500年後からの来訪者After Future10-9(163-39)

Last-modified: 2017-03-12 (日) 09:55:09

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future10-9163-39氏

作品

第九話をたった一度見せただけで、犯人、トリック、証拠をすべて揃えられ、午後には古泉VSみくるの将棋対決。初歩中の初歩であっさり負けてしまった古泉に、影分身の修行も兼ねて周りからの指導将棋を受けることになった。古泉同様影分身を持て余していた青俺に新店舗開拓の話があがり、四月号が販売されてから新しく三店舗をOPENすることになった。

 

「それで、このあとの夜練だが、男子もそろそろ変化球を投げてもいい頃だ。事情を説明して鈴木四郎の方は変化球を投げ始めてくれ。俺や青俺、ジョンのところに男子日本代表選手がついてもいいことにする」
「ボールを受けるだけならゾーンで無くてもいいし、69階でこっちの世界の女性誌の製本作業をする」
「その件に関してですが、男性誌の方も完成しました。ご確認をお願いします」
さすがに全員分の冊子を情報結合するまでには至らないか。古泉がサイコメトリーして両方の世界の男性誌が配られた。こちらの表紙は古泉、異世界の方は鈴木四郎で飾られている。
「朝倉、一つ提案なんだが、夏に二回目のランジェリー特集を組むだろ?それを七月と八月じゃなくて、六月と七月にしたい。理由は六月号の特集で夏物スーツが販売される。それに合わせて派手なランジェリーを着けていてもブラウスやカットソーの上からでも透けて見えないことを強調したい」
「案としては悪くないわね。ただ、二つも特集を組んでしまうと他のページがほとんど無くなってしまうのよね」
「どの道、七月号は水着、浴衣、ランジェリーの三つになってしまう。それよりはまだマシな気がするがどうだ?」
「ページ数が増える可能性も出てきそうね。とりあえず、六月に出す予定のランジェリーをもう一度洗い直して考えてみるわね」
「じゃあ男性誌の確認が終わり次第、それぞれで作業にまわってくれ。これで一旦解散にする」
『問題ない』
確認と言ってもほとんどのメンバーがサイコメトリー。異論がなければOGやみくる達に製本作業を任せてもいいくらいだ。男子日本代表選手たちには、古泉から変化球の件とサインが伝えられ、男女混合で夜練に没頭。その間も古泉は将棋の本を読み耽り、俺は卒園式の日に全員に出す予定の大量のカレーを作り始めていた。あの時間平面上のジョン達、未来のみくる達、男子日本代表チーム、女子日本代表チーム、社員、楽団員、俺たちとなると二フロアを占拠してでもカレー作りに没頭しないと足りそうにないな。とりあえず今日中に玉ねぎの炒め作業が終われば十分だ。
 夜練が終わる頃にはシンガポールの夜景が目の前に広がっていた。天空スタジアムからの絶景とまではいかないが、眼に焼き付けておきたいほど見事な光景に酔いしれていた。
「ちょっとあんた!さっさとパーティ始めるわよ!いつまで間抜け面を晒してんのよ!!」
「ん?ああ、シンガポールの夜景に眼を奪われていただけだ。始めてくれ」
「それじゃあ、七大海制覇の成功を祈って……乾杯!」
『かんぱ~い!』
乾杯の音頭と共に船が動き始めた。やれやれ、こんなことで済むのなら俺があんな恥ずかしいことをしなくてもよかっただろうに……まぁ、もう一回やれといわれなかっただけマシか。子供たちも夜練をしている間に風呂に入ってきたようだし、このまま眠っても大丈夫だろう。しかし、後のことは考えなくてもよくなったとはいえ、古泉の席の前には赤ワインのボトルが一本。ダウンする前に全部飲みきる気か?コイツは。まぁ、成果が出るのならそれでいいか。
「ちょっとあんた!あたし達の世界の本社の経営に口出しするんじゃないわよ!あたし達の会社なんだからね!」
「だったら、非の打ちどころがないプランを練ってみせろ。状況に応じた対応をしてみせろ。俺にヒントなりアドバイスを出された時点で、社長としてまだまだ修行が足りないと思え!今後、おまえや青古泉から提示されなければ容赦なく口を出すからな。おまえが悔しいと感じていようが、不機嫌になろうが知ったことか!」
「いい度胸じゃない!絶対にあんたに口出しさせないんだから!見てなさいよ……」
パーティもまだ始まったばかりだというのに、もう酔っぱらったのか?それとも言いたい事はハッキリ伝えておきたかっただけか?青ハルヒがこんな短時間で酔いが回るとは思えないし、そのセリフを言う機会が他に無かったとみてよさそうだ。しかし、折角の七大海制覇の出発式だというのにタイタニックの奴何も言ってこないな。おまえが言い出したことだろうが。何か一言くらい告げたらどうだ?
『うるさいわね!あたしの念願がようやく叶うときが来たっていうのに、あんたのせいで気分が台無しじゃない!』
ああ、長年待ち望んだ旅路に感極まっていたのか。道理で静かだと思ったぞ。
『フン!とにかく、このあたしに乗ったからには、あたしの野望に最後まで付き合ってもらうわよ!いいわね!?』
心配するな。今さらそんなこと言わずとも、最初からそのつもりだよ。ここにいるメンバーにも言ったが、『飽きた』なんてくだらない理由で、途中で挫折しやがったら蹴り飛ばすからな。
『フフン!あたしに任せなさい!』
『キョンパパ、ハルヒママの声が変!』
「今のはあたしじゃなくてタイタニック号!……ンットに、『うるさいわね!』はこっちのセリフよ!あんた、テレパシーで何を言ったのよ!」
「折角の出発式なのに、言い出しっぺが何も喋らないなんておかしいだろう?『何か一言ないのか?』と聞いたまでだ。どうやら気分に浸っている真っ最中だったらしい」

 

 一月はカレーのこともあってかほとんど酒が入らないパーティだったが、ここ最近は飲みすぎのような気がするな。古泉もワインのボトルを直接口にあてるような真似はしなかったが、一人でボトル一本分を開けてしまった。ハルヒのことが忘れられないと自暴自棄になっていた古泉を彷彿とさせるような飲みっぷりだったが、今の古泉に憎悪の感情は欠片たりともありはしない。パーティの度に似たような行動に出る気がするが、将棋にしろ酒にしろ、より強くなれるのなら多少の荒療治があってもいいという判断だろう。これで、ジョンの世界に来ることができるのかどうか楽しみだ。
 料理が尽きたところで出発式も終焉を迎え、いつものメンバーのシャンプー&全身マッサージをしようと服を脱がせていると、OG六人中四人が『つるぺた』状態になっていた。理由は……通常のランジェリーから大胆下着に変えたせいで、布の外側に『はみ出る』からだろうな。それを目の当たりにした残り二人もいらないと判断したようだ。大胆下着を脱がせる頃には陰毛がすべて抜け落ちていた。
「ったく、下着のラインが出ないようにするためとはいえ、他に方法は無かったのか?」
『あ、あははははは……久しぶりに大胆下着をつけたらはまっちゃって』
以前とは違って、真っ当な理由があるだけに文句の一つも言えやしない。変態セッター以外の五人まで真似をするなんてことにならなければいいんだが……最近はベビードールすらつけることなく裸で寝るようになったが、ジョンの世界で裸でいるわけにもいかず、当然ユニフォーム姿。だがしかし、レシーブに構えてもショーツのラインが見えるようなことはなく、ジョンの世界でもTバック系の大胆下着で貫くようだ。青OGの方は変態セッターを除いてあまり気にしてないらしい。今週末のようにこちらのOGと入れ替わるようなときだけ、ランジェリーを変えるつもりなのかもしれん。因みに、本日最後に現れたのは、俺ではなく古泉。
「遅くなってしまったようで、すみません。園生に何度も起こされたらしいのですが、記憶がまるでないんですよ。ようやく意識を取り戻したところで、ここに足を踏み入れることに成功したようです。ボトル一本分のワインは無謀だったかもしれません」
「そうでもない。自暴自棄になっている頃の未来古泉はボトル一本くらいじゃ済まなかったようだからな。しばらくは園生さんに迷惑をかけることになるだろうが、あれくらいが丁度いいんじゃないか?本人もおまえの面倒は自分が見るなんて言ってくれていたんだ。申し訳ないと感じるなら、別の何かで返してやればいい」
「参りましたね……すべてお見通しですか。ですが、あなたの一言で大体の目安がつきました。まずはボトル一本分を克服するところからということになりそうです」
明日に影響しそうだが、酔いを覚ましてしまえば仕事に支障はないだろう。
 翌朝、ついに異世界で大きな動きが現れた。青朝倉が見つけてくるよりも先に新聞の一面を飾るくらいなんだ。余程の大事件だったんだろう。『大迷惑!SOS Creative社の運営で大赤字!』、『ファッション関係の各社への被害!下請け企業の倒産が続出!』、『人件費を減らすため!?人員を大幅にリストラ!!』等、以前にもこちらの世界で見たことがあるような見出しがつけられ、三月ということも加味してか『若い世代の新入社員を雇用予定』と記載されていた。『大手ファストフードのチェーン店が鈴木四郎のパンに負けた!』なんて見出しで飾って欲しかったが、まだそこまでには至ってないらしいな。さて、この記事を受けてあの二人はどう出るのやら。
「どちらかと言うと困ってしまいましたよ。社員もまだ七割程度しか揃っていませんし、社員希望でも電話の時点で不採用になる場合が増えて来るでしょう。加えて、取材を語ったイタズラ電話が急増しそうです。このニュースはもう少し後にして欲しかったですね」
「くっくっ、いずれそういう時期が訪れることくらい分かっていただろう?人事部にはキミと青圭一さん、それに彼女の三人だけなんだ。すぐにでも沈静化できるんじゃないのかい?ファッション会社が倒産した時点で土地の交渉に出向けばいいだけじゃないか」
「とりあえず、ある程度敷地外に報道陣が集まったところで通報しましょ。集まる度に通報すればいいわよ」
「ところで、一つ確認したいんだが、明日から異世界支部に来る宿泊客の中で、明日の朝食から希望している人間はいるのか?それによって俺と青新川さんの動きが変わってくるからな。それと、スイートルームに宿泊している客は、カードキーを見せるだけで青新川さんの料理が食べられるって話だったが、朝食やランチはパンの方がいいという客の対応はどうするつもりだ?」
「宿泊客のほとんどがランチタイムからですね。敷地外に並ぶことなく、あなたのパン目当てで来る人間が大半を占めています。朝食からパンにありつけることまでは頭がまわらなかったようですよ?スイートルームの宿泊客には食券を手渡す予定です。今後は予約の段階からどちらにするか聞いておきますが、それまでの間は受付で集約させてお二人に伝えますので、すみませんがその分のご用意をお願いします。しばらくの間は案内役として、影分身を受付の傍に待機させます」
「それなら、明日の昼食からここにいる全員の食事の支度は俺に戻ることになりそうだ。宿泊客の朝食のパンも明後日からでいい」
「じゃあ、調理スタッフにはわたしから連絡をしておくわね!」

 

 それだけ確認できれば会議は終わったも同然。青有希と佐々木を未来に送って、こちらの第三人事部を占拠した。古泉たちは将棋にいそしみ、今日のイベントは?と聞かれれば、一日に収録した番組を見る程度。練習試合後、三日連続でバレーに関すること以外の質問が飛んできたので、報道陣全員を切り捨てることにした。
「バレーに関しては構いませんが、それ以外のことに関しては非公開だと態度で示しているのがまだ分かりませんか?その調子ですと、明日以降も同じことになりかねませんので、今日限りで本社への出入りを禁止させていただきます。選手のファンともトラブルになりかねない状況ですし、何よりも体調を崩してまでここに来ているあなた方にうろつかれると、選手たちにまで影響してしまいます。最悪の場合、怪我にも繋がりかねませんので、もう来ないでください。俺に言えるのはそれだけです」
「えっ!?あっ、社長!それだけは勘弁してください!二度とこのようなことは聞きませんので」
「あなた方の『二度と』は信用できません」
妻と二人でエレベーターに乗り込み、それをなんとか食い止めようと、追ってくる報道陣を閉鎖空間が拒み、無情にも扉が閉じられた。ジョンと朝倉の対局が長引くかと思っていたが、結局俺が最後か。すでに始まっている遊戯○芸人の番組をモニターで見ながら、俺たちを待っていたようだ。
「お疲れ様です。どうやら今回は、収録の最初から放送するようです。MC二人もデュエルに参加していましたからね。前回のように収録後の感想から入るようなことはありませんでした。ですが、このままモニターを見ながら夕食となると、一度撮影を見ている僕まで吹き出しかねませんよ」
「多少見せているとはいえ、視聴者の反応を見るには丁度いい。報告関係は全部後だ。早く食べ始めよう」
『いただきます』
モニターを確認すると……俺が出てきて芸人を弄りだしたところか。とにかくディナー用の影分身を送らないとな。報道陣にとってはこれが最後の晩餐だ。点線の矢印が欲しかったところもちゃんと編集で加えられていた。古泉のセリフから察すると、Aブロックの対戦表が決まるまではノーカットだったらしいな。エキシビジョンマッチまで四時間の枠で収まりきるのか?古泉が演出を担当していた対戦は、スタジオでモニターを見ていない部分は知らないからな。ケン○バVS天○の対戦もどういうやりとりがあってあの結果になったのか分からず仕舞い。逆に宮○VSアシメ芸人のデュエルが全部放送されてしまいそうだ。デュエルが始まってしまえばそれを見る目は真剣そのもの。デュエルをしている映像をメインにスタジオで話している芸人達がワイプで画面端に映っている。案の定、児○がワイプに一度も映ることはなかった。一回戦にそこまで時間をかけるわけにはいかないとばかりに、モニターを見ながらコメントをしていたデュエル以外は放送されず仕舞い。昼休憩中に行った決闘もカットされ、Bブロックの抽選。一発ギャグからのクリ○ー破壊、ネタ振り後の芝刈り機まで、こちらのトークもすべて収められていた。
「スタジオで観ていなかった決闘と休憩中のデュエルを除いて、ノーカットで放送するとは思いませんでした。どちらのブロックも一回戦は省略かカットされるものだとばかり思っていましたよ。Bブロックの一回戦も、最後まで勝敗がどちらに転ぶか分からないものばかりでしたし、トーナメントとトークに関してはエキシビジョンマッチまでノーカットということになりそうです」
「くっくっ、誰が勝ち上がってもおかしくなかったってことかい?ここまでの内容だけでも興奮してモニターに釘づけになっていたんだ。そんなことを言われたら夕食が進みそうにないじゃないか」
Bブロック一回戦の激戦を見せつけられ、古泉の一言に周り中が納得していた。子供たちも水泳の練習だと騒ぎだすかと思いきやモニターに夢中になっている。OG六人もディナーを終え、タイタニックに戻ってきていた。
「え~~~~っ!?先輩たちまだ食べ終わってなかったんですか!?」
「うん、それ、無理。こんな闘いを見せられたら眼が離せなくなっちゃうわよ」
自席についたOGがモニターを見始めた。続く準々決勝、取り上げられたのはやはり○吉VS佐野○なこ、そしてケン○バVS宮○。特に宮○のクロ○・ソウル一枚で勝敗を分けたようなものだからな。
「ブルー○イズ二体を相手に、ここでの引きはまさに奇跡と言っても良さそうです。あと1ターン遅れていたら、逆転できなかったでしょうね」
『この後の内容は12人とも以前見ているところだ。編集も入っているだろうが、どうする?特にディナーに行ってた六人は最初から見直すか?』
『このあとのデュエルが編集でどうなったか見てみたいです!』
『なら、シャンプーと全身マッサージをしているときにでも、録画したものを見せることにする』
『問題ない』
しかし、着ている服やアクセサリーで区別できるとはいえ、セッター二人を除いて『毛が生えているか、生えていないか』で判別できるようになってしまったな。今も毛が生えてないからと、布地がほとんどないテディドールやマイクロビキニをつけているし、今後、変態セッターを責めることができなくなりそうだ。

 

 MCの悲鳴にほぼ全員が大爆笑したあと、天空デュエルコロシアムに現れた特大級のオ○リスクとオ○リスに驚きを隠せず、『このビルのてっぺんでこんなことになっていたなんて……』などと漏らしていた。エキシビジョンマッチを終えて、通常枠での放送についてMCが語っている時点で既に夜の十時を目前にしていた。子供たちも眠そうにしているかと思いきや、興奮して通常枠の放送まで見たいと言いかねない表情。見るかどうかは別として、とりあえず風呂に入れてからだな。鶴屋さん達も例の悲鳴とダイレクトアタックを受けたときの顔を見てから未だに報復絶倒状態。どちらも、笑わないように訓練したんじゃないのか?おい。
「本人も『あんなん大人でもビビるわ!』とか言ってたし、実際に体感した方が早そうだな」
船上に例のシーンと同じモンスターが現れ、一体ずつこちらに向かってダイレクトアタックを仕掛けてきた。
「うわっ!」「ひ~~~~っ!」「きゃ――――――っ!!」
などと反応は様々だったが、悲鳴をあげていることに変わりはない。さすがに子供たちを怖がらせるわけにはいかなかったから古泉たちが座っている席辺りまでしか突っ込ませなかったんだが、案の定、みくるも脅えていた。
「人のことを笑えないのが分かっただろう?明日の新聞がこのシーンで一面を飾るようなら、その新聞社にこれと同じ体験をさせてやるよ」
『こんなの迫力がありすぎますよ!!』
「ですが、誰が決勝に残ってもおかしくありませんでした。僕とジョンのデュエルのように、カード一枚の差で勝敗が分かれるデュエルがここまで多いとは思いませんでしたよ。白熱した闘いについ時間を忘れてしまいました」
「まさか、サイ○ントマジシャンであんなコンボが完成するとはな。魔法カードが除外されなければ、○田が勝ち上がってもおかしくなかっただろうな」
「くっくっ、このあとの通常枠での放送が待ちきれなくなってしまったよ。顔にモザイクがかけられた彼とのデュエルの全貌が見られるんだろう?」
「子供たちも興奮がおさまらないようだし、ジョンの世界に行ってから全員で見ればいい。それにこっちのOG達はディナーの間に放送していた分はまだ見てないんだ。時間も遅いし緊急の議題が無ければ、明日の朝話そう」
『問題ない』
 スパでのシャンプーや全身マッサージを終え、今頃、青古泉が新店舗のシートを外しに行っている頃だろう。妊娠が確定した青佐々木の秘部には尻尾が二本突き刺さり、これまで俺の分身が入り込んでいた穴には佐々木と同様、赤ん坊の通り道をより広くするためのトレーニングが行なわれていた。その分、仕事の無くなった俺の分身は青佐々木の手に握られている。
「くっくっ、出産時の私の負担を少しでも和らげようと対策を立ててくれているのは嬉しいけれど、これはこれで恥ずかしいものだね。もう少しなんとかならないのかい?」
「それなら布団を被って抱き合っていればいい。朝まで繋がったままなのは今までと変わらん」
「変わるところならあるじゃないか。キミの分身と違って、尻尾は朝になっても縮むことはなさそうだ。ところでキョン、どうして彼女たちまでハルヒさんのようになってしまったのか教えてくれたまえ。キミの性癖だと言うのなら私もそれに合わせたいと思っているんだけどね、どうだい?」
「おまえ、スパでその話になったときに一緒にいただろうが。聞いてなかったのか?……まぁいい、変態セッターから『世界大会のときは下着のラインが出ないようにした方がいい』なんて話が挙がってな。そんなことを言ったら、あれだけ群がっているOG達のファンの目線だってそっちに向くだろう?以前の青古泉や部室の例の椅子と同じ思考回路を持った変態が何人もいるんだ。そのことを告げたらラインの出ないTバック系のショーツを選ぶようになったんだが、大胆下着ブームがあいつらの中で再浮上。次第に布地がないものを着けるように過激化してな。布地じゃ隠しきれずに『はみ出るから』という理由で要らないと判断した。あの六人が『つるぺた』状態になったのはそういうことだ。当初の目的は真っ当でも、興奮して調子に乗り過ぎた結果だ。おまえが真似をするほどのことでもない」
「くっくっ、てっきりキミが彼女たちに強要したのかと思っていたよ。けれど、そういう理由だと私にもあてはまりそうだね。私もそういう下着を選んでもいいかい?」
「おまえの場合、そこまで試合には出ないし、ライブじゃ下着が見えてもおかしくないほどの衣装を身に着けているんだ。おまえが恥ずかしい思いをするだけだし、大問題になりかねない。着けるのはおまえの自由だが、あまりお勧めはしないとだけ言っておく」
「それもそうだね。じゃあ、こうしようじゃないか。ライブやコンサートがない日に、たまに着けてみることにする。私がどんな下着を選んでも驚かないでくれよ?」
「さっきも言っただろ?OG達が調子に乗って色んな下着に手を出しているんだ。今さらどんな下着だろうが驚くこともない」

 

 いつものメンバーがジョンの世界に揃ったところで、全員で深夜枠の通常放送をチェック。トーナメント外でのデュエルや、MCがアシメ芸人にガチ切れしたデュエルが余すところなく放送されていた。オタクアイドルのコメント通り、魔法カードや罠カードは他の芸人と同じものを多く揃えていたが、やはり問題はモンスターカード。四つ星以下のモンスターでカッコイイ系を探せと言う方が無茶だが、俺が使った絵札の三剣士のようなカードなら入れられたはず。MCが言っていた通り、攻撃の無○化や聖な○バリアミラーフォースで宮○の攻撃を防いではいたが、リバースカードが尽きたところでダイレクトアタックを喰らい、まぁ、自滅したようなもんだな。
「明日の新聞は、この番組のあるシーンを抜粋したものになるでしょうね。トーナメント戦以外でもここまで白熱していたとなれば、これ以外の一面は考えられませんよ。視聴率がどの程度になったのか知りたくなりました」
「俺の作ったCMと見出しが被らなければいいんだが……最低一社は一面に載せてきそうだな」
「明日はあなたへの番組出演依頼の電話が鳴り止みそうにありませんよ。人事部の社員を帰してはいかがです?」
「それは圭一さんが止めるはずだ。まぁ、パンやドーナツを社員に振舞うくらいはさせてもらう。しかし今回の場合、俺や古泉の演出より、芸人達のデッキやドローしたカードの方に眼を向けるべきだろう?そうでもなければ、ここまでの番組にはならなかったはずだ」
「くっくっ、キミの演出に芸人達が盛り上がった結果じゃないか。MCまでデッキを作って決勝進出を果たしたくらいなんだ。デュエル自体はそうかもしれないけれど、芸人達をここまで熱くさせたのはキミ達だよ」
「とにかく、明日の新聞が出るまで製本作業を進めます。昨日の段階で男性誌の方は終わってしまったので」
変態セッターの言葉に誘導されるようにOGやみくる達、ENOZ、青圭一さんが情報結合に入った。こちらの世界では男性誌の発注部数は四社とも30万部ずつだが、異世界の方はすでに20万部ずつの発注を受けている。10万では全国の書店に置くには足りないと判断したからだろうが、それでも合わせて200万部を一晩で作り上げたんだから驚きを隠しきれない。コツを掴んだのか、超能力者としてのレベルが上がったのか、影分身の数が増えたからなのか理由は定かではないが、先月とは比べものにならないほど成長していることは間違いない。みくる達も一回の情報結合で50部ずつ作れるようになり、周りと比べて伸びしろは微々たるものだが、着実にステップアップしていた。

 

 今日の朝食が終われば、これで食事の支度担当は完全に俺に戻る。八月の真っただ中に青裕さんからアルバイトの希望の電話が入らなければ、青新川さんや森さん達と一緒に仕事をしていなければ、映画の告知が終わるまでハルヒと青有希が担当するはずだったんだ。青OG達やデザイン課の社員の異世界人も含めて、ここまで偶然が重なるとは、あの頃の俺も想定してなかっただろうな。異世界支部の建築も青圭一さん達がいなければ成し遂げられなかったはずだ。明日以降青ハルヒが朝食の手伝いにと降りてくるのかは不明だが、昼食と夕食の支度を同時進行しながら、パン作り。社員食堂で焼き立てパンを振る舞い、敷地外に倍増した報道陣を尻眼に電話対応にあたらせている。カレーの続きは電話が一段落してからだな。今朝の新聞は全社昨日の五時間番組で一面を飾っていた。『熱戦!烈戦!超激戦!!アテムを倒すのは誰だ!?』、『宮○悲鳴!?モンスターの直接攻撃に「あんなん大人でもビビるわ!」』、『驚異の三幻神融合!光の創造神ホ○アクティ現る!!』、『名ゼリフ連発!?ついて来られるか!?これが俺の全力だ!!!』等々、やはり俺の作ったCMと被ってしまったな。しかし、ドラ○ンボールの映画で見たことがあるような見出しも混じっている。どんな映画だったっけ?
『ブ○リーが初めて出てきた映画で間違いない。確か、「燃えつきろ!熱戦!烈戦!超激戦!!」だったはずだ』
それをパクったのか、記事を書いた人間がそれを覚えていたのかは知らんが、ジョンの助言で映画の内容をはっきりと思いだした。あの映画、サブタイトルを見ても内容と繋げられないのが玉に瑕だな。テレビ朝日は一面の見出しとして取り上げられたシーンをVTRで放送。ニュースの合間も大会に向けた二種類のCMが流れていた。
「古泉、今日の音楽鑑賞教室で夜景に変える件、楽器紹介の前に一緒にやってもらえないか?異世界で鈴木四郎のパフォーマンスを見せるのならまだしも、こっちの世界でわざわざ俺が出るほどのことでもない。その分、俺が電話対応にまわる」
「それは構いませんが、番組収録の依頼程度でしたら午前中だけで沈静化できるのではありませんか?」
「どうやら、昨日何かあったようだね。番組収録の依頼以外に人事部を悩ませるような電話があるってことかい?」
「夜景に変えるだけなら、ハルヒでも古泉でも構わないと前々から思っていたのと、昨日何かあったのは事実だ。結論から言うと、たとえバレーの取材だけだろうと報道陣は一切入れなくする」
「はぁ?またOGのファンとトラブルになったわけ?」
「どうしてそうなるのか説明して欲しいわね」
「どうもこうもない。バレーの取材とかこつけて、インタビューではアカデミー賞関連のことが最優先。告知のときにイタリアでの事件のことを聞かれていたようなもんだ。それを三日連続で聞いてきやがった。バレーでは記事にはならないと言っているのと変わらん。オンシーズンでもないし、本社をうろつかれるのも癪に障るんでな。全報道陣を出禁にした。許しを請う電話が来ても『自業自得だ』と突っ返すよう社員に伝えてください。それでも同じ対応の繰り返しになるでしょうから、午後にでもパンとドーナツを作って人事部の社員に振る舞いに行きます。これでファンとのトラブルも無くなるし、選手たちに病原菌が移るようなこともない。今朝の新聞の件で敷地外に膨れ上がっている連中は午前中に一度警察に通報、午後は中学生たちが来る前に警察官に化けた影分身で本社前にパトカーを止める。一般車両もパトカーには文句を言えないだろうし、言ってきても公務執行妨害で逮捕するまで。そういうことだ」
『ドーナツ!?キョン(伊織)パパ、わたしも食べたい!!』
「夕食のときに出してやる。何にするかそれまでに決めておけ。でないと誰かに取られて無くなるぞ?」
『フフン、あたしに任せなさい!』
「なるほど。しかし、人事部の社員たちへの配慮も万全とは恐れ入った。午前中のうちにパンとドーナツの件は伝えておこう。それで社員たちの士気も上がるだろうからね」
「古泉君、こっちも午前と午後に一回ずつ威力業務妨害で通報して!今朝も昨日と似たような記事であたし達のことをネタにしていたし、邪魔なのよ邪魔!」
「了解しました」
「ところで、以前青朝倉が週刊誌で見つけてきた円グラフのようなものはあったのか?まぁ、出ていたとしても、ベスト10入りすらしてないだろうけどな」
「このバカキョン!そう思うのなら聞いてくるんじゃないわよ!!フン、そんなものどの新聞にも載ってなかったわよ!」
「これから潰していくのがどんな連中なのか知りたかっただけだ。それと古泉、まったくの別件だ。おススメ料理の火入れは俺が二か所に付くからライブの方を頼む。それから青俺、今日から一週間放置するのなら、店舗のオープンは来週の金曜になるはずだ。夜練に出ながら三店舗、しかもその他の店員はアルバイト初日で経験ゼロ。OPENを一日遅らせるなり、誰かヘルプで呼ぶなりの対策は立っているのか?」
「あ~~~~っ!!またあたし達の世界のことに口出しして!あんたは黙ってなさいよ!!」
「容赦なく口出しすると昨日言ったはずだ。青俺の夜練のことを考慮した上で対策ができているのならそれを報告するだけで済むだろう。おまえが苛立つということは、そこまで考えてなかったらしいな?」
「男子にも変化球を投げることを考えると……いくらビラ配りの影分身がいなくなる時間だからとはいえ、六体は厳しいな。有希と佐々木は生放送に出演している最中だし、黄佐々木、各店舗一体ずつでいいから手伝ってくれないか?」
「くっくっ、キミも随分と冷静な判断をするようになったようだね。確かにバンドならまだしも、ダンスを踊るのなら青僕だけでなく青有希さんも必要だ。失敗できない生放送では影分身を割くわけにもいかない。それに、異世界支部の発展を一日たりとも遅らせたくないってことかい?僕でいいのなら付き合おうじゃないか」
「ライブやおススメ料理のことまでご配慮いただいてすみません。生のオーケストラとライブを必ず成功させてみせますよ。あの演奏曲なら、当時のハルヒさんのように爆睡することすらできませんからね」
「問題ない。何も知らずに聞くのとはまるで違う。アクセサリーにだけ注意して」
「あっ、そっか。夜練だけじゃなくて、音楽鑑賞教室の方も青私にお願いしなくちゃいけないんだった」
「それにしても、いくらバンドとオーケストラでは微妙なズレが出るとはいえ、また僕が北高の制服を着るのかい?それこそ立体ホログラム風に見せたダンスを投影すればいいじゃないか」
「他四人は踊る気満々なんだ。一度決まったことを当日になって蒸し返すな」
「一回きりなんだし別にいいじゃない!わたしも久しぶりに踊りたかったのよ」
「わたしも同じ。最近はずっと料理ばっかりだったから」
「ビラ配りの方は参加できなくなってしまいますけど、こっちの世界なら心配いりません!」
「フフン、そういうこと!それじゃ、とっとと解散!」
『問題ない』

 

 しかし、青古泉の言っていた視聴率について書かれたものは無かったな。平均視聴率や瞬間最高視聴率は俺も知りたかったんだが……まぁ、全社あの番組の件で一面を飾ったんだから良しとするか。バレーも含めて他に一面を飾れるものが無かったってことだ。青俺には来週の金曜日のことしか言わなかったが、青俺一人でも回せるようになるか、夜練以外に各店舗に二人ずつ割けるくらいにまで影分身の精度が増す、あるいはこれから希望者が現れるであろう店員たちが仕事に慣れるまで、夜練のある日はヘルプを頼む必要がある。とりあえず、来週金曜日は佐々木がそれぞれの店舗に一人ずつ付くが、その次の月曜日や水曜日はどうするのかも決めておかないとな。金曜以外なら、基本、青有希がサポートに入ることになるだろう。朝食後、解散してすぐに警察に通報。本社前の様子を見ていると、パトカーのサイレンが聞こえてきただけで驚き、戸惑い、その場から逃げ去って行く報道陣。警察もテロ組織を逮捕してからというもの、テロによる犯行がないせいか、特に武装することなく、本社前には三台のパトカーが止まり、しばらくの間警備にあたっていた。報道陣たちの慌てふためく様子を、敷地外で並んでいた一般客が暇潰しと言わんばかりにスマホで撮影。アイツ等のアホ面を是非とも動画サイトにUPしてもらいたいもんだ。その間も人事部にかかってくる電話は俺への番組出演依頼、アカデミー賞やパン関係での取材依頼、レストランやバレーの取材許可を請うもの。取材や番組出演については脅しをかけ、取材許可の電話は『自業自得だ』と突っぱねた。それでも尚、上から目線で
「ゴホッ!…すみません、中に入れてもらえませんか?ケホッ!ケホッ!……公開練習ですよ?」
などと言ってくる輩が後を絶たず、たかが二言、三言でそこまで咳をしているような奴の言えるセリフでは決してないんだが、初回は許可できない理由を並べたててやった。二回目以降は他と同等の対応で十分だ。
「バレーの取材にかこつけて、アカデミー賞等の取材を試みようとする人間を本社内に入れる必要はないと社長から言付かっております。先日のような一般客とのトラブルで練習の妨げにもなりかねませんし、病原菌を振りまかれて選手たちの体調を崩させるわけにもいかないとも言っておられました。バレーに関する内容で記事を書くつもりが無いのなら諦めてください。では、失礼します」
『すまん、伝えそびれていた。今日から報道陣を本社に入れない件はさっき伝えたが、監督や選手たちがどんな反応をしているか見ておいてくれ。ついでに、報道陣がいなくなったせいで、一般客が練習の妨害行為をするようにならないかどうかもだ。SPはつけてあるが念のためだ』
『問題ない』
OG達のファンが他の選手に対してブーイングをするようなことがあれば即刻叩きだすまで。だが、これで電話が沈静化すればようやく一安心できる。
 ランチタイムに入り、本社前に並んでいた一般客が残念そうな顔をして帰っていった。結局、異世界支部の方も80階と三階の両方でパンを振る舞うことになってしまったな。窓側の全テーブルに催眠がかかっているようだし、青俺のSPも各階の案内、注意役としてフロアに一人ついている。トラブルになるようなこともあるまい。これで、両方の世界でパンを振る舞って余裕がまだありそうなら、本社三階にどこでもドアを設置する。

 

 電話対応を影分身に任せてタイタニックへと戻った。およそ正反対の顔をしている古泉たち。古泉の方はボードゲームに集中できて満足気と言ったところだろうが、青古泉の方は……
「なんだ、もうチェックインに追われているのか?」
「ええ、案の定、あなたのパンを目当てに早い時間に来た宿泊客でてんやわんやですよ。受付三人に僕の影分身で案内にあたっていますが、どちらもまだ経験ゼロの状態ですからね。報道陣からのスイートルームの予約はほとんど無くなりましたが、一般客からの予約の電話ばかりです。朝食と昼食をパンにするかどうかも確認していますので問題はありません。そちらの方はいかがですか?」
「番組出演依頼や俺への取材はいつものことだからな。すぐ沈静化することはできたが、バレーの取材の許可を請う電話については今がピークだ。咳き込みながら取材許可を求められても日本代表選手たちが迷惑する。自業自得だと突っぱねているから、そこまでストレスを溜めこむことも無い。今はもう警察も撤退していったが、昼食後に護送車を連れたパトカーで再度本社前の警備につく。SPも配置するし近づこうとする奴はいないはずだ。遠巻きに撮影して何のイベントか調べるくらいはするだろうが、その程度で終わる」
「順調のようで何よりです。ところで、昨日のディナーもこの昼食もこれまでとは違うもののようですが、一体どこの料理なんです?」
「ゴールデングローブ賞のときの会場で出された料理を俺なりにアレンジしてみた。もうひと工夫した方がよさそうなものがあったら教えてくれ」
「ビバリーヒルズでこんなに美味しい料理が出てくるんですか!?もうひと工夫するなんて、何をどうしたらいいか見当もつきませんよ!……あっ、それと先輩。他の選手の皆さんはどう思っているかはまだ聞いていませんけど、一般客が盛り上がっていました。動画も撮影していたようですし、今日中にUPされそうです」
「動画にUPするのはいいが、どうしてそうなったかまでは分からないままだ。有希、昨日の俺のインタビューと午後の体育館の客席の様子を撮影してUPしてくれるか?我が社の公式のものでないアカウントで頼む」
「分かった。昨日のインタビューの様子を映したものを、あとでわたしに頂戴。夕食前にはUPできる」
「くっくっ、ビバリーヒルズの料理だけでここまでのものになるはずがない。『キョンなりにアレンジしてみた』の方が、影響が大きいだろうね」
「告知中も各国の料理を食べたかったんだが、ほとんどヒロインの自宅に戻っていたからな。まぁ、こういう料理も出るってことだけ認識しておいてくれればいい。もっとも、韓国や台湾、香港、上海で出された料理を食べていたら、盛られた毒で死んでいた。サイコメトリーがオートで発動しただろうけどな」
「『盛られた毒』で思い出しましたが、来週の第九話を受けて何人が真相に辿りつくでしょうね。抽選が楽しみになってきましたよ」
「自分で解いた奴とそうでない奴に分かれそうだな。古泉と黄俺でもう一本CMを作ったらどうだ?『自分で解いたかそうでないかはサイコメトリーで簡単に分かる』なんていうのはどうだ?」
「作ってもあまり効果がない。やったとしても、朝比奈みくるが最終回前の番組で発言する程度。でも、他人の回答を丸写ししている場合は省いてもいい」
「それで50人に達するかどうか、あやしくなってきたぞ。まぁ、そのときはその人数だけシャンプー&カットをすればいいだろうけどな」
「ところで、第七話からまったく出演していない僕が出るより、君が生出演した方がいいんじゃないのかい?それなら車の件も五人で解決しそうな気がするけれど……」
「でも、黄キョン先輩まで番組出演すると女子日本代表のディナーが……」
「心配はいらないよ。昨日までのインタビューに呆れて報道陣を出入り禁止にしているんだ。それに、日本代表チームもキョンと古泉君の影分身を目の前で見ている。タネや仕掛けは分からないだろうけど、納得するはずだよ。ただ、次の日の人事部が荒れそうだね。また番組出演の依頼が来るんじゃないのかい?」
「その程度のことなら人事部の社員も手慣れたようなものだ。気にせず出演してくるといい」
「それなら裕さんの代わりに俺が出る。ただ、報道陣が全員出禁になった理由を早急にUPする必要がありそうだ。すぐに有希に昨日のインタビューの映像を渡す。音楽教室開始前にはUPしておいてくれ」
「問題ない」

 
 

…To be continued