2月14日のあくむ (80-329)

Last-modified: 2008-03-14 (金) 22:55:25

概要

作品名作者発表日保管日
2月14日のあくむ&AA80-329氏、337氏08/02/1408/02/14

作品

突然だが俺はピンチだ。
というのも生命の危機などという絶望的な状態ではなく。
俺の精神力、というか理性。いってみれば我が愚息、俺のジョンが自己主張をしようかどうかという危機が迫っているのである。
何、そんなのただの生理現象じゃないかって?
普段ならそう思うだろう。実際そのとおりだしな。
それが普通ならばそういう結論に至るであろうことが想像するに相違ないが。
 
しかし!その自己主張の原因が、SOS団の団長こと涼宮ハルヒが俺の膝の上に乗っているという事である以上、それがただの生理現象では済まされない、下手をすれば生命の危機に直結するという事と同義である可能性が出るのである!
静まれ、静まりたまえジョン・スミス!
 
さて、まずは何故こんなことになったか説明せねばなるまい。
 
事の始まりは、2月14日。何時もの恒例の市内探索。
毎回集合時間には遅れて居ないのだが、どうにも集合時間よりはるかに早い時間に集合しているであろうSOS団の皆より遅く来たというだけで
「遅刻!罰金!」と、これまた恒例になる朝の挨拶代わりの右フック。
俺はクリーンヒットしつつ、いつもの喫茶店へ入っていった。
「どうぞ、キョン君、古泉君」
「・・・・・・・これ」
「はい、キョン、古泉くん」
三者三様にチョコをくれるSOS団女子メンバー。
朝比奈さんから俺と古泉がもらったチョコは可愛らしく星型。
本当にあなたは可愛らしい方ですね。なんかきゅんときましたよ。思わず俺の顔は緩む。
古泉と同じだから期待はしないがな。
長門からは板チョコ。らしいといえばらしいがこれまた中にホワイトチョコが入っていてなかなかの業物だ。
そしてハルヒ、いくら義理とはいえチ○ルチョコはどうかと思うぞ?
流石の古泉も少し笑いが引きつっていたように見えるが。
「マヌケ面のあんたにはそれで十分よ!」
という何故か機嫌が悪いハルヒ。
古泉もチ○ルチョコだから、そのマヌケ面には古泉も含まれているのか?
去年のサプライズが無いためどこと無くだが物足りなさを感じつつも罰金と証した強制奢り精度によって俺の財政はまるで、少しでも節約したい専業主婦が、もう残り少ないマヨネーズのチューブから少しでも多く絞りだそうとするかのように財布からお金を出し、会計を済ませ
「今日は少し遠出をするわよ!」
というハルヒの一言によって、何時ものドリンク代だけでは済まず。
移動費込みという消費税が自分だけ10%になったかのように、俺は憂鬱になりつつも仕方がなしにお金を払う事になってしまった。
遠出するなら予め言っておいてほしいものだが・・・・・・・。
そうすれば俺は集合場所に前の日から泊り込んでいただろう。
そこ、寝言は寝て言え、観たいな顔で見るな。
それほどまでに今月の財布の中身は凄惨な状況なのである。
どうやら俺の財布は朝の「罰金!」というハルヒの右フックがクリーンヒットしただけに留まらずにそのままグロッキーになっちまったようだ。やれやれ。
 
そしてバスに揺られること約2時間。遠出した先での何時も通りの探索。
行きがけのバスの中で爪楊枝くじで班分けをし、俺、古泉、朝比奈さん組みとハルヒ、長門組という中々珍しい組み合わせと成った。
それぞれの爪楊枝のマークをみて、むぅ、と少しほっぺを膨らますハルヒ。
何かあったのだろうか?
「それじゃあ昼過ぎにそこの喫茶店で落ち合いましょ!!」
というハルヒの掛け声とともに別行動を開始する。
ついでに古泉。お前一人だけでどっか別行動してくれまいか。
「おや、これは手厳しい」
無駄にハンサムな笑顔で返事をする。
毎度のことだが近いぞ。顔が。
「ふぇ~初めての町なので・・・・その、キョン君に任せますね?」
どこと無く卑猥な響きがあるが、特に行くあてがあるわけでもないしブラブラするだけだろうが・・・。誠に遺憾なことだが、参考までに聞くが古泉。
どこか行きたいところはあるか?
「そうですねぇ~」
どこぞの探偵が推理しているかのような、あごに手を当てるポーズをとる古泉。
何をやってもそれなりに絵になってはいるのだが、そんな絵なんぞ俺は1万円もらったって受け取らない。いや、いまの財政から見れば受け取るべきなのだろうが。
そんな使用価値の無いものをもらっても精神的不可が1万円以上は掛かるであろうという判断から俺は受け取ることを拒むだろう。まぁ、まったくもって
どうでもいい事なのだが・・・・。
「それではあちらの喫茶店に行きませんか?代金は僕が持ちますので」
お前が誘う以上は当たり前だろうな。
それすら俺の奢りなどといったら俺の財布は本気でKOされかねん。
 
入った喫茶店は、先ほどハルヒが指定した物とは別の場所のもので。
こちらのほうが規模の小さいものだったが。
客が3人はいったくらいで満客です。などというわけではなく。
ごく普通の喫茶店だった。
 
それで、誘ったからには何か話があるんじゃないのか?
「流石、と言うべきでしょうか?」
ニヤリ、と予想通りというかのような胸糞悪い笑顔を浮かべる古泉。
朝比奈さんが居る以上。未来、そして超能力がかかわるような話をするのだろうか?
「そういうわけではありません」
が、といいつつ俺に顔を接近させる古泉。
だからいちいち顔を近づけるなと何度言えばこいつは伝わるんだろうか。
そのうち小一時間ほどそのことに付いてコイツにはきっちり話す必要がありそうだ。
「最近涼宮さんの精神は非常に安定しています」
まぁ、予想通りというか、やはりハルヒについての話である。
「これも全てあなたのおかげという事でしょう」
と、ウィスパーボイスでささやく古泉。
吐息が耳にあたって胸糞悪いことこの上ないが。
俺のおかげというのは悪い気はしない。
「ですが、安定しているが故のマンネリ感といいますか、彼女は変化を求めています。そこで今回の『探索の遠出』です。これを気に涼宮さんはあなたともっと仲良くなりたいと思っている事でしょう」
それならチロ○チョコはないだろうがチ○ルチョコは・・・・
「あなたは彼女があなたに渡すチョコが本当にアレだけだと思ってらっしゃるのですか?」
心底呆れた。というような表情で笑う古泉。
なんかそこはかとなく腹が立つのだが。
「僕には義理ですからチ○ルチョコですら光栄の極みなのですが」
あなたには違いますよ?と言う古泉。
俺にも義理なのだから違うってことはないだろう。現にもらったのはチ○ルチョコだしな。
「それは置いといて、先ほど涼宮さんは変化を求めていると言いましたね?それで今回の探索の遠出とも・・・・」
確かにいったな。大体チョコの話はお前が振ってきたんだぞ?
最初から本題に入ればいいものを。
「性分なもので・・・・おっと、また脱線しそうですので率直にいいますが。今日涼宮さんに何かをプレゼントしてあげてください」
言うに書いてそれか。
ご覧のとおり俺の財布は体たらくでな。すでにグロッキー状態だ。
「そこでこれをお使いください。」
と封筒を渡してくる古泉。これはあれか?
俺の財布に降り注ぐ恵みの雨か?
「はい、これで彼女を満足させてあげてください」
にぃとコイツのニヤケ面が何時もより輝いて見えたのは一瞬だけでそのあとはドス黒いものを感じたぜ・・・・・。
まったく、我が国の非常に優秀な政治家方ではあるまいしワイロなんざ受け取れん。
「しかし変化を求めての遠出なので何も無いとなると・・・・」
閉鎖空間か?
「恐らくは・・・・・」
と力なさそうに笑う古泉。
あのな、今のハルヒは昔のようにそんな詰まらんことで閉鎖空間なんぞに頼ると思ってるのか?ハルヒの精神のスペシャリストだかなんだかしらんが今のハルヒを見てそういう考えならばスペシャリスト失格だな。
少なくとも俺は閉鎖空間なぞ作らないと思うぞ。
「ですが・・・・・」
それに第一プレゼントなんてのは人に頼まれて送るものじゃないだろう?
俺はお前達組織の久々津人形でもなければ金で雇われているわけでもない。
自分で居たいからこうしてSOS団に居るんだ。
「そうでしたね、これは大変失礼いたしました」
はぁ・・・と残念そうにため息をつきながら俺から離れていく古泉。
まったく、朝比奈さんをぞんざいに扱ってしまったではないか。
申し訳ありません朝比奈さん。
「いえ~。なんとなく禁則事項な流れだったので、聞かなくて正解だと思います。」
禁則事項の使い方ってそんな感じでしたっけ?
とりあえず、朝比奈さんを放置してしまったという罪は古泉に償ってもらう。ということで俺は無駄にコーヒーをもう一杯注文した。
 
 
 
昼の集合にはすでにハルヒと長門は所定の喫茶店に居て。
また「遅い!罰金!」などと言われはしないか非常に心配だ。
もし言われたらさっきのお金を受け取って置けばよかったと思ってしまう俺を誰が攻められよう。
 
 
しかし、そんな事はなく、無事ワリカンで済んだ昼食のあとは恒例の爪楊枝くじだった。
先に無印がハルヒ、古泉、長門。
そして印付きが朝比奈さん。
俺はまだ引いていないが、これはもうどうなるかなんて想像するに相違ない。
俺はこの後朝比奈さんとプチデートになるであろう午後を想像していた。
「マヌケ面・・・・」
じとっとした目で俺をにらむハルヒ。
どうやら機嫌が悪いようなので、刺激しないように無駄だが一応俺も爪楊枝を引いた。
──だがそこには俺の予想に反するものが手の中に握られていた。
「ふぇ、わ、私一人なんですかぁ~??」
そう、無印の爪楊枝が俺の手の中には握られていたのである。
「む、そんなはずはないんだけど」
とハルヒも驚いている様子。なんだろうねこれは
「それじゃあもう一回くじの引きなおしね!!」
どうやら印を付け忘れたらしいな。
ということで、折角朝比奈さんとプチデートが消え去り
俺は少々落胆を隠せないが仕方が無い。もう一回爪楊枝を引いた。
結果。無印が古泉、長門、朝比奈さん。
そして印付きがハルヒ、俺。
ちくしょう古泉。両手に花とはどういうことだ
「ふっふ~ん、それじゃあ夕方バス停集合ね!」
100Wの笑顔で宣言するハルヒ。
さっきまでの不機嫌オーラはどこ行った?
 
というわけでハルヒと不思議探索。
妙にそわそわしてるハルヒと並んで見慣れない町並みを歩く。
ここらは余り人通りが多くないのか、時々通る車の音が妙にうるさい。
というのも隣の大音響暴走スピーカーことハルヒが妙に静かなのが原因なのだろう。
なぁハルヒ?
「は、はい!」
授業中に寝ていた生徒が急に先生に当てられたかのような反応を見せるハルヒ。
さっきから一体どうしちまったんだ?
「な、なんでもないわよ」
それならいいんだが、あっちにいってみないか?
俺が指差したのは2階建てのアクセサリーショップ。
なんとなく気まずい空気だから適当に指差した先がそこだったというだけだ。
特に意味は無い。
「ふ、ふん!そう言うからには不思議があるんでしょうね?もし無かったら鼻でスパゲティ食べてもらうからね!」
・・・・・・ごめんなさい。
 
ところ変わってアクセサリーショップ
さっきから妙にそわそわしてたハルヒもアクセサリーショップにくるといくつか気に入ったものを見つけたのか、その大きな目がアクセサリーに反射しているのかきらきらと輝いていた。
なにか気に入ったものでもあったのか?
「ん~まぁまぁね」
とブレスレットを見つめているハルヒ。
これが気に入ったのだろうか?
「さて、不思議も無いようだし外にでましょ。」
それじゃ俺はトイレにいってるから先に外にいっててくれ、とハルヒを外にだして、さっきのブレスレットをレジに持っていった。
 
外にでるとぁ~とかぅ~とか唸っている変な奴がいた。
何を隠そうOS団の団長こと涼宮ハルヒである。
なんか冒頭でも似たようなことを言った記憶があるな。
なにやってんだ?
「な、なんでもないわよ!」
キーンと耳に響く大きな声で叫ぶハルヒ。
わかったからそんな大きな声だすなよ。
それと、これやるよ。
「───え?」
どことなく気恥ずかしさから声が若干うわずっちまったが
まぁ特に問題はあるまい。俺がプレゼントしたいからプレゼントするわけだしいらないなら突き返せばいい
「これ、さっきのブレスレット?」
それ以外に何がある?
「えへへ、ありがと」
なぜか少し顔の赤いハルヒ。まぁ寒いからな
俺も顔が寒さで赤いことなのだろう。
「えっとね、あたしも、これ──」
とハート型の包みを俺に渡すハルヒ
なんだこれは?
「何って、チ、チョコよ!そうチョコ!!」
 
 
と言って俺に手渡すハルヒ
そのときのハルヒの仕草がその、妙に女の子らしくて
もらったチョコを食べたときに
俺が今まで食べたチョコの中で一番うまい
とか柄にも無いことを言っちまった!すまん!だれか殴ってくれ!
ハルヒも
「バ、バカキョン!」
とか顔真っ赤で俯いてしまうし。
すっかりご機嫌斜めのようだな。そこまで怒るようなこと言っちまったか?
 
 
 
 
日もすっかり沈んできた頃。
帰りのバス停で待ち合わせて、帰りのバスへと乗った。
いつも待ち合わせする場所の近くのバス停までは2時間近くあるために帰宅ラッシュと被ってしまったのか、先に進んでも席が4つしか確保できなかった。
俺達SOS団は5人なのでこりゃ俺だけ立ったままかな、と思っていたら
「早く座りなさいよバカキョン」
とこれまた今までに無いだろこんなこと?というくらい珍しくハルヒが俺に譲ってくれた。こりゃ明日は強制ハイキングコースでスキーができるなと思っていたら膝の上に妙にあったかい感触と、妙に甘くていい香りがした。
ここで冒頭に戻る。
 
つまり俺はピンチなのだ。
あのハルヒがバスの席にすわる俺の膝の上にすわっているんだぞ!?
これがピンチでなくなにがピンチなのか?
お、おい!何座ってるんだよ!
「べ、別にいいじゃない、あたしだって、つ、疲れてるし!」
それじゃあ俺が退くからお前だけで座れよ!
「あ、あんたも疲れてるでしょ?団員の健康管理をするのも団長の仕事なんだからね!」
だからといっていろいろと困る!精神的にこれはクる!
あと俺のジョンもクる!
「せ、席が無いんだからしょうがないじゃない!全員が座るにはこれしかないわ!」
だからって何も俺の上に座ることないだろ?
女性陣の上に座らせるわけには行かないがなんだったら古泉の上に座れよ!
「雑用がつべこべ言ってんじゃないわよ!団長として仕方なく雑用のあんたの上に座ってるの!
そう、団長として!」
そこで俺は気がついた、ここはバスの中で、今は帰宅ラッシュと鉢合わせているために車内は満員状態だ。それでこの声量で会話をしていると。
ジロリと回りの視線が痛かった。そりゃそうだろうな。俺だって休日出勤の帰りにうるさい奴らが居たら困るね。
なんとか俺のジョンはその主張をやめてくれたことだし、ここはハルヒの好きにとこう。
じゃないと後で何言われるか判ったもんじゃないからな。
わかったよ、それじゃ好きにしろ。
「ふん、はじめからそう言ってればいいのよ」
妙に上機嫌なハルヒ。膝の上に乗るのがそんなに楽しいのかね?
今度やってみようか、とは流石に思わないがな。
それよりバスの車内というのは少なからず停車するときに揺れる。
流石に危なっかしいから俺はハルヒに手を回した。
「ちょ、どこ触ってんのよ!」
うるさい、周りに迷惑だから声を上げるな。
それと、これは何てことないただのシートベルトだ。
「むぅ、判ったわよシートベルトってことにしといてあげるわよ」
ハルヒの抱き心地はまさに夢心地といったところか。
 
 
 
 
 
今想い返せば俺はバス酔いでもしてたんじゃないか?
ほかの団員の声すら聞こえなかったし、
なにがシートベルトだうわああああああああ!!
 

 

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      〈'iつ★O  決して 将来の暗示ではない!
.      とi._,〉_.〉