500年後からの来訪者After Future5-6(163-39)

Last-modified: 2016-10-13 (木) 23:12:03

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future5-6163-39氏

作品

ついにSOS交響楽団として初のコンサートが幕を開け、堂々とカメラを構えた報道陣にはぬか喜びをさせた後、翌日から大画面にその様子を映して公開処刑を行う手筈になった。鶴屋さんが来ているのに100階にいたみくるたちや古泉の発言に多少気になるところはあったが、いずれ聞くことにしよう。月曜の練習後はハルヒ達を含めた楽団員全員で打ち上げをしようと企画。大画面に映った映像を敷地外から他の報道陣がカメラにおさめ、多数の一般人が敷地内に入り込んでスマホで動画を撮影していた。

 

 本社入り口及び本店入口にSPが三体配置された。報道陣関係者は誰も敷地内に入ることはできず、人事部には誰もいない。この程度では序盤にもならん。早く本人たちに教えてやって欲しいもんだ。SPの方に意識を向ける入口前のこの状況が面白過ぎてならない。閉鎖空間にすがりつくようになるのは果たしていつになるのやら。しばらくその状況を楽しんでからOGと二人でポルシェに乗った。
「着けるものはしっかり着けてきたんだろうな?」
「はい!大丈夫です!」
「ちなみに、運転方法に注文はあるか?」
「運転方法に注文って何のことですか?」
「青ハルヒと行ったときは『全速力に決まってるじゃない!』なんて注文が来たんだが、どうする?」
「まだネックレスも見つかっていませんし、私も全速力でお願いします。でも先輩、目の前にあんなに人がたくさんいるのに全速力なんてできるんですか?」
「閉鎖空間で体育館を貸し切っていたのと同じだ。人も車も一切いないから信号もすべて無視。目的地まで一直線だ。舌を噛まないように注意しろよ!?」
「舌をかまないようにって……わっ!」
地下駐車場からポルシェが飛び出すと、すかさずギアを変えて高スピードで道路を駆け抜ける。
「凄い……これなら午前中に戻れるかも!」
バイクではないからそこまで震動も伝わらず、大して気にせずにいられるようだ。朝着替えさせるときに着せたパールショーツとアンスコ、後ろにはやや太めの栓が入れてある。この子だけでも100階の妻たちのベッドで寝かせるのも悪くない。『自分が変態なら、ここにいる妻全員を変態扱いすることになるぞ』ってな。午前中の練習なら異世界の自分に参加させればいい。零式のような特殊サーブは撃てないんだからな。

 

 目的地に着くと、二人で車を降りて手を引っ張った。
「周りからは全くの別人に見えるような催眠をかけてある。何をしようと普通のカップルが歩いているようにしか見えない。こんなことをしてもな」
抱き寄せて口づけを交わす。最初は驚いていたが、俺が離すまではそのままの体勢を保っていた。十分満足したところで唇を離すと、向こうから抱きついてくる。
「私今すっごく嬉しいです!今日も一緒に寝させてください!」
「それは構わんが、折角結婚したんだ。69階でマッサージまで終わったら100階に来ないか?フロアの真ん中のベッドでみんなと一緒に抱いてやるよ」
「えっ!?でも私、昨日みたいに両方して欲しいです!先輩たちにそれを見られるのはちょっと……」
「心配するな。上でもほぼ全員同じことをしているから、その中に混ざるだけだ。まぁ、行ってみてのお楽しみにしよう」
髪を撫で、店に向けて片手を差し出すと腕に絡み付いて嬉しそうにしている。店に入るまでは俺が先導していたが、店に入ってからは逆に腕を引っ張られて目的のリングのある場所へと連れてこられた。
「これです!!」
細い指の指した先にあった指輪は曲線で形どられたフォルムとアクセントのブルー。二つのリングを重ねるとハートが浮かぶデザイン。男女で指のサイズが違ってもちゃんとハートができるようになっている。二つで294000円。
「決まりだな。あとはネックレスか。この指輪を扱っている店なら、これに合うものがあってもおかしくないんじゃないか?」
「そうだといいんですけど……」
「指輪がブルーなら、サファイヤかタンザナイト辺りがいいんじゃないか?これなんかどうだ?」
「あっ、これ素敵かも………って、えぇっ!?これ、選んでもいいんですか!?」
「気に入ったものが見つかったのなら値段は関係ない。言ってなかったっけ?」
「じゃあ、これにさせてください!」
『ほっほっほ、ギ○ュー特選隊を超える戦闘力とは……何っ!?私の戦闘力を……』
確かに数字だけならそうだろうな。見間違いも十分にありうる。昼食まで値段は明かさないように伝えておこう。俺が提示したのはタンザナイトのペンダント。タンザナイトの周りにダイヤモンドを敷きつめ、残りは当然プラチナ。上機嫌のまま指輪とペンダントを指差して店員に出してもらっている。
「刻印はどうなさいますか?」
「My sweet heart でお願いします!」
My sweet heart 『私の愛する人』か。俺みたいな奴がこんなに幸せになっていいのか疑問に思えてきたぞ。告知の方も報道陣の一辺倒な質問以外何も問題はないからな。ヒロインの報道陣に対する鬱憤をすべて晴らすと言いたげなほど演技が白熱しているからな。指輪は一旦店に預けてタンザナイトのペンダントをその場でつけて見せた。鏡を見て納得の表情だ。
「じゃあ、刻印が仕上がったところでまた来よう。帰るぞ」
「はい!」

 

しかし、デザインセンスがあるだけに午後もかかると踏んでいたのだが、一つ目の店で早々と決まってしまうとは思わなかった。そういえば、ウェディングドレスは毎年何種類も提案してきたが、結婚指輪のデザインをしたことって、今まであったか…?情報結合したものに刻印を刻むのなら何度失敗しようが関係ないからな。ピアス、ネックレス、ブローチ、バンドリング、指輪、腕時計等々のデザインをさせてみるのも悪くないかもしれん。冊子も出たばかりだし、少しくらい余裕はあるだろう。異世界の自分に午前中の練習を最後まで出てもらうことにして本社へと戻った。W鶴屋さんは笑い疲れて家に帰ったらしいな。アイランドキッチンにはユニフォーム姿のハルヒと有希。この後の試合に出るためだろうな。モニターには本社前の様子が映っていた。映像に映った本人らしき人間が数名膝立ちの状態で閉鎖空間にしがみついている。オッサンの涙ごときではアホの谷口ですら心が揺らぐことはないだろう。精々無駄なあがきをするといい。しばらくして体育館からあがってきたOG達や子供たちが現れ、異世界でビラ配りをしていた青ハルヒ達も帰ってきた。みくるの方も月夜野くるみとしてビラ配りに参加しているようだ。こっちの世界のビラは……配れる状態になっているのか?OG達も買ってきたばかりのペンダントを見てはしゃいでいた。
『137万円!?そのペンダントだけで!?』
「そう。キョン先輩に『これなんかどうだ?』なんて言われたときは、私も13万だと思っていたんだけど、桁が一つ違ってた。でも、『気に入ったものなら値段は関係ない』って言ってくれて、これにした」
「ちょっとあんた!一体どういうことか説明しなさいよ!」
「どういうことも何も、OG達が話していた通りだ。全員同じ条件で買ってきた。まだ半年も先の話だが、来年五月からの世界大会に向けて思いを込めたペンダントやネックレスをつけたいって話だったからな。早いか遅いかの違いだけだ。それと、有希。アクセサリーを特集として出したことって今まであったか?」
「ほんの数回だけ。デザイン課の社員に描かせれば、候補としていくつか掲載してもいいようなものが出来上がる。でも、店舗に置くスペースがないからあまりお勧めできない」
「そうか。それでアクセサリーはほとんど出せなかったのか。ようやく納得したよ」
「『納得したよ』じゃないわよ!あんた、昨日言ったこともう忘れたわけ!?正妻を一番にしないと全部白紙に戻すって言ったでしょうが!!」
「品物の値段で争ってどうするんだ。『一番』の意味が違うだろう」
「じゃあどうしてあたしには指輪だけで、みくるちゃんたちにはイヤリングやネックレスをプレゼントしているのよ!」
「あのな、正妻を一番にしたいからこそ一番迷っているんだ。そんな格好をしている奴にブレスレットや時計をプレゼントしたところでそこまでつけないだろうが。おまえに何かプレゼントするのならどんな時でも肌身離さず身に着けているものでないと、俺自身が納得できないんだよ」
『ハルヒママ、早くお昼ご飯!わたしも試合に出たい!!』

 

 俺とハルヒの会話に割って入れる奴なんておそらく双子だけだろうな。俺の言い分に納得したのかどうかは別として黙々と食べ進めていた。しかし、残り四人まで結婚してネックレスを……というわけにもいかん。これ以上は俺が潰れてしまう。
「すまん、明日以降の食事のことについて確認したいことがある。明日の朝は一昨日、日本代表のビュッフェディナーで出したカレーで満場一致の『問題ない』が出た。加えて、ハルヒ達はSOS交響楽団のメンバーと一緒に午前の練習が終わってからそのまま天空スタジアムで打ち上げだ。この後、打ち上げ用の料理の準備をする。その間、こっちのメンバーの料理についてなんだが、それについても俺が作ろうと思っている。古泉は撮影と人事部、青ハルヒは両方の世界でビラ配りだから、一番空いているのは俺だ。明日以降も楽団の練習が入る月、水、金、土は俺が作ろうと思っている。残りの火、木、日の昼食はハルヒと有希で頼みたい。特にこっちのOGは練習終わりと練習開始の時間が決まっているからな」
「本来なら、キョン君も古泉君も今ここにはいないはずです。それなのに皆の食事の支度をキョン君がやるなんて負担が大きすぎます」
「そうでもない。既に告知用に何%の意識があればいいのか見切りはついている。それ以外をこっちで回すことが可能だ。それに準備も影分身二体で取りかかることができるし、今はさほど時差が無いから眠っているが、これからまた時差が大きくなり始める。眠気を取っても深夜にやることが何も無ければ、食事の支度をするのが丁度いいくらいだ。もっとも、この前眠ったときはジョンの世界に行けず仕舞いだったけどな」
「確かにあたしたちも練習のある日に昼食の支度をするのは難しいけど、みくるちゃんの言う通り、それをあんたや古泉君がやることもないわよ!」
「ご配慮いただけるのはありがたいのですが、それでは青新川さんに三食すべて任せることになってしまいます」
「青新川さんの負担が大きすぎると言ったのは俺、ハルヒや有希で対応してもらいたいと言ったのも俺だ。自分で言ったことに関する不始末は自分でつける。どうしても無理なときは必ず連絡する。そのときだけ頼む」

 

 満場一致の『問題ない』は出なかったが、楽団の練習を終えてから調理を始めたのではOG達が食べ終わるまでの時間が無さ過ぎる。昼食を終えて99階へと向かった。カレーの方は既に調理を終え、後は寝かせるだけの状態。今から明日の昼の支度をしても現状維持の閉鎖空間さえあれば早すぎるということはない。そう考えればWハルヒのみくるのお茶の飲み方も、温度さえ下がらなければ一気飲みしなくて済むということになる。年末のパーティでもみくるが煎れたお茶をタイミング良く手に取ることができなくても、手に取った瞬間に丁度いい温度で飲めるはず。なんで今までこれに気がつかなかったんだか……
『すみません、ちょっとよろしいですか?』
『古泉か。どうかしたのか?』
『いえ、僕も人事部で「電話対応してはいけない」と言われてしまうと仕事が無くなりまして……先ほどのハルヒさんや朝比奈さんではありませんが、何か手伝えることはないかと思ってご連絡させていただいた次第です』
『今はもう明日のパーティの準備に入っているところだ。そこまで手が足りない程でもない。それより、こっちに影分身を置いておくくらいなら、現場にいる女性俳優陣たちと話している方がよっぽど効率的なんじゃないのか?撮影開始当初に話していた、主演女優からのアプローチは回避できているのか?』
『ええ、その点に関しては大分収まりました。僕に周りからのアプローチに応じる気が無いと悟った辺りでようやくです。青新川さんの料理は増量していただいた分を毎日のように取られていますけどね』
『それで、本命とはどこまで進んでいるんだ?俺とハルヒの結婚式のときの慣れ染めじゃないが、二人のことをどう紹介してもらうか圭一さん辺りと話す時期がそろそろ来るだろうと思っていたところだ。隠すところは隠さないといけないからな』
『やはりサイコメトリーには敵いませんか。以前、青佐々木さんが話していたアンチサイコメトラーのことを聞いて、僕なりに配慮してきたのですが……』
『いや、今回はサイコメトリーじゃない。相手が誰であろうと、圭一さん達と相談する時期がいずれ訪れるだろうとは感じていたが、その相手に気付いたのは今朝になってからだ。他のメンバーがどう捉えられていたかは分からんが、名前が名前だからな。ごまかしやすかったのかも知れないが、俺には違和感があった。それに、古泉が隠しておきたかったことを俺が暴露してしまう形になってしまったようで本当にすまない。OG達が初回を見逃したって話していたから、他にもそう言うメンバーがいるかと思って、みんなの前で話したんだが……』
『サイコメトリー無しで、しかも、今朝のあのやり取りだけでそこまで行き着いたというんですか!?いやはや、たったあれだけのミスで気付かれるとは………まったく、恐れ入りましたよ。ですが、あなたに気付かれてしまった以上、他のメンバーに隠す必要も無くなりそうですね』
『何かしら隠す理由があったのなら他に話すつもりは毛頭ない。それが無いのなら、すぐにでも結婚式を挙げたいくらいだ。丁度各国まわっている最中だしな。世界中のチャペルを探しまわって二人に合ったところを見つけてくるから、その中から選んでくれればいい』
『隠す理由と言っても、精々世論に出ないようにするくらいで、身内にはどう切り出そうか迷っていたくらいです。あなたに気付かれたことを彼女に話せば、次第に行動に現れてくるでしょう。ご配慮ありがとうございます』

 

 古泉とのテレパシーはそれで切れた。テレパシーのメリットは世界中どこからであろうと相手に繋がること、何かしらの作業をしている場合は、その作業に没頭できること。デメリットはその会話に集中し過ぎるが故に周りが全く見えなくなってしまうこと、そして、時間の経過を感じさせないこと。たったこれだけのやり取りだったってのにもうこんな時間か。作業は進んだが……全員が眠ってから再開になりそうだ。大画面はボリュームを落として夜練が終わってから切ることになった。69階に向かうとOG達12人で温泉に浸かっていた。内二人は肌身離さずネックレスをつけている。そういえば例の栓はどうしたんだか。周りにバレないように外せたのか?
「結局、TVの録画の件は話せたのか?」
「キョンが話していた通り。夜練のせいで見たい番組すら見られなかったからって喜んでた。ディナーの後の夜練が無くなったのも含めて」
「監督やコーチ達も大浴場の効能を見て喜んでいたらしいです!」
「それは何よりだ。あとはシャンプー剤の効果が実感できるくらいまでになってくれるといいんだが……まだ半月だからな」
「そうでもないです!髪を触ったときの感触が今までより全然良くなってます!……あれ?私だけかな?」
「二人を除いて他のメンバーはリンスインシャンプーを毎日使う生活じゃなかったからな。この中で効果が現れたと感じることができるのはこっちの二人だけだろう。それで、今日はマッサージの後はどうするつもりだ?」
「抱いてもらうんじゃなくて、黄キョン先輩に抱きしめられたまま寝たいっていうのはダメですか?できれば、腕枕もしてほしいです!」
「そんなことでいいならいくらでもやるぞ?」
「じゃあ、私も!」「黄キョン先輩、私もお願いします!」
「それなら、いつものように周りに見られたり聞かれたりしないようにしてからそれぞれでして欲しいことを伝えてくれればいい。そろそろシャンプーを始めようかと思っているんだが、それでいいか?」
『お願いします!』

 

「あぁ~幸せ~。もう毎日これじゃないと私駄目かも……あ、黄キョン先輩、またあそこにある下着つけてもいいですか?」
「ここにいる全員のために用意したものだからいくらでも使って構わんが、今日は抱きしめられて腕枕じゃなかったのか?どんな大胆下着つけるつもりだ?」
「このフロアでなら、ベビードールの格好でもいいかなって……可愛いの見つけちゃって」
北口駅前店にオープン前に入れろと言ってきたときと何ら変わりないな。だが、抱かれる以外はそれでもいいかもしれん。それくらいならこのフロアにいるメンバーにも見せられるだろう。
「なら、全身マッサージが終わったら、どんなものを選んだのか見せてくれないか?」
「あっ、黄キョン先輩、私も選んでいいですか?」
「だから、ここにいる全員のためのものだって言っただろ。洗濯して戻せばそれでいい」
『やっっった――――――――――!!』
そこまで大喜びするほどのことか?マッサージ後、どんなものを選んでくるのか俺も気になってきた。ヒロインから受け取ったイメージで何種類かは見ているが、最初に選んできたのは黒のベビードール。一見メイド服に見えなくもないが、ショーツは大胆なGストリング。残りはピンク系のものをメインにしたものばかりだったが、裸エプロンかと一瞬疑ってしまいそうなTバックを身につけて、お尻が丸見えになっている。ブラとショーツが透けて見えるもの……って、これが通常のベビードールか。後はブラをフロントホックでとめただけのオープンベビードール等々、一日だけでベビードールのファッションショーができそうだ。残ったメンバーは妻二人に青OGのセッターのみ。また身体が疼くとでも言い出しかねん。ブラインドフィールドと遮音膜を張ってそれぞれのベッドに横になった。ベビードールを羽織ったOG達は、抱き寄せて腕枕をしながら眠るまで影分身と話し、青OGはすぐにでも抱かれたいからと、さらに影分身を増やすよう要求していた。

 

「それで、おまえはどうする?」
常時身に着けているピンクサファイアとダイヤモンドの指輪とネックレスが裸体をより妖艶なものにさせているように見える。これからは『ベビードールを着ていない= 抱かれたい』という方程式が成り立ちそうだ。
「キョン、私、今日はキョンに抱きしめられていたい。でも他のみんなみたいに腕枕だけじゃ、なんだか物足りなくて…」
「じゃあ、繋がったままでいるか?」
「えっ!?あ……うん!それがいい!」
「まだ、身体に違和感はあるか?」
「このところ毎日抱いてもらっていたから、大分無くなってきたけど、まだ…少し。今日はお休みの日ってことにさせて!でも、またいっぱいキョンに抱かれたい!」
「もっと甘えていいんだぞ?そのために結婚したんだ。時間ならたっぷりあるからな。世界大会で海外に居てもテレポートでここに戻ってこい。好きなときに抱いてやる。その代わり、長距離テレポートをできるようにしておけよ?」
「時差があっても平気?それに……もしかしたらキョンだって試合中かも!」
「俺が寝ていても、基本的にはジョンの世界にいる。それならテレパシーを送ってくれればいい。試合中ならさっさと三セット終わらせて帰ってくるだけだ。今度は男子の方の守備力も鍛えないとな」
「嬉しい。いっぱいキスして眠りたい」
「お安い御用だ」

 

「指輪とネックレスがセットになっているところを見ると、指輪の刻印が終わるまで待ちきれそうにないな。セットでハートが浮き上がるあの指輪を、早くみんなに自慢したくなってきたぞ」
「キョン先輩、少しでも時間を忘れさせてください!私も指輪の完成が待ち遠しくて、これ以上待てないです!」
「じゃあ、今日は上に行こう。周りを見れば納得できるはずだ」
「でも、先輩、私……それでも見られるのはちょっと……」
「だったら、フロアの光景を見てから個室にしよう。それなら誰にも見られない。それでどうだ?」
返答は帰ってこなかったが、視線を逸らしていたのが満面の笑みで真っ直ぐ俺を見つめてきた。お姫様抱っこで抱きかかえて、100階へとテレポート。有希とWみくるは二体の影分身から秘部の前と後ろを責められ、青ハルヒにも影分身が二体ついていた。温泉旅行後のようなことにならないと良いんだが……佐々木は繋がった状態でベッドに横になって話をしていたが、青佐々木と青有希は秘部を責められつつも後ろの方にも指が入っていた。その現状を見て未だに唖然としているハルヒとスカ○ターをつけた本体がいた。大画面の映像は夜練終了後に切られているし、敷地外を見ても閉鎖空間にすがりついていた連中はいなくなり、何か起こるのを心待ちにしている報道陣がこんな時間になってもまだウロチョロしてやがる。スカ○ターの画面には昨日の連中の後を追ったカメラで様子を映しているようだな。後で同期すればいいだろう。
「どうだ?見た感想は」
「凄い、ホントにみんな……」
「有希やみくる達、それに青ハルヒはほぼ毎日だ。栓はまだしているようだな。他のメンバーにバレなかったのか?」
「下着を見られない様にするのに制服のスカートを抑えるのと一緒で、後ろを隠していました。もしかしたらバレていたかもしれないです」
「バレていたって関係ない。青OGも含めて、みんなこうやって毎晩過ごしているんだ。栓をする必要がなくなるまでもうしばらくかかりそうだが、少しずつ進めればいい。もう個室に行ってもいいか?時間を忘れたいんだろ?」
「はい、お願いします!」

 

「ハルヒ、そろそろどうするか決めたらどうだ?こういうところで正妻に一番時間をかけたいのに、おまえがそんな調子じゃ時間がどんどん無くなってしまう」
「そんなこと言われたって、こんなのを見せつけられてどうしたらいいのかあたしにだって分からないわよ!それに、さっきのOG、個室に行って何しているの?」
「みくるたちとほぼ同じことをやっている。ただ、周りに見られるのは流石にまだ恥ずかしいから個室に移動しただけだ。しばらくもしないうちにこのベッドの上で抱くことになる」
「あの子も後ろの方もするの?」
「勿論だ」
「みんなそんなに後ろを責められるのがいいわけ?」
「青みくるは『少しでもキョン君に愛されたいから』と言って周り以上のことをしたいと言ってきた。青ハルヒだって『あたしにも体験させなさいよ!』と言ってきて、実際にやってみたら温泉旅行後からずっとあの状態だ」
「汚くないの?そんなに後ろの方がいいの?」
「体内の不要物は匂いも含めてすべてテレポートさせている。一欠片も残すことなくクリーンな状態を保っている。後ろがどれくらいいいかについては男の俺より、実際に責められている方に聞いたらどうだ?」
「テレポートするってどこによ?」
「通常ならトイレに流すだけでいいんだが、みくるや佐々木のものなら何でも喜びそうなアホの谷口の胃の中に全員分送ってやった。昨日も、今日も、明日以降もな」
「そ、それなら、あたしの分も送りなさいよ」
「アイツの胃を圧迫するだけならここにいるメンバーで十分足りている。ただ送るだけなら無駄にエネルギーを消費するだけだし、アイツの顔をまた頭に思い浮かべないとならん。断じて御免だね」
「じゃあ、あたしのも使えばいいじゃない!」
「『あたしのも使う』って何の話だ?」
「もう!あたしにもみんなみたいにしなさいって言ってるの!恥ずかしいんだから何度も言わせるんじゃないわよ!このバカキョン!」
「くくくくく……ようやく言えたな。いいだろう、他の連中と同じようにしてやる。みんながどうしてここまではまっているか、自分自身で確かめるといい。時間がもったいないから、早くベッドに横になれ。テレポートはそれからだ」

 

 こういうところは素直にこちらの指示に忠実に従うのがハルヒの良いところだ。ベッドに身体を預けると、先ほどまで太股を蔦っていたハルヒの蜜がベッドのシーツを濡らしていく。周りの状況を見せつけられて、自分もして欲しい癖にプライドがそれを拒んでいたからそんなことになるんだ。胸もまた張ってきたようだし、母乳は俺が飲んでやることにしよう。OGのときと同じく、ハルヒの体勢を横に変えると、受け入れ万全の秘部を貫く。声にならない声を上げ、容赦なく突き続けるとしばらくも経たないうちにハルヒの身体が痙攣し、弛緩していた。クロリスTバックと同じようなパールが連なった玩具に潤滑液をつけると、弛緩して緩くなった後ろの方に数珠繋ぎになっていたパールがすべてハルヒの体内に入り込んだ。本人が気付いているかどうかは定かではないが、最初に秘部を貫いた際に不要物はテレポート済み。抵抗されることなくパールが入りきると、すかさず引き抜いた。早くも二回目の絶頂を迎え、呼吸が荒くなる。
「今まで拒絶していた体験をした気分はどうだ?みくるや佐々木達ですら最初は嫌がっていたのに、たった一回抜き差ししてこんな状態でいるようじゃ、青ハルヒのようにもう抜け出せなくなってしまいそうだな?」
返答はなかったが、ようやく呼吸が落ち着くと、快楽の余韻に浸って口角が上がっていた。青ハルヒのときも問題なかったし、今日中に俺の分身が入るステップまで踏むことができそうだ。再度、パールが体内に入りこむと玩具に付いていなかった機能を超能力で補う。パールが振動を始め、玩具が動き始めた。抜き差しを繰り返したり、回転させてみたり、秘部の近辺を刺激してみたりとやり方は様々だったが、秘部を貫いていた俺の分身とはまったく別の動きを繰り返し、執拗にハルヒを責め立てる。たった十数分でハルヒが何度達していたのか数えるのもやめてしまった。豊満な胸からも母乳が飛び出てくるようになってきたし、そろそろか。最後に、玩具を奥まで入れて一気に引き抜くと、玩具の情報結合を解除。代わりに影分身一体を用意すると、閉じ切らないうちに体内に二本目の俺の分身がハルヒを貫いた。正確には、後ろのすぐ近くに俺の分身がテレポートするよう仕掛けた部分テレポート。ハルヒに一度たりとも触れていない俺の影分身が部分テレポートで、影分身が一切動くことなくハルヒの後ろを責める。通常のものとは違ったテンポで後ろを貫きながら、ハルヒの胸を掴み母乳を搾り始める。本体と影分身で両方の乳房から母乳を吸いつくした頃には、既に気を失っていた。眠気と疲れを強引に取り除いてハルヒを起こし、俺もベッドに横になってハルヒを抱き寄せる。影分身もハルヒを背中から抱いて、部分テレポートを解除した。

 

「みんながこぞって後ろも責めて欲しいと言っていた理由は分かったか?」
ベッドの中心に置いてあるシャミセンの黄金像の方を向いていたハルヒが小さく二回頷いた。
「じゃあ、おまえも明日からみんなと同じように抱いてやる。しばらくの間は、すぐに入れても痛くないようにこうして栓をするから、そのつもりでいろよ?」
ハルヒの頭部を引き寄せて腕枕をすると、ようやくハルヒが言葉を発した。
「………この、エロ……キョン…」
「だったら、その俺に責められて気を失うくらい感じていたハルヒはどうなるんだ?『あたしにもみんなみたいにしなさい』と言ったのはおまえの方だ。俺はハルヒの要望に応えただけ。くっく、だが、ようやく自分から言えたな。おまえも、青ハルヒも自分から言い出すまでは絶対に後ろは責めないと決めていた。アイツにも言ったが、可愛い奴ほどこうやって苛めたくなる、男の悪い癖だ。まぁ、それだけ俺からすれば可愛い奴ってことになるんだが、そのおまえがようやく自分から言い出せるようになったんだ。変にプライドなんて持つくらいなら、思いっきり甘えてこい。おまえは俺の正妻だ。ハルヒが一番甘えてこないでどうするんだよ」
「うる、さい……わね。あた…し……だって、あんたに……甘…えたいけど、みんなが………いるんじゃ、恥ず……か、しくて、甘え…られ……ないんだから」
「そのために個室を用意しているんだ。俺を連れて個室に入りこめば済むだろう?」
「明日から、覚悟……しな、さいよ。今の……セリフ、絶っ…対、後悔……させ…て、やる…ん……だから!」
「上等だ。いくらでも付き合ってやる。だが、今日はもう休め。そんなんじゃ、話もまともにできんだろう?」
「キョン、キス……して。いっぱい……して欲しい」
「了解だ。団長様」

 

 ハルヒもようやくみくるたちと同じようにできるようになったか。みくるを抱いてようやく落ち着いたところで本体とハルヒたちを確認しながら髪を撫でていた。
「みくる、一つ聞いてもいいか?」
「ほぇ?キョン君、何ですか?」
「昨日、鶴屋さんが泊っていったのに、みくるだけこっちに来ていただろ。青みくるもそうだ。鶴屋さん達にはちゃんと説明してあるのか?」
「大丈夫れす。キョン君の妻になったことも、指輪やイヤリングを買いに行ったことも、ここでキョン君に抱いてもらっていることも、みんな鶴屋さんに話しました。鶴屋さんも、キョン君にシャンプーとマッサージをしてもらいたいって。でも、ここはわたし達しか入れないところだから、鶴屋さんは……」
「そんなもの、ハルヒなら簡単にOKするだろうし、みくる達が抱かれているところを見られたくなかったら浴室の一つをブラックアウトすればいい。みくる達の部屋で四人同時にシャンプーしたっていいんだ。いくらでも方法はあるんだから、明日鶴屋さんにちゃんと連絡してどうするか決めておけ。いいな?みくる」
「分かりました。キョン君、ありがとうございます。青わたしにもわたしから伝えておきます」
青みくるに対する連絡はみくるに任せることにしよう。一旦同期をして今度は青みくるの方だ。
「みくる、今度また買いに行きたいものがあるんだが、一緒に来てくれないか?今度はシャンプー剤とかじゃなくて、みくるのためのものをと思っている」
「えっ!?キョン君、本当ですか?でも、わたしのためって一体何を買いに行くんですか?」
「ようやくみくるだけのものを思いつくことができた。常に身につけていられるが、みくる達にしかできない代物だ。こっちのみくるにはイヤリングをプレゼントしたからな。モノだけ先に言ってしまうと、ネックレスになるんだが、わざとチェーンを長くして胸の谷間に隠れるものにしたい。普段は見えないが、こうしてみくると抱き合っていたり、浴槽に浸かっているときだけ見られる、俺たちだけのネックレスだ。どうだ?」
「わたし達だけの秘密のネックレスなんて素敵です!キョン君が空いているときに連れて行ってください!今度はキョン君の運転するポルシェに乗ってみたいです!」
「なら、明日の午後でどうだ?午前中は俺も昼食の支度をしているし、みくるだって異世界でビラ配りだろ?こっちの世界のビラ配りなら、一日くらいはみくる一人抜けてもいいはずだ」
「じゃあ、それまでにわたしも色々と調べておくので、わたしもこの前とは違うお店に連れていってくれませんか?」
「それで決まりでいいな?みくるのお気に入りが見つからなければ、また次の日にでも出かければいいだろう」
「ダメですよ……キョン君にそんなこと言われたら、わたし、キョン君とデートする方が楽しみになっちゃいます」
「妻とデートしちゃいけない理由なんてないだろう?今までは目的が無かっただけの話だ。みくるの行きたいところなら、いくらでも連れていってやるよ」
「凄く嬉しいです。今日はキョン君に抱きついて眠ってもいいですか?」
「みくるの要望ならいつでも大歓迎だ。俺もずっと抱きしめていてやるよ」
「キョン君、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ、みくる」

 
 

…To be continued