鈍感なヤツ (22-25)

Last-modified: 2007-01-23 (火) 22:51:27

概要

作品名作者発表日保管日(初)
鈍感なヤツ22-25氏06/10/0706/10/11

作品

ある金曜日の放課後キョンは掃除当番のため部室には居ない
「みくるちゃん、ライブのチケットが二枚余ってるんだけど
一緒に行かない?」
「い、いですよ~、あたしなんかと行くよりキョ・・・わっ・・・
なんでもありませ~ん」
「ん?そう、じゃあ有希!」
「いい」
「じゃあ古泉君、チケット二枚あげるわ!彼女と行ってきなさい!」
「そのような人がいればどれほど喜ばしい事でしょう。遠慮しときますよ。
それより「彼」は誘ったんですか?」
「キョンはこういうのに興味無さそうだし、
それに・・・あたしから・・・ごにょごにょ・・・」
(やれやれ、僕は一度もキョンなんて言葉を発してないのに・・・
週末は大規模な桃色空間の発生ですかね・・・
まぁ僕の仕事が減る分には一向にかまいませんが)
「きっと二つ返事でokしてくれますよ。頑張ってください」
「な、な、何を頑張れって言うのよキョンをデートに誘うワケでもないのに!
へ、へ、変なこと言わないでよね古泉君!」
(はぁ・・・はやく一緒になればいいのに)

 

ここからキョン視点
ガチャ
「うぃーっす」
ん?なんだ、なぜ皆おれの顔を凝視する?
特に古泉、なにニヤニヤしてんだよ気持ち悪い
「失礼、別になんでもありませんよ」
なんでもないのにニヤニヤするんじゃない気持ち悪い
そんなやり取りが二、三あったあと俺達はいつもどうり
朝比奈さん印のお茶をすすりつつ各種ボードゲームに興じた。
時折ハルヒと目が合っては逸らされるのは気のせいか・・・

 

「バタン」
宇宙人製有機アンドロイドが本を閉じる。
それを合図に俺達は帰り支度を始める
ちなみに珍しく明日、明後日のsos団の活動は無いらしい。
ゆっくり羽をのばせそうだ。

 
 

ってなわけで俺は久しぶりに超能力者や以下略、
なぞが居ない静かな普通の土曜日を満喫している。
少し静かすぎる気もするが。
sos団の活動がないからといいて他の用事がある訳でもなく、ただひたすら
何もしないをしてダラダラ過ごした。
そんなこんなで時間は過ぎていきもう夕方の5時である。結局なにやってたんだろう
と哀愁を感ただよわせていたとき俺の携帯が鳴った。
ピッ!
ん?ハルヒか・・・ライブ?・・・は?七時?今日の!?・・・
他に行きたい奴いねえのかよ・・・わかった、わかった六時に駅集合な
ピッ!
まったく他人の都合なんて考えない奴だ。それにしてもハルヒの声がどことなく
上ずってたな。
そんなことはどうでもいい。早く身支度を済ませ出発しなければ。
しかし、急がないといけない時にかぎっていろんなハプニングが起こるのが
世の常で俺もどうやら、その例に漏れなかったらしい。
ここで詳しく書くつもりは無いが
、妹関係が2件、突然の来客関係が4件、その他3件
ってとこだ。
全ての用件が終わり大急ぎで自転車を走らせる。
目的地まであと半分というところか。ハルヒから電話がかかってきた
ピッ!
「こらーアホキョン!いま何時だと思ってるのよ!?
あたしを待たせるなんていい度胸してるわね!
早くしないとライブ見れなくなっちゃうじゃない!!」
「ハルヒか?すまんちょっといろいろあって・・・
今、そっちに向かっているとこなんだが。」
携帯の時計機能を見る。ライブは七時から、
しかし時刻は六時半をとうに回っている。
確かハルヒはこのライブにもの凄く行きたいといっていたな。
俺もこのバンドは嫌いじゃないし是非行きたかったがしかたあるまい。
俺を待っていたせいでハルヒが楽しみにしていたライブの半分も
見れなくなってしまっては
さすがに申し訳ない。俺もそれくらいの良心は持っているつもりだ。
「ハルヒ、俺を待ってたら開演に間に合わないだろ?
もう俺はいいから、お前だけでも行ってこいよ?
お前楽しみにしてただろ?このライブ」
数秒の沈黙
「ハルヒ?」
「・・・ぇっ・・・そう・・・急に誘ったあたしがわるかったわね
・・・ゴメン」
そう言ってハルヒは電話を切った。
街の車や人ごみのせいかハルヒの声は消え入りそうだった。

 

月曜日、俺が朝の強制ハイキングコースを満喫していると
何故かボロボロの古泉が俺の肩を叩いた
「土曜日、涼宮さんにナニをしたんですか?」
開口一番滅多な事を言うんじゃない。俺がハルヒに?冗談じゃない
俺はハルヒに何もしてないしナニもしてないぞ
「おや?そうですか。週末はライブの予定でしたよね、僕は
てっきりそこで涼宮さんを押し倒して・・・あっそれだと発生するのは
閉鎖空間ではなくて桃色空間のはずですよね」
おまえ、殴るぞ
「俺はライブには行ってねーよちょっといろいろあって遅刻したから、
しかたないから一人で行って来いって電話しただけだ」
「・・・それ、本当ですか?本当ならえらく最低ですよ。」
何故お前に最低扱いされにゃいかんのだ。
「遅刻だけならまだしも、どうして行ってあげなかったんです?
ライブなんて途中からだって入れるし重要なのは
「そこ」じゃないと思いますが?」
「そこ」ってどこだ?分かる奴が居たらここに来いそして教えてくれ
大体ハルヒはライブに行きたかったんじゃないのか?
俺のために半分も見れなくなったら悪いと思い
気を利かせてだな・・・
「やれやれ、これはもう狙ってるとしか思えませんね・・・」
誰が、いつ、何をだ
「・・・あんまり鈍感だと愛想つかされますよ。まぁ、あなたが
涼宮さんと今まで以上の関係になる気がないのなら結構ですが
僕としては涼宮さんのあの笑顔を見れる機会が減るのは少々残念ですがね。
・・・それじゃあ急ぎますのでお先に」
そう言うとボロボロのニヤケハンサムは颯爽と坂を駆け上がっていった。
どこまでも絵になりやがる。
俺は先で述べたようにハイキングコースを満喫したいので
ゆっくり坂を上る。さてここでおさらいだ、古泉くんは何て言った?
俺がハルヒに愛想をつかされる?ホワイ、何故。
急なライブの約束をキャンセルしただけだろ?
デートの約束をしたワケでもあるまいし。
そんな事を考えてるうちに朝のハイキングは終了した。

 
 

教室に着く。まだ朝のホームルームまでは時間があるので
もう一度ハルヒに謝罪しておこうと思う。一応悪いのはこちら側だしな。
「ハルヒ、この間は悪かった。」
「・・・そう」
「どうだ?ライブは楽しめたか?」
「・・・別に・・・・行かなかったわ」
俺がどうして行かなかったのか?と質問するより早くハルヒは
一瞬俺を睨みつけ窓の方を向いてしまった。
その後も会話をしようと試みるが、返事は窓のほうを向いたまま
「別に」「そう」の二択である。そんな感じで一日が過ぎていった。
6限目の体育が終わり部室へと向かう。ハルヒはすでに部室にいた。
気まずい
「ちょっと出てって」
いきなり、戦闘モード
「なんでだ?」
「いいから、出てって!」
おいおい
「ちょ、ハルヒ!そんなに怒ることはないだろこの間のことは確かに俺が悪かった。
でもそれにはいろいろ事情があってだな・・・・!」
「着替えるから出てけ!!」
「!あわわわわ、すまん!そういう事か!」
バタン!!
ったく、そいうことなら最初から言えってんだよ。
・・・いつからだっけなハルヒが人目を気にして着替えるようになったのは
安心したような、寂しいような。
それにしても怒ってるよな。すまん古泉、お前のアルバイトが増えそうだぜ
などと考えていると扉のむこうからハルヒの声がした

 

「別に・・・この間のことなら怒ってないわ・・・
キョンに悪気が無かったのはわかってる。急な誘いなのに
「行く」って言ってくれて実際にこっちに向かっててくれた。だから
遅れたことも一緒にライブに行けなかったことも怒ってない。ただ・・・
悪気がないだけ、余計にあたしとの温度差に”こたえた”だけ
「遅れても行く」って言ってくれなかったのは――――
キョンは少しもドキドキしてなかったってコトだもんね」

 

えっ―――

 

「ハルヒ・・・?」
ガチャ
「なーんてことあたしが思うとでも思った!?いい、キョン?
この埋め合わせは必ずしてもらうから覚悟してなさい!」
「・・・あ、ああ」
その後間もなく他の団員が到着。俺達はいつもどうりのsos団の活動をし
いつもどうり長門の合図で解散した。

 
 

帰宅後、俺は風呂と夕飯を済ませ早めにベットに入った。
(重要なのは「そこ」じゃないと思いますが?)
(あんまり鈍感だと愛想つかされますよ)
ちくしょうニヤケハンサムの顔が浮かんできやがる
(余計にあたしとの温度差に”こたえた”だけ)
(涼宮さんと今まで以上の関係になる気がないのなら結構ですが)
ちげーんだよ、ハルヒとは入学以来ずっと一緒で、今更付き合うとか
デートとか照れくさくてだな・・・
(キョンは少しもドキドキしてなかったってコトだもんね)
アイツは、ドキドキしてたのか!?
(着替えるから出てけ!!)
アイツも、普通の女の子なんだよな。
・・・寝るか。

・・
・・・
だーー眠れねぇ!
(キョンは少しもドキドキしてなかったってコトだもんね)
(キョンは少しもドキドキしてなかったってコトだもんね)
(キョンは少しもドキドキしてなかったってコトだもんね)
わかった、わかったよ!
ピッピッピッ
「ハルヒか?」
「んーーーなによこんな時間に!!」
「いきなりなんだが、今週の日曜日・・・」

 
 

んなワケで約束の日、遅刻しないようにかなり早めにでたはずなんだが
ハルヒはすでに待ち合わせ場所にいた。しなくてもいいのに
ポニーテールで。いや、すまん正直たまらん。三割り増しだ。
「なに、ニヤケてんのよ?早くいくわよ!罰金ならあっちで
いっぱいもらうから!!」
地元の遊園地へ向かう。
俺達は一日パスを買い入場した。もちろん俺のおごりで。
楽しい時間はあっという間に過ぎるというが、
どうやら俺達にも当てはまるらしく時間はあっというまに
過ぎていった。楽しんでいたのさハルヒも、俺も。
ちなみに昼飯はハルヒ特製の弁当だった。
「あ、あんたにお昼ご飯までおごらせたら一文無しになるでしょ!」
だ、そうだ。
「な、なによ?その目は、いらないんだったらあたしが全部食べるわよ!
とんでもない。ハルヒの料理の上手さは知っているからな、
ありがたくいただこう。
昼食を食べ終え午後の部スタート。午後もハルヒの勢いは衰えることを知らず
遊園地内にあるアトラクションを遊び倒した。
そうこうしているうちに閉園時間だ。
俺とハルヒは出口のゲートに向かってあるきはじめる
するとハルヒは急に駆け出し振り返り100万ボルトの笑顔で
「まったく、埋め合わせならもっと不思議なものにしなさいよ!
でもまぁ楽しかったわ!ありがと!これでこの間の事はチャラよ!
さっ乗り物が混まないうちに帰るわよ!」
そう言うとハルヒは出口のほうへ歩いていく。まて、言うべきことがるだろ俺
別にねぇよ
あるだろ!
ねぇったら
このごにおよんで、根性なし
うるせぇ、俺はそういう男だ
いい加減素直になれよ!気付いてるんだろ?
いままでアイツと一緒にいてお前はどう思ったんだよ!?
なんでアイツをこんな所に誘ったんだ?
・・・・・

 

「・・・埋め合わせなんかじゃねーよ」
「え?」
「埋め合わせなんかじゃない・・・俺はただ・・・ただ好きな女の子と
・・・普通にデートしたかっただけなんだよ。・・・
――――こんな鈍感な男だけど、そんなんでもいいか?」

 

カーン
    カーン
     答え~はいつもわたし~の胸に~♪
                      uhー
                           uhー
                               ―fin―