500年後からの来訪者After Future5-1(163-39)

Last-modified: 2016-10-02 (日) 15:32:40

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future5-1163-39氏

作品

ついにお披露目となったSOS天空スタジアムの今後の使用計画もさることながら、青チームのOG残り二人の配慮についても全員の前で確認し合い、異世界支部の経営についても青ハルヒと青古泉で次の段階へと進めることになった。ハルヒ達と過ごすより仲間たちと一緒にいた方が楽だという妻に本体がつくようになり、ゆっくり段階をあげて行こうとしていたが69階の方でも、「かなり」と言うにはまだ足りないほど、選ぶランジェリーの大胆さが増してきていた。

 

「こっちの古泉先輩と私を一緒にしないでくださいよ!」
「変態度だけで言うなら変わらないじゃない!こっちまで恥ずかしくなるようなことしないでよ!」
しかし、変態度という言葉に関して誰も違和感を持たずにいるってところがまた凄いな。
「でも、それ、本当につけるつもり?」
「もちろん!」
選んで持ってきたのはいわゆるセックスパンツと呼べるもの。秘部の前後両方を串刺しにするほどのものが二つ、黒いベルトに備え付けられていた。流石に立ったままでは着けられないと判断したらしく、床に置いたベルトに腰をおろして少しずつ体内へと入っていった。他の11人は唖然とする以外何もできないでいた。
「キョン、そろそろ私も上に行きたい」
「じゃあ、浴槽から出てこい。余分な水は全部吸着してやるよ」
「ここにくるようになってから毎日やってもらっているけど、ドライヤーもバスタオルもいらないんだ……」
「やり方さえ知っていればみんなでも簡単にできる」
『ホントですか!?教えてください!』
「まず、俺が渡したエネルギーを球体で出す」
「えっ!?いきなりそんなこと言われても……って、出た!!」
「イメージだけですぐにできる。それでこの球体に条件を付けるんだが……つける前に全員浴槽からあがった方がいい」
球体を出したまま風呂から上がり11人全員がこちらを向いた。球体を消さないよう細心の注意を払っている。
「よし、全員上がったな。じゃあこの球体に『自分についている余計な水分を吸着する』という条件を付ける。注意して欲しいのは『自分に』ってところと『余計な』って部分だ。これをつけないと浴槽の水全部吸着されてしまうし、『余計な』を入れないと自分の涙、唾液、汗はもちろん、鼻水、胃液、終いには小便まで吸い取られてしまうから注意しろよ?全部吸着できたらシャンプー台の上に移動させて条件を解く。球体は自分のエネルギーとしてしまっておけばいい」
『おぉ~!』「凄い、できた」「何だか面白い!」
「これを応用すると、汗でべたついたユニフォームを乾かすこともできるし、アンスコが濡れて早く脱ぎたいなんて時に使うと便利でいい。この条件を埃に変えれば。どんなに埃がたまった部屋でも舞空術で一周するだけで掃除ができる。特に青チームなんかは当分実家には帰らないんだから、戻ったときについでに掃除するといい。仕事中の二人はいいが、他の四人も一度帰った方がいい。部屋が埃まみれになっているかもしれないし、携帯に誰かからの連絡がきているかもしれん。ただし、これを使う場合は、俺たちなら大丈夫だが、他の日本代表や監督たち、報道陣の前でやらないこと」
『問題ない!』

 

 声は遮音膜で聞こえないが、ハルヒ達もまだ抱き合っている最中のようだ。余計な水分は吸い取ったが、裸のままテレポートすることになってしまったな。クールケットをかけて妻を抱き寄せた。
「どうした?流石にショックでも受けたか?」
「あれはやりすぎ……あんなものをつけていたら、まともに歩けそうにない。それに、あの時何を聞かれたの?」
「ああ、『お尻の方も使いたいときってどうしているんですか?』だとさ」
「えっ!?お尻の方って……そんなの、汚いよ。下剤飲んだりしない限りは……」
「普通ならその方法でしっかり綺麗にしてから……ってことになるが、これもテレポートで解決できる。体内に溜まっているものをすべてトイレに流すだけだ。一欠片も残すことなく匂いもすべてな」
「でも、あのあとトイレで水が流れる音なんて……」
「トイレの個室一つ一つに透明な遮音膜を張ってある。自分だって聞かれたくないだろ?大きな音がでそうなときは特に」
「そうだね。私も毎回水を流す音でごまかしてた」
「黄チームがバレーに熱中している間、青チームは恋に熱中していたみたいだし、『そんなの大胆すぎる』なんて思うものでもそこまで抵抗がなかったりするみたいだな。どうする?他のメンバーも全員日本代表になってしまったんだ。引退するまで結婚するどころか恋人さえ作れないぞ」
「うん……それを考えるとみんながそれでいいって言うならキョンが初めての相手でもいいと思う。でも、ハルヒ先輩たちが何て言うか……それにたった一回きりで終わりそうにないし。私だってキョンに毎日抱かれてたまにはちょっと大胆なこともしてみたいかなって」
「じゃ、何度も体験して、たまには大胆なこともしてみようか」
「うん。いっぱいして欲しい」
「なら、遠慮なく」

 

 Wハルヒは有希は毎日のように抱き合っているが、WみくるやW佐々木の方は裸になってはいるものの、抱きしめて話している事の方が多くなってきた。W佐々木にとっては喉から手が出るほどの貴重な時間だからな。佐々木の方は妊娠が確定したことも要因の一つだろうな。子宮の中で今もなお細胞分裂を繰り返しているのが分かる。しばらくもしないうちに照明が消え、俺にとっては苦痛な時間がやってきた。ここの今告知に行っている国とでは時差は約半日。ジョンの世界にも行けなければ眠れもしない。精々スカ○ターでジョンの世界の様子を見ながらOGの超能力の練習にテレパシーでアドバイスする程度。ヒロインの夕食の支度をするくらいしかやることがない。やれやれだ。
 待ちに待った雑談会+朝のニュースの時間帯。異世界の方は、フジ系列で国民的アイドルからのアプローチがこなければあとは用済み。俺が見たかったのはアメリカの新聞がどうなっていて、日本でもそれが報道されているかどうか。案の定、既に日本にも情報が入っていたようだ。『全米が二度見た』などという大袈裟な見出しに俺の写真。記事には、各映画館で急遽、警備員が配置され、俺の映画を一度みた奴がそのまま席に居座り、もう一度見ようとして、次の客ともめているなどのトラブルを止める仕事についていた。また、一旦出てからもう一度チケットを買ってもう一度見ようとする客も続出。映画館に来ても見られずに帰る羽目になった客も大勢いたらしい。各映画館では明日から『Nothing Impossible』を上映する会場を一つ増やし、他の映画を削る予定と書かれていた。同期してヒロインにも新聞を見せてやることにしよう。

 

『キョン、時間だ』
ジョンの合図とともに100階にいた妻達にいつもの挨拶。OGの方も気にしていたのだが、今回二人で話をしたかったのは青ハルヒの方。内容は無論温泉旅行について。
「ハルヒ、明日から温泉に行くのはいいんだが、宿はどうする?それに食事もだ。特に初日は夕食の間に布団が敷かれるからずっと部屋の中ってわけにもいかんだろう?」
「それもそうね。でも、こっちに戻ってきて食事するよりは美味しくなくても現地で食べたいかな。温泉なんかもどうでもいいわ!二日しか入らない温泉の効能なんて出るわけがないわ!あんたが毎日してくれているオイルマッサージの方がよっぽど効果的よ!」
「泊っている間のシャンプーから全身マッサージまでのこともそうだ。向こうで情報結合するか?」
「そういうことになりそうね。とりあえず、細かいことはあんたに任せるわよ。早く着替えさせて!」
敷地外にはアメリカの新聞の影響で報道陣がうじゃうじゃ。俺は今南アメリカだっていうのに、何の目的でここに来たんだ?あいつらは。また、例の手で撒いておくか。そこで溜まっていられると狙撃出来ないんだというイタリアのマフィアからの警告ってことにしておこう。今回はけが人を少し増やすか。これをやる度に逃げていく方から攻撃を開始した。カメラは全て破壊、女性でも容赦なく太股を撃ち抜き、三人が倒れた。いつもとは逆方向に逃げて行き、危うく車と追突しそうになっている。倒れた三人を助けに行く輩は誰もおらず、パトカーと救急車が来るまでそこで放置されていた。

 

「サイレンが鳴ってるけど、あんたまた報道陣を追い払ったの?」
「ああ、南米にいるはずの俺に対してあんなところでうろついていて、何の目的でいるのやらわかりゃしない。本当にイラつくよ。どこの国の報道陣でもな」
「黄キョン君なら戻って来ていたとしてもおかしくない。多分そう考えてる」
「だとしても、ほとんど一階に下りない俺に対して、敷地外からどういうアプローチをしようとしているのか訳が分からん。ああいう程度の低い人間に、何の関係もない人間が殺されたと思うと尚更な。とりあえず俺はこの後人事部に降りる。明日は朝食を食べたらすぐ出かけるから後を頼む」
「人事部に降りるって、今日はキョン君のお休みの日ですよ?」
「告知でまだ二つTV局を回らないといけない。それが終わったらホテルに向かうことになっている。休みにさせてもらえるのなら午後から寝かせてくれ。どの道、明日から三日間は二人で旅行に出るんだからな」
「キョン、先月は何回寝られたのか教えてくれないかい?」
「精々二、三回。合わせて10時間いくかどうかだ」
「あんた、そんなに……?」
「気にするほどのことでもない。報道陣に苛立っているだけだ。疲れているわけじゃない」
特に今日議題にするようなことはない。精々古泉の影分身がチケットの売れ行きを教えてくれるくらい。あとはその売れ行きを見て楽団の士気が上がりそうなら明日の練習で伝えればいいだろう。一日の試合を受けて水曜日にどんな編集をしてくるか気になっているってところか。金曜日のディナーに土曜のコンサートで少しでも癒しの時間ができればそれでいい。日本代表選手にエレベーター内で合わない様にテレポートで降りた。

 

「はい、SOS Creative社です」
「バレーの取材に来た者なんですが、敷地内に入れないんです。これはどういうことですか?」
「あなたのようにバレーのついでに天空スタジアムまで秘密裏に撮影しようとしている人間はすべて察知されて入れないことになっていると社長から言付かっております。天空スタジアムの撮影は諦めてから出直してきてください。では、失礼します」
「ちょっ…」
怪我人を出したのにもう集まってきたのか。うざったい連中だ。そういや、銃弾を使わなくても一気に破壊する方法があったな。念のため後ろからやってみるか。ステルスを張って報道陣の背後を取ると視線を向けただけで機材がすべて大破。今日くらい執拗に攻めてやってもいいだろう。
『ピッ○ロさん、ありがとうございます!』
これで、おまえの正体がカメラに映ることはない……って、案の定そのシーン入れてくるのかよ!もうちょっと捻りを入れるとかボケるとかあるだろうが!
『これに関しては、邪道は一切許されない』
それはただのおまえのポリシーだろ!まぁいい。電話対応の続きだ。報道陣からの取材はすべて排除して、大分や熊本のツインタワーに引っ越したいという連絡がある度に詳しい事情を聞いていた。あとはディナーの予約があったが、二月のバレーのオンシーズン中の予約はすべて断っていた。

 

 昼食時、またしても新たなカメラを担いで集まる報道陣たちの機材を全て破壊して81階に戻った。
「やりましたよ!チケット販売開始30分で全席埋まったそうです!僕も精々アリーナ席を埋めるくらいしか集まらないと踏んでいましたが、こんな結果になるとは思いませんでしたよ!」
「青みくるの曲はアンコールで出すことにするんじゃなかったのか?」
「そう。ビラも本社の大画面も青チームの朝比奈みくるのあの衣装姿を載せることも、曲名を入れることもしていない。わたしも予想外」
「垂れ幕も外して次のものを垂らしておいたし、報道陣やチケット屋に買い占められた可能性もあるが、対応策は既に立ててある。楽団員の士気が高まることに間違いない。是非教えてやってくれ」
「問題ない」
「それで、キョン君どのくらい休めるんですか?」
俺がそれでいいと言ったとはいえWみくるも俺のことを等しく『キョン君』と呼ぶようになったようだ。
「今、夕食を終えてヒロインが風呂に入っているところだ。バレーの夜練をやる頃に起きればどちらも丁度いい」
「本来ならキミはいないことになっているんだら、夜練のことは考えなくてもいいんじゃないかい?」
「その時間が丁度いいだけだ。夜練に出ないのなら、少し早いが夫婦の時間にする。どっちでもそう変わらん」
「あたしたちとの時間があんたの負担になっていたりしないでしょうね?」
「シャンプーと全身マッサージで気持ちよさげな顔をしている嫁の顔を見て、癒されないわけがあるか!逆にストレスになるんじゃ、何のために結婚したのか意味が分からなくなるだろうが」
「皆さんの心配も分かりますが、彼がそう言っている以上、これ以降は口出ししない方がよろしいかと。休みすぎて体調を崩したなんてことに繋がりかねません」
「じゃ、俺はこれで自分のフロアに戻る。相棒が待っているんでな」
『相棒!?』
「ジョンに決まっているだろ」

 

 99階のダブルベッドに横になってすぐジョンの世界へとテレポート。
『少しは俺の気持ちも理解できたか?』
「まぁな。青有希の部屋にでも行って、ゲームでもするか、青俺の荷物が入ったキューブを拡大して漫画でも読もう迷っていたところだ。リクライニングルーム作ったのがいつのことだったか忘れたが、あの二週間を二万回以上はおまえも有希もキツかっただろ?」
「『やり残した行事』と言われて『夏休みの宿題!』なんて発想が出るのはキョンくらいだ。古泉一樹も当時の涼宮ハルヒはとっくに宿題を終わらせていて、『これは絶対にありえない』と最優先で除去していたはずだからな」
「何にせよ早く始めようぜ。バトルフィールドを作ることもないだろ?」
『いや、ある程度の広さのフィールドは必要だ。俺のリクライニングルームにあるゲームのセーブデータが消えてしまう。ついでにバレーの支柱も折れるだろう』
「バレーの支柱よりもセーブデータの方が大事になったのか。なら、ゲームの内容でもかなり話せそうだな」
『それはまた次の機会にさせてくれ。こっちだ』
それ以降、俺のストレス発散兼ジョンの修行。超サ○ヤ人にならずにハルヒの力を極限まで引き出す力の使い方をようやく閃くことができた。
『俺も最初は驚いた。それなら180km/hのさらに上を出せると言って見せてもいいんじゃないか?』
「年越しパーティまでに再戦の依頼が届けばな。できれば俺もそっちの方がいいと思っている。それで?どうするつもりだ?続けるか?」
『勿論だ。こんな機会滅多にやってくるものじゃない』

 

 その後もバトルフィールド内で闘いを繰り返すこと数時間。この世界に時計があるわけでもないし、ジョンの発言だけが頼りなんだが、表情から察するにタイムアップのようだな。
『どうやら、ここまでのようだ。キョン、時間だ。このセリフを言うのがこんなに惜しいと思えるのは今を除いて他にはないだろう』
「また機会を作ればいい。起きたらすぐ夜練か?」
『いや、夕食の直前だ。降りていけば丁度いい時刻になるだろう』
「なら、急ぐことにする。付き合わせてしまってすまない」
『どうってことない。それはこっちのセリフだ』
ジョンの世界からテレポートで抜け出し眼を覚ますとエレベーターで81階へ。
『キョンパパ!』
「よう、二人ともおはよう。試合どうだった?」
『おはよう?キョンパパ、もう夜だよ?』
「それはすまない。ちょっと疲れて寝ていただけだ。それで試合の方は?」
『フフン、問題ない!』
「じゃあ、この後も勝ち続けられるようにちゃんと練習しないとな」
『あたしに任せなさい!』
「黄キョン君大丈夫?」
「ああ、心配かけたみたいで済まなかったな。溜まっていたストレスを発散してきたから今は平気だ」
『すまないが、助けてもらえんか?』
「助ける?シャミセンどうした?」
『私も大分衰えたようだ。いくら跳んでも届かなくなってしまった』
「だったら、おまえ今日からこっちのフロアで生活しろ!俺の布団も一緒にテレポートしてやるから」
『頼んだぞ』

 

 俺の布団ごとTVの近くへとシャミセンをテレポート。シャミセン用の夕食を床に置いて食べ始めた。
「シャミセンがどうかしたの?」
「ジャンプしてもカードキーを通す高さまで跳べなくなったから助けてくれってさ。これからはここで生活させる。高校時代まで使っていた俺の布団がお気に入りだったみたいだからな。それごと引っ越してくれば、どのフロアでも満足に暮らせるだろう」
『あの高さまで跳べなくなった!?』
「このメンバーの中で最年長だからな。年を取れば誰だって衰える」
『キョンパパ、シャミセンっていくつ?』
「人間で言えば100歳は確実に超えているはずだ」
『100歳を超えてる!?』
青OGが驚いていた。寿命の話になったときはまだいなかったんだったか?いつ誰がいて誰がいなくなったのか記憶が曖昧でよく分からん。双子も幸も100歳と言われてもよく分からんらしい。幼稚園児と小学一年生じゃ仕方があるまい。余命幾許もないことを知っているメンバー達が気を落としていた。
「ところで、一つ気になっていたんだけどね。日本代表はいつまでここにいさせるつもりなのか教えてくれたまえ」
『ずっとここにいたいです!!』
「しかし、男子の方も日本で行うときは例年ここになりつつある。そうタイミング良く入れ替えができるといいんだが……」
「その心配はいらないわ。天空スタジアムも完成したし、20階のライブ会場もすべて客室にできるわ。女子は別会場だし男女両方受け入れても大丈夫よ」
「SOS Creative社は正月だろうとお盆だろうと休まず営業するに決まっているわよ!選手たちの細かい注文はOG六人で聞いてきて!」
『問題ない!』

 

「でも、シーツとか定期的に交換しないと……」
「問題ない。ENOZとOG達のテレポートの修行になる。一週間毎に各部屋をまわればいい」
「うん、それ、名案!ドレスチェンジの要領でやれば一瞬で終わるわよ!」
「キョン先輩たちの夜練って毎日やるんですか?一日位休みを貰った方が……」
「その対応策ならついさっき閃いた。金曜日を休みにする」
『金曜日を休みにする!?』
「そんなの別に対応策でも何でもないじゃない!」
「なるほど。夜練が無い代わりにディナーを食べ放題メニューにする。違いますか?」
「ああ、今週はビュッフェ形式にするつもりだ。焼き肉、寿司、カレー、おでん、スイーツ、野菜スティック、その他新川流料理の品々をどっさり用意する。監督やコーチは酒も飲み放題だ。青朝倉、肉はカットされていないものを注文したいんだが可能か?カットさえされていなければサイコメトリーで肉も魚と同様、旨味を最大限まで引き出せる」
「それならどの部位でも逆に安く買えそうね。多分大丈夫だと思うけど、明日聞いてみるわね」
「黄キョン君が作るカレー………食べてみたい」
「どれも匂いだけで空腹を満たせそうだけど、焼き肉にカレーにおでんだと逆に換気することにならないかい?」
「心配いらん。遮臭膜でどうにでもなる。しかし、残りものはすべて黄有希が平らげるとして……それだけの料理をどうやって作るんだ?」
「本体を入れた影分身三体で作る。ここと99階、それにヒロインの自宅の三ヶ所で作る。肉は実際に鉄板で焼いてみせた方がいいだろう。お好み焼きも広島風にしてキャベツの千切りを大量に作っておけばいい。さっきもジョンと話していたんだが、皆が寝静まった後はつまらん告知をやってないといかん。その時間を有効活用しない手はない。あとは『現状を維持する』という条件の閉鎖空間で囲ってしまえば、できたての物がいつでも食べられるって寸法だ。古泉に鉄板料理を任せて、青ハルヒは寿司を握り、おでんの担当は今回は朝倉だ。三人でパフォーマンスを見せながら俺は他のメニューをどんどん追加していく」
「面白いじゃない!カレーもあるんだから米は大量に用意しておきなさい!」
「おでんの担当がこちらの朝倉さんということは、報道陣のつまみ食いを止める役ということになりそうですね」
「ああ、それに寿司ネタについてなんだが、海老、ウニ、いくらはただ乗せるだけでシャリだけが美味いなんて話をヒロインとしていた。だから、ただ乗せるだけのネタは注文せずにアジ、穴子、サバ、ブリ、コハダあたりをセレクトしてくれ」
『問題ない』

 

「でも、結局キョンだけ休めない……」
その一言に全員の顔が曇った。みくるたちが申し訳なさそうにしている。だが、対処法がないわけじゃない。
「心配するな、『今週は』食べ放題メニューというだけであって、来週はまた古泉や青ハルヒに任せる形になる。その分接客の方を頼む。それと、一番肝心なことをすっかり忘れていた。日本代表選手たちに天空スタジアムからの景色をまだ見せてない。夜練が終わったら、面倒だが一旦一階に降りてもらって、天空スタジアム直結のエレベーターで上がってきて欲しい。その方が練習用体育館から直接行くよりも見ごたえがあるはずだ。その辺の案内や金曜のディナーの報告、それに、選手からの要望についてはこちらのOG達で対応して欲しい。頼めるか?」
『フフン、あたしに任せなさい!』
ハルヒの真似をするからには、しっかりと仕事をしてもらうことにしよう。夜練に入る前に報道陣に本日最後の警告にしよう。世界各国の言語で『俺たちの邪魔をすればおまえらから殺す』と書かれた紙を数枚報道陣に投げつけ、確認させた後に機材を全て破壊。演出だけで威力ゼロの爆弾を投げて報道陣を一蹴。紙もそのまま置いておこう。
 夜練を終えて、OG達から「是非見せたい景色がある」と天空スタジアムからの話題が上がり、演出も兼ねて一階に戻ってからだと説明すると他の選手も素直についていった。俺は69階と100階で先にシャンプー&全身マッサージを始めていればいい……かと思ったがOGの方は全員揃うのを待とう。100階で待っていたのはWみくるとW佐々木。
「至福の一時を楽しめなくなってしまうのは残念だけど、キミもゆっくりしてきてくれたまえ。三日間くらいなら昼夜逆転した生活を送ってもいいんじゃないかい?キミには時差ボケも全く通じないんだからね」
「キョン君、わたし、キョン君のことを癒すことができているなんて到底思えません。こんなハードスケジュールの中でわたし達のために時間を割いてくれてすごく嬉しいです。わたしもキョン君のために何かできることがあったらさせてください」
「なら今日はいつもより少しゆっくりと堪能してもらおう。OGたちも天空スタジアムに日本代表を案内している最中だからな。美容師やマッサージ師のやりがいってヤツだ。客に満足してもらうのが嬉しいんだよ。もっとも、俺の場合は客じゃなくて嫁だ。嫁の満足した顔を見て嬉しくないわけがないだろう。早くシャンプー台に来いよ」

 

 天空スタジアムからの夜景を楽しんで専用エレベーターと直結エレベーターで降りてきたようだ。しばらくして69階にもOG12人が出揃った。俺を含めた12人が気にしているのは例のセックスパンツをつけたOGのこと。
「本当にそれを付けたまま今日一日過ごしていたの?」
「うー…ん、過ごしてはみたんだけど、私が予想していた程良くなかった。アンスコもそこまで濡れてないし、ただ歩きづらいだけ。昼の間は別の玩具を試してみることにして、今は黄キョン先輩に抱かれたい……かな」
「あっっ!!一人だけずるい!!キョン先輩、私もキョン先輩に抱いて欲しいです!!」
『私もお願いします!』
「昨日、二人で話していた通りになってしまったな。どうする?」
「みんなの要望に応えてあげて欲しい。ハルヒ先輩たちから何か言われたら私がお願いしたって伝える。キョンは悪くない。私がOKしたってちゃんと言う。でも、私も一緒に抱いて欲しい」
「分かった。とりあえず身体を洗うところからだ。みんなシャンプー台につけ」
「でも、キョン先輩、みんなに見られるのはさすがに恥ずかしいです……」
「それなら心配するな。ブラインドフィールドと遮音膜を張るだけだ。二人入った時点で他の人間は入れない条件をつける。周りに見られず、どんなに大声で叫んでも一切聞こえない。これなら安心してできるだろ?」
実際にベッドにブラインドフィールドと遮音膜を張って見せてみた。シャンプー台に付いたOGたちも頭をあげてベッドを確認している。昨日の話にもあったが、一回で終われるとは到底思えない。OGとハルヒ達を分けて正解だったかもしれん。

 

 全身マッサージを終えたOGから自分で余分な水分を吸着すると、俺の影分身を引っ張って自分のベッドにダイブ。それぞれのベッドにブラインドフィールドと遮音膜を張ったところで口づけを交わすところから始まった。特に黄チームで初体験になるOGには痛覚遮断を施した。既にアンスコが濡れていた青OG達には即座に俺の分身で体内を貫き、セックスパンツをはめていた青OGには影分身二体で穴が塞がる前に俺の分身が通り、幾度となく出し入れを繰り返していた。
「やっぱり、一人じゃ満足できそうにありません!私周りから変態扱いされてもいい!でも、毎日して欲しい!」
「口には出さないだけでほぼ全員同じことを考えているさ。今日が初めてのOGが多いせいでそこまで大胆になれなかった。一度っきりじゃ足りないだろうからな。何度も相手をしないといけないなんて嫁と話していたよ。『その代わり、そのときは私も抱いて欲しい』だそうだ。嫁が抱いて欲しいと言い出したときは全員一緒にすると思っていればいい」
「嬉しい。そのときは今みたいに両方して欲しいです。中に溜まっているものは全部私がテレポートします!それに今夜は先輩に入れられたまま寝させてください!」
「全員の要望に応えてやるさ。ハルヒ達がこれを知って離婚騒動にでもならなければな」
「毎日こんな体験ができるならどんなことでもやります!」
一旦同期しておくか。ハルヒ達はどう思っているんだか……ん?青ハルヒだけならまだ分かるが100階は全員裸で話しているだけか。全員の胸の弾力が伝わってきた。俺の方が抱きしめられると言った方がいいくらいだ。俺とOGにつけてある閉鎖空間にはサイコメトリーをしても、まったく別の情報が流れるようにしておこう。シャンプーから全身マッサージまで行って大胆ランジェリーをつけてそのまま皆で眠っているだけ。嫁だけはその後100階に連れてきて毎日のように抱き合っていることにすればいい。
 69階もようやく遮音膜が外せるほどの状態になりそれぞれが影分身と話していた。
「私も、ずっとキョン先輩に抱いて欲しかったんです。それがようやく叶って……私……」
「たった一回で終わってもいいのか?こういう機会をまた作ろう。そのときにまた抱いてやる」
「嬉しいです!ずっと抱きついていてもいいですか?」
「ああ、好きなだけ抱きついているといい」

 

 全員が寝静まった後、ジョンの世界の様子をスカ○ターで確認していると、黄青両方のOGが嬉しさを隠せないほど表情がニヤけていた。
「あんたたち、何かあったの!?」
「さっき、キョン先輩に全身の力が入らなくなるまでマッサージをしてもらったので、まだうまく歩けません」
「くっくっ、どうやら僕たちと同じことになっていたらしいね。あれを二日間も待っていないといけないと思うと……これ以上は言わなくてもよさそうだ。来年の書き初めをどうするか考えておくことにするよ」
「問題ない。わたしが一位」
『私も一位を狙いに行きます!!』
「これはこれは……W鶴屋さんの声帯が治せなくなる前に治療に行く必要がありそうですね」
『動けないなら丁度いい。舞空術やテレポートの練習を続けたらどうだ?』
『問題ない!』
これなら心配いらんな。漫画喫茶でも貸し切りにして少しでもバリエーションを増やすとしよう。
 翌朝、妻達と同様OG達を名前で呼んで「おはよう」と告げると抱きついてきたり、恥ずかしがったりと反応は様々だったが、青チーム六人には実家からここに持ってくる様の荷物をまとめ、携帯を充電器に繋ぎっぱなしにして中身をチェックしてくるように連絡をした。加えて、まだ現在の仕事を退職できない青OG二人には化粧道具や仕事に必要なものを全てこちらに持ってくるよう連絡。異世界移動をマスターしてしまえば通勤時間ゼロで仕事場に行くことが可能だからな。本体以外の影分身を解除してブラインドフィールドと遮音膜を解いた。それぞれでランジェリーを選び、服に着替えていた。

 

 昨日はあれだけ執拗に報道陣を攻め、カメラも十数台破壊したにも関わらず、新聞記事やニュースにはなってはいなかった。だが、これまで居座り続けた報道陣も消え、昨日放った紙が歩道に落ちたまま風で飛ばされていた。
「じゃあ、すまんが旅行に行ってくる。青チームのOG達には一旦実家に戻って必要な荷物をまとめてこっちに持ってくるよう伝えてある。青俺、すまないが青OG達から連絡が来たら69階まで連れてきて欲しいんだが頼めるか?」
「分かった」
これといった議題もなく、精々午前中に楽団員の練習があるくらい。後は練習試合だが、ENOZや青OGが入っても問題ないだろう。財布とポルシェのキーだけ持って車に乗り込んだ。
「例のイベントまであと半年だ。ハルヒの閉鎖空間がどれだけ広くなったか見せてくれないか?」
「あんたには遠く及ばないわよ!それに、こっちのキョンもあんたと同程度の閉鎖空間が出せるんだからいいじゃない。あんた達で東日本、西日本に別れれば」
「俺たち二人だけでは流石に島まで全て覆うことはできない。他のメンバーの力が必要なんだ」
「もう、焦れったいわね」
青ハルヒの指が鳴ると一気に閉鎖空間が広がった。透視能力で見るか、上空から確認しないと分からん。まぁいい、頼もしいかぎりだ。
「じゃ、車もないし信号を無視して全速力でいいな?」
「いいからさっさと出発しなさいよ!」
「おまえならそう言うと思ったよ。舌噛むなよ?」

 
 

…To be continued