迎え火の季節 (145-326)

Last-modified: 2011-08-09 (火) 03:07:04

概要

作品名作者発表日保管日
迎え火の季節145-326氏11/08/0911/08/10

 

作品

 夏休みだ。
 唐突に何だと思うかもしれないが、それ以外に普遍的な学生が一切の躊躇いも無く享受してしかるべき至福の時を表現しようがないのだからそう言うしかない。
 敢えて説明するならば、それは学生という身分にある者に分け隔てなく与えられる、夏季の暑熱の回避を目的とした長期休暇だ。『休暇』なんだ。
 もう一度言おう。
 今は夏休みという休暇中なんだ、ハルヒ。
「あったりまえのコトを何でそんなに主張してんのよ。暑さで頭やられちゃった? あと『学生』ってのは大学・短期大学・大学院・高等専門学校の在学生を指す単語なの。高校生は『生徒』って言うんだからね」
「そんな豆知識はどうでもいい。俺が突っ込んでるのは今現在の俺の境遇についてだ」
「ちゃんと説明したでしょ? 本格的にやられちゃったみたいね……とにかく足動かしなさい」
 やられてるのはお前の頭だと声を高らかに叫びたいがそうするわけにもいかず、ひたすら愛車のクランクを回す。
「お盆前に色々準備しなきゃいけないから手伝いなさいってだけじゃないの。それがそんなに不満?」
「いいかハルヒ。お前が世間一般に広まる行事に熱心な点については別に文句も無い。ただ行事ってのは『誰にでも』『平等に』訪れるんだって事をお前は理解していないんだ」
「まわりくどいわね、ハッキリ言いなさいよ。文章は簡潔に・要点をまとめて! こんなの基本よ、基本」
 なに、別に難しいことを言おうとしてるわけじゃないさ。
 今まさに田舎に帰省しようとしていた人間を、ムリヤリ連行するのはどうかと思うってだけだ。
 
 
 
 高校2年生、夏。
 祖霊信仰に特別な思い入れがあるわけでは無いがそこまで不信心者でも無いつもりの俺は、例年に違わず母親の実家がある田舎まで遠出する予定でいた。
 連日ハルヒに引きずられて、海だの山だの川だの森だのを巡り巡る毎日。羽化したてのセミの如く、夏休みに入ってのSOS団はその活動性を増していたのは想像に難くないだろう? 
 そんな俺がしばしの休息を、と田舎に避難もとい帰省するに吝かでないこともお分かりいただけるはずだ。
 その出発当日。
 仏壇に供える予定の箱入りの缶ジュースや、家族全員分の着替えが詰め込まれた鞄、異様に大きくも重さを伴わない妹のリュックなど、そこそこ量のある荷物を何故か俺一人で車に積み込むという理不尽な作業も終わりが近づき、さぁもうひと踏ん張り……という頃だった。
 我が家の玄関に、見慣れた女子生徒が仁王立ちしていたのは。
「何してんのよ」
 こっちのセリフだ。
「毎年恒例、先祖参りの準備だ。しばらく向こうに居るから団活には参加できないぞ」
 そう言って再び荷物の搭載作業に戻ろうとした俺の腕を、既に小麦色になりつつある細腕がわし掴みにする。痛い。
「何しやが…」
「今すぐウチに来なさい」
 ……はい?
「お盆ってのは先祖の霊を迎える超重要な日でしょ? もう目前まで迫ってるってのに、あたしとしたことがまだ何の用意もできてないのよ。だ・か・ら、今すぐあたしんちに来て準備を手伝いなさいって言ってんの」
「いや、俺も今まさにそれをしに田舎に帰るとこなんだが。悪いがお前んちの準備に構ってるヒマは…」
「いいから来なさい! あんたのご両親の許可は貰ってるから平気よ!」
「何だと!?」
 振り返ると、両親プラス妹がやけに緩んだ顔で俺たちを見ている。
 いや待て、ご両親によろしくって何だ。既に積み込んだハズの果汁100%ジュース詰め合わせがオフクロの腕の中にあるのは何故だ……って『涼宮家』? オイ、いつの間にあんなもの用意しやがったハルヒ。
 そしてウチの名字が記された特選銘菓セットを何故ハルヒに渡すんだ親父!!
「さあ行くわよキョン! キリキリ走りなさい!」
 混乱の呪文を体内から浴びせられたに近しい状態にある俺を、勝手に引っ張りだしたMy bicycleの後部座席に陣取ったハルヒが呼び立てた。
  
 このあと俺が発した台詞&行動は既に規定事項と言っても差支えないものと思われるので省略する。
 以上、回想オワリ。
 
 
 
 
「それにしても危ないトコだったわね。もうちょっとあたしが思い出すの遅かったら、あんた今頃極刑くらってたわよ」
「……罪状は?」
「職務放棄及び管理責任の放棄ならびに団長に対する不敬罪ってとこかしら」
 前触れも無い思いつきに振り回されるのはそれこそ日常茶飯と化して久しいが、冤罪で極刑は勘弁していただきたい。謀反が起きても何一つおかしくないぞ。
「起こせるもんなら起こしてみなさい。組織力の向上に下剋上の精神は不可欠よ……あ、そこ右」
 背後からのナビゲーションに従い、進行方向を変える。それはいいんだが、無遠慮に身を乗り出して指で指し示す方式の進路誘導は、とにかくアツイこの時期には似つかわしくない。
 ……いや寒けりゃイイとか言うワケでもないが。
 やがて俺たちは目的地にたどり着いた。すなわち、ハルヒの自宅に。
 
 ……思えば、あの春先の一件以来かもしれないな。ここに来るのは。
 初めて見る、熱い陽光に照らされた状態での涼宮家。
「何してんの? さっさと入んなさい。麦茶くらいは出してあげるわよ」
「お、おぅ」
 不意に、あの決死の瞬間が、ハルヒの表情が、感情が、想いが、奔流となって脳裏に迸った……ような気がした。
 
 
「で、俺は何をすればいいんだ?」
 具体的に頼むぞ、と話を切り出したのは涼宮家のリビングでのことだ。ご両親は不在らしい。
 なかなかに値段の張りそうなソファーに身を沈めることに何故か抵抗感を感じた俺は、床に胡坐をかきながらチビチビとグラスを口に運んでいた。中流家庭の悲しい性よ。
「基本的には飾り付けよ。しっかりもてなしてあげなきゃいけないしね」
 飾り付け? ……ああ、親戚が集まって宴会でもするのかもしれないな。
 そう思い至ってから、ハルヒの母親は料理の才能にあまり恵まれていないという話を思い出した。
 なるほど、さすがに親戚一同が介する場で振舞うには憚られるものがあるのかもしれない。
 つまり、料理と飾り付けの両方を行うにはさすがのハルヒでも手も時間も足りず、助力を必要とした……というところだろう。
「ん、ならもっと大勢いたほうが効率もいいな。他の三人はまだ来ないのか?」
 そう問い掛けた途端、何故か目を逸らすハルヒ。なんだ、まだ声掛けてないのか。
「仕方ない、俺が電話するか。じゃあまずは朝比奈さんから…」カチカチ
「あっ…ちょ、ちょっとキョ……!」
 
 Prrr…  Prrr…  ピッ
 
『もしもし、朝比奈みくるです』
「あぁ、朝比奈さ…」
『ただいま電話に出ることができましぇっ…ふぁ!? かか噛んじゃいました……あうぅ』
「……ん? 留守番電話か」
『ご、御用のあるきゃたは……じゃなくて方は、「ピェー」という発し…いやぁ……鶴屋さぁん、これやりなおしってどうすれば…』
『あっははははは!! いや~、もうそれ面白すぎるからそのまんまで行っちゃいなよっ!』
『ふぇえ!? そ、そんなのいやです~! 恥かしいで……ひゃあっ!?』
『てなわけで、みくるに用なら「ピェー」って発信音のあとに…っくく、あっはっはっは!! これ最高っ!!』
『やあぁ~!! つ、つるやさっ、返しっ…』
『あっはっはっはっh』
【ピェー】

「…………」
「…………」

 ピッ

「……長門にかけるか」カチカチ
「や、だからちょっと待っ…」

 Prrr…  Prrr…  ピッ

『…………』
「……もしもし、長門か? 俺だが…」
『……長門有希』
「あぁ、長…」
『……出られない』
「…………」
『……伝言、入れて』
「…………」
【ピェー】
「「!?」」
 
 ピッ
 
「…………」
「…………」
「……古泉にもかけてみるぞ?」
「…………」
 
 Prrr…  Prrr…  ピッ
 
『はい、古泉です。大変申しわけありませんが、僕はただいま電話に出ることができない状況にあります』
「…………」
「…………」
『御用のある方は、後ほどこちらから連絡させていただきますので、「ピー」という発信音のあとに、お名前とご用件をお願い致します。どうかお気を悪くなさらないよう、切に願う所存です』
【ピー】
 
「…………」
「…………」
「普通ね」
「普通だな」
「副団長としてあるまじき行為よ。空気読みなさい空気」
「ああ……全くもって期待ハズレだ、古泉」ピッ
 
 
 
 結局、助力は見込めないってことか。俺とハルヒだけで済ませるしかないようだ。
 ハルヒが何故安堵した様子なのはよくわからんが。
「それにしても、宴会用の飾り付けってのはどんな風にすればいいんだ? 正直見当もつかないんだが」
「ん? 宴会って何?」
「? ここに親戚が集まって、何かやるんじゃないのか?」
「違うわよ」
 じゃあ何のための飾り付けだというのか。
「だからぁ、お盆だって言ってるでしょ? 幽霊をもてなすために決まってるじゃない。先祖以外の幽霊だって、煌びやかで楽しげな内装の家があったらついフラフラ~って入ってきちゃうはずよ。そこを一網打尽にするの!」
 そう言って文字通りの投網を戸棚から取りだしやがった……いや気付けよハルヒのご両親。あなた方の娘は直系のご先祖もろともに物理的なゴーストハントを執り行おうとしてますよ。
「……せめて『心霊写真撮れるかも~』くらいにしとけ。せっかく開いた地獄の釜から苦労して現世に帰ってきたと思ったら投網の中とか、浮かばれないにも程がある」
 まぁ心霊写真が撮れても困るんだがな。あとでもう一回、長門に電話しとこうか。念のため。
 
 
 ~~~~~~~~~~~~
 
 
「よ…っと。ふぅ、こんなもんか」
 ふくれっ面のハルヒを宥め、作業を開始してから早数時間。
 とりあえずハルヒの指示通りの内装は完成した。してしまった、と言うべきか。
 どんな内装かは各自でご想像いただきたい。ヒントを出すなら、クリスマスとハロウィンと誕生日と葬式が異次元的な勘違いの末に融合を果たしている光景、とでも言えばいいだろうか?
 帰ってきたハルヒのご両親も腰抜かすんじゃないかねコレ。それとも毎年のことだったり……
「おーい、ハルヒー。こっちは終わったぞー」
 ともかく、もうやる事は無い……判断のしようがないというのが正しいが。よって、先程2階に上がったまま姿を見せずにいたハルヒに声をかけたのだが、
「…………」
 返事は無い。
 まさか、面倒な作業を俺に任せて寝こけてる…とかいうオチじゃないだろうな?
 
 階段を登り、いつかの記憶通りの扉の前に立つ。
 扉は完全に閉められてはおらず、室内と廊下間での空気の対流を促していた。
 いきなり中を覗くのもマズイだろう。そう思い、まずは脇の壁に軽く寄りかかりながら声をかける。
「……ハルヒ?」
「…………」
「……寝てるのか?」
「……すぅ……」
 どうやらビンゴのようだ。漏れ聞こえるセミの鳴き声に交じり、静かな呼吸音が耳に届いた。まったく……
「………?」
 ……唐突に、抗いがたい衝動が胸を満たした。
 抑える事も出来ず、そのまま扉を押し開く……
「すぅ……すぅ……」
「…………」
 入るのはまだ二度目。細部を覚えているわけでも、もちろん慣れ親しんだはずもないハルヒの部屋。
 それなのに、俺は何か不思議な安堵感に包まれていた。
 その穏やかな空気の中でハルヒはベッドに横になり、無防備に寝顔を晒している……
 
 
 ……何を考えてるんだ俺は。
 頭をもたげた馬鹿馬鹿しいことこの上ない考えを即座に振り払う。
 別の事を考えようと部屋の隅に顔を向け……その先で視界に入ったものがあった。
「……アルバムか」
 数枚の写真が半透明のシートに挟まれるように、整理されて収められている。これがアルバム以外の何だというのか。
 ページが開かれたまま無造作に置かれていたそれを、何とはなしに手に取る。
 その中には、世の中に何の不満も持たない、笑顔で一杯のハルヒがいた。
 せいぜい幼稚園~小学校低学年、といったところか。
 『自分が世界で一番楽しい思いをしている』と信じて疑わなかった、幼いハルヒ……
「……可愛いな」
 ……オイ待て、何を口走ってるんだ俺。これじゃまるでロリコンだ。勘違いするな、俺にそんな気は無い。
 現に…ほら見ろ、寝こけてる今のハルヒだって驚くほど可愛……いやいやいやいや!
「…………」
 もうダメだ、誰かトチ狂った俺に裁きを!! ……などと思う間もなく、俺の目は異常を感知する。
「…………」
 何でそんなに赤い顔してるんだ、ハルヒ。
 
 身体はそのままでぱちりと目を開き、今や真っ赤になった顔で俺を見据える。てかいつから起きてたんだ。
 何だろう、蛇に睨まれた蛙ってのはこういう状況を言うのか? それともまな板の上の鯉?
 
「こっちにも飾りないかなーって探してたのよ。そしたらそれが出てきて……」
 ただ怠惰を貪っていたわけではないと主張したい様子のハルヒだが、結果が伴っていなければ過程は意味を為さない……とまでは言わないさ。俺も危うく自我が崩壊するところだったんだからな。
 この部屋の空気は尋常の物じゃない。何らかの因子が働いている事は間違いないだろう。
 そして、その答はすぐに見つかった。
 
 アルバムの中の、一枚の写真。
 そこに写っていたのは、優しい笑顔を浮かべた老婆と、おそらく一歳にも満たないであろうハルヒだった。
 
「正直、話に聞いただけで全然覚えてないんだけどね。でも、おばあちゃんに抱かれるとすぐおとなしくなったんだって、あたし」
 孫を抱く幸せに満ちた表情。見ているだけで、その幸福感がこちらにも伝わってくる。
『誰よりも幸せになってほしい』と。
『この幸せをあなたも知ってほしい』と。
 そんな願いが込められているんだろう、この写真には。
 
 そして……今まさに、発破をかけに来てるんではないだろうか。
 
 不意に、背中に自分の物ではない重みが加わった。
「……何だ、ハルヒ」
「……まだウトウトするのよ。黙ってそのままにしてなさい」
 背中越しに、気怠さを装った返事と、心地よい暖かさが返ってくる。
 
「なぁ、ハルヒ」
「……何よ」
「この人、すごい幸せそうだよな」
「……そうね」
「抱かれてるハルヒも、なんだか幸せそうに見えるぞ」
「……じゃあ幸せだったんでしょ」
「だな」
 その幸せってのがどんだけ心地いいものか、わざわざフライングしてまで教えに来てくれたんだ。
 もっと気のある返答してもいいと思うんだがな。お前も、俺も。       
 
「なれるかな、あたしも」
「ん?」
「おばあちゃんみたいに……孫を抱いて、幸せな気分に」
「……さぁ、どうだろうな。孫の前に子供がいなきゃ話にならんし」
「…………バーカ」
 
 元気に夏を謳歌するセミの鳴き声をBGMに、そのまま俺たちは互いの背中を寄せ合っていた。
 
 
 
「……あぁ、明日の10:00過ぎに出るよ。………アホ言うな、もう切るぞ……ああ。じゃあ」
 
 ピッ
 
「ふぅ……」
 大きく息をつき、ベッドに横になる。
 ハルヒ宅をお暇してから数時間、既に時刻は21:00過ぎだ。
 案の定、我が愛すべき家族は俺を置いて田舎へと到着していた。今は我が家に俺一人。チクショウ。
 俺よりハルヒの策略に協力するとはどんな了見だ……まぁ明日には俺も電車で向かう手筈になってはいるが。
 
 ブブブブブ…
 
「…ん? 電話か……誰だ?」
 液晶を見ると、表示されていた名前は『ハルヒ』。
 なんだ、また何かこき使う気か?
 
「……もしm」
『キョン? あんた明日何時の電車で出発するの?』
「……それを知ってどうする」
『別に、そんなのあたしの勝手でしょ? いいから教えなさい』
「…………11:00過ぎに出るヤツだが、それがどうし」
「11:00ね? わかったわ、おーばー♪」
 
 ピッ
 
 ……何となく魂胆はよめるものの、一時間もずらせば流石に見つかる事も無いだろう。
 行き先までは知らない筈だしな。
 
 
 そして翌朝。
 見通しの甘さを呪うことになるのは、それこそ規定事項ってヤツだった。
「あんたの頭の中なんて丸ごと全部お見通しよ!」
 麦わら帽子をかぶり、いかにも「田舎に行くぜ!」てな格好のハルヒがソコに居た。
 一応聞いとくか。何しに来た?
「あたしんちの準備手伝って貰ったしね。今度はあたしがあんたんトコの準備手伝ってあげるわ!」
「……ウチはそこそこ人数いるから、1人や2人増えようが大して効率は変わらんぞ」
「そこは心配しなくていいわ、あたしなら10人力…いや100人力はカタイから!」
 心配も何もない……つーか現実になりそうだからそういう怖い妄想は勘弁してくれ。
「それに……顔見せは早い方がいいでしょ?」
「……何の話だ」
「ふふっ」
 
 不意に微笑み、ハルヒが視界から消えた。しかし
 
「バーカ」
 
 背中にあの暖かさを感じるまでほぼ一瞬だった、と言っても差支えないだろう。
 
 
 
 
 
 長門宅
 
『普通ね』
『普通だな』
『副団長としてあるまじき行為よ。空気読みなさい空気』
『ああ……全くもって期待ハズレだ、古泉』ピッ
 
古泉「これは……どういうことなのでしょうか」
長門「あなたが三段オチの概念を理解していなかったのが原因」
古泉「さ、三段オチ……ですか?」
長門「一段目で軽くボケ、二段目で引っ張り、三段目で落とす。漫才の基本」
古泉「そんな技法が……くっ、申し訳ありませんでした。僕が至らないばかりに彼らの雰囲気をっ…!」
長門「……諦めるのはまだ早い。未熟ならばこれから身につけていけばいい」
古泉「……長門さん……!」
長門「道は長く、険しい……それでも着いてこれる?」
古泉「行きますとも、どこまでも…! どうか僕を導いて下さい!!」
 
みくる「……鶴屋さん、あれ何ですか?」
鶴屋さん「師弟関係が芽生えたみたいだねぇ」
みくる「はぁ……何だかよくわかりませんけど、楽しそうだからいいんでしょうか」
鶴屋さん「だねっ! ちょっくらあたしも混ざってくるっさ!」
みくる「あっ、鶴屋さ……いっちゃった。長門さん達も……指令の時間までもう少しなのに」
みくる「…………」
みくる「……涼宮さんのおばあさん……彼女もチカラを持っていたんでしょうか?」
みくる「…………」
みくる「……ううん、そんな大それたものじゃないか。きっと、これは誰でも持ってるもの……」
みくる「大切な人を想う力は、きっといつまでも、強く強く…残るんだ」
みくる「時間も空間も超えて、いつまでも……どこまでも」