27-226 無題

Last-modified: 2007-01-24 (水) 02:18:41

概要

作品名作者発表日保管日(初)
無題(キョンにイタメールを送ってみるハルヒ)27-226氏06/11/2006/11/23

作品

専業主婦っていうのはひまひまだ。
面白いことなんて全くない。これっぽっちもない。
休みの日はキョンが一日中傍に居てくれるから幸せだけれど、
平日の昼間っていうのは地獄と同じだ。つまんない。退屈。
早くキョン帰ってこないかなー、と思いつつ私はイタメールを送ってみた。

 

送信
古泉です。緊急なので涼宮さんの携帯から連絡します。
涼宮さんが階段から落ちて大怪我を負われました。至急もどってk

 

キョンのことだからふざけるな、って返事が来ると思ってた。
なのに、いくら待っても返事は来ない。
仕事が忙しくて手が離せないのかな、と少し悲しくなっていたら、チャイムが鳴った。
……セールスか何かかしら。めんどくさいな、と思いつつも一応ドアを開ける。
いけない。相手を確認してからじゃないとキョンに怒られるんだ。
なんて事を咄嗟に思っていたものだから、余計驚いた。
家にやって来たのはキョンだった。

 

「ハルヒ! お、おま、怪我!? 古泉が……、って、あれ?」

 

肩で息をしてとても混乱してるみたいだった。
私が心配で帰ってきてくれたんだ……! と抱きつきたいくらい嬉しかったけど、
私は事情を説明した。ごめんね。悪戯にしては悪質だったわ、って。

 

「そうか……」

 

キョンはまだ少し荒い息の中、そう呟いた。
このまま怒られるものだと思って、身を竦めた。けれど、違った。
キョンは私をいきなりぎゅっと抱きしめて、

 

「お前の悪戯だったのかぁ、よかったぁ……。
 俺、マジでお前が怪我したと思って……。あぁ、なんだ、俺が騙されただけかぁ。
 本当によかった、ハルヒが無事で……よかったぁ」

 

吃驚している私の耳元で半べそをかきながらそんなことを言った。
やばいわ。ぐっときたわ。き過ぎて脳が沸騰しかけたわ。

 

その夜の私は無敵だった。
翌日キョンは会社を休んだ。……たびたびごめんね、キョン。