概要
作品名 | 作者 | 発表日 | 保管日(初) |
無題(キョンにイタメールを送ってみるハルヒ) | 27-226氏 | 06/11/20 | 06/11/23 |
作品
専業主婦っていうのはひまひまだ。
面白いことなんて全くない。これっぽっちもない。
休みの日はキョンが一日中傍に居てくれるから幸せだけれど、
平日の昼間っていうのは地獄と同じだ。つまんない。退屈。
早くキョン帰ってこないかなー、と思いつつ私はイタメールを送ってみた。
送信
古泉です。緊急なので涼宮さんの携帯から連絡します。
涼宮さんが階段から落ちて大怪我を負われました。至急もどってk
キョンのことだからふざけるな、って返事が来ると思ってた。
なのに、いくら待っても返事は来ない。
仕事が忙しくて手が離せないのかな、と少し悲しくなっていたら、チャイムが鳴った。
……セールスか何かかしら。めんどくさいな、と思いつつも一応ドアを開ける。
いけない。相手を確認してからじゃないとキョンに怒られるんだ。
なんて事を咄嗟に思っていたものだから、余計驚いた。
家にやって来たのはキョンだった。
「ハルヒ! お、おま、怪我!? 古泉が……、って、あれ?」
肩で息をしてとても混乱してるみたいだった。
私が心配で帰ってきてくれたんだ……! と抱きつきたいくらい嬉しかったけど、
私は事情を説明した。ごめんね。悪戯にしては悪質だったわ、って。
「そうか……」
キョンはまだ少し荒い息の中、そう呟いた。
このまま怒られるものだと思って、身を竦めた。けれど、違った。
キョンは私をいきなりぎゅっと抱きしめて、
「お前の悪戯だったのかぁ、よかったぁ……。
俺、マジでお前が怪我したと思って……。あぁ、なんだ、俺が騙されただけかぁ。
本当によかった、ハルヒが無事で……よかったぁ」
吃驚している私の耳元で半べそをかきながらそんなことを言った。
やばいわ。ぐっときたわ。き過ぎて脳が沸騰しかけたわ。
その夜の私は無敵だった。
翌日キョンは会社を休んだ。……たびたびごめんね、キョン。