500年後からの来訪者After Future2-4(163-39)

Last-modified: 2016-06-19 (日) 06:49:16

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future2-4163-39氏

作品

いよいよ福島のツインタワーへの引っ越し作業が始まった。キューブのコントロールが出来ない朝比奈さん、佐々木、そして森さんのいない編集部を統括する朝倉を除いた黄チーム+エージェントで各世帯を訪れた。時期を同じくして、ハリウッド映画の最後の仕上げをする旨の連絡が届き、披露試写会の応募を伝える文面と映像がサイトにUPされた。翌日、英字新聞では俺の写真で一面を飾り、その情報がこっちまで届いていた。予告もしていないというのに、映像を分析したり専門家に解説を依頼したりするのもどうかと思ったが、とりあえずこちらから伝えたいことは伝えた。あとは半年後の日本での公開まで待っていてもらおう。全国大会初戦を明日に控えて俺と青俺の二世帯が調味料探しという名目での家族旅行へとでかけた。クセのある調味料ばかりで使い方に少々難があるが、使えないわけでもない。サイコメトリーなら忘れることはないし、初日で見つかるなんて甘い考えをしているわけでもない。今日と来週しか調味料探しは出来ないが、機会があれば全国を回ってみたいもんだ。夕食を摂りに本社へ戻り、監督の采配を聞いて再度旅館に戻った。

 

 有希ならやりかねんと予想はしていたものの、旅館の貸し切り家族風呂に五人で湯船に浸かって一息。両サイドからハルヒと有希が俺の腕を掴んでいるのは言うまでもなく、二人の胸が直にあたっている。
「まったく、こういう時間もロクにとれないんだから…でも、今回はあんたがこんな計画立ててくれて嬉しかった。このまま日本全国回りたいくらいだけど、明日からの全国大会が楽しみで仕方がないわ!絶対に勝ち上がってみせるんだから!」
「俺とジョンが外野手についたが、レーザービームをお目にかけるのはもう少し先になりそうだ。防御面はすべて青俺と有希でやってのけるだろう。監督の奇策もあることだしな」
「そういえばあんた、そんなこと言ってたわね。でも、青キョンがストレートしか投げられなくなったのに、どこが奇策なのよ!」
「簡単。160km/hのストレートが県代表相手にどれだけ通じるか確かめるだけ。わたしが一球ずつ球速を測って声に出せば最初は信じられなくても、次第に本当かどうか明らかになっていく。相手の目が慣れたところで他の球種を使わせる算段。高速ナックルボールを使う機会は早くても日曜日」
「相手の力量がどの程度かはやってみないと分からんが、ようやく俺にも高揚感が出てきたところだ。戦いがいのない相手なら、敵情視察は青ハルヒと青古泉に任せて俺は旅館に帰るからな」
「このバカキョン!今頃になってあんたにそんなこと言われたら、あたし達の今までの行動が……もういい!」
ザバッ!と水の音が鳴ると堂々と俺の前にお尻を向けたハルヒが風呂から出ていった。赤面していたのは茹でダコになったからというわけではなさそうだ。予選ごときで自分たちがどれだけ空回りしていたのか、ようやく実感できたようだ。もっと仲間を信じるということを覚えればいいんだが…それでも高校入学当初と比べれば天と地ほどの差があることに変わりはない。
『キョンパパ、わたしもあがりたい』
「ああ、バスタオルで身体をちゃんと拭くんだぞ。俺はもう少し浸かってから戻る」
別に我慢しなくてもよかったんだが……双子も家族での時間が欲しかった…かな。

 

 恋人繋ぎで腕をからめてきた有希と一緒に部屋へ戻ると、双子がハルヒを相手に枕投げ合戦。ようやく俺たちに気付いた双子が俺に飛び込んできた。
『キョンパパ、旅行楽しい!』
「今度は違う場所に連れてってやるから、楽しみにしとけよ」
『問題ない』
そのあと、旅館内の設備を回り、卓球でハルヒ対有希の第二戦。双子も二人の戦いぶりをジッと見守っていた。こういう場面で集中力を養っていたらしいな。二人の身体を大きくした状態でやらせたら、ハルヒや有希と似たような戦いになりかねん。
『キョンパパ、これなあに?』
「ここはカラオケルームだ。自分の好きな曲を歌えるぞ?入ってみるか?」
『わたしの好きな曲?……キョンパパ、わたし、ハルヒママの曲がいい!』
双子の純粋な申し出に有希が高速詠唱。異世界ではバンドとしてのSOS団を知る者は青チームのメンバーを除いて一人もおらんからな。SOS団やENOZの曲が入っているわけがない。新調したカラオケセットでハルヒが一番に選曲。自分で情報結合したマイクスタンドを持ってGod knows…を歌いあげた。双子は冊子を1ページずつめくりながら歌いたい曲を探していた。ただ平仮名やアルファベットを練習するのもいいが、たまにはこういう学習方法も悪くない。有希がマイクの音量を最大限にあげてフレ降レミライを歌いきると、ようやく目的の曲が見つかったらしい。幸も連れてくればよかったな。本人の目の前でハレ晴レユカイをパートごとに歌い、朝比奈さんのソロパートをどっちが歌うかで揉めている。
「あんたたち、そんなことで喧嘩してると、あたしのパートも有希のパートも歌わせないわよ!?」
『じゃあ、キョンパパがみくるちゃん!』
やれやれ、マイクを一人一本ずつ持って離しそうにないのに、どうやって俺が歌えばいいんだ?おい。
『マイクをもう一本情報結合するだけで済むだろう』
こっちの世界で超能力はご法度なんだが…有希もハルヒもライブのように盛り上がっているし、仕方なく三本目を情報結合。あとでちゃんと元に戻しておかんとな。

 

結局、双子が飽きるまでハレ晴レユカイを歌わされ、踊らされ、歌い疲れた双子は部屋に戻るとすぐ眠りについた。ハルヒと有希を同時に腕枕をするのもいつ以来だろうな。俺の記憶が確かならスキーを満喫してホテルに泊まった時に家族で寝ようと誘ってからだから……半年振りくらいになるのか。ハルヒも有希も大人の時間を満喫したかったようだが、ジョンの世界に行った双子からの催促がかかり、結局やることはいつもと同じくバレーの試合。「こういうときくらい空気を読め」と言っても分かるわけがない。
翌朝、本社で朝食を摂り、俺たちが六人乗りのボックスカーで現地に行くからその中に異世界移動するよう古泉たちと打ち合わせ。ボックスカーに乗ったところでユニフォームにドレスチェンジすると、ハルヒが戦国武将のように叫ぶ。
「いざ、戦場へ!」
やれやれ…頼むから周りが恥ずかしくなるような行動だけは慎んでほしいもんだ。昨夜は俺たちがジョンの世界に行くまで、子供たち三人でお互いどんな旅行をしていたのか報告会をしていたらしい。旅館に戻ってから『キョンパパ、カラオケ!!』なんていいそうだが、ライブのことを忘れてもらっては困る。今週だけでその時々に応じて催眠をかけたり解除したりしていたが、すべて解除して野球の試合用の催眠をかけ直した。『鈴木四郎』とアナウンスされるのかどうかは俺にも分からん。ボックスカーが小型バスに見えるよう催眠をかけ、大阪ドームについた時点で、テレパシーで古泉たちと連絡を取り合った。青俺たち三人も到着し、ボックスカーからはユニフォームに身を包んだメンバーが続々と降りてくる。これまでの試合は俺の方が遅れて現地に行ってたからな。こうやってメンバーを引き連れて歩くのも高揚感があっていいもんだ。古泉と朝比奈さんを本社に残して大阪ドームに足を踏み入れた。ドーム内では既に相手チームが練習中。ガタイが良かろうがそんなことはもうどうだっていい。他のチームからすれば俺達の方が奇妙に見えるだろうが、ちゃんと地元の予選で勝ち上がってきたんだ。誰にも文句は言わせない。こっちを睨んでくる奴もいたが、朝倉の殺気一つで縮こまってしまうだろう。そんな相手に勝っても嬉しくもなんともない。準備体操を始めてしばらく、係員に声をかけられ、青古泉がそれに対応した。渡された書類に色々と書いているが、W古泉の字の汚さは周り全員承知の上、今回は控えとして試合を見守る予定の青朝倉が様子を見に行くと、書類を奪い取られ、青古泉に書き方を教わりながら丁寧に書き直していた。

 

青古泉が書類を提出してからしばらく経ち、ようやく古泉と朝比奈さんが会場に現れた。今日は古泉も出場するんだ。ホームランは狙わずともヒットで出塁してもらわんといかん。「試合開始までにコンディションを整えておきますよ」などと言っていたが、以前の俺のようにならないといいんだが。
「お待たせいたしました。第一試合 SOS団 対 和歌山大学野球部のラインナップをお知らせします。先攻 和歌山大学野球部 一番 ショート ○○君、二番 レフト………」
いくら全国大会でもここまで丁寧にアナウンスをしなくてもいいだろうと思いながら聞いていると、
「続きまして、後攻 SOS団 一番 サード 有希さん、二番 ファースト 朝比奈さん、三番 センター 涼宮さん、四番 レフト ジョン君、五番 セカンド 精涼院さん 六番 キャッチャー 長門さん、七番 ライト 鈴木君、八番 ショート 今泉君、九番 ピッチャー キョン君」
いくら優勝チームには球団と戦える権利がもらえるとはいえ、キョンやジョンでは通用しないと思っていたが、杞憂に終わって何よりだ。どうやら同じ性がいない限り、フルネームで呼ばれることは無いらしい。今からでもW鶴屋さんを呼ぶか?一回の表が終わったら古泉に提案してみよう。二番手でバッターボックスに立つ青朝比奈さんや応援している朝比奈さんでは呼びにいけないからな。主審が試合開始の笛を鳴らし、各ポジションへと散らばった。一番手がバッターボックスに立って態勢を整えると、青俺が大きく振りかぶる。ストライクゾーンのど真ん中に100マイルのストレートが通過した。
「163km/h」
青古泉の奇策通り、有希の発言に驚いた一番手が思わず有希の方へとふり返る。会場に来ていた客や午後の対戦相手たちが青俺のたった一球で騒然としていた。有希がボールを青俺に戻すと、すぐさま第二球のモーションに入る。慌ててバットを握りしめたが、バットを振り始める前にキャッチャーミットに収まっていた。
「159km/h」
どうやら青古泉のストレートのみの制限を有希がさらに厳しくしたらしいな。ストライクゾーンのど真ん中だけでどれだけ通用するか様子を見るらしい。ツーストライクで後が無くなったバッターに最後の球が繰り出される。戦闘経験の豊富なハルヒですら、打ち返すのに四球かかったんだ。いくら野球経験が豊富だろうが、スピードについてこれないんじゃ俺たちの敵ではない。ミットに球が収まった後に空振り三振。
「162km/h」
有希が計測した球速を聞いてからバッターボックスから去った。続く二番手に耳打ちをしているようだが、何の変化もない純粋な投球にどんな策が立てられたのやら。

 

 おそるおそる二番手がバッターボックスに足を踏み入れる。なるほど、バッターボックスのギリギリまで後ろに下がり、バットを短く持って内野安打か。セーフティバントもあるだろうが、バントに構えようとした瞬間に青俺が駆け寄って『セーフティ』にはなりえない。せいぜい金属バットでどれだけ飛ばせるかだな。初球からバットを振りにいったがタイミングが合わず、二球目も同様に空振り、三球目でようやくはじき返してきたがピッチャーゴロで終わった。続く三番手も対策は同じ。回を重ねて速さに慣れるつもりだろうが、果たしてその余裕があるかどうか。初球はわざと肩の高さでバットを振ってタイミングを見定め、次でその微調整をすると三球目を叩きにきた。
『ジョン!』
青古泉もサードの青有希をフォローするために古泉をショートに入れたようだが、サード寄りの三遊間を打球が通る。素早く真正面に入ったジョンが捕球すると青朝比奈さんへ向けたレーザービームが放たれた。ハルヒと古泉が若干コースを塞ぐ形にはなったものの、これがあることを知っていれば何の指示しなくとも対処可能だ。古泉の提案で昨日は朝練せず、一日空いてはいたが、青朝比奈さんの捕球も滞りなく見事にファーストで仕留めることに成功した。来週の朝練は月、水、金にしてもらおう。
 俺たちがベンチに戻ると、朝比奈さんやOGたちがボンボンを持ったまま拍手。監督も余裕の表情だ。
「お見事です。僕のかけた制限に更に上乗せしてくるとは思いませんでした。黄有希さんもいつから涼宮さんのようになったんです?ハルヒさんも黄僕もジョンのレーザービームの邪魔にならないよう配慮してくれていますし、非の打ちどころがありませんよ」
「問題ない。彼の球を相手に見せたかっただけ。今後打たれるようなことがあればコースを指定する」
『(幸)パパかっこいい!!』
「まぁ…その……なんだ。父親として恥ずかしい姿は見せられんからな」
子供たちに褒められてどうしていいのか分からんようだ。赤面を隠せないままベンチに腰を降ろした。
「有希、あんまり気負うなよ。この後も俺と黄有希で仕留めるだけだ」
「分かった」

 

一回裏のアナウンスが流れ、青有希と青朝比奈さんがそれぞれの場所へと移動すると、例の件を古泉に耳打ち。
「古泉、さっきのアナウンスを聞いてて思ってたんだがな、……………ってのはどうだ?」
「なるほど、それでこのタイミングで僕にということでしたか。分かりました。すぐに連絡をすることにします」
すぐさまベンチの奥へと隠れるように入っていくと、監督が俺たちの会話に割り込んできた。
「黄僕のセリフで大体の察しはつきましたが、最悪の場合失格になりえる行為ですので以後気をつけてくださいよ?『彼女たち』は今日登録してないんですから」
『失格って!?』
「馬鹿!声がでかい!……って、すまん。俺もそこまで考えてなかった」
そのための用紙を青朝倉と青古泉で書いていたのを失念していたようだ。Wハルヒが怒りだす前に遮音膜を張っておこう。
「ちょっと!失格になるかもしれないって、あんた一体古泉君に何吹き込んだのよ!?」
「W鶴屋さんを呼びに行ってもらったんだ。アナウンスを聞いてると、どうやら苗字が同じでない限りはフルネームでコールされることはなさそうだからな。『鈴木四郎』と聞いて鶴屋さんが大笑いするようなことがないのなら今からでもベンチに……と思ってたんだが、監督が書いていたエントリーシートにない控えメンバーを連れてくると失格の可能性もあるらしい。すまん」
「なんだ、そんなことなら心配いらん。黄有希でなくとも俺たちで十分対応できる」
「ええ、だからこそ止めには入らず、忠告だけ申し上げたまで。ちなみにさっき僕が書いていたシートはアナウンスシート。スターティングメンバーは元より、控えメンバーまで書かなくてはならないものなのでつい殴り書きを…書いている途中で朝倉さんに取り上げられてしまいましたけどね」
「ふりがなを振ってあってもジョンとキョン君以外読めそうになかったんだもの。当然よ!」
「ちょっと!W鶴ちゃんを呼ぶのは分かったけど、黄有希でなくても対応できるってどういうことか説明しなさいよ!」
「黄俺の披露試写会の話をしていたときに言ってただろ?他の観客からは見えないステルスモードって奴だよ」
『なるほど』
『とりあえず、全員納得できたのなら味方の応援をしたらどうだ?まずは相手の力量を見るんじゃなかったのか?』

 

ジョンの一言で全員の視線がバッターボックスに立っていたはずの青有希が………いない!?
『キョンパパ、どこ見てるの?幸ママならあそこ』
双子の指差す先は一塁ベース。俺たちが話している間に出塁したっていうのか!?
「くっくっ、さっきのレーザービームも含めて、朝練の成果が出たようだ。相手の初球を打ち返したのを見てなかったのかい?」
『初球を打ち返したぁ!?』
「有希さん、いつの間にそんなことができるようになったのかしら!?」
「愚問、一番手が青わたしだと知って相手が油断していただけ。ただのストレートならあなた達の球を打ち返すよりも簡単」
「それはそうだろうが…相手の球速はどのくらいだったんだ?」
「油断して力がボールに伝わっていなかった。さっきのは124km/h」
逆に言えば、油断していてもそれだけの球速が出るってことだ。球種が多いと面倒だな。青朝比奈さんもうまく出塁できるといいんだが…
「戻りました!お二人とも家の用事を断ってまで来て下さいましたよ!」
『おはようっさ!今日は応援に来たにょろよ。おぉ!丁度みくるの出番っさね。みくる――――――頑張るっさ!』
馬鹿!来るときは連絡くらい…ってW鶴屋さんに既にステルスが張ってある。慌てた俺に周りの連中が別の意味で笑いを堪えてやがる。それに、鶴屋さんがいくら叫んでも遮音膜で聞こえるわけが……いつの間にやら解除されてるし!
「あはははは……あんたが慌てる姿なんて久しぶりに見たわよ!ッントに、あたしを退屈にさせてくれないんだから。遮音膜の解除くらいあたしにだって出来るわよ。あたしも有希やみくるちゃんに続かないとね!SOS団団長の名が廃るわ!」
木製バットを背負って青ハルヒがグラウンドに出ていった。後ろ姿がいかにも団長らしい。青俺の中継ぎとしてマウンドに立つにはまだ時間がかかるかもしれんが、失った自信はどうやら取り戻せたようだな。

 

一回の裏、一番バッターの青有希が相手投手の初球を打ち返して一塁へと出塁。青有希や青ハルヒでは身長の高さもあって女性としての恩恵は少ないが、青朝比奈さんなら話は別だ。今もノーストライクツーボール。青有希より小さい青朝比奈さんに対して未だに相手に隙が感じられる。チーム名から察するに和歌山県代表のはずだが、こんな状態の相手に勝ったとしてもWハルヒは嬉しくないと言うだろう。そんなことを考えているうちにノーストライクスリーボール。打順がジョンまで回ったら失点覚悟で敬遠するかもしれんな。
「通常なら、この状況でベンチから一球見送るように指示が出されるところですが、涼宮さんやハルヒさんと同様、朝比奈さんもNoと言うでしょう。四球で塁に出るくらいなら打ち返してアウトになった方がいいとね」
「あんたも良く分かってるじゃない!あたし達が今までどういう勝ち方をしてきたのかこのドームにいる人全員に見せてやるわ!」
ただでさえ狭いストライクゾーンに球を入れるには、どストレートか四球覚悟で青朝比奈さんに振らせるかの二択。相手投手の選択は……球速の落ちたストレート!快音と共に打球は勢いよくピッチャーの左を抜き、ツーベースヒットで運が良ければ青有希が戻ってくると思った次の瞬間、セカンドにいた選手が塁を飛び出してボールを捕球。すかさず二塁を踏み一塁へと送球。県予選を含めて初のダブルプレーがSOS団に宣告された。とぼとぼとベンチに戻ってくる青有希の後ろから青朝比奈さんが肩を叩く。
「ごめんなさい、わたしのせいで有希さんのプレーを無駄にしちゃって……」
「問題ない。わたしは出塁できただけで十分満足。次の打順でわたしが謝らないといけないことだってある。朝比奈さんも気にしないで」
二人で一緒に戻ってくるとこっちの朝比奈さんが号泣しながら健闘を讃えた。今まで青朝比奈さんには頼ってばかりだったからな。OGたちも青朝比奈さんに抱きついていた。

 

「さてハルヒ、この落とし前、どうやってつけるかはっきりさせないか?」
「面白いじゃない!ツーアウトのまま、青キョンまで絶対に回すわよ!もし青有希ちゃんがアウトでも、次のあたし達の攻撃でさっさと片付けてやるわ!」
「やれやれと言いたくなってしまいましたよ。ハルヒさんにそんな宣言をされてしまっては、監督としての役割を果たせなくなってしまいます。ですが、バッターボックスに立っている涼宮さんを含めて、皆さん異論なしということでよろしいですか?」
『問題ない』
「よくもあたしの団員を…」とかなんとか言いだしそうな顔をしているかと思いきや、バッターボックスに立った青ハルヒは至って冷静。だが、相手投手の初球を叩き、先ほどの青朝比奈さんとほぼ同じ打球がピッチャーの左を抜いた。冷静に見えても「やられたらやり返す」という天上天下唯我独尊の涼宮ハルヒは今もなお健在のようだ。青俺や青古泉が心配していたときとは全くの別人だな。セカンドが再び飛び出したが捕球するどころか触れることすらできずに右中間へ。その間に青ハルヒが二塁まで駒を進めた。ダブルプレーは捕ったものの、女性三人に打たれた上に迎えた四番がジョン。案の定敬遠されて、ツーアウトランナー一、二塁。まったく、やるとは思っていたが相手がトラウマになってしまっても知らんぞ……続く五番、ハルヒも初球を叩き青ハルヒと同様のツーベースヒット。青ハルヒがホームに戻ってきてまずは先制点。
『青わたしのプレーはわたしが引き継ぐ』
何も全員にテレパシーを出さなくてもいいだろうに…
『有希お姉ちゃん頑張れ―――』
バッターズサークルで待機していると、後ろのベンチから妹二人の声が聞こえてくる。青有希のプレーを引き継ぐというからには少なくとも出塁するということだろうが、有希の場合それだけでは終わるまい。青朝比奈さん同様ストライクゾーンが狭まった有希を相手に、相手投手の投球がすべてボールの判定。先ほどと同じ、ノーストライクスリーボールのデジャヴが相手を襲う。セカンドの選手も「次こそ捕ってやる」と言わんばかりに塁から離れた。ツーアウトだが四球なら満塁というプレッシャーに耐えかねた投手が球速の落ちたボールを放った。ようやくバットを振った有希の打球はセカンドを嘲笑うかのようなセンター前ヒット。
やれやれ……ジョンもハルヒもフリだけでもいいから少しは動こうとしろ!アホの谷口のように無駄に予告ホームランするよりよっぽどプレッシャーがかかる。俺はハルヒとは違って「絶対にあたしが満塁ホームランを成し遂げてやるわ!」なんていうような性格はしてないんだが?これじゃまるで、「俺が満塁ホームランを放ってやるからそこで待ってろ!」なんて言ってるようなもんだろうが。観客席からそう見られているやもしれん。だが、青朝比奈さんの打球をダブルプレーで仕留めるなんて真似だけは絶対に許さん。丁度いい目標が目の前に表示されているし、やるだけやってやるさ。
 相手投手の球速や球種も全て見せてもらった。向こうのチームに中継ぎがいたとしても一回の裏でピッチャー交代するわけにもいかんだろう。二球ほど見送ったところで、ようやく俺の待ち望んでいた球がきた。打球は弧を描くことなくバックスクリーンに直撃。どうやら的にしっかりと当てられたらしい。セカンドの選手の名前が表示されているところに俺の打った球が突き刺さっていた。

 

ダイヤモンドを一周してベンチに戻ろうとするとバッターズサークルにいた古泉から一言。
「Wハルヒさんのように青朝比奈さんと似た打球で打ち返すならまだ分かりますが、相手にトラウマでも植え付けるおつもりですか?満塁ホームランを放った上にバックスクリーンに表示されたセカンドの選手のところにボールを突き刺すとは…あんな打球は僕には到底真似できませんよ」
「丁度いい的があったんでな。利用させてもらった。おまえだってWハルヒと同じような打球を打つつもりだろう?」
「まったく、Wハルヒさんに対する青僕ではありませんが、どうしてそこまで読まれてしまうのか皆目見当もつきません。一体どこで判断しているんです?」
「なぁに、古泉ならおそらくこういう行動に出るだろうと考えていたら当たっていただけにすぎん。ハルヒの宣言通り、最低でも青俺までは回すんだ。心配する必要はないとは思うが、セカンドには注意しろよ?」
「どうやらそのようですね。最初は青僕の発言に僕も驚いていましたが、あなた方が投げる100マイルの球を毎日のように打ち返す練習をしていた結果と言えるでしょう。でなければ、ここまでの攻撃力はつかなかった。皆そう思っているはずですよ」
そこまで言いきってバッターボックスに向かって行った。俺もベンチへと戻ると古泉と青俺を除く全員から祝福。
『キョン先輩、カッコ良すぎです!!』
「キョン君、大手柄っさ!みくるがダブルプレーにされた分のイライラが全部吹き飛んだにょろ!」
だから…ここにいる「キョン」は青俺だけで、俺は「鈴木四郎」だといいたいところだが、W鶴屋さんが大爆笑しかねん。バレーの生放送みたいにベンチにもカメラがあったらどうする気だ?まったく。
「とりあえず、青朝比奈さんが打ち取られた分の落とし前はまだついていませんよ。古泉も青俺もどうやらそのつもりのようです。ところで有希、この試合生中継されたりしてるか確認できるか?」
「問題ない。地方代表を決めるトーナメントの残り四チームが近くの球場で試合中。ここと向こうを交互に生中継している。録画してあるから後で確認することも可能。ライブが終わったら見ればいい」
『ライブ!?キョンパパ、ライブ見られるの!?』
「だから説明しただろうが、土曜日はライブだってな」
『今日がどようび?』
「そうだ。因みに明日は日曜日。野球の試合は土曜日と日曜日だ」
『ライブがどようび、やきゅうがどようびとにちようび………』
お経のようにブツブツ言いながら覚えようとしているらしい。提案してきたのは青有希だが、双子も夏休み中は休みにして正解だったようだな。試合の状況は、古泉がWハルヒと同じ軌道で初球を打ち返し、青俺もバックスクリーン直撃のホームラン。今度はピッチャーのところにボールが突き刺さっていた。

 

「とりあえず、これであなたとハルヒさんが言っていた落とし前はついたと判断してよろしいですか?」
「折角7-0まで来たんだし、あたしはこのままコールド勝ちにしてもいいわよ?」
「おまえな、青有希に余計なプレッシャーを与えるような真似をするな。それに、青ハルヒからすれば、二回表を迎える方が機会が巡ってくるかもしれんだろ?」
「機会って何よ!?」
「一回表を三者凡退に仕留めていますからね。二回表を迎えれば、次のバッターは四番。バックスクリーン直撃のホームランを二本も打たれては、相手も黙ってはいないでしょう。涼宮さんがセンターフライで打ち取るチャンスが巡ってきたということです。加えて、ダブルプレーをとられるのはこれまで一度もありませんでしたからね。折角練習してきたんです。レーザービームからのダブルプレーを相手に見せつけるというのはいかがです?」
『面白いじゃない!』
「ということだ、有希。相手投手もこれで油断することはないはずだ。打てそうな球が来なかったら見逃し三振でも構わん。気兼ねなくバッターボックスに立てばいい」
「問題ない」
ようやく打順が一周したが、相手投手の球種はそこまで無く、135km/h~140km/h程度の球速。青有希がプレッシャーを感じることなく打席に立てるように青ハルヒの話を持ち出したが、ハルヒの言う通りこの回で決まってもそれはそれでいい。今頃、生中継を見ている和歌山県の連中がTVの前で文句を言ってるかもしれんな。だが、どのチームが来ようが俺たちのスタイルは変わることはない。ジョンの低周波トレーニングがあってこその100マイル投球だが、青俺のナックルボールを除いて、試合は至って公平に行われているんだ。女性の方が多いチームに負けたと烙印を押されても俺たちの知ったことではない。

 

 これ以上の失点を重ねるわけにはいかないと相手チームの油断していた雰囲気が無くなったものの、今頃緊張感を張り巡らせてももう遅い。青有希の打席は今のところ、ワンストライク、ツーボール。青有希の待っている球はまだ来ていないようだ。一度もバットを振ることなく現在に至っている。福島のツインタワーも、まだ不慣れな部分は払拭できないが、現地にいる人たちだけでも運営できそうになってきている。来週は俺たちが投げる球を自分の狙った方向へ打ち返すという一段階レベルアップした練習に取り組むというのも悪くない。そんなことを考えている間に、ツーストライクまで追い込まれたのかは分からんが、ようやく快音が鳴った。打球は三遊間の上を通るレフト前ヒット。青ハルヒには悪いが、この勝負、これで終わりだな。悠々と構えていたのもつかの間、レフトポジションにいた選手が猛スピードでボールの落下点へと走っていく。既に青有希は一塁ベースを目前としていた。これでフライにならなければ出塁が確定する。だが、走るだけでは届かないと踏んだレフトプレイヤーがヘッドスライディング。ボールがバウンドしていないところを見ると、どうやらグローブに収められてしまったらしい。
「ナイスバッティング!」と誰からともなく、ベンチに戻ってきた青有希に賛辞が贈られた。
 攻守が入れ替わって二回表相手チームの攻撃。最初にバッターボックスに立ったのは四番の選手だが、青俺と有希を見る限り、テレパシーしている様子もなく、コースを指定したりすることなくストライクゾーンのど真ん中を狙うらしい。向こう側も「やられたことはやり返す」と言わんばかりにバットを構えた。文句無しの青俺の第一球が放たれる。
「チャンスだ!走れ!ハルヒ!」
相手チームに100マイルの投球ができる投手はいない。だが、ベンチから青俺の投球を見ていただけで十分だったようだ。バットの芯にボールが吸い寄せられていくように思えてならない。主力の渾身の一発が、快音と共にW俺と同じ軌道で打球がバックスクリーンへと向かう。すでに走り出していた青ハルヒを追い上げるように距離を縮めていく。ホームランギリギリの球ならまだしも、ボールは一向に落ちてくる気配を見せず、さすがにこれは取れないかと思いきや、青ハルヒが脚だけでフェンスを駆け上がっていく。やれやれ……高校一年生の頃から嫌と言うほど叩き込まれていたことだが、一般人の常識はWハルヒには通用しないらしい。三角跳びで蹴り上がってボールを取るのならまだ一般常識として十分ありえる。だがしかし、コイツにはそれは通用しないらしい。フェンスを駆け上がりボールを確認すると、フェンスの一番上からタイミング良く跳び上がった。青ハルヒがバックスクリーン直撃のホームランを見事にキャッチ。OG達の黄色い歓声が聞こえてくる。だがしかし、ボールの威力までは制御しきれず、白帯にあたった理不尽サーブの如くフェンスの外側へと落ちてしまった。審判の判定は四番バッターのソロホームラン。ようやくグラウンドに着地した青ハルヒが不機嫌オーラ全開でテレパシーを送ってきた。
『あ―――――もう!あともうちょっとだったのに!!キョン、もう一順回してさっきの四番出しなさい!今度こそアイツの球捕ってやるんだから!』
『涼宮さん、落ち着いてください。そんなことをしても時間の無駄です。たとえ次の打順が回ってきたとしても、センター方向へは打ってきません。バックスクリーン直撃だったはずの球を、あなたに危うく捕られるところだったんですよ?今、焦っているのは向こうの方。ジョンのレーザービームに加えて、涼宮さんに今のようなプレーをされては、内野安打やセーフティバント、ライト方向を狙うしか打つ手がありません。有希さんはベースから離れてかまいませんので前よりに構えていて下さい』
『分かった』
『とりあえず、明日の相手も生中継を録画して対策を立ててくるはずだ。ハルヒに今と同じチャンスが巡ってくるのは来週以降になりそうだな』
『そんなに待てないわよ……』
まぁ、ピッチャーとしての練習に集中させていればいいだろ。それよりも青ハルヒの今のプレーを見て、高揚している奴の方が問題だ。コイツ、わざと出塁させる気か?「あたしにもチャンスをよこしなさい」と言わんばかりに闘志を燃やしている。当然、ハルヒだ。

 

 7-1で試合再開。続く五番手もピッチャーが青俺で、サードから青有希が前に出ていればいくらバントをしてもセーフティにはならん。先ほどの四番と同様、100マイルの球を初球で打ち返すまでには至らなかったが、ようやくタイミングを掴んだとばかりにバットを握る手に力がこもる。しかし、有希まで青ハルヒのプレーに感化されたようだ。ソロホームランを打たれたにも関わらず、未だにどストレート以外の球を要求してこない。この試合、どストレートだけで勝負をつけるつもりかもしれんな。ハルヒではないが、そろそろ俺もレーザービームを投げてみたいもんだ。続く青俺の投球、監督の采配を逆利用するかのように青有希の顔面めがけて一直線。
「有希!!」
何とかグローブで防ぎ、球が青有希の周辺に転がっていた。すぐさま青俺がボールを拾い、一塁の方へと振り返ったが、既に青朝比奈さんのすぐ後ろに先ほどのバッターの姿があった。刹那、ドーム内が青俺の殺気で満たされる。照準は当然出塁を果たした五番手。青有希に野球のボールがあたったくらいで傷を負うことはないことくらい青俺だって分かっている。まぁ、似たような状況ならハルヒに狙いを定めた球を打った時点で俺もそうなるだろうな。
「あら、彼も良い殺気を放つわね」
なんて朝倉がベンチで話しているかもしれん。だが、これでダブルプレーを取るための条件が整った。相手の五番手どころかそれ以外のメンバーもベンチで脅えている。青有希を狙った打球はもうあるまい。次は打った時点で即アウトになるだけだからな。

 

 未だに殺気を放ったままの青俺に委縮した次のバッターがようやくボックスに入る。バットを持つ手が震えている状態で青俺の投球を打ち返せるわけもなく、三球すべて見送って逃げるようにベンチに戻っていった。
『ちょっとあんた、いつまで殺気出してるつもりよ!相手が縮こまってるじゃない!青有希ちゃんにボールが当たったくらいで怪我するわけないでしょうが!』
『ハルヒさんの仰る通りです。我々には彼が施した移動式閉鎖空間とコーティングがあるんです。このまま勝ち星をあげたとしても、涼宮さんやハルヒさんはおろか、我々ですら試合に勝った気分にはなれません。この状態を維持するようであれば、彼とピッチャーを交代してもらうことになりますが、よろしいですか?』
『キョン、わたしは古泉君の指示でバントの対応をするために前に出ていただけ。さっきはわたしもビックリしたけど、キョンや黄キョン君の投げる球に比べたら遅すぎるくらい。もし同じようなボールが飛んできたら、しっかりグローブで捕る。わたしもキョンが殺気を放ったままで勝っても、嬉しいなんて思わない』
『やれやれ、俺もここまで自分が逆上するとは思ってなかった。みんなすまん。だが、落とし前だけはキッチリつけさせてくれ。朝比奈さん、グローブを構えてください』
青朝比奈さんの返事を待たずに青俺がファーストに向かって牽制球を投げた。少しでもリードしていれば、即アウトになってしまう程、牽制球とは呼べないシロモノだったが、青朝比奈さんが見事にこれをキャッチ。「次はおまえに当てる」と言わんばかりに相手の五番手に目配りをすると、ようやく殺気が納まった。アホの谷口へのデッドボールではないが、ここで一塁にいるランナーにボールを当ててしまえば俺たちは即失格。この大会の話を持ちかけた張本人が、企画を台無しにするわけにもいかんからな。しかし、落とし前としてはルール上何ら問題もないものだったし、俺たち全員納得できるものだった。これでダブルプレーを取れば相手チームの攻撃は終わり、次の俺たちの攻撃で試合終了だ。俄然やる気になったハルヒを後方から見ながら青俺の投球を眺めていた。

 

 逆上した青俺の投球にビビってバットを振ることすらできなかったが、あの3球はあきらかに100マイルを下回っていた。殺気さえなければもう一度ホームランを打たれていただろう。だが、それもこれで終いだ。冷静さを取り戻し、再び160km/hの剛速球が放たれた。
「166km/h」
外野にいる俺に、普段から小声で話す有希の発言など聞こえるはずもない。だが、バッターボックスに立った選手の反応を見る限りでは、これまで以上の球速が出たようだな。ファーストにいるランナーは文字通り牽制されたまま一歩たりとも動きそうにない。青古泉の分析から察するに、レフト側はジョンのレーザービームで一塁にすら到達することができず、センター越えのホームランは青ハルヒに捕られてしまう。セーフティバントの対策も既に立てられている。ライト側ヒットを狙うか、左右どちらかにホームランを放つしか方法がないってところか。二回裏の攻撃がどうなるかは相手も承知の上。ようやく俺やハルヒに出番が回ってきそうだな。いくら打順が後ろ側でも県大会で優勝するようなチームだ。それぞれソロホームランを打てるくらいのメンバーが出揃っているはず。やっとこさ青俺の放っていた殺気を克服することができたのか、青俺の投球に合わせてバットを振った。狙ってきたのはやはりライト側。ランナーが一塁にいる以上、センター前には打てんからな。だが、狙いすぎたのかファーストにいる青朝比奈さんのさらに右側を通ってファール。3球目もボールの威力に負けて後方へと飛んで行った。追い詰められたバッターに与えられた選択肢は二つ。ファールでつないで青俺の投球に少しでも慣れるかヒットを放つかのどちらか。ここでバントを選んでもツーアウトから7-1の点差を縮めるのは厳しいだろう。4球目にしてどうにか右中間を抜く長打で出塁……と、普通の相手ならツーベースヒットだが、ここは俺が抜かせない。ボールを打つ前に右中間に向かって走りだした。
「ハルカ、受け取れ!」
レシーブをするように真正面で打球を納めて、ハルヒに向かってレーザービーム。すぐに一塁に送球して見事にダブルプレー成立。ガッツポーズをしているハルヒを青ハルヒが羨ましそうにセンターポジションから見ていたが、チャンスなら今後いくらでもやってくる。今は打つ方に専念してもらわんとな。二回裏の俺たちの攻撃、悠々とハルヒが満塁ホームランを放ち全国大会初戦を終えた。

 
 

…To be continued