を吐いてしまう俺である。
 まあ、ある意味、ハルヒは俺に対して怒鳴ったり、文句を撒き散らすことによって、ストレス発散というか、退屈しのぎをしている面があるようにも見受けられるしな。
 俺一人の犠牲で、『うちゅうの ほうそくが みだれる!』なんてこともなく、平和裏に収まるんだったらそれに越したことはないのかも知れん。
 でも、こうもしょっちゅうハルヒの罵声が鳴り響いていては、周りの空気というものも、妙な按配になってしまうしな。いくらなんでも、物事には限度ってものがあるんだ。
 仕方がないな。せめて、今日の放課後ぐらいは、ハルヒが静かに、とはいえないにしても、怒鳴られたりしないように気を付け――
「こら~、キョン!ちょっと、これあんたの仕業なの?」
 部室に顔を出すと同時に、俺の先程の決心は粉々に粉砕されて跡形もなく消失してしまった。
 やれやれ、一体何だよ、ハルヒ?
「どうもこうもないわよ。あんた、何の権限があって、あたしの『超勇者Figma』をこんな目立たない低い場所に置いてるのよ。ちゃんと、もっと目に付くような高いところに飾っておかないとダメじゃないの!」
 どうやらハルヒは、俺が勝手に『超勇者Figma』を棚の低い段に配置したことにオカンムリのようである。
 だが、今回限りは、俺の方から折れることはない。例え暴走族やヤクザの強面に睨まれたとしても、俺の意志は絶対に変えないからな。
「高いところはダメだ。――その、いろいろと…………マズイからな」
「マズイって、一体何のことよ!いい?あたしが納得するようにちゃんと説明しなさい」
 説明しろ、って言われてもな。…………なあ、どうしても説明しないとダメか?
「ダメ!――言っとくけど、くだらない理由なんかだったら、却下よ却下!さあ、キョン。さっさと教えなさいよ」
 やれやれ、本当は絶対言いたくなかったんだが、仕方あるまい。
「だから――なんだ…………その、なんつうか――――見えちまうだろ」
 ハルヒは怪訝そうに
「見えちゃう、ってなにがよ?」
 と問い詰めてくる。
 
「だから………………白いの――――つまり………………パ、パンツが」
 
 一瞬、呆気に取られたハルヒだったが、急に顔を赤くすると、自分のスカートを押さえて、見るからに動揺した様子で叫んだ。
「な、な、な、な、なに考えてんのよ、この変態バカエロキョン!あ、あんたって、フィギュア萌~族の一員だったわけ?そ、そ、そんなモンに欲情してんじゃないわよ!」
 なんというか、酷い言われようである。それに、ハルヒ。何でお前がスカートを押さえて恥かしがらんといかんのだ?
「う、うるさいわね!変態エロエロアホバカキョンに、そんなこと言われたくないわ」
 何だその形容は。んで、ここに置いておいて構わないのか、そうじゃないのか、どっちなんだ?
「…………わ、解ったわよ。あんたが、そこまで気にするんだったら、しょうがないじゃないの。でも、もう一段ぐらい上でもいいってこと、ないわけ?」
「ダメだ。どうもフィギュアの目の高さが、座っている人の目の高さよりも上になると危険だ」
「はあ、もう……あんたの好きにすれば」
 呆れた様子のハルヒだったが、暫くすると、何故かチラチラと、こちらを伺うような素振りを見せた。何だ、まだ何か文句があるのか?
「別に……そ、その――キョン。あんたって、あたしのスカートの中、気になる?」
 いきなりナニを言い出すんだこいつは?
「もう、どうなのよ?キョンはあたしのパンツを見たいの?見たくないの?どっちなのよ?」
 あのなあ…………そんなこと、答えられるわけねえだろ?
 第一、俺が『見たい』って言ったところで、お前が本当に見せてくれるわけじゃないだろ。
「あ、あんたが、どうしても、って言うんだったら…………その――――見せてあげなくも……ないわよ」
 ハルヒはそう言ったかと思うと、真っ赤な顔をしたまま、おもむろにセーラーのスカートを自らの手で捲り上げ始めた。
「………………」
 おい、何の陰謀なんだ、これは?
 
「す、すみませ~ん。あの、ホームルームが長引いて、遅れちゃいました~。…………ふえぇ?」
 あろうことか、朝比奈さんがバッチリそのタイミングで部室のそのお姿を現した。
 って、マジかよ!
「な……み、みくるちゃ」
「す、涼宮さん、一体、キョンくんと、な、なにやってるんですか~?」
 いや、だから、俺は何もしてませんって。
「え、あ、そ、その……わたし、今ここに来ちゃ、ダメ?……ひゃっ――ご、ごめんなさい。わ、わたしはなにも見てません、みてませんよぅ~」
 慌ててドアから逃げ出そうとする朝比奈さんを塞ぐように、長門が室内に入ってきた。
「…………」
「ふ、ふえっ?」
 さらに余計なことに、古泉までもが追加で到着である。
「おや、みなさん。何か騒がしいようですが、一体どうかなさいましたか?」
 と言ったきり、硬直してしまった。
 
 って、おい、ハルヒ。スカート、スカート!
 
「え、あ――――やだ!……もう、キョンのバカ~~!」
 何故か俺に対して憤慨をぶつけるハルヒなのだった。
 なあ、俺、何か悪いことしたっけか?

イラスト

79-22 haruhi_figma.png
 
めっちゃ雑でなんかもうなに慌ててんのって感じだがとりあえず。

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