500年後からの来訪者After Future11-2(163-39)

Last-modified: 2017-05-02 (火) 21:04:29

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future11-2163-39氏

作品

数列、暗号文、事件の真相を紐解き、星野正治が残した財宝を目の前にしたツアー参加者たちが欲望に駆られ、とうとう隠していた武器による争いが起きてしまった。アホの谷口が持っていた拳銃で上村の心臓と頭部が貫かれ、青古泉相手に発砲すること数回。俺と同等のサイコメトラーにまで成長した青古泉が地面を伝って足で谷口の思考を読み、弾丸を避けながら谷口に近づいて行った。追い詰められた谷口の最後の弾丸が青ハルヒを襲う。

 

状況の変化に対応できなかった青ハルヒを、ジョンが横から突き飛ばしたが、弾丸は青ハルヒの二の腕を掠め、血が滲みだしている。銃弾を使い切り、青古泉の逆鱗に触れた男の頬に拳が直撃。反対側のこめかみが地面に激突する。上村に寄り添うようにアホの谷口が倒れる。その直後、拳銃を持っていた右手を踏み潰し、右手の骨が複雑骨折したとサイコメトリーで情報が流れていた。
「ハルヒさん!大丈夫!?」
「……んっとにも~!助けてくれたことには礼を言うけど、もうちょっと助け方ってもんがあるでしょうが!!弾が掠った二の腕より、あんたに押し倒されてできた擦り傷の方が痛いわよ!」
「命が無くならなかっただけ良かったわ!それにしてもあの男、女性は狙わないんじゃなかったのかしら?」
『あんなどうしようもない奴でも、最後の一発も避けられてしまうと悟ったんだろう。あとはアイツに任せておけばいい』
拳銃ごとアホの谷口の右手を粉砕されてから、左手、両膝を同様に複雑骨折。最新技術を駆使しても、アホの谷口の両手足が戻ることはあるまい。それでもまだ足りないと他の箇所も一本ずつ骨を折っていく。
「ぎゃあああああぁぁぁぁ!!も、もうやめっ、止めてくれええぇぇぇ!!!」
「人一人殺害した奴が助けを懇願してそれが叶うとでも?それと、ハルヒを狙ったらどうなるか、これからたっぷりと教えてやるよ」
「あっ、諦める!財宝には一切手出ししないから助けてくれ!!」
「財宝は元々、暗号文を解いたジョンに相続されるはずだった。おまえには欠片すら手に入らない。にも関わらず、諦めるだと?所詮、最初から最後までアホはアホでしかなかったな」
仰向けに倒れていたアホの谷口を蹴り飛ばしてあばら骨を折り、うつ伏せになった背中を何度も何度も踏みつける。
「ぐあっ、ぐっ、やっ、止めて、ゆる、して、くれ……たっ、頼む」
「頭の悪い奴だ。何を言われようと止めるはずがないだろう?あぁ、迎えが来ても、担架で運んでもらえるなどと考えないことだ。俺が責任を持っておまえを何度も蹴り飛ばしてペンションの外まで運んでやる」
「やめ、止めてくれ!!」
「おまえの頼みを受け入れても、俺は何も得をしない。おまえが迷惑ばかりを振りまいた分、キッチリ返してやるよ。殺された上村の分も含めてな。安心しろ。死んだ方がマシだと思うくらいの体験をするだけだ」
アホの谷口に対する制裁が続けられ、周りからは冷たい視線で見つめられる中、ようやくジョンが青古泉に近づいた。
『もう十分だ。こんな男、殺す価値もない。おまえが罪に問われるだけだ』
「だそうだ。良かったな、この程度で済んで。あとはおまえを蹴り飛ばしながらペンションに戻るだけだ。だが、人一人殺しておいて無事に帰れると思うな。銃刀法違反、殺人罪及び殺人未遂罪、窃盗未遂の刑罰が伴う。おまえの思い描いていたものと真逆の人生を精々楽しめ。『最後に笑うのは』………一体誰だったかな?」

 

青ざめた顔をしながら、反論すれば暴力で返ってくるとようやく理解したアホの谷口が口を塞いだ。星野朱里と辻村は目の前で起こったやり取りを未だに受け入れられず、みくるもサイコメトラーとしての質が上がった青古泉に、かける言葉も見つからない。というより、青古泉が罪に問われないかどうかを気にしているような顔つきをしていた。青ハルヒはこの程度では納得がいかないと言いたげな様子だったが、青古泉の谷口に対する報復は止まり、サイコメトリーが暴走することもなかった。かくいう俺は、ここぞとばかりにアクションを起こそうとしていたもう一人のアホを捕らえていた。
「痛っ!痛たたたたた………くっ、くそっ!何をする!?」
「あのアホと同じことをしようとしている奴を先止めしているに過ぎん。自分のコテージにあった拳銃を奪い取られ、真野と島村のコテージは現場を保存するための鍵がかけられている。難波のコテージから盗んできた拳銃でアイツを撃ち殺し、今度は自分が支配者として君臨しようと、ハゲはハゲなりに考えていたようだが、同じことを繰り返すのは面倒なんでね。もっとも、おまえの射撃ごときで撃ち殺せるとは到底思えない。ついでに、その拳銃が本当に使えるのかどうかすら怪しいもんだ。暴発して残りの毛も無くなりたいのなら放してやってもいい。試しに俺が撃っても構わんが、どうする?運が良ければ拳銃が暴発して俺が死ぬだけだ。運が悪ければ……分かっているな?」
隠し持っていた拳銃を取り出そうとしたところで、ハゲを取り押さえていた。豆電球に脂汗が出てきたところで残りのメンバーの注目が俺とハゲに向く。
「くそっ!!このまま捕まるくらいなら………やれ!やってみろ!!」
「駄目よ!あの男ならサイコメトリーで拳銃が暴発するかどうかなんて簡単に分かってしまうわ!」
『二度も同じことを言わせるな。あんな男、殺す価値もない』
最初の二発がハゲの頭の側面を掠め、次の二発で肩を狙い、太ももに二発、最後に両足の甲を貫き、身動きの出来ないアホ二人目の完成だ。
「手錠を嵌めずとも、捕えるくらいならいくらでもやり方がある。まだ後頭部に毛が残っているようだ。おまえは俺が運んでやるよ。ペンションに戻るまで毛が全部抜けないことを祈るんだな」
「ぐっ………騙したな」
「騙した?俺は可能性の話をしただけだ。決定権はおまえにあった。要するに、運が向いてなかっただけだ。………さて、俺も自身の能力で暗号文を解いて財宝の相続権を得るつもりだったんだが、まさかあの数字が時計で使われていることまでは気が付かなかった。コイツ等と同列に扱われるのは御免被りたいところだが、先に解かれてしまった以上、俺も強奪する方にまわらざるを得ない。そっちは星野朱里と辻村を除く五人、こっちは俺一人の勝ち抜き戦だ。誰でもいい、死にたい奴から前に出ろ」
「彼らと違って、僕たちは殺すに値するってことかい?喜んでいいのかどうか迷ってしまいそうだよ」
「相続権を持っているジョンが先に出るべきだろ。勝ち抜き戦というよりはサシで勝負することになりそうだ。そうだろう?大将」
『ようやく面白いと思える展開になったようだ。だが、ここであんたと闘り合うと、折角の財宝の価値が下がってしまいそうだ。ついでに、武器に刺さって負けたなんて終わり方は、あんたも気に食わないだろう?』
「どうやら、意見が一致したようだな。そこの死体の始末は警察に任せる。ペンションの外までコイツ等を放りだしてからになりそうだ」

 

 トラップの無い、只々長いだけの廊下を星野朱里と辻村が先頭を歩き、続いてみくる、青ハルヒ、裕さん。ジョンは両手をポケットに突っ込んで、この後の闘いを楽しみにしているようだ。最後にハゲの残りの毛を掴んで引きずる俺と、複雑骨折したアホの谷口を蹴り飛ばしていく青古泉。揃って喚いているのはいわずもがな。長い廊下の中をアホ二人の声が木霊しているのが耳障りで仕方がない。ペンションに辿り着き、アホの谷口とハゲをペンションの外へ蹴り飛ばしたところで、ようやく場が整った。
「そこの二人に被害が及ぼうが俺の知ったことではないが、ペンションやコテージの修理をしなければならないとなると話は別だ。周囲の建物を破壊する闘り方はするなよ?」
『こっちも同じセリフを言おうとしていたところだ。時間制限抜きであんたと闘れるこのときを待っていた』
これ以上の問答は無用とばかりに、しばしの静寂が訪れた。だが、突如としてジョンの脳内に情報が流れ込む。
『サイコメトリーでアイツの攻撃は読めない。こちらから攻撃を仕掛ける。まずは背後を取って回し蹴り』
次の瞬間、灯台下暗しと言わんばかりにジョンの真下へと高速移動。右の拳でジョンの顎を狙うも容易く避けられてしまった。
『なら、次は顔面を狙って相手の様子を見る。俺の拳を掴めば力勝負に持ち込む』
俺がジョンに対して放った攻撃は、足払いからの蹴り上げだったんだが、それも素早くかわされてジョンが俺の足の上に立っていた。
『やれやれ、俺までサイコメトラーになった気分だ。あんたの偽の思考が流れてくるんだからな。だが、今のやりとりで分かったはずだ。俺にそんなものは通用しない』
「どうやらそのようだな。これが、おまえに通用するかどうか、ただの思いつきでやってみただけだ。結果がどうなろうと俺にはどうでもよかった」
『今と同じことを俺が試したとしても、本当の狙いまで読まれてしまいそうだ。結果が分かったのなら、小細工はもう必要ない。さっさと再開するぞ。今度はこっちから仕掛けさせてもらう』
「ちょっと、どういうことよ!アイツ、足から偽の情報をジョンに流していたってわけ!?」
「そのようね。でも、遠隔ではなくても、一樹君だってサイコメトリーで情報を伝えることなら、これまで何度もやってきたわ!一樹君のサイコメトラーとしてのレベルも上がったし、やろうと思えば可能なんじゃないかしら?」
みくるのセリフを待つことなく、ジョンの右足での上段蹴り。腕でガードはしたが、威力に圧されて体勢が崩れた。そこへ俺の顔面を狙った左拳を掴み取り、真似をするように拳を繰り出すと、お返しとばかりに空いていた右手で掴み取られてしまった。さらに力を加えても腕が動くことは無く、ジョンの方も同じ状態。互いの膝が何度もぶつかり合っていた。膠着状態を打破したのはジョンの頭突き。それによるダメージを受けたが、素早く体勢を立て直して、俺の後ろ回し蹴りが炸裂した。吹き飛ばされたジョンが大きく飛び上がって一回転。間合いを詰めたところでジョンが「ニッ!」と笑い、それに呼応して同じ顔で返した。『時間制限無しで』とは言っていたが、正確には『迎え』とやらが来るまでということになりそうだ。甲乙つけがたい攻防が続いたところで、ある結論に達した。
「やめだ」
『なんだと?やめとはどういう事だ?』
「おまえ一人を相手にこれだけ体力を消耗しているんだ。他三人はともかく、サイコメトラーとしての実力が上がった古泉一樹も加わるとなると、財宝を強奪してここから脱出するだけの力はほとんど残らない。『あらかじめ用意しておいた電話線を繋いで呼んだ』迎えとやらに同乗すると、俺まで逮捕されかねない。残念だが、財宝は諦めるしかなさそうだ。ここは、おめでとうと言っておく。じゃあな」
「ちょっ……どうしてあんたがそのことを………って、サイコメトリーで分かるわね」
「そういう事だ。途中で熊が現れようが、アイツには関係ない」
「えぇっ!?そんなものを持ってきていたんですか!?彼が電気柵を越えてスキー場まで行ったんじゃ………」
「あなたが計画を依頼した組織に対抗するための手段として、ハルヒさんが用意してきてくれたのよ。でも、彼にバレてしまっていたんじゃ、次は使えそうにないわね。銃刀法違反だけでも十分逮捕できたんだけど……あの男を取り押さえるなんて、ジョンと一樹君の二人がかりで闘ってもできるかどうか……。でも、彼が去ってくれたおかげで一樹君が逮捕されることはないわ!いくら拳銃を持った相手だったからとはいえ、正当防衛の域を超えているもの。この二人が何を言おうが覆ることは無いわ!」
『そっ……そんなバカな…………』
「バカはあんた達の方よ!」
「アイツに俺の罪を押し付けるってことか?朝比奈さんと組んでいたメリットがようやく見つかったな」
「あら?これまでも色々と隠蔽してきたのよ?それを今頃になってようやくだなんて……あたしも怒ると結構怖いわよ?」
「それはそれで、朝比奈さんが本気で怒ったシーンを見てみたくなったな。とにかく、俺と裕で財宝を運び出す。ジョン達は正式な相続手続きを済ませたらどうだ?」
「僕たちだけであれだけの財宝を運び出すっていうのかい?いくらトラップが無いとはいえ、何往復すれば終わるのか見当もつかないよ」
「刑事と弁護士がいればそれでいいわよ!あたしも手伝うわ!迎えが来たら鶴屋さんに応援を呼んでもらえばいいじゃない!」
『あの財宝をどこに預けておくかで迷うことになりそうだ。相続税とやらも、税務局の人間でも分かるはずがない』

 

 辻村とみくるの立ち合いのもと、正式な財宝の相続が行われ、ヘリから現れた鶴屋さんに事情説明。上空から「みくる~~~~~~~~~~~~~~っ!!」と叫んでくるのは前回と変わらないな。服部たちでは、あんな真似できるわけがない。アホの谷口とハゲ、それに真野、島村、上村の死体、難波の焼死体が真っ先に運ばれていった。
「この二人が色々と嘘、偽りを叫ぶと思うけれど、罪を少しでも軽くしたいだけに過ぎないわ。銃刀法違反、殺人未遂、窃盗未遂、それに、この男には殺人罪も加えられるわね」
「それは一課の人間に任せればいいにょろよ!それより、財宝はどこっさ!?あたしも見てみたいにょろよ!」
「それなら、一樹君たちが運んでいる最中よ。いくつ銀行を回ればいいのか、あたしにも分からないくらいよ」
「みくるがそこまで言う程の財宝にょろ!?すぐにでも見てみたいっさ!!」
時間をおいて新たに四台のヘリが到着。星野朱里や辻村もそのヘリに同乗していった。難波のコテージに火を放つシーンは星野朱里に化けた俺が撮影を終えている。星野朱里に化けた朝倉が真野を殺害するシーンの撮影を終えると、「ようやく私の出番がきたようだ」と言いたげな顔で圭一さんが星野正治役として入り、親子三人でペンションを経営していた頃の様子、ギャンブルにのめり込んでいた時の様子、難波の誘いに乗ってペンションから去って行くシーン、それを追いかけるように母親がいなくなり、辻村が星野朱里の前に現れるシーン、最後に島村や真野、難波が星野朱里にアプローチを仕掛けているシーンが撮影された。最後の財宝と一緒に青古泉たちがヘリに乗り、ここでエンディングが流れる。数日後、財宝の換金を終えたジョンから連絡が入り、事件解決と財宝の入手を祝ってパーティが催された。
「パーティをすることは聞いていたにょろが、こんなに豪華な料理、一体どうしたっさ?」
「試しに食材をサイコメトリーさせたらどうなるか、一樹に提案してみたのよ。小一時間も経たないうちにこれだけの料理が出てくるんだから、あたしも吃驚したわよ!明日から朝食とお弁当はあんたが作りなさい!あたしの方が出勤する時間が早いんだから!」
「味見もせずに作っただけだ。見た目は豪華でも味までは分からない。とりあえず、難事件の解決と、財宝の相続を祝って乾杯だ」
『かんぱ~い!』
「ところで、換金していくらになったのか教えてもらえないかしら?インゴットだけでも六億は超えていたはずだけれど………」
『相続税だけで一億以上も取られてしまったのは癪に障ったが、100億を超えたのを確認したらどうでもよくなった。あのペンションやコテージも清掃業者と提携して、スキーシーズンは人を雇って経営する。燃え尽きた難波のコテージも復旧させているし、あのペンションにも電波が届くよう業者に依頼した。破壊された橋については国が復旧させるらしい。あのクソジジイ達が山火事を起こしても多額の保険金が入るようにしてある。火事を起こせば起こす程俺たちが得をするようにな。あとは星野朱里が出所してきたところでペンションの経営を手伝うか、首都圏に残るかを選ばせるつもりだ』
「彼女があの場所について、どう思っているのかはあたしにも分からないけれど、伝えてみる価値はありそうね。星野朱里が出所する頃には橋も復旧して電波も届くようになっているわよ」
「ちょっとあんた!少しはあたし達にも分けなさいよ!!」
『必要な時期が来れば分けてやる。コイツが植物人間状態にしたあの男が望んでいたような、豪遊がしたいわけでもないだろう?』
「それもそうね。今回の一件でようやく捜査一課もあの組織のことを認知したし、朝倉涼子は現れなかったけれど、あの三人と、佐々木貴洋と名乗った彼についての情報はまとめておいたわ。これでいつでも捕らえられるわね」
「それより、一樹が作った料理を食べてみないかい?匂いだけで涎が出てきそうだよ」
「あたしも似たようなものにょろ!もう食べてもいいっさ?」
『毒見をすることになりそうだ』
「フン、あんなアホと同じ使い方をするなんて御免だわ!あたしには一樹がいればそれで十分よ!とにかく、みんなで一斉に食べるわよ!せ~の!」
『ンム――――――――――――――――――――――っ!?』
「食材をサイコメトリーしただけでこんなに料理が美味しくなるなんて驚いたよ」
「も~~~~っ!あたしのバカ!!もっと早く気付いていれば………一樹!明日から食事当番は全部あんただからね!!」
「あたしも混ぜてもらいたくなったわね。こんなに美味しい料理、孤島のとき以来かしら?」
「あのときもこんな料理が出てきたにょろ!?」
『………ちょっと待て!孤島のとき以来だと!?』
「そのときの事件のことがどうかしたのかい?」
料理を作っていた古泉の姿と孤島の館で調理をしていた青新川さんの姿が交互に入れ替わり、鶴屋さんと裕さん以外の四人がある結論に達した。
『あ――――――――――――――――っ!!』

 

『カット。今の叫び声の後、ブラックアウトして「…Continue in the next season」と表示される。有希、オープニングとエンディングを入れた時間がどのくらいになるか分かるか?』
『一時間四十分弱。映画としてはこのくらいで十分』
『くっくっ、クランクアップを記念してみんなでパーティというのはどうだい?最後のシーンはジョンの代わりに出たけれど、ここに用意してある料理で全部というわけじゃないだろう?』
『編集したものを見てみたいです!!』
『脚本で内容は知っていたけど、やっぱり実際に撮影してみると違うわね。パーティまでに黄有希さんの編集作業が終わるといいんだけど……大丈夫かしら?』
『問題ない。もう少しで終わる』
『あのー…一つ皆さんに提案したいんですけど、いいですか?』
『先ほどまでとはまるで別人のようですね。どうかされたんですか?』
『えっと、撮影では一度も使いませんでしたけど、ペンションの外にあるテーブルと椅子でパーティがしたいなぁって。有希さんが情報結合したセットですし、虫が飛んでくることもありません!』
古泉と青古泉の区別がつかなかったが、周りの表情を見る限り反対するような奴はいないようだ。
『全員分のパーティ料理を用意したと言った覚えは無いんだが?』
『あんたならやりかねないわよ!!とにかく、みくるちゃんの案で決まりね!』
『僕も同意見です。あなたなら「パーティ用の料理なら全員分作ったから、クランクアップ記念といこうぜ」などと提案してくると確信していましたよ。もっとも、僕と朝比奈さんは酔えそうにありません』
『くっくっ、キミにはほとんど出番が無かったけれど、主演二人が酔い潰れてしまってはクランクアップ後の打ち上げの意味がないじゃないか』
『シャンプーとマッサージの時間もちゃんと用意してくれるんでしょうね!?』
『問題ない。映画の編集が終わった。エンディング後のシーンまで見終われば、時間的にも丁度いい』
『やれやれ、ペンションの雰囲気に包まれながら盛大なパーティをするんじゃないのか?』
『俺も完成したものがどんなものなのか気になる。見せてくれ』
おまえ、助演男優として映画の披露試写会に出ることになるのを忘れていないだろうな……
『ジョンまで気にしているとは僕も驚いたよ。脚本をサイコメトリーしたとはいえ、ちゃんと演じることができたのかどうか確認させてくれないかい?』
『いいからさっさと料理を出しなさいよ!全員、ペンション前に集合!いいわね!!』
『問題ない』
……まったく、映画館でポップコーンを摘みながらジュースを飲んでいるのと何ら変わりようの無い。日本はまだ夜中でも、ラスベガスは真昼間だからな。ブラインドフィールドを展開した方がいいくらいだ。結局、映画に集中したまま誰一人して喋ることなく上映終了。オープニングやエンディングだけでなく、要所要所でENOZの作曲したBGMが入っており、文字通り完成したと言えそうだ。俺がジョンに流した偽の情報までアフレコされていた。
「満足のいく映画ができたようで何よりです。しかし、撮影中は気が付きませんでしたが、ジョンの嗜好品の各シーンを取り入れすぎではありませんか?客観的に見ているうちにそれぞれのシーンが浮かんできましたよ」
「時間制限なしでジョンと戦うことを考えると、誰が止め役になるかで迷っていたんだ。鶴屋さんがヘリに乗ってやってきた時点で退散してもよかったが、財宝を争って闘っている最中じゃ、どうも締まらなくてな。俺がジョンとのバトルの必然性の無さに気付く方向で進めようとしたときにふと思い立っただけだ。残りはその発射残渣だと思ってくれればいい。まぁ、『ジョンの影響で』というのもありそうだけどな」
「くっくっ、主軸を解決するための糸口を見つけてこういう結果になったのは分かるけれど、他の演出を『発射残渣』と表現するキミも、随分と推理モノを読み深めたようだね。『ジョンの影響で』と言うのも納得がいく。最後の脚本をサイコメトリーしたときはキミの発想に嫉妬してしまったけれど、映画を見終えた今はキミの脚本を超えるものを書きたくなってしまったよ。セカンドシーズンのラストとして考えていたものもアレンジを加えて、サードシーズンに入れることにする。元々そういう約束だったからね。でも、アイディアが浮かばないときはキミを頼ってもいいかい?」
「今回の脚本とは別にもう一つ案を出しているし、俺の脚本はバイクを使ったものが一切ないクローズドサークルのものばかりだ。サイコメトリーで青古泉にポルシェを運転させてもいいと思っている。『一樹君がサイコメトリーで運転した方が早いわ!』とみくるのセリフに織り込むのも悪くない。今浮かんでいる案としてはそのくらいだ。どう活用するかは佐々木たちに任せる」
「あっ!今日はわたしの番だってことを忘れていました!タイタニック号に早く連れて行ってください!でないと、朝食に間に合わなくなっちゃいます!!」
「とはいえ、我々にはもう朝食の必要はないでしょう。間食程度のものがあればいいかと。子供たちやエージェント達の分だけで十分ですよ」
「やれやれ、青みくるも含めて、楽団員たちと一緒に練習をしているハルヒ達には………って、影分身で対応すればいいか。ここにある皿も情報結合を解除するだけで済む。このセットもしばらくは社長室の引き出しに眠っていてもらうことになりそうだな」
「フフン、そういうこと。ちゃんと準備しておきなさい!さっさと戻るわよ!」

 

 しかし、『早く映画の撮影がしたい』という周りの要望に応える形になってしまったが、セカンドシーズン最終話目前にして映画撮影を終えたとなると、今度は『公開日まで待ちきれない』などと言い出しかねないし、『映画の撮影は終わっているんですか?』なんて電話が届きそうだ。園生さんに圭一さんと古泉の記憶をまた弄ってもらわないとな。いつものように自分は後の方がいいと、みくるがシャンプーをする方を希望してきた。
「今日くらい逆でも良かったんじゃないか?いくらサイコメトリーとはいえ、ほとんどのシーンに出ずっぱりでみくるも疲れただろう?」
「でも、わたしはずっと見ていただけですけど、キョン君はジョンとのバトルシーンもありましたし、わたしの知らない間にあれだけの料理も作っていたんです!いくら影分身には疲労が溜まらないって言われても、疲れているのはキョン君の方です!!」
「我ながら本当に良い妻を持ったもんだ。どうせ朝食を食べないのなら、みくるの全身マッサージが終わったら客室で抱きついているのも悪くない。ハープの演奏にどの程度の意識で済むのか教えてくれないか?俺の影分身で練習に参加してもいいが、有希や朝倉にバレてしまう」
「まだ影分身できるようになっただけですし、実際にやってみないと分からないですけど……でも、わたしもキョン君に抱きついていたいです!」
「今は遮音膜を張っておいたから平気だが、準備も無しに大声を出すと周りに聞こえるぞ?とりあえず、フォーメーション練習前までなら、そうやって過ごしていられそうだな」
「あっ、ごめんなさい。でもわたし、すっごく嬉しいです!……あの、キョン君。シャンプーが終わったら客室に行きませんか?一秒でも長くキョン君に抱きついていたくて……」
「みくるがそういうのなら、俺は構わんが……シャンプーもマッサージも無しでいいのか?胸の谷間は汗をかきやすいんじゃなかったのか?」
「撮影中もお風呂に入りましたし、キョン君が嫌じゃなかったらですけど……」
「嫌なわけがないだろう。シャンプーが終わったら、すぐ客室に行こう」
「は、はいっ!」
事件のあった数日後に青古泉の部屋でパーティをするという設定上、クライマックスのシーンとは別の服とランジェリーを身に纏ったままシャンプーをしていたのだが、下着も含めてみくるの服をすべて脱がせて二人でベッドに横になる。ブラを外しても、例の形状記憶膜でみくるの胸が垂れるなどということも無いし、躊躇うことなくみくるを抱きしめられるってもんだ。
「影分身で練習に参加できそうか?」
「今練習して確認していますけど、大丈夫そうです!」
「じゃあ、時間が来るまで思う存分抱きついていればいい。そういえば、二月末に温泉旅行の話をしていたのをすっかり忘れていた。明日アイツ等に最終話を見せに行ったら、午後から出かけるか?」
「ドラマや映画の撮影のことで頭がいっぱいですっかり忘れていました。キョン君にこうしてくっついていられるなら、わたしはどこでも構いません。連れて行って欲しいです!」
ビバリーヒルトンホテルにもう一度行くのも悪くないが、あのホテルのメニューならすべて制覇してしまった。ポルシェでドライブを楽しんで、食事は俺たち二人だけホテルの客室で食べることになりそうだ。みくるの頭を撫でて、OKだと伝えた。

 

「ったく、よくもまぁこの状態でNGを出さずに撮影を終えることができたと呆れてるよ。青古泉やジョンの推理を聞いているシーンならまだしも、その後のシーンでNGが出るとばかり思っていたぞ」
「フフン。あたしなら、このくらい楽しょ……やっ…ちょっ、このバカキョン!動かすんじゃないわよ!!」
「なんだ、一段階上げようと思ったが、流石の涼宮ハルヒもやる前からギブアップか?」
「も~~~~っ!あたしはあんたとずっと繋がっていたいだけなの!こんなことされたら、みんなの前で恥をかくことになるじゃない!!」
「あれ?おまえ、周りの眼を気にする奴だったか?」
「当ったり前でしょうが!!あんたと初めて会った頃のあたしと一緒にするんじゃないわよ!!」
「しかし、最終話の放送前に映画の撮影を終えて、試写会まですることになるとは思わなかったぞ。映画の公開まで待ちきれないとか言うなよ?サードシーズンの脚本制作もようやく佐々木達がやる気になっているんだ。あんまり急かすと、俺の案で脚本を作ることになりかねんし、今度はサードシーズンの放送日まで待てないなんてことになりそうだ」
「今は撮影を終えた満足感でいっぱいだし、最終話を見て視聴者がどんな反応を示すのかの方が気になるから、当分は心配いらないわよ!あたしが活躍する機会も多かったから文句は無いわ。でも、あんな些細なことが事件の証拠として扱われるんじゃ、サイコメトリー無しでも解決できそうね。完全犯罪計画を立案する組織なんて聞いて呆れるわ!」
「引地の足跡やジョンが撮影していた全員の靴もそうだ。完全犯罪を考えるならその程度のイレギュラー的要素も計画に組み込むべきなんだろうが、誰もそのことに気付かなければ、事件は迷宮入りすることになるだろう。組織との契約通り、あのペンションやコテージは残したまま財宝はすべて手渡され、星野朱里は第二の人生を歩む。朝倉が辻村に化けていたなんてエンディングも考えていたんだが、五人全員に活躍の場があり、衝撃的事実で幕を閉じるとなると、やっぱりあれしか思い浮かばなかった。たまには事件が迷宮入りしてもいいかもしれん。……って、これでおまえは異世界支部の運営に専念できるんだから、それでいいんじゃないのか?」
「そうね……でも、あんたがドラマ撮影の提案をしてからずっと『自分』の役を演じてきたから、愛着が沸いた……かな?」
「青古泉がそうだったように、アイツのことを間違えて『一樹』と呼んでしまうこともあるかもしれん。ジョンが財宝を換金した金で超高級マンションの最上階を買い取るなんて設定もアリだ。あのエンディングにした以上、みくるや鶴屋さん達が頻繁に訪れるようになるだろ?サードシーズンの幕開けは二人の結婚式なんだからな。ジョンからのサプライズプレゼントというのも面白そうだ」
「このあたしが公私混同なんてするわけがないじゃない!古泉君があたしを呼び捨てにしたときだって、例の戦争中くらいのものよ!それ以外で、ドラマと同じような呼び捨てにしようだなんて絶対に認めないんだから!!」
「だったら、さっさと船首に向かうぞ。時間だ」

 

「まったく、まさか『俺』の役を演じるなんて誰も考えて無かっただろうな。古泉ですら、『その発想には至りませんでしたよ』とか言っていたくらいだし、よくもまぁ、思いついたもんだと呆れるよ」
「前に北高に行ったときはハルヒ先輩に化けていたから、経験則みたいなものかな。一番やりやすかったし」
「俺の方がやりやすいって、俺はそんなに特徴的か?ハルヒや佐々木の方がよっぽど特徴的だろうが!」
「だって、ずっとキョンのこと見てたから。高二のときからずっと。今の『だろうが!』のセリフもそう。キョンの口癖なら全部知ってる」
「やれやれ、いくら夫婦とはいえ、そんなどストレートに返事をされてしまったら、こっちが恥ずかしくなってしまう。それで、この後はどうするつもりだ?」
シャンプー&全身マッサージを終え、『客室のベッドで抱きついていたい』という妻の要望を聞き入れたのはいいが、秘部にはちゃっかりと俺の分身と尻尾が入り込んでいた。コイツまでずっと繋がっていたいなどと言い出さなければいいんだが……胸が潰れても構わないと言いたげに、重力に身を任せて俺の上から貼りつくようにして離れようとしない。そこまで身長差も無いし、頭の置き場所に困りそうなもんだが、ものの見事に肩を枕替わりにされていた。
「どうせ朝食は食べないし、練習が始まるまでこうしていたいかな。……駄目?」
「駄目ってことはないが、練習直前までこの体勢でいるつもりか?」
「これが一番いいの!ビバリーヒルズに行ったときみたいにずっとくっついていたいくらいだよ。九月の世界大会が終わったら、仕事は影分身に任せて本体はこのままがいいな。キョンも本体でいてくれると私も嬉しいけど、さすがにそれは無理だよね」
「時間帯によるが、一人がそれをやると、他にも真似をしたいなんて奴が出てきそうだ」
「それもそうだけど、そうやって私の事を考えてくれているのが一番嬉しい。まだ日本代表選手としての役割はあるけど、本社ビルに戻って来られて本当に良かった」
「司令塔兼零式使いじゃ、当分離れられそうにないな」
「でも、スキー場の運営じゃないけど、私たちにもオフシーズンが出来たし、毎日こうして抱き合っていられるなんて嬉しくて。それに、料理もシャンプーもマッサージも超一流なんて、ここ以外に考えられないよ」
「あの映画でも、サイコメトリー一つでここまで出来るというのを見せたかったんだが、青新川さんが悉くそれを跳ね除けるんだからな。泳がせても、スキーを滑らせてもプロ級なんて規格外もいいと………っと、他の影分身から連絡が来た。そろそろ時間のようだ。ニュースはどこも今日の最終話がどうなるかでもちきりだそうだ。フジ系列以外のTV局が他のTV局のドラマのことを話題にしてどうするんだとツッコミを入れたくなったぞ」
「確か、最終話は一時間半だっけ。瞬間最高視聴率も気になるけど、他の局の番組の平均視聴率がどのくらいだったのか見てみたい……かな」
「史上最悪の視聴率を裏番組が叩き出さなければいいんだが……まぁ、俺たちの気にすることじゃないか。影分身の準備はできたのか?」
「問題ない」

 

 それぞれの客室でそれぞれのやり取りがあり、朝食に集まったメンバーのうち何人が影分身なのかさっぱり分からん。新聞記事の一面も今夜放送の最終話でもちきり。一色に後頭部を殴られ倒れた青ハルヒと青古泉の写真が載せられていた。OG12人が揃って『ジョンがカッコ良かった!』と言うくらいなんだ。明日の一面がジョン以外で飾られるはずがない。納得のいかない顔をしていたのは、ジョンの世界に行けずに眠っていた子供たち三人。俺たちどころか、あの世界の主本人が表に出てきているんだから、入れるわけがない。
「まさか、他の局までドラマの最終話のことをニュースとして取り上げられるとは思いませんでしたよ」
「あら?それにしては嬉しそうな顔をしているわね。涼宮さんと二人で新聞に載ったのがそんなに嬉しかったのかしら?」
「何かあるとすれば明日。加えて、載るとすればジョンで間違いないと確信めいたものを抱いていました。レストランの様子を載せて他の新聞社は違うニュースで……としか考えていませんでしたよ」
『キョンパパ、ご飯食べないの?』
「ああ、ちょっとした事情があってな。俺たちだけ後で食べることになった。ところで古泉、二つ提案したいことがあるんだが、いいか?」
「では、あなたのその提案を二つとも当ててみせましょう。片方は圭一さんも関わることになりますし」
「凄いにょろ!今まで何度もあったっさが、阿吽の呼吸でそこまで伝わってしまうにょろ?」
「映画撮影を終えた後どうなるかを考えた結果、同じ結論に至ったというだけですよ。園生に記憶を弄ってもらい、映画撮影の進捗状況が分からない状態にするというのが一つ。もう一つは例の暗号文を解き明かした方に、僕がシャンプー&カットをする。祝日ですし、昨日と同様、今日も電話対応の必要は無さそうです。期限は……そうですね、披露試写会当日あたりでいかがです?」
「なるほど、それなら確かに私も記憶操作してもらうことになりそうだ。もう撮影が終わっていると話してしまいかねない。暗号文の解読法と一緒に園生に消去してもらうことにする」
「それで、黄キョン君の『提案したいこと』って何だったの?」
「古泉の言った通りだ。ただ、例の暗号文を映したCMは早めに見せてしまいたい。だが、この一週間であれだけ人事部が荒れたんだ。悠長に披露試写会までなんて構えているほどの余裕はない。次のCMをいつ放送して、その期限をどうするかで悩んでいたんだ。何かいい案はないか?」
「問題ない。デュエル大会の決勝が五月五日。その翌日の五月六日から十二日までの一週間でいい。その頃には、あなたがカレンダーにSOSと刻むと言ったイベントも終わっている」
「あの数列なら調べただけですぐに解かれてしまいますけど、あの暗号文はキョン君の作ったもので間違いありません!わたしも影分身の練習をしたいですし、電話対応をさせてください!」
「僕が対応しなければならないと自分で話しておきながら、そのことを失念していましたよ。スキーシーズンも終わりですし、政治家たちの引っ越し作業でしたら半日あれば十分です。僕も有希さんの意見に一票です」
「古泉君!ブラックリスト入りした連中は最後にして頂戴!五月一日の昼食以降はレストランの運営なんてあたしが許さないわよ!!」
「了解しました。五月一日は丁度月曜日ですし、朝食を済ませた首相や県知事達から引っ越しを始めることにします。フロントはブラックリスト入りした彼らに任せておけばよいでしょう。クレームもすべて担ってもらうことにします」
「最後に一つ、どうやら社員の中にも古泉のシャンプー&カットを希望しているのが数名いるようだ。祝日だというのに、ハガキを直接持ってきてパンにありつきながら直前まで考えるつもりのようだが、日本代表と同様、古泉さえOKなら社員や楽団員なら抽選外でも、推理が外れていてもシャンプー&カットを堪能できるようにしたい。当然、店舗の社員も含めてだ。どうする?」
「それなら店舗には俺が迎えに行く。黄有希がFAXで伝えるんだろ?」
「社員なら平日いつでも可能ですし、影分身を割くほどの事でもありませんが、いい修行になりそうです」
「店舗には明日FAXを送付する。でも、楽団員には水曜の練習のときに伝える。社員もそれを伝えるのなら明日以降がいい」
「例の中学生には二十日からって連絡していたけれど、今日が祝日だってことをすっかり忘れていたわ。わたしから連絡しておくわね」
「映画の撮影も終わったし、あたしは今日のおススメ料理の仕込みになりそうね。あたし達の世界の本社の運営で何か閃いたら絶対にあたしに報告しなさい!いいわね!?」
「俺は店舗の店員とヘリの運転、ドレスの情報結合か。今週末にはどれが人気のドレスなのか分かるはずだ。どちらの世界も全店舗で模様替えをしてもらわんとな」

 
 

…To be continued