500年後からの来訪者After Future4-20(163-39)

Last-modified: 2016-10-02 (日) 15:33:17

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future4-20163-39氏

作品

OGたちのガールズトークも過激になり、大胆下着だけでは満足できないという奴まで出てくる始末。おそらくこのあともさらに過激なものになっていくに違いない。バレーの日本代表もオフシーズンでも練習場所はここでいいという満場一致の問題ないが炸裂。初日は楽団員が80階のディナーの方へと行ってしまったりとちょっとしたトラブルが起きていたが少しずつ慣れていくだろう。夜練や通し練習を終えてそれぞれのフロアへと向かった。

 

 69階に足を運ぶと青OGが全員揃っていた。
「二人とも誰に送ってもらったんだ?」
「こっちのハルヒ先輩に。家で夕食も済ませてきました」
「いつもこんな時間になるのか?」
「今日はまだ早い方です!黄キョン先輩にマッサージしてもらいたくて!」
「そんなことでいいなら時間が遅くても構わん。どの道告知に行って、ほぼ半日のズレがあるからほとんど寝られないしな」
あまり時間もないし影分身を11体作るとシャンプーを始めた。声が通りやすい閉鎖空間を作ったおかげでどこからでも内容がはっきり伝わってくる。
「そういえば、今どこで告知しているんですか?」
「今はカナダだ。後一つTV局を回ったら次はメキシコだな。その後南アメリカに入っていく」
「世界中回れるっていいなぁ……」
「それ、あんまり期待しない方がいいよ?時差ボケで寝不足だし、自由時間なんてほとんどないし、バレーの練習と試合ばっかり」
「俺の方も似たようなもんだ。空港を出てTV局を回って似たような質問をされて似たような答え方をする。テレポートが使えるからまだいいが、飛行機の中は暇で仕方がない上に寝る時間もほとんどない。今のヒロインのように『依頼が来る限り何歳になってもやるわ!』なんて根性が無ければやっていけないだろう。各国の報道陣もしつこさは同じだしな。そういえば二人ともメイクしたままか。メイクも落としてしまおう」
『どうやって!?』
「じゃあ、後で皆の前で見せてやる。テレポートの応用技だから一瞬で落ちるぞ」
『一瞬で!?』
「あれ?黄チームのOGには前に見せなかったか?池袋店あたりでヘアメイクの練習をしていただろ?」
「あ――!!それ多分、自由が丘店です。そういえば大浴場の鏡で確認したことあります!」
「ってことは、私たちもテレポートをマスターすればそれができるってことですよね?」
「テレポートどころか超能力を頻繁に使っていれば後は閃きとイメージだ。メイク落としも、ジョンにやり方を教わってあの時始めてやったんだ。慣れさえすればあとはやってみるだけだ。この影分身もな」
「世界を映画の告知で回りながら私たちのシャンプーから全身マッサージまでできるなんて……私も早く使えるようになりたいですよ」
「異世界の方は人材に困っている状態だからな。店員をしながらデザインができるとなれば文字通り戦力二倍だ。それにテレポートで着替えも一瞬で出来るようになる。例えば、大胆下着の状態から周りに見られてもいい格好にするとかな」
「私たちも青チームみたいに超能力の練習しようかな……」
「こっちの六人はもうバレーに関しては衰えることが無いように維持するだけだからな。一日置きにやるなんていうのも一つの手だし、バレーについては昼もやっているからな。二人を除いて髪型も揃えたし、入れ替わっても分からんだろう。その間に店舗の店員をやってみるのも一つの手だ。催眠もかけずにビラ配りに行けば、なんでこんなところにいるんだ!?なんて言われてしまうだろうけどな」
「大会以外はずっとここにいたい。大会中もここまで戻って来たい。私、キョンの傍がいい」
「仕事も恋も充実しているなんて、黄私羨ましすぎ!って、恋人じゃなくて、もう夫婦なんだった」
「私も古泉先輩に振られちゃったし、誰かいい人いないかなぁ」
「未経験を離脱したいなら私に言って!いくらでも初体験させてあげるから」
「玩具なんか絶対嫌!それならキョン先輩に奪ってもらった方が100億倍マシ!」
「ハルヒ先輩もこんな気分なのかな……何か今ちょっとイラっとした。多分みくる先輩たちも一緒だと思う。キョンのこと一人占めしたい」
「だからこうやって本体が全身マッサージをしているんだ。告知に行っているのもハルヒ達の相手をしているのも全部影分身の偽物だ」
「それが本当だって証明できる?」
「全部の影分身を解けば俺しか残らない。だが、今の状態だと99階にまだいるかもしれないって疑惑が残るし、告知の方が本物じゃないのかなんてことにもなりかねない。異世界の自分と同じようなもんだ。本物と偽物の違いが分かってしまったら影分身にならないだろう?とりあえず、これで全員マッサージまで終わったし、みんな、湯船に浸れ。メイク落としを見せてやるよ」

 

 風呂桶を情報結合してお湯を入れると、全員の視線が青OGに向く。
「一度見本を見せるから黄チームは試しにやってみるといい。宿舎からここまでテレポートで来られるのなら一人くらいはできるはずだ。メイクを落としたい人の顔を見て、メイクだけ風呂桶にテレポートするイメージをもつ。そして合図をすれば、この通り。メイク落としの完了だ」
『おぉ――――-!!』
メイクをしていた本人には手鏡を渡して確認させていた。
「本当にメイクが全部落ちてる!!」
「じゃあ、あと一人分のメイクを誰が落とすか勝負でもするか?」
『絶対やります!』
じゃんけんで順番を決めて試してみたら一番手ができてしまい、残りのメンバーは確認できず。
「じゃあ、次だ。今日着る下着を選んでそれぞれのベッドにつく。決めた下着をテレポートで着ることができた人から寝る。一番最後の人は……何か罰ゲームでもつけるか?」
「黄キョン先輩、それじゃ黄チームの方が有利ですよ!」
「なら各チームごとにしよう。そうだな……最初に着替えを終えた人が選んだものを履いて明日一日過ごすっていうのはどうだ?」
『問題ない!』

 

 全身マッサージを終えた後というのもあるだろうが、時間も時間だし、眠くなったメンバーもいるだろう。そこまで時間をかけることなく今日着るランジェリーを選び終えると、スタートの合図を出した。黄チームは二人がほぼ同時だったが、指を鳴らした音の差で一位が決定。ランジェリーを見ながらどれにしようか迷っていた。青チームは上下同時とはいかず、一つずつドレスチェンジをするように切り替えたOGが一位を獲得。青チームは過激なものが選ばれそうだ。ようやく勝負がつき、一位から最下位へ明日着る下着の進呈が行われた。
「え――――――!!こんなの履いて練習するのぉ!?」
黄チームの最下位に提示されたのはクロリスTバック。パールショーツのパールが大きくして、後ろはTバックにしたものだ。そして青チームには、以前ヒロインが着ていたほとんど布地のないセクシーテディの中でもセクシー過ぎるものが選ばれた。明日は全員の前で立ち会いのもと、着替えが行われることになるだろう。決まったところで妻を抱えた。
「じゃあ、俺たちはこれで。みんな、おやすみ」
『おやすみなさい』
フロアの照明を消すと、100階の個室へテレポート。二人でベッドに横になる。
「もう、こっちも皆寝ているみたいだ。まぁ、俺が最後に変なゲームをやったせいってのもあるんだが、まだこっちでシャンプーから全身マッサージってわけにはいかないか?」
「みんなと一緒の方が気が楽なのもある。それに、さっきも話題になっていたけど、初体験して間もないのにあんな過激なの見せられたら……」
「たとえ仲間でも、初体験の相手が俺じゃやっぱり嫌か?」
「キョンのこと一人占めしたい。私のことだけ考えていて欲しい。そうじゃなきゃ嫌!」
「青ハルヒやみくる達も同じ気持ちでいる。だから一夫多妻制なんて日本じゃありえないことになった。それだけ思ってくれている奴がこんなにいて俺なんかでいいのかなんて本気で思っているんだが、ようやくみんなの気持ちに応えることができた。それでもこういう状態だから、一人占めってわけにはいかないが、できるだけみんなの要望に応えてやりたい。明日の午前中はサーブ練の前までバイクでどこか行ってみないか?まだポルシェだけだっただろ。行きたいところがあれば連れていってやる」
「キョンとそんな時間を過ごせるなら私はどこでもいい。思いっきり抱きついていてもいい?」
「ああ、それでいい。みんな待っているだろうし、今日はもう寝よう。明日の夜にでもまた抱いてやる」
「嬉しい。おやすみ、キョン」
「おやすみ」

 

俺の方から口づけをして眠りについた。とりあえずここまでを同期すると、天空スタジアムの音響はあれでOKだったようだ。明日は古泉がチケット販売業者に連絡を取ることになっている、か。それに有希が昨日の情報爆発の件で礼を言ってきたようだ。
「美姫の力を青チームのあなたに渡した後、あなたの説明で、わたしや朝倉涼子、朝比奈みくる、ジョンが宇宙人、未来人だと言わずに済んだ。店舗のアルバイトと同様、青チームのOGにはまだそこまで話すわけにはいかなかった。あなたのおかげ。ありがとう」
有希が「ありがとう」なんて言ったの…いつ以来になるかな。それだけ有希も宇宙人として、ヒューマノイドインターフェースとしてではなく人間としてありたかったからだろう。しかし、ジョンは朝倉と将棋の最中だろうから交代できないし、精々スカウターでジョンの世界の様子を見ながら俺とヒロインの分の食事作り。とはいえ、本体がこっちにいるから影分身が食べても解除と同時に消えてしまう。青ハルヒがOG二人のことを青新川さんに伝えているかどうかは知らんが、念のため作っておくことにしよう。夜練からみんなが寝るまでは忙しいが、他の時間はそうでもない。異世界の電話対応も青圭一さんと愚昧で十分対応できる。後は店舗の店員を青古泉たちと交代する程度。来週からはアルバイト募集をかけながら俺とOGで店員を務めればいい。ビラ配りのときはヘリの運転もするようにしよう。今までみんなの食事作りばっかりでほとんど仕事らしい仕事はしていなかったと今頃になって気付いた。しかし、報道陣も来ているというのに、零式の練習をしていいのか?
『世界各国の代表たちが知りたがっているのは零式の対応策の方だ。撃つだけなら大して問題にはならない』
なんだ、朝倉と対局中じゃなかったのか?
『キョンが色々と考えているから遮音膜でも張ろうかと思っていたところだ』
それはすまないことをした。だがそっちにも行けないのに二人分の料理を作って待っているだけってのは暇でな。
『色々と制限がかけられている今の状態で24時間稼働し続けていれば、嫌でもそうなる。そろそろヒロインから離れてみたらどうだ?』
そうするか。そろそろ空港に着く頃だしな。昼食は本体で食べることにしよう。

 

 ヒロインの自宅で食事をした後、ジョンのアドバイスを受けてヒロインに仕事に戻ると提案して快諾を得た。今後も一緒に寝るときとそうでないときに分けることにしよう。こちらでの朝食はやはり青OG二人分は用意されておらず、俺が作っておいた二人分をテレポート。他のOG達が羨ましがっていた。
「二人が来たのがかなり遅かったからな。用意しておいてよかったよ。昼食から二人の分も追加して欲しいんだが、今後どうするか今の段階で決めておきたい。二人ともどうするつもりだ?」
「できれば、毎日キョン先輩にマッサージして欲しいです。夕食は家で食べてくるので、朝食だけでもお願いできないかなって……」
「わたしもそうさせて欲しいです。今の勤務先ではストレスを溜めてばっかりなので」
「なら、朝食は毎日、昼食と夕食は土日だけでいいか?」
『よろしくお願いします!』
「というわけだ。ハルヒ、有希、それに青新川さん、食事の支度の方をお願いします」
子供たちは既に拡大されユニフォーム姿で食事をしていた。加えて、青チームの自分に既に話をつけておいたようだ。午前中は俺とバイクで出かける分、青チームの自分にユニフォームを着せていた。戻ってきたらドレスチェンジするらしい。
「キョン、結婚指輪を購入したところに連れていって欲しいんだけど、いい?」
「構わないが、何を買うんだ?」
「世界大会までまだ大分先だけど、いつ買いに行けるかも分からないし、キョンと二人で選んだネックレスをつけて試合に出たい。お願い!」
「じゃあ、そこに行ってネックレスを選んだら、あとは適当にドライブでいいな?」
「うん、ずっとキョンに抱きついていたい」
「じゃあ、後ろに乗れ!行くぞ」
昨日寝る前に断言していた通り、こっちが苦しいくらい思いっきり抱きつかれた。オートでサイコメトリーが発動し情報が流れてくる。昨日の罰ゲームのクロリスTバックではないが、今日はパールショーツの上にアンスコを履いているようだ。青みくるもそうだったが、振動で秘部が刺激されても知らんぞ。まぁ、それはそれで俺のコレクション入りするからいいか。閉鎖空間を展開して地下駐車場から飛び出した。

 

 ポルシェと同様、MAXスピードで駆け抜けているため店舗に行くまでに大した時間はかからなかったが、バイクから降りて早々腕に抱きついてきた。大分恋人らしい関係になってきたようだ。堂々と店内に入るとネックレスが飾られているガラステーブルへ。来て早々、しばらくもしないうちに一つのネックレスが眼についた。
「これなんかどうだ?指輪とセットでいいんじゃないか?もっとも、指輪は関係者にしか見られないけどな」
「あっ、ホントだ。キョンの言う通り、これなら指輪とセットにできそう。私もこれがいい!」
「じゃあ、決まりだな」
「でも、いいの?指輪もみんなより高かったみたいだし……」
「『値段は気にしなくていいから気に入ったものを選べ』と言って自分で選んだんだ。同じ条件で一番気に入ったのがそれだったんだから、別に文句は言えないだろ。それに、来年は俺からみんなに指輪を刻印入りで送ることになっている。もちろんおまえも入れて八人全員だ。そんな些細なことでひねくれるような奴とは即離婚するからな」
言い放った瞬間、抱きつかれた。俺が選んだのは天然ダイヤモンドを中心に添えてピンクサファイア10石がグラデーションで並んでいるネックレス。残りの部分はすべてプラチナだ。値段は五万円を超え、ネックレスとしては高い部類に入るものだが、ようやく俺の給料の使い道ができたんだ。俺の年収を知っているのは精々青有希くらい。すぐに店員を呼んで購入次第、俺が前からネックレスをつけてやった。昼食までには確実に全員にバレるだろう。他の妻が何て言ってくるか…だな。本社に戻ると69階でドレスチェンジをして青チームの自分と入れ替わった。サーブを撃つ頃には他のOGたちもネックレスに気付いていた。

 

 81階に着くやいなやネックレスを巡ってOG11人が大騒ぎ。「どこで買ったの?」だの「いくらしたの?」だの「日本代表選手が練習抜け出してキョン先輩とデートするな」だの色々と文句を言われていたが、本人は嬉しさを隠しきれないらしい。バイクの二人乗りも含めて十分デートになったようだな。ついでに俺の席の後ろから視線が二つ突き刺さっていたが、無視しておこうと思ったが、無視できなかった。
「キョン、アレ一体どういうことよ!?」
「アレって言われても何のことか分からんぞ」
「OGのつけているネックレスに決まっているじゃない!皆が仕事している合間にあんた、何やってんのよ!」
「世界大会まではまだ半年以上先になるが、いつ行けるかどうか分からないし、願掛けの意味も込めて二人で選びたかったって話になってな。それで指輪選んだのと同じ店でネックレスを見に行ったんだ。ネックレスのコーナーに指輪とピッタリ合うものがあって、それを選んで買ってきた。日本代表が世界大会の試合をしている姿を見ると、全員ネックレスをつけていたから俺も提案されて納得したよ。一夫多妻の中で一番早かっただけであって、時間があれば他のみんなとも二人っきりの時間を過ごしたいんだ。みくるとドライブに行くとしてもどこがいいかなんて考えていたり、同じドライブでも青みくるは午後は試合に出るだろうし、ハルヒや有希だって同様だ。W佐々木は研究に励んでいるし、告知さえなければ、影分身を全部解除して青ハルヒと温泉旅行に行って来たいくらいなんだ。黄チームSOS団はオーケストラの練習もあるだろうし、スケジュールが分からんと二人っきりの時間ができないだろ?ハルヒ達が練習試合に出る以上、俺はこの後青古泉と店舗の店員を代わってくるつもりでいる。試合に出たくても出られんからな」
「問題ない。わたしもバレーの試合に出たい。練習は月・水・金・土曜の午前中の予定。来週のコンサートの後は基本日曜の夜をコンサートにする。来週の次は十月三十一日(日)時間は午後七時から。土曜日はライブや野球の試合が入る可能性が高い。古泉一樹、チケット販売業者に連絡をしておいて。それに明日からのビラも変更する。曲目は今のところ未定。楽団員に聞いて全員が納得した曲を選ぶつもり。でも来週行う曲を入れても平気。二度演奏してもかまわない」
「了解しました」

 

「黄有希、一つ確認させてくれ。一月以降もコンサートを日曜にやるつもりか?」
「急に何を言い出すのよ!あんた!楽団を仕切っている黄有希に文句でもあるって言いたいの!?」
「くっくっ、確かに十月三十一日なら心配いらない。でも、『基本日曜の夜にコンサート』というわけにはいかなくなるんじゃないかい?特にこっちのキョンが言っている一月以降はね」
「あのー…一月以降に何かあるんですか?」
「一月……あっ!!一月五日のライブが終わってから一般開放するってキョン先輩言ってました!」
「なるほど、天空スタジアムに来る一般客は星空と夜景を見に来る。土曜日を一般開放しない日と決定した以上、日曜の夜までコンサートがあると一般客が来られないということか。我々の世界の方も注意する必要がありそうだ」
「自分で土曜を一般開放しない日と提言しておいて、すっかりそのことを失念していましたよ。ですが、どうするんです?異世界の方の野球は海外組まで呼んでいる以上、我々がスケジュールを合わせる必要があります。かといって、昼にコンサートを行っても天空スタジアムの特質性がまったく活かされません」
「黄朝倉や黄佐々木はコンサートのときに俺たちの世界で野球の試合が組まれたとしても、朝倉と佐々木が代わりに演奏すればそれで済む。それと、ミスサブマリンと二つ名まで付けられたハルヒを出さないわけにはいかん。問題は黄ハルヒの指揮と黄有希のバイオリンでのあの演出と朝比奈さんの例の曲をどうするかだ」
「問題ない。その場合、未来のわたしを呼んで演奏してもらう。青チームの朝比奈みくるの演出も年末年始の特番と一月五日までのライブで披露すれば十分」
「ちょっと待て、有希。別の時間平面上のおまえを呼べば確かに解決するだろうが、どうして未来なんだ?どの時間平面上の有希のことなのかおおよその見当がつくし、その引き換え条件も想像できる。だが、未来の時間平面上でおまえがいなくなるとタワーが襲われるんじゃなかったのか?」
「問題ない。そのときベンチにいる戦闘員をあなたが送るだけ。そのときに相応しい人間を選ぶとすれば、青チームの古泉一樹がそれに該当する」
「ってことは監督不在になるってことだろうが!あんなのでもそういうとき『だけ』は頼りになるんだ!それに黄ハルヒはどうするのかまだ解決してないだろうが!」
青俺の発言にこっちのOG全員が首を縦に振った。青OGの方も納得しているようだ。
「それについては問題ありません。違う時間平面上の相手に対してテレパシーを送ることができるのは、以前確認済みです。未来の有希さんが野球の映像をモニターとして出してくだされば、それを見ながら指示を送ることができるでしょう。特に涼宮さんや佐々木さんの交代のタイミングについては青僕に一任することになるかと」
「先輩たちの話についていけません。異世界だけじゃなくて過去や未来にも行けるんですか?」
「ジョンとみくるがタイムマシンを持っているから行くことは可能だ。ドラ○もんのタイムマシンのように時間遡航しているようなものではなくテレポートのようなもんだけどな。ただし、未来に行って面白いものを見つけたから持って帰ろうなんてことをすると警察に捕まることになる。過去に行ってもっと早くから勉強させておけば……なんて声をかけてやり始めたとしてもそれはその時間平面上でのこと。こっちには何の影響もない。それで、おまえはどうするんだ?ハルヒ」
「決まってるじゃない!あたしは野球の方を選ぶわよ!楽団のコンサートなんていくらでもできるんだから、過去のあたしを呼び出せばそれで済むわ!」
『キョンパパ、試合!!』
「とりあえず、一月以降のライブやコンサートについては全て土曜日で日曜は一般開放するでいいな?」
『問題ない』

 

ハルヒ、有希、青みくる、子供たち三人じゃ、他のメンバーは参加できそうにないな。OGたちも他のコートに入っていそうだ。
「ごめん涼子、キョンとちょっと話したいから、古泉君と代わってきてくれない?終わったらキョンが行くだろうから」
「分かった」
「話って何だ?」
「ねぇキョン、告知中でもいいからさ、二人で温泉旅行に行かない?その間は告知以外の影分身はしないで、あたしだけの時間にして欲しい」
「おまえがそれでいいと言うなら付き合うが、平日にしてくれないか?夜練が青俺とジョンしかいない理由付けができるからな。その代わり、告知の方が影分身で青ハルヒと行くのが本体。後は一切影分身しない。ずっとおまえとの時間を過ごすことにする。それでいいか?」
「じゃあ、月曜日から出発ね!」
「キョン君、わたしも二人で出かけてみたいです!行きたい場所が決まったらわたしともデートしてください」
「くっくっ、何もキミ一人が思い悩むことはない。そうだね、二人っきりの時間が欲しいと思ってはいたけれど、ちゃんとした目的を僕たちは持ってはいなかった。目的が決まったら付き合ってもらえないかい?」
「ああ、それで構わん。ところで青ハルヒ、今月号のハルヒの映っているページにサインしてもらえないか?『Miss Submarine 涼宮ハルヒ』ってな」
青ハルヒに情報結合した今月号とサインペンを差し出すものの、何を意味しているのか分からず、しばしの間をおいてようやく受け取った。
「一体これで何をするのよ?」
「異世界でもビラ配りに行くんだよ。おまえと、長門優希、佐倉玲子の三人ならサインを求められてもおかしくない。青有希や青朝倉を連れて試しに行ってみて欲しい。青朝倉の食材の注文の関係で、できれば午前中にな。そろそろ異世界の方も次のステップに入ってもいい頃だ。社長のおまえが動かなくてどうする。今日はビラがないから無理だが、異世界用のビラはおまえが作って自分で撒いてこい。発注が多すぎて倉庫が追い付かないくらいにしないと異世界支部が立ち上がったとたんに暇になってしまうからな」
冊子とサインペンを受け取って見てみると、文句なしの筆記体でサインが書かれていた。
「面白いじゃない!丁度来たみたいだし、古泉君とも相談してみるわ!」
「なら、青朝倉と交代してくる。後は頼んだぞ」
「あたしに任せなさい!」

 

 告知の方は、メキシコのTV局二つを回ってホテルに着いたばかり。これまでの報道陣に対する鬱憤を晴らすかの如くヒロインが怒りだし、俺がなだめる役になっていた。今回はヒロインの方に影分身が付くことになりそうだ。時間も限られているし、弁当も朝食と昼食の用意をして、濡れたアンスコ同様、今の状態を維持する閉鎖空間で覆っておけばいいだろう。異世界の店舗の店長として俺が立つのは確かこれが初めてのはず。電話対応も愚妹と青圭一さんで十分な状態。青俺と勘違いしてアルバイトにサインを強請られたが、まぁ、このくらいはいいだろう。夜練の前には誰かが来るだろうと思っていたのだが、夕食時を前にして青古泉が戻ってきた。
「やれやれと言いたくなりましたよ。夜練も含めて夕食の会議にあなたにも出てもらわなくてはならないからと、半ば強引に交代させられてしまいました。夕食後にどなたかこちらに呼んでいただけると助かります」
「分かった。昼の会議の内容は把握しているか?」
「ええ、未来の有希さんを連れてくる代わりに僕が行くことになるとは思いませんでした。ですが、モニターも用意してくれるようですし、テレパシーが可能であればベンチからでなくとも指示は出せそうです」
「じゃ、後を頼むな」
本社81階に戻ると子供たち三人は既に原寸大に戻っていた。俺が席に着いてようやく夕食。青ハルヒから旅行の件について報告があり、OG達を含めてほとんどのメンバーがガックリとしていたが、青OGから疑問が飛び出した。
「ハルヒ先輩と二人で旅行って、どういう経緯でそうなったんですか?」
「俺たちが高校三年生の頃からやっていた毎年恒例の行事だ。一月二日にそれぞれ好きな文字を書いて、W鶴屋さんが審査をする。文字の綺麗さは審査対象外。その文字から伝わってくるものや思いでランキングを決めて発表する。一位になった人には二泊三日温泉の旅、副賞として、誰と行きたいかこの中のメンバーから一人指名することができる。勿論指名されれば絶対に断れない。今年は子供たちも書き初めを書いたんだが、この双子が同率一位になってしまってな。こんな書き初めに誰も対抗できるわけがないってことで、子供たちは審査対象外になった。そして、三位に輝いた青ハルヒに温泉旅行が当たり、俺が指名された。来年は青O……『わたしも参加します!!』
やれやれ、言いきる前に返事がくるとは……ってこっちのOGも似たようなものだったな。

 

「しかし、今年は荒れそうですね。誰が一位になるのか僕にも検討が付きませんよ」
「キョン、横文字って書いていいの?」
「あのな、こっちのOG全員に話したはずだ。第一回は誰のどんな字が一位になったか思い出させるな」
『あ……なるほど』
青チームの圭一さんたちと青OGは何のことかさっぱり分からんだろうが、聞かない方が身のためだ。
「一位なのにそんなに酷い内容だったの?」
「絶対に気分を悪くするからこれ以上聞かないで!青チームの私たちなら特に!この件はもう水に流して来年の書き初めで一位を取ることを考えた方がいい。絶対!」
いくら止めても無駄だろうな。ここまでのヒントでおおよその見当がついてしまう。何か別の議題は……閃いた!
「それで、青ハルヒ、さっき言っていた件、青古泉と話してどうなった?」
「ビラを作ってあっちの世界でもバラ撒くわ!有希と涼子に催眠をかければいいんでしょ?たった三人だけだし、テレポートで各地をまわればいいわよ」
「よし、じゃあ夜練もあるし、他になければ解散にしよう。店舗にいる三人と代わってきてくれ」
『問題ない』
『ところで、罰ゲームの結果をあとでみんなで確認でもするか?』
『プッ……くくく、問題ない!』

 

夜練も恙無く終えると69階では俺がテレポートしただけで大騒ぎ。
「それじゃ、黄キョン先輩も来たことだし、結果発表―――――――――!!」
『YEAH――――――――――――――――――!!』
これに関しては青チームのセッターの子が中心になりつつありそうだ。既にセクシーランジェリーだけでは満足できなくなっているからな。ちゃんとトス上げられるんだろうな……でないといつまで経っても入れ替えができん。超能力の方の修行もあるしな。
「もう、練習中に周りにバレたりしないか気になって仕方が無かったよ。ずっと濡れたままで気持ち悪かったし」
「私も。早く脱ぎたくて仕方が無かった」
ようやく脱げると分かると黄チームは下半身に履いていた服やアンスコ、ランジェリーを一気に脱ぎ、青チームの方はセクシーすぎるほどのセクシーテディをつけていたため、上半身から脱ぎ始めた。どちらも「濡れている」という域を超えており、秘部とアンスコをつなぐように糸を引いていた。妻の分も合わせてコレクション入りにでもしておこう。
『おぉ―――――っ!!』
「未経験とは思えない濡れ具合ですなぁ」
「どこのおっさんだ。おまえは……」
『あははははは……』
「とりあえず、トイレで拭いてくる」

 

二人がトイレから戻ってきたところで全員全裸になり、シャンプー台に首を乗せた。シャンプーを開始しても話題はランジェリーや玩具について。さっきの書き初めのことはもうどうでもいいらしい。
「はぁ……こんなに気持ちがいいシャンプーとマッサージを二日間も我慢しなくちゃいけないなんて……」
「お願い!一晩でいいからキョン先輩貸して!」
「俺はDVDじゃないんだが?」
「でも、先輩以外の相手なんて考えられないですよ!」
「私は頭が悪かったから行けなかったけど、四人ともキョン先輩を追いかけて大学受験していたしね。もうちょっと頭が良かったら私も受験したんだけど……」
『それが動機で大学受験したの!?』
青OGが六人とも驚いている。じゃあおまえらは一体何を動機に大学受験したのか聞きたいくらいだ。みんなが行っているから、大学くらい出ておかないとくらいのものよりはよっぽどマシだな。
「動機なら俺たちも似たようなもんだ。みくるを追いかけて大学受験した。ハルヒが『大学でもSOS団やるわよ!』なんて言ってたし、みくるはそのための部室確保に動いていたくらい。ただ、変な方向に噂が広がって欲しくなかったし、ベクトルをいい方向に向けさせようとしてこの会社ができた。北口駅前店第一号の客がどちらの世界も一緒になるとは思わなかったがな。アプローチの方法までまったく一緒。『オープン前に空けてもらえませんか?』と俺に聞いてきた。電話がかかってきたときは笑いを堪えるのに必死だったぞ。他のメンバーもそうだが、どこで見分ければいいのやらさっぱり分からん。精々バレーの技術面くらいか。玩具に夢中になっていたら正確なトスなんて上げられないぞ?」
「あの白い世界では使ってないので大丈夫ですよ。先輩、ちょっと聞きたい事があるんですけど……耳貸してもらえませんか?さすがに恥ずかしいので……」
「あんたが『恥ずかしい』なんて言うレベルの質問なんてあるの?」
影分身がそれを聞き、質問の答えを返した。
「ああ、それなら中に詰まっているものをテレポートしているだけだ。一欠片も残さず匂いも一緒にな。試しにやってみようか?」
「ぜひお願いします!使ってみたいものがあるので」
『使ってみたいもの?』

 

 全身マッサージまで終えると浴槽に浸かってガールズトークが再開した。
「結局、お風呂でも指輪もネックレスも外さないんだ」
「うん。絶対になくしたくないから。みんなもネックレス見に行ったら?」
「そのネックレス見せられたら、どんなものを買えばいいか見当もつかないよ。必勝祈願だけじゃ物足りなくなっちゃう。+αの何かが見つかるまで買えそうにないもん。それより、青私は何するつもりなの?」
「明日からしばらくは同じものをつけようかな~ってだけ」
「どんな下着をつけるつもりよ。私まで恥ずかしくなっちゃいそうだからあんまり過激なのやめてよ?」
「じゃあちょっと取ってくる!」
11人が気になってその様子を見ていた。あさっているのはランジェリーでは無く玩具がある場所。見つけるなりそれを掴んで全員の前で見せた。
「これ!」
『ええええええ――――――――――っっ!!』
「これで二人の違いがはっきりしたな。W古泉の違いと何ら変わらん」
『問題ない!』

 
 

…To be continued