退屈な涼宮さん (26-887)

Last-modified: 2007-01-20 (土) 02:23:22

概要

作品名作者発表日保管日(初)
退屈な涼宮さん26-887氏06/11/1606/11/19

作品

 退屈したときはどこかに行くといいでしょう。
 歩いて歩いてどこかに行くといいでしょう。

 

「あーあ、SOS団のパトロールは休みにしちゃったし、退屈だわー。
なにかやりたいことはないかなぁー。

 

……さあ、あたしは何をしたいのかしら?」

 

むらっ
「ん? お? 何かしたいことが出てきそうだわ!」

 

ふつふつ
「なにかしら? この欲求は……」
ふつふつ
「あたしは何をしたがってるの……?」

 
 

ぐーーぐーー

 

ぐーー...キョーン...むにゃむにゃ。

 

【退屈だからどこかに行こう】

 

「なんだ……二度寝したかっただけか……あーもう! 退屈ねぇ」
 こうなったらどこかに行くしかないわね。
 退屈したらどこかに行く。あたりまえのようだけどこれは正しい。

 

「え? 行くところがない?
大丈夫です。とりあえずどっちに行くかだけ決めればいいのです」
(↑誰かに語りかけてる)

 
 
 
 

 さあて、どっちに行こうかな。
「よし、こっち!」

 

「チャックの開いてる男の言う事なんか興味ないのね!」
「ま、待ってくれぇ阪中ー」

 

 ……いきなり修羅場に出くわしても、気にしないでどんどん行きましょう。
 にしても変わってないわね、あのバカ。

 

【国木田くんだ】

 

 おやおや谷口のバカの次は国木田だわ。
 あっと、その前に。

 

「誰か知り合いに会っても、
声をかけたりしないで何をしているのか見てみましょう」
(↑誰かに語りかけてる)

 
 
 
 

「……」「……」

 

「へっへえー、国木田は虫を食べたりしてるのねえ。面白いわぁ……え?」

 

【いつも通る大通りの入ったことがない裏道】

 

「ん?」

 

 いつも通る大通りの入ったことのない裏道などあればどんどん入って行きましょう。
「ほーー」
「ふーーん」
 ……。
 あ、花だ。
 こういう見慣れない花などあれば、摘んで帰って思い出にするのもいいでしょう。
「あたしはしませんが」

 

 だって不思議っぽくないもん!
 あ、でもこれを頭に刺したりするとキョンに綺麗だなんて……いやいや。

 

【好きな道に好きなように】

 

「あとは好きな方向に好きなように歩いて行けばいいのです」
 意外とおもしろくなってきたかもしれない。

 

「それから、
こういう家の塀と塀の間の狭い道を見つけて」

 

「通りぬけられるかな?」

 

 よいしょっ。
「……」
 あ、出来た。
「……」
 …………。

 

「……期待したほどおもしろくないのでやめましょう」

 

【一生おぼえている光景】

 

「とにかく、好き勝手に曲がっていきます」
 そうしているうちに東西南北がわからなくなるでしょう。
 それでいきなりへんな所に出ると、

 

 ――見たことのない光景があったりするのです。
「こういう景色はあとで夢に出てきたりして、一生おぼえているかもしてません」

 

 わたしは他にもおぼえている光景があります。
「そのうちのひとつは……」

 

「…………///」

 

 や、やっぱ言わない!

 

【南北東西】

 

「あれ?」
 ここはあの道ね。
 いつのまにか見慣れた場所に出てしまう場合もあります。

 

「しかし、見慣れた場所というのは東西南北がわかっているからなのです」
 これが東西南北別なところだとしたら……

 

「? ここどこだっけ?」
 あーら不思議、見たことのない所になってしまいました。

 

「いや、本当なのよ?
(↑誰かに語りかけてる)
生き物はね、東西南北がわからないと見知らぬ場所になってしまうの」

 

 それをキョンに試してみたことがあります。
(東西南北が正しい場合)
「よお」
「あら、キョン」

 

(南北東西と間違っている場合)
 そしたら、あーら不思議。

 

「?」
「なんだ人の顔見て」
「いや、キョンにしか見えないから。アレ?」

 

 後でみくるちゃんや有希に試したらちゃんと誰だかわからなくなったのになあ。
 ……なんでだろ?

 

「んー……どっからどう見てもキョンねえ」
「何言ってんだハルヒ?」

 

 退屈するというのはやることがないからだ。
 どこかに行くためには歩かなくちゃならない。
 つまりやることができるのだ。

 

 ねえキョン
 退屈したらどこかに行くって、こういうこと?

【あっ有希だ】

 

 たとえ見慣れた道でも、あまり行ったことのない方を選んで行きましょう。

 

「あっ有希」
「……」
「こんなとこで会うなんて珍しいわね」
「……そう」
「ねえ、いつも同じダンマリ顔なんて大変じゃない?」
「……別に」

 

「あのさ、肩揉んであげよっか」
「……いい」
「遠慮しないの! ほらっ」

 

 もみもみもみ
「……ツボってこの辺かな?」
「……」

 

 もみもみもみ
「……ど、どう?」
「…………」

 

「……じゃ、じゃああたしはこれで。また学校でね!」
 な、などというジョーダンをやるのも退屈な時ならではのことですが……!
 笑ってくれる人がいないのを覚悟してからやること! いいわね!

 
 

「……損耗していたインターフェースの運動機能が0.25%回復……」
「……ありがとう」

 

【ひとりの時の鶴屋さん】

 

「ん?」
 鶴屋さんだ。

 

「……」「……」
 ま、マジメな顔してる……。
 あの鶴屋さんが。

 

「……」
 手の匂いを嗅いだりしてる……。
 いつも「にゃははっ」って笑ってるはずの、あの鶴屋さんが。

 

「……」

 

「…………」

 

 ああ……。
 ひとりでいる時のみんなはなんであんなにさびしそうなの?
 涙無くしては見られないわ……。

 

「あなただって友達や家族がひとりでいる時を盗み見したことがあったでしょう?
そういう時どうだった?すごく寂しそうじゃなかった?」
(↑誰かに語りかけてる)

 
 
 
 

「……」
「あ……どっか行くのかな」

 

「……」

 

「…………」

 

 ああああさびしそうだわあ!
 ひとりで歩いているところなんかほんっとにさびしそうで見てらんないわよ!!

 

「スモークチーズもっと食べたいにょろ(´・ω・`)ショボーン

 

【なにかやってる新川さん】

 

 お?新川さんがなにかやって

 

(以下略

 

 ああああさびしそうだわ!
 ひとりでダンボールを使ってなにかやっててもやっぱりさびしそうだわああ!!

 

【ひとりっきりの時はみんなさびしそう】

 

「ひとりの時ってみんなさびしそうねえ。
そうじゃないヤツっているのかしら……?」

 

 そう言えば、あたしも今ひとりなんだ……。

 

「みなさんどうです。
(↑誰かに語りかけてる)
ワタシもさびしそうに見えますか?」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 やっぱり見えるのかなあ。

 

【キョン】

 

「あっはっはっはっはっはっ!」
 あっ古泉くん。
「やあ涼宮さんお元気ですか? 申し訳ありませんが、急いでおりますのでまた!」

 

あっはっはっはっ......

 

「へえー、古泉くんだけはひとりでもさびしそうに見えないわね」

 

(横道から)ザッ
「ここ、古泉くん捕まえましたぁ!」
「うわぁ」

 

 ……。

 

「あー捕まってしまいましたね。よし、もう一度ジャンケン」
「待って。キョンくんが来るのを待ちましょう」
「おっと、その通りですね。僕としたことが失礼しました」

 

 ……。

 

 ……。
「ハァハァ……二人とも脚が早いぜ。ん?」

 

 どげんっ!!!

 

【みんなの体験】

 

「まったく、ひとりなのかと思ったらオニごっこなんて幼稚な遊びしてたのね」
「だからって、殴ることないだろが! イテテ……」

 

「ねえ、ところで話は変わるんだけど」
「無視かよ」

 

「あなたたちさ……友だちや家族がひとりでいる時を見て、
さびしそうだなあと思ったこと、ある?」
「あっありますあります。
いつだったか田丸裕さんがひとりで歩いているのを見かけまして」

 

「なんだかさびしそうだなあと
「誰だっけ? その人」
「あのぅ、夏合宿で洋館を貸してくれた人のお名前だと思うんですけど…」
「圭一さんだ。名前間違えてるぞ古泉」

 

( ´;д;).。oO(…………)

 

「で、他には?」
「俺もあるある」
 長門が、
 海岸のど真ん中にある きりたった岩のところでポツンとしててな。

 
 
 
 
 

 すごく、さびしそうだった。

 
 

「そりゃあ誰が見たってさびしそうに決まってるじゃないの!!」
 べげっ!!!

 

「キョ、キョンくんそれって……」
「本当にさびしかったのではないでしょうか?」

 

【さびしそうに見えるのはあたりまえ】

 

「その後ですね、さびしそうでしたよって話しを田丸さん(弟)にしたのですが、
彼はこう「イテテ……でもな、ハルヒ」

 

  俺らは誰かといっしょにいるのがふつうだから、
  ひとりでいたらさびしそうに見えるのはあたりまえなんだと思うぞ。

 

「え? 誰かといるのがふつうで、ひとりでいるのはふつうじゃない?」
「ふぇぇ? ど、どういう意味ですかぁ?」
「゚Д゚」

 

「あたしはひとりでいるのがふつうっていうか基本でさ、
誰かといっしょにいるのが応用だと思ってたわよ」
「あ、あたしもそう思ってましたぁ」
「つまりだな……ところで古泉、お前さっきなにか言ったか?」
「え、いや別に何も」

 

 うーーーーん……。

 

「なあハルヒ。せっかくだし、いっしょに遊ばないか?」
「え?

 

ふぅむ……まぁいいわよ」

 

 おわり

 
 

「ところでさ」
「ん?」
「その花飾り綺麗だな」

 

                                                  T.? Y.?