500年後からの来訪者After Future8-11(163-39)

Last-modified: 2017-03-19 (日) 22:28:23

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future8-11163-39氏

作品

一月のイベントも順調に終えることができ、ようやく明日からバレーのオンシーズンに入ろうかという頃、異世界で二月号の追加発注の連絡が舞い込んだ。すでに40万部を用意していたこともあり、難無く受け渡すことができたんだが、異世界での発展のお祝いとしてカレーが食べたいと言い出した。三月まで出すつもりはなかったんだが、W有希が『寸胴鍋のギリギリまで満たされたおでんを二人とも食べ終えたら、カレーに手をつけてもいい』という俺の出した条件に承諾し、結局半月で出す羽目になってしまった。そんな中、突如訪れた一大戦争の幕が上がり、未来のジョンとその仲間を回復して戦場へと赴いた。

 

「とりあえず、そろそろ第二派が来る頃だ。俺たちの時間平面上が危なくなった場合は青古泉を送り返すから、そのつもりでいてくれ。青古泉がいなくなったところでこっちの戦力が極端に落ちるわけでもない。向こうの時間平面は少数精鋭であたらせる」
「それはいいけど、第二派が来るってどうやってよ!?」
「それについてはジョンも予測していたし、どうせ来るなら複数の時間平面でも構わないとも言っていた。この時間平面上の急進派も、ようやく自分たちだけでは敵わないことを察して、他の時間平面上の急進派と同期したと考えるのが妥当だ。だが、この時間平面上に同位体を送りつけてくるには、通常の同位体の情報結合を解除して、作り直す必要がある。この時間平面上と同様、戦闘力1500000の涼宮体が20体×時間平面分だ。情報結合での侵入が無理なら俺たちの真上から堂々と姿を現す。固まっているとどういうことになるのかも知らずにな」
『やれやれ、頼むから俺の予想が外れてくれと思ったのは、これが初めてだろうな』
「しかし、彼の予想は外れることの方が少ないことを加味すれば、堂々と現れることになりそうです。全員で一斉攻撃を仕掛けることにしましょう。あの同位体ももう用済みで構いませんか?情報結合し直して背後からなんて事になりかねませんので」
『問題ない』
「ちなみに、来なかった場合はどうするのか聞いてもいいかしら?」
「おそらくもう潰されているだろうが、シェルターを研究していた施設に行って最新のシェルターの情報を手に入れてくる。そいつを大量に情報結合したら、一旦閉鎖空間を解除して避難誘導だ。その途中で再度攻めてくれば、また俺たちと急進派だけの閉鎖空間を構築し直すまで」
「キョンとジョンが未来に向かっただけで予知が覆るなんて……その組織の面目丸潰れじゃない!」
「それだけ、ハルヒさんのパワーを持った彼の力が大きすぎたということになりそうです」
「事情は俺たちから説明をしておく。『絶対に壊されないシェルターを作ろうと他の時間平面の人間を呼んだことでこの時間平面上の未来も変わってしまった』とな」
 しばしの間をおいて、金色の閉鎖空間を更に黄金色に染めるように、涼宮体が俺たちの頭上から降りてきた。
「一体何体いるのよ、これ……」
「ざっと500体。時間平面に換算すると25平面分」
生憎と、向こうの演出を見ていられるほど、俺たちは暇じゃないんだ。真上から降りてくる総勢500体の同位体に、次の手を講じた。すかさず動き出した俺に、全員の視線が集まる。
「超大○風遁螺旋手裏剣!!」
「このバカキョン!どこ狙っているのよ、あんた!!」
『いや、これでいい』
見当外れな方向に技を放った俺に対して、青ハルヒから非難を浴びせられたが、技を放ってしばしの間もおかないうちに放った技が突如として消え失せた。刹那、頭上に円ができたと思うと、それが一気に拡散して先ほどとは比べ物にならないほど膨張した球の中で同位体が切り刻まれる。舞空術が使えなくなった同位体の端くれが自由落下してくるのを、ジョン達がエネルギー波で次々と消し飛ばしていく。
「も―――――――――――――っ!!これから暴れようってときに、一気に500体全部吹き飛ばすなんて、あんた一体どういうつもりよ!?」
「敵の裏をかいた彼の見事な作戦勝ちですよ!我々が同位体目掛けて一斉射撃すれば、すぐに対応されてしまうことをすっかり失念していました。敢えて見当違いな方向へ放って、敵のど真ん中にテレポートさせるとは、僕も思いつきませんでしたよ。彼の奇策に気付いた頃には、全同位体が真っ二つにされていましたからね。次はバラバラに攻撃を仕掛けてくるでしょう。そのときにいくらでも暴れることが可能です!」
「ハルヒだって前回やっていただろう?さっさと急進派のTOP3を引きずり出すんだよ。もっとも、今吹き飛ばした奴等の中にもいたかもしれん。『この数を相手に何ができる?』と安っぽいプライドを振りかざした変態親玉がな」
『しかし、同期された以上、この時間平面上が毎回戦場になる。どうするつもりだ?』
「どうするつもりも何も、ジョンだって言っていただろう。この時間平面上の人類だけ、何故絶滅していないのか他の時間平面上の急進派から見られているとな。どの道、戦場になってしまうのなら、今日決着をつけるまで。マフィアだけでなく、情報統合思念体にも『敵に回す相手を間違えた』と嫌という程分からせてやればいい」
「退屈しなくて済みそうね」
「問題ない。早く終わらせてカレーを食べる」
おそらく有希だけだろうが、カレーで士気が上がるとは。仕方なく出してやった料理が、こんなところで役に立つとは俺も想定外だよ、まったく。

 

 超サ○ヤ人状態で張った閉鎖空間の内部に情報結合で入ってくることができないというのは、俺たちにとって大きなアドバンテージを与えてくれた。涼宮体の手刀だろうと、五層の閉鎖空間には敵わず、閉鎖空間を張った俺を殺すしか閉鎖空間を解く術はなくなった。しかし、単調というわけでは無かったが、次第に数が膨れ上がっていく同位体に対して対処しきれなくなり、こちらも負傷者が出るたびに有希が回復にまわり、俺か青古泉のどちらかがその護衛に入っていた。
「くっ……これでは、数が多すぎて対処しきれません!このままでは…」
「あら、弱音を吐くなんて情けないわね。『いくらでも暴れることが可能』だと言っていたのはあなたじゃなかったかしら?」
「キョン!どうする気!?」
「とりあえず目の前の相手に集中していろ!ようやく俺にも出番がまわってきたらしい。残りはすべて始末する!」
「始末するってどうするつもりよ!?」
「だから、目の前の相手に集中していろと言っているだろう。よそ見していると、重傷どころじゃ済まなくなるぞ?」
「くくく…笑わせるな。貴様等はこの場で滅びるのが運命ダッ………ッ!?」
「なら、笑えなくするまでだ」
テレポート膜で今喋った奴の顔面を串刺しにすると、五重の閉鎖空間を展開。これ以上の同位体は入れないと条件を新しく加え、一番外側には先ほどまでと同じテレポート膜を備え付けた。これで、エネルギー弾だろうと、一点集中の手刀だろうと閉鎖空間にすら触ることができん。突撃してくれば、ふりだしに逆戻りだ。
「ギア……2!」
「駄目!同位体に催眠は効かない!」
「一体どうするつもりです!?」
有希や朝倉に通用しない時点でそんなことは百も承知。バカとハサミは何とやらってヤツだ。ハルヒの力を血管の内側に張り巡らせ、血流のスピードが跳ね上がる。超サ○ヤ人状態から身体は紅く染まり、蒸気が出始めた。
「ゴム○ムの~~~~JETガ○リング!!」
催眠が効かない以上、無駄な演出をする必要はない。通常であれば、この技を使うのなら部分テレポートで前から殴りつけ、その分をさも腕が伸びているかのように催眠で隠すところだが、今回は手刀に構えて部分テレポート先を同位体の後頭部へと設定した。頭部を貫かれ、断末魔を言うこともできずに自由落下していく同位体たち。その様子を見ていた古泉やWハルヒに同位体の魔の手が迫る。
「同じことを何度も言わすな!目の前の相手に集中していろと言っただろう!」
ハルヒ達の心臓を貫こうとした同位体の腕がテレポート膜で自分の顔面に突き刺さる。本当に癪に障る。いくら隙を見せたからとはいえ、同期したにも関わらず、まだ同じ手が通用すると思っている連中に虫唾が走る。ハルヒ達を襲った同位体を青古泉が片っ端から一薙ぎで倒し、閉鎖空間内の同位体もようやく処理することができたようだ。それでも尚、一縷たりとも隙を感じさせないのがジョン二人とその仲間たち。無残にも地面に這いつくばった同位体にとどめを刺していく。こっちも外の連中を粉々にしないと、次の同位体が作れまい。こういうときにピッタリなあの技で木端微塵にしてやるか。再度声帯を弄って技名を猛々しく叫ぶ。
「ビッグ○ンアタ―――――――――――――――――ック!!」
「『あぁ―――――――っ!!俺がやりたかったのに!!』」
ようやくジョン二人に隙ができた。あとはあの二人に任せよう。内部の閉鎖空間を解除して仲間のところへと戻り、一度上げたギアも解除しておいた。あれを長時間維持し続けるのは流石にしんどい。閉鎖空間内の全同位体を塵にしたところでジョン達が戻ってきた。いつの間にか二つ目のスカ○ターをジョンが身に付けている。
『やれやれ、俺の専売特許を奪われた上に、キョンまで超サ○ヤ人2になるとはな。そんなドーピング技、キョン達にしか使えない。戦闘力が文字通り跳ね上がっていた。ざっと12000000だ』
『12000000!?』
「あれは、長時間は持たない。どう修行を積んでも安定させるのは難しいはずだ。途中で給水でもしない限り干乾びる。それよりおまえら、人の忠告も聞かずに身の危険に自ら足を踏み入れるな阿呆!一回で理解しろ!」
「それは失礼をいたしました。ですが、あの技は敵の正面から何度も殴りつける技のはず。あのような使い方で技を放ったことに度肝を抜かれましたよ」
「毒をもって何とやらだ。前回の戦争の方がまだ良かったぞ。前の急進派に同じ手は二度と通じなかった。流石は急進派の残りカス。すべての情報を同期したとはとても思えん。同じ手に二度、三度と引っ掛かり、自分たちには例外とでも言いたげに同じ手を何度も使ってきやがる。それを誘発させた方もどうかと思うがな。青古泉が残りを蹴散らして無ければ、今頃俺は未亡人か?この程度で終わるとは考えられん。もう助けんからな!」
『ぶー…分かったわよ』
「ご心配なく。そのときは僕がサポートに入りますよ」
『あんたが入る必要は無……「今のおまえ等に言えるセリフか!!少しはジョン達を見習え!」

 

 ジョンやその仲間たちを見習ってもらいたいのは確かだが、残心はしても常に緊張感を持つ必要もないと思うんだが……そうせざるを得ないような状況で何度も直面していればそうなって当然か。ジョン達が休息できる時間を確保させたいところだが、先ほどのように背後を取られるところを見せられては、休みたくても気が休まらん。結局、どの時間平面上の急進派も新たな策を講じることはなく、涼宮体が完成した時点でこの時間平面上に送りこむ作業を繰り返していた。いくら情報結合での侵入を不可能にさせたとはいえ、圧倒的な戦力差でこちらが追い込まれる一方。作戦なんてものはこれっぽっちもありはしないが、それだけで十分俺たちが不利になるんだから、指揮官がどれほどアホでも戦争が成り立ってしまう。ここまでのキャパシティにまで成長させた、別の派閥の誰かさんをちょっとは見習って欲しいもんだ。
『キョン!これ以上は持たないわよ!』
ハルヒ達にそこまで言わせるだけの戦闘力と数だけは認めてやるよ。今度はコラボ技で一気に片付けるとしよう。ゴム○ムのJETウ○ップ+気○斬、それに魔法カード増殖を発動。
「ギア2!ゴム○ムの~~~~~~~JETチェンソーガ○リング!!」
部分テレポートした俺の足に備え付けた気○斬で同位体を一刀両断!増殖した足が何体もの同位体を切り裂いた。
「いくらよそ見をするなと言われましても、あなたの放つ技一つ一つに驚きを隠せません。閉鎖空間でこれ以上の侵入を防いだのでしたら、少しは見物する時間をいただけませんか?」
「制限したのは数だけで、倒せばそれだけの同位体がまた入ってくる。ジョン達にばかり余計なエネルギーを消費させてないで、少しは手伝え!!」
一向に終わりが見えない闘いに、俺やこの時間平面上のジョン達の怒りのボルテージが上がっていく。すでに俺たちの足元周辺を除いて建物の残骸一つ残っていない。度重なる状況に、ついに沸点を越えた。
「これ以上、こんな馬鹿共に付き合っていられるか!まとめて消し飛ばす!!」
「このバカキョン!ちょっとは落ち着きなさいよ!!」
「俺は至って冷静だ。同じ手口に飽きたんでな。塵にするところまでを同時にやるだけだ!ギア2!ゴム○ムの~~~~~JETバズーカめ○め波!!」
腕のテレポート先は同位体一体の背後。衝撃と同時にかめ○め波が放たれた。俺たちのいる閉鎖空間に向かって真っ直ぐ向かってくる。
「いけない!彼が放ったかめ○め波がこのテレポート膜に当たってしまったら、急進派を滅ぼすどころか、我々が吹き飛んでしまいます!すぐにテレポートで避難しましょう!」
『戦闘力12000000のかめ○め波に、俺たちが対抗できるとでも?』
「問題ない。テレポートすれば逆に危険。このまま見ているだけで良い。先ほどまでとはテレポート膜の条件が変わっている」
 有希がそう言い終える頃には、俺の放ったかめ○め波がテレポート膜に激突。閉鎖空間内に張った別のテレポート膜からかめ○め波が姿を現し、同位体を塵に変えていく。他の面に激突する度に他の面から出現し、テレポート膜の内側が次第に逃げ場を無くしていく。
「『テレポートすれば逆に危険』だという意味が良く分かりましたよ。この閉鎖空間内に情報結合で入れない以上、一本たりとも逃げ道を残すつもりはなさそうですね」
かめ○め波が空へと向いたところでテレポート膜を部分解除。テレポート膜内での爆発は一切起こさずにかめ○め波が彼方へと消えていった。その間に閉鎖空間内の同位体も制圧が完了しようとしていた。五体不満足になった同位体の首を掴んでこの時間平面上のジョンが急進派に向かってテレパシーを送る。
『こんな雑魚共のせいで他の時間平面上の人類が滅亡したかと思うと、いくら倒しても俺たちの気が収まらないんだよ!!下っ端に働かせてないで、さっさとTOPを出しやがれ!!』
どの時間平面から来た同位体なのか分からないせいで、この時間平面上のジョンのテレパシーも攻めてくる時間平面上の急進派にすべて伝わっているのか謎のままだが、そろそろ主流派が動いてもおかしくないところまで来ているはず。テレパシーを送ってしばらくしたところで同位体の攻撃がピタリと止まった。
『全員集まって。ここに来たときの状態まで戻す。それに、お腹が空いた』
「そういえば、夕食を食べ始めた直後だったのを忘れていましたよ。我々の時間平面ではもう日付が変わっています。お腹が空いて当然ですよ」
「みくるちゃんにサンドイッチでも作ってもらおうかな……」
「連絡すれば、もう用意していてもおかしくありません。こんな紛争は今の始まったことではありませんからね。それに、有希さんはおでんを食べ終えてはいても、他の皆さんはカレーには手をつけていないはずです。こちらの新川さんが軽食を作っていてもおかしくはありません」
「ところで、黄涼子。全部で何体倒したか覚えてる?」
「5000を超えたところで数えるのを止めたわ。時間平面一つにつき200体倒した計算になるかしら。あの同位体を200体も倒されたら、主流派だって黙ってないわよ。親玉もとっくに消し去った後ってこともありえるわね」
「問題ない。おでまし」

 

 現れたのはたった三体。この後も作ってくることを考えれば早々に片付けないといかん。
「ようやくTOPが出てきたか。俺たちが生きていた時間平面をめちゃくちゃにしてくれた分、たっぷり償ってもらうぞ。覚悟はできているんだろうな?」
「いくら少数精鋭とはいえ、四人で三体を相手にするのは厳しいんじゃないかしら?彼に散々暴れられて、暴れ足りないのよ。わたしも入れて欲しいわね。それに、どのくらい強いのか聞いてみたいものね?」
『さっきまでの倍だ』
「戦闘力3000000ですか!?青僕と互角の相手に四人でなんて無茶です!僕も加勢します!」
『ようやく張り合いのある相手が出てきたようね。あんたはもう休んでていいわ!後はこのあたしに任せなさい!』
「貴様らごとき人間風情が、儂らと対等に張り合おうとするのがそもそもの間違いなのだ。この時間平面の人類も消し去ってくれるわ」
『5000体以上破壊されて、ようやく学習したかと思ったらその程度か。この場で隠居させてやるよ、クソジジイ。今度は俺たちがおまえ等を見下す番だ』
ジョンの一言を機に青古泉が一体と対等に渡り合い、この時間平面上のジョン達四人で一体、ハルヒ達で一体を相手にしていた。三体ともTOPでほぼ間違いない。余計な邪魔が入れば……と思っていたが、コイツ等の安いプライドだろうな。自分が出るからにはその他大勢の助太刀は無用。ホンットにくだらない。球体を思うように操り始めた青古泉が一歩リード。残り二体を相手に上手く連携を駆使してはいるが、いつ負傷者が出るか分からん。コイツ等の手口と同様、背中から心臓を串刺しにしてやりたいところだが、これ以上俺が出張るとその後が怖い。ハルヒ達は多少罵声を浴びれば済むだろうが、特に、ジョン達はな。
『おい、クソジジイ共。どうして俺が戦闘に参加しないか分かるか?三体揃ってかかって来ようとも俺一人に3秒ももたずに破壊されてしまうからだ。今までのように一瞬で終わってしまうと俺たちの方が退屈するんだよ。どういう意味かちゃんと理解したか?5000体つぎ込んでようやく出てくるようなバカだからな。おつむもさぞおめでたいんだろう?俺に向かってくる気があるのなら、まずはそいつら全員殺してからにしろ。待ってやれる時間は10秒だけだ』
 三体とも俺を睨んで来たが、まずは目の前の相手を倒してからだ。そうでもなければ俺が相手をするまでもない。
「ふふっ、随分焦っているようだけど、そんなにわたし達が邪魔なのかしら?一撃で倒そうとしているのがバレバレよ?そんな単調な攻撃が通用するとは思わないことね」
「過去の遺物風情が、戯言を抜かすな」
「その過去の遺物を倒すのにどれだけの時間を浪費すれば気が済むのかしら?ダメージを負っているのはあなたの方。傷一つついただけでもプライドが許さないんじゃなかったの?こんな光景を見られちゃ、部下に示しがつかないわね?」
「うぬらごとき、これで十分だ!!」
周りの同位体ごと吹き飛ばす気か!?身体を小さく固めて全身にエネルギーを溜めた次の瞬間、エネルギー波を全方向に放出した。
『あ~~~~~~~~~~~~~っ!!このバカキョン!!アイツ自爆しちゃったじゃない!!』
「阿呆、あれを放たれていたら他の五人も危なかっただろうが!俺はあの沸点の低い変態共をちょっと苛立たせただけだ!あとは全部朝倉だろうが!!残りもさっさと潰してこい!早くしないと倒されてしまうぞ!」
『ぶー…分かったわよ』
「単調攻撃に仕向けたのはあなたでも、一気に沸点を超えて蒸発させたのは朝倉さんで間違いありませんね。しかし、助かりました。あなたの閉鎖空間とテレポートが無ければ、最悪の場合、我々も粉々になっていたでしょう」
「解説はいいから、おまえはどうするのか行動に移せ。それとも、俺がまた出張ってもいいのか?」
「おっと、そうでした。青僕のところへ加勢することにします」
青古泉の方も同位体が一瞬でも隙を見せれば、青古泉がとどめを刺すはず。時間はかからない。ハルヒ達が相手にしていた同位体の周囲に張った閉鎖空間はシェルターにかけるはずだった五重の閉鎖空間を逆転させたもの。三重に固めた閉鎖空間を一枚も割ることなく、自ら放った拡散エネルギー波を浴びて塵と化した。

 

 ハルヒ達が各時間平面上の急進派の親玉が操っているであろう涼宮体とバトルを繰り広げている最中、秘密裏に動いていた影分身からの情報がようやく届いた。研究所から最新のシェルターの情報を受け取り、シェルターを情報結合で量産。この付近を除き、五重の閉鎖空間を張ったシェルターを随所に配置した。あとは、この近辺に一つと、今後必要になるであろう場所に置くためのシェルターをキューブに収めた……か。残るは予知能力者を集めたとかいう組織に閉鎖空間を張ってくるだけだ。この時間平面上のジョン達から未来が変わった理由を告げたところで、信頼できるものを失った人間のする行動と言えば、シェルター内に隠れることのみ。生憎とこっちは明日からバレーのオンシーズン。前回のように頻繁に援助に来るわけにはいかない。半月くらいは自分たちで何とかしてもらわんとな。いくら青OG達が情報結合できるようになったからとはいえ、ちょっと前まで戦場だった場所に来させるわけにもいかん。みくるや青有希、佐々木たちも同様だ。ほどなくして、これが最後になるであろう闘いの決着がついた。片方は青古泉の一発で胴体に穴をあけ、もう片方は四人の巧みな連携攻撃の末、一瞬の隙を突いて首を刎ねた。
「これで終焉と考えていいのでしょうか?情報統合思念体の情勢は一体……?」
「問題ない。ほとんどの時間平面で主流派が急進派を抑えに入った。一度に20体までしか作ることができない涼宮体を10回以上も作り続けていた報い」
「みんなが闘っている間に、研究所から最新のシェルターの情報を入手してきた。すでにいくつも情報結合して各所に置いてある。閉鎖空間も金色のままついているし、付近の住民にも分かりやすいだろう。一旦閉鎖空間を解いて付近の住民が入れるものに張り直すから、シェルター内に入るよう声をかけてくれ。予知に特化した人間が集められた建物には、建物自体に閉鎖空間を施しに向かっている。外に出ない様に注意喚起をしに行ってくれ」
「しかし、閉鎖空間内に一般人を入れて大丈夫でしょうか」
「まだ襲来する可能性が高い以上、閉鎖空間を解除してしまうと俺たちが逆に危なくなる。テレパシーを使おうとすれば尚更な。まわっている最中に背後から一突きなんて真似ならいくらでもやってくるだろう。閉鎖空間のサイコメトリーに引っかかればまた張り直すさ。シェルターに入れてしまえば安全だ」
「それじゃ、さっさと終わらせてあたし達も戻るわよ!」
『問題ない』

 

 大声で叫んでも、テレパシーで呼びかけても、怖がってなかなか出てこようとはしなかったが、一人動き出せば、あとは大所帯で動き始めた。家から大荷物を担いで出てくる人間も多数。例の組織には、この時間平面上のジョン自ら出向き、事の詳細を説明。再度市民の信頼を得るには相応の時間が必要になるだろう。そのときまでまた修行だな。この時間平面上のジョン達も、俺やジョン、朝倉もってことになるか。青古泉が覚醒して俺たちの中じゃ三番目の実力を持つ男になってしまった。まぁ、それにWハルヒが便乗して結局青俺も修行に付き合うことになりかねん。全員集まった頃を見計らって、閉鎖空間の条件を『透明』で『外敵の侵入を防ぐ』と切り替えた。急進派の連中が閉鎖空間にぶつかってこじ開けようと試みている間に、俺とジョンでこの時間平面に跳んで来ればいい。
「しかし、最終的にはあなたに任せることになったとはいえ、その戦闘服にした意味は結局何だったんです?」
「有希や朝倉にすら催眠が一切効かないんだ。涼宮体に催眠がかからないことは承知の上だったが、使ってみたいと思っていた技を実際に試してみたのと……」
両腕を前方に構えて古泉目掛けて手刀を繰り出した。ドスっという音が俺たちの頭上から鳴り、視線を上げた。
「こうして串刺しにしたときに、服に薄汚い血をつけたくなかっただけだ」
「ば、か……な。ど、うやっ……て、背…後、か……ら…」
「おまえのような馬鹿じゃいつまで経っても分からん。こんな奴に司令塔を任せるから急進派が崩壊するんだ」
『司令塔!?』
「周りの連中に指示を出していた奴と同じ声だ。あれだけ俺に煽られたクセに、今頃になってようやく顔を出しても結局何もできず仕舞い。おまえは元からそういう運命だったってことだ。ジョン、俺と交代してくれ。コイツもろとも全力のかめ○め波で急進派も消し去る。おまえに最後の仕事を与えてやる。自分の身を呈して急進派を守ってみせろ!こっちはそれでも絶滅させるだけのパワーでエネルギー波を放つけどな」
「く、そっ………や、めろ……」
『まったく、良き相棒を持つことができて俺は光栄だよ。是非やらせてくれ』
「俺も一緒に撃たせてくれ!!」
「本当にやるつもりか!?そんな過去の遺物を使って、見ているこっちが恥ずかしくなるぞ!」
「おまえ等こそ自分で技名をつけてるだろ!俺にはこれが一番なんだ!過去の遺物だろうが何だろうが関係ない!」
テレポート膜の前に金縛り状態にした司令塔を置いて、ジョン二人がエネルギーを溜め始めた。これで気合が入るのなら誰も文句は言えないし、その分威力も跳ね上がる。文句が言えるのは、それでも対等に渡りあっているからこそだろうな。
「『か~~め~~○~~め~~波――――――――――――――――――――――――――――っ!!』」
「あ~あ、本当に二人揃ってやりやがった」
「仲間にまで呆れられる程、好きだなんて未だに信じられないわよ」
「朝倉にだってナイフがあるだろ?とにかく、これでカタがついた。また来ることになるだろうが、今日はこれで帰ろう」
『問題ない』
朝倉からの返答は無かったが、どうやら納得したらしい。四人に別れを告げて、俺たちの時間平面上へと戻った。

 

『おかえり~~っ!』
「えぇっ!?キョン君その格好、どうしたんですか!?」
「折角の服を汚したくなかっただけだ。色々と考えたが、ノースリーブの方が闘いやすかったからこれになった……ってことで納得してくれ。とりあえず、ただいま」
「おや?深夜二時だというのに、子供たち以外全員いらっしゃるとは驚きました。ただいま戻りました」
「我々だけでカレーを食べるわけにもいかない。新川に軽食を頼んで君たちの分もと思っていたんだが、こちらから連絡をとろうにもタイミングが悪いときのことを考えると取るに取れなくてね。ずっと連絡を待っていたんだが……まぁいいだろう。全員無事に帰ってきて安心したよ。夕食の続きというのはどうかね?」
「問題ない。わたしもお腹が減った。軽食も食べる」
『あたしもお腹が減ったわ!早く食べましょ!』
「それはいいが、俺がもうこりごりだと判断したら二度と作らんからな」
「心配いらないわよ!とにかく大戦お疲れ様でした!いただきます!!」
一大戦争を終えた後の祝杯の音頭が『いただきます!』というのもどうかと思うが、非常事態だったんだから仕方がない。それに、もうあの映像を気にする必要も無くなった。
『いただきます!』
「しかし、未来で一体どんな戦いをしてきたんだ?こっちにも攻めて来るかと思ったが、この時間平面上に来たのは最初の数体だけだった。黄俺も黄有希もカメラで撮影なんて暇はなかっただろうし……」
「あの時間平面上での戦争を撮影していた奴ならいるぞ。今も俺たちのことを見ているはずだ。最低二人、多くて三人ってところか?」
『あの戦争を見てたぁ!?』
『ちょっと待ちなさいよ!あたし達にだけ闘わせてのんびり見物してたっていうわけ?一体どこのどいつよ!?』
「正確には、闘いたくても闘うことができなかった……だな。参戦できないことはないが、そいつらにもその時間平面上の事情ってものがある」
「ですが、戦争を終えても尚、我々のことを見ているというのは説明がつきません!」
「理由なら簡単だ。俺たちが今食べているカレーだよ。今頃スプーン構えてよだれが止まらないんじゃないか?」
「ジョン達のいた時間平面上からすれば過去になりますけど、もしかして未来のわたし達なんじゃ?」
「くっくっ、本人がここにいるからその可能性を考えていなかったよ。キミ達の様子を撮影できて、カレーに目がないと言えば、彼女しか考えられないじゃないか」
「ってことは、撮影していたのって未来の有希先輩のことですか?」
「そうだろう?有希にみくる。それに古泉はいるか?」
『映像を送るからカレー食べさせて!』
『やっぱり、キョン君にはバレていたみたいですね』
『ですが、圧巻の一言に尽きますよ。25もの時間平面の急進派を一度に相手にするんですから』
「残念だったな。その件なら映像をわざわざ送ってもらわずとも、サイコメトリー一つで解決する。たとえ俺がOKしても、ここにいる全員が反対するだろう。これ以上は禁則事項に該当することを言いかねないし、とりあえず、カレーは諦めろ。いくら様子を見ていたとしても、進展することは絶対にない」

 

「キョン君、未来のわたし達ってそんなに暇なんですか……?」
「未来古泉なら将棋を指しに来るくらいだから暇だろうが、みくると有希は違う。有希が参戦すれば、みくる達の組織を守る人間がいなくなり、あいつらの時間平面上でも紛争が起こる。未来古泉もタイムマシンは持っていても、自身の超能力はもう使えない状態だ。みくると同じ非戦闘員の扱いになる。あの二人は戦争の終結を見定め、この時間平面上に敵が現れないかどうか監視をする役目を担っていたんだ。特に今回のような一大戦争ならなおさらな。これで俺たちが負けていたら、この時間平面はおろか、ここに近い時間平面の全人類が滅ぼされることになる。もっとも、敵の襲来も無さそうだからと、有希の私情が絡んでいたけどな。とにかく、向こうで起こったことを伝える。テーブルに手を置いてくれるか?」
OG達や青圭一さん達には敵が分からない様に情報操作をしておいたし、他のメンバーにも口に出さないようにと注意を促しておいたが、これで納得してくれるかが問題だ。未来の有希から映像をそのまま送ってこられたらどうしようかと正直困り果てていたんだ。理由が理由とはいえ前科もあるし、未来の禁則事項よりカレーを優先しかねんからな、あいつは。まぁ、それより驚くことがあるし、そこまで心配する必要はないか。
「古泉の戦闘力が300万!?」
「エージェントと古泉の超能力が全部一人に集約されていたとは驚いたよ」
「くっくっ、未来の有希さんから映像を貰った方が良かったんじゃないかい!?こんなシーン、ドラマでもそうそうあるもんじゃない。サードシーズンの最終回で使いたいくらいだよ」
「この情報をDVDに焼くだけだ。それより、みんなこの後はどうするつもりだ?俺は時間までは寝るつもりでいる。おそらく、俺と同じ理由で朝倉もな」
「でも、寝る時間と言っても三時間もありませんよ?」
「三時間もあれば十分だ。戦争は終わったが、ジョンも修行したいだろうし、朝倉も青古泉の戦闘力に納得がいかないだろう?今後もバトルを続けることになりそうだ。連携攻撃で倒すんじゃなく、一人で敵と対等に戦えるようにな」
『面白いじゃない!あたしも混ぜなさい!』
「日付が変わった時点で諦めていましたけど、黄キョン先輩のシャンプーとマッサージはやっぱり無理そうですね」
『このフロアの様子を撮影して、キョンを苛立たせるような行為をしないかどうか見ていてもいいだろうが、カレーが無くならない限り解散できないだろう?一日くらい修行できなくても俺は構わない。いくら回復の時間を短縮するためとはいえ、あの時間平面上の俺たちも今日の修行が無かったことにされたんだ。要望に応えてやったらどうだ?』
「ジョンがそれでいいなら、そうするか。午前中はダイレクトドライブの練習もしたいが、昼食と夕食の支度になりそうだ」

 

 カレーだけでなく、半ば諦めていたシャンプーやマッサージも堪能できると知ってみくるや佐々木たち、OG達が喜びの表情を浮かべていた。俺たちが戦争に行っている間におでんを全部平らげていた青有希は、有希が食べ終わるのを待ってようやく二人でカレーにありついていた。金輪際、同じカレーを食べられないことになるのなら……という理由で、『一応』有希たちも一口ずつ味わって食べていた。こんなことならもっと早い段階で言えば良かったな。それでもこの人数で食べていれば大した時間もかからずにカレールーが無くなってしまい、300枚あったナンもすべて平らげられ、ターメリックライスも残りあとわずか。次回をいつにするかは俺もまだ不明だが、現状維持の閉鎖空間でいくらでも保存できる。シャンプーとマッサージをしながら俺も有希の影分身にシャンプーやマッサージを受けていた。
「眠気を取った分、朝まで十分余裕ができた。身支度を始めるまで抱いて欲しい」
「ちょっと黄有希!あんた一人だけずるいわよ!キョン、あたしも抱いて」
「別に一人としかできないわけでもないだろう。ずるいなんて言わずにいつものようにすればいい」
「今日は本体で抱いて欲しかったの!」
「駄目。今日はわたしの日。あなたは彼の影分身で我慢して」
「も―――――――っ!!今夜は絶対あんたのこと離さないんだから!」
「それは構わんが、ジョンと朝倉を待たせることになるようなことだけはさせんでくれ。俺だって修行したいんだ」
普段通りの生活に戻ったことを実感したかったのか、単純に時間があったからなのかは分からんが、有希や青ハルヒだけでなく、みくるや佐々木、OG達も含めて全員と抱き合うことになった。姫始めをやって以来、複数でこのベッドを使ったことは何日もあれど、全員で円形ベッドを使うのも久しぶりだ。俺の分身と尻尾が当たり前のように24の穴に入り込んでいた。
「姫始めのときも見たけど、ようやくみんなも後ろも一緒に責められたくなったみたいだね」
『あんたのせいでしょうが!』
「ああ、それなら別に尻尾無しでもいいんだよ?」
『ぶー…分かったわよ。認めればいいんでしょ!』

 

 佐々木の秘部には俺の分身より二周りほど大きな太さの触手が出入りを繰り返すようになり、秘部の突起を三本目の触手が吸いついていた。佐々木と口づけをかわしながら、小振りとは言い難いほど成長した胸を刺激していく。
「ちょっ、キョン!こんなに強い刺激、私には耐えられない!これじゃ立っていられなくなっちゃうじゃないか!」
「妊娠している身だ。体調不良で起きられないと説明すればいい」
「そういう問題じゃ…んっ……ダメッ………っっっっ!!!」
三本目の触手が姿を消し、乳房を触りながら、佐々木の頬にキスをした。残りの二本はコイツの体内に身を潜めたまま。今、動き出せばまた文句を言い出すだろう。敏感になった身体が落ち着いたら、どの道言いそうだけどな。仰向け状態のまま首の後ろに腕を通して腕枕をすると、佐々木が俺の分身を強く握りしめる。
「私はもう十分過ぎるくらいだよ。今度は私にご奉仕させてもらえないかい?ご主人様」
「奉仕と言う割には、強く握りすぎなんじゃないか?これじゃ、『ご奉仕』にならずにメイド失格だと言われそうだ」
「それは困ったね。十分過ぎるくらいの刺激を受けたばかりなのに、数日もしないうちに私の身体が似たような刺激を求めてしまいそうなんだ。『メイド失格だ』なんて言わないでくれたまえ。でも、もう少し弱くゆっくりにしてもらえないかい?」
「主人がメイドに合わせないといけないのか?」
「くっくっ、その方がご主人様に対するメイドの貢献度が変わってくるとは思わないかい?」
「面白そうだ。どんな貢献をしてくれるのか見たくなったよ」
「ご主人様、私のことを抱きしめていただけませんか?」
「お安い御用だ」

 

 『ジョンの世界で』というわけにはいかなかったが、ニュースをチェックするくらいならモニターに出すだけで十分。昨日、あの四人が避難してすぐに追いかけてきた同位体について書かれた記事もなく、至って平穏そのもの。『立っていられなくなる』と言っていた佐々木もいつものように81階に姿を現した。
「何者かが本社を襲っているなんて記事になるかと思ったが、黄俺がすかさず閉鎖空間を展開してくれたおかげで目撃者もいなかったみたいだな。正直ホッとしたよ」
「藤原のバカが本社を襲いに来たときは、訓練と称してヘリで銃弾を撃ち尽くしても良いくらいだったんだ。今だって似たようなもんだろ?報道陣も閉鎖空間に入れて、そのまま居座ろうとすれば病院送りにするだけだ。記事になったとしても、いくらでも対応できるし、何も答えなければいい」
「二月のライブとコンサートを一月と同様、11,12日も入れたかった。でも、バレーのオンシーズンに加えて、おススメ料理がある。今月は18、25日(金)がライブ、19、26日(土)がコンサート予定。チケット業者に委託しておいて。楽団員には明日伝えることにする」
「了解しました。ですが、三月以降も第二、第四金曜、土曜がライブとコンサートになるのなら一緒に委託してしまいますが……どうされますか?」
「チケットを売り捌いたあとに予定が入ることも十分ある。特に野球の試合の連絡が来た場合は断れない。とりあえず今月のみ。涼宮ハルヒ、両方の世界の彼に連絡をしておいて」
「あたしに任せなさい!」
「ところで、青ハルヒも青俺も青OG達を午前中の練習に出したいんだが、どうだ?人通りが激しいところは難しいかもしれんが、一人抜けてもなんとかなるのなら午前の練習だけでも出したい。三月号ができないと情報結合の練習も掲載が確定している商品でしかできんからな」
「俺の方は心配ない」「あたしも」
「なら、青OG五人は午前中の練習に出て、こっちのOG達がビラ配りや……って、こっちのOGをそのまま入れれば済むんだった。まぁいい、とりあえず三月号はこっちと異世界を合わせてジャスト600万部だ。OG12人だけで全部作ってもらうからそのつもりでな」
『あたしに任せなさい!』
「とりあえず俺は、このあとみくると一緒に文芸部室に行ってくる。第三話を見せて、アイツの考えたデザインも貰ってくるつもりだ。そのあと昼食と、夕食のおでんの支度をして練習試合に出る。俺のダイレクトドライブゾーンについて来られない奴は、コートから蹴り飛ばすからな!」
「問題ない。わたしがトスを上げる」
「昨日は飽きるほどだったのに、まだ暴れ足りないのよね。わたしも入れてもらえないかしら?」
「今まではビラ配りでしたけど、この二週間はバレーに集中させて欲しいです!」
「彼女の代わりは僕が引き受けるよ。影分身にも大分慣れてきたからね。意識が朦朧とするなんてこともない」
「青わたしの代わりはわたしがビラ配りに出ます!佐々木さん達はデザインや研究の方に集中してください!」
「あたしは生放送だけ出られればいいわ!ビラ配りは今まで通り続けるわよ!!」
「涼宮さんが生放送だけでいいなんて今シーズンが初めてなんじゃない?わたしが涼宮さんの代わりにビラ配りしてもいいわよ?」
「シーズン以外でも日本代表達はここにいるんだから、大会でいなくなる分を除けばいつでも出られるわよ!涼子がおでん屋の切り盛りとビラ配りに影分身を割いても余裕ができるくらいになったら交代させてもらうわ!来月から色々と忙しくなるのよね」
「三日目までは彼の独壇場ですからね。昨日でようやく影分身の不調の理由がはっきりしましたし、僕も修行に専念することにします」
「影分身五体を店舗とヘリの運転に割いているから、ゾーン状態になれそうにないな。店員が仕事に慣れて、店舗にあまり意識を使わなくて済むようになったら混ぜてくれ。夜練は出る」
「わたしが入ったら黄キョン君に一番に蹴り飛ばされそう……四日目から混ぜて欲しい」
「では、青僕の影分身が安定するようになるまでは存分に暴れさせてもらうことにします!」
「で?最後の一人は!?」
「このバカキョン!あたしに決まっているじゃない!ゾーンの第二段階だかなんだか知らないけど、指示ミスなんて真似をしたら、あたしがあんたを蹴り飛ばすわよ!!」
『先輩たちの気合が入り過ぎていて、ついて行けそうにありません』

 

「俺とジョン、それに朝倉は修行を続行するが、余計なことを考える必要がなくなった。今日のディナーの仕込みは古泉と青ハルヒに任せるが明日以降は一人ずつでやろう。おススメの方をディナーに合わせればいい。それと、本当ならOG達の情報結合の修行も兼ねて、例の時間平面上の建物の修復に向かわせたいところなんだが、急進派は滅ぼしたし、他の時間平面上の急進派も主流派が抑えた。俺の閉鎖空間があるから入って来られないとは思うんだが、まだ危険性を伴う。非戦闘員は無理だが、それ以外で時間が空いたときは教えてくれ。あの時間平面上の建物の修復にまわる。ただし、これは全員に関する内容だ。500年後の未来に関する内容の記憶の一切を記憶操作で消す。例えば、俺と古泉が前の戦争で修復に向かったときは、『風呂やトイレが今じゃ考えられない形をしていた』という記憶はあっても、『どんな形をしていたか』までは覚えていない。すべて、記憶から消去している。昨日も未来の有希やみくるからテレパシーが飛んできたが、あれ以上喋らせると何を言われるか分かったもんじゃなかったから、こっちから強引に切った。昨日渡した情報の中にもそういうものが混じっているってことだ。あの時間平面が安定したところで、ここにいる全員の記憶を操作するからそのつもりでいてくれ」
『問題ない』
「それと有希、青ハルヒが心臓を貫かれた後、情報結合で元に戻して、ジョンが以前古泉つけたものと同じ超能力でサポートするような体制が整っている。ジョンも何も言ってこないから問題はないだろうが、何かあれば特効薬を作って欲しい。そうでもしないと、未来の有希と寸胴鍋一杯のカレールーと交換する羽目になってしまう」
『寸胴鍋一杯分のカレーと交換する!?』
「どの時間平面上でも、有希なら十分あり得るってことだ」
『うん、それ、無理!』
「問題ない。古泉一樹の心臓病の後遺症を治すために使った薬ならわたしにも調合可能。でも、しばらくは様子を見る必要がある」
「とりあえず、あたしの心臓が止まっても大丈夫なんでしょ?だったら、あたしはそれでいいわよ!それよりあんた!ジョンと黄涼子だけで修業するってどういうことよ!あたしと黄あたしも混ぜなさいよ!」
「一対四だと、俺の修業にはなっても、ジョンはいつまで経っても成長が乏しいままなんだよ」
「では、僕が二人の相手になりましょう。僕も球体の修行を積まないといけませんので。黄僕やエージェント達には申し訳ありませんが、九層もあると重くて移動が難しいんですよ」
「いつもなら『あんたはいい!』なんて黄あたしと二人で叫んでいるところだけど、しょうがないわね。あんたで我慢するわ!その代わり、手加減したら承知しないわよ!?」
「そのつもりですが、コーティングの移動を失敗してしまった場合についてはカウントしないでくださいよ?」
「くっくっ、修行の話で思い出したよ。これで、超能力関連の不調はなくなったはずだ。例の装置を返してくれないかい?研究者としては粗悪品をいつまでも野放しにしておきたくはないんだ。不完全なタイムマシンと同じさ」
「念のため、確認をしてからにさせていただけませんか?昨日解散した後、超能力を使っていませんでしたから」
「それで構わない。それより、黄古泉君がディナーの仕込みと試合ということは、人事部は大丈夫なのかい?」
「心配いりませんよ。オンシーズンが終わる頃には圭一さんだけで第二人事部を満たせるほどになるはずです。今も五人態勢で電話対応していますからね」
「人事部にはCMの依頼があれ以降も殺到しているんだが、ドラマの枠にはもう入りきらないと話すと仕方がなさそうに諦めているくらいだ。だが、例のアフレコの件の連絡が一切かかって来ない。こちらから連絡してみてもいいかね?」
「くっくっ、どんな返事が返ってきたのか、是非とも聞いてみたい内容じゃないか。きっと、ル○ン役の声優が駄々をこねてTV局と揉めているんだろう。ただでさえ、コ○ンの方は以前、声優の揉め事があったからね」
「俺もそんな気がしてならない。代役として出演した当初は、全然違う声にしか聞こえなかったが、最近はそうでも無くなってきたからな。中国マフィアに超大型トラックで襲われたあと、ヒロインと一緒にアレが出てくるTVスペシャルを見ていたが、違和感がほとんどなかった」
「あら?わたしからすれば、あなたが峰不○子役までやる方が気色悪いと思うわよ?」
『ぷふっ!!』
「全員の前で堂々と『気色悪い』とぬかすな!代変わりするよりは、『今までの声優でこれからも』と思っただけだ。時間が空いた時でいいので、よろしくお願いします」
「分かった。夕食の前にでも連絡してみることにする。結果は夕食時に伝えるよ。ディナーの終わりを待つ必要はなさそうだからね。君たちなら、ここで食事しながら調理も接客もできるだろう?」
「おっと、そういう使い方があったのをすっかり忘れていましたよ。カレー食べ放題のときも彼一人に任せていたんでした。影分身で調理にあたることにしましょう」
「ところでキョン先輩、超大型トラックが襲ってくるアレ、何てサブタイトルでしたっけ?」
『赤上げて、白黒下げて、青上げて!いっただっきま~~す!』
「ジョン……おまえ、それはサブタイトルじゃないだろ!」
「あら、あの有名な作品ならわたしも良く知っているわよ?『殺し屋より愛をこめて』でしょ?」
『ちょっ!!』

 
 

…To be continued